説明

粒状洗剤組成物

【課題】流動性が向上し、かつ貯蔵中の臭気劣化が改善された粒状洗剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)平均粒子径が100nm以上、10μm未満である酸化亜鉛粒子、および(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子を含有してなることを特徴とする粒状洗剤組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状洗剤組成物における酸化亜鉛の使用に関しては、例えば下記特許文献1に、ノニオン界面活性剤と、粘土鉱物と、酸化亜鉛等の白色化剤とを捏和・混合し、固形洗剤を形成した後、該固形洗剤を破砕して粒状ノニオン洗剤組成物を製造する方法が記載されている。
【0003】
粒状洗剤以外の分野では、例えば下記特許文献2に、シャンプー、洗顔フォームなど脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含有する組成物に、ビタミンE及び/又はその誘導体ととも酸化亜鉛を添加することによって、脂肪酸、脂肪酸塩の腐敗臭を抑制する技術が記載されている。
また、下記特許文献3,4には、酵素の貯蔵安定性、臭気、溶解性の改善を目的として、酸化亜鉛等の無機顔料を含むコーティングを施した酵素顆粒が記載されている。
【特許文献1】特開平10−168497号公報
【特許文献2】特表2001−505946号公報
【特許文献3】特表平8−512340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粒状洗剤組成物において、流動性が良好であること、および貯蔵中に洗剤組成物の臭気が劣化して好ましくない臭いが発生するのを防止することは、より高い品質を達成するうえで重要な課題である。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、流動性が向上し、かつ貯蔵中の臭気劣化が改善された粒状洗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明の粒状洗剤組成物は、(A)平均粒子径が100nm以上、10μm未満である酸化亜鉛粒子、および(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子を含有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流動性が向上し、かつ貯蔵中の臭気劣化が改善された粒状洗剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<(A)酸化亜鉛粒子>
本発明における酸化亜鉛粒子(以下、(A)粒子または(A)成分ということがある。)
は、平均粒子径が100nm(0.1μm)以上、10μm未満のものが用いられる。酸化亜鉛粒子のより好ましい平均粒子径は0.3μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは0.4μm以上1.0μm以下である。
酸化亜鉛粒子の平均粒子径を上記の範囲内とすることにより、流動性向上効果および臭気改善効果を良好に得ることができる。また該平均粒子径を前記範囲の下限値以上とすることにより粉塵の発生を抑えることができ、前記範囲の上限値未満とすることにより粒状洗剤組成物の良好な溶解性が得られる。
かかる酸化亜鉛粒子は市販品から入手可能であり、例えば本荘ケミカル(株)製のZinc oxide(製品名)等を使用できる。
酸化亜鉛粒子の配合量は、臭気劣化の抑制と流動性向上の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.3〜5質量%である。
【0009】
<(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子>
本発明の特許請求の範囲および明細書において、「アニオン界面活性剤を主成分とする粒子」とは、界面活性剤を10質量%以上含有し、該界面活性剤の中で、質量基準でアニオン界面活性剤の含有量が最も多い粒子であることを意味する。なお本発明では、アニオン界面活性剤と他の界面活性剤とが同量で、かつ該含有量が最も多い場合は「(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子」の範疇に含まれるものとする。
以下、(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子を(B)粒子または(B)成分ということがある。
【0010】
[(B1)アニオン界面活性剤]
アニオン界面活性剤としては、従来より洗剤において使用されるものであれば、特に限定されるものではなく、各種のアニオン界面活性剤を使用することができる。例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LASまたはABS)
(2)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩(AS)又はアルケニル硫酸塩
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)
(4)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩
(5)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテル硫酸塩(AES)又はアルケニルエーテル硫酸塩
(6)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩
(7)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩
(8)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石けん)
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸(α−SF)又はそのアルキルエステル(メチル、エチルもしくはプロピルエステル)塩等
【0011】
アニオン界面活性剤としては、α−SF、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)が好ましい。
アニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0012】
(B)粒子には、上記(B1)アニオン界面活性剤以外の他の成分が含まれていてもよい。以下は他の成分の説明である。
[(B2)ノニオン界面活性剤]
(B)粒子にはノニオン界面活性剤が含まれていてもよい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート
CO(OA)OR ・・・(I)
(式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。)
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
【0013】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0014】
なお、本明細書におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。また、本明細書における融点とは、JIS K0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
【0015】
[(B3)カチオン界面活性剤]
(B)粒子にはカチオン界面活性剤が含まれていてもよい。
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(上記長鎖アルキルは炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基、短鎖アルキルは炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。)
これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
[(B4)両性界面活性剤]
(B)粒子には両性界面活性剤が含まれていてもよい。
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系や、アミドベタイン系等の両性界面活性剤を挙げることができる。
両性界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】
(B)粒子中における界面活性剤の配合量(B1〜B4の合計)は、溶解性や流動性の観点から、(B)粒子中に占める割合が10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。50質量%を超えて配合すると流動性が劣化する場合があり、10質量%未満であると溶解性が劣化する場合がある。
【0018】
前記B1〜B4の中でも、(B1)アニオン界面活性剤と(B2)ノニオン界面活性剤の両方が同じ粒子中に含まれていることが洗浄性能の点からより好ましい。この場合、(B1)アニオン界面活性剤と(B2)ノニオン界面活性剤の配合量の質量比((B1)アニオン界面活性剤/(B2)ノニオン界面活性剤)が、0.1〜10が好ましく、0.2〜8がより好ましく、0.3〜7がさらに好ましい。
なお、前記質量比(B1/B2)が1未満の範囲である粒子は、本明細書では後述する「(C5)ノニオン界面活性剤を主成分とする粒子」の範疇に含まれる。したがって、「(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子」が(B2)ノニオン界面活性剤を含有する場合には、前記質量比(B1/B2)が、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜7がさらに好ましい。
【0019】
[(B5)無機化合物(無機ビルダー含む)]
[(B6)水溶性高分子化合物]
(B)粒子は、水溶性高分子化合物を含むことが好ましい。これにより、経時保存後の流動性や固化性を改善することができる。
該水溶性高分子化合物としては、アクリル酸系高分子化合物、ポリアセタールカルボン酸塩、セルロース系高分子化合物が好ましい。
アクリル酸系高分子化合物としては、アクリル酸重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体が好ましく、特に、質量平均分子量が1,000〜80,000のアクリル酸/マレイン酸共重合体の塩、アクリル酸重合体の塩が好適である。
ポリアセタールカルボン酸塩としては、特開昭54−52196号公報に記載の質量平均分子量が800〜1,000,000、好ましくは5,000〜200,000のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩が好適である。
セルロース系高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。水溶性高分子化合物の質量平均分子量は1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜100,000がより好ましい。
水溶性高分子化合物は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0020】
(B)粒子中の水溶性高分子化合物の配合量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.5%〜9質量%、より好ましくは1〜8質量%である。水溶性高分子化合物の配合量が少なすぎると、目的とする効果が得られない場合があり、多すぎると(B)粒子そのものの溶解性が劣化してしまう場合がある。
【0021】
[(B7)洗浄ビルダー]
(B)粒子中に洗浄ビルダーを配合してもよい。該洗浄ビルダーとしては、無機及び有機ビルダーが挙げられる。
(B7−1)無機ビルダー
無機ビルダーとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウム等のアルカリ性塩、硫酸ナトリウム等の中性塩、オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩、下記一般式(II)
(MO)・Al・y(SiO)・w(HO)・・・(II)
(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x、y及びwは各成分のモル数を示し、一般的には、xは0.7〜1.5、yは0.8〜6の数、wは任意の正数を示す。)
で表される結晶性アルミノ珪酸塩、下記一般式(III)、(IV)
(MO)・Al・y(SiO)・w(HO)・・・(III)
(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x、y及びwは各成分のモル数を示し、一般的には、xは0.7〜1.2、yは1.6〜2.8、wは0又は任意の正数を示す。)
(MO)・Al・y(SiO)・z(P)・w(HO)
・・・(IV)
(式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、x、y、z及びwは各成分のモル数を示し、一般的には、xは0.2〜1.1、yは0.2〜4.0、zは0.001〜0.8、wは0又は任意の正数を示す。)
で表される無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。無機ビルダーの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウムが好ましい。
無機ビルダーは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0022】
(B)粒子中の無機ビルダーの含有量は、10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。無機ビルダーの配合量が少なすぎると流動性の向上効果が充分に得られない場合があり、多すぎると粉の発塵が起こる場合がある。
【0023】
(B7−2)有機ビルダー
有機ビルダーとしては、例えばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン−1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物やカルボキシメチルセルロース等の多糖類が挙げられる。
【0024】
これらの有機ビルダーの中では、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩が好ましい。
【0025】
有機ビルダーは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
有機ビルダーの配合量は、(B)アニオン界面活性剤含有粒子中に好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
【0026】
また、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性を改善する目的から、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリアセタールカルボン酸塩等の有機ビルダーとゼオライト等の無機ビルダーとを併用するのが好ましい。
【0027】
[(B8)溶解促進剤]
(B)粒子中に溶解促進剤を含有させてもよい。
溶解促進剤としては、例えば、炭酸カリウムや、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、キュメンスルホン酸ナトリウム等の炭素数1〜5の短鎖アルキルを有するベンゼンスルホン酸塩、安息香酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、D−グルコース、尿素、蔗糖等の水溶性物質が挙げられる。このうち、炭酸カリウム、塩化ナトリウムが好ましく、溶解性向上効果とコストのバランスから、特に炭酸カリウムが好ましい。
溶解促進剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0028】
炭酸カリウムを配合する場合、その配合量は溶解性向上効果の点から、(B)粒子中に好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。
塩化ナトリウムを配合する場合、その配合量は溶解性向上効果の点から、(B)粒子中に好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
【0029】
[(B9)膨潤性水不溶性物質]
(B)粒子中に膨潤性水不溶性物質を含有させてもよい。
膨潤性水不溶性物質としては、粉末セルロース、結晶性セルロース、ベントナイト等が挙げられる。
【0030】
[その他]
その他(B)粒子中に含有させる成分の例として以下のものが挙げられる。これらは各々1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B10)蛍光剤:ビス(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体(チノパールAMS−GX)、ビス(スルホスチリル)ビフェニル塩[チノパールCBS−X]等
(B11)帯電防止剤:ジアルキル型4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等
(B12)再汚染防止剤:カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等
(B13)増量剤:硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等
(B14)還元剤:亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等
(B15)香料:例えば特開2002−146399号公報や特開2003−89800号公報記載の成分を用いることができる。なお、香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。
(B16)色素
【0031】
(B)粒子の平均粒子径は好ましくは200〜1,500μm、より好ましくは250〜1,000μm、さらに好ましくは300〜700μmである。また、嵩密度は好ましくは0.4〜1.2g/mL、より好ましくは0.5〜1.0g/mLである。
【0032】
(B)粒子の水分含有量は溶解性と保存安定性の点から好ましくは4〜10質量%、より好ましくは5〜9質量%、さらに好ましくは5〜8質量%である。
【0033】
(B)粒子は、以下の造粒方法によって得ることができる。すなわち、原料粉末及びバインダー成分(界面活性剤、水、液体高分子成分等)を捏和・混練した後、押し出して造粒する押し出し造粒法、捏和・混練した後、得られた固形洗剤を破砕して造粒する捏和・破砕造粒法、原料粉末にバインダー成分を添加し撹拌羽根で撹拌して造粒する撹拌造粒法、原料粉末を転動させつつバインダー成分を噴霧して造粒する転動造粒法、原料粉末を流動化させつつ、液体バインダーを噴霧し造粒する流動層造粒法等を用いることができる。これら造粒方法で使用可能な具体的装置や条件等は特開2003−105400号公報、特開2003−238998号公報、日本粉体技術協会編及び造粒ハンドブック第一版等に記載の通りである。
【0034】
また、貯蔵時の固化(ケーキング)を防止する観点から、(B)粒子を、有機又は無機の微粉体で表面処理することが好ましい。これら微粉体としては1次粒子径30μm以下、好ましくは0.1〜10μmの微粉体であれば特に限定されないが、例としては常温固体の界面活性剤、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、アルミノ珪酸塩、シリカ、粘土鉱物等が挙げられる。このうちアルミノ珪酸塩が好ましい。
(B)粒子を微粉体で表面処理する場合、使用する微粉体の量は、粒状洗剤組成物中好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
【0035】
<(X)(A)粒子および(B)粒子以外の粒子>
本発明の粒状洗剤組成物には、前記(A)酸化亜鉛および前記(B)粒子の他に、これら以外の粒子(以下、(X)粒子ということがある)を含有させることができる。
【0036】
<(C)無機過酸化物を主成分とする粒子>
本発明の粒状洗剤組成物は、(X)粒子として(C)無機過酸化物を主成分とする粒子(以下、(C)粒子または(C)成分ということがある)を含有してもよい。
本発明の特許請求の範囲および明細書において、「無機過酸化物を主成分とする粒子」とは、該粒子に含まれている成分のうち、質量基準で無機過酸化物の含有量が最も多い粒子であることを意味する。(C)粒子に含まれる無機過酸化物以外の成分は特に限定されない。
【0037】
無機過酸化物は、過酸化水素又は水に溶解したときに過酸化水素を発生する過酸化物であり、これによって漂白効果が得られる。通常、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムの一方あるいは両方が用いられる。特に、経時安定性の点から過炭酸ナトリウムが好ましい。
(C)粒子の表面に水分や他の洗剤成分等が接触すると、無機過酸化物の分解が生じる場合があるため、これを防止するために被覆等の処理を施すことが好ましい。被覆が施された形態の(C)粒子としては、既に提案されている酸素系漂白剤粒子を用いることができる。例えば特許第2918991号公報に記載の漂白剤粒子を挙げることができる。該漂白剤粒子は、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧して乾燥してなる造粒物である。上記の他に、従来知られているキレート剤等の安定化剤を被覆剤と併用してもよい。
【0038】
被覆された(C)粒子(好ましくは過炭酸ナトリウム粒子)の平均粒子径は、(C)粒子の安定性及び溶解性の点から、100〜2,000μmが好ましく、より好ましくは200〜1,000μm、さらに好ましくは300〜800μmである。例えばこのような過炭酸ナトリウム粒子として三菱瓦斯化学(株)製のSPC−Dが挙げられる。(C)粒子の嵩密度は0.5〜1.0g/mLが好ましく、0.7〜0.9g/mLがより好ましい。
(C)粒子における無機過酸化物の含有量は、有効酸素量として8〜15質量%程度が好ましく、10〜13%程度がより好ましい。
粒状洗剤組成物に(C)粒子が含まれる場合、その含有量は、漂白性能と効率の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
【0039】
<(D)漂白活性化剤及び/または漂白活性化触媒を含有する粒子>
本発明の粒状洗剤組成物は、(X)粒子として(D)漂白活性化剤及び/または漂白活性化触媒を含有する粒子(以下、(D)粒子または(D)成分ということがある)を含有してもよい。
粒状洗剤組成物に(D)粒子が含まれる場合、その含有量は、粒状洗剤組成物全量に対し0.1〜15質量%が好ましく、0.3〜10質量%が特に好ましい。
【0040】
漂白活性化剤としては、公知の化合物を用いることができるが、好ましくは有機過酸前駆体である。
有機過酸前駆体としては、テトラアセチルエチレンジアミン、炭素数8〜12のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数8〜12のアルカノイルオキシ安息香酸又はそれらの塩が挙げられ、このうち、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく、特に漂白効果の点から、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
漂白活性化剤を含有する粒子は、公知の製造方法で製造できる。例えば押出造粒法や、ブリケット機を用いた錠剤形状による造粒法により製造することができる。
具体的には、(D)粒子としての有機過酸前駆体粒子は、PEG#3000〜#20000、好ましくはPEG#4000〜#6000のポリエチレングリコール等の常温で固体のバインダー物質を加熱溶融した中に有機過酸前駆体とオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩等の界面活性剤の粉末を分鎖後、押し出して直径1mm程度のヌードル状の有機過酸前駆体造粒物を製造し、その後長さ0.5〜3mm程度に軽く粉砕して配合されることが好ましい。界面活性剤の粉末としては、アルキル鎖長14のα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
【0041】
(D)粒子中の漂白活性化剤の含有量は、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%である。配合量がこの範囲外では造粒した効果が充分に得られ難くなる場合がある。上記バインダー物質の配合量は、造粒物中に0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%であり、上記界面活性剤粉末の配合量は、造粒物中に好ましくは10質量%未満である。
有機過酸前駆体粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,500μmが好ましく、より好ましくは300〜1,000μmである。嵩密度は0.4〜1.0g/mLが好ましく、0.5〜0.8g/mLがより好ましい。
【0042】
(D)粒子における漂白活性化触媒としては、公知の化合物を用いることができる。具体例としては、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデン等の遷移金属原子と配位子とが、窒素原子や酸素原子等を介して錯体を形成したものであって、含まれる遷移金属としては、コバルト、マンガン等が好ましく、特にマンガンが好ましい。特に、特開2004−189893号公報記載の漂白活性化触媒が好ましい。
漂白活性化触媒を含有する粒子は、公知の造粒法で製造できる。例えば押出造粒法、ブリケット機を用いた錠剤形状による造粒法により製造することができる。
(D)粒子中の漂白活性化触媒の含有量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
漂白活性化触媒を主成分とする粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1000μmが好ましく、より好ましくは300〜700μmである。
【0043】
なお(D)粒子中に前記漂白活性化剤と前記漂白活性化触媒の両方を含有させてもよい。
【0044】
<(E)酵素を含有する粒子>
本発明の粒状洗剤組成物は、(X)粒子として(E)酵素を含有する粒子(以下、(E)粒子または(E)成分ということがある)を含有してもよい。
(E)粒子としては、現在、粒状の衣料用洗剤に用いられている市販の酵素粒子をそのまま使用することができる。酵素(本来的に酵素作用を洗浄工程中になす酵素である)としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類等を挙げることができるが、本発明にはいずれも適用できる。特に好ましいのは、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼ等である。
プロテアーゼの具体例としては、サビナーゼ(Savinase)、アルカラーゼ(Alcalase)、エバラーゼ(Everlase)、カンナーゼ(Kannase)、エスペラーゼ(Esperaze)(以上、ノボザイムズ社製)、API21(昭和電工(株)製)、マクサターゼ(Maxtaze)、マクサカル(Maxacal)、ピュラフェクト(Purafect)、マクサぺム(以上、ジェネンコア社製)、KAP(花王(株)製)、特開平5−25492号公報記載のプロテアーゼK−14、K−16等が挙げられる。
エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類及びホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、リポラーゼウルトラ、ライペックス(以上、ノボザイムズ社製)、リポサム(昭和電工(株)製)等が挙げられる。
セルラーゼの具体例としては、セルザイム、ケアザイム(以上、ノボザイムズ社製)、KAC500(花王(株)製)、特開昭63−264699号公報の請求項4記載のセルラーゼ等を挙げることができる。
アミラーゼの具体例としては、ターマミル(Termamyl)、デュラミル(Duramyl) 、ステインザイム(Stainzyme)、プロモザイム(Promozyme)200L(以上、ノボザイムズ社製)、マキサミル(Maxamyl)(ジェネンコア社製)、天野製薬社のプルラナーゼアマノ、DB−250、Aerobacter aerogenes ATCC9621由来のプルラナーゼ(クルードまたは結晶化品が生化学工業社より発売)等が挙げられる。
これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0045】
(E)粒子の造粒方法としては、特開昭53−6484号公報、特開昭60−262900号公報、特開昭62−257990号公報、特開平1−112983号公報、特表平3−503775号公報、特表平4−503369号公報、特開2000−178593号公報記載の方法等が挙げられる。
(E)粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,000μmが好ましく、より好ましくは300〜700μmである。
粒状洗剤組成物に(E)粒子が含まれる場合、その含有量は、粒状洗剤組成物全量に対し0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜4質量%が特に好ましい。
【0046】
<(F)アルカリビルダーを主成分とする粒子>
本発明の粒状洗剤組成物は、(X)粒子として(F)アルカリビルダーを主成分とする粒子(以下、(F)粒子または(F)成分ということがある)を含有してもよい。
本発明の特許請求の範囲および明細書において、「アルカリビルダーを主成分とする粒子」とは、界面活性剤を含有しない又は界面活性剤の含有量が10質量%未満であり、かつ該粒子に含まれている成分のうち、質量基準でアルカリビルダーの含有量が最も多い粒子であることを意味する。(F)粒子に含まれるアルカリビルダー以外の成分は特に限定されない。
【0047】
アルカリビルダーとしては、前記(B7−1)無機ビルダーのうちでアルカリ剤として作用し得るものが用いられる。
具体的には、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、非結晶性層状珪酸ナトリウム等のアルカリ性塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等がより好ましい。
(F)粒子は、低温水での溶解性のために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理剤としては、例えば水溶性ポリマー、高級脂肪酸等が用いられる。
【0048】
(F)粒子は、公知の造粒法で製造することができる。例えば、水溶性アルカリ無機塩粒子に被覆剤等を添加し撹拌羽根で撹拌して造粒・被覆(コーティング)する撹拌造粒法、水溶性アルカリ無機塩粒子を転動させつつ被覆剤等を噴霧して造粒・被覆(コーティング)する転動造粒法、水溶性アルカリ無機塩粒子を流動化させつつ、被覆剤等を噴霧し造粒・被覆(コーティング)する流動層造粒法等が挙げられる。
(F)粒子の平均粒子径は200〜700μmが好ましく、300〜500μmがより好ましい。嵩密度は0.6〜1.4g/mLが好ましく、0.7〜1.3g/mLがより好ましい。
(F)粒子におけるアルカリビルダーの含有量は50〜95質量%程度が好ましく、70〜90質量%程度がより好ましい。
粒状洗剤組成物に(F)粒子が含まれる場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
【0049】
<(G)ノニオン界面活性剤を主成分とする粒子>
本発明の粒状洗剤組成物は、(X)粒子として(G)ノニオン界面活性剤を主成分とする粒子(以下、(G)粒子または(G)成分ということがある)を含有してもよい。
本発明の特許請求の範囲および明細書において、「ノニオン界面活性剤を主成分とする粒子」とは、界面活性剤を10質量%以上含有し、該界面活性剤の中で、質量基準でノニオン界面活性剤の含有量が最も多い粒子であることを意味する。(G)粒子に含まれるノニオン界面活性剤以外の成分は特に限定されない。
【0050】
ノニオン界面活性剤は、前記(B2)としてのノニオン界面活性剤と同様のものが用いられる。1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
特に、炭素数8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等もまた好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0051】
(G)粒子は、公知の造粒法で製造することができる。例えば撹拌造粒法、押出造粒法などが挙げられる。
(G)粒子の平均粒子径は200〜1000μmが好ましく、300〜700μmがより好ましい。
粒状洗剤組成物に(G)粒子が含まれる場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。
【0052】
<(H)SR剤を主成分とする粒子>
本明細書において「ジカルボン酸とポリアルキレングリコールのポリエステル及び/またはその重合体あるいは共重合体」をSR剤と称することがある。
本発明の粒状洗剤組成物は、(X)粒子として(H)SR剤を主成分とする粒子(以下、(H)粒子または(H)成分ということがある)を含有してもよい。
本発明の特許請求の範囲および明細書において、「SR剤を主成分とする粒子」とは、該粒子に含まれている成分のうち、吸油担体およびバインダーを除いた残部において、質量基準でSR剤の含有量が最も多い粒子であることを意味する。(H)粒子に含まれるSR剤以外の成分は特に限定されない。
【0053】
SR剤のジカルボン酸成分としては、脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、ジグリコール酸等があげられる。アルキレングリコールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体等があげられる。
好ましくは、ジカルボン酸とポリアルキレングリコールのポリエステルを重合したポリマーあるいは2種類以上の該ポリエステルを共重合したポリマーが用いられる。具体的には、テレフタル酸とジエチレングリコールから重合されるポリエステルとテレフタル酸とポリエチレングリコールから重合されるポリオキシエチレンカルボキシレートが共重合したポリマー、すなわちポリエチレンテレフタレートーポリオキシエチレンテレフタレート(PET−POET)ポリマーなどが挙げられる。SR剤が重合体あるいは共重合体であるとき、その好ましい分子量は2000〜50000である。
(H)粒子において、SR剤は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
【0054】
(H)粒子は、公知の造粒法で製造することができる。例えば撹拌造粒法、押出造粒法等が挙げられる。
(H)粒子の平均粒子径は200〜1000μmが好ましく、300〜700μmがより好ましい。
(H)粒子におけるSR剤の含有量は、5〜95質量%程度が好ましく、10〜90質量%程度がより好ましい。
粒状洗剤組成物に(H)粒子が含まれる場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0055】
<着色剤>
本発明の粒状洗剤組成物は、着色剤を含むことができる。
本発明の粒状洗剤組成物に配合される(B)粒子、(C)粒子、(D)粒子等は、表面を染料や顔料で着色してから用いることができる。なお、粒子の表面の着色に用いられている着色剤は各粒子の含有成分には含まれないものとする。
この際着色に用いる染料、顔料は洗浄時に衣類への染着が起こらないものを用いる。この様な染料、顔料としては、群青、コラニルグリーンCG−130(CIナンバー:74260)、食用色素赤色102号、酸性染料アシッドイエロー141等が挙げられる。これらの染料、顔料は、水溶液や分散液とした後、(B)粒子の造粒装置と同様な撹拌造粒機や転動造粒機中で上記粒子を撹拌、転動しながら、添加することで着色することができる。また、上記粒子をベルトコンベアで移送中に上記水溶液や分散液を上記粒子に噴霧して着色することもできる。着色量としては、着色する粒子に対し0.001〜1質量%が好ましい。
【0056】
<香料>
本発明の粒状洗剤組成物は、前述の各粒子の含有成分としての香料とは別に、香料を配合することができる。該香料は、前記(B15)と同様のものを用いることができる。
本発明の粒状洗剤組成物中、香料の配合量は、前述の各粒子に含まれている香料の含有量も合わせて、合計で0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。なお、香料は実施例の香料に限定されるものではない。
本発明の粒状洗剤組成物は、上記した各成分以外にも任意の成分を含有することができる。
【0057】
<製造方法>
本発明の粒状洗剤組成物は、配合する各粒子をそれぞれ造粒しておき、これらを適宜の混合方法で混合して製造することができる。
混合方法としては、例えば乾式混合が好適に用いられる。使用する混合機は、各種粒子同士が充分に混合できる限りいかなる混合機を用いてもよい。混合機としては、水平円筒型、二重円錐型、V型、自転・公転型等の混合機が好適に利用できる。また、撹拌造粒機、転動造粒機を用いてもよい。好ましくは、水平円筒型又は二重円錐型を用い、温度0〜50℃、Fr数0.01〜0.2(算出式は下記数式の通り)で混合する。
Fr=V2/(R×g)
V:容器回転型混合機最外周の周速(m/s)
R:容器回転型混合機最外周の回転中心からの半径(m)
g:重力加速度(m/s2
【0058】
混合する際の各種粒子やそれ以外の成分の添加順序は、特に限定されないが、(A)粒子を(B)粒子の表面被覆剤の一部あるいは全部として使用すると、(A)粒子の一部または全部が(B)粒子の表面上に存在する状態となり、本発明の効果の点でより好ましい。
具体的には、(B)粒子を好ましい粒径に造粒した後、(A)粒子と混合することにより、(A)粒子の一部または全部を(B)粒子の表面上に存在させることができる。または、(B)粒子を破砕造粒する際の破砕助剤として(A)粒子を添加する方法によっても、(A)粒子の一部または全部を(B)粒子の表面上に存在させることができる。
【0059】
本発明の粒状洗剤組成物にあっては、(A)酸化亜鉛粒子と、(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子とがそれぞれ含まれている。(A)酸化亜鉛粒子は、粒子中に界面活性剤を含まず、(B)粒子は、粒子中に酸化亜鉛を含まないことが好ましい。
本発明によれば、粒状洗剤組成物中に、かかる(A)粒子と(B)粒子とを含有させることにより、流動性が向上し、貯蔵時の臭気劣化も抑えられる。特に、(A)粒子の少なくとも一部(一部または全部)が、(B)粒子の表面上に存在する形態であれば、かかる効果がより良好に発揮されるので好ましい。なお、(A)粒子が(B)粒子の表面上に存在するとは、(B)粒子の表面と(A)粒子とが、接触している状態または一体化されている状態をいう。なお、前述したように(B)粒子がアルミノ珪酸塩等の微粉体で表面処理されている場合は、(B)粒子の表面に存在する該表面処理剤としての微粉体と(A)粒子とが接触している状態も含むものとする。
【0060】
本発明の粒状洗剤組成物の物性値は、特に制限されるものではないが、水分量は、溶解性と保存安定性の点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは4〜9質量%、さらに好ましくは5〜8質量%である。嵩密度は、通常0.3g/mL以上、好ましくは0.5〜1.2g/mL、より好ましくは0.6〜1.1g/mLである。また、平均粒子径は、好ましくは200〜1,500μm、より好ましくは250〜1,000μm、さらに好ましくは280〜700μmである。平均粒子径が200μm未満になると粉塵が発生し易くなったり、ハンドリング性が悪化する場合があり、一方、1,500μmを超えると溶解性が得られ難くなる場合がある。さらに、粒状洗剤組成物の流動性は、安息角として60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、40°以下が最も好ましい。さらに貯蔵後(紙容器等の透湿性の高い容器に長期保存された場合等)の流動性についても、使用性の点から安息角として60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、40°以下が最も好ましい。
【0061】
本発明の粒状洗剤組成物は、適当な容器に充填して容器入り粒状洗剤物品とすることができる。容器の材料としては、保存安定性の点で透湿度が30g/m2・24時間(40℃、90%RH)以下が好ましく、25g/m2・24時間(40℃、90%RH)以下がより好ましい。これらは一般的な包装材料の組み合わせや厚みの変化により達成できる。なお、前記透湿度は、JIS Z0208−1976に規定された方法で測定した値とする。本発明の粒状洗剤組成物は、さらに崩壊剤等を混合した後圧縮成形して、タブレット洗剤やブリケット洗剤等の圧縮成形洗剤としても利用できる。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合の組成は、「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0063】
<(i)平均粒子径の測定>
以下の調製例、実施例および比較例等において、平均粒子径は以下の方法で測定した。
(1)(A)酸化亜鉛粒子の平均粒子径については以下の方法で測定した。
測定対象のサンプル(粒子)について、回転数10000rpm以上の回転が可能なホモジナイザーを用いて99%以上のエタノール溶液中で分散し、試料台の上で風乾した後、数十万倍の倍率で使用可能な走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡により測定する。
より詳細には、試料5gに99.5%エタノール200mLを加え、ハイドルフ社製パワフルホモジナイザーDIAX900(シャフトジェネレーター18F)を用いて、回転数10000rpmで5分間攪拌分散させた後、直ちに、試料台に数滴垂らして風乾する。風乾後の試料を白金パラジウム、好ましくは、白金で蒸着し、日立製走査透過電子顕微鏡装置H−8010を用いて、5万から10万倍の倍率で粒子を写真撮影する。5万倍の場合20個、10万倍の場合10個の粒子の粒径を測定し、その平均値を求める。
【0064】
(2)(B)〜(H)の各粒子および粒状洗剤組成物の平均粒子径については以下の方法で測定した。
粒状洗浄剤組成物について、目開き1,680μm、1,410μm、1,190μm、1,000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行った。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1,680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定した。受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、次式により平均粒子径(質量50%)を求めた。
【0065】
【数1】

【0066】
<(ii)嵩密度の測定>
以下の調製例、実施例および比較例等において、嵩密度はJIS K3362−1998に準じて測定した。
【0067】
[(A)酸化亜鉛粒子]
(A)酸化亜鉛粒子として、以下の3種(a−1)、(a−2)、(a−3)を用意した。
・a−1:酸化亜鉛(本荘ケミカル製、酸化亜鉛2種、平均粒子径0.4〜0.7μm)
・a−2:酸化亜鉛(本荘ケミカル製、微細亜鉛華、平均粒子径0.1〜0.2μm)
・a−3:酸化亜鉛(関東化学製、酸化亜鉛,3N5、平均粒子径5〜10μm)
【0068】
[(B)粒子(b−1)の調製例1]
下記製造方法により、(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子(b−1)を製造した。
下記表1に示す組成に従って、以下の手順で(B)粒子としての(b−1)粒子を調製した。なお、表1における各成分の配合量は、純分としての配合量を示している。
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにα−SF−Naとノニオン界面活性剤を除く界面活性剤、及びポリエチレングリコール(PEG#6000)を添加し、10分間撹拌した。
続いて水溶性高分子化合物としてMA1(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)、および蛍光剤を添加した。
さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部(2.0%相当量(対各粒子、以下同じ)の捏和時添加用、3.2%相当量の粉砕助剤用を除く)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び亜硫酸ナトリウムを添加した。
さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/mL、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0069】
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたα−SF−Naの水性スラリー(水分濃度25%)に、ノニオン界面活性剤の一部(α−SF−Naに対して25%)を添加し、水分を11%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、α−SF−Naとノニオン界面活性剤の混合濃縮物を得た。
【0070】
上述の噴霧乾燥粒子、この混合濃縮物、2.0%相当量のA型ゼオライト、残りのノニオン界面活性剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤含有混練物を得た。この界面活性剤含有混練物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
【0071】
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に粉砕助剤としての粒子状A型ゼオライト(平均粒子径180μm)を3.2%相当量添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕して(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4,700rpm)、アニオン界面活性剤を主成分とする粒子(b−1)を得た。
得られた粒子(b−1)について、平均粒子径および嵩密度を測定したところ、平均粒子径500μm、嵩密度0.85g/mLであった。
【0072】
[(B)粒子(b−2)の調製例2]
上記B粒子の調製例1において、各成分の配合量を下記表1に示すとおりに変更した他は同様にして、アニオン界面活性剤を主成分とする粒子(b−2)を製造した。
得られた粒子(b−2)について、平均粒子径および嵩密度を測定したところ、平均粒子径500μm、嵩密度0.85g/mLであった。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に記載されている各原料の詳細は以下のとおりである。
・α−SF−Na:炭素数14:炭素数16=18:82のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン(株)製、AI=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)
・LAS−K:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライポンLH−200(ライオン(株)製)LAS−H純分96%)を界面活性剤組成物調製時に48%水酸化カリウム水溶液で中和する)。表5中の配合量は、LAS−Kとしての質量%を示す。
・AOS−K:炭素数14〜18のアルキル基をもつα−オレフィンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)
・ノニオン界面活性剤:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90%)
・MA1:アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩、アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)
・PEG#6000:ライオン(株)製ポリエチレングリコール、商品名PEG#6000M
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学(株)製、純分80%)
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/mL)
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(チバスペシャルティケミカルズ)=8/2(質量比)の混合物
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/mL)
【0075】
[(C)無機過酸化物を主成分とする粒子]
過炭酸塩粒子として、被覆化過炭酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製、製品名;SPC−D、平均粒子径750μm、嵩密度0.85g/mL)を用意した。
【0076】
[(D)有機過酸前駆体粒子(d−1)の調製例1]
有機過酸前駆体として4−デカノイルオキシ安息香酸(三井化学(株)製)70質量部、PEG〔ポリエチレングリコール#6000M(ライオン(株)製)〕20質量部、炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPJ−400(ライオン(株)製))5質量部の割合で合計5000gになるようにホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に投入し、混練押し出しすることにより、径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型に導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量部を同様に供給し、粉砕して平均粒径約900μm、嵩密度0.5g/mLの有機過酸前駆体粒子(造粒物)d−1を得た。
【0077】
[(D)有機過酸前駆体粒子(d−2)の調製例2]
前記(d−1)の調製例1において、有機過酸前駆体を4−ドデカイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムに変更した他は同様にして、有機過酸前駆体粒子(造粒物)d−2(平均粒径約900μm、嵩密度0.5g/mL)を得た。
【0078】
[(D)有機過酸前駆体粒子(d−3)の調製例3]
有機過酸前駆体粒子として(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体10質量部、PEG〔ポリエチレングリコール#6000M(ライオン(株)製)〕70質量部、粉末セルロース(アーボセルFD600/30(レッテンマイヤー社製))10質量部、炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPJ−400(ライオン(株)製))8質量部の割合で合計5000gになるようにホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に投入し、混練押し出しすることにより径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型に導入し、粉砕して平均粒径約500μmの有機過酸前駆体粒子(造粒物)d−3を得た。
【0079】
[(E)酵素粒子]
酵素粒子として、サビナーゼ12T/ライペックス50T/セルザイム0.7T/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=5/2/1/2(質量比)の混合物(平均粒子径700μm、嵩密度0.85g/mL)を用意した。
【0080】
[(F)表面処理炭酸塩粒子の調製例]
炭酸ナトリウム(旭硝子(株)製 粒灰)85.5質量部を鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのプローシェアーミキサー(大平洋機工(株)に投入し(充填率30容積%)、主軸150rpmで撹拌を開始した(チョッパー回転数:1015rpm、ブレード先端速度(周速):6.9m/s)。撹拌開始後10秒後にアクリル酸/マレイン酸共重合体のナトリウム塩(日本触媒製 アクアリックTL−400、固形分40%水溶液)7.5質量部を噴霧角115度の加圧ノズル(フラットノズル)で180秒噴霧添加し、造粒・被覆操作を行った。
引き続きプローシェアーミキサーの撹拌を継続しつつ、ラウリン酸7質量部を噴霧角60度の加圧ノズル(フルコーンノズル)で180秒噴霧添加し、被覆操作を行った。30秒間撹拌を続け粒子を得た。
次いで、得られた粒子を、流動層(Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20、(株)パウレックス製)に充填し、充填後15℃の風(空気)を流動層内に送り、粒子の冷却操作を行い、20℃まで冷却された粒子を得た。流動層内風速は流動化状態を確認しながら0.2〜10.0m/sの範囲で調整した。得られた粒子を目開き2,000μmの篩を用いて分級し、目開き2,000μmの篩を通過する平均粒子径350μm、嵩密度1.14g/mLの表面処理炭酸ナトリウム粒子を得た。
【0081】
[(G)ノニオン界面活性剤を主成分とする粒子の調製例]
下記表2に示す組成に従って、以下の手順でノニオン界面活性剤を主成分とする粒子を調製した。なお、表2における各成分の配合量は、純分としての配合量を示している。
下記表2に示す組成成分のうち、界面活性剤を除くすべての成分(温度25℃)を鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、主軸200rpm、チョッパー200rpmの撹拌を開始した。撹拌開始後30秒後に界面活性剤(ノニオン界面活性剤を予め60℃に加熱して均一混合したもの)及び水(温度60℃)を2分で添加して、ジャケット温度30℃の条件で撹拌造粒を平均粒子径550μmになるまで継続して粒子を得た。嵩密度は0.9g/mLであった。
【0082】
【表2】

【0083】
[(H)SR剤を主成分とする粒子]
下記表3の配合でSR剤を主成分とする粒子を製造した。なお、表3における各成分の配合量は、純分としての配合量を示している。
SR剤(SRN−300、クラリアント社製)及びPEG(PEG#200、ライオン社製)を60℃に加温融解し均一に混合し、該混合物と、最終工程で助剤として用いる1質量部を除いたホワイトカーボンをホソカワミクロン(株)製エクストルード・オーミックスEM−6型に供給し、混練押し出し(混練温度60℃)し、径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(冷風により20℃に冷却)を、ホソカワミクロン(株)製フィッツミルDKA−3型に導入し、また助剤としてホワイトカーボン1質量部を同様に供給し、粉砕して平均粒子径約500μmのSR剤造粒物を得た。
【0084】
【表3】

【0085】
[実施例1〜10、比較例11、12]
下記表4に示す配合で粒状洗剤組成物を製造した。
(A)成分としての前記酸化亜鉛(a−1)、(a−2)、(a−3)、(B)成分として前記で製造したアニオン界面活性剤粒子(b−1)、(b−2)、(C)成分として前記被覆化過炭酸ナトリウム、(D)成分として前記で調製した有機過酸前駆体粒子(d−1)、(d−2)、(E)成分と前記酵素粒子、(F)成分として前記で製造した表面処理炭酸塩粒子、(G)成分として前記で製造したノニオン界面活性剤を主成分とする粒子、(H)成分として前記で製造したSR剤を主成分とする粒子を用いた。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、表4に示す配合の(A)〜(F)成分、粒状洗剤組成物全量に対して1.5%相当量の表面被覆用の微粉A型ゼオライトを混合すると同時に、0.5%相当量のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質して混合粒子群を得た。
得られた混合粒子群の一部を着色するために、該粒子群をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の界面活性剤含有粒子層の高30mm、層幅300mm)その表面に色素の20%水分散液を噴霧することによって、粒状洗剤組成物を製造した。
得られた粒状洗剤組成物について、平均粒子径および嵩密度を測定した。結果を表4に併記する。
【0086】
得られた粒状洗剤組成物について、下記の方法で流動性及び臭気安定性を評価した。流動性及び臭気安定性は、それぞれ製造直後(貯蔵前)と貯蔵後に同じ評価方法で評価した。
貯蔵は以下の条件で行った。すなわち、外側からコートボール紙(坪量:350g/m)、ワックスサンド紙(坪量:30g/m)、クラフトパルプ紙(坪量:70g/m)の3層からなる紙容器(透湿度25g/m・24時間(40℃、90%RH))を用いて、長さ15cm×巾9.3cm×高さ18.5cmの箱を作製した。この箱に粒状洗剤組成物1.2kgを入れ、25℃(65%RH、8時間)、45℃(85%RH、16時間)のリサイクル恒温恒湿室中に30日間保存した。
評価の結果を表4に併記する。
【0087】
<流動性の評価方法その1(流動性1:安息角)>
筒井理化学器械(株)製、ターンテーブル形安息角測定器を用いて安息角を測定した。
<流動性の評価方法その2(流動性2:ロート流動性)>
ロート流動性はJIS K3362−1998に記載の見掛け密度測定器の円錐型ロート(出口の直径が9mm、入り口の直径が85mm、高さが140mm)に測定試料100mLを一気に添加して自然落下させたとき、全ての粒子がロートから排出し終わるまでの時間を測定してロート流動性とした。
【0088】
<臭気評価方法>
香気の嗜好性を、香気評価パネラー10名により評価した。各パネラーの評点は、下記評価基準により5段階評価として評点をつけ、パネラー10名の評点を平均した。
5: 非常に好ましい香気
4: かなり好ましい香気
3: 好ましい香気
2: 余り好ましくない香気
1: 非常に好ましくない香気
【0089】
【表4】

【0090】
表4の結果に示されるように、(A)粒子を配合しない比較例12,13に比べて、実施例1〜11は、流動性および臭気安定性が優れていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒子径が100nm以上、10μm未満である酸化亜鉛粒子、および
(B)アニオン界面活性剤を主成分とする粒子を含有してなることを特徴とする粒状洗剤組成物。
【請求項2】
前記(A)の少なくとも一部が、前記(B)の表面上に存在する請求項1記載の粒状洗剤組成物。
【請求項3】
さらに、(X)前記(A)粒子および(B)粒子以外の粒子を含有する請求項1または2に記載の粒状洗剤組成物。
【請求項4】
前記(X)が(C)無機過酸化物を主成分とする粒子、(D)漂白活性化剤及び/または漂白活性化触媒を含有する粒子、(E)酵素を含有する粒子、(F)アルカリビルダーを主成分とする粒子、(G)ノニオン界面活性剤を主成分とする粒子、および(H)ジカルボン酸とポリアルキレングリコールのポリエステル及び/またはその重合体あるいは共重合体を主成分とする粒子からなる群から選ばれる1種以上である請求項3記載の粒状洗剤組成物。


【公開番号】特開2006−182862(P2006−182862A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376284(P2004−376284)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】