説明

糖尿病におけるmiRNAに関連する組成物と方法

本発明は、対象の損傷された単一細胞または複数の細胞で一つ又は複数のmiRNAsの発現を調節する作用剤を対象に投与することを含む、対象でグルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患の治療方法に関する。本発明は、また、損傷された単一細胞または複数の細胞で一つまたは複数のmiRNAsの発現を調節する作用剤を含む、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患を治療するための組成物に関する。本発明は、また、糖尿病性網膜症の診断を含む、対象でグルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患の診断方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性糖尿病を含むグルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾病中のマイクロRNA分子およびマイクロRNAのプロファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は先行技術をより完全に記述するために、角括弧の中で多様な参考文献が引用される。
【0003】
糖尿病性網膜症
ほぼすべてのI型糖尿病患者と60%のII型糖尿病患者は網膜症になる。2030年までに、全世界のII型糖尿病患の数は3.66億であると予想される。カナダでは200万人以上の糖尿病患者がある、その中に約10%の患者が1型糖尿病であり、約90%の患者が2型糖尿病である。糖尿病性網膜症(DR)は、北米で失明の最も重要な全身性原因である。いくつかのタンパク質分子の変更は、DRで実証されている。糖尿病性網膜症の治療のための個別のタンパク質についての研究は、もう長時間進行されたが、今までもすべての努力は、臨床試験で失敗した。内皮細胞損傷は、DRを含むすべての慢性糖尿病合併症における重要な特徴である。血管壁に並べる内皮細胞によるグルコースの取り込みは、インスリンに依存しない。糖尿病患者の体内の血糖値が高くなると、グルコースは内皮細胞内に流入して内皮細胞の損傷を引き起こす。
【0004】
網膜症は二つのタイプ或はステージがある:非増殖性網膜症と増殖性網膜症。非増殖性糖尿病性網膜症に、眼内の部分血管(微細動脈瘤)は大きくなる。血管が閉塞させる可能性もある。少量の出血(網膜出血)があるかもしれない、また流体は網膜へ漏れる可能性がある。増殖性網膜症は、末期と重度の疾患状態である。新しい血管は目の中で成長し始める(血管形成)。これらの新しい血管は、脆弱で出血することができる(出血)。網膜上および目の他の部分(硝子体)で小さな傷跡は発生する。最終結果として、視力がなくなると他の問題もある。
【0005】
マイクロRNA
マイクロRNA(“miRNA”)は、最近、天然に存在する分子が認定された。miRNAは、遺伝子発現調節に著しい効果がある小さな(約20-25ヌクレオチド)RNA分子である[1]。miRNAの転写は、RNAポリメラーゼIIによって行ない、5’キャップとポリA尾を持つ初期のmiRNAを作成する。核内で前駆体のmiRNA(70-100ヌクレオチド、またヘアピン形)への初期のmiRNAの加工は、RNAse II、DroshaとDGCR8によって媒介される。そして、前駆体miRNAはExportin 5によって細胞質に輸出される。細胞質内に、前駆体miRNAは、RNase IIIダイサーによってさらに成熟miRNAすなわち機能的に活性な形態になる[1、2]。RISC複合体とmiRNAは特定のmRNA標的に結合し、特定のmRNA分解または翻訳抑制を引き起こす[1、2]。いくつかの研究者が過剰発現実験を使用して種々の細胞プロセスにmiRNAの重要性を実証した。miRNAsもヒストン修飾の制御に重要な役割を果たすと考えられる[3]。多数のmiRNAコード領域は、タンパク質をコードする遺伝子のイントロンに配置され、それらの宿主遺伝子と共調節されると考えられる。しかしながら、彼らが自身のプロモーターによって制御される可能性もある。いくつかのmiRNAsは悪性腫瘍の中で識別された。これらは癌遺伝子(c-MYC)、転写因子(NFκB)とメチル化を含むさまざまな因子を調節することが実証された[1、2]。
【0006】
様々な疾患におけるmiRNAの潜在的な治療への応用に、科学界に相当な興味がある。機構的な観点から、一つのmiRNAは複数の遺伝子を調節する、従って一つ或はわずかのmiRNAsを標的することは潜在的に複数の遺伝子の発現を防ぐユニークな機会を提供することができる。このようなRNAに基づいた治療法は、標的miRNAsの作用の特異性から、魅力的である。
【0007】
miRNA発現の調節解除は、疾病の原因である可能性があり、miRNAの発現の検出は、診断として有用になる可能性がある。
【0008】
糖尿病におけるmiRNA
文献における糖尿病個体の網膜で特定のmiRNAの特徴的な変化がある研究がなかった。しかしながら、他の糖尿病合併症の研究は、miRNAの変化を実証した。たとえば、グルコース誘導インスリン遺伝子発現に関与するmiR375の変化は、糖尿病で実証された[4]。 miR320のアップレギュレーションは、2型糖尿病レットの心臓の微小血管内皮細胞で実証された[5]。miR377は、p21-活性化キナーゼとスーパーオキシド・ジスムターゼの調節により糖尿病性腎症で増加したフィブロネクチン産生を調節することが示された[6]。mi192も、TGFβ誘発のコラーゲン発現に影響を与えることによって糖尿病性腎症に変更されることが示された[7]。糖尿病のウサギの心臓には、QT延長を引き起こすHERG K+チャンネルを調節するmiR133が減少されたことも実証した[8]。さらに、miR1はグルコース誘発の心筋細胞のアポトーシスに関与する。出願人の最近の研究によって、糖尿病レットの心臓及びグルコースに暴露された心筋細胞で心筋細胞肥大に直接関するmiR133aのダウンレギュレーションを示すことが実証した[9]。非糖尿病の心臓肥大の他の研究は、miR1とmiR133のダウンレギュレーションも実証した[10,11]。
【0009】
WO2009/045356(WO'356)は、miRNAによって細胞と組織の応答あるいは変化を誘発する血管内皮増殖因子(VEGF)の能力を変更する疾患の治療方法を開示する。WO'356は、癌、炎症および黄斑変性症のような創傷と疾患を治療する方法を開示する。しかし、WO'356は、グルコースに暴露された細胞あるいは糖尿病対象の網膜でどのmiRNAsが変更されるかを開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
糖尿病性網膜症のような慢性糖尿病合併症を含むグルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患の効率的な治療法が必要である。糖尿病のロバストな早期検出の技術も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一方、本発明は、対象の単一細胞または複数の細胞中の一つ又は複数のmiRNAsの発現を調節する作用剤または作用剤の混合物を投与することを含むことを特徴とする、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患を有する対象の治療方法を提供する。
【0012】
もう一方、本発明は、単一細胞または複数の細胞中の一つ又は複数のmiRNAsの発現を調節する作用剤または作用剤の混合物および薬学的に許容される担体を含む、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患を治療するための組成物を提供する。
【0013】
本発明に係る作用剤または作用剤の混合物は、対象の単一細胞または複数の細胞中の一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つの miRNAの発現をアップレギュレートする。一つの態様で、一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAはmiR-1、miR-146a、miR200b又はmiR-320から選択される。
【0014】
本発明に係る作用剤または作用剤の混合物は、オリゴヌクレオチド或はオリゴヌクレオチドの混合物を含む。
【0015】
本発明に係るオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物はmiRNA、その誘導体あるいは類似体、miRNA前駆体、成熟miRNA又は前記の少なくとも一つのmiRNAをコードするDNA分子として提供される。
【0016】
本発明に係るオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物は、薬学的に許容される担体を含む組成物で提供される。
【0017】
本発明に係るオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物は配列番号1〜4から選択される。
【0018】
本発明に係る作用剤または作用剤の混合物は、輸送媒体で提供される。
本発明に係る輸送媒体はウイルスベクター、微粒子、リポソーム、コロイド金粒子、リポ多糖、ポリペプチド、多糖、又はPEG化ウイルス輸送媒体から選択される。
【0019】
本発明に係る作用剤または作用剤の混合物は単一細胞または複数の細胞中の一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つの miRNAの発現をアップレギュレートする。一つの態様で、一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAはmiR-144、又はmiR-450から選択される。
【0020】
本発明に係る作用剤または作用剤の混合物は、少なくとも一つのmiRNAの阻害剤あるいは阻害剤の混合物を含む。
【0021】
本発明に係る阻害剤または阻害剤の混合物はantagomir、アンチセンスRNA又は短干渉RNAから選択される。
【0022】
本発明に係る阻害剤または阻害剤の混合物は、薬学的に許容される担体を含む組成物で提供される。
【0023】
本発明に係る疾患は糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、或は糖尿病性大血管疾病を含む慢性糖尿病合併症である。
【0024】
本発明に係る作用剤または作用剤の混合物は、非経口投与又は局所投与により適用される。
【0025】
本発明に係る疾患は糖尿病性網膜症である時、作用剤または作用剤の混合物は、眼内投与または眼への局所点眼により投与される。
【0026】
本発明に係る疾患は糖尿病性網膜症である時、作用剤または作用剤の混合物は、眼部埋め込みによって投与される。
【0027】
また、本発明は(a)miR-1、miR-146a、miR-200b或はmiR-320に標的されるオリゴヌクレオチド、及び(b)miR-144或はmiR-450の阻害剤を少なくとも一つ含む組成物を対象に投与することを含むことを特徴とする、対象の糖尿病性網膜症の治療方法を提供する。
【0028】
また、本発明は、対象からのサンプル中の一つ又は複数のmiRNAsの発現プロファイルを測定することを含むことを特徴とする対象のグルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患を診断する方法を提供する。その中に、対象からのサンプルのmiRNAの発現プロファイルと通常のサンプル又は参照サンプルのmiRNA発現プロファイルの差は、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患の指標である。
【0029】
本発明の疾患を診断する方法の一つの態様で、疾患は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、又は糖尿病大血管疾患を含む慢性糖尿病性合併症である。
【0030】
本発明の疾患を診断する方法の一つの態様で、方法は、対象の糖尿病性網膜症を診断する方法である。
【0031】
本発明の疾患を診断する方法の一つの態様で、一つ又は複数のmiRNAsはmiR1、miR146a、miR200b、miR320、miR144或はmiR450から選択される。
【0032】
本発明の疾患を診断する方法の一つの態様で、通常のサンプル或は参照サンプルに対して、miR1、miR146a、miR200bとmiR320のダウンレギュレーション、及びmiR144とmiR450のアップレギュレーションは、疾患の指標である。
【発明の効果】
【0033】
(a)miRNAsは自然の作用剤であり、医薬品として使用されると非常に特異である。
(b)miRNAsは容易に合成することができる。
【0034】
(c)miRNAsは眼内注射することによって硝子体に輸送できる。硝子体内薬物輸送は網膜疾患を治療するための受け入れられる方法である。
【0035】
(d)miRNAsは糖尿病および糖尿病性網膜症を含む糖尿病合併症の診断に使用することができる。これは非常に早い段階でこのような疾患を診断する新しい方法を提供する。
【0036】
以下の詳細な記述を参照して、本発明はよりよく理解される。又は発明の目的は明らかになる。以下、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】miRNAアレイのvolcano plotを示すグラフであり、対照群とストレプトゾトシン(STZ)誘発(1型糖尿病のモデル)糖尿病(処理した)ネズミの網膜とのmiRNAの変化を示す。
【図2】a)は低濃度グルコース(LG)と高濃度グルコース(HG)に暴露された内皮細胞でmiR320の発現レベルの定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(定量RT-PCR)分析を示すグラフである。b)-d)は低濃度グルコース(LG)と高濃度グルコース(HG)に暴露された内皮細胞で、及びHGに暴露され、陰性のmiRNA(HG+ neg)或はmiR320模倣物(HG+ miR320)で形質移入された内皮細胞での(b)フィブロネクチン(FN)mRNA、(c)エンドセリン-1(ET-1)mRNAと(d)血管内皮増殖因子(VEGF)mRNAの発現レベルの定量RT-PCR分析を示すグラフである。e)はLG、HG、LG或はHGと陰性の形質移入(LG+Neg、HG+Neg)、及びLG或はHGとmiR320模倣物形質移入(LG+miR320、HG+miR320)の内皮細胞でのMAPK(ERK1/2)活性化を示すグラフである。*はLGに比べて統計的な有意差がある。
【図3】a)は、5mmol/Lグルコースと比較して、25mmol/Lグルコースに暴露されたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)で、25mmol/Lグルコースに暴露され、陰性のmiRNA(25mM+Scram)或はmiR146a模倣物(25mM+miR146a)で形質移入した内皮細胞で、miRNA 146aの発現レベルの定量RT-PCR分析を示すグラフである。b)-c)は、5mmol/Lグルコース、25mmol/Lグルコースに暴露されたHUVECで、及び25mmol/ Lグルコースに暴露されたと陰性(スクランブル)miRNA(25mM+Scram)或はmiR146a模倣物(25mM+miR146a)で形質移入したHUVECで、b)フィブロネクチン(FN)mRNAとc)フィブロネクチンのタンパク質レベルの発現レベルの定量RT-PCRとELISA分析を示すグラフである。Scramはスクランブルである;*は5mM又は5mM Scramに比べて統計的な有意差がある;**は25mM又は25mM Scramに比べて有意差がある;miRNAレベルはRNU6B(U6)との比として表され、LGに基準化される;mRNAは18S RNAとの比として表される。
【図4】a)は、年齢と性別をマッチさせた対照群(C)のmiR146aレベルと比較して、STZ誘発糖尿病ラット(D)の網膜組織におけるmiR146aレベルを示すグラフである。b)は、硝子体中の輸送効率を示すグラフであり、その中でmiR146a模倣物(D+146a)の硝子体内注射はスクランブル模倣物(D+SC)ではなく、増加した網膜miR146aにつながる。c)-d)は、STZ糖尿病ラットの網膜組織の中にフィブロネクチン(FN)(c)mRNA及び(d)タンパク質レベルを示すグラフである。糖尿病誘発したFN mRNAとタンパク質のアップレギュレーションは、スクランブル対照(D+SC)によるではなく、miR146a模倣物(D+miR146a)の硝子体内注射によって防がれる。データは、I、c)RNU6(U6)、d)18Sの比率として表現された;*は対応するCより統計的な有意差がある;nは5/グループである。
【図5】a)は、バイオインフォマティクス予測(www.TargetScan.org、www.microrna.org、www.ebi.ac.uk1)に基づいて、成熟miR146aとフィブロネクチン(FN1)3'UTR配列のアライメントである。b)-c)は、(b)ヒト及び(c)ラットFN1プロモーター ルシフェラーゼ レポーター アッセイでmiR146aの結合を示すグラフである。**はベクトルのみ或はベクトル+スクランブルより統計的な有意差がある。
【図6】a)は、対照ラットの網膜にmiR146aの局在を示す網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真である。b)は、網膜の毛細血管(矢印)に陽性染色を示すパネル(a)の高倍率顕微鏡写真である。c)は、毛細血管(矢印)でmiR146aの最小の(もしあれば)発現量を示すSTZ糖尿病ラットの網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真である。アルカリ ホスファターゼ(ALKフォス)は対比染色なしで色原体として使用された。
【図7】HUVECでNF-kBの活性を示すグラフである。X軸に示す様々な条件:5mmol/Lグルコース、25mmol/Lグルコースに暴露されたHUVECであり、及び25mmol/Lグルコースに暴露されたと陰性(スクランブル)miRNA(25mM+Scram)或はmiR146a模倣物(25mM+miR146a)で形質移入したHUVECである。*は他のグループより統計的な有意差がある。データは5mMグルコースグループに基準化した。
【図8】年齢と性別をマッチさせた対照群(C)のmiR146aレベルと比較して、db / db糖尿病マウス(db / db)(2型糖尿病のモデル)の網膜組織でmiR146aレベルを示すグラフである。データはRNU6(U6)の比として表される。* は他のグループより統計的な有意差がある。
【図9】糖尿病ラットの網膜の中にmicroRNA及びVEGFの変化を示すグラフである。非糖尿病対照群と糖尿病群(STZ誘発、フォロー アップの1ヶ月後)ラットの網膜組織サンプルのa)定量RT-PCR及びb)ELISA分析により、糖尿病ラットの網膜の中でVEGF mRNA及びタンパク質の増加したレベルを示す。c)は、非糖尿病対照群と比較して、糖尿病ラットの網膜でmiR200bの定量RT-PCR分析を示すグラフである。miRNAのデータはRNU6B(U6)との比として表され、対照群のレベルに基準化される;(mRNAレベルは、18S RNAとの比として表され、対照群に基準化される。* は他のグループより統計的な有意差がある)。
【図10】HUVECでグルコース誘発したmiR200bダウンレギュレーションの効果である。a)は、25mmol/Lグルコース(HG)、5mmol/Lグルコース(LG)、及び25mM L-グルコース(浸透圧対照、OSM)に暴露されたときに、HUVECでmiRNA200bの発現である。b)は、LG、HG、及び25mM L-グルコース(OSM)に暴露されたときに、スクランブル(scr)模倣物又はmiR200bで形質移入されたとLGに暴露された(LG+Scr、LG+200b)又はHGに暴露された(HG+Scr、HG+200b)、及びantagomirs[200b(A)]で形質移入されたとLGに暴露された(LG+200b(A))ときに、HUVECにおけるVEGF mRNAの発現である。c)には、miR200b模倣物の形質移入の効率がスクランブル(scr)模倣物に比べて、miR200b模倣物の形質移入の後にHGに暴露されたHUVECで増加したmiR200bの発現によって示された。d)は、HUVECに似て、ウシ網膜内皮細胞(BREC)がグルコース誘発したmiR200bダウンレギュレーションを示した。e)は、miR200b模倣物[空ベクトル(V)ではなく、pcDNA3.1ベクター(V200b)にクローニングされたmiR200bを使用する]でのBRECsのトランスフェクションがHG誘導したVEGF mRNAの発現のmiR200bダウンレギュレーションを正常化されたことを示した。f)は、ベクトル対照群に比べて、miR-200b模倣物の形質移入の後にこれらの細胞で増加したmiR200bの発現によって、BRECでmiR-200b模倣物の形質移入の効率が示される。LG=5mMグルコース、Scr=スクランブルmiRNA、200b= miR200b模倣物、200b(A)=200b antagomir、OSM=25mMLグルコース[浸透圧対照]。*はLG或はLGスクラムより有意差がある、+はHG或はHGスクラムより有意差がある。miRNA レベルはRNU6B(U6)との比として表され、LGに基準化される;mRNAは18S RNAとの比として表され、LGに基準化される。
【図11】HG誘発およびVEGF媒介の増加した内皮透過性が、a)持続時間依存性データとb)エンドポイントで、スクランブル(Scr)模倣物ではなく、miR200b模倣物(200b)の形質移入によって防がれる。c)には同様に、グルコース誘発したECの管腔形成はスクランブル(Scr)模倣物ではなく、miR200b模倣物(200b)の形質移入によって防がれる。d)は管腔形成アッセイの定量化を示す。(LG=5mMグルコース、Scr =スクランブルmiRNA、200b= miR200b模倣物、200b(A)=200b antagomir、OSM=25mMLグルコース(浸透圧対照)。*はLG又はLGスクラムより有意差がある、+はHG或はHGスクラムより有意差がある。miRNA レベルはRNU6B(U6)との比として表され、LGに基準化される;mRNAは18S RNAとの比として表され、LGに基準化される。
【図12】a)はバイオインフォマティクス予測(www.TargetScan.org、www.microrna.org、www.ebi.ac.uk1)に基づいて、成熟miR200b とVEGF3'UTR(と変異[mut] VEGF3'-UTR)シーケンスのアライメントである。b)は(ヒト)、c)(ラット)はmiR200bとVEGFプロモーター ルシフェラーゼ レポーター アッセイの結合、miR200b とVEGF3'UTRの用量依存的結合を示すグラフである。β-ガラクトシダーゼの発現に基準化された発光ユニットによって、相対的なプロモーター活性が表現された。*はベクトルのみ或はベクトル+スクランブルより統計的な有意差がある。
【図13】網膜のVEGFのmiR200bを介した変化とmiR200bによるその阻止を示すグラフである。miR200b模倣物(200b)とスクランブル模倣物(Scr)の硝子体内注射がある又はなしにより、対照(Cont)と糖尿病(Diab)ラット(STZ誘発した)の網膜でa)VEGF mRNA及びb)タンパク質のレベルである。c)には、スクランブル模倣物に比べて、miR200b模倣物の硝子体内注射後に増加した網膜内miR200bの発現によって、硝子体内輸送の効率がある。*は対照群又は糖尿病+Scr群より統計的な有意差がある(右グラフ)、+は糖尿病群より有意差がある。
【図14】糖尿病におけるmiR200b媒介した網膜VEGFの変化の機能的な結果を示す顕微鏡写真である。a)は、対照ラットの網膜における網膜組織のLNATM-ISH研究を示す顕微鏡写真であり、顕微鏡写真では、網膜の毛細血管の内皮細胞(矢印)、神経節細胞(矢頭)および内核層の細胞(二重矢印、両方のグリアとニューロンの中)で、miR200bの局在を示す。挿入図は毛細血管と細胞質および核miR200bの局在(矢印)の拡大図である。b)は、糖尿病ラット(STZ誘発した)網膜(パネル(a)のように同様の方向で)で網膜組織のLNATM-ISH研究を示す顕微鏡写真であり、miR200bの最小の(もしあれば)発現量を示す。c)は、抗アルブミン抗体を用いた対照ラットの網膜上に免疫組織化学染色を示す顕微鏡写真である。血管内アルブミンがあること(矢印)を示す。d)は、糖尿病ラット(STZ誘発した)網膜でパネル(c)のように同様の免疫組織化学染色を示す顕微鏡写真であり、血管反応性(矢印)と網膜のびまん性染色があり、増加した血管透過性を示す。e)の顕微鏡写真では、アルブミン染色がSTZ誘発の糖尿病ラットの網膜で硝子体内miR200b注射後に血管コンパートメント(矢印)でのみ存在した。ALK PhosはLNATM-ISHで対比染色なしで色素として使用された、アルブミン染色でDAB色素とヘマトキシリン対比染色。
【図15】糖尿病誘発したp300の変化のmir200b調節を示すグラフである。a)は、異なる条件下、HUVECの中でp300 mRNAアップレギュレーションを示すグラフであり、その中では、5 mmol/Lグルコース(LG)、25 mmol/Lグルコース(HG)に暴露されたHUVECであり、及び25mmol/ Lグルコースに暴露されたと陰性のmiRNA(HG+Scram)又はmiR200b模倣物(HG+200b)で形質移入したHUVECである。b)は、HUVECでmiR200bの発現を示すグラフであり、miR200bの発現量に対するp300 siRNA形質移入の影響は見られなかった。c)は、糖尿病ラット(対照と比較した)で網膜p300 mRNAの発現を示すグラフである。*は対照又はLGより統計的な有意差がある、+は糖尿病あるいはHGより有意差がある、スクラムはスクランブル対照である。
【図16】非糖尿病ヒトから網膜組織のLNATM-ISH研究を示す顕微鏡写真であり、網膜の毛細血管(矢印)で、及び内核層の細胞(二重矢印)でmiR200bの局在を示す。挿入図は内皮細胞染色による微小血管(矢印)のハイパワー写真である。b)は、miR200bの最小の(もしあれば)発現量を示す糖尿病ヒトの網膜の顕微鏡写真である(パネルa)のように同様の方向で)。c)は、抗アルブミン抗体を用いて非糖尿病ヒトの網膜に免疫組織化学染色を示す顕微鏡写真であり、血管内アルブミン(矢印)の存在を示す。d)は、血管内アルブミン染色(矢印)と網膜のびまん性染色を示す糖尿病ヒトの網膜の顕微鏡写真であり、増加した血管透過性を示す。ALK PhosはLNATM-ISHで対比染色なしで色素として使用された、アルブミン染色でDAB色素とヘマトキシリン対比染色。
【図17】対照群と糖尿病群(db/db)マウス-2型糖尿病モデルの網膜でmiR200bの発現レベルの定量RT-PCR分析を図示する。*は対照群より統計的な有意差がある。
【図18】対照群と糖尿病動物群のラット網膜でmiR1の発現レベルの定量RT-PCR分析を示すグラフである。通常の(対照)ラットの網膜に比べて、糖尿病ラットの網膜でmiR1の発現が統計的に有意な減少された。*は対照に比べてP<0.05を示す。
【図19】a)は、対照群と糖尿病ラット(ストレプトゾトシン誘発した、1型糖尿病のモデル)の網膜組織サンプル中のmiR144の発現レベルの定量RT-PCR分析を示すグラフである。b)は、対照群及び糖尿病ラットの網膜組織サンプル中のmiR450の発現レベルの定量RT-PCR分析を示すグラフである。*は対照に比べてP<0.05を示す。
【図20】miR146aとmiR320の存在を示す、増殖性糖尿病性網膜症の2つ対象からの硝子体線維血管組織の増幅プロット(定量RT-PCR分析)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面において、本発明の具体化は例として示される。説明と図面は例証の目的のためのみであること、理解への援助とすること、及び本発明の範囲を限定しないことを明らかに理解するべきである。
【0039】
発明の詳細な説明
もし別に定義されなければ、すべてここに使用される技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を持っている。また、別に示されなければ、特許請求の範囲を除いて、“又は”の使用は、“及び”を含み、またその逆も同じである。非限定的用語は、異なるように明示的に述べられておらず、又はコンテキストが明確に示されない限り、限定するものとして解釈されるべきではない(例えば、“包含”、“有する”と“含む”は、典型的には“を含むがこれらに限られない”ことを示す)。特許請求の範囲に含まれる単数形、例えば、“一つの”と“その”は、異なるように明示的に定めがない限り、複数リフェレンスを含んでいる。
【0040】
その発明は、図面の参照により詳細に説明する。
本発明は、比較的に高いレベルのグルコースに暴露された細胞と糖尿病対象の網膜の中でmicroRNAs(miRNA)の変更されたレベルの発見に関連する。
【0041】
出願人は、比較的に高いレベルのグルコースに暴露された細胞および糖尿病対象の網膜に含む糖尿病対象の細胞の中で特定のmiRNAsのプロフィールが変更されることを発見した。申請者は、変更されたmiRNAsが糖尿病における重要な役割を果たすことが知られていたタンパク質のアップとダウンレギュレーションと関連することをさらに発見した。更に、出願人は、miRNA分子が前記のタンパク質を翻訳するmRNAのレベルを実質的に規準化するために使用られることができるのを発見した。
【0042】
本発明は、対象でグルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患を治療する方法および組成物に関する。方法は、それを必要とする対象の単一細胞または複数の細胞に一つ又は複数のmiRNAの発現を調節する作用剤あるいは作用剤の混合物を対象に投与することを含む。組成物は、それを必要とする単一細胞または複数の細胞に一つ又は複数のmiRNAの発現を調節する作用剤または作用剤の混合物を含む。
【0043】
このように、本発明は、miRNAに基づいた組成物およびmiRNAに基づいた方法に関する。それらは、比較的に高グルコースのレベルに暴露された細胞で、及び血糖レベルへの暴露に関連する疾患(例えば、糖尿病)を有する対象の細胞で、共に糖尿病の対象の網膜で、ダウンレギュレーションされ、或はアップレギュレーションされるmRNAの表現とタンパク質の産生を実質的に正常化することに役立つ。本発明も、糖尿病関連疾患におけるmiRNAsの異なる表現プロフィールに基づいた診断方法に関する。
【0044】
マイクロRNA
miRNAは、一つ又は複数のmRNAの一部または断片に相補的である。さらに、miRNAsは、mRNAを結合するために絶対的な配列相補性を必要とせず、それらが標的転写物の広い範囲を調節することが可能にする。miRNAsは、相補的なヌクレオチドの間にギャップを持つ標的配列と典型的に結合する。ここに使用された用語 "絶対的な配列相補性"は、二つの配列、例えば、miRNAと標的遺伝子あるいは転写産物の長さに沿ってそれぞれの塩基対が、ギャップなしで結合するという要求を説明することを意味する。用語 "相補的"は、ヌクレオチドの少なくとも約50%が反対側で一つ配列ともう一つの配列を結合させる二つの配列を説明することを意味する。
【0045】
miRNAsは、頻繁にmRNA転写産物の3 'UTRに相補的であるが、本発明のmiRNAsは、標的mRNAの任意の領域を結合することができる。或は、又はさらに、miRNAsは、標的mRNAsをコードする遺伝子に対応するメチル化のゲノムサイトを標的にする。一部のゲノムDNAのメチル化状態は、転写因子とそのDNAの接触性を決定する。このように、DNAメチル化と脱メチル化は、遺伝子サイレンシングと発現をそれぞれ調節する。
【0046】
本発明のmiRNAsは、表1の配列(配列番号1〜6)及び同族体とその類似体、miRNA前駆体分子、及び前記のmiRNAsをコードするDNA分子を含む。
【0047】
【表1】

【0048】
好ましくは、配列番号1〜6の配列の同族体の相同性は、少なくとも90%である、より好ましくは少なくとも95%同一である。
【0049】
さらに、本発明は、ストリンジェントな条件で配列番号1〜6のヌクレオチド配列とハイブリダイズできるヌクレオチド配列、その相補的な配列あるいはその高度に同一の配列を包含する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、45 ℃で、1×SSC及び0.1% SDSで、1時間洗浄することを含む。好ましくは約48 ℃で、より好ましくは約50 ℃で、特に好ましくは0.2×SSC及び0.1% SDSで、約1時間洗浄する。
【0050】
成熟miRNAは、通常、約19〜24ヌクレオチド(又はこの間の任意の範囲)の長さ、特に21、22又は23ヌクレオチドの長さを有することに注目されるべきである。しかしながら、miRNAsはまた、約70〜100のヌクレオチドの長さを有し得る前駆体(pre-miRNA)として提供することができる。これは、前駆体がより大きい約100ヌクレオチドの長さを持つ一次転写産物(pri-miRNA)の加工によって生成されることに注目されるべきである。
【0051】
miRNAは、通常、一本鎖分子である。一方で、miRNA前駆体は、通常、少なくとも部分的に自己相補的な分子の形で二本鎖部分を形成することができる、例えば、ステムとループ構造である。miRNA、pre-miRNAとpri-miRNA分子をコードするDNA分子も、本発明によって包含される。核酸は、RNA、DNA或は核酸類似体分子から選ばれる、例えば、糖あるいは骨格を修飾したリボヌクレオチド或はデオキシリボヌクレオチドである。他の核酸類似体は、例えば、ペプチド核酸(PNA)又はロックド核酸(LNA)も適していることに注目されるべきである。
【0052】
本発明の核酸分子は、化学合成法又は組換え方法によって得ることができる、例えば、酵素的な転写によって、合成DNA-鋳型又は組換え生物から単離されたDNA-プラスミドから得ることができる。典型的に、ファージRNA-ポリメラーゼは転写に使用される、例えば、T7、T3、又はSP6 RNA-ポリメラーゼである。
【0053】
本発明は、また、発現の場合に発現の対照配列と効果的に連接させる組換え核酸を含む組換え発現ベクターに関連する、例えば、転写および任意に更なる加工の結果は上述のようなmiRNA分子またはmiRNA前駆体(pri-又はpre-miRNA)分子になる。ベクターは、真核生物に、より具体的には哺乳動物細胞における核酸の発現に適した発現ベクターである。前記のベクターに含まれる組換え核酸は、それ自体としてmiRNA分子の転写、miRNAの分子を与えるためにさらに加工されるその前駆体または一次転写産物を結果としてなる配列である。
【0054】
miRNA調節因子
miRNAsは、治療手順のための標的として作用してもよく、例えば、miRNAの阻害または活性化は、血管新生のような過程を調節することが可能である。本発明の組成物および方法は、例えば、miRNA分子、miRNAレベルを増加させる分子、及び/又はペプチドの生産物または対象の少なくとも一つの細胞で応答を誘導するペプチドの能力を変更する或は減少するmiRNAsの阻害剤等の一つの作用剤あるいは作用剤の混合物を含む。本明細書中で使用されたように、用語“miRNA調節因子”は、miRNAレベル及び/又はmiRNAの阻害剤レベルを増大、減少または減弱する分子または化合物を含む。
【0055】
考えられているそのmiRNA調節因子となれる作用剤は、miRNA分子、一本鎖あるいは二本鎖RNA又はDNAポリヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、タンパク質、小分子、イオン、ポリマー、化合物、抗体、イントラボディー、antagomirs又はそれらの任意の組み合わせを含む。miRNA調節因子は、miRNAの発現レベル、活性及び/又は機能を増大、減少、減弱または抑制させる。一つの例示的なmiRNAの阻害剤は、antagomirである。本発明のAntagomirsは、特異的かつ効果的に一つ又は複数のmiRNA(s)の発現をサイレンスすることであり、化学的に設計されたオリゴヌクレオチドである。Antagomirsは、コレステロールを接合した約21〜23塩基の長さの一本鎖RNA分子であり、或は少なくとも一つの成熟の標的miRNAに相補的である。
【0056】
本発明のmiRNAの阻害剤は、例として、ゲノム配列や前駆体配列を標的にすること、及び遺伝子或はそのmiRNA自体の転写を防止すること、又はmiRNA或はその前駆体の分解を引き起こすことによって、内在性または外在性のmiRNA遺伝子の発現または機能を抑制する又はサイレンスする。例えば、阻害剤は干渉RNA(RNAi)、短干渉RNA(siRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、アンチセンス オリゴヌクレオチド(RNA又はDNA)、モルホリノ、或はペプチド核酸(PNA)である。一つの態様で、miRNAの阻害剤は、miRNAと結合する一本鎖RNA、DNA又はPNA である。それはdsRNA、DNA / RNAハイブリッド、又はRNA / PNAハイブリッドを形成させ、、その後に分解される。交互のまたは付加的な態様で、阻害剤は、miRNAと結合する一本鎖RNA、DNA又はPNA である。それは、dsRNA、DNA / RNAハイブリッド、又はRNA / PNAハイブリッドを形成させ、又はmiRNAを標的配列と結合することを防ぐ。
【0057】
miRNAの阻害剤は、約17〜25ヌクレオチドの長さ(この間の任意範囲)であり、及び成熟miRNAの5'―3'配列に対して少なくとも90%相補的である5'―3'配列を含む。
【0058】
本発明のもう一つの態様で、miRNAの阻害剤は、標的配列を結合させないであるように、miRNAが分解され、又は細胞のコンパートメント又は細胞器官に隔離させることを引き起こす配列又は部分で標識させられる。例えば、miRNAの阻害剤は、miRNAが細胞から追放されるようになる分泌性シグナルで標識させられる。代わりに、又はそれに加えて、miRNAの阻害剤は、miRNAが分解されるようになるユビキチンタグで標識させられる。
【0059】
miRNAの阻害剤は、細胞または組織でのポリペプチドの翻訳を減少させるmiRNAの能力を、、例えば、相加的な能力で減らすことができる。本発明のもう一つの態様で、細胞または組織でのポリペプチドの翻訳を減少させるmiRNAの能力を、例えば、相乗的な能力で減らすことができる。
【0060】
態様の中で、miRNA調節因子となることができる作用剤は、少なくとも一つの修飾ヌクレオチド類似体を含むRNA又はDNA分子である、例えば、天然のリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドは、非天然のヌクレオチドで置換される。修飾ヌクレオチド類似体が位置させられる、例えば、核酸分子の5'末端及び/又は3'末端にである。
【0061】
ヌクレオチド類似体は、糖又は骨格修飾されたリボヌクレオチドから選べられる。それは、しかしながら、天然の核酸塩基の代わりに非天然の核酸塩基を含むリボヌクレオチド、すなわち、核酸塩基修飾リボヌクレオチドも適していることに注目されるべきである。核酸塩基修飾リボヌクレオチドについては、5位で修飾されたウリジン又はシチジン[例えば、5-(2-アミノ)プロピル ウリジン、5-ブロモ ウリジン]、8位で修飾されたアデノシンとグアノシン[例えば、8-ブロモ グアノシン]、デアザ ヌクレオチド[例えば、7-デアザ-アデノシン]、O-とN-アルキル化ヌクレオチド[例えば、N6-メチル アデノシン]である。糖修飾されたリボヌクレオチドで、その2'-OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、-NR2又はCNから選べられる基による置換され、その中に、RがC1〜C6アルキル、アルケニル又はアルキニルである、ハロがF、Cl、Br又はIである。好ましい選ばれる骨格修飾リボヌクレオチドで、隣接したヌクレオチドに結びつけているリン酸エステル基は、修飾基、例えば、phosphothioateグループに置換される。それは、上記の修飾が組み合わされることに注目されるべきである。
【0062】
治療方法
本発明の態様は、miRNAsのアップレギュレーション及び/又はダウンレギュレーションを特徴とする疾患の治療方法に関する。一つの態様で、本発明は、前記の方法でそれを必要とする対象の単一細胞または複数の細胞で一つ又は複数のmiRNAの発現を調節する作用剤または作用剤の混合物を対象に投与することを含むことを特徴とするグルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患の対象を治療する方法を提供する。
【0063】
一実施例で、miRNAsをダウンレギュレートし、及び/又は前記のmiRNAsの標的をアップレギュレートするために作用剤または作用剤の混合物を投与することを含む治療方法である。
【0064】
本発明の一実施例では、それを必要とする単一細胞または複数の細胞で、例えば、グルコースを介して破損した細胞でのmiR144或はmiR450又はmiR144とmiR450の両方のアップレギュレートに対抗する治療方法に関連する。それは、ここにマウス又はラットのmiRNAsの結果が、ヒト カウンターパートのmiRNAに適用されることに考えられるべきである。阻害剤の投与を含み、例えば、アンチセンス分子であり、直接に過剰発現のmiRNAと相互作用する治療方法である。
【0065】
一実施例で、本発明は、miRNAsのダウンレギュレーションを特徴とする疾患の治療方法に関する。miRNAsをアップレギュレートし、及び/又は前記のmiRNAの標的をダウンレギュレーションするために、本発明の一つのmiRNA調節因子或はmiRNA調節因子の混合物を投与することを含む治療方法である。本発明の一実施例は、グルコースを介して破損した単一細胞又は複数の細胞で、一つ又は複数のmiR1、miR146a、miR200b或はmiR320のダウンレギュレーションに対抗する治療方法に関する。
【0066】
それは、ここに述べたmiRNA分子がアップレギュレーションされ、及び/又はダウンレギュレートされることは、同様に治療、診断又はスクリーニング方法に使用されることにさらに考えられるべきである。これは、一つ又は複数のmiRNAs或は前記の一つ又は複数のmiRNAsの発現の誘導物質の不足を補うために、少なくとも一つのmiRNA分子(すなわち、一つmiRNA分子或はmiRNA分子の混合物)の投与を含む治療方法である。
【0067】
図1〜18及び20を参照すると、出願人は、miRNAs(例えば、miR1、miR146a、miR200b、とmiR320)が相対的に高いグルコース レベルに暴露された内皮細胞で、同様に糖尿病の哺乳動物対象の網膜でダウンレギュレートされることを発見した。出願人は、少なくともmiR144及びmiR450が糖尿病対象の網膜でアップレギュレートされることをさらに発見した(図19を参照)。
【0068】
このように、一つ又は複数のmiR1、miR146a、miR200b、或はmiR320のアップレギュレーションを調節することができる作用剤、及び一つ又は複数のmiR144或はmiR450ダウンレギュレーションを調節することができる作用剤は、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患を治療する方法に使用される。本発明の態様では、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患は糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、又は糖尿病大血管疾患を含む慢性糖尿病合併症を含む。
【0069】
例えば、miR200bは、とりわけ、既知の血管新生調節因子である血管内皮増殖因子の翻訳を標的にする、血管新生抑制因子として機能するだろう。血管内皮増殖因子はまた、黄斑浮腫を引き起こす原因であるために、miR200bが増加した血管透過性と浮腫の抑制因子として機能するかもしれない。前述のように、糖尿病性網膜症の増殖期は進行性の微小血管異常(例えば、血管新生)で特徴付けられる。したがって、細胞または組織の中に、miRNA、或は類似体、或は前駆体、或は阻害剤を含むこれらの作用剤の発現または輸送は、特に糖尿病性網膜症に対して予防効果と治療効果を提供することができる。
【0070】
それは、本発明の治療方法が他のグルコースの細胞損傷に関連付けられている疾患を治療する方法と組み合わせて用いてもよいことが考慮される。
【0071】
診断または治療の応用のために、例えば、miRNA又はmiRNA調節因子は医薬組成物である組成物の中に含む。医薬組成物は活性剤として少なくとも一つのmiRNA或はmiRNA調節因子と任意の薬学的に許容される担体を含む。
【0072】
輸送媒体
本発明のオリゴヌクレオチドの投与は、インビトロ又はインビボで核酸が所望の標的細胞に導入される既知の方法によって行われる。
【0073】
本発明の態様は、輸送媒体の中に含まれた核酸構築物を含む。輸送媒体は、実在物であり、それによってヌクレオチド配列が少なくとも一つの媒介物から他の媒介物へ輸送することができる。輸送媒体は、核酸構築物の中でエンコードされた配列の発現のために、及び/又は構築物の細胞内輸送のために普通に使用される。輸送媒体が以下の群から選択される媒体であることは、本発明の範囲内である。その群は、RNAに基づいた媒体、DNAに基づいた媒体/ベクトル、脂質に基づいた媒体、ウイルスに基づいた媒体と細胞に基づいた媒体である。そのような輸送媒体の例は、生分解性の高分子微粒子、脂質に基づいた製剤、例えばリポソーム担体、構築物をコロイド金粒子の上にコーティングしたもの、リポ多糖類、ポリペプチド、多糖類、ペグ化ウイルス媒体を含む。
【0074】
本発明の一実施例では、輸送媒体としてウイルスを含み、そこでウイルスがアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア ウイルス、泡沫状ウイルス、サイトメガロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ポックスウイルス、RNAウイルス ベクターとDNAウイルス ベクターから選択される。このようなウイルスベクターは当該分野で周知である。
【0075】
普通に使用される遺伝子導入技術は、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン形質移入、エレクトロポレーション及びマイクロインジェクション及びウイルスの方法を含む[12,13,14,15,16]。細胞にDNAを導入する他の技術は、カチオン性リポソームを使用する [17]。市販のカチオン性脂質製剤には、例えば、Tfx50(Promega)又はリポフェクタミン2000(Life Technologies)がある。
【0076】
本発明の組成物は、溶液(例えば、注射できる溶液)、クリーム、軟膏、錠剤、懸濁液等の形態である。組成物は、任意の適した方法で投与され、例えば、注射、特に眼内注射、経口、局所、経鼻、直腸アプリケーション等である。担体は、任意の適した医薬担体である。標的細胞に入るRNA分子の有効性を向上させる担体が好ましく使用される。このような担体の好適な例は、リポソーム、特にカチオン性リポソームである。
【0077】
本発明の一つの態様は、in vivo投与に適した生物学的に適合な形態で、対象に投与のための一つ又は複数のmiRNA或はmiRNA調節因子を含む医薬組成物を包含する。本発明のmiRNA調節因子の投与は、糖尿病性網膜症を有する対象で過剰産生される一つ或は複数のタンパク質の産生を減少させるため、及び/又はそれらの対象で不十分な一つ又は複数のタンパク質の産生を増加させるために働き、したがって、長時間にわたってグルコース及び/又は糖尿病に関連する損傷を減らす。本発明のmiRNAsは、上記の発現ベクター内で提供される。それが適した医薬組成物で組み立てられる。
【0078】
“in vivo投与に適した生物学的に適合性の形式”では、治療効果が毒性効果を大幅に超過する投与の物質の形式を意味する。本発明の医薬組成物の治療的に活性的な量、又は“有効量”の投与は、タンパク質の産生を増加/減少する望ましい効果を達成するのに必要な、投与及び一定時間で有効な量と定義される。物質の治療的有効量は、要因によって変動され、例えば、この要因は患者の疾患状態/健康、年齢、性別、と体重、及び所望の応答を誘発するための特定のポリペプチド、核酸コーディング、又は組換えウイルスの固有の能力である。投与計画は、最適な治療応答を提供するように調整される。例えば、数回に分けた用量は、毎日または定期的な間隔で投与することができ、及び/又は治療状況の緊急性によって用量は比例的に減少させることができる。miRNA又はmiRNA調節因子の量は、投与経路、投与時間に依存し、個々の対象の応答に応じて変化する。適した投与経路は、筋肉内注射、皮下注射、静脈注射または腹腔内注射、経口及び鼻腔内投与である。糖尿病性網膜症の場合には、対象の網膜へmiRNA及び/又はmiRNA調節因子に基づいた組成物を注入するのが好ましい。本発明の組成物はまた、インプラントを通して提供され、長時間にわたって組成物の徐放のために使用される。
【0079】
糖尿病性網膜症の場合に、本発明のmiRNA及び/又はmiRNA調節因子に基づいた組成物は、約5マイクロリットルから約75マイクロリットルまで、例えば約7マイクロリットルから約50マイクロリットルまで、好ましくは約10マイクロリットルから約30マイクロリットルまでの効果的な量で眼へ局所的に投与される。本発明のmiRNAは、水溶液中の溶解性が高い。75マイクロリットルを超える容積でのmiRNAの眼への局所的な点滴注入は、溢流と排液を通して眼からmiRNAを損失する結果となる。したがって、約5マイクロリットルから約75リットルまでの量での眼への局所的な点滴注入によって、高濃度のmiRNA(例えば、100〜1000 nM)を投与することが好ましい。
【0080】
一態様で、非経口の投与経路は、眼内投与である。現在のmiRNAに基づいた組成物の眼内投与は、投与経路がmiRNA調節因子を目に入ることを許容する限り、目への注射または直接(例えば、局所的)投与によって達成される。上述した眼への局所的の投与経路に加えて、投与の適した眼内経路は、硝子体内、網膜内、網膜下、眼球鞘下、眼窩周囲と眼窩後、トランス-角膜及びトランス-強膜投与を含む。そのような眼内投与経路は、当業者の範囲内である[18〜21]。
【0081】
診断方法
一実施例で、本発明はまた、慢性糖尿病合併症を含むグルコースを介した細胞傷害に関連付けられている疾患で、既知の正常な標準に比べて特定のmiRNAの異なる発現プロファイルを利用する診断応用に関連する。たとえば、miRNAsの有無は、生物学的サンプルで、例えば、組織切片あるいは血液のような体液で、特定の細胞のタイプ、又は組織のタイプ、又はmiRNA分子又はmiRNA分子パターンの差次的な発現を特徴とするmiRNAに関連付けられている病原性の疾患を判定と分類するために、試験される。さらに、細胞の発育性の段階は一時的に発現したmiRNA分子を決定することによって分類される。
【0082】
それなりに、一実施例で、本発明は、対象で、前記のグルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患を診断するための方法を提供する。本発明の診断方法は、対象からのサンプルで一つ又は複数のmiRNAの発現プロファイルを測定することを含むが、対象からのサンプルのmiRNAの発現プロファイルと通常のサンプル又は参照サンプルのmiRNAの発現プロファイルの違いがグルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患を示していることができる。一つ又は複数のmiRNAは、miR1、miR146a、miR200b、miR320、miR144又はmiR450から選択することができる。
【0083】
グルコースを介した細胞損傷に関連付けられている疾患は糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、又は糖尿病大血管疾患を含む慢性糖尿病合併症を含む。
【0084】
一態様で、本発明の診断方法は、対象において糖尿病性網膜症を診断する方法である。
上記の開示は、本発明を普通に説明する。より完全な理解は、以下の具体的な実施例を参照することによって得ることができる。これらの実施例は、例示の目的のためにのみ記述され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。状況が示唆する又は与えることが可能なので、フォームでの変化と同等の置換は、好都合的に熟慮されている。特定の用語がここに採用されているが、そのような用語は、制限の目的ではなく、記述的な意味で意図される。
【実施例】
【0085】
実施例は、例示の目的のために記述され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0086】
実施例1
1.材料と方法
動物
C57BL/6Jマウスは、ジャクソン研究所(Bar Harbor, Maine, USA)から得た。6週齢から始まり、マウスがランダムに2グループに分けされた。雄マウスの一つのグループは、[クエン酸緩衝液として、隔日3回、50 mg / kg連続注入、pH=5.6] STZの腹腔内注射により糖尿病が作られた。性別をマッチさせた同腹仔は対照として用いて、等量のクエン酸緩衝液を投与した。連続2日に血糖値>20 mmol/Lと、糖尿病と定義された(Freestyle Mini, TheraSense Inc., Alameda, CA, USA)。動物は、標準的なげっ歯類の食事と水を自由に飼育され、高血糖、糖尿及びケトン尿を監視測定した(Uriscan GluketoTM, Yeong Dong Co., Seoul, South Korea) [22-25]。動物のいずれも、外来性のインスリンを投与されていない。動物(n= 6/グループ)は、糖尿病の2ヶ月後に屠殺した。網膜組織を切り出してスナップ凍結した。
【0087】
db / dbマウス(2型糖尿病のモデル)とその対照マウスは、ジャクソン研究所から購入した。糖尿病(血糖値の推定)の発症後、彼らは、2ヶ月間、追跡した。代謝パラメータ、体重、尿糖、尿ケトンは2ヶ月間、監視測定した。この期間の終了時に、マウスを屠殺し、網膜組織を採取した。miRNAを抽出し、分析した(下記参照)。
【0088】
雄Sprague-Dawleyラット(200〜250グラム)は、Charles River Colonyから得られた、ランダムに対照群と糖尿病グループに分けた。糖尿病の誘導や監視測定の方法は、以前に記述されている[22〜24]。4週間後、動物(N =6/グループ)が屠殺され、網膜組織は遺伝子の発現、マイクロRNA解析のためにスナップ凍結された、又はパラフィン包埋のために10%ホルマリンに入れた。
【0089】
ヒト組織
ホルマリン固定したパラフィン包埋した組織から5μmの網膜の組織切片は、ロンドン健康科学センターのアーカイブからの外科的に切除した目から陽電気を帯びるスライド上に収集された。倫理承認は、このような収集の前に得られた。このような材料は、無処置の条件に眼球摘出術を受けたそれぞれの両方の非糖尿病と糖尿病対象から収集された。切片は、透過性を試験し、及びmiR200bの局在をLNATM ISH研究するために、アルブミンに対して染色された(下記参照)。
【0090】
内皮細胞
グルコース誘導異常を示すヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs; American Type Culture Collection, Rockville MD)は、内皮細胞増殖培地(EGM)(Clonetics, Rockland, ME)で2,500 cells/cm2で培養された。EGMは、10μg/ lの組換えヒト上皮成長因子、1.0 mg / lのヒドロコルチゾン、50 mg / lのゲンタマイシン、50μg/ LのアムホテリシンB、12 mg / lのウシ脳抽出物、及び10%ウシ胎児血清で補充された。細胞が80%コンフルエントになった時に、適した濃度のグルコースは、培地に追加された。特に断らない限り、全ての実験は、グルコースの保温培養の24時間後に実施された。阻害剤は、グルコースの添加30分前に追加された。少なくとも異なるバッチの細胞、毎バッチ3分は、それぞれの実験に用いた。細胞の生存率と増殖は、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(WST-1; Roche、 Laval、PQ)によって決定された。細胞増殖と細胞生存率の定量化のためのこの比色アッセイは、ミトコンドリアの脱水素酵素によるテトラゾリウム塩WST-1の切断に基づいている。簡潔に言うと、HUVECsは、特定の試薬があるか又はない100μlの培養液中に1.0x104細胞/ウェルの細胞密度で96ウェルプレートに播種され、24時間培養された。10μL のWST-1は、ウェル当たりに添加され、細胞は、37℃で4時間保温培養された。450 nmの吸光度が測定された[26〜28]。
【0091】
ウシ網膜毛細血管内皮細胞(BRECs)は、VEC技術(Rensselaer、 NY)から得られ、定義されたEC増殖培地(MCDB-131 complete、VEC Technologie)でフィブロネクチン被覆されたフラスコに増殖させた。形質移入24時間前に、細胞は、フィブロネクチン(Sigma、USA)で被覆された6ウェルプレートに継代された。培養条件は、他の人が以前に記述されている[29]。
【0092】
HEK293A細胞も、ATCCから得られ、他の人が以前に説明したように使用された[30]。すべての細胞培養実験は、4回又は以上の三組で行われた。特記のない限り、すべての試薬は、シグマケミカル(Sigma、Oakville、Ontario、Canada)から得られた。
【0093】
miRNA発現のマイクロアレイ解析
マイクロRNAは、mirVana miRNAの抽出キット(Ambion Inc.、Austin、TX、USA)を使用して、内皮細胞及び網膜組織から抽出した。簡単に言えば、組織は、溶解/結合溶液の中でホモジナイズされた。miRNA添加物(1:10)と等量の酸-フェノール:クロロホルムは、ライセートに添加され、氷上で10分間保温培養された。遠心分離と水性相の除去後、混合物は、エタノール中で保温培養された。混合物は、フィルターカートリッジを通過させ、溶出液に溶出された。
【0094】
網膜のmiRNAアレイは、Asuragenからのサービスを利用してカスタム分析された。このような分析は、Agilent miRNAアレイが用いて行われた(http://assuragen.com)。
【0095】
PCRに基づいたmiRNA配列の分析は、製造元のインストラクションに従って、TaqManTM PCRシステムを用いてグルコースに暴露されたヒト臍帯静脈内皮細胞でmiRNAsの発現(HUVEC)の変化を調べるために実施された。
【0096】
RT-PCRによるmiRNA解析
miRNAは、mirVanaキット(Ambion Inc.、Austin、TX、USA)を用いて単離した。リアルタイムPCRは、アレイデータを検証するために使用された。プライマー(表2)は、Ambion社(株)(Austin、TX、USA)から得られた。20μLの最終反応体積については、以下の試薬が添加された:10μL TaqMan 2×Universal PCR Master Mix(No AmpErase UNG)、8μL Nuclease-free水、1μL TaqMan microRNAのプローブと1μL cDNA産出物である。データは、反応混合物中の逆転写の効率化とテンプレートの量の違いを考慮してRNU6Bに規準化された。
【0097】
ウエスタンブロット法
内皮細胞及び網膜組織は、ホモジナイズされ、遠心分離され、氷冷RIPA溶解バッファー(0.5 Mトリス-HCl、pH7.4、1.5M NaCl、2.5%デオキシコール酸、10%NP-40、10mM EDTA)に再懸濁された。細胞溶解液は、その後に超音波で処理されて、タンパク質は、BCAアッセイ(Pierce ENDOGEN、IL、USA)によって定量された。MAPK(ERK1/ 2)(New England Biolab)の発現を確認するためには、30μgのタンパク質がロードされ、10%SDS-PAGE上でサイズ分画され、PVDF膜(BIO-RAD Hercules、CA、USA)に一晩ブロッティングされた。非特異的な部位は、TBSで5%の脱脂乳粉末の溶液でブロックされた。続いては、それぞれの1:1000と1:5000希釈液を使用して、西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(Santa Cruz Biotechnology Inc., CA, USA)とヤギ抗ウサギ二次IgG抗体と保温培養した。MEF2を含むライセートは、強化された化学発光アドバンス ウェスタン ブロット検出システム(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ、USA)とAlphaimager 2200で可視化された。β-アクチンの発現は、内部の対照として同じ膜を用いて試験した。
【0098】
miRNA模倣物の形質移入
内皮細胞は、形質移入試薬(Qiagen, ON, Canada)を使用して、miRIDIANTMマイクロRNA模倣物のmiR146a、miR200bとmiR320(20 nM)(DHARMACON Inc., Chicago, IL, USA)で形質移入された。構築物は、Dharmacon社からカスタム合成された。関連したオリゴヌクレオチド配列は、線虫C. elegans miRNAに基づいてmiRIDIANのマイクロRNA 模倣物と同様のデザインと修飾であり、形質移入(これもこのドキュメントで陰性の形質移入と呼ばれる)を制御するために、陰性の対照miRNA(20 nM)として使用された。miRNAの形質移入の効率は、リアルタイムRT-PCRにより測定された。
【0099】
網膜の形質移入:糖尿病は雄のSprague Dawleyラット(SD)でストレプトゾトシン(STZ、65mg/kg、クエン酸緩衝液IPで、対照は緩衝液のみを注射した)を用いて誘発された。糖尿病は、連続2日に血糖値>20mmol/ Lとして定義され、血糖値の検査によって確認された。週に一度で4週間、動物の治療のために、1.4μg miR146a又はmiR200bは、形質移入試薬(10μlの合計体積)で各ラットの右硝子体腔に注入された。形質移入試薬と同様の体積の対照miRNA(任意の特異的結合のない非特異性のマイクロRNA)は動物の左眼に注射された。動物は、屠殺され、網膜組織は最後の注射の1週間後に収集された。網膜組織は、切り出され、リアルタイムRT-PCR又はマイクロRNA解析のための総RNAとmiRNAを抽出するために使用された。
【0100】
対照ラットは、同じ体積の生理食塩水とリポフェクチン試薬(登録商標)が注射された。カスタムmiRNA模倣物又はantigomirsは、HSA-miR200bの成熟microRNAの配列(配列番号3)とスクランブル対照(5'UCACAACCUCCUAGAAAGAGUAGA3’、配列番号7)に基づいて、Dharmaconによって合成された。硝子p300 siRNAの注入は、以前に記述されている[31]。動物は、第5週で屠殺られ、網膜組織は、上記のように収集された。
【0101】
細胞の生存率
細胞生存率は、トリパンブルー色素排除試験により検討された。トリパンブルー染色剤は、0.9%塩化ナトリウムの中に0.4%溶液として、新鮮に調製された。細胞はPBSで洗浄され、トリプシン処理され、遠心分離された。20マイクロリットルの細胞懸濁液は、20μLのトリパンブルー溶液に添加され、500個の細胞は、Burkerサイトメトリーで顕微鏡的に計数された。細胞の生存率は、未処理の対照のトリパンブルー陰性細胞の割合として表された[26〜28]。
【0102】
ルシフェラーゼ アッセイ
a)VEFG:ラット及びヒトのゲノムからVEFGの3'UTRsは、順方向及び逆方向の位置にSacI及びHind III制限酵素部位を保有して、それぞれに使用された。ヒトVEGF 3'UTRのクローニングに対するプライマーは、下にリストされている。3'UTRsと相補的な配列からの増幅産物はpCR(登録商標)2.1ベクターにクローニングされ、DH5αコンピテント細胞で増幅され(Invitrogen、 Burlington、ON、Canada)、配列解析により確認された。標的遺伝子のインサートは、その後pMIR-REPORT(登録商標)ベクター(Ambion、Austin、TX、USA)にサブクローニングされ、DH5αコンピテント細胞(Invitrogen)中で増幅され、配列解析により確認された。pMIR_VEGF3'UTR、miRNA模倣物とpMIR-レポートβ-gal対照プラスミドは、その後293A細胞に同時形質移入された。ヌクレオチド置換は、変異された結合部位を生成するために、PCR突然変異誘発によって導入された。形質移入後48時間、ルシフェラーゼ活性は、メーカーのインストラクションに従って、デュアルライト化学発光レポーター遺伝子アッセイ システム(Applied Biosystems)を用いて測定された。ルシフェラーゼ活性は、化学発光SpectraMax M5(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて読み取られた。ルシフェラーゼ活性は、メーカーのインストラクションに従って、β-ガラクトシダーゼ対照の活性を測定することにより形質移入の効率のために規準化された。実験は、三回同時進行した[30]。
【0103】
ヒト及びラットVEGF3'UTR変異クローニング用のプライマーは:
ヒトVEGF 5’
Forward primer:5’AGAGCTCCCCGGCGAAGAGAAGAGAC 3’(配列番号8)
Reverse primer:5’TCTAGAAAGCTTGGAGGGCAGAGCTGAGTGTTA 3’ (配列番号9)
ラットVEGF
Forward primer: 5’ AGAGCTCGGGTCCTGGCAAAGAGAAG 3’ (配列番号10)
Reverse primer:5’TCAAGCTTGGAGGGCAGAGCTGAGTGTTA 3’(配列番号11)
b)フィブロネクチン(FN):FN13'-UTRとmiR146a(又はスクランブル対照)のアンチセンス配列は、pMIRレポート ルシフェラーゼ ベクター(ベクター)と、β-galとCMVプロモーターを含むpMIRレポーター対照ベクターと293A細胞に同時形質移入された。形質移入後48時間、細胞抽出物はルシフェラーゼの発現についてアッセイされた。相対的なプロモーター活性は、β-ガラクトシダーゼレベルに規準化された発光ユニットとして発現させた。
【0104】
ルシフェラーゼレポーター実験のために、617 bpのヒトフィブロネクチン(FN)3'-UTRセグメント及び644 bpのラットFN3'-UTRセグメントは、ヒト及びラットのcDNAからPCRにより増幅され、ルシフェラーゼの終止コドンからすぐ下流のSac IとHind III部位を用いてpMIRレポート ルシフェラーゼ ベクター((Applied Biosystems Inc、CA、USA)とCMVプロモーターに挿入される。pMIR_FN3'UTR、miR-200B模倣物(又はスクランブル) と、pMIRレポート ルシフェラーゼ ベクターと、β-gal とCMVプロモーターを含むレポーター対照ベクターとは、その後293A細胞に同時形質移入された。形質移入後48時間、ルシフェラーゼ活性は、Dual-ライト化学発光レポーター遺伝子アッセイシステム(Applied Biosystems)を用いて、製造元のインストラクションに従って、測定された。ルシフェラーゼ活性は、化学発光SpectraMax M5(Molecular Devices、 Sunnyvale、CA)を用いて読み取られた。ルシフェラーゼ活性は、製造元のインストラクションに従って、β-ガラクトシダーゼ対照の活性を測定し、形質移入効率に規準化された。実験は三回同時進行した[30]。
【0105】
プライマーの次のセットは、特異性の断片を生成するために使用された。
ヒトFN 3'-UTR
Forward primer:5’- AGAGCTCATCATCTTTCCAATCCAGAGGAAC-3’(配列番号12)
Reverse primer:5’-TCAAGCTTTAATCACCCACCATAATTATACC-3’(配列番号13)
ラットFN 3'-UTR
Forward primer:5’-AGAGCTCTCCAGCCCAAGCCAACAAGTG-3’ (配列番号14)
Reverse primer:5’-TCAAGCTTTCCACAGTAGTAAAGTGTTGGC-3’ (配列番号15)
下線の配列は、エンドヌクレアーゼ制限部位を示している。
【0106】
RNA抽出とRT-PCR
RNAは前記したのようにTRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen Canada Inc.、ON、Canada)で抽出された[26-28,31]。総RNA(2μg)はオリゴ(dT)プライマー(Invitrogen Canada Inc.、ON、Canada)とcDNAの合成に使用された。逆転写は、Superscript(登録商標)逆転写酵素(Invitrogen Canada Inc.、ON、Canada)の添加により行われた。得られたcDNAの産物は、-20℃で保存された。リアルタイム定量的RT-PCRは、LightCycler(Roche Diagnostics Canada、QC、Canada)を用いて行われた。20μLの最終反応量については、以下の試薬が添加された:10μL SYBR(登録商標) Green Taq ReadyMix(Sigma-Aldrich、ON、Canada)、1.6μL 25mmol/ L MgCl2、1μLそれぞれのForward及びReverseプライマー(表2)、5.4μL H2O、及び1μL cDNAである。融解曲線分析は、特定の増幅産物とプライマー ダイマーの融解温度(Tm)を決定するために使用された。各遺伝子にとって、特定のTm値は、信号取得ステップ(Tmより2〜3℃以下)のために使用された。データは、逆転写の効率化とmRNA反応混合物中の鋳型の量の違いをアカウントするために、18S RNAまたはβ-アクチンmRNAに規準化された。
【0107】
【表2】

【0108】
ET-1配列番号24に関して:非特異的な増幅産物からの信号収集を避けるために、マイナーグルーブ結合プローブ(Taqman; Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いた。これらのプローブは、5'末端で6 -カルボキシフルオレセイン(FAM)の添加と3'末端で非蛍光クエンチャー(MGBNFQ)の添加により、修飾された。次に、FAMは、DNA Taqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により切断され、レポーター蛍光発光の増加が起こられていった。レポーター色素(FAM、TaqMan、Applied Biosystems)は、SYBR Iと同じ範囲に励起および発光を示すので、同じ検出器のチャネル1で検出することができる。したがって、一端でFAM、もう一方の端でMGBFNQがあるこのET-1プローブは、追加の配列がある。
【0109】
ELISA
VEGFのためのELISAは、ヒト及びラットVEGF(ALPCO, Salem, NH, USA; R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)のための市販のキットを用いて、製造元のインストラクションに従って、実施された[26]。
【0110】
透過性アッセイ
HUVECsは、24時間の特定の試薬との保温培養あるか又はなしで24-ウェル プレートのインサート(1μmの孔)に播種され、及びin vitroの血管透過性アッセイ キット(Millipore、Billerica、MA、USA)を用いて、製造元のインストラクションに従って、血管透過性のために試験された[32]。
【0111】
血管新生アッセイ
HUVECsの管腔形成を評価するために、in vitroの血管新生アッセイ キット(Chemicon、Billerica、 MA、USA)が使用された。管腔形成は、Leica Microsystemsの倒立顕微鏡にインフィニティ キャプチャア プリケーションのバージョン3.5.1を使用して、分枝点のカウントを用いて定量された[33]。
【0112】
免疫組織化学
ラット及びヒトの網膜切片は、抗ヒトアルブミン抗体(1:500)(Abcam、Inc、Cambridge、MA、USA)を用いて増加した血管透過性を調べるためのアルブミンが免疫細胞化学的に染色された。これらの方法は、以前に記述されている[25]。
【0113】
in situハイブリダイゼーション
ラット及びヒトの網膜切片は、miR200bの発現のために標識された。ホルマリン固定、パラフィン包埋ブロックからの5マイクロメートル厚の網膜組織切片は、標識のために陽電気を帯びるスライドに移された。5 '及び3'ダブルDIG標識カスタム-メイドの水銀LNA(登録商標)miRNA検出プローブ(Exiqon、Vedbaek、Denmark)は、in situハイブリダイゼーション(ISH)キット(Biochain Institute, Hayward, CA, USA)とともにmiR200bの発現を検出するために使用された[34]。
【0114】
統計分析
すべての実験データは、平均±SDとして表示され、必要に応じてANOVAとpost-hoc分析によって、又はt-検定によって分析された。 0.05又は以下のp値が有意であると考えられた。
【0115】
2.結果
a. 糖尿病ラットの網膜のマイクロRNA(miRNA)アレイ解析
糖尿病は網膜でmiRNAの変化を引き起こす。
【0116】
糖尿病の主要な遺伝子の発現が、一部に、miRNAによって調節されるかもしれないという仮説の下で働くことによって、出願人は、最初に糖尿病で発現変更されたmiRNAを探した。この目的のために、出願人は、慢性的な糖尿病の動物モデルを使用した。Streprotozotocin(STZ)誘発性糖尿病ラットは、DRの分子と初期構造のと機能の変化を示す[32〜34]。DRでmiRNAの変化を調べるために、マイクロアレイ解析は、糖尿病の1ヶ月後の雄STZ誘発した糖尿病ラットの網膜組織で、及び年齢-と性別-マッチさせた対照で、実施された。糖尿病の動物は、高血糖(糖尿病対象の血清グルコース:19.2±4.7 mmol / L、対照:7.0±0.8 m.mol/ L、P <0.005)を示し、体重を減少した(糖尿病対象の体重:372.0±34.7グラム、対照:445.7±17.4グラム。P <0.01)。これらの組織から抽出されたmiRNAsのマイクロアレイ解析を行った(図1)。このような分析は、これらの動物の網膜内で複数のmiRNAsの変化を示した(図1)。miRNA標的の予測のためのオープンソースソフトウェア(www.TargetScan.org、www.microrna.org、www.ebi.ac.uk1)を使用して、DRで変更され、既知の遺伝子/タンパク質に関連付けられているmiRNAsが同定された。
【0117】
図1は、miRNAアレイ-volcano plotを図解し、対照対既治療(糖尿病)レット網膜でmiRNAの変化を示す。
【0118】
図1の各円は、一つの miRNAを表す。各プローブの円のサイズは、全体の実験でmiRNAの検出率に比例し、大きいスポットがより高い%の存在であることを表す。円は、プロットの右側に提供されたグレースケールにより、二つのグループ間でプローブの平均発現に応じて色つきされている。-1差異行の左にあると1差異行の右にある円は、倍の変化>2Xがあると考えられている(x軸は2つの実験グループの間に倍-変化のlog2である)。miR144及びmiR450が、対照に比べて糖尿病ラットの網膜でアップレギュレートされたのに対して、興味があるmiRNA、miR1、miR146a、miR200b、とmiR320は、ダウンレギュレートされた[Asuragen miRNAシステムを使用して、カスタム分析]。
【0119】
b. 高グルコースに暴露されるHUVECsでmiR320の発現レベル
miR320の発現レベルのリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(定量PCR)分析は、グルコースの高レベルに暴露されるHUVECsで検討された。結果は図2に示される。図2a)は、5mMグルコース(低グルコース、LG)に暴露された内皮細胞と比較して、25mMグルコース(高グルコース、HG)に暴露された内皮細胞でmiR320の発現において、統計的に有意な減少を示す。このようなmiR320のダウンレギュレーションは、フィブロネクチン(FN、図2b))、エンドセリン-1(ET-1、図2c))と血管内皮増殖因子(VEGF、図2d)のmRNAsの統計的に有意なアップレギュレーションに関連付けられた。同様にMAPK(ERK1 / 2)の活性化(図2e))である。陰性の形質移入(Neg)が無効であったのに対して、miR320模倣物(miR320)の形質移入は、そのような異常なアップレギュレーションを防止した(図2、パネルb)-e))。ERKの活性化は、糖尿病性網膜症の重要なステップである[28]。
【0120】
c. 高グルコースに暴露された血管内皮細胞と糖尿病ラットの網膜でmiR146aの発現
図1に示す糖尿病ラットの網膜でmiR146aのダウンレギュレーションは、定量RT-PCRで確認された。miR146aの発現レベルの定量RT-PCR解析は、高レベルのグルコースに暴露されたHUVEC(図3a))及びラットの網膜(図4、パネルa)とb))で研究された。図3a)に示すように、miRNA 146AはHUVECで5 mmol/ Lグルコースに比べて、25mmol/ Lグルコースに暴露された時にダウンレギュレートされた。FN mRNA(図3b))とFN蛋白質を(図3c))は、ECで 5 mmol/ Lグルコースに比べて、25mmol/ Lグルコースに暴露された時にダウンレギュレートされた。HGに規準化され、miR146a模倣物(スクランブル模倣物ではなく)と内皮細胞の形質移入は、miR146のダウンレギュレーション(図3a))、FN mRNA(図3b))とFN蛋白質(図3c))のアップレギュレーションを誘発した。ECsのmiR146模倣物の形質移入(HG+ mi146a)も、ET-1 mRNA(図3d))のアップレギュレーションを防止し、それに対して陰性の形質移入(HG+ Neg)は、効果がなかった(図3d))(上記の陰性の形質移入の説明を参照する)。図3a)にmiR146a模倣物の形質移入の効率も、HUVECでmiR146a模倣物の形質移入がスクランブル模倣物に比べて、miR146の発現を増加したことによって示される。
【0121】
規準化された糖尿病ラットの眼の硝子体腔にmiR146a模倣物を注入することは、miR146aとフィブロネクチン(FN)のアップレギュレーションを誘発し、糖尿病における網膜に増加された重要な分子の一つである(図4)。STZ誘発した糖尿病ラット:糖尿病ラット(D)の網膜組織は、年齢と性別をマッチさせた対照(C)に比べて減少されたmiR146aレベルを示した(図4a))。並行に、糖尿病ラットの網膜組織は、FN mRNA(図4c))とタンパク質を(図4d))のアップレギュレーションを示した。糖尿病誘発したFNのmRNAとタンパク質のアップレギュレーションは、スクランブル対照(D + SC)ではなく、miR146a模倣物(D + miR146a)の硝子体内注射によって防止された。図4b)は、miR146aの硝子体内注射(ただしスクランブルはない)が増加した網膜miR146aにつながり、硝子体内輸送の効率を示す[データはA)RNU6とB)18 Sの比として示した、* は対応するCより有意差がある、n=5/group]。
【0122】
さらにFNに対するmiR146a ターゲティングを検証するために、出願人は、FN1遺伝子の3'UTRとmiR146aの結合を調べた。ヒト及びラット(別々の実験)FN1 3'-UTRとmiR146aのアンチセンス配列(又はスクランブル対照)からのmiR146aの相補的な部位を含むルシフェラーゼ レポーターは、HEK-293A細胞にpMIRレポート ルシフェラーゼ ベクター(ベクター)と、CMVプロモーターがあるβ-galを含むpMIRレポーター対照ベクターと同時形質移入された。形質移入48時間後、細胞抽出物は、ルシフェラーゼの発現についてアッセイされた。相対的なプロモーター活性は、β-ガラクトシダーゼ発現に規準化された発光ユニットとして示された。成熟miR146aとFN3'UTR配列のアラインメントは、バイオインフォマティクスによる予測(www.TargetScan.org、www.microrna.org、www.ebi.ac.uk1)に基づいた。成熟miR146aの5 '末端は、シード配列であり、FNの3'-UTRの7個ヌクレオチドとの完全な相補性を示す(図5a))。FNプロモータールシフェラーゼレポーターアッセイでmiR146aの結合は、ヒト(図5b))とラット(図5c))からのmiR146aの相補的なサイトを含むmiR146aルシフェラーゼレポーターとFN3'UTRの用量依存的な結合を示す。
【0123】
図6a)は、miR146aの局在を示す対照ラットの網膜における網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真である。図6b)は、網膜の毛細血管(矢印)でmiR146aの陽性染色の高倍率の顕微鏡写真を示す。図6c)は、糖尿病ラット網膜における網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真であり、毛細血管でmiR146aの最小の(もしあれば)発現量を示し、糖尿病が血管透過性を誘導したことを示す(ALK Phosは対比染色なしで色素として使用された)。
【0124】
miR146aはグルコース誘導されたNFkBの活性を調節する
図7に示すように、miR146a模倣物(miR146a)の形質移入は、ECsでグルコース誘導されたNFkBの活性化を抑制した。 NFkBの活性化は、DRで重要なステップである[27,31]。
【0125】
miR146aダウンレギュレーションはマウスの糖尿病性網膜症で存在する(2型糖尿病のモデルマウス)
図8に示すように、研究者は、定量RT-PCR分析により、さらに、年齢と性別をマッチさせた対照(C)でのmiR146aレベルに比べて、db / db糖尿病マウス(db / db)(2型糖尿病のモデル)からの網膜組織で減少されたmiR146aレベルが統計的に有意があることを発見した。
【0126】
d. miR200b
糖尿病は網膜にmiR200bのダウンレギュレーションを引き起こす
図1に示す糖尿病ラットの網膜におけるmiR200bのダウンレギュレーションは、定量RT-PCR(図9c))を使用して検証された。miR200bは、VEGFを標的にしているmiRNAである。糖尿病ラットの網膜組織は、定量RT-PCR法とELISA法により測定された、増加したVEGFのmRNA及び蛋白質のレベルを示した(図9a)とb))。miR200bクラスタの他のメンバー、すなわちmiR429は、糖尿病条件下で大幅に変更されず、及びmiR-200aは、VEGFを標的にしなかった。したがって、関連付けは、DR でmiR200bのダウンレギュレーションとVEGFのアップレギュレーションの間に設立された。miR200bとVEGFの関連付けの特異性を試験するために、出願人は、miR200bの別のバイオインフォマティクスに基づく標的とDRで興味があるタンパク質であるFNがmiR200bによって調節されているかどうかことを検討した。しかし、miR200bによるFNの直接的なレギュレーションは、観察されなかった(データは示さず)。
【0127】
miR200bは、内皮細胞におけるグルコース誘導されたVEGFアップレギュレーションを調節する
miR200bとVEGFの間の因果関係を確立するために、出願人は、まずin vitroモデルシステムで使用された。内皮細胞(ECs)がDRにの主な細胞標的であるので、出願人は、miR200b変化の機構的なアスペクトと機能的な重要性を研究するために、培養のHUVECsを使用した。それは、高レベルのグルコース(高血糖症をシミュレート)に暴露されたECsが糖尿病血管病態の分子および機能的な特徴を再現することに示されているべきである[26―28]。出願人は、高レベルのグルコースがmiR200bレベルの変更を引き起こすことを発見した。25mmol/ LD-グルコース(HG)は、(5mmol/ L D-グルコース(LG)に比べて))miR200bの大幅なダウンレギュレーション(図10a))を引き起こす。これらのグルコースレベルは、出願人と他の人がVEGF発現の用量-応答解析(データは示さず)と以前の実験を用いて、確立された[35、30、36]。ECsが25mmol/ L L-グルコース((図10a)、OSM)で挑戦された時にmiR200bレベルの変化は、認められなかった。HGにの暴露でmiR200bが減少された並行に、VEGFのmRNA及びタンパク質のレベル(定量RT-PCRとELISAによって測定された)は、増加された。このような増加は、miR200b模倣物の形質移入によって阻止された。一方、miR200b antigomirの形質移入は、VEGFの転写産物のアップレギュレートによりグルコ模倣効果を示した(図10b))。
【0128】
さらに糖尿病性網膜症のコンテキストでこれらの知見の直接な関連性を確立するために、出願人は、網膜毛細血管内皮細胞で同様の変化が発生するかどうかを調べた。結果は、25mmol/ L D-グルコース(HG)(5mmol/ L D-グルコース(LG)と比較した)がmiR200bの大幅なダウンレギュレーション(図10d))を引き起こすことを示す。並行に、VEGF のmRNAは、HGに暴露された後にアップ-レギュレートされた(図10e))。miR200b模倣物の形質移入は、グルコースに誘導されるVEGFのアップレギュレーションを防止した(図10e)。
【0129】
miR200bは内皮細胞におけるグルコース誘導される機能的な変化を調節する
出願人は次に、内皮透過性および管腔形成、このシステムにおけるVEGFの二つ特徴的な機能性効果を検討した。HUVECsは、HGとVEGFペプチドによる処理後に、増加した透過性と管腔形成を示した(図11a)-d))。miR200bの機能的な意義を調べるために、我々は、HGに暴露されたHUVECsでmiR200b模倣物(とスクランブル対照)の形質移入した。形質移入の効率は、これらの細胞におけるmiR200bの存在量を分析することによって確認された(図10c))。形質移入時に、我々は、規準化されたVEGFのグルコースに誘導されるアップレギュレーションと同様に増大されたHGに誘発される内皮透過性及び管腔形成を観察した(図10b)-c))(図11a)-d))。これらの結果は、HG-誘導VEGFでのmiR200b発現とその機能的な結果の間の直接的な調節性の関係を確立した。
【0130】
さらにVEGFのmiR200bターゲティングを検証するために、出願人は、VEGF遺伝子の3'UTRとmiR200bの結合を調べた。ヒト及びラット(別々の実験)VEGF 3'-UTRからのmiR200b相補的な部位を含むルシフェラーゼ レポーターとmiR200bのアンチセンス配列は、HEK-293A細胞に同時形質移入された。
【0131】
図12a)は、VEGF 3'UTR(と変異したVEGF3'-UTR)の配列とバイオインフォマティクス予測(www.TargetScan.org、www.microrna.org、www.ebi.ac.uk1)に基づいた成熟miR200b配列のアライメントを示す。成熟miR200bの5 '末端は、シーズ配列であり、VEGF 3 'UTRの7個ヌクレオチドと完全な相補性である。図12b)(ヒト)及び図12c)(ラット)は、miR200bの異所性の過剰発現がVEGF 3'UTRルシフェラーゼ活性を著しく抑圧したことであり、直接結合を示す。そのような効果は、VEGF変異した3'-UTR(図12b)とc)でそれぞれのVEGFH Mut及びVEGFR Mut)が使用された時に見られなかった。
【0132】
miR200bは網膜に存在し、糖尿病誘発される網膜VEGFアップレギュレーションを調節する
in vitroでmiR200bによるVEGFターゲティングを確立した後、出願人は、糖尿病の動物モデルでmiR200bがVEGFを標的にするかどうかを試験した。miR200b模倣物は、1.4μg/週で4週間に糖尿病ラットの片眼の硝子体腔に注入された(もう一つの目は同じ量でスクランブル対照を受けた)。実験の別々のセットで、出願人は、非糖尿病ラットに硝子体内miR200b antigomirsを注入したことによって、糖尿病のような効果を生成させる。VEGFのmRNA及びタンパク質のレベルは、miR200b模倣物が糖尿病網膜に注入された場合に、スクランブル対照に注入されたものに比べて、著しい減少であることをを示した(図13a)、b))。一方、antigomir注入した非糖尿病ラットの網膜では、VEGFのmRNA及びタンパク質のレベルが増加されたことを示した(図13a)、b))。
【0133】
透過性の変化を研究するために、網膜血管からのアルブミンの透過性は、前記のようにアルブミン免疫染色を用いて測定された[25,32]。図14a)は、対照ラットの網膜における網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真である。その中には、網膜の毛細血管(矢印)、神経節細胞(矢頭)の内皮細胞および内核層の細胞(二重矢印、両方のグリアとニューロンの要素の中で、挿入図は毛細血管と細胞質および核miR200bの局在(矢印)の拡大図)で、miR200bの局在を示す。図14b)は、糖尿病ラットの網膜(同様の方向で)でmiR200bの最小の(もしあれば)発現を示す網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真であり、糖尿病の網膜でmiR200bの損失を表示する。図14c)は、対照ラットの網膜に抗アルブミン抗体を用いて、内血管アルブミン(矢印)を示す免疫組織化学染色である。図14d)は、図14c)のように糖尿病ラットの網膜に同様の染色であり、血管内反応性(矢印)と網膜のびまん性染色を結果としてなって、増加した血管透過性を表示する。糖尿病誘発性的に増加した血管透過性は、miR200b模倣物の注入によって阻止された。図14e)で硝子体内miR200b注射後に、アルブミン染色は、血管コンパートメント(矢印)でのみ存在した。そのような効果は、スクランブルmiR200b注入(示せず)後に見られなかった(ALK PhosはLNATM-ISHで対比染色なしで色素として使用された、アルブミン染色でDAB色素とヘマトキシリン対比染色)。
【0134】
グルコース誘発性的に減少したmiR200bは転写共活性化因子p300のアップレギュレーションを仲介する
それは、miR200bが転写共活性化因子であるp300を制御することにより、悪性腫瘍における上皮細胞から間葉細胞への移行を調節していることに示されるべきである [35〜37]。増加したp300は、DRとグルコースに暴露される内皮細胞で示される(図15a)を参照)[26,31,33]。出願人は次に、高血糖がmiR200bを介してp300を変更するかどうかを検討した。出願人は、miR200b模倣物の形質移入が内皮細胞で高グルコース(HG)に誘発されるp300のアップレギュレーションを妨げたことを発見した(図15a))。しかし、内皮細胞でmiR200bのグルコース誘導したダウンレギュレーションは、p300のサイレンシングによって修正されなかった(図15b))。さらにmiR200bの作用機構の一部がin vivoでp300の調節を通して媒介されるかどうかを調べるために、網膜組織でp300 mRNAの発現は、miR200b模倣物の硝子体内注射後に検討された。図15c)に示すように、網膜p300 mRNAの糖尿病に誘導されたアップレギュレーションは、miR200b注入によって阻止され、miR200bが血管作用性因子に働けることによるもう一つのメカニズムを示唆している。
【0135】
実施例2
目的:それらの標的の変化と共にmiRNAの同様の変化が人間の糖尿病性網膜症で発生するかどうかを調査する。(2)血管内皮細胞あるいは糖尿病動物での変化がヒトの増殖性DRで発生するかどうかを調査する。既知の網膜症の非糖尿病個体と糖尿病個体の死体解剖からの網膜組織は、死亡の6時間内に収集された。
【0136】
miR200bダウンレギュレーションはヒトの糖尿病性網膜症で存在する
出願人は、in situハイブリダイゼーションと免疫染色を用いて、アーカイブのソースからの摘出された目でヒト網膜を検討した。出願人は、糖尿病ヒトのサンプルからの網膜で減少されたmiR200bと増加された血管外アルブミンを発見した。miR200bの細胞分布は、ラットの目に類似した(図16の顕微鏡写真を参照する)。
【0137】
図16a)は、網膜の毛細血管(矢印)で及び内核層の細胞(二重矢印)で、miR200bの局在を示す非糖尿病ヒトの網膜からの網膜組織のLNATM-ISH研究の顕微鏡写真である。図16b)は、糖尿病ヒトの網膜でmiR200bの最小の(もしあれば)発現を示す網膜組織の顕微鏡写真である(a)と同様の方向)。図16c)は、抗アルブミン抗体を用いて非糖尿病ヒトの網膜で免疫細胞化学染色の顕微鏡写真であり、内血管のアルブミン(矢印)を示す。図16d)は、血管内のアルブミン染色(矢印)と網膜のびまん性染色を示した糖尿病ヒトの網膜の顕微鏡写真であり、増加した血管透過性を示す。(ALK PhosはLNATM-ISHで対比染色なしで色素として使用された、アルブミン染色でDAB色素とヘマトキシリン対比染色)。
【0138】
実施例3
目的:糖尿病の他のモデルでそれらの標的の変化と共に、糖尿病性網膜症でmiRNAの同様の変化が発生するかどうかを調査する。
【0139】
db / dbマウス(2型糖尿病のモデル)とそれらの対照マウスは、ジャクソン研究所から購入された。糖尿病(血糖値の推定)の発症後、彼らは、2ヶ月間、追跡された。代謝パラメータ、体重、尿糖、尿ケトンは、2ヶ月間、監視測定れた。この期間の終了時に、マウスは、屠殺され、網膜組織を採取した。miRNAは、以前に実施例1で提供された方法に従って抽出され、分析された。
【0140】
miR200bダウンレギュレーションは、ラット(2型糖尿病のモデルマウス)の糖尿病性網膜症で存在する
miR200bの発現レベルの定量RT-PCR分析は、db / dbマウスの網膜で検討した。図17は、普通(対照)のマウスの網膜に比べて糖尿病マウスの網膜で、miR200bの発現が統計的に有意な減少を表明する。miR200bは、年齢と性別をマッチさせた対照(C)に比べて、糖尿病の2ヶ月後、db / dbマウス(db / db)の網膜で減少されることが見出された。
【0141】
miR146aダウンレギュレーションは、マウス(2型糖尿病のモデル)の糖尿病性網膜症で存在する
前記のように、出願人は、さらに、年齢と性別をマッチさせた対照(C)のmiR146aレベルに比べて、miR146aレベルがdb / db糖尿病マウス(のdb / db)(2型糖尿病のモデル)からの網膜組織で、統計的に有意に減少されることを定量RT-PCR分析により実証した(図8を参照する)。
【0142】
実施例4
ヒト網膜におけるmiR146aとmiR320
図19は、増殖性糖尿病性網膜症を有する2つヒトの対象からの硝子体線維血管組織の増幅プロット(定量RT-PCR分析)を表示し、miR146aとmiR320の存在を示す。増殖性糖尿病性網膜症の対象は、線維血管組織が硝子体から削除された硝子体切除術を施行した。実施例1に記述されている手順を使用して、miRNAは、ヒトの網膜サンプルから抽出され、miR146aとmiR320について分析された。非常に低いレベルのmiR320とmiR146aが見られた。これはこれらのmiRNAsが増殖性糖尿病性網膜症で重要であること、及び減少させることを示唆する。
【0143】
実施例5
ラット網膜におけるmiR1
miR1は糖尿病動物の網膜でダウン-レギュレートされる
図1に示された糖尿病ラットの網膜でmiR1のダウンレギュレーションは、定量RT-PCRで確認された。図18は、普通(対照)のラットの網膜に比べて、糖尿病ラットの網膜でmiR1の発現が統計的に有意な減少をそれぞれに表示する。実験は、実施例1と同様に行われた。
【0144】
網膜でmiR144及びmiR450の発現
図1に示された糖尿病ラットの網膜でmiR144及びmiR450のアップレギュレーションは、定量RT-PCRで検証した。普通(対照)のラットの網膜でmiR144及びmiR450のレベルに比べて、糖尿病ラットの網膜で、図19a)は、miR144の統計的に有意なアップレギュレーションを示し、図19b)は、miR450の統計的に有意なアップレギュレーションを示す。実験は、実施例1と同様に行われた。
【0145】
ディスカッション
上に提供された実施例は、糖尿病における網膜でVEGFとFNの発現および引き続く変化を引き起こす新たな経路を実証する。出願人は、糖尿病における高レベルのグルコースが、(a)フィブロネクチン(FN)のmRNA及びタンパク質レベルを調節するのmiR-146aのダウンレギュレーション、(b)VEGF mRNAとタンパク質レベルを調節するのmiR-200bのダウンレギュレーション、(c)miR1とmiR320のダウンレギュレーション、(d)miR144とmiR450のアップレギュレーション、及びin vivoとin vitroの両方で増大された透過性を引き起こすことを示された。出願人はまた、彼らがmiR146a及びmiR-200B模倣物のそれぞれの治療によって、内皮細胞および網膜で糖尿病誘発性の、FN/ VEGF媒介性の機能的な変更を防止することができたことを実証した。
【0146】
出願人は、複雑な複数のレベルでメカニズムを検討した。糖尿病における網膜でmiR1、miR146a、miR200b、miR320のダウンレギュレーションとmiR144及びmiR450のアップレギュレーションの最初の同定の後、出願人は、miRNAsの変化のin vitroでの生物学的意義に識別するためにHUVECsを使用した。これらのHUVECsは、網膜の起源ではないが、それらは、DRを含むいくつかの疾患における内皮細胞異常の研究のためにモデルとして広く使用されている[31,32]。しかしながら、並列に、出願人は、網膜の毛細血管内皮細胞を調査し、HUVECsで見つかったのように同様の変化を実証した。in vitro研究に続いて、出願人は、また、in vivoでmiRNAの変化の意義を識別するために、十分に確立された1型および2型糖尿病の動物モデルを使用した。最終的に、出願人は、同様の変化も人間の網膜に存在することを確証するために、正常および糖尿病個体からヒト網膜組織を検討した。これは、DRでmiRNAを検討する最初の研究になり、DRでmiR1、miR146a、miR200b、miR320、miR144とmiR450の機能的と潜在的な治療と診断の意味を直接に証明することである。
【0147】
ここに提示されたデータと一致しって、一つ前の研究は、ヒト及びラット網膜でmiR-200bの存在を先に実証した[38]。ヒトとラットでmiR200bの発現を実証する両方のこの研究と既存の研究は、進化的保存を提案し、哺乳類の網膜内で可能的保存された機能的な役割を反映するかもしれない。非糖尿病血管新生でmiRNAsの潜在的な役割は、Dicerの低次形態対立遺伝子のホモ接合のマウスでさらに検討された。これらのマウスは、血管新生が欠いて、子宮内で死亡した[39]。もう一つの研究は、非致死性のダイサーhypomorphismは黄体で血管新生の失敗のために雌マウスが子種がないことを引き起こしたことを発見した[40]。虚血性眼血管新生のモデルでは、網膜で7つのmiRNAsが増加されたと3つが減少された[41]。一方、DRで血管新生は、miRNAsに関して、非糖尿病の血管新生と異なる可能性である。miR-200bの変更なしのは、このような条件で同定された[41]。
【0148】
p300に対するmiR-200bの調節性の役割は、さらに興味深いものである。それは、miR-200が悪性腫瘍でヒストンアセチル化因子と転写共活性化因子であるp300を調節する可能性があることに示されるべきである[37]。他の研究は、膵管腺癌で、6つのp300をターゲットするmiRNAsは、miR-200Bを含み、高転移群でアップレギュレートされたことを示した。出願人は、DRと他の糖尿病合併症でp300の役割を以前に示し、それが糖尿病で複数の遺伝子およびタンパク質の発現を調節することである[31,42]。p300のこのような効果は、大量の転写因子の作用を制御する能力によって媒介される[26]。本研究は、糖尿病でp300が調節されることにより、新規のmiR200bの仲介メカニズムを示した。それ故、高血糖誘発性VEGFの発現に対する直接的な抑制性の効果に加えて、miRNAは、間接的にp300を介してそのような効果を媒介する可能性がある。miR200bのこのようなp300を介した作用は、複数の血管作動性因子の遺伝子の発現に潜在的に影響する可能性がある[26,31]。
【0149】
DRは、複雑な問題であり、その中に複数の転写産物が変更され、複数の異常な経路をキックオフしている。DRの治療のために個々のタンパク質を標的にしているのは、長い間、試みられたが、臨床試験に失敗した。機構的な観点から、一つのmiRNAは、複数の遺伝子を調節し、一つ又はいくつかのmiRNAを標的にしているのは、複数の遺伝子の発現を防ぐ潜在的ユニークな機会を提供する。
【0150】
上記の開示は、本発明を普通に説明する。状況が示唆する又は与えることが可能なので、フォームでの変化と同等の置換は、好都合的に熟慮されている。特定の用語がここに採用されているが、そのような用語は、制限の目的ではなく、記述的な意味で意図される。本発明の他の変動及び修正があり得る。そのような修正あるいは変動は、添付の特許請求によって定義されたように、本発明の範囲内であると信じられる。
【0151】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の単一細胞又は複数の細胞で一つ又は複数のmiRNAsの発現を調節する作用剤または作用剤の混合物を対象に投与することを含むことを特徴とする、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患を有する対象の治療方法。
【請求項2】
作用剤または作用剤の混合物が対象の単一細胞または複数の細胞で一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAの発現をアップレギュレートすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAがmiR-1、miR-146a、miR200b又はmiR-320から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
作用剤または作用剤の混合物がオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物がmiRNA、その誘導体あるいは類似体、miRNA前駆体、成熟miRNA、又は少なくとも一つの前記のmiRNAをコードするDNA分子として提供されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物が薬学的に許容される担体を含む組成物として提供されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物が配列番号1〜4から選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記の作用剤または作用剤の混合物が輸送媒体内に提供されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
輸送媒体がウイルスベクター、微粒子、リポソーム、コロイド金粒子、リポ多糖類、ポリペプチド、多糖類、又はペグ化ウイルス媒体から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
作用剤または作用剤の混合物がそれを必要とする単一細胞または複数の細胞で一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAの発現をダウンレギュレートすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
一つ又は複数のmiRNAの少なくとも一つのmiRNAがmiR-144或はmiR-450から選択されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
作用剤または作用剤の混合物が少なくとも一つのmiRNAの阻害剤または阻害剤の混合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
阻害剤または阻害剤の混合物がantagomir、アンチセンスRNA、又は短干渉RNAから選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記の阻害剤または阻害剤の混合物が薬学的に許容される担体を含む組成物として提供されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
その疾患が糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、又は糖尿病大血管疾患を含む慢性糖尿病の状態であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
作用剤または作用剤の混合物が非経口投与経路または局所経路により投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記の疾患が糖尿病性網膜症である、及び作用剤または作用剤の混合物が眼内投与または眼への局所注入により投与されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記の疾患が糖尿病性網膜症であり、作用剤または作用剤の混合物が眼のインプラントによって投与されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
(a)miR-1、miR-146a、miR-200b又はmiR-320をターゲットするオリゴヌクレオチド、と(b)miR-144又はmiR-450の阻害剤の少なくとも一つを含む組成物を対象に投与することを含むことを特徴とする対象の糖尿病性網膜症の治療方法。
【請求項20】
対象からのサンプルの一つ又は複数のmiRNAsの発現プロファイルを測定することを含み、その中に対象からのサンプルの前記miRNAの発現プロファイルと通常のサンプル或は対照サンプルの前記miRNAの発現プロファイルの差異がグルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患の指標であることを特徴とする、前記のグルコースを介した細胞損傷に関連付けられた対象の疾患の診断方法。
【請求項21】
前記の一つ又は複数のmiRNAsがmiR1、miR146a、miR200b、miR320、miR144又はmiR450から選択されることを特徴とする請求項20に記載の診断方法。
【請求項22】
通常のサンプル或は対照サンプルに関して、miR1、miR146a、miR200bとmiR320のダウンレギュレーション及びmiR144 とmiR450のアプレギュレーションが疾患の指標であることを特徴とする請求項21に記載の診断方法。
【請求項23】
前記の疾患が糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、又は糖尿病大血管疾患を含む慢性的な糖尿病の状態であることを特徴とする請求項20〜22のいずれかに記載の診断方法。
【請求項24】
それを必要とする単一細胞または複数の細胞で一つ又は複数のmiRNAsの発現を調節する作用剤あるいは作用剤の混合物、及び薬学的に許容される担体を含む、グルコースを介した細胞損傷に関連付けられた疾患を治療するための組成物。
【請求項25】
作用剤あるいは作用剤の混合物がそれを必要とする細胞で一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAの発現をアップレギュレートすることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも一つのmiRNAがmiR-1、miR-146a、miR200b又はmiR-320から選択されることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
作用剤あるいは作用剤の混合物がオリゴヌクレオチド或はオリゴヌクレオチドの混合物を含むことを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物がmiRNA、その誘導体あるいは類似体、miRNA前駆体、成熟miRNA、又は少なくとも一つの前記のmiRNAをコードするDNA分子として提供されることを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの混合物が配列番号1〜4から選択されることを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
作用剤あるいは作用剤の混合物が一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つのmiRNAの発現をダウンレギュレートすることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項31】
一つ又は複数のmiRNAsの少なくとも一つがmiR-144或はmiR-450から選択されることを特徴とする請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
作用剤あるいは作用剤の混合物が少なくとも一つのmiRNAの阻害剤あるいは阻害剤の混合物を含むことを特徴とする請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
阻害剤あるいは阻害剤の混合物がantagomir、アンチセンスRNA又は短干渉RNAから選択されることを特徴とする請求項32に記載の組成物。

【図1】
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【図2a)】
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【図2b)】
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【図2c)】
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【図2d)】
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【図2e)】
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【図3a)】
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【図3b)】
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【図3c)】
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【図3d)】
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【図4a)】
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【図4b)】
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【図4c)】
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【図4d)】
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【図5a)】
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【図5b)】
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【図5c)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a)】
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【図9b)】
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【図9c)】
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【図10a)】
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【図10b)】
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【図10c)】
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【図10d)】
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【図10e)】
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【図10f)】
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【図11a)】
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【図11b)】
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【図11c)】
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【図11d)】
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【図12a)】
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【図12b)】
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【図12c)】
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【図13a)】
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【図13b)】
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【図13c)】
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【図14】
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【図15a)】
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【図15b)】
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【図15c)】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19(a)】
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【図19(b)】
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【図20】
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【公表番号】特表2013−514277(P2013−514277A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543424(P2012−543424)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/CA2010/002005
【国際公開番号】WO2011/072390
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(509232164)ザ ユニバーシティ オブ ウェスタン オンタリオ (2)
【Fターム(参考)】