説明

粒状洗剤組成物

【課題】高い再汚染防止能及び抑泡性能を有する粒状洗剤組成物の提供。
【解決手段】(A)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、
(B)石鹸、
(C)エーテル化度0.2〜1.3、かつ、重量平均分子量10万以上のカルボキシメチルセルロースまたはその塩、
(D)過炭酸ナトリウム
を含む粒状洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再汚染防止性能及び抑泡性能に優れた粒状洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境配慮及び金銭的な節約の観点から少ない水で洗濯する節水洗濯が主流になってきており、浴比(洗濯水と衣類の質量比)は低下傾向にある。しかしながら、一般に低浴比のもと洗濯を行うと、洗浄中に落ちた汚れが再度洗濯物に汚染しやすくなる。
さらに、近年普及してきているドラム式洗濯機では泡が多く発生すると溢れてしまう問題があり、抑泡剤として石鹸を配合する方法があるが、石鹸は水道水中の金属イオンと結合することにより石鹸カスが生じて衣類に吸着し、さらにすす由来のカーボンが付着することにより、再汚染防止性能はさらに悪化する傾向にある。
洗濯時における衣類の再汚染を防止するための検討が様々なされてきた。例えば、特開2007−246621号公報には、再汚染防止剤として特定量の界面活性剤、中性無機塩、アルカリ性塩と活性の高い特定のアミラーゼを含む洗剤組成物が開示されている。しかしながら、節水洗濯の傾向は今後さらに進むと考えられるため、さらなる再汚染の防止技術が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−246621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い再汚染防止能及び抑泡性能を有する粒状洗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩及び石鹸の存在下で、高分子量カルボキシメチルセルロース及び過炭酸ナトリウムを組み合わせることにより、再汚染防止能および抑泡性能の向上した粒状洗剤組成物を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(A)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、
(B)石鹸、
(C)エーテル化度0.2〜1.3、かつ、重量平均分子量10万以上のカルボキシメチルセルロースまたはその塩、
(D)過炭酸ナトリウム
を含む粒状洗剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、抑泡剤として石鹸が配合された条件下でも再汚染防止能を向上させる粒状洗剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(A)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩
本発明の粒状洗剤組成物は、再汚染防止効果および洗浄力向上効果を得ることを目的としてα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含む。
本発明におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、その種類は特に制限されず、一般の粒状洗剤組成物に使用されるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩のいずれも好適に使用することができる。α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩として好適なものを以下に例示する。
【化1】

【0008】
前記式(A−1)中、R11は、炭素数8〜20、好ましくは炭素数14〜16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R12において、炭素数は1〜6であり、1〜3であることが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することからメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Mは、対イオンを表し、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられ、なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
本発明の粒状洗剤組成物におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の量は、全組成物を基準として好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは4〜12質量%である。上記の量とすることにより十分な再汚染防止効果及び洗浄力を得ることができる。
【0009】
(B)石鹸
本発明の粒状洗剤組成物は、抑泡効果及び洗浄力を得ることを目的として石鹸を含む。
本発明における石鹸としては、その種類は特に制限されず、一般の粒状洗剤組成物に使用される石鹸のいずれも好適に使用することができるが、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩が好ましく、より好ましくは炭素数11〜17の高級脂肪酸塩である。
本発明の粒状洗剤組成物における石鹸の量は、全組成物を基準として好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。上記の量とすることにより十分な抑泡効果及び洗浄力を得ることができる。
【0010】
(C)カルボキシメチルセルロースまたはその塩
本発明の粒状洗剤組成物は、再汚染防止効果を得ることを目的としてエーテル化度0.2〜1.3、かつ、重量平均分子量10万以上のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を含む。
本発明におけるカルボキシメチルセルロースとしては、たとえばパルプを原料として、これを苛性ソーダで処理した後、モノクロール酢酸を反応させて得られるアニオン性の水溶性・水不溶性セルロースエーテルが好適に挙げられる。
本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量は10万以上、好ましくは30万以上、より好ましくは60万以上、特に好ましくは80万以上である。上限値としては、120万以下、たとえば100万以下である事が好ましい。カルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量の範囲の範囲を上記とすることにより、再汚染防止効果を顕著に向上させることができる。一方、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量120万以下であれば、溶解性が良好となる。なお、本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)−示差屈折率検出装置(RI)システムにより測定することが可能であり、溶離液:0.1M NaNO3 、流速:1ml/min、試料:0.02〜0.3質量% 溶媒は0.1M NaNO3 、注入量:200μlの操作条件において、重量平均分子量をPEG換算の数値として算出した値を意味する。なお、上記の測定には、装置として、例えば送液ポンプ:Shodex DS−4(昭和電工製)、デガッサー:ERC3115(ERC社製)、カラム:Shodex SB−806MHQ(昭和電工製)、示差屈折率検出器:Shodex RI−71(昭和電工製)などを使用することができる。
また、本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度は、0.2〜1.3が好ましく、0.2〜0.8がさらに好ましい。なお、本発明において、エーテル化度とは、グルコース環単位当たり、カルボキシメチル基又はその塩で置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつがカルボキシメチル基又はその塩により置換されたかを示すもので、最大3となる)を意味する。
【0011】

(C-1)
[式中R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、またはカルボキシメチル基(CH2COOH)またはその塩を示す。]
【0012】
カルボキシメチルセルロースの塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらの塩の混合物であってもよい。上記のうち、カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩が好適に使用される。
本発明に使用されるカルボキシメチルセルロースまたはその塩としては、具体的には、ダイセル化学工業(株)から商品名「CMCダイセル」で販売されている、1110、1120、1130、1140、1160、1170、1180、1190、1220、1240、1260、1280、1290、1380、2200、2260、2280、2450、2340等が挙げられ、日本製紙ケミカル(株)から商品名「サンローズ」で販売されているF10LC、F600LC、F1400LC、F10MC、F150MC、F350HC、F1400MC、F1400MGなどのサンローズFシリーズ、A02SH、A20SH、A200SHなどのサンローズAシリーズ、SLD-F1(以上商品名)が挙げられ、第一工業製薬(株)から商品名「セロゲン」で販売されているF-BSH-6、F-6HS9などが挙げられる。
上記の中でも、CMCダイセル1130、1180、1190、サンローズF1400LC、F1400MC、サンローズ SLD-F1、セロゲンF-6HS9が特に好ましい。
本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩は、1種または2種以上混合して用いる事ができる。カルボキシメチルセルロースまたはその塩の含有量は、本発明の粒状洗剤組成物中、好ましくは0.6〜5質量%であり、より好ましくは1〜5質量%、さらに好ましくは3〜5質量%の量である。上記範囲とすることにより、優れた再汚染防止性を得ることができる。
【0013】
(D)過炭酸ナトリウム
本発明の粒状洗剤組成物は、再汚染防止効果および洗浄力向上効果を得ることを目的として過炭酸ナトリウムを含む。
本発明における過炭酸ナトリウムとしては、その種類は特に制限されないが、無機過酸化物粒子の表面に水分や他の洗剤成分等が接触すると、無機過酸化物の分解が生じる場合があるため、これを防止するために被覆等の処理を施すことが好ましい。被覆が施された形態の粒子としては、既に提案されているものを用いることができる。例えば特許第2918991号公報に記載のものは、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧して乾燥してなる造粒物である。上記の他に、従来知られているキレート剤等の安定化剤を被覆剤と併用してもよい。
本発明の粒状洗剤組成物における過炭酸ナトリウムの量は、全組成物を基準として好ましくは1〜20質量%、より好ましくは4〜15質量%、さらに好ましくは6〜10質量%である。上記の量とすることにより十分な再汚染防止効果および洗浄力向上効果を得ることができる。
【0014】
その他の成分
本発明の粒状洗剤組成物には、上記成分の他に、さらに、必要に応じて以下の任意成分を配合することができる。
<アニオン界面活性剤>
本発明において用いることのできる(A)成分以外のアニオン界面活性剤として、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(10)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。また、これらのアニオン界面活性剤は混合物として使用してもよい。
【0015】
<ノニオン界面活性剤>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができるノニオン界面活性剤としては、たとえば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルである。
この中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテルが好適なものとして挙げられる。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられ、第1級アルコールが好ましい。また、アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、たとえば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
1CO(OA)n’OR2 (I)。
[式中、R1COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し;OAは、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイド(たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)の付加単位(オキシアルキレン基)を示し;n’はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R2は炭素数1〜3の置換基を有していてもよい低級(炭素数1〜4の)アルキル基を示す。]
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
上記のノニオン界面活性剤のなかでも、(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、そのなかでも炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが特に好ましい。
また、融点が50℃以下で、HLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加された脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとが付加された脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。
これらのノニオン界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、上記の「HLB」とは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」,工業図書株式会社,1991年,第234頁参照)。
また、上記の「融点」とは、JIS K 0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値を意味する。
【0016】
<カチオン界面活性剤>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができるカチオン界面活性剤としては、たとえば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。なかでも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0017】
<両性界面活性剤>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができる両性界面活性剤としては、たとえばイミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0018】
<洗浄性ビルダー>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができる洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダーおよび有機ビルダーが挙げられる。
無機ビルダーとしては、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状珪酸ナトリウム[たとえば、クラリアントジャパン社製の商品名「Na−SKS−6」(δ−Na2O・2SiO2)等の結晶性アルカリ金属珪酸塩]、非晶質アルカリ金属珪酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属珪酸塩の複合体(たとえば、Rhodia社の商品名「NABION15」)等が挙げられる。
上記無機ビルダーの中でも、炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩、または溶解性向上の効果を併せ持つものとしてカリウム塩(炭酸カリウム、硫酸カリウム等)もしくはアルカリ金属塩化物(塩化カリウム、塩化ナトリウム等)が好ましい。
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適に配合でき、平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。粒状洗剤組成物中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、1〜40質量%が好ましく、洗浄性能および流動性等の粉体物性の点から2〜30質量%が特に好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
結晶性アルカリ金属珪酸塩を配合する場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0019】
有機ビルダーとしては、たとえばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノまたはジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体または共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体または共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物等の多糖類誘導体等が挙げられる。
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(たとえば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好適である。
有機ビルダーの含有量は、粒状洗剤組成物中、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
上記洗浄性ビルダーは、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記洗浄性ビルダーの中でも、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性が向上することから、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーとを併用することが好ましい。
粒状洗剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は、充分な洗浄性能を付与する点から、10〜80質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましい。
【0020】
<漂白活性化剤、漂白活性化触媒>
さらに、漂白活性化剤や漂白活性化触媒を使用することができる。
漂白活性化剤としては、公知の化合物を用いることができるが、好ましくは有機過酸前駆体が用いられる。
有機過酸前駆体としては、テトラアセチルエチレンジアミン、炭素数8〜12のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数8〜12のアルカノイルオキシ安息香酸又はそれらの塩が挙げられ、このうち、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
漂白活性化剤を含有する粒子は、公知の製造方法で製造できる。例えば押出造粒法や、ブリケット機を用いた錠剤形状による造粒法により製造することができる。
具体的には、有機過酸前駆体粒子は、PEG#3000〜#20000、好ましくはPEG#4000〜#6000のポリエチレングリコール等の常温で固体のバインダー物質を加熱溶融した中に有機過酸前駆体とオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩等の界面活性剤の粉末を分鎖後、押し出して直径1mm程度のヌードル状の有機過酸前駆体造粒物を製造し、その後長さ0.5〜3mm程度に軽く粉砕して配合されることが好ましい。界面活性剤の粉末としては、アルキル鎖長14のα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
漂白活性化触媒としては、公知の化合物を用いることができる。具体例としては、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデン等の遷移金属原子と配位子とが、窒素原子や酸素原子等を介して錯体を形成したものであって、含まれる遷移金属としては、コバルト、マンガン等が好ましく、特にマンガンが好ましい。特に、特開2004−189893号公報記載の漂白活性化触媒が好ましい。
漂白活性化触媒を含有する粒子は、公知の造粒法で製造できる。例えば押出造粒法、ブリケット機を用いた錠剤形状による造粒法により製造することができる。
【0021】
<蛍光増白剤>
蛍光増白剤としては、たとえば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
上記蛍光増白剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
市販品として具体的には、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品;住友化学(株)製);チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);LemoniteCBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals製)等が好適なものとして挙げられる。なかでも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0022】
<酵素>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができる酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、およびイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。
なかでも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼAまたはB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼAまたはB等が挙げられる。
市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名、昭和電工(株)製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK−14またはK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工(株)製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、たとえば市販品のセルザイム(商品名、ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、およびアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては市販のステインザイム、ターマミル、デュラミル(ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
上記酵素は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0023】
<酵素安定剤>
酵素安定剤としては、たとえばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。なかでも、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の酵素安定剤の含有量は、0.05〜2質量%が好ましい。
【0024】
<ポリマー類>
本発明の粒状洗剤組成物においては、粒状洗剤組成物粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、または疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸および/またはマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カチオン化セルロース等のセルロース誘導体、粉末セルロースなどのセルロース等を配合することができる。
また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰返し単位と、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールに由来する繰返し単位とのコポリマー、またはターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
かかるポリマー類は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の上記ポリマー類の含有量は、0.05〜5質量%が好ましい。
【0025】
<ケーキング防止剤>
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
<消泡剤>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができる(B)成分以外の消泡剤としては、従来公知の、たとえばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができる。また、かかる消泡剤は、下記の製造方法により得られる消泡剤造粒物として用いてもよい。
まず、マルトデキストリン(商品名、日澱化学株式会社製;酵素変性デキストリン)100gに、消泡剤成分としてシリコーン(コンパウンド型、商品名:PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)20gを添加し混合して均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%、および中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合した後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、消泡剤造粒物を得る(特開平3−186307号公報参照)。
<還元剤>
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができる還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0026】
<金属イオン捕捉剤>
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗物)への吸着を抑制する効果を有する。
本発明の粒状洗剤組成物に配合することができる金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体またはその塩;ジグリコール酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類またはその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%以上であれば、水道水中の金属イオンを捕捉する効果が向上する。一方、5質量%以下であれば、金属イオンを捕捉する効果が充分に得られる。
【0027】
<pH調整剤>
本発明の粒状洗剤組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物の1質量%水溶液におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
粒状洗剤組成物のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤のほか、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
具体的には、たとえば、水への溶解性およびアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、粒状洗剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、またはそれらのポリカルボン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0028】
<香料>
本発明における香料とは、特に制限はされず、一般に洗剤に使用されるいずれのものでもよく、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる。
かかる香料としては、たとえば特開2002−146399号公報、特開2003−89800号公報に記載のもの等を用いることができる。
粒状洗剤組成物中の香料の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
<色素>
本発明においては、粒状洗剤組成物の外観を良好にするために、染料、顔料等の各種色素を用いることができる。なかでも、保存安定性の点から顔料が好ましく、耐酸化性を有するものが特に好ましい。
かかる色素としては、たとえば酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
【0029】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、一般に用いられている製造方法により製造可能である。例えば、粒状洗剤組成物が粉末形態である場合には、界面活性剤や他の原料を水に分散・溶解し噴霧乾燥する方法や、捏和・押出、撹拌造粒、転動造粒等の装置に供して、捏和や造粒、圧縮成形等を施し、さらに必要に応じて粉砕等する方法により製造することができる。
【実施例】
【0030】
表1に示す組成にしたがって、下記に示す調製方法により、粒状洗剤組成物を調製した。次いで、調製した粒状洗剤組成物を洗濯に使用し、被洗布の再汚染防止性の評価を行った。下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
実施例1〜13、比較例2〜3
(粒状洗剤組成物の調製)
工程(A)
撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにMES−Naとノニオン界面活性剤を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA剤(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)を添加した。さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部(表1に記載する添加量より1.0%の捏和時添加用、5.0%の粉砕助剤用、1.5%の表面被覆用の各A型ゼオライトを除いた量)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm3、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た。
工程(B)
工程(A)で得た噴霧乾燥粒子、MES−Na、1.0%の粉末A型ゼオライト、噴霧添加用のノニオン界面活性剤0.5%を除く残りのノニオン界面活性剤、蛍光増白剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分6%の混合物を得た。
工程(C)
工程(B)で得た混合物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレットを得た。
次いで、得られたペレットに粉砕助剤としての粉末A型ゼオライト(平均粒子径180μm)を5.0%添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。
後処理
上記得られた粉末とカルボキシメチルセルロース、被覆炭酸ナトリウム粒子、亜硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、漂白活性化剤を、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、1.5%の粉末A型ゼオライト、を加え、0.5%のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質して粒子を得た。
得られた粒子の一部を着色するために、当該粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の界面活性剤含有粒子層の高30mm、層幅300mm)その表面に色素の20%水分散液を噴霧した(平均粒子径500μm、嵩密度0.84g/cm3)。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、上記で得られた粒子と酵素を添加し、5分間混合し粒状洗剤組成物を得た。
【0031】
比較例1
実施例1の製造方法において、工程(C)のカルボキシメチルセルロースを加えない以外は同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0032】
比較例4
実施例1の製造方法において、工程(B)のMES−Na混合濃縮物を加えない以外は同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0033】
比較例5
実施例1の製造方法において、工程(C)の過炭酸ナトリウムを加えない以外は同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0034】
比較例6
実施例1の製造方法において、工程(A)の石鹸を加えない以外は同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0035】
【表1】

【0036】
表1における各成分の詳細は以下の通りである。
<A成分>
・α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩(MES-Na)
パルミチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−16)と、ステアリン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−180)を80:20(質量比)になるように混合し、さらに常法により水添処理することにより、ヨウ素価を0.2に低減して精製したものを用いて脂肪酸メチルエステル混合物を、流下型薄膜反応器を用いて、脱湿した空気で7%に希釈したSO3ガスで反応モル比(SO3/飽和脂肪酸エステル)=1.18、反応温度80℃の条件にてスルホン化し、スルホン化生成物を得た。
得られたスルホン化生成物を、平均滞留時間20分の二重管ジャケット付きのループ式熟成管に導入した。このループ式熟成管を3 基連続して繋げ、平均滞留時間を60分とし、また十分な攪拌と一定温度を保持するために、線速0.16m/sでループ熟成管を流し、設定温度80℃に対して実際の温度は78〜82℃で制御して熟成反応を行いスルホン化を完結し、α−スルホ脂肪酸メチルエステルを得た。
<B成分>
・石鹸
炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67質量%、タイター:40〜45℃;脂肪酸組成:C12 1質量%、C14 10質量%、C16 24質量%、C18F0(ステアリン酸)10質量%、C18F1(オレイン酸)54質量%、C18F2(リノール酸)1質量%)。
<C成分>
・カルボキシメチルセルロースまたはその塩
A:ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1190、分子量82万、エーテル化度0.70
B:ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1140、分子量62万、エーテル化度0.70
C:日本製紙ケミカル(株)製、サンローズF350HC、分子量30万、エーテル化度0.90
D:日本製紙ケミカル(株)製、サンローズF10LC、分子量13万、エーテル化度0.60
<C’成分>
・カルボキシメチルセルロースまたはその塩
以下は、本発明の「エーテル化度0.2〜1.3、かつ、重量平均分子量10万以上」の範囲外のカルボキシメチルセルロースである。
E:ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1105、分子量6万、エーテル化度0.70
F:日本製紙ケミカル(株)製、サンローズ A200SH、分子量27万、エーテル化度1.50
なお、上記の分子量は、装置として、送液ポンプ:Shodex DS−4(昭和電工製)、デガッサー:ERC3115(ERC社製)、カラム:Shodex SB−806MHQ(昭和電工製)、示差屈折率検出器:Shodex RI−71(昭和電工製)を使用し、溶離液:0.1M NaNO3 、流速:1ml/min、試料:0.02〜0.3質量% 溶媒は0.1M NaNO3 、注入量:200μlの操作条件下で、重量平均分子量をPEG換算の数値として算出した値である。
<D成分>
・過炭酸ナトリウム
被覆化過炭酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製、製品名;SPC−D、平均粒子径750μm、嵩密度0.85g/mL)
【0037】
<任意成分>
・LAS-Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]を、界面活性剤組成物の調製時に48質量%水酸化ナトリウム水溶で中和した化合物と、前記水酸化ナトリウムにて中和する代わりに、48質量%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物を質量比2:1で混合したもの。表中の配合量は、これら混合物としての値(質量%)を示す。
・ノニオン:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67質量%、タイター:40〜45℃;脂肪酸組成:C12 11.7質量%、C14 0.4質量%、C16 29.2質量%、C18F0(ステアリン酸)0.7質量%、C18F1(オレイン酸)56.8質量%、C18F2(リノール酸)1.2質量%;分子量:289)。
・酵素:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX100T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12GTS(ノボザイムズ製)=5/1/4(質量比)の混合物。
・ゼオライト:A型ゼオライト・シルトンB(商品名、水澤化学(株)製;純分80質量%)。
・MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL−400、日本触媒(株)製;純分40質量%水溶液)。
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)。
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm3)。
・炭酸K:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製;平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm3)。
【0038】
・漂白活性化剤:漂白活性剤として4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成を、原料として4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学(株)製 試薬)、N,N−ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製 試薬)、ラウリン酸クロライド(東京化成工業(株)製 試薬)、アセトン(関東化学(株)製 試薬)を用い、以下の方法で行った。
予め脱水処理した4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム3000g(15.3mol)をN,N−ジメチルホルムアミド9000g中に分散させ、スターラーで撹拌しながらラウリン酸クロライド3347g(15.3mol)を50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶を行って精製し、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの結晶を得た。収率は90%であった。上記の方法で合成した4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム70質量部、PEG(商品名:ポリエチレングリコール#6000M(ライオン(株)製))20質量部、炭素数14のa−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(商品名:リポランPJ−400(ライオン(株)製))5質量部の割合で合計5000gになるようにホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型(商品名)に投入し、混練押し出しすることにより径が0.8mmfのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型(商品名)に導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量部を同様に供給し、粉砕して平均粒子径約700μm の漂白活性化剤造粒物を得た。
・香料:特開2002−146399号公報 [表11]〜[表18]に示す香料組成物A。
・蛍光増白剤:チノパールCBS−X(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物。
・色素:群青(大日精化工業製、Ultramarine Blue)
【0039】
・被覆炭酸ナトリウム粒子:以下に示す第1〜3工程で調製される、炭酸ナトリウム85質量%、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩3質量%、ラウリン酸7質量%、水、その他残部からなる表面処理無機粒子。
(第1工程)
鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのプローシェアーミキサー(大平洋機工(株))に、炭酸ナトリウムを投入し(充填率30容積%)、主軸150rpmで撹拌を開始した(チョッパー回転数:1015rpm、ブレード先端速度(周速):6.9m/s)。撹拌開始後10秒後に、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩水溶液を噴霧角115度の加圧ノズル(フラットノズル)で180秒間噴霧添加し、造粒・被覆操作を行った。
なお、第1工程で調製された粒子において、該粒子全量に対する水分量が10質量%を超えていた場合には、上記装置に熱風を導入して乾燥し、水分量を10質量%以下に調整した。
(第2工程)
引き続き、プローシェアーミキサーの撹拌を継続しつつ、ラウリン酸を噴霧角60度の加圧ノズル(フルコーンノズル)で180秒間噴霧添加し、被覆操作を行った。そして、引き続き、30秒間撹拌を続け、粒子を得た。
(第3工程)
次いで、得られた粒子を、流動層(製品名:Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20、(株)パウレックス製)に充填し、充填後、15℃の風(空気)を流動層内に送り、粒子の冷却操作を行い、20℃まで冷却された粒子を得た。
流動層内風速は、流動化状態を確認しながら0.2〜10.0m/sの範囲で調整した。
得られた粒子を、目開き2000μmの篩を用いて分級し、目開き2000μmの篩を通過する表面処理無機粒子(被覆炭酸Na粒子)を得た。
【0040】
[再汚染性評価方法]
<再汚染評価方法>
再汚染性判定布として、肌シャツ(BVD社肌シャツ:綿100%、G0134TS)を5×5cmに裁断したものを5枚用意した。
<洗浄>
ラウンドリーテスター(FI-301,テスター産業(株)製)を使用し、ステンレス製試料瓶(500±50mL)に25℃の3°DH硬水で調整した0.15%の洗剤溶液を200mL入れ、これに再汚染判定布5枚、湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会製、オレイン酸28.3%、トリオレイン15.6%、コレステロールオレート12.2%、流動パラフィン2.5%、スクアレン2.5%、コレステロール1.6%、ゼラチン7.0%、泥29.8%、カーボンブラック0.5%)20枚、前記肌シャツを細かく(3×3cm程度)裁断したものを入れて浴比を10倍に合わせ、40rpm、25℃で25分間洗浄した。
<すすぎ>
洗浄した布を1分脱水した後、25℃の3°DH硬水200mLを入れた試料瓶に戻し、40rpm、25℃で3分間すすいだ。このすすぎ工程を2回繰り返した。
<乾燥>
すすいだ布を1分脱水した後、再汚染判定布のみ取り出し、ろ紙に挟んでアイロンで乾燥した。
この洗浄−すすぎ−乾燥の工程を5回繰り返し、再汚染判定布の反射率を反射洗浄前率計(日本電色工業,分光式色差計 SE2000)を用いて測定しZ値として算出し、洗浄前のZ値から洗浄後のZ値を引いた値、ΔZを求め、20枚の平均値から再汚染性を評価した。
【0041】
[評価基準]
◎◎ : ΔZが6以下
◎ : ΔZが6より大きく8以下
○ : ΔZが8より大きく10以下
△ : ΔZが10より大きく12以下
× : ΔZが12以上
[抑泡性能評価方法]
市販の綿肌シャツを7枚(男性用 サイズLL)をナショナル製ドラム式洗濯機(NA-V81)に投入し、実施例で調整した組成物を36gの割合で洗濯槽に投入し、乾燥を含まない洗濯のみのコ−ス(お任せコ−ス:水位・高、洗浄25分、すすぎ2回、脱水3分)で、スタ−トボタンを押す。開始から25分後の泡立ちを評価する(図1参照)。
◎:フロント扉の円の1/4未満の泡
○:フロント扉の円の1/2未満の泡
△:フロント扉の円の3/4未満の泡
×:フロント扉ほぼいっぱいの泡
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】抑泡性能評価方法を示す。(A)×:フロント扉ほぼいっぱいの泡、(B)○:フロント扉の円の1/2未満の泡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、
(B)石鹸、
(C)エーテル化度0.2〜1.3、かつ、重量平均分子量10万以上のカルボキシメチルセルロースまたはその塩、
(D)過炭酸ナトリウム
を含む粒状洗剤組成物。
【請求項2】
成分(C)のカルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量が30万以上である、請求項1記載の粒状洗剤組成物。
【請求項3】
全組成物を基準として、成分(B)の石鹸を3.0質量%以上含む、請求項1または2記載の粒状洗剤組成物。
【請求項4】
全組成物を基準として、成分(C)のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を1.0%以上含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の粒状洗剤組成物。
【請求項5】
全組成物を基準として、成分(D)の過炭酸ナトリウムを4.0質量%以上含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の粒状洗剤組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−100722(P2010−100722A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273053(P2008−273053)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】