説明

粒状配合肥料の荷造り方法

【課題】少量多品種の粒状配合肥料を効率よく、且つ安価に荷造りする方法を提供する。
【解決手段】本発明の粒状配合肥料を袋詰してパレット上に段積みする粒状配合肥料の荷造り方法は、マイクロパーフォレーション包装袋を使用し、この包装袋に粒状配合肥料を充填し、充填口をシールし、次いでこの包装袋の上面で、四隅を除く部分に製品表示用ラベルを貼付し、次いでこの包装袋の上面の四隅にホットメルト接着剤を塗布した後、パレット上に段積みすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状配合肥料の荷造り方法に関する。詳しくは少量多品種の粒状配合肥料を効率よく、且つ安価に荷造りする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業就労者の高年齢化、就業者数の減少、兼業農家の増加から、より省力型として、植物の生育期間に合わせて唯1回の施肥で収穫迄肥効が持続する一発型肥料が要求されている。特に、最近、樹脂等で粒状肥料表面を被覆して肥料成分の溶出期間を種々調節した粒状被覆肥料と粒状化成肥料等を配合して、各種植物の地域別および土壌種別の生育期間に合わせて肥効を持続させるようにした粒状配合肥料が要求されている。このような各種植物の地域別および土壌種別に対応した粒状配合肥料を製造しようとすると、少量多品種となりその製品の数は数千種類となる。
【0003】
少量多品種で数千種類の粒状配合肥料の荷造り方法として、自動配合機で配合された粒状配合肥料を、自動袋詰装置を使用して、製品専用の細孔の無いいわゆるノーピン包装袋を使用して充填、シールし、パレット上に段積み時に包装袋を固定するための水性接着剤を自動塗布機を使用して、包装袋の上面中央部に、1/2〜1/5面に相当する範囲を塗布した後、パレット上に段積みする方法が知られている(特許文献1参照。)。
しかしながら、このような従来の方法では、数千種類の製品専用包装袋を必要とするため、置場、仕分け等が極めて煩雑となり、また包装袋版代が膨大となるため、能力低下およびコスト高の問題があり、荷造り対応は極めて困難である。
【特許文献1】特開平6−207147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少量多品種の粒状配合肥料を効率よく、且つ安価に荷造りする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、粒状配合肥料の荷造り方法について鋭意検討した結果、自動配合機で配合された粒状配合肥料を、自動袋詰装置でマイクロパーフォレーション包装袋に充填し、充填口をシールし、次いで製品表示をラベル化して貼付し、次いでホットメルト接着剤を塗布した後、パレット上に段積みすれば、少量多品種の粒状配合肥料を効率よく、且つ安価に荷造りすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、粒状配合肥料を袋詰してパレット上に段積みする粒状配合肥料の荷造り方法において、マイクロパーフォレーション包装袋を使用し、この包装袋に粒状配合肥料を充填し、充填口をシールし、次いでこの包装袋の上面で、四隅を除く部分に製品表示用ラベルを貼付し、次いでこの包装袋の上面の四隅にホットメルト接着剤を塗布した後、パレット上に段積みすることを特徴とする粒状配合肥料の荷造り方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法は、マイクロパーフォレーション包装袋およびホットメルト接着剤を使用することによって、粒状配合肥料を充填した包装体の袋面を平坦化できるため、製品品種を表示した製品毎の専用の包装袋を使用することなく、製品表示用ラベルを容易に貼付することができ、ホットメルト接着剤の塗布面が僅かで済み、貼付ラベル上にまで塗布する必要が無く、貼付ラベルの印字の消去、滲み等を生じることがなく、パレット上に段積みした時に、段積み状態に偏りを生じることがなく、包装袋の保管、搬送が極めて良好である。従って、少量多品種の粒状配合肥料を効率よく、且つ安価に荷造りすることが可能となり、その産業上の利用価値は頗る大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において用いる粒状配合肥料は、樹脂等で粒状肥料表面を被覆した粒状被覆肥料と粒状肥料等を配合したものである。
粒状被覆肥料としては、尿素、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝安石灰、ウレアホルム等の窒素質、燐酸アンモニウム、過燐酸石灰、重過燐酸石灰等の燐酸質、塩化加里、硫酸加里等の加里質の肥料原料物質、肥料原料物質の組合せによって得られる窒素−燐酸、窒素−加里、および燐酸−加里の2成分系、窒素−燐酸−加里の3成分系、あるいはこれらにマグネシウム、マンガン、硼素等の植物の生育に必要な要素を含有させた従来の粒状肥料の表面に、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン−酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等の従来の樹脂被覆材料を使用して、目的とする肥料成分の溶出期間に合わせて、それぞれの樹脂類に対応した公知の被覆法を採用して被覆処理されたものが挙げられる。
【0009】
粒状肥料等としては、植物栽培において養分を与えるために土壌に施される窒素、燐酸、加里、珪素、マグネシウム、カルシウム、マンガン、硼素等の種々の元素を含有する粒状物であり、具体例としては、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸加里、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素肥料(UF)、アセトアルデヒド加工尿素肥料(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素肥料(IBDU)、グアニール尿素(GU)等の窒素質肥料;燐酸アンモニウム、過燐酸石灰、重過燐酸石灰、熔成燐肥、腐植酸燐肥、焼成燐肥、重焼燐、苦土過燐酸、苦土燐酸等の燐酸質肥料;塩化加里、硫酸加里、燐酸加里等の加里質肥料;珪酸カルシウム等の珪酸質肥料;腐植酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム質肥料;生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガン等のマンガン質肥料;硼酸、硼酸ソーダ等の硼酸質肥料、および/またはこれら粒状物の組合せによって得られる窒素―燐酸、窒素―加里、および燐酸―加里の2成分系、窒素―燐酸―加里の3成分系、あるいはこれらにマグネシウム、マンガン、硼素等の植物の生育に必要な要素を含有させた粒状肥料が挙げられる。
【0010】
粒状肥料および前記の粒状被覆肥料の粒径は特に限定はないが、製造上の観点から通常1〜15mmの範囲であり、好ましくは2〜5mmの範囲である。
【0011】
本発明で使用されるマイクロパーフォレーション包装袋としては、市販のポリエチレン製またはポリプロピレン製のマイクロパーフォレーション包装袋を使用することができる。中でも特に、ポリエチレン製で袋の右端または左端の何れか一方から約0.5〜2cm幅の範囲で、その表裏に、横方向に約2〜4箇所、縦方向に約5〜10mmの間隔で直径が約0.02〜0.1mmの微細孔を有するマイクロパーフォレーション包装袋が好ましい。この範囲を超えて微細孔面積を増やす場合は、袋の強度が低下するため、荷降ろし等の衝撃により破袋が起こり易くなり好ましくなく、他方減らす場合は、従来のノーピン袋に近づくため、袋内の空気量を適度に調整することが困難となり、このため前記記載のようにラベル貼付およびパレット上に段積みする際に不備を来たすので好ましくない。
【0012】
本発明の製品表示用ラベルの貼付は、市販のラベラー(自動ラベル貼付機)をそのまま使用することができる。中でも特に、印字機能を持ったラベラーが好ましい。このようなラベラーを用いれば、例えば対象植物が同じものであれば包装袋の切替え等は必要なく、予め登録した製品別の品名と保証票を呼び出してラベル紙に印字し貼付させる方法で行なえば極めて効率的となる。
【0013】
ホットメルト接着剤の塗布は、市販のホットメルト接着剤およびホットメルト塗布機をそのまま使用することができる。
ホットメルト接着剤としては、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。中でも特に軟化点が70〜110℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体が用いられる。これらは、軟化点に応じて予め120〜180℃程度に加熱溶融し、点または線状に塗布される。軟化点が該範囲を超えて高い場合は、溶融温度も高くなるため、塗布面のポリエチレン包装袋を溶融させ傷または穴を生じさせるため好ましくない。軟化点が低い場合は、接着力が弱くなるため塗布面積が大きくなり、ラベルの汚れ等を生じさせるので好ましくない。
また、一箇所当りの塗布量は0.02〜0.1gの範囲で行なわれる。塗布量が該範囲を超えて多い場合は、接着面が大きくなるため、貼付ラベルの汚れ、荷降ろしまたは荷外しの際に包装袋の破損が生じ易くなるため好ましくない。一方、少ない場合は、接着力が充分でないため、パレット上に段積みする時またはパレット輸送時に荷崩れを生じ易くなるため好ましくない。
【0014】
本発明において、自動配合機を使用して配合された上記の粒状配合肥料を上記のマイクロパーフォレーション包装袋に、通常、自動袋詰装置を使用して充填する。粒状配合肥料が充填された包装袋は、必要により脱気した後、充填口をシールする。通常、その後、重量を測定し、所定量充填されたことを確認する。
【0015】
粒状配合肥料が充填され、シールされた包装袋は倒され、上面をローラーで押し付けることによって、更には振動させることによって平坦化される。マイクロパーフォレーション包装袋を使用しているために、適度に袋内の空気量が調整され、脱気過多または脱気過少の状態を呈せず、袋面が充分な平面を保つため、ラベルを容易に貼付することが可能になる。
従来のノーピン包装袋を使用した場合には、充填、シールされた包装袋が脱気過多または脱気過少の時は、包装袋の面が内部の肥料と圧着または膨潤してラベルをうまく貼付するのに充分な平面を保てず、ラベルを容易に貼付することが困難となる。平坦化された包装袋とするために少量の空間を作るように脱気調整する必要があるが、製品の種類毎の粒径分布、嵩密度や、季節よって微妙に調整する必要があり、標準化が難しく、多品種の粒状配合肥料の充填には好ましくない。
【0016】
次に、ホットメルト接着剤を塗布する上面の四隅を除く部分に製品表示用ラベルを上記方法によって貼付する。塗布する位置は、通常、包装袋の上面の中央部であるが、これに限らない。製品表示用ラベルとして、少なくとも品名ラベルと保証票ラベルを貼付する。
【0017】
次に、包装袋の上面の四隅に、上記の方法でホットメルト接着剤を塗布し、通常、自動パレタイズ機を用いてパレット上に段積みする。
ホットメルト接着剤は接着力が極めて高く、塗布面が僅かで済むことから貼付ラベル上にまで塗布する必要が無いため、貼付ラベルの印字の消去、滲み等を生じることは無い。
更に短時間(約5〜10分)で完全に乾燥するので、その後の揺れ動きに対しても包装袋間のズレが起こり難い。また、上記の方法で塗布したホットメルト接着剤の場合、荷外しの時に、剥がし跡も綺麗である。
一方、従来の水性接着剤で塗布してパレタイズする場合は、水性接着剤は接着力が弱いため塗布面積を多く必要とし、パレタイズ時の荷崩れを起こさないためには袋面の中央部に、1/2〜1/5面に相当する範囲を塗布する必要がある。このため、貼付ラベル上にも水性接着剤が塗布されることとなり、貼付ラベルの印字の消去、滲み等が生じると共に、パレタイズ後の荷降ろしの際には、貼付ラベルの印字部の剥がれ等が起こり商品価値を低下させることがあり、好ましくない。更に完全に乾燥するのに長時間(約12時間)を要し、その後の揺れ動きに対して包装袋間のズレが起こし易く、好ましくない。
【0018】
本発明では、パレタイズ時において、マイクロパーフォレーション包装袋を用いているため、適度に袋内の空気量が調整され、段積み状態に偏りを生じることがなく、段積みした包装袋の保管が極めて良好である。
【0019】
本発明においては、ラベルを貼付して品名、保証票を表示するため、製品の種類毎に専用の包装袋を用意しなくともよく、包装袋版代が少なくて済むと共に管理の手間が少なくなる。
従って、最近、より省力型として要求されている、各種植物の地域別および土壌種別の生育期間に合わせて肥効を持続させるようにした少量多品種の粒状配合肥料を効率よく、且つ安価に荷造りすることが可能となり、その産業上の利用価値は頗る大きい。
【実施例】
【0020】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%は特記しない限りすべて重量部および重量百分率を示す。
【0021】
実施例1
対象植物が水稲コシヒカリで、地域別および土壌種別に異なる10種類の粒状配合肥料を各3トンづつ以下に示す方法で荷造りした。
配合能力が10トン/時間の自動配合機を使用して配合された粒状配合肥料を、袋詰能力が20kg入り袋で500袋/時間の自動袋詰装置を使用して、水稲コシヒカリ専用のマイクロパーフォレーション包装袋(袋面の右端に0.8cm幅の表裏の全面積に、横方向2箇所、縦方向8mmの間隔で直径0.02〜0.1mmの微細孔を有する、厚さ150μmで幅430mm×長さ680mmのポリエチレン製袋)に充填し、充填口をシールした。
次いでこの包装袋の上面の中央部に印字機能を持ったラベラーで、予め登録した製品別の保証票と品名をラベル紙に印字貼付し、次いでこの包装袋の上面の四隅に、軟化点が約95℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるホットメルト接着剤を自動ホットメルト塗布機で約170℃に加熱溶融し、一箇所当り約0.05gを塗布した後、自動パレタイズ機で、1m角の2台のパレット上にそれぞれ6袋(面方向)×10袋(高さ方向)の60袋(約1.2トン)を、1台のパレット上に6袋×5袋の30袋(約0.6トン)を段積みし、これらを3段積み重ねて(合計150袋、約3トン)、保管した。
10種類の粒状配合肥料の荷造り(合計1500袋、約30トン)に要した時間は約5時間であった。
このようにして得たパレット3段積み保管品の荷姿は、製品を充填したマイクロパーフォレーション包装袋が、段積みの加重に合わせて適度に脱気を行なうことから、傾きが全く無く、またホットメルト接着剤が袋間を充分に接着することにより、袋間のズレも全く見られず、極めて安定であった。次いで、1ヶ月後に観察したが、荷姿に変化は見られなかった。次いで、このものをトラックでバラ積みする際の荷外しの状態を観察した。荷外しは接着面が極めて少ないため剥れ易く、且つラベルの剥れおよびラベルの汚れ等も無く極めて良好であった。
【0022】
比較例1
対象植物が水稲コシヒカリで、地域別および土壌種別に異なる10種類の配合肥料を各3トンづつ以下に示す従来の方法で荷造りした。
配合能力が10トン/時間の自動配合機を使用して配合された粒状配合肥料を、袋詰能力が20kg入り袋で500袋/時間の自動袋詰装置を使用して、種類毎に専用のノーピン包装袋(細孔の無い厚さ150μmで幅430mm×長さ680mmのポリエチレン製袋)に充填し、充填口をシールし、次いでこの包装袋の上面の1/3面に相当する範囲に、融点が約0℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンを自動水性エマルジョン塗布機で約20℃で約0.3gを塗布した後、自動パレタイズ機で、実施例1と同様にパレット上に段積みした。
荷造りに要した時間は実施例1と同じ約5時間であった。
このようにして得たパレット3段積み保管品の荷姿は、製品を充填したノーピン包装袋が、段積みの加重に合わせて適度に脱気を行なうことができないことから、傾きが大きく、また水性接着剤が袋間を充分に接着するに時間を要することから、袋間のズレも多く見られ、不安定であった。次いで、1ヶ月後に観察したが、荷姿は不安定のままであった。次いで、このものをトラックでバラ積みする際の荷外しの状態を観察した。荷外しは接着面が大きいため剥れ難く、且つ接着面の印字の剥れおよび印字の汚れ等も目立ち、商品価値を大きく損なうものであった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状配合肥料を袋詰してパレット上に段積みする粒状配合肥料の荷造り方法において、マイクロパーフォレーション包装袋を使用し、この包装袋に粒状配合肥料を充填し、充填口をシールし、次いでこの包装袋の上面で、四隅を除く部分に製品表示用ラベルを貼付し、次いでこの包装袋の上面の四隅にホットメルト接着剤を塗布した後、パレット上に段積みすることを特徴とする粒状配合肥料の荷造り方法。
【請求項2】
マイクロパーフォレーション包装袋が、ポリエチレン製で袋の右端または左端の何れか一方から0.5〜2cm幅の範囲で、その表裏に、横方向に2〜4箇所、縦方向に5〜10mmの間隔で直径が0.02〜0.1mmの微細孔を有していることを特徴とする請求項1記載の粒状配合肥料の荷造り方法。
【請求項3】
製品表示用ラベルとして、少なくとも品名ラベルと保証票ラベルを貼付することを特徴とする請求項1記載の粒状配合肥料の荷造り方法。
【請求項4】
ホットメルト接着剤を一箇所当り0.02〜0.1g塗布することを特徴とする請求項1記載の粒状配合肥料の荷造り方法。


【公開番号】特開2007−290724(P2007−290724A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118802(P2006−118802)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】