説明

粘性材用ディスペンス装置

ディスペンス装置は、プレホイップクリームやアイシングの予めパッケージされた装填物を収容可能なハウジングを備える。ハウジングは内壁を備え、ロッドを収容するために内側に形成された細長穴を有する。ロッドは歯止め機構に係合し、ピストンを軸方向に移動して、プレホイップクリームやアイシングをパッケージの出口部を通じて押出す。ロッドが第1方向へ移動するとき、歯止めはロッドに係合し、ロッドが第1方向と反対の第2方向へ移動するとき、歯止めはロッドに非係合となる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、押出し可能なペースト状材料や押出し可能な泡状材料等のような粘性材を分配するために用いられるものである。本発明は、特に食品産業の分野において利用される。食品分野では、アイシング(糖衣)やプレホイップクリームが一般的に利用されて、材料を収容したコーン形状の柔軟なパッケージを使って手作業で分配される。一例として、プレホイップクリームを一般的に円錐形状をなしたシールバッグに供給し、製品を出口部が形成された狭端部から分配する。出口部は一般的にはさみでカットすることで開口する。バッグを開口するためには他の方法も適用できる。柔軟パッケージを出口部で開口して、製品を開口部から押出すようにパッケージの側部を搾ることで製品を分配する。この方法でプレホイップクリームやアイシングを手作業で分配すると、作業者に筋肉疲労が生じ、生産性にマイナスの影響を与える。
【0002】
操作がより簡単で、片手で操作でき、限られた空間に収納でき、トッピングに対して安全な温度を保持するための冷却特性をもたらすディスペンス装置が必要とされる。分配される製品の物性を保持するために、ディスペンサーは、分配しないときにプレホイップクリームやアイシングに力を加えてはならない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記した必要性に鑑みて、プレホイップクリームやアイシングの予めパッケージされた装填物を収容可能なハウジングを備えたディスペンス装置を提供する。ハウジングは、ロッドを収容するために内側に形成された細長穴を有する内壁を備える。ロッドは歯止め機構に係合し、ピストンを軸方向に移動して、プレホイップクリームやアイシングをパッケージの出口部を通じて押出す。ロッドが第1方向へ移動すると、歯止めはロッドに係合し、ロッドが第1方向と反対の第2方向へ移動すると、歯止めはロッドに非係合となる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明を各図で示し、各図において、同一参照符号で同一又は類似部分を示す。
【図1】本発明に係るディスペンス装置を示す斜視図。
【図2】本発明に係るディスペンス装置を示す組み立て分解図。
【図3】ディスペンス装置を示す端部正面図。
【図4】ディスペンス装置を示す端部正面図。
【図5】図3に示す5−5線の断面図。
【図6】図4に示す6−6線の断面図。
【図7】本発明の歯止め機構の操作を示す概要図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
先ず図1の通り、本発明に係るディスペンス装置10は、ボディ13を備え、円筒状側面で第1直径19を有する第1部分16を備える。ボディ13は、小さな直径を有する第2部分22を備える。第1部分16は、大きな直径を有するベース部分25に延設される。ディスペンス装置10の実施形態は円筒形状として記載されているが、本開示に基づく当業者にとって明らかなように他の形状も適用可能である。ボディ13は、不使用のときに装置10を掛けるためのフック28を備える。
【0006】
装置10は、ボディ13の前部に着脱自在なカバー31を備える。図のように、カバー31は開口部32を備え、ボディ13の外側から延設する突出部34に摩擦係合する。タブ35はカバー31を取り外すために設けられている。カバー31は先端カバー40を有する中央部に出口開口部37を備え、装置10を使用しないとき、出口開口部37をカバーする。
【0007】
ハンドル43は、回転軸49で取り付けられたトリガー46を備える。トリガー46は、開口位置でスプリング52(図2)によって付勢される。トリガー46は、後で詳述するように、ピストンを駆動する往復ロッドを操作する。
【0008】
次に図2の通り、装置10は、はめ込み分配端部58を有する円筒形の柔軟なパッケージ55を収容する。はめ込み分配端部58の構成は、当業者にとって明らかであるので、ここでは詳述しない。ピストン61は、プレホイップクレームのような粘性材をパッケージ55から押出す。ピストン61は、往復ロッド64に機械的に連結されている。ロッド64は、スプリングで付勢されたトリガー46によって矢印67に示す軸方向に往復移動する。
【0009】
ロッド64は、歯止め機構によってピストン61に連結される。ピストン61は、ロッド64が通じる開口部70を有する延設部67を備える。歯止め73は、スプリング76によってピストン61に対する所定の角度に付勢される(図7が最も良く示す)。ロッド64が、図2及び7における方向の右から左へ移動すると、ロッド64と歯止め73の開口部79との間の摩擦係合が、ロッド64と一致してピストン61を前進する。トリガー46を握るとロッド64が移動し、ピストン61は図の右から左へ移動する。このピストン61の移動によって柔軟パッケージ55を圧縮し、製品を出口開口部37から押出す。トリガー46を開放し、ロッド64が反対方向(図の左から右)へ移動すると、ピストン61は、左から右へ少し移動して、ロッド64から離れる。ロッド64が左から右へ移動すると、歯止め73は回転してピストン61から離れ、ロッド64は、歯止め73の開口部79を通じてスプリングで付勢された初期位置へスライドする。再びトリガー46を握るまで、ピストン61は略同じ位置にとどまる。
【0010】
柔軟パッケージ55が空になって、別の材料パッケージを込めるためにピストン61を左から右へ移動する必要があるとき、リセットロッド80を使用する(図7が最も良く示す)。リセットロッド80は、ピストン61を通り、歯止め73に係合して、それを回転してピストン61から離し、ピストン61がロッド64を簡単に越えて元の位置に戻るようにスライドさせる。
【0011】
次に図3及び4の通り、装置10の端図はハンドル43及びトリガー46を示す。分配端部58を図の中心に示し、カバー31を開口するためのタブ35も示す。
【0012】
図5に示すディスペンス装置10は、ピストン61が移動終端へ前進しており、パッケージ55のはめ込み端部58が装置10の出口部に設置されている。トリガー46は開放されており、歯止め73は、ピストン61が移動することなくロッド64が左から右へスライド可能な位置となっている。分配が完了した後、カバー31が取り外され、歯止め73が回転してピストン61から離れ、新たなパッケージ55を込めるために、ピストン61が装置10の反対終端に戻るように押される。
【0013】
図6に示すディスペンス装置10は、分配の際にトリガー46を押した半完全状態(half full condition)となっている。
【0014】
次に図7の通り、概略図は、スプリング76によって所定角度で付勢された歯止め73と共にピストン61を示す。ロッド64が矢印88の方向における右から左へ移動すると、歯止め73におけるロッド64の摩擦係合でピストン61が移動する。ロッド64が左から右へ移動すると、摩擦で歯止め73が回転してピストン61から離れ、開口部79の周囲の歯止め73の端部に係合して発生する摩擦をロッド64が打ち破る位置まで回転する。この位置で、ロッド64は歯止め73の開口部79を通じて自在にスライドし、ロッド64はピストン61から離れる。
【0015】
ピストン61を左から右へ移動して、ディスペンス装置10を再装填するために、リセットロッド80を使って歯止め73を押して垂直位置に回転する。これにより、ピストン61は、図の方向性を示す矢印90の方向の左から右へロッド64に沿ってスライドできる。
【0016】
本発明について所定の実施形態を説明したが、発明の範囲を上記した特定の形態に限定するものではない。一方、請求の範囲に記載の発明の精神および範囲を含む代替品、改良品および相当物に及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側で規定される空洞と出口部とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたピストンと、
前記ピストンに連結され、内側で規定される開口部を有するスプリング付勢歯止め機構と、
第1方向と前記第1方向とは反対の第2方向とに並進運動可能な延設部材と、を備え、
前記延設部材は、前記延設部材を前記第1方向に移動すると、前記歯止め機構が前記ピストンを前記第1方向に移動するように、前記開口部の端部で前記歯止め機構に摩擦係合可能であって、
前記延設部材を前記第2方向に移動すると、前記延設部材が前記歯止め機構の前記開口部を通じて、前記ピストンと独立して前記第2方向に移動するように回転可能であり、
前記延設部材に関連して操作するトリガーと、を備え、
前記トリガーを作動すると前記延設部材が前記第1方向に移動し、前記トリガーを開放すると前記延設部材が前記第2方向に移動する、
ことを特徴とするディスペンサー。
【請求項2】
前記ピストンは、前記延設部材を収容するために内側で規定された開口部を有する延設部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記トリガーは、回転リンクによって前記延設部材と機械的に連結されている、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記出口部で前記ハウジングに着脱自在に取り付けられたカバーを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記カバーは、内側で規定された開口部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記カバーの前記開口部に係合可能な突出部を備え、前記カバーを所定位置に保持する、ことを特徴とする請求項5に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記ハウジングは、その上に配置されたフックを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項8】
ペースト状製品を充填した柔軟な円筒形状のバッグを備え、前記バッグは、前記ディスペンサーの前記空洞の内側にフィットする大きさで、第1端部に出口部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記ハウジングは第1部分と第2部分とを備え、前記第2部分は前記延設部材を収容するための小さな断面領域を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520048(P2010−520048A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551835(P2009−551835)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055208
【国際公開番号】WO2008/106570
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(505411055)リッチ プロダクツ コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】