説明

粒状層を含む封入体、及び同封入体内の上昇流として流通する気相及び液相の分配

【課題】 液相気相分離システムを含む充填層(触媒層)を備えた封入体を用いることにより、気液界面を乱さない、封入体の区間全体に沿って均一に分配される気相を得ることを可能にする。
【解決手段】 封入体10は、少なくとも1つの充填層(触媒層)12と封入体の底部に液体と気体との混合物を供給する供給手段20とを備えている。そして、封入体は、混合物の液相及び気相を分離するシステム22を備え、分離システムは充填層(触媒層)12と混合物供給手段20との間に配置され、このシステムは、脱気された液体用の流通手段32と、解放された気体用の排出手段(42など)とを含むハウジング24を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状充填層を含む封入体(又は反応器)、及びこの封入体内の上昇流として流通する気相及び液相の分離又は分配システムを具備する封入体に関する。
【0002】
本発明は、流体供給原料の処理又は水素化処理、並びに重質原油の接触処理のための封入体に関する。
【0003】
本発明は、さらに具体的には、一般に封入体内に配置されかつ液相及び気相の分離を可能にするシステム、並びに気液上昇並流を実現するためにこの封入体内の下部にこの気体及び液体を分配する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
固定触媒層を備える封入体系においては、気相及び液相をできるだけ均一に分配することが必要であることは周知である。
【0005】
封入体における気液接触を最適化し、この封入体の種々の領域を実質的に同一の様式で操作するように、封入体の前部区間(frontal section)全体に沿って、これら2つの相の最も均一かつ一様な分配を可能にすることも必要である。
【0006】
当該技術では知られているように、この分配は種々の手段によって、特に、垂直筒状体を備えた有孔分配プレートを用いることによって実現することができる。これによって、下記の特許文献1に詳細に記載されているように、気体をプレートの孔に分配し、液体を筒状体(chimney)に分配することが可能になる。
【0007】
気体及び液体が封入体の底部に配置されたラインに一緒に導入される気液供給部を備えた封入体も知られている。この封入体は、その断面全体に沿って配置されかつ気体および液体を分配させる筒状体分配器も備えている。
【0008】
このタイプの封入体は、単一の供給ラインを使用することから技術的に興味深いが、かなり大きな欠点を伴う。
【0009】
実際、気体及び液体は混合物形態で封入体に供給され、この導入により筒状分配器(chimney distributer)の下に存在する気液界面に乱れが引き起こされる。
【0010】
また、気体は封入体の断面に亘って上手く分散されないために、動作が最適化されず、気柱(gas column)は全体的に一般に封入体の中央で上昇する。これにより分配プレートの下の気液界面に乱れが生じ、プレートの下では気体分配が悪くなる。
【0011】
また、気体が筒状体に入る可能性があり、気柱の場合には、気体の分配が悪くなり、この気体の大部分がプレートの中央領域に存在することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ特許第1,933,857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、気液界面を乱さない、封入体の区間全体に沿って均一に分配される気相を得ることを可能にする液相気相分離システムを含む粒状充填層(触媒層)を備えた封入体を用いることにより、上記欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、少なくとも1つの粒状充填層と封入体の底部に液体及び気体の混合物を供給する手段とを備える封入体であって、封入体が前記混合物の液相及び気相を分離するシステムを備えること、該システムが前記充填層と前記混合物供給手段との間に配置されること、及び前記システムが脱気された液体用の流通手段と解放された気体用の排出手段とを含むハウジングを備えることを特徴とする封入体である。
【0015】
前記ハウジングは、脱気された液体が流れるための孔をハウジングの周壁に備え得る。
【0016】
前記ハウジングは、液分離を増大させる手段を備え得る。
【0017】
前記増大手段は、混合物供給手段の反対側に配置されたプレートを備え得る。
【0018】
前記ハウジングは、前記ハウジング内部に配置されかつ混合物供給手段に連結された供給ラインを備え得る。
【0019】
前記ハウジングは、圧力低下発生手段を含む気体排出ラインを備え得る。
【0020】
前記圧力低下発生手段は、少なくとも1つの側方開口部をライン上に備え得る。
【0021】
前記排出ラインの一端は、ハウジング内部に配置され、少なくとも1つの側方開口部は、前記排出ラインの他端に配置され得る。
【0022】
前記圧力低下発生手段は、排出ラインの断面の縮小部(decrease)を含み得る。
【0023】
前記ハウジングは、この気体を封入体の区間全体に沿って分配させる解放済み気体ディスパッチャーを備え得る。
【0024】
前記ディスパッチャーは、気体拡散ノズルを備えた少なくとも1つの放射状アームを備え得る。
【0025】
前記封入体は、封入体の断面全体を占める実質的に水平なプレートと、前記プレートを通る中空チューブと、前記プレートの2側面を連通させるようにこのプレート上に設けた孔とを備え得る。
【0026】
本発明は、流体供給原料の水素化処理のための又は本発明に係る封入体を用いた接触処理のための方法にも関する。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、非限定的な例として示した以下の説明を読めば明白となろう。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、少なくとも1つの粒状充填層と封入体の底部に液体及び気体の混合物を供給する手段とを備える封入体であって、封入体が前記混合物の液相及び気相を分離するシステムを備えること、該システムが前記充填層と前記混合物供給手段との間に配置されること、及び前記システムが脱気された液体用の流通手段と解放された気体用の排出手段とを含むハウジングを備えることを特徴とするもので、本発明によれば、液相気相分離システムを含む充填層(触媒層)を備えた封入体を用いることにより、気液界面を乱さない、封入体の区間全体に沿って均一に分配される気相を得ることが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る相分離システムを備えた封入体を示す軸方向部分断面図である。
【図2】図1の相分離システムの軸方向断面を示す拡大詳細図である。
【図3】本発明に係る相分離システムを備えた封入体の一変形例を示す軸方向部分断面図である。
【図4】図3の封入体に相当する一例に係る気体流速(Qgaz)及び液体流速(Qliq)に関する、前記分離装置の動作条件を示すグラフである。
【図5】本発明に係る相分離システムの別の変形例を備えた別の封入体を示す軸方向部分断面図である。
【図6】図2の一変形例に係る相分離システムの軸方向断面を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
図1は、全体的に垂直の細長管状形の閉鎖された封入体10を示し、少なくとも1つの粒状層12の形成を可能にする製品(図示せず)を供給する手段を封入体10の上部に備えている。粒状層と呼ばれているものは、寸法が約数ミリメートルである粒子の形状を有しかつ有利には触媒層を形成可能にする触媒活性を有する固体粒子のセットである。
【0032】
この粒状層は、この封入体の下部において、封入体の底部16からある距離のところに配置されかつ封入体の周壁18で延在している横断有孔支持体14によって境界が定められる。有孔支持体のオープンワークスペース(open-worked space)は、粒子を通過させないが、気体及び液体は全て通過させるようになっている。
【0033】
上記用語「封入体」は、カラムにも反応器にも関連するものであることは当然ながら明らかである。
【0034】
同様に、用語「触媒」は、新鮮触媒にも再生触媒にも関連する。
【0035】
前記封入体は、その底部に、好ましくはその中央領域に、気相及び液相(又は原料)を供給するライン20を含む。有利には、気相は少なくとも部分的に水素を含むが、液相は本質的に炭化水素を含む。混合物は他の相(例えば、空気又は酸素を含んだ水、空気又は酸素を含んだ1以上の炭化水素)を含むことがある。
【0036】
封入体に供給された混合物に含まれる相を分離及び分配させるシステム22は、このようにこの底部上に配置されており、このシステムは、以降の説明では、デカンタと呼ぶ。
【0037】
図2に示すように、デカンタ22は、封入体方向に略細長形状の管状ハウジング24を含み、この管状ハウジングの断面は、好ましくはこの封入体の断面よりも小さく、封入体の底部16と支持体14との間の高さ未満である。
【0038】
このハウジングは、封入体の底部16に載っている下端壁28と支持体14からある距離にある上端壁30とによって境界が定められた実質的に円形の周壁26を含む。
【0039】
周壁は、下部壁28の近傍に、ハウジングの内部と封入体の底部とを連通を可能にする孔32を備えている。これらの孔は有利には、ハウジングの周壁全体に沿って円周方向に均一に分配されている。図に示した円形孔に加えて、ハウジングの中心軸線に対して対称的又は非対称的に配置された任意の形状及びレイアウト(例えば、楕円形、正方形、矩形の孔等)の孔があってもよい。
【0040】
ハウジングの下部壁28は、封入体の供給ライン20との密閉連通を可能にし、端部38が上部壁30からある距離に配置された実質的に垂直な供給パイプ36が堅く連結された、円形でハウジングの中心軸線と同軸であることが好ましい孔34を有する。
【0041】
場合によっては、図2に示したものとは対照的に、圧力低下を制限するように、ライン20の断面、孔34の断面、及びパイプ36の断面は同一にすることができる。パイプ36は圧力低下を制限するように同一であり得る。
【0042】
ハウジングの上部壁30は、有利には、孔34のオリフィスと同軸である円形のオリフィス40を含む。このオリフィスは、排出パイプ42(入口44が供給パイプ36の端部38からある距離離れてハウジング内部に位置し、出口46が支持体14からある距離離れている)との密封連通をもたらす。ハウジング内部に配置された排出パイプの一部は、ハウジングの周壁上に少なくとも1つの側方開口部48を含み、この開口部は、ここでは入口44から延在して上部壁30の前で終端する垂直の細長孔の形態であり、以下の記載で説明するように、その寸法及びレイアウトは気体の圧力低下を発生させるようになっている。
【0043】
図2に示すように、有利には、ハウジングは気体及び液体の分離を増大させる手段を備える。これらの手段は、排出パイプ42の入口44の上に載って好ましくはこの入口を閉鎖する分配プレート(splitter plate)と呼ばれる水平プレート50を含み、好ましくは円形であるこのプレートの表面積は、パイプ36の端部38の断面から封入体の断面全体に亘るようになっている。図に示すように、このプレートは、穿孔することもできるし、格子形状を有することもできるし、あるいは固体とすることもできる。後者の構成では、このプレートの周縁部は円形流通路52が可能になるように、ハウジングの周壁内部からある距離にある。
【0044】
運転中、供給ライン20に送られた気体及び液体の混合物は、供給パイプ36に入り、分配プレート50に接触しながらこのパイプの端部38を通って流出する。この導入の後、混合物の液体は、上に向かって上部壁30の方向に、液体から解放された気泡Gを通路52に流すのに十分に低い下降速度で、重力により下部壁28方向に移動する。好ましくは、液体の下降速度は、液体がハウジングから出て行く前に液体を完全にデカンテーションさせるべく0.4〜0.05m/秒の範囲である。混合物が分配プレートに及ぼす衝撃の作用下では、気泡はさらに一層迅速により大きな割合で混合物から分離することに留意されよう。液相(矢印L)が液体を主に含みかつ気相が液体から解放された気体を主に含んだ状態で、この混合物の相の分離はこのように起こる。
【0045】
脱気された液相(すなわち、気体の大部分が解放されている)は、孔32を通ってハウジング24を出て、封入体の底部に入る。
【0046】
気泡Gはハウジングの上部の高さに集まり、気液界面56の境界を定めながら上部壁30の下に気体クッション54を形成する。この気体クッションは、特に、排出パイプ42に細長孔48が存在していることで実現することができる。
【0047】
この細長孔の寸法及び数は、気体の圧力低下を発生させるために、当業者によって決定される。また、これらの細長孔は、脱気された液体がこれらの細長孔48を通過する一方で、パイプ42内に吸引されないように、十分厚いクッションを形成することができなければならない。
【0048】
従って、ハウジングに供給された混合物のデカンテーション後、好ましくは分配プレート50の下に位置する、気体を含まない液体が残り、この液体は、孔32から封入体の底部に排出され、好ましくはプレート50の上に位置する、気体クッション54を形成する気相が細長孔48から排出され、ハウジングの出口46に向かって排出パイプ42を通過する。
【0049】
ついで、このデカンタによって生成されたこの解放された気体は、気液分配プレートを備える封入体(図3)又は触媒層用の支持格子のみを備える封入体(図5)のいずれかと一緒に使用され得る。
【0050】
図3では、封入体10は有孔支持体14に代わって、触媒層12用の支持体として働き、この封入体の全断面の上に延在しながら封入体の底部16からある距離に配置された、実質的に水平な円形状分配プレート60を備えている。
【0051】
このプレートは多数の孔を含み、該孔の一部62は排出パイプ42からやって来る気体を層12の上に分配するのに用いられ、これらの孔の別の部分64は、以下の説明において筒状体(chimney)と呼ばれる垂直の中空チューブを受け取る。これらの筒状体は、封入体の底部に含まれハウジング24からやって来る脱気された液体70に浸漬している開放下端68と、層12と連通している上部端72とを含む。
【0052】
有利には、排出パイプ42の出口46とプレートの下面との間の距離は、1〜100mm、好ましくは10〜50mmであり、この距離は、この下面と筒状体66の下端との間の距離よりも短い。
【0053】
従って、排出パイプ42を出て行く気体は円形状分配プレート60の下に送られ、気体上部74は、気体と脱気された液体70との間の界面76を形成かつ画定する。この気体上部は、プレートの孔62によって達成される圧力低下の結果として得られ、この孔の数、配分、及び寸法は、界面76が気体出口46の下に位置するように当業者によって決定される。
【0054】
従って、この出口46は、常に気体上部74に配置され、気体は、界面76を乱すことなく、この気体上部に直接流れ込む。
【0055】
封入体が作動している間、気体上部74は孔62を流れるが、脱気された気体は筒状体66を通過する。ついで、分配プレート60全体に沿って均一に分配されたこの気体及びこの液体は、反応触媒層を上昇運動で流れて所望の反応を達成し、ついで、当業者には知られた任意の手段により封入体を出て行く。
【0056】
実施の例を挙げると、本出願人は、水−空気システムを有する、図3に示した封入体のような封入体を備える装置を25℃、1bar abs(0.1MPa)で使用した。
【0057】
使用した封入体は、直径500mmであり、分配プレート60は、直径0.9mmの14個の孔62を有する直径35mm、高さ400mmの7本の筒状体から構成される。
【0058】
デカンタ22は、直径170mm及び高さ300mmの円筒形ハウジング24から構成される。分配プレートは固体であり、その直径は100mmである。分配プレートは、ハウジングの最上部の100mm下に位置決めされる〔上部の気体融合(gas coalescence)領域は高さ100mmになり得る〕。
【0059】
気液混合物供給ライン20は、直径40mmである。排出パイプ42の直径は、20〜36mm、ここでは20mmであり、この排出パイプは、1〜5mm、ここでは1mmの矩形細長孔48を含む。ハウジングの20個の孔32は、下部壁28から10mm離れた所に配置され、その直径は10mmである。
【0060】
このような封入体を使用した成績を横座標が液相流速、縦座標が気相流速である図4のグラフに示す。3つの動作ゾーン<A>、<B>、及び<C>を画定が可能である。
【0061】
従って、液体流速が0近傍〜約7Nm/時及び気体流速が約3Nm/時〜約5.5Nm/時の第1ゾーン<A>では、液体が排出パイプ42を通過して出口46から出て行くことを観察することが可能になる。
【0062】
液体流速が0近傍〜約7Nm/時の範囲にあり、気体流速が約3Nm/時〜約5Nm/時〜約5.5Nm/時の範囲にある第2ゾーン<B>では、封入体は、デカンタを用いて液体と気体とのほぼ完全な分離を可能にし、気相は、パイプ42のみを通って排出され、液相は、孔32のみを通って排出される。
【0063】
第3ゾーン<C>では、液体流速は、0近傍〜約7Nm/時の範囲にあり、気体流速は、約5Nm/時〜約5.5Nm/時の範囲にある。このゾーンでは、気体は孔32を通過する。これは、界面76にある種の気泡を発生させることによって封入体の動作を妨げる。
【0064】
従って、この封入体の動作は、ゾーン<A>、好ましくはゾーン<B>に相当する液体流速及び気体流速を得ることが好ましい。
【0065】
図5に示すように、有孔支持体14の代わりに触媒層用の支持体として格子80のみを含む封入体を備えたデカンタを使用する場合、デカンタ22は、解放済み気体ディスパッチャー82(又はスパージャー)も備える。このディスパッチャーは、気体排出パイプ42の出口46から解放された気体を封入体の区間全体に沿ってほぼ均一に分配することを可能にする。
【0066】
このディスパッチャーは、パイプ42から封入体の壁18方向に延在する実質的に水平な少なくとも1つの中空放射状水平アーム84を備える。有利には、パイプから角度を成して均一に配置された多数のアーム、例えば、互いに60°隔たっている6本のアームを備える。このアームは、任意の既知の手段(例えばろう付け又は溶接)によってこのアームの内部をパイプ42の出口46と連結させる連結用孔86を含む。このアームは、各アームに沿って、層12に対して軸方向に分配された多数のノズル88も含む。好ましくは、連結部86の反対にあるアームの自由端は、栓のような任意の手段によって閉鎖される。図5に示すように、2本のアーム84(一方が他方の延長部を形成する)を形成する少なくとも1つのチューブ90が使用され、連結用孔86がチューブの中央領域に設けられる。
【0067】
格子の下に気体上部が存在することを除いて、この封入体の動作は、図3の封入体の動作と同じである。
【0068】
従って、デカンタのパイプ42を通過する解放されたガスは、チューブ90に入り、各アーム84を通過し、ノズル88を通って出て行き、格子80を流れ、上昇運動により層12の上に行く。封入体の底部に含まれる脱気された液体70はまた、格子を流れて、同様に層12の上に行く。上記のように、気体及び液体は処理及び/又は保管されるために、任意の既知の手段によって封入体上部に集められる。
【0069】
当然ながら、本発明の範囲から逸脱しなければ、図3のデカンタの代わりに、図5のそのディスパッチャー82を備えるデカンタ22を使用することができ、上部気体をより迅速かつ均一に実現するという利点がある。
【0070】
図6のデカンタ122の変形例は、オリフィス140が気体排出パイプ142(入口144がハウジングに入ることなくこのオリフィスに連結されている)との密封連通を可能にするという点及び排出パイプの出口146が気体通過制限手段148を有しているという点で、図2のデカンタとは異なる。この手段は出口146の断面の縮小部から構成され、この縮小は任意の手段(例えば、この出口に連結され、小径の孔152を含む中央ワッシャ150、格子、多数の孔を含むプレート等)を用いて得られる。
【0071】
従って、この断面の縮小部は、このように気体クッション54を上部壁30の下に形成することによって、液体から解放された気体の圧力低下を可能にする。
【0072】
このデカンタの変形例は、図1、図3の封入体、又は図5の封入体と一緒に使用することもできるが、後者の場合、ディスパッチャー82を備えている。
【0073】
本発明は、限定するものではないが、より具体的には、流体供給原料処理方法(fluid feed hydrotreating)、又は本発明の封入体を用いた蒸留物接触処理方法に適用される。
【0074】
本発明は、上記例に限定されるものではなく、どのような変形例も等価物も包含する。
【0075】
特に、封入体の製造を簡素化するという理由から、ハウジング24は、下部壁28を備えてもよく、このハウジングの閉鎖は、壁26の下部を底部16に組み付けすることによって行うことができる。これはろう付け又は溶接によって行うことができる。
【0076】
同様に、細長孔48を含むパイプ42を備えるデカンタは、液体に気体を同伴(entrainment)することなく、幅広い液体流速及び気体流速に亘って動作を可能にするが、制限手段148を含むパイプ142を備えるデカンタは、より良く気液を分離するということが実験的に判明した。
【0077】
従って、円形状分配プレート60を用いる場合、気体に液体を同伴することは影響を及ぼさず、他方で液体に気体が同伴することを阻止するので、デカンタは好ましくは圧力低下用の細長孔を含むパイプと一緒に用いられる。
【符号の説明】
【0078】
10:封入体
12:粒状層(触媒層)
14:横断有孔支持体
16:封入体の底部
18:封入体の周壁
20:気液混合物供給ライン
22:デカンタ
24:略細長形状の管状ハウジング
26:円形の周壁
28:下端壁
30:上端壁
32:連通孔
34:孔
36:供給パイプ
38:端部
40:円形のオリフィス
42:排出パイプ
44:入口
46:出口
48:側方開口部(細長孔)
50:分配プレート(水平プレート)
52:円形流通路
54:気体クッション
56:気液界面
G:気泡
L:液相
60:円形状分配プレート
62:一部の孔
64:別の孔
66:筒状体
68:開放下端
70:脱気された液体
72:上部端
74:気体上部
76:界面
<A>:第1動作ゾーン
<B>:第2動作ゾーン
<C>:第3動作ゾーン
82:解放済み気体ディスパッチャー(又はスパージャー)
84:中空放射状水平アーム
86:連結用孔
88:ノズル
90:チューブ
122:デカンタ
140:オリフィス
142:気体排出パイプ
144:排出パイプの入口
146:排出パイプの出口
148:気体通過制限手段
150:中央ワッシャ
152:小径の孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの充填層と封入体底部に液体及び気体の混合物を供給する手段とを備える封入体であって、該封入体が前記混合物の液相及び気相を分離するシステムを備えること、該システムが前記充填層と前記混合物供給手段との間に配置されること、及び該システムが脱気された液体用の流通手段と解放されたガス用の排出手段とを含むハウジングを備えることを特徴とする、封入体。
【請求項2】
前記ハウジングが、脱気された液体が流れるための孔を該ハウジングの周壁に備えることを特徴とする、請求項1に記載の封入体。
【請求項3】
前記ハウジングが、気液分離を増大させる手段を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の封入体。
【請求項4】
前記増大手段が、混合物供給手段の反対側に配置されたプレートを備えることを特徴とする、請求項3に記載の封入体。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記ハウジング内部に配置されかつ前記混合物供給手段に連結された供給ラインを備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の封入体。
【請求項6】
前記ハウジングが、圧力低下発生手段を含む気体排出パイプを備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の封入体。
【請求項7】
前記圧力低下発生手段が、少なくとも1つの側方開口部を前記排出パイプ上に備えることを特徴とする、請求項6に記載の封入体。
【請求項8】
前記排出パイプの一端が、前記ハウジング内部に配置され、前記少なくとも1つの側方開口部が、前記端部上に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の封入体。
【請求項9】
前記圧力低下発生手段が、前記排出パイプの断面の縮小部を含むことを特徴とする、請求項6に記載の封入体。
【請求項10】
前記ハウジングが、この気体を封入体の区間全体に沿って分配させる解放済み気体ディスパッチャーを備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の封入体。
【請求項11】
前記ディスパッチャーが、気体拡散ノズルを備えた少なくとも1つの放射状アームを備えることを特徴とする、請求項10に記載の封入体。
【請求項12】
前記ハウジングが、封入体の断面を占める実質的に水平なプレートと、前記プレートを通る中空チューブと、前記プレートの2側面を連通させるようにこのプレート上に設けた孔とを備え得ることを特徴とする、請求項1に記載の封入体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の封入体を用いる、流体供給原料処理方法、又は蒸留物接触処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−530296(P2010−530296A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511677(P2010−511677)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000763
【国際公開番号】WO2009/004186
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】