説明

粘着型光学フィルム及び粘着剤組成物

【課題】 ジイモニウム色素を含有する粘着層において、色素の耐久性を向上させるための手段の提供。
【解決手段】 アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素と、を含有する近赤外線吸収粘着層と、基材層とを有し、前記近赤外線吸収粘着層に前記ジイモニウム色素の針状凝集体が散在していることを特徴とする、粘着型光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着型光学フィルム及び粘着剤組成物に関し、より詳細には、近赤外線吸収性の粘着層を有する粘着型光学フィルム及び、当該粘着層形成に用いられる粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは、その発光原理上、可視光と同時に、電磁波や、ネオン光や、近赤外線が発せられる。これらは、好ましくない影響を与えるため遮蔽する必要がある。そこで、光学フィルムが用いられる。
【0003】
上記の機能に加えて、画像品位を上げるために視聴者側の反射防止や、コントラストの向上等の多用な機能を持たせるために、多数の層が積層された光学フィルムが用いられていた。しかし、近年、これらの光学フィルムの簡素化の要求があり、当該フィルムの層構成を単純化してコストを低減する傾向にある。そこで、光学フィルムに用いられる粘着層に様々な機能を持たせることが提案されている。
【0004】
近赤外線を遮蔽する手段として、近赤外線吸収剤を含有する光学フィルムが提案されている。この近赤外吸収剤としては、様々な物質が提案されているが、近赤外線吸収波長域の広いジイモニウム系の色素がしばしば用いられ、当該イモニウム系の色素を粘着剤の中に混合することが提案されている(特許文献1)。
【0005】
当該ジイモニウム系色素は、耐久性が劣る場合があり、近赤外線吸収能の低下や着色といった問題を引き起こすことがある。この問題を解決するために、溶剤に分散させた会合状態のジイモニウム色素を粘着剤に混合した粘着剤組成物が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−58472号公報
【特許文献2】特開2010−18773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はジイモニウム色素を含有する粘着層において、色素の耐久性を向上させるための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(1)は、アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素と、を含有する近赤外線吸収粘着層と、基材層とを有し、
前記近赤外線吸収粘着層に前記ジイモニウム色素の針状凝集体が散在していることを特徴とする、粘着型光学フィルムである。
【0009】
本発明(2)は、前記粘着型光学フィルムが、前記アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素と、溶剤とを含有する塗工液を前記基材層上に塗工して、乾燥させて得られる近赤外線吸収粘着層をエイジングすることにより、前記ジイモニウム色素の針状凝集体を形成し、得られることを特徴とする、前記発明(1)の粘着型光学フィルムである。
【0010】
本発明(3)は、前記近赤外吸収粘着層が、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤からなる群から選ばれる一の架橋剤又は二以上の架橋剤の組み合わせを含有することを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の粘着型光学フィルムである。
【0011】
本発明(4)は、前記近赤外線吸収粘着層が防錆剤を含有することを特徴とする、前記請求項(1)〜(3)のいずれか一つの粘着型光学フィルムである。
【0012】
本発明(5)は、前記近赤外線吸収粘着層に金属メッシュフィルムが貼着されてなることを特徴とする、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの粘着型光学フィルムである。
【0013】
本発明(6)は、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの粘着型光学フィルムが表面に貼り付けられている、プラズマディスプレイパネルである。
【0014】
本発明(7)は、アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素とを含有し、
アミン系添加剤の含有量が、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して10重量部以下であり、
前記アクリル系ポリマーの酸価が7〜50mgKOH/gであることを特徴とする、近赤外線吸収粘着剤組成物である。
【0015】
本発明(7−2)は、アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素とを含有し、前記アクリル系ポリマーの酸価が15〜50mgKOH/gであることを特徴とする、近赤外線吸収粘着剤組成物である。当該範囲の酸価であることにより、ジイモニウム色素の針状凝集体を形成しやすく、色素の耐久性の高い粘着型光学フィルムを得ることができる。
【0016】
本発明(8)は、前記アクリル系ポリマーが、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、カルボキシル基含有モノマーとを含有してなることを特徴とする、前記発明(7)の近赤外線吸収粘着剤組成物である。
【0017】
本発明(9)は、前記ジイモニウム色素が、下記式(1)のジイモニウムカチオンと、
【化1】

(式(1)中、R〜Rは同一または異なってもよい、水素原子、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、フェニルアルキレン基またはアルコキシ基を示す。)
下記式(2)のカウンターアニオンと
【化2】

(式(2)中、R、Rは、同一または異なってもよい、フッ素原子またはフッ化アルキル基を示す。)
からなることを特徴とする、前記発明(7)又は(8)の近赤外線吸収粘着剤組成物である。
【0018】
本発明(10)は、更に、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤からなる群から選ばれる一の架橋剤又は二以上の架橋剤の組み合わせを含有することを特徴とする、前記発明(7)〜(9)のいずれか一つの近赤外吸収粘着剤組成物である。
【0019】
本発明(11)は、防錆剤を含有することを特徴とする、前記発明(7)〜(10)のいずれか一つの近赤外吸収粘着剤組成物である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ジイモニウム色素が凝集体を形成するため、当該色素が高い耐久性を有する粘着型光学フィルムを得ることができる。また、粘着層に赤外線吸収機能を持たせることができるので、光学フィルムとしての層構成数を減らすことができる。
【0021】
また、アクリル系ポリマーを含む塗工液を塗布し乾燥させた後に、ジイモニウム色素を凝集させることにより、より高い色素耐久性を有する粘着型光学フィルムを得ることができる。
【0022】
また、アミン系の添加剤の含有量がアクリル系ポリマー100重量部に対して10重量部以下であり(好適には1重量部以下、さらに好適には0重量部)、アクリル系ポリマーの酸価が所定の範囲にある赤外線粘着剤組成物は、当該粘着剤組成物を含む塗工液の乾燥後にエイジングさせる際に針状凝集体を特に形成しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施例において製造した粘着型光学フィルムの近赤外線吸収粘着層の表面からみた顕微鏡写真である。
【図2】図2は、実施例において製造した粘着型光学フィルムの近赤外線吸収粘着層表面を更に拡大した顕微鏡写真である。
【図3】図3は、例1に係る試験体の分光光度計により測定した結果得られた透過スペクトルである((a)は耐熱性試験の前後のスペクトルであり、(b)は耐湿熱性試験の前後のスペクトルである。)。
【図4】図4は、例2に係る試験体の分光光度計により測定した結果得られた透過スペクトルである((a)は耐熱性試験の前後のスペクトルであり、(b)は耐湿熱性試験の前後のスペクトルである。)。
【図5】図5は、例3に係る試験体の分光光度計により測定した結果得られた透過スペクトルである((a)は耐熱性試験の前後のスペクトルであり、(b)は耐湿熱性試験の前後のスペクトルである。)。
【図6】図6は、例4に係る試験体の分光光度計により測定した結果得られた透過スペクトルである((a)は耐熱性試験の前後のスペクトルであり、(b)は耐湿熱性試験の前後のスペクトルである。)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[粘着型光学フィルム]
本発明に係る粘着型光学フィルムは、アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素とを含有する近赤外線吸収粘着層と、基材層とを有する。本発明は、前記近赤外線吸収粘着層中にジイモニウム色素の針状凝集体が散在していることを特徴とする。このようにジイモニウム色素が凝集していることによって、ジイモニウム色素の耐久性が高くなる。
【0025】
(近赤外線吸収粘着層)
図1は、実施例において製造した例4の粘着型光学フィルムの近赤外線吸収粘着層の表面からみた顕微鏡写真である。当該写真における薄曇の部分は、針状凝集体が散在している部分である。尚、白い斑点は、製造又は観察の際に混入したゴミである。図2は、当該近赤外線吸収粘着層表面を更に拡大した顕微鏡写真である。このように、本発明に係る近赤外線吸収粘着層には、針状凝集体が散在している様子が確認できる。当該凝集体は、各々の核を有しており、その核の周辺に放射状に多数の針状凝集体が散在した状態になっており、近赤外線吸収粘着層の表面から観察すると巨視的には円形状の集合体のように観察できる(図中1、2、3の線は当該円形状集合体の直径を示す)。このようにジイモニウム色素の凝集体が形成されると、これらの色素は分解されにくくなるため、色素の耐久性が向上する。
【0026】
後述するように、本発明に係る近赤外線吸収粘着層は、分散液を使用する方法や、液体状態で凝集させる方法ではなく、粘着剤組成物の塗工膜を形成・乾燥した後に、エイジングすることにより、ジイモニウム色素を凝集させる。このような工程を経て、図2に示すような針状凝集体が形成されるので、高いイモニウムの安定性が発揮される。
【0027】
尚、凝集体の円形集合体の近赤外線吸収粘着層上面から観察した際の平均直径は、10〜500μmが好適であり、30〜400μmがより好適であり、50〜300μmが更に好適である。定かではないが、図2に示す当該円形集合体の中心より、紙面垂直方向に針状凝集体が成長し、更に、徐々に紙面水平方向へと方向転換して放射状に針状凝集体が形成されていると考えられる。このような場合、針状凝集体の長さは、前記円形集合体の数値範囲に近い値になると考えられる。
【0028】
近赤外線吸収粘着層の厚さは特に限定されないが、5〜100μmが好適であり、10〜50μmがより好適であり、15〜35μmが更に好適である。
【0029】
(粘着剤組成物)
本発明に係る近赤外線吸収粘着層は、アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素とを含有する粘着剤組成物により形成することが好適である。粘着剤組成物は、アミン系添加剤の含有量が、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して10重量部以下であり、前記アクリル系ポリマーの酸価が7〜50mgKOH/gであることが好適である。アミン系添加剤がほとんど含まれない条件(アクリル系ポリマー100重量部に対して、アミン系添加剤の含有量が10重量部以下)において、アクリル系ポリマーの酸価が前記範囲内であることにより、粘着剤組成物を塗工・乾燥した後に、エイジングすることにより凝集体が形成されやすくなる。特に、アミン系添加剤の含有量がアクリル系ポリマー100重量部に対して10重量部超含まれると、ジイモニウム色素は、当該色素の凝集体を形成する前にアミンと反応して分解してしまう。また、前記範囲内においては、酸価が高いほうが、凝集体を形成しやすくなる傾向にあるが、低い酸価であってもアミン系添加剤を含有しなければ、高い温度を長時間付与すること(例えば、35℃であれば3日以上)で凝集体を形成し、色素の高い耐久性を有する赤外線吸収粘着剤層を得ることができる。
【0030】
尚、酸価は、15〜50mgKOH/gが好適であり、20〜40mgKOH/gがより好適である。このような範囲とすることにより、より凝集体が形成されやすくなり、ジイモニウム色素が高い耐久性を有する近赤外線吸収粘着層を得ることができる。
【0031】
また本発明に係る粘着剤組成物は、種々の添加剤を加えることができるが、アミン系添加剤を含有しないことが好適である。アミン系の物質を添加すると、後述する近赤外線吸収粘着層の製造工程において、ジイモニウム色素の針状凝集体が形成される前に、ジイモニウム色素とアミンが反応して当該色素が分解してしまうおそれがある。アミン系添加剤とは、一級アミン、二級アミン、又は三級アミンなどの窒素原子上に攻撃性を有する非共有電子対を有する物質を意味する。アミン系添加剤としては、アミン含有粘着付与剤が挙げられる。当該アミン系添加剤は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、50重量部以下が好適であり、10重量部以下がより好適であり、1重量部以下が更に好適であり、0.1重量部以下が更により好適であり、まったく含有しないことが特に好適である。
【0032】
アクリル系ポリマー
本発明に係るアクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有することが好適であり、カルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマーとから選択される少なくとも一種と前記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとを重合させて得られるものであることがより好適である。これらのポリマーの中でも、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート{(メタ)アクリル酸アルキルエステル}モノマーとカルボキシル基含有モノマーとを含有して重合されてなるアクリル系ポリマーを使用することが好適である。アクリル系ポリマーは、近赤外線吸収粘着層固形分成分100重量部に対し50重量部以上含まれていることが好適であり、60〜99.9重量部の範囲がより好適である。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレート(アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート)としては、特に制限されないが、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso‐ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。尚、モノマー成分としてのアルキル(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのアクリレートの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレートの単体が特に好適である。アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、アクリル系ポリマー100重量部中、1〜100重量%であればよいが、50〜99%が好適であり、70〜98%が更に好適である。
【0034】
カルボキシル基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの無水物も、カルボキシル基含有モノマーとして用いることができる。カルボキシル基含有モノマーの割合としては、前記の酸価の値に応じて任意に設定できるが、例えば、アクリル系ポリマー100重量部中、1〜24重量%が好適であり、3〜20重量%が更に好適である。
【0035】
アクリル系ポリマーのモノマー成分について説明したが、これらの組成の中でも、水酸基(OH基)を有しないことが好適である。このように水酸基を有しないことによって、粘着剤組成物中のジイモニウム色素が分解しにくくなり、当該色素の耐久性が増す。特に限定されないが、本発明の粘着剤組成物に含まれる水酸基含有モノマーは、アクリル系ポリマー100重量部中10重量%以下であることが好適であり、1重量%以下であることがより好適であり、0.1重量%以下であることが更に好適であり、全く含まれないことが特に好適である。
【0036】
アクリル系ポリマーは、公知の重合方法により製造することができるが、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法等が挙げられる。また、重合に際して用いられる重合開始剤、連鎖移動剤などは、公知のものを適宜用いることが可能である。
【0037】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、10万〜200万が好適であり、30万〜150万がより好適であり、40万〜120万が更に好適である。
【0038】
ジイモニウム色素
本発明に係る粘着剤組成物はジイモニウム色素を含有する。ジイモニウム色素の中でも下記式(1)で示されるジイモニウムカチオンを有することが好適である。
【化3】

但し、式(1)中、R〜Rは同一または異なってもよい、水素原子、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、フェニルアルキレン基またはアルコキシ基を示す。このR〜R基としては、前記置換基であれば特に限定されないが、炭素数1〜20(好適には1〜8)の直鎖もしくは側鎖を有するアルキル基、炭素数3〜12の環状アルキル基、シアノアルキル基、アルコキシ基やハロゲン化アルキル基等が好ましい。アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましい。
【0039】
より具体的な一般式Rの例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等の直鎖あるいは分岐状アルキル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロペンチルエチル基、2−シクロペンチルプロピル基、3−シクロペンチルプロピル基、4−シクロペンチルブチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘキシルプロピル基、3−シクロヘキシルプロピル基、4−シクロヘキシルブチル基等の環状アルキル基、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、3−シアノブチル基、2−シアノブチル基、5−シアノペンチル基、4−シアノペンチル基、3−シアノペンチル基、2−シアノペンチル基、6−シアノヘキシル基、5−シアノヘキシル基、4−シアノヘキシル基、3−シアノヘキシル基、2−シアノヘキシル基等のシアノ置換(C1〜C8)アルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、3−メトキシブチル、2−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、4−メトキシペンチル、3−メトキシペンチル、2−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、2−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、3−エトキシブチル、5−エトキシペンチル、4−エトキシペンチル、6−エトキシヘキシル、プロポキシメチル、2−プロポキシエチル、3−プロポキシプロピル、4−プロポキシブチル、5−プロポキシペンチルなどの直鎖あるいは分岐状アルコキシアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、8,8,8−トリフルオロオクチル基、2−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基、2−トリフルオロ−プロピル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、4,4,4−トリクロロブチル基、5,5,5−トリクロロペンチル基、6,6,6−トリクロロヘキシル基、8,8,8−トリクロロオクチル基、2−メチル−3,3,3−トリクロロプロピル基、ペルクロロエチル基、ペルクロロプロピル基、ペルクロロブチル基、ペルクロロヘキシル基、ペルクロロオクチル基、2−トリクロロ−ペルクロロプロピル基、トリブロモメチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、3,3,3−トリブロモプロピル基、4,4,4−トリブロモブチル基、5,5,5−トリブロモペンチル基、6,6,6−トリブロモヘキシル基、8,8,8−トリブロモオクチル基、2−メチル−3,3,3−トリブロモプロピル基、パーブロモエチル基、ペルブロモプロピル基、ペルブロモブチル基、ペルブロモヘキシル基、ペルブロモオクチル基、2−トリブロモ−ペルブロモプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
ジイモニウム色素におけるカウンターアニオンの種類は特に限定されない。カウンターアニオンとしては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオンや、過塩素酸イオンや、過ヨウ素酸イオンや、テトラフルオロホウ酸イオンや、ヘキサフルオロリン酸イオンや、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンや、トリフルオロメタンスルホン酸イオンや、トルエンスルホン酸イオンや、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオンや、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオンや、トリス(トリフルオロメタンスルホン)メチドイオンや、スルホンイミドアニオン等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、特にスルホンイミドアニオンが好適であり、特に下記一般式(2)で示される含フッ素スルホンイミドアニオンが好適である。このように含フッ素スルホンイミドアニオンを使用することにより、特に凝集体を形成しやすくなる。
【化4】

但し、式(2)中、R、Rは、同一または異なってもよい、フッ素原子またはフッ化アルキル基を示す。R、Rとしては前記置換基であれば特に限定されないが、炭素数1〜8のフッ化アルキルが挙げられる。
【0042】
なお、ジイモニウム色素は、公知の方法により製造可能であり、例えば、特開平8−511274号公報記載の方法に従って調製されたビス(フルオロスルホニル)イミド酸や米国特許第5,874,616号明細書に準じて調製されたフッ化アルカンスルホニル−フルオロスルホニルイミド酸をアニオン成分とし、これに銀を作用させてビス(フルオロスルホニル)イミド酸銀、または、フッ化アルカンスルホニル−フルオロスルホロイミド酸銀とし、ジイモニウム化合物を、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の有機溶媒中、温度30〜150℃で反応させ、析出した銀を濾別した後、水、酢酸エチルまたはヘキサン等の溶媒を加え、生じた沈殿を濾過することにより合成することができる。
【0043】
また、市販されているジイモニウム色素としては、日本カーリット社製の商品名「CIR−1085」、日本カーリット社製の商品名「CIR−1085F」、日本化薬社製の商品名「KAYASORB IRG−022」、日本化薬社製の商品名「KAYASORB IRG−023」等が挙げられる。
【0044】
ジイモニウム色素の近赤外線吸収粘着層の固形分比に対する添加量については特に制限がなく、要求される性能に応じて任意に選ぶことができるが、近赤外線吸収粘着層固形分成分100重量部に対し0.1〜20重量部にすることが好適である。
【0045】
任意成分
本発明に係る粘着剤組成物は、その他、種々の公知の添加剤を添加することができるが、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す近赤外線吸収粘着層などとしてもよい。本発明に係る粘着剤組成物には、他の近赤外線吸収色素が添加されてもよい。また、色調を調整のため可視光吸収色素が添加されていてもよい。その他、防錆剤が添加されていることが好適である。
【0046】
架橋剤
また、本発明に係る粘着剤組成物は、架橋剤を含有していることが好適である。架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ系架橋剤や、イソシアネート系架橋剤が好適である。
【0047】
エポキシ系架橋剤は、エポキシ化合物を含有し、エポキシ化合物としては、例えば、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.02〜0.5重量部である。エポキシ系化合物の使用量が0.001重量部未満では、光学フィルムとの密着性や耐久性の点で好ましくない。
【0048】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート化合物を含有し、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどの多価アルコールと付加したアダクト系イソシアネート化合物、イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどが挙げられる。これらイソシアネート系化合物のなかでも、光学フィルムとの密着性向上の面からは、キシリレンジイソシアネート等のアダクト系イソシアネート化合物が好ましい。
【0049】
イソシアネート系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.02〜2.5重量部である。イソシアネート系化合物の使用量が0.001重量部未満では、光学フィルムとの密着性や耐久性の点で好ましくない。
【0050】
他の近赤外吸収色素
併用されうる他の近赤外線吸収色素としては、公知のシアニン系色素、ポリメチン系色素、スクアリリウム系色素、ポルフィリン系色素、金属ジチオール錯体系色素、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、無機酸化物粒子等が挙げられる。
【0051】
好ましい他の色素(ジイモニウム色素以外の色素)は、上記ジイモニウム色素に対してクエンチャー効果を奏しうる色素である。クエンチャー効果とは、励起状態にある活性分子を脱励起させる効果である。本発明の場合、ジイモニウム色素分子、ジイモニウムアニオン又はジイモニウムカチオンを脱励起して安定化させる効果を有する他の色素が好ましい。クエンチャー効果の観点から、この他の色素として、フタロシアニン系色素が好ましい。
【0052】
シランカップリング剤
その他、シランカップリング剤を添加することが好適である。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、アセトアセチル基含有トリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。特に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アセトアセチル基含有トリメトキシシランは効果的に剥がれを抑えられることから好ましく用いられる。シランカップリング剤は、耐久性、特に加湿環境下で剥がれを抑える効果を付与できる。シランカップリング剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、1重量部以下、さらには0.001〜1重量部、好ましくは0.002〜0.6重量部である。シランカップリング剤の使用量が多くなると、接着力が増大しすぎてリワーク性などに影響を与える場合がある。
【0053】
可視光吸収色素
また、粘着剤組成物の色調を調整するために、調色用の可視光吸収色素を添加してもよい。調色用の色素の種類は特に限定されないが、1:2クロム錯体、1:2コバルト錯体、銅フタロシアニン、アントラキノン、ジケトピロロピロール等が使用できる。具体的には、オラゾールブルーGN(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、オラゾールブルーBL(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、オラゾールレッド2B(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、オラゾールレッドG(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、オラゾールブラックCN(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、オラゾールイエロー2GLN(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、オラゾールイエロー2RLN(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、マイクロリスDPPレッドB−K(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、等が挙げられる。
【0054】
本発明に係る粘着剤組成物は、不要なネオン発光を吸収するために最大吸収波長が550〜650nmの可視吸収色素を併用するのが好ましい。ネオン発光吸収色素は、特に限定されないが、例えば、シアニン色素、テトラアザポルフィリン色素が挙げられる。市販されているネオン発光吸収色素としては、アデカアークルズTY−102(旭電化工業社製)、アデカアークルズTY−14(旭電化工業社製)、アデカアークルズTY−15(旭電化工業社製)、TAP−2(山田化学工業製)、TAP−18(山田化学工業製)、TAP−45(山田化学工業製)、商品名NK−5451(林原生物化学研究所製)、NK−5532(林原生物化学研究所製)、NK−5450(林原生物化学研究所製)、PD−320(山本化成社製)等が挙げられる。ネオン発光吸収色素の添加量は、色素の種類によって異なるが、最大吸収波長での透過率が20〜80%程度になるように添加するのが好適である。
【0055】
防錆剤
防錆剤としては無機系防錆剤および有機系防錆剤のいずれも用いることができる。無機系防錆剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム等が挙げられる。また、有機系防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、オクタデシルアミン等などが挙げられる。これらの防錆剤の中でもベンゾトリアゾール化合物を使用することが好適であり、更に1,2,3−ベンゾトリアゾールを使用することが好適である。
【0056】
(基材層)
基材としては、特に限定されないが、例えば、剥離基材や、透光性基材が挙げられる。また、近赤外線吸収粘着層の片面に透光性基材、反対面に剥離基材が設けられていてもよく、また、近赤外線吸収粘着層の両面に剥離基材層が設けられていてもよい。剥離基材としては、特に限定されないが、グラシン紙、シリコーン処理されたポリエチレンがラミネートされたクラフト紙、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
【0057】
透光性基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、シクロポリオレフィン、非晶質ポリオレフィン等のオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のメタクリル系ポリマー、酢酸ビニルやハロゲン化ビニル等のビニル系ポリマー、PET等のポリエステル、ポリカーボネート、ブチラール樹脂等のポリビニルアセタール、ポリアリールエーテル系樹脂、ラクトン環含有樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。更に、当該透光性基材には、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングが施されてもよい。また、当該透光性基材を構成する基材樹脂には、公知の添加剤、耐熱老化防止剤、滑剤、帯電防止剤等が配合されていてもよい。当該透光性基材は、公知の射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶融させてキャスティングする方法などを用い、フィルムまたはシート状に成形される。かかる透光性基材を構成する基材は、未延伸でも延伸されていてもよく、また他の基材と積層されていてもよい。
【0058】
コーティング法で近赤外線吸収フィルムを得る場合の透光性基材としてはPETフィルムが好ましく、特に易接着処理をしたPETフィルムが好適である。具体的にはコスモシャインA4300(東洋紡績製)、ルミラーU34(東レ製)、メリネックス705(帝人デュポン製)等が挙げられる。また、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、反射防止フィルム、ぎらつき防止フィルム、衝撃吸収フィルム、電磁波シールドフィルム(メッシュフィルムを含む)、紫外線吸収フィルムなどの機能性フィルムも透光性基材として使用できる。これにより、簡便に薄型ディスプレイ用や光半導体素子用の光学フィルターを作製することができる。透光性基材は、フィルムであることが好ましい。
【0059】
これらのうち、ガラス、PETフィルム、ラクトン環含有樹脂フィルム、易接着性PETフィルム、TACフィルム、反射防止フィルム及び電磁波シールドフィルムが透光性基材として好ましく使用される。基材層の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜10mmが好適である。
【0060】
その他、任意層として如何なる層が形成されていてもよいが、近赤外線吸収粘着層表面に、電磁波をシールドするために金属メッシュフィルムが貼り付けられていることが好適である。金属メッシュフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、銅製の金属メッシュフィルムが挙げられる。ここで、近赤外線吸収粘着層表面に貼り付けられるメッシュフィルムは、当該粘着剤層中に埋め込まれるような形で貼付されると、更に他の層を積層することが出来るため、好適である。
【0061】
本発明に係る粘着型光学フィルムの耐熱性は、80℃にて500時間放置した際の850nmの波長における透過率の上昇値は、特に限定されないが、20%以下が好適であり、15%以下がより好適であり、10%以下が更に好適であり、950nmの波長における透過率の上昇値も、特に限定されないが、15%以下が好適であり、10%以下がより好適であり、5%以下が更に好適である。また、粘着型光学フィルムの耐湿熱性は、温度60℃、湿度90%の条件下500時間放置した際の850nmにおける透過率の上昇値が、20%以下であることが好適であり、15%以下であることが好適であり、10%以下であることが好適である。950nmの波長における透過率の上昇値も、特に限定されないが、15%以下が好適であり、10%以下がより好適であり、5%以下が更に好適である。
【0062】
[製造方法]
本発明に係る粘着型光学フィルムは、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物と溶剤とを含有する塗工液を基材上に塗工する塗工工程、前記塗工工程により形成した塗工膜を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程により得られた膜をエイジングするエイジング工程により近赤外線吸収粘着層を形成することができる。
【0063】
塗工工程
塗工工程において、粘着剤組成物を含有する塗工液を基材上に塗布する。ここで、塗工液には、粘着剤組成物と溶剤が含まれていてもよい。また、塗工液の中に、前記架橋剤やシランカップリング剤が含まれていてもよい。溶剤としては、公知の溶剤を用いることができるが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また二種以上を混合して使用してもよい。塗工方法としても、公知の方法により塗工することができるが、例えばアプリケーターを用いて塗工することができる。
【0064】
乾燥工程
乾燥工程において、塗工工程により得られた塗工膜に含まれる溶剤を除去し、乾燥させる。乾燥方法は、公知の方法を用いることができるので特に限定されないが、例えば、オーブンを用いて乾燥させることができる。
【0065】
エイジング工程
エイジング工程においては、得られた膜をエイジング(熟成)させることにより、ジイモニウム色素を針状に凝集させる。ここで、エイジングは35℃以上に加熱した条件下で行う。35℃以上の温度であれば、加熱温度と加熱時間に依存して凝集体の形成速度が向上する。例えば、40℃で養生する場合、1日以上程度養生すれば凝集体が形成される。35℃以上であれば3日以上養生することが好適であり、40℃以上であれば3日以上とすることが更に好適である。
【0066】
このように、乾燥工程後、溶媒が除去された状態でジイモニウム色素を凝集させるため、塗工液の状態でジイモニウム色素が分散しているものを用いて近赤外線吸収粘着層を形成した場合と異なり、凝集体が針状に形成される。また、このように溶媒を除去した後に凝集させるため、ジイモニウム色素が高い耐久性を有することとなる。
【0067】
[使用方法]
得られた粘着型光学フィルムは、プラズマディスプレイパネル用として用いられる。すなわち、プラズマディスプレイパネルのガラスパネル表面に貼り付けて使用することにより、近赤外線吸収フィルターとして使用することができる。特に本発明に係る粘着型光学フィルムによれば、ジイモニウム色素が高い耐久性を有すると共に、可視光領域における吸収スペクトルや色調も変化し難いという効果も奏する。また、粘着層に近赤外線吸収能を持たせることが可能であるため、光学フィルムの層構成を減らすことができ、よりコストの低い光学フィルムを得ることができる。
【0068】
プラズマディスプレイ用として使用する場合、近赤外線吸収能のみならず、ネオンカット機能を持たせてもよい。すなわち、ネオン発光吸収色素を粘着剤組成物に添加するとよい。
【0069】
その他、プラズマディスプレイに使用する際に、電磁波をカットするために銅製のメッシュフィルムを使用する場合があり、このメッシュフィルムと粘着フィルムの近赤外線吸収粘着層とを貼り合わせて光学フィルター部材として使用する場合があるが、防錆剤を使用することにより、銅の酸化を防止することが可能となる。当該用途において、防錆剤として、特に、ベンゾトリアゾール化合物が好適であり、更に1,2,3−ベンゾトリアゾールを使用することが好適である。
【実施例】
【0070】
<製造例1:粘着剤樹脂A>
モノマーとしてブチルアクリレート(412.7g)、メチルアクリレート(117.9g)、アクリル酸(10.4g)を秤量し、十分に混合して重合性モノマー混合物(A1)を得た。160gの酢酸エチルと300gの重合性モノマー混合物(A1)とをフラスコに入れた。また滴下ロートに300gの重合性モノマー混合物(A1)、16gの酢酸エチル及び、0.15gのナイパーBMT−K40(重合開始剤、日油株式会社製)を入れ、よく混合して滴下用混合物(A2)を作成した。窒素ガスを20ml/分で流通させながら、フラスコの内温を95℃まで上昇させ、重合開始剤であるナイパーBMT−K40(0.15g)をフラスコに投入し、重合反応を開始させた。滴下ロートからの滴下用混合物(A1)の滴下を90分掛けて滴下した。滴下用混合物(A2)の滴下終了後、粘度の上昇に応じて酢酸エチルで希釈を行いながら、6時間の熟成を行い、アクリル系ポリマーを得た。反応終了後、SKダインMD5(アミン含有粘着付与剤、綜研化学製)を59.0g添加し、よく混合した。重量平均分子量60万、酸価8の粘着剤樹脂Aを得た。
【0071】
<製造例2:粘着剤樹脂B>
モノマーとしてブチルアクリレート(458.6g)、メチルアクリレート(131.0g)、アクリル酸(10.4g)を秤量し、十分に混合して重合性モノマー混合物(B1)を得た。160gの酢酸エチルと300gの重合性モノマー混合物(B1)とをフラスコに入れた。また滴下ロートに300gの重合性モノマー混合物(B1)、16gの酢酸エチル及び、0.15gのナイパーBMT−K40(重合開始剤、日油株式会社製)を入れ、よく混合して滴下用混合物(B2)を作成した。窒素ガスを20ml/分で流通させながら、フラスコの内温を95℃まで上昇させ、重合開始剤であるナイパーBMT−K40(0.15g)をフラスコに投入し、重合反応を開始させた。滴下ロートからの滴下用混合物(B1)の滴下を90分掛けて滴下した。滴下用混合物(B2)の滴下終了後、粘度の上昇に応じて酢酸エチルで希釈を行いながら、6時間の熟成を行い、アクリル系ポリマーを得た。反応終了後、重量平均分子量60万、酸価8の粘着剤樹脂Bを得た。
【0072】
<製造例3:粘着剤樹脂C>
モノマーとしてブチルアクリレート(409.1g)、メチルアクリレート(116.9g)、アクリル酸(15.6g)を秤量し、十分に混合して重合性モノマー混合物(C1)を得た。160gの酢酸エチルと300gの重合性モノマー混合物(C1)とをフラスコに入れた。また滴下ロートに300gの重合性モノマー混合物(C1)、16gの酢酸エチル及び、0.15gのナイパーBMT−K40(重合開始剤、日油株式会社製)を入れ、よく混合して滴下用混合物(C2)を作成した。窒素ガスを20ml/分で流通させながら、フラスコの内温を95℃まで上昇させ、重合開始剤であるナイパーBMT−K40(0.15g)をフラスコに投入し、重合反応を開始させた。滴下ロートからの滴下用混合物(C1)の滴下を90分掛けて滴下した。滴下用混合物(C2)の滴下終了後、粘度の上昇に応じて酢酸エチルで希釈を行いながら、6時間の熟成を行い、アクリル系ポリマーを得た。反応終了後、SKダインMD5(アミン含有粘着付与剤、綜研化学製)を58.4g添加し、よく混合した。平均分子量60万、酸価12の粘着剤樹脂Cを得た。
【0073】
<製造例4:粘着剤樹脂D>
モノマーとしてブチルアクリレート(567.5g)、アクリル酸(32.5g)を秤量し、十分に混合して重合性モノマー混合物(D1)を得た。160gの酢酸エチルと300gの重合性モノマー混合物(D1)とをフラスコに入れた。また滴下ロートに300gの重合性モノマー混合物(D1)、16gの酢酸エチル及び、0.15gのナイパーBMT−K40(重合開始剤、日油株式会社製)を入れ、よく混合して滴下用混合物(D2)を作成した。窒素ガスを20ml/分で流通させながら、フラスコの内温を95℃まで上昇させ、重合開始剤であるナイパーBMT−K40(0.15g)をフラスコに投入し、重合反応を開始させた。滴下ロートからの滴下用混合物(D2)の滴下を90分掛けて滴下した。滴下用混合物(D2)の滴下終了後、粘度の上昇に応じて酢酸エチルで希釈を行いながら、6時間の熟成を行い、アクリル系ポリマーを得た。反応終了後、重量平均分子量60万、酸価25の粘着剤樹脂Dを得た。
【0074】
各種値は下記の方法により測定した。
【0075】
(酸価)
所定量の試料を容器に取り、溶剤を加えてよく溶解させる。
電位差滴定装置を用いて0.1moL/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
酸価(mgKOH/g)=(A×f×5.61)/S
A:終点における0.1moL/L水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
f:0.1moL/L水酸化カリウム溶液のファクター
S:試料採取量(g)
【0076】
(分子量)
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、試料を0.01gに秤量して、テトラヒドロフラン(THF)10gに添加し、24時間放置して溶解した。この溶液をゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンにより作成した検量線から、それぞれの分子量を測定した。
(測定条件)
装置名:東ソー社製、HLC−8220GPC
サンプル濃度:0.1重量%(THF溶液)
サンプル注入量:20μl
溶離液:THF
流速:0.300ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−L(1本)+TSKgel SuperHZM−M(2本)、リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)、東ソー製
検出器:示差屈折計(RI)
【0077】
【表1】

【0078】
<例1:粘着剤樹脂A使用粘着フィルム>
NIRカット色素CIR−1085F(日本カーリット製:ジイモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩)をMEKに溶解し、固形分5%の溶液1を調整した。また架橋剤としてエポキシ系硬化剤E−AX(綜研化学製)をMEKに溶解し、固形分1%の溶液2を調整した。溶液1と溶液2を粘着剤樹脂A中に固形分比で粘着剤樹脂100重量部に対して、それぞれ2.5部、0.05部となる様に添加・混合し、近赤外線吸収粘着剤Aaを得た。近赤外線吸収粘着剤Aaをアプリケーターにて2次剥離PET(東レフィルム加工製、BX8A)に塗工した。塗工時の厚みは乾燥後の粘着剤厚みが25μmになる様に調整した。次いで80℃のオーブン中にて2分間乾燥させた。この近赤外線吸収粘着剤Aaからなる層に1次剥離PET(東レフィルム加工製、BKE(RX))を貼り合せ、40℃で3日間養生させ、近赤外線吸収粘着フィルムAa1を得た。
近赤外線吸収粘着フィルムAa1の2次剥離PETを剥がし、光学顕微鏡により露出した近赤外線吸収粘着層側から当該近赤外線吸収粘着層の様子を観察したところ、ジイモニウム色素の針状凝集体が形成されていることは確認できなかった。
次に、露出した近赤外線吸収粘着層を易接着処理光学PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300)に貼り合せ、更に1次剥離PETを剥がし、ガラス板に貼り合せることで試験体Aa2を作成した。
【0079】
<例2:粘着剤樹脂B使用粘着フィルム>
NIRカット色素CIR−1085F(日本カーリット製:ジイモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩)をMEKに溶解し、固形分5%の溶液1を調整した。また架橋剤としてエポキシ系硬化剤E−AX(綜研化学製)をMEKに溶解し、固形分1%の溶液2を調整した。溶液1と溶液2を粘着剤樹脂B中に固形分比で粘着剤樹脂100重量部に対して、それぞれ2.5部、0.05部となる様に添加・混合し、近赤外線吸収粘着剤Baを得た。
近赤外線吸収粘着剤Baをアプリケーターにて2次剥離PET(東レフィルム加工製、BX8A)に塗工した。塗工時の厚みは乾燥後の粘着剤厚みが25μmになる様に調整した。次いで80℃のオーブン中にて2分間乾燥させた。この近赤外線吸収粘着剤Baからなる層に1次剥離PET(東レフィルム加工製、BKE(RX))を貼り合せ、40℃で3日間養生させ、近赤外線吸収粘着フィルムBa1を得た。
近赤外線吸収粘着フィルムBa1の2次剥離PETを剥がし、光学顕微鏡により露出した近赤外線吸収粘着層側から当該近赤外線吸収粘着層の様子を観察したところ、ジイモニウム色素の針状凝集体が形成されていることは確認できなかった。
次に、露出した近赤外線吸収粘着層を易接着処理光学PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300)に貼り合せ、更に1次剥離PETを剥がし、ガラス板に貼り合せることで試験体Ba2を作成した。
【0080】
<例3:粘着剤樹脂C使用粘着フィルム>
NIRカット色素CIR−1085F(日本カーリット製:ジイモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩)をMEKに溶解し、固形分5%の溶液1を調整した。また架橋剤としてエポキシ系硬化剤E−AX(綜研化学製)をMEKに溶解し、固形分1%の溶液2を調整した。更に架橋剤としてイソシアネート硬化剤L−45(綜研化学製)を酢酸エチルに溶解し、固形分約9%の溶液3を調整した。溶液1と溶液2、及び溶液3を粘着剤樹脂C中に固形分比でそれぞれ2.5部、0.09部、0.99部となる様に添加・混合し、近赤外線吸収粘着剤Caを得た。
近赤外線吸収粘着剤Caをアプリケーターにて2次剥離PET(東レフィルム加工製、BX8A)に塗工した。塗工時の厚みは乾燥後の粘着剤厚みが25μmになる様に調整した。次いで80℃のオーブン中にて2分間乾燥させた。この近赤外線吸収粘着剤Caからなる層に1次剥離PET(東レフィルム加工製、BKE(RX))を貼り合せ、40℃で3日間養生させ、近赤外線吸収粘着フィルムCa1を得た。
近赤外線吸収粘着フィルムCa1の2次剥離PETを剥がし、光学顕微鏡により露出した近赤外線吸収粘着層側から当該近赤外線吸収粘着層の様子を観察したところ、ジイモニウム色素の針状凝集体が形成されていることは確認できなかった。
次に、露出した近赤外線吸収粘着層を易接着処理光学PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300)に貼り合せ、更に1次剥離PETを剥がし、ガラス板に貼り合せることで試験体Ca2を作成した。
【0081】
<例4:粘着剤樹脂D使用粘着フィルム>
NIRカット色素CIR−1085F(日本カーリット製:ジイモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩)をMEKに溶解し、固形分5%の溶液1を調整した。また架橋剤としてエポキシ系硬化剤E−AX(綜研化学製)をMEKに溶解し、固形分1%の溶液2を調整した。溶液1と溶液2を粘着剤樹脂D中に固形分比でそれぞれ2.5部、0.05部となる様に添加・混合し、近赤外線吸収粘着剤Daを得た。近赤外線吸収粘着剤Daをアプリケーターにて2次剥離PET(東レフィルム加工製、BX8A)に塗工した。塗工時の厚みは乾燥後の粘着剤厚みが25μmになる様に調整した。次いで80℃のオーブン中にて2分間乾燥させた。
この近赤外線吸収粘着剤Daからなる層に1次剥離PET(東レフィルム加工製、BKE(RX))を貼り合せ、40℃で3日間養生させ、近赤外線吸収粘着フィルムDa1を得た。
近赤外線吸収粘着フィルムDa1の2次剥離PETを剥がし、光学顕微鏡により露出した近赤外線吸収粘着層側から当該近赤外線吸収粘着層の様子を観察したところ、ジイモニウム色素の針状凝集体が形成されていることを確認した。結果を図1及び2に示す。尚、当該針状凝集体の円形集合体の平均直径は181μmであった。
次に、露出した近赤外線吸収粘着層を易接着処理光学PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300)に貼り合せ、更に1次剥離PETを剥がし、ガラス板に貼り合せることで試験体Da2を作成した。
【0082】
[耐久試験:分光特性試験]
耐熱性試験
得られた例1〜4に係る試験体を分光光度計(島津製作所製 UV3150、JIS Z 8722)で透過スペクトル、及び色調、ヘイズメーター(日本電色製、NDH2000:JIS K7105)でヘイズを測定した後、それぞれの試験体を80℃オーブンに投入し、500時間放置した。経過後、試験体を投入前と同様に特性測定を実施し、初期値との比較を行った。各結果を、表2及び図3〜図6に示す。
【0083】
耐湿熱性試験
それぞれの試験体を80℃オーブンに投入する工程を、60℃/90%恒温恒湿槽で500時間放置する工程に変更した以外は、耐熱性試験方法と同じ方法により、試験体の投入前後の各種分光特性の比較を行った。各結果を、表2及び図3〜図6に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
上記の結果より、試験前後の分光特性値の差を算出し、下記の表3に示した。
【0086】
【表3】

【0087】
以上のように、例4に係る試験体を用いると、ヘイズ値の変化が少なく、更に、850nm及び950nmの波長における光透過率の上昇もほとんど観測されない。耐熱性試験において850nmで7.11%、950nmで1.66%であり、耐湿熱性試験において850nmで4.86%、950nmで1.07%と他の例の変化率と比較して顕著に低く抑えられている。すなわち、ジイモニウム色素の吸収がほとんど変化しておらず、当該色素が高い耐久性を有していることがわかる。その上、可視光領域における分光スペクトルの変化もないことから推測できるが、色調の値もほとんど変化しない(Yxy値)。すなわち、例4に係る試験体は、顕著に高い耐久性を有することがわかる。
【0088】
また、アミン含有粘着付与剤を含有していない例2については、耐熱性試験及び耐湿熱性試験において、ヘイズの上昇が確認された。このうち、耐熱性試験においては、例4と比較すると若干落ちるものの、透過率の上昇は小さく抑えられ、高い耐熱性を有していることが確認できた。耐熱性試験後の試料について当該試料を光学顕微鏡で観察したところ、針状凝集体の生成が確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素と、を含有する近赤外線吸収粘着層と、基材層とを有し、
前記近赤外線吸収粘着層に前記ジイモニウム色素の針状凝集体が散在していることを特徴とする、粘着型光学フィルム。
【請求項2】
前記粘着型光学フィルムが、前記アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素と、溶剤とを含有する塗工液を前記基材層上に塗工して、乾燥させて得られる近赤外線吸収粘着層をエイジングすることにより、前記ジイモニウム色素の針状凝集体を形成し、得られることを特徴とする、請求項1記載の粘着型光学フィルム。
【請求項3】
前記近赤外線吸収粘着層が、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤からなる群から選ばれる一の架橋剤又は二以上の架橋剤の組み合わせを含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の粘着型光学フィルム。
【請求項4】
前記近赤外線吸収粘着層が防錆剤を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の粘着型光学フィルム。
【請求項5】
前記近赤外線吸収粘着層に金属メッシュフィルムが貼着されてなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の粘着型光学フィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載の粘着型光学フィルムが表面に貼り付けられている、プラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
アクリル系ポリマーと、ジイモニウム色素とを含有し、
アミン系添加剤の含有量が、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して10重量部以下であり、
前記アクリル系ポリマーの酸価が7〜50mgKOH/gであることを特徴とする、近赤外線吸収粘着剤組成物。
【請求項8】
前記アクリル系ポリマーが、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、カルボキシル基含有モノマーとを含有してなることを特徴とする、請求項7記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
【請求項9】
前記ジイモニウム色素が、下記式(1)のジイモニウムカチオンと、
【化1】

(式(1)中、R〜Rは同一または異なってもよい、水素原子、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、フェニルアルキレン基またはアルコキシ基を示す。)
下記式(2)のカウンターアニオンと
【化2】

(式(2)中、R、Rは、同一または異なってもよい、フッ素原子またはフッ化アルキル基を示す。)
からなることを特徴とする、請求項7又は8記載の近赤外線吸収粘着剤組成物。
【請求項10】
更に、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤からなる群から選ばれる一の架橋剤又は二以上の架橋剤の組み合わせを含有することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項記載の近赤外吸収粘着剤組成物。
【請求項11】
防錆剤を含有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項記載の近赤外吸収粘着剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−209716(P2011−209716A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50503(P2011−50503)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】