説明

精製水による光触媒セラミックスフィルター洗浄付空気清浄方法および空気清浄装置

【課題】 光触媒セラミックスフィルターを用いた空気清浄機において、空気清浄機に組み込まれた光触媒セラミックスフィルターを取り外すことなく光触媒セラミックスフィルターの汚れ成分を除去する方法を提供する。
【解決手段】 光触媒セラミックスフィルターを用いた空気清浄機において、光触媒セラミックスフィルターの付着した汚れ成分を除去するため、空気清浄機に組み込まれた光触媒セラミックスフィルターを取り外すことなく、精製水を用いて水洗浄を行い乾燥させることによる、簡単な光触媒セラミックスフィルターの汚れ成分の除去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒セラミックスフィルターにアンモニア等が吸着すると光触媒反応により硝酸(NO)となる。又メルカプタン等硫黄酸化物は同じく光触媒反応で硫黄酸化物(SOx)となる。これらは触媒毒と呼ばれ、いずれも臭気成分の分解処理能力を低下させる。更に、光触媒セラミックスフィルターに未分解有機物の付着、臭い成分である有機物の付着により臭気成分の分解能力が低下する。そこで、光触媒フィルターを精製水で洗浄することにより触媒毒を除去して、光触媒フィルターの臭気分解能を保持して臭気成分の分解処理を行う臭気処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンを代表とする酸化物半導体光触媒は、殺菌用253.7nmとTOC−UV用184.9nmとの紫外線を照射すると光誘起電荷分離が起こり、その表面に強力な酸化力、還元力が生じ、光触媒表面に吸着した細菌を死滅させたり有機物等を炭酸ガス(CO)や水(HO)に分解処理することはよく知られている。
しかし、これら光触媒セラミックスフィルターは、分解対象物である臭い成分、未分解の臭い成分、更に触媒毒成分の付着により臭気成分の分解能が低下した場合、一般的には組み込まれた装置から光触媒セラミックスフィルターを取り外して、水洗浄を行い乾燥後再度組み付ける等の処理を行い、光触媒セラミックスフィルターの臭気成分分解能を保持させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光触媒セラミックスフィルターを用いた空気清浄機において、光触媒セラミックスフィルターの付着した汚れ成分を除去するため、空気清浄機に組み込まれた光触媒セラミックスフィルターを取り外して水洗浄を行い乾燥させて再度組み付けるのは大変な労力と手間と時間を要する。そこで、簡単に水洗浄を行えるようにする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は長年光触媒用酸化チタンを用いた脱臭方法、脱臭装置の研究を行ってきて、前記課題に記載されている光触媒セラミックスフィルターが空気清浄機に組み込まれたまま該フィルターの水洗浄の検討を行った。
図2に外装をはずして、光触媒用酸化チタンフィルター(1)と紫外線ランプ(2)を組み付けた側からの写真を示した。光触媒用酸化チタンフィルター(1)は1枚が縦150mm×横150mm×厚み15mmの寸法のものが4枚組み込まれている。そこで、1枚の重量が100gから200gまで10g毎のフィルターを作成した。1枚のフィルターを垂直に立て、上部に径が12mmφ×長さ150mmの塩ビ管に1mmφの孔を20mm間隔に空けたものを置き、KOSHIN LTD社製バスポンプ(BP−101K)で、水量:1,700ml/min分で通水して、フィルター内のみ水が流れるか確認実験をおこなった。1枚が120gから160gの5枚が特に綺麗に下部からの水の排出も均一に流れることを確認した。
次に、現在、水洗浄に関しては、病院及び動物舎で使用された使用済み光触媒セラミックフィルターを回収して水洗浄を行ってる。
【0005】
これに対して、光触媒セラミックフィルターを用いた空気清浄方法において、光触媒セラミックスフィルターに付着した臭気成分、未分解の有機成分、光触媒反応により発生する硝酸、硫黄酸化物の触媒毒成分を空気清浄機内に設置した状態のまま、精製水を用いて水洗浄を行うことを特徴とする空気清浄方法で水洗浄を行う。
【0006】
前記、水洗浄は、水を循環して処理を行い、光触媒セラミックスフィルターの上部より加圧水流によりフィルター内を流水して行い、フィルターの汚れ成分を含む洗浄水はフィルター下部の洗浄水受け皿に貯められポンプにより、プレフィルターでごみ類を処理した後、有機物分解用紫外線ランプで有機物成分を分解後、混床式イオン交換樹脂ボンベで、イオン成分を除去して精製水とした後、再度光触媒セラミックスフィルター上部より加圧水流として用いることを特徴とする洗浄水を循環して行う空気清浄方法で行う。
【0007】
前記、水洗浄は、水を循環して処理して行い、光触媒セラミックスフィルターの上部より加圧水流によりフィルター内を流水して行い、フィルターの汚れ成分を含む洗浄水はフィルター下部の洗浄水受け皿に貯められポンプにより、プレフィルターでごみ類を処理した後、有機物分解用紫外線ランプで有機物成分を分解後、混床式イオン交換樹脂ボンベで、イオン成分を除去して精製水とした後、再度光触媒セラミックスフィルター上部より加圧水流として用いることを特徴とする空気清浄装置を用いて行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光触媒セラミックスフィルターに付着する臭気成分、未分解成分、触媒毒成分を装置内に設置したまま水洗浄除去を行うため、常に光触媒セラミックスフィルターの分解能をほじさせたまま稼動させるため清浄な環境保持とランニングコストの低減に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に精製水による光触媒セラミックスフィルター洗浄付空気清浄方法の模式図を示したので、この図1に従って説明する。
はじめに、送風機は図2の光触媒セラミックフィルター1の裏側の中心部にあるため番号取りが出来ていない、空気清浄機本体は4枚の光触媒セラミックスフィルター1を1組として、この光触媒セラミックフィルター1の表面から15mm離した位置に4本の紫外線ランプ2を組み込んだものを1組のユニットとした。本ユニットを2組組み込んである。これを本体と呼ぶ。
この本体上部の光触媒セラミックフィルターの上部1mm程度の位置に光触媒セラミックスフィルター1に水洗浄用の精製水を供給するための水噴射フラットノズルヘッダー7をそれぞれのユニットの光触媒セラミックスフィルター1に設置する。光触媒セラミックスフィルターを水洗浄しながら落下した洗浄水は洗浄水受皿9に貯められる。レベルセンサーで稼動するポンプP1で洗浄水を水槽3に移送する。これら洗浄水は流量を制御したポンプP2で、プレフィルター4でごみなど沈殿物を処理した後、有機物分解用紫外線ランプ(TOC−UV)5で洗浄水中に含まれるTOC成分(全有機炭素成分)を分解処理した後、陽イオン樹脂4/陰イオン樹脂6の割合のイオン交換ボンベでイオン成分を処理した後精製水として水洗浄用として水噴射フラットノズルヘッダー7へ供給する。この水洗浄は、1日2回使用開始前と使用後10時間程度の2回約30分後水洗浄を行う。光触媒セラミックスフィルターの水切れが良いので、洗浄後5から10分後位から稼動しても問題は無い。
【実施例1】
【0010】
それぞれの仕様機器は表1に示した部品を使用した。
尚、水噴射フラットノズルヘッダーは、100mmの長さの両端を軟質パイプをつなぐた

ら精製水を1,700mL/minの水流で光触媒セラミックフィルター上に流し込んだ。水は、フィルターの外に漏れることなく、洗浄水受皿9に貯留された。
精製水の水量が3,400mL/minまで、揚げて流してもフィルターの外に漏れることは無かった。
尚、この方法で洗浄した光触媒セラミックフィルターと同等の精製水に浸漬させて、陽イオン、陰イオンおよびTOC成分分析したが、同等に洗浄できていることが確認された。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0011】
装置より取り外して、汚れ成分の洗浄をしている製造工程にも広く利用可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】精製水による光触媒セラミックスフィルター洗浄付空気清浄方法の模式図
【図2】光触媒セラミックスフィルター(1)と紫外線ランプ(2)を組み付けた写真
【符号の説明】
【0013】
1.光触媒セラミックスフィルター
2.紫外線ランプ
3.水槽
4.プレフィルター
5.有機物分解用紫外線ランプ(TOC−UV)
6.イオン交換樹脂ボンベ
7.水噴射フラットノズルヘッダー
8.噴霧水滴
9.洗浄水受皿
p1.ポンプ1
p2.ポンプ2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒セラミックフィルターを用いた空気清浄方法において、
光触媒セラミックスフィルターに付着した臭気成分、未分解の有機成分、光触媒反応により発生する硝酸、硫黄酸化物の触媒毒成分を空気清浄機内に設置した状態のまま、精製水を用いて水洗浄を行うことを特徴とする空気清浄方法。
【請求項2】
前記、水洗浄は、水を循環して処理して行い、光触媒セラミックスフィルターの上部より加圧水流によりフィルター内を流水して行い、フィルターの汚れ成分を含む洗浄水はフィルター下部の洗浄水受け皿に貯められポンプにより、プレフィルターでごみ類を処理した後、有機物分解用紫外線ランプで有機物成分を分解後、混床式イオン交換樹脂ボンベで、イオン成分を除去して精製水とした後、再度光触媒セラミックスフィルター上部より加圧水流として用いることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄方法。
【請求項3】
光触媒セラミックフィルターを用いた空気清浄装置において、
光触媒セラミックスフィルターに付着した臭気成分、未分解の有機成分、光触媒反応により発生する硝酸、硫黄酸化物の触媒毒成分を空気清浄装置内に設置した状態のまま、精製水を用いて水洗浄を行うことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項4】
前記、水洗浄は、水を循環して処理して行い、光触媒セラミックスフィルターの上部より加圧水流によりフィルター内を流水して行い、フィルターの汚れ成分を含む洗浄水はフィルター下部の洗浄水受け皿に貯められポンプにより、プレフィルターでごみ類を処理した後、有機物分解用紫外線ランプで有機物成分を分解後、混床式イオン交換樹脂ボンベで、イオン成分を除去して精製水とした後、再度光触媒セラミックスフィルター上部より加圧水流として用いることを特徴とする請求項3に記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−17504(P2010−17504A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206344(P2008−206344)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(390039619)株式会社ピュアレックス (19)
【Fターム(参考)】