説明

糖脂肪酸エステルとWaltheriaindicaまたはPisumsativumの植物抽出物との組合せを含む皮膚美白のための化粧品組成物

本発明は、少なくとも1つの糖脂肪酸エステルならびにWaltheria indicaの抽出物、Pisum sativumの抽出物、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの植物抽出物を含有する皮膚美白活性物質に関する。さらに本発明は、該皮膚美白活性物質を含有する化粧品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚美白のための化粧品組成物、より具体的には、糖脂肪酸エステルならびにWaltheria indicaの抽出物、Pisum sativumの抽出物およびこれらの混合物から選択される植物抽出物を含有する皮膚美白活性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
異常な色素沈着、例えば、そばかすまたは染み(日光への過剰暴露による色素沈着である)を防止および/または減少させるための化粧品中の美白剤に対して世界的な市場需要が存在する。さらに、一部の暗い皮膚をした個人は、比較的明るい皮膚の色を好み、これが格別の美しさの特徴とみなされる。
【0003】
ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチンおよびアスコルビン酸誘導体のような多くの化学物質の皮膚美白活性が周知である。しかし、これら美白剤の安全性、安定性、におい、または効果は、消費者の要求を満たさない。
【0004】
国際公開WO02/053121(LG Household & Healthcare Company)は、C3〜C6の炭素鎖長を有する脂肪酸とのグルコースおよびスクロースのエステルならびに皮膚美白のための化粧品におけるこれらエステルの使用を開示している。国際公開WO03/074013および欧州特許公開EP1340486A1(Cognis France S.A.)は、毛髪および皮膚細胞におけるメラニン合成の阻害剤としての糖脂肪酸エステルの使用を開示している。
【0005】
化粧品組成物において非常に有効な皮膚美白活性を達成しようとするときに、脂肪酸エステルの使用は、その乳化特性のゆえに制限される。即ち、糖脂肪酸を用いると、通常の化粧品配合物において達成することができる皮膚美白活性が制限される。
【0006】
国際公開WO98/55087(Laboratories Serobiologiques)は、Waltheria indicaからの抽出物を含有する化粧品組成物を記載している。抗UV-A、抗UV-Bおよび抗コラゲナーゼ効果、抗老化、抗エラスターゼ、抗ラジカルおよびグルタチオン自己合成減少活性が開示されている。国際公開WO01/056541(=欧州特許EP1253906B1)(Cognis France S.A.)は、Waltheria indicaの抽出物をフェルラ酸と組合せて含有する化粧品組成物を記載している。国際公開WO01/056541は、これらの混合物を、皮膚美白剤としておよびチロシナーゼ阻害剤として使用しうることを開示しているが、Waltheria indicaの抽出物が、単独でまたはいずれかの他の成分と組合せて、メラニン細胞においてチロシナーゼ阻害活性を示すこと(即ち、細胞チロシナーゼ活性の減少によって作用し、直接的なチロシナーゼ阻害剤として作用しないこと)を開示していない。
【0007】
皮膚美白化粧品組成物それ自体は、白色であるかまたは非常に明るい色であるのが好ましい。化粧品組成物において非常に有効な皮膚美白活性を達成しようとするときに、植物抽出物の使用は、植物抽出物の色のゆえに制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の欠点を解消する皮膚美白活性物質を提供することであった。特に重要なことは、非常に有効な皮膚美白活性物質を、化粧品組成物に容易に導入しうることであった(例えば、各配合物のための乳化剤系を開発または調節することがなく;例えば、最終配合物の色に寄与することがなく;例えば、化粧品組成物の配合を妨げる濃度を必要とすることがなく、従って低濃度で非常に有効である)。さらに、この皮膚美白活性物質は、それが適用された皮膚の刺激を引き起こさないか、または市場で既知の製品と比較してそれを極めてわずかしか引き起こさないものであるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明の皮膚美白活性物質を、化粧品組成物に非常に効率的な濃度で配合しうることがわかった。この皮膚美白活性物質を、広範囲の化粧品組成物(例えば、W/Oエマルジョン、O/Wエマルジョン)に容易に配合しうること、それと同時に、該活性物質が、非常に明るい色の、ある場合には無色の最終製品を導くことがわかった。さらに、本発明の皮膚美白活性物質は、皮膚にどのような刺激をも示さない。
【0010】
本発明の皮膚美白活性物質は、皮膚美白において非常に有効であり、極めてわずかの色しか示さず、かつ広範囲の化粧品配合物タイプ(例えば、W/OエマルジョンまたはO/Wエマルジョン)にエマルジョン系に特別の要求をすることなく配合しうる化粧品組成物の配合を可能にする。
【0011】
本発明の説明
本発明は、
(a)少なくとも1つの糖脂肪酸エステル;
(b)Waltheria indicaの抽出物(b-1)またはPisum sativumの抽出物(b-2)およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの植物抽出物;
を含有する皮膚美白活性物質に関する。
【発明の効果】
【0012】
驚くべきことに、Waltheria indicaの抽出物またはPisum sativumの抽出物の単独がチロシナーゼ阻害活性を示さない場合であっても、これらは、糖脂肪酸エステルのチロシナーゼ阻害活性を高めることがわかった。これは、非常に有効な皮膚美白活性物質および皮膚美白化粧品組成物の配合を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において使用する用語「皮膚美白剤」は、皮膚美白剤で処置する前の状態と比較して、皮膚の色/色素沈着を比較的明るい色に変えることを目的とするあらゆる化粧適用を包含する。即ち、皮膚美白剤としての使用は、色素沈着、例えば、染みおよび/またはそばかす、超色素沈着(過度の日光暴露によって引き起こされることがある)の除去だけでなく、これらの色素沈着を明るくすること、例えば、皮膚の色調を比較的明るいものに変えることまたはそばかすを明るくすることなども包含する。
【0014】
また、本発明において使用する用語「皮膚美白剤」は、元の皮膚色調よりも暗い色への皮膚の着色/色素沈着を防止/回避することを目的とするあらゆる化粧適用をも包含する。このような使用の例は、日光フィルター化粧品である。
【0015】
本発明は、以下の皮膚美白活性物質ならびに該皮膚美白活性物質を含有する化粧品組成物を包含する:
・1つの糖脂肪酸エステルを、1つの植物抽出物(Waltheria indicaの抽出物またはPisum sativumの抽出物のいずれか)と組合せて含有する皮膚美白活性物質;
・1つの糖脂肪酸エステルを、両方の植物抽出物と組合せて含有する皮膚美白活性物質;
・1つを超える糖脂肪酸エステルの混合物を、1つの植物抽出物(Waltheria indicaの抽出物またはPisum sativumの抽出物のいずれか)と組合せて含有する皮膚美白活性物質;
・1つを超える糖脂肪酸エステルの混合物を、両方の植物抽出物と組合せて含有する皮膚美白活性物質。
【0016】
成分(a):糖脂肪酸エステル
本発明の皮膚美白活性物質は、少なくとも1つの糖脂肪酸エステルを含有する。
用語「糖脂肪酸エステル」および「糖エステル」は、本発明においては同義語として使用する。
【0017】
糖エステルは、製造有機化学の関連方法によって、例えば脂肪酸メチルエステルと対応する糖との反応によって、あるいは、例えば国際特許出願公開WO99/02722(Laboratoires Serobiologiques)に記載されているような酵素法によって得られる既知の非イオン性界面活性剤である。異なるグリコシドおよびアシル成分ならびに異なるエステル化度を有する糖エステルが、例えば、Cognis、Sisternaおよび/またはMitsubishi-Kagaku Foods Corporationから市販されている。適する糖エステルの代表例を以下に示す:
【化1】

【化2】

【0018】
基本的に、単糖、二糖および/またはオリゴ糖から導かれる糖エステルが適しており、これらには、アルドヘキソース(例えば、グルコース、メチルグルコース、マンノース、ガラクトース);デオキシアルドース(例えば、ラムノース、フコース、デオキシリボース);アルドペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース);ケトース(例えば、ピラノシルまたはフラノシル形態のフルクトース);二糖(例えば、トレハロース、スクロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、メリビオース、ゲントビオース、ラクトース)ならびに三糖、四糖、五糖およびオリゴ糖が含まれる。
【0019】
好ましい態様において、単糖および/または二糖から導かれる糖エステルが好ましい。
フルクトース、グルコース、トレハロース、サッカロースおよび/またはスクロースのエステルが好ましく、スクロース(=サッカロース)エステルが特に好ましい。
エステルのアシル成分は、式(I):
【化3】

[式中、R1-COは、6〜22個、好ましくは7〜18個、より好ましくは8〜16個、さらに好ましくは10〜16個、特に好ましくは10〜14個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のアシルまたはヒドロキシアシル基である]で示される脂肪酸から導くことができる。
好ましい態様において、エステルのアシル成分は、0個および/または1〜3個の二重結合を有する。
【0020】
好ましい態様において、糖エステルのアシル基は飽和脂肪酸から導かれる。
その代表例は、カプロン酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、10-ヒドロキシカプロン酸、ラウリン酸、12-ヒドロキシラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、16-ヒドロキシパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、共役リノール酸、エレオステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸ならびにこれらの工業用混合物の糖エステルである。また、糖エステルは、2個、好ましくは4〜22個、好ましくは6〜18個の炭素原子を含むジカルボン酸、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、オクタデセンジカルボン酸、およびこれらの工業用混合物などから導くこともできる。
【0021】
好ましい態様において、糖エステルのアシル成分は、カプリン酸、ラウリン酸およびミリスチン酸からなる群から導かれる。
エステルは、利用可能なヒドロキシル基に応じて1〜8個のエステル基を含むことができる。しかし、平均エステル化度が1〜6、より具体的には1〜4、特に1.5〜2.5である生成物を使用するのが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい態様において、糖成分がグルコース、フルクトース、スクロース、またはトレハロースから選択され、アシル成分が10〜14個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のアシルまたはヒドロキシアシル基から選択される糖脂肪酸エステルを使用する。好ましくは、これらの糖エステルは、1〜4の平均エステル化度を有する。
【0023】
本発明の好ましい態様において、糖成分がグルコース、フルクトース、スクロース、またはトレハロースから選択され、アシル成分がカプリン酸、ラウリン酸、またはミリスチン酸から選択される糖脂肪酸エステルを使用する。好ましくは、これらの糖エステルは、1〜4の平均エステル化度を有する。
【0024】
本発明の皮膚美白活性物質は、1つまたはそれ以上の糖脂肪酸エステルを含有することができる。
【0025】
成分(b-1):Waltheria indica(ワルテリア・インディカ)からの抽出物
本発明の1つの態様において、本発明の皮膚美白活性物質は、Waltheria indicaの少なくとも1つの抽出物(成分 b-1)を含有する。
植物Waltheria indica(別の植物学名は、Waltheria americana、Waltheria pyrolaefolia、Waltheria makinoi Hayataである)は、アオギリ科(Sterculiaceae)に属する。これは高さ2〜6フィートの小さい灌木であり、植物の全部分を覆うビロード状の毛を有する。長方形ないし卵形の葉は、長さ6インチおよび幅2インチまでであり、ギザギザの縁部および明瞭な葉脈を有する。芳香のある黄色い花が、葉腋における小さく密な房において成長する。
【0026】
通常、Waltheria indica植物の任意かつ全ての部分を、本発明に係る抽出物の製造に使用することができる。新鮮な植物または植物部分を出発原料として使用することができるが、乾燥した植物および/または植物部分(これを抽出前に機械的に小さくすることができる)を使用するのが普通である。新鮮なまたは乾燥した全植物、植物部分または種子を出発原料として使用することができ、これを機械的に小さくすることができる。好ましくは、乾燥した植物および/または植物部分(これを抽出前に機械的に小さくすることができる)を使用する。好ましい態様において、葉および/または芽を使用する。
【0027】
成分(b-2):Pisum sativum(ピサム・サチバム;エンドウ)からの抽出物
Pisum sativumは、マメ科(Fabaceae/Leguminosaea)の植物であり、Faboideae亜科に属する。
Pisum sativumに属する通常の亜種には、Pisum sativum L.convar.Sativum、Pisum sativum L.convar.medullare Pisum sativum L.convar.Axiphium. Pisum granda sneida L.convar.sneidulo p.shneideriumが含まれる。
【0028】
通常、Pisum sativum植物の任意かつ全ての部分を、本発明に係る抽出物の製造に使用することができる。新鮮な植物または植物部分、好ましくは種子(「エンドウ豆」)を出発原料として使用することができるが、乾燥した植物および/または植物部分(これを抽出前に機械的に小さくすることができる)を使用するのが普通である。新鮮なまたは乾燥した全植物、植物部分または種子を出発原料として使用することができ、これを機械的に小さくすることができる。好ましくは、乾燥した植物および/または植物部分(これを抽出前に機械的に小さくすることができる)を使用する。好ましい態様において、種子(「エンドウ豆」)のみを使用する。
【0029】
抽出物(b-1)および/または(b-2)の製造
本発明に係る成分(b-1)ならびに成分(b-2)は、植物またはその部分を抽出する既知の方法によって製造することができる。簡潔にするために、適する通常の抽出方法、例えば、冷浸、再冷浸、温浸、撹拌冷浸、渦巻き抽出、超音波抽出、向流抽出、パーコレーション、再パーコレーション、エバコレーション(減圧下での抽出)、ジアコレーションおよびソックスレー抽出器における連続還流下での固体/液体抽出(これらは当業者には周知であり、原則的にこれらの全てを使用することができる)の詳細は、例えば、「Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis」(第5版、第2巻、第1026-1030頁、Springer Verlag、Berlin-Heidelberg-New York、1991)中に見ることができる。
【0030】
抽出方法に適する溶媒は、有機溶媒、水、好ましくは80℃以上、特に85〜90℃の温度を有する蒸留した熱水、または有機溶媒と水の混合物、より具体的には、程度の差はあるが多量の水含量を有する低分子量アルコールである。メタノール、エタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、エチルメチルケトン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび酢酸エチル、これらの混合物ならびにこれらの含水混合物による抽出が特に好ましい。好ましい態様において、抽出物は、水、ブチレングリコール、ペンチレングリコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒による抽出によって得られる。好ましい態様において、抽出物は水による抽出によって得られる。
【0031】
抽出方法は、通常は4〜100℃、好ましくは20〜90℃、より好ましくは30〜90℃、より具体的にはアルコールまたは水/アルコール混合物の沸点温度で行う。1つの好ましい態様において、抽出方法を、不活性ガス雰囲気中で行って、抽出物の活性成分の酸化を回避する。これは、抽出を40℃以上の温度で行うときに特に重要である。抽出方法を、通常はpH2.5〜11、好ましくはpH4〜9で行う。抽出時間は、出発原料、抽出方法、溶媒、抽出温度、pH条件および溶媒と原料の比率などに依存して、当業者により選択される。
【0032】
抽出方法の後、得られた粗抽出物を、所望により他の通常の工程、例えば、精製、濃縮および/または脱色などにかけてもよい。
【0033】
所望により、このようにして製造した抽出物を、例えば、個々の望ましくない成分の選択的除去にかけてもよい。抽出方法を、任意の程度まで行ってよいが、通常は枯渇するまで続ける。通常のさらなる精製工程は、膜分離法、例えばナノ濾過、限外濾過、沈殿法、樹脂上での吸着/脱着法、クロマトグラフィー法を使用する。圧搾残留物の抽出における通常の収率(=原料の使用量に基づく抽出物乾燥物質)は、0.5〜10重量%、より具体的には1〜5重量%の範囲内である。本発明は、抽出条件および最終抽出物の収率を、所望の用途に応じて当業者が選択することができるという観察を包含する。所望により、抽出物を、次いで、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥にかけることができる。
【0034】
所望により、抽出物を、1つまたはそれ以上の助剤、例えば、マンニトール、ソルビトール、マルトデキストリン、シクロデキストリン、グリセリン、糖、例えばサッカロース、フルクトース、グルコースまたはトレハロースなどと混合することができる。
【0035】
皮膚美白活性物質
本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質は、少なくとも10重量%の(a)、(b-1)および/または(b-2)を含有し、好ましい態様において、少なくとも20%の(a)、(b-1)および/または(b-2)を含有する。
【0036】
本発明の皮膚美白活性物質は、他の成分を含有することができる。本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質は、助剤、添加剤、可溶化剤またはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる成分を含有する。
【0037】
本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質は、少なくとも1つの助剤をさらに含有する。
本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質は、マンニトール、ソルビトール、マルトデキストリン、シクロデキストリン、グリセリン、糖、例えばサッカロース、フルクトース、グルコースまたはトレハロースからなる群から選択される少なくとも1つの助剤をさらに含有する。
【0038】
本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質は、少なくとも1つの可溶化剤をさらに含有する。
本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質は、ヤシ油のポリエチレングリコールエーテル、ラウリン酸のポリエチレンおよびポリプロピレングリコールエーテル、水素化ヒマシ油のポリエチレングリコール誘導体、ステアリン酸グリセリルのポリエチレングリコールエーテル、セテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、セテアリル硫酸ナトリウム、エチレンオキシドと縮合させた長鎖脂肪酸とソルビトールおよび無水ソルビトールとのエステルまたはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの可溶化剤をさらに含有する。
【0039】
本発明の好ましい態様において、皮膚美白活性物質は、少なくとも1つの助剤および少なくとも1つの可溶化剤をさらに含有する。
【0040】
本発明の皮膚美白活性物質は、成分(a)、(b-1)および/または(b-2)を、所望によりさらなる成分と一緒に単純に混合することによって製造することができる。
1つの態様において、植物抽出物(成分 b-1および/またはb-2)を、所望により加熱下に可溶化/溶解することができ、次いで糖脂肪酸エステルを添加することができる。好ましくは、糖脂肪酸エステルを、成分(a)に添加する前に可溶化する。
【0041】
糖脂肪酸エステルの可溶化は、高い温度で行うことができる。あらゆる既知の適する可溶化剤を、糖脂肪酸エステルに対して使用することができる。これらは、例えば、以下に挙げるものである:Coceth-7[Coceth-7は、一般式:R-(OCH2CH2)n-OHで示されるヤシ油アルコール(任意量)のポリエチレングリコールエーテルであり、該式において、RはCocos Nucifera(ヤシ)油(任意量)から導かれる脂肪アルコールであり、nは平均値7を有する]、PPG-1-PEG-9 ラウリルグリコールエーテル、PEG-40 水素化ヒマシ油[PEG-40 水素化ヒマシ油は、水素化ヒマシ油(任意量)と平均して40モルのエチレンオキシドとのポリエチレングリコール誘導体である]、PEG-20 ステアリン酸グリセリル[PEG-20 ステアリン酸グリセリルは、一般的に以下の式(式中、x+y+zは平均値20を有する)で示されるステアリン酸グリセリル(任意量)のポリエチレングリコールエーテルである]:
【化4】

Ceteareth-12[Ceteareth-12は、一般的に式:R-(OCH2CH2)n-OHで示されるセテアリルアルコール(任意量)のポリエチレングリコールエーテルであり、該式において、Rはセチルおよびステアリルアルコールから導かれるアルキル基の混合物であり、nは平均値12を有する]、セテアリル硫酸ナトリウム、またはポリソルベート(エチレンオキシドと縮合させた長鎖脂肪酸とソルビトールおよび無水ソルビトールとのエステル)、例えば、Polysorbate-20(ラウリン酸エステル、約20モルのEO)またはPolysorbate-80(オレイン酸エステル、約80モルのEO)、またはこれらの混合物。
【0042】
成分(a)[糖脂肪酸エステル]:成分(b-1)および/または(b-2)[植物抽出物]の比は、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50である(乾燥重量に基づく)。
好ましい態様において、成分(a)[糖脂肪酸エステル]:成分(b-1)および/または(b-2)[植物抽出物]の比は、50:1〜1:1、好ましくは40:1〜1:1、より好ましくは30:1〜1:1、さらに25:1〜1:1、および15:1〜1:1である(乾燥重量に基づく)。
【0043】
本発明の皮膚美白活性物質は、好ましくは化粧品組成物において使用される。1つの好ましい化粧品使用は、皮膚美白剤としての使用である。1つの好ましい化粧品使用は、メラニン生成の阻害剤としての使用である。本発明の皮膚美白活性物質は、好ましくは、メラニン細胞においてチロシナーゼ活性を低下させるための製剤として、およびメラニン細胞においてメラノソーム成熟を低下させるための製剤として使用される。
【0044】
化粧品組成物
本発明は、さらに、本発明の皮膚美白活性物質を含有する化粧品組成物に関する。これらの化粧品組成物は、皮膚美白活性物質を、化粧品組成物を基準に、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の濃度で含有する。
【0045】
さらなる皮膚美白剤(c)
本発明の1つの態様において、皮膚美白活性物質を含有する化粧品組成物は、少なくとも1つのさらなる皮膚美白剤(c)を含有する。
さらなる皮膚美白剤は、あらゆる既知の皮膚美白剤、例えば、コウジ酸、ヒドロキノン、α-およびβ-アルブチン、他のヒドロキノングリコシド、デオキシアルブチン、フェルラ酸、ジアセチル-ボルジン、アゼライン酸、オクタデセン二酸、リノール酸、共役リノール酸、α-リポン酸、グルタチオンおよび誘導体、ウンデシレノイル-フェニルアラニン、ビタミンCおよび誘導体(L-アスコルビルリン酸マグネシウムとして)、ナイアシンアミド、4-n-ブチル-レゾルシノール、α-およびβ-ヒドロキシ酸、エラグ酸、レスベラトロール、Morus alba抽出物、グラブリジン(glabridin)および甘草抽出物、インペラトリン(imperatorin)およびイソインペラトリンおよびAngelica dahurica抽出物、センタウレイジン(centaureidin)およびノコギリソウ抽出物、Bellis perennis抽出物、Phyllanthus emblica抽出物、ウォータークレス抽出物、Veratum nigrum抽出物、Sophora flavescens抽出物、子嚢菌由来のメラニン分解酵素から選択することができる。
【0046】
本発明の1つの態様において、さらなる皮膚美白剤は、少なくとも1つの植物抽出物である。
本発明の1つの態様において、さらなる皮膚美白剤は、コウジ酸、α-およびβ-アルブチン、他のヒドロキノングリコシド、デオキシアルブチン、フェルラ酸、共役リノール酸、ビタミンCおよび誘導体(L-アスコルビルリン酸マグネシウムとして)、ナイアシンアミドおよび/または甘草抽出物からなる群から選択される。
【0047】
本発明の化粧品組成物は、好ましくは皮膚美白剤として使用される。本発明の化粧品組成物は、好ましくはメラニン生成の阻害剤として使用される。本発明の化粧品組成物は、好ましくは、メラニン細胞においてチロシナーゼ活性を低下させるため、およびメラニン細胞においてメラノソーム成熟を低下させるために使用される。
【0048】
本発明の化粧品組成物は、例えば、毛髪シャンプー、毛髪ローション、発泡浴剤、シャワー浴剤、クリーム、ゲル、ローション、アルコール性溶液および水性/アルコール性溶液、エマルジョン、ワックス/脂肪物質、スティック調製物、粉末または軟膏の形態であることができる。また、これらの組成物は、さらなる助剤および添加剤として、穏やかな界面活性剤、油成分、乳化剤、真珠色化ワックス、稠度調節剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、UV光保護因子、生物起源の活性成分、酸化防止剤、脱臭剤、発汗防止剤、ふけ防止剤、皮膜形成剤、膨潤剤、防虫剤、日焼け剤、ヒドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、芳香油、染料などを含有することもできる。
【0049】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの界面活性剤をさらに含有する。
存在していてよい界面活性物質は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤である。組成物中のこれらの含量は、通常は約1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、特に10〜30重量%である。
【0050】
陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)、および、アルキル(エーテル)ホスフェートである。陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0051】
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドおよびグルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。
非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0052】
陽イオン性界面活性剤の代表例は、第四アンモニウム化合物、例えばジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、およびエステルクォート(ester quat)、特に第四級化した脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
両性および双性イオン性界面活性剤の代表例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
上記した界面活性剤はもっぱら既知化合物である。
【0053】
特に適する穏やかな(即ち、特に皮膚に適合する)界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタールおよび/またはタンパク質脂肪酸縮合物(好ましくは、コムギタンパク質に基づく)である。
【0054】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの油成分をさらに含有する。
適する油成分は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6-22脂肪酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステルおよび/または分岐鎖C6-13カルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルエルケート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートなどである。
【0055】
また適するのは、直鎖C6-22脂肪酸と分岐鎖アルコール(特に2-エチルヘキサノール)とのエステル、C18-38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル(特にジオクチルマレエート)、直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-18脂肪酸に基づく液体のモノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C2-12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖の第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分岐鎖のC6-22脂肪アルコールカーボネート(例えば、ジカプリリルカーボネート;Cetiol CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐鎖C6-22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv TN)、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル(例えば、ジカプリリルエーテル;Cetiol OE)、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油(特に、シクロメチコーン、ケイ素メチコーン型)および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)である。
【0056】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの乳化剤をさらに含有する。
適する乳化剤は、例えば、下記の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤である:
・8〜22個の炭素原子を含む直鎖脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸への、アルキル基に8〜15個の炭素原子を含むアルキルフェノールへの、および、アルキル基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルアミンへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
・アルキル(アルケニル)基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、ならびに、そのエトキシル化類似体;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド1〜15モルの付加生成物;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド15〜60モルの付加生成物;
・グリセロールおよび/またはソルビタンと、12〜22個の炭素原子を含む不飽和、直鎖または飽和、分岐鎖の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ポリグリセロール(平均の自己縮合度2〜8)、ポリエチレングリコール(分子量400〜5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)と、12〜22個の炭素原子を含む飽和および/または不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロール)の混合エステル;
・モノ、ジおよびトリアルキルホスフェートならびにモノ、ジおよび/またはトリ-PEG-アルキルホスフェートおよびその塩;
・羊毛ワックスアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
・ブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30 ジポリヒドロキシステアレート;
・ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichのPemulenグレード(TR-1、TR-2);
・ポリアルキレングリコール;および
・グリセロールカーボネート。
【0057】
エチレンオキシド付加生成物
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノールへの、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販生成物である。これらは同族体混合物であり、その平均のアルコキシル化度は、付加反応を行う基質とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの量比に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品調製物のための脂質層増強剤として知られている。
【0058】
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、その製造およびその使用は、従来技術から既知である。これらは、特に、グルコースまたはオリゴ糖と8〜18個の炭素原子を含む第一アルコールとを反応させることによって製造することができる。グリコシド基に関する限り、モノグリコシド(環状糖基がグリコシド結合によって脂肪アルコールに結合している)ならびにオリゴマーグリコシド(好ましくは約8までのオリゴマー化度を有する)の両方が適している。このオリゴマー化度は、統計学的平均値であり、この値は、上記のような工業用グレード製品に一般的な同族体分布に基づいている。
【0059】
部分グリセリド
適する部分グリセリドの代表例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、ならびに、これらの工業用グレード混合物(これらは、製造方法に由来する副生成物として少量のトリグリセリドを含んでいることもある)である。また同様に適するのは、これらの部分グリセリドへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0060】
ソルビタンエステル
適するソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートならびにこれらの工業用グレード混合物である。また同様に適するのは、これらのソルビタンエステルへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物である。
【0061】
ポリグリセロールエステル
適するポリグリセロールエステルの代表例は、ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls PGPH)、ポリグリセロール-3 ジイソステアレート(Lameform TGI)、ポリグリセリル-4 イソステアレート(Isolan GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート、ジイソステアロイル ポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan PDI)、ポリグリセリル-3 メチルグルコース ジステアレート(Tego Care 450)、ポリグリセリル-3 蜜ろう(Cera Bellina)、ポリグリセリル-4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 セチルエーテル(Chimexane NL)、ポリグリセリル-3 ジステアレート(Cremophor GS 32)、ポリグリセリル ポリリシノレエート(Admul WOL 1403)、ポリグリセリル ジメレート イソステアレートおよびこれらの混合物である。他の適するポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとの、モノ、ジおよびトリエステルである(所望によりエチレンオキシド1〜30モルと反応させる)。
【0062】
陰イオン性乳化剤
代表的な陰イオン性乳化剤は、12〜22個の炭素原子を含む脂肪族脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸)ならびに12〜22個の炭素原子を含むジカルボン酸(例えば、アゼライン酸またはセバシン酸)である。
【0063】
両性および陽イオン性乳化剤
さらに、双性イオン性界面活性剤を、乳化剤として使用することができる。用語「双性イオン性界面活性剤」は、分子中に少なくとも1つの第四アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および1つのスルホネート基を保持する界面活性化合物を指す。特に適する双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタインであり、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(アルキル基またはアシル基にそれぞれ8〜18個の炭素原子を含む)、およびヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。特に好ましいのは、コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)のCTFA名称のもとで既知である脂肪酸アミド誘導体である。
【0064】
同様に適する乳化剤は、両性界面活性剤である。用語「両性界面活性剤」は、分子中にC8/18アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH基または−SOH基を含有し、内部塩を形成することができる界面活性化合物を指す。適する両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルアミノプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(アルキル基にそれぞれ約8〜18個の炭素原子を含む)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。
最後に、陽イオン性界面活性剤も乳化剤として適しており、エステルクォート(ester quat)型の乳化剤、好ましくはメチルで第四級化したジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が特に好ましい。
【0065】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの脂肪またはワックスをさらに含有する。
脂肪の代表例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセロールエステルから本質的になる固体または液体の植物または動物産物であり、適するワックスは、特に天然ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、アフリカハネガヤワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、蜜ろう、セラックワックス、鯨ろう、ラノリン(羊毛ワックス)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地ろう)、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えばモンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ジョジョバワックス、ならびに、合成ワックス、例えばポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。
【0066】
脂肪に加えて、適する添加剤は、脂肪様の物質、例えばレシチンおよびリン脂質である。用語「レシチン」は、脂肪酸、グリセロール、リン酸およびコリンからエステル化によって生成するグリセロリン脂質を意味すると当業者に理解されている。従って、レシチンは、専門家の世界ではホスファチジルコリン(PC)と称されることも多い。挙げることができる天然レシチンの例はケファリンである。これは、ホスファチジン酸とも称され、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体である。対照的に、リン脂質は、リン酸とグリセロールとのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロホスフェート)を意味すると通常は理解されており、これは、一般に脂肪と分類されている。さらに、スフィンゴシンまたはスフィンゴ脂質も適している。
【0067】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの真珠色化ワックスをさらに含有する。
適する真珠色化ワックスの例は、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;合計して少なくとも24個の炭素原子を含む脂肪化合物、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を含むポリオールによる開環生成物;およびこれらの混合物である。
【0068】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの稠度調節剤および/または増粘剤をさらに含有する。
適する稠度調節剤は、主に、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、さらに部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。好ましいのは、これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または脂肪酸N-メチルグルカミド(同じ鎖長)および/またはポリグリセロール ポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せである。適する増粘剤は、例えば、Aerosilグレード(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンゴム、グアール、寒天、アルギネートおよびチロース(tylose)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、さらに比較的高分子量の脂肪酸ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート[例えば、CarbopolおよびPemulenグレード(Goodrich);Synthalen(Sigma);Keltrolグレード(Kelco);Sepigelグレード(Seppic);Salcareグレード(Allied Colloids)]、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンである。また、ベントナイト、例えば、Bentone Gel VS 5PC(Rheox)(これは、シクロペンタシロキサン、ジステアルジモニウム ヘクトライトおよびプロピレンカーボネートの混合物である)も、特に有効であることがわかった。また適するのは、界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド)、脂肪酸とポリオール(例えば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド、ならびに、電解質(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウム)である。
【0069】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの過脂肪剤をさらに含有する。
使用しうる過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、さらにポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質である(後者は、発泡安定剤としても働く)。
【0070】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの安定剤をさらに含有する。
使用しうる安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩である。
【0071】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つのポリマーをさらに含有する。
適する陽イオン性ポリマーは、例えば、陽イオン性セルロース誘導体、例えば第四級化したヒドロキシエチルセルロース(AmercholからPolymer JR 400の名称で入手できる)、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級化したビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、第四級化したコラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat L、Gruenau)、第四級化したコムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretin、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat 550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋した水溶性ポリマー、陽イオン性キチン誘導体、例えば第四級化したキトサン(所望により微結晶分散している)、ジハロアルキル(例えばジブロモブタン)とビス-ジアルキルアミン(例えばビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合生成物、陽イオン性グアールゴム(例えば、CelaneseからのJaguar CBS、Jaguar C-17、Jaguar C-16)、第四級化したアンモニウム塩ポリマー(例えば、MiranolからのMirapol A-15、Mirapol AD-1、Mirapol AZ-1)である。
【0072】
適する陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、未架橋のポリアクリル酸およびポリオールで架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび所望により誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0073】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つのシリコーン化合物をさらに含有する。
適するシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル-修飾したシリコーン化合物である(これらは、室温で液体または樹脂形態のいずれかであることができる)。また適するのは、水素化シリケートおよび200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンの混合物であるシメチコーンである。
【0074】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つのUV光保護フィルターをさらに含有する。
UV光保護因子は、例えば、室温で液体または結晶性であり、かつ、紫外線を吸収することができ、吸収したエネルギーをより長波長の放射(例えば熱)の形態で再び放出することができる有機物質(光保護フィルター)を意味すると理解すべきである。UV-Bフィルターは、油溶性または水溶性であることができる。油溶性物質の例を以下に挙げる:
・3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファーおよびその誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンファー;
・4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルおよび4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミル;
・ケイ皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-メトキシケイ皮酸プロピル、4-メトキシケイ皮酸イソアミル、2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸2-エチルヘキシル(Octocrylene);
・サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸4-イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル;
・ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
・ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンザルマロン酸ジ-2-エチルヘキシル;
・トリアジンの誘導体、例えば2,4,6-トリアニリノ(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよびオクチルトリアゾンまたはジオクチルブタアミドトリアゾン(UVAsorb HEB);
・プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン;
・ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体。
【0075】
適する水溶性物質は、以下の通りである:
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、ならびに、そのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウム塩;
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;
・3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)-ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびその塩。
【0076】
適する通常のUV-Aフィルターは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、およびエナミン化合物である。勿論、これらUV-AおよびUV-Bフィルターを、混合物で使用することもできる。特に好ましい組合せは、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)および2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸2-エチルヘキシル(Octocrylene)からなり、ケイ皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルおよび/または4-メトキシケイ皮酸プロピルおよび/または4-メトキシケイ皮酸イソアミルと組合せる。有利には、このような組合せを、水溶性フィルター、例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ならびにそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウム塩と組合せる。
【0077】
上記した可溶性物質に加えて、不溶性の光保護顔料(即ち、微細に分散させた金属酸化物または塩)も、この目的に適している。適する金属酸化物の例は、特に、酸化亜鉛および二酸化チタン、さらに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物ならびにこれらの混合物である。使用しうる塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。これらの酸化物および塩を、皮膚ケアおよび皮膚保護エマルジョンおよび美容化粧品のための顔料の形態で使用する。ここで、これらの粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有しているべきである。これらは球の形状を有していてよいが、楕円形の粒子または球形からいくらかはずれた形状の粒子を使用することもできる。また、顔料を、表面処理すること、即ち親水性化または疎水性化することもできる。その代表例は、被覆した二酸化チタン、例えば、Titandioxid T 805(Degussa)およびEusolex T2000(Merck)である。適する疎水性被覆材料は、主にシリコーンであり、特にトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコーンである。日焼け止め剤において好ましいのは、いわゆるミクロまたはナノ顔料を使用することである。好ましいのは、ミクロ化した酸化亜鉛を使用することである。
【0078】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの生物起源の活性成分および/または酸化防止剤をさらに含有する。
生物起源の活性成分とは、例えば、トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェロールパルミテート、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、ピタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、偽セラミド、精油、植物抽出物(例えば、プラナス抽出物、バンバラナッツ抽出物)ならびにビタミン複合体などを意味するものと解される。
【0079】
酸化防止剤は、UV線が皮膚を貫通したときに開始される光化学反応連鎖を遮断する。その代表例は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびその誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲニン酸およびその誘導体、リポン酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポン酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびに、そのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、およびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに、スルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-およびヘプタ-チオニンスルホキシイミン)[これらは、極めて少ない許容用量(例えば、pモル〜μモル/kg)で用いる]、さらに、(金属)キレート化剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシド-ジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)、ならびに、本発明に従って適するこれら活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
【0080】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの抗微生物剤および/または防腐剤をさらに含有する。
適する抗微生物剤は、基本的に、グラム陽性細菌に対して効果的な全ての物質であり、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸およびその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸N-アルキルアミド(例えば、N-オクチルサリチルアミドまたはN-デシルサリチルアミド)などである。
【0081】
適する防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、Surfacinsの名称のもとで知られる銀錯体、および化粧品指針(Cosmetics Directive)の付属書6のパートAおよびBに挙げられている他の群の物質である。
【0082】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの皮膜形成剤をさらに含有する。
通常の皮膜形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系列のポリマー、第四セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩および同様の化合物である。
【0083】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つの膨潤剤をさらに含有する。
水相のための膨潤剤は、モンモリロナイト、粘土無機物質、ペムレン(Pemulen)およびアルキル修飾したカルボポール(Carbopol)グレード(Goodrich)であってよい。他の適するポリマーおよび膨潤剤は、R.Lochheadの概説[Cosm.Toil.、108、95 (1993)]中に記載されている。
【0084】
本発明の1つの態様において、化粧品組成物は、少なくとも1つのヒドロトロープ剤をさらに含有する。
流れ挙動を改善するために、ヒドロトロープ剤、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用することができる。ここで適するポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。これらポリオールは、他の官能基、特にアミノ基を含有することもでき、また、窒素で修飾することもできる。その代表例は、以下の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および、ポリエチレングリコール(100〜1000ダルトンの平均分子量を有する);
・1.5〜10の自己縮合度を有する工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用グレードのジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0085】
さらなる成分の合計量は、組成物を基準に、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であってよい。組成物を、通常の冷間法または熱間法によって製造することができる。好ましいのは、相反転温度法を使用することである。
【実施例】
【0086】
実施例1:Waltheria indicaの抽出物
Waltheria indicaの葉(1.2kg)を蒸留水(20L)に加え、次いで85〜90℃に加熱し、2時間撹拌した。次いで、抽出物を室温まで冷却し、3500Gで15分間遠心した。次いで、得られた褐色の抽出物を、パパイン(パパイヤ由来のプロテイナーゼ)を用いて60℃で4時間加水分解した。この酵素を、90℃での熱ショックにより非活性化した。次いで、抽出物を室温まで冷却し、PVP(ポリビニルピロリドン)の添加後に、200〜400nmの平均多孔性を有する深フィルター(Seitzから、Bordeaux、仏国)による濾過によって残留物から分離し、1.2重量%の乾燥残留物を含む抽出物を得た。助剤としてマンニトールを、抽出物質:マンニトールについてそれぞれ10:90(重量による)の割合で添加した後、抽出物を、出発温度185℃および最終温度80℃で噴霧乾燥した。
同じ処理により、出発原料に依存して、1〜10重量%の乾燥残留物の抽出物が得られた。
【0087】
実施例2:Waltheria indicaの抽出物
Waltheria indicaの葉(1.2kg)を、85〜90℃に加熱した蒸留水(5.5L)およびペンチレングリコール(13.2kg)に加え、2時間撹拌した。次いで、抽出物を室温まで冷却し、3500Gで15分間遠心した。褐色の抽出物を、200〜400nmの平均多孔性を有する深フィルター(Seitzから、Bordeaux、仏国)による濾過によって残留物から分離し、1.7重量%の乾燥残留物を含む抽出物を得た。
【0088】
実施例3A:Waltheria indicaの抽出物
Waltheria indicaの葉(2kg)を、90℃に加熱した蒸留水(30L)を用いて2時間浸出させた。このようにして得られた抽出物を室温まで冷却し、PVP(ポリビニルピロリドン)の添加後に、200〜400nmの平均多孔性を有する深フィルター(Seitzから、Bordeaux、仏国)による濾過によって残留物から分離し、0.5重量%の乾燥残留物を含む抽出物を得た。同じ処理により、出発原料に依存して、0.5〜5重量%の乾燥残留物を有する抽出物が得られた。この抽出物を、所望により助剤(例えばマンニトール)を添加(1/2の助剤と1/2の抽出物質または1/10の助剤と9/10の抽出物質)した後に、出発温度185℃および最終温度80℃で噴霧乾燥した。
【0089】
実施例3B:Waltheria indicaの水/アルコール抽出物の製造
水/アルコール抽出物を製造するために、以下の工程を行った:小さくした植物原料(200g)を、反応容器中の70重量%水性エタノール(2L)中に浮遊させた;抽出を、撹拌しながら還流下で1時間行った;次いで、微細フィルターを装着したブフナーフィルターで濾過を行った;次いで上清を集め、続いて減圧下での蒸発によってエタノール相を濃縮し、5000Gで10分間遠心して不溶分を除去し、次いで濾過した;得られた収率(重量による)は14.6%であった。所望により助剤(例えばマルトデキストリン)を添加(2/3の助剤、1/3の抽出物質)した後に、植物抽出物の直接噴霧によって抽出物から水を除去した。
【0090】
実施例4:Pisum sativumの抽出物
Pisum sativumの種子(9.5kg)を粉砕して粉末にし、蒸留水(6.5L)に添加した。pH5に到達するまでH2SO4を添加した後、混合物を45〜50℃に加熱し、2時間撹拌した。次いで、抽出物を室温まで冷却し、遠心して固体を分離し、0.65μmのフィルターで濾過して透明な液体を得た。この抽出物を、5000Da膜を有する接線限外濾過によって約2.5〜3倍に濃縮し、次いで約2倍に透析濾過して、4.3重量%の乾燥残留物を含む抽出物(1.2L)を得た。この抽出物を、出発温度190℃および最終温度120℃で噴霧乾燥した。
【0091】
実施例5:スクロース脂肪酸エステル
SURFHOPE SE COSME C-1205のもとで市販されているラウリン酸スクロースは、Mitsubishi-Kagaku Foods Corporationによって供給されている。
【0092】
実施例6:スクロース脂肪エステルとWaltheria indica抽出物の混合
実施例2のWaltheria indicaの抽出物(10.6kg)およびペンチレングリコール(16kg)を70℃に加熱した。次いで、この溶液にスクロース脂肪エステル(6.6kg)を加え、トゥラックス(turax)で可溶化した。次いで、生成物を室温まで冷却した。
【0093】
実施例7:スクロース脂肪エステルとPisum sativum抽出物の混合
実施例4のPisum sativumの抽出物(0.48kg)を、蒸留水(10.7L)に溶解した。スクロース脂肪酸エステル(5kg)を、撹拌下に70℃で蒸留水(12.5L)および可溶化剤(3.75kg)中に溶解した。生成物を室温まで冷却し、Pisum sativum抽出物の溶液を撹拌下に加えた。
【0094】
実施例8:メラニン生成阻害アッセイ
メラニン細胞(B16セルライン)を、ウシ胎仔血清(FCS)を含む標準の細胞培養培地に接種した。37℃およびCO2=5%で3日間インキュベートした後、増殖培地を、ある範囲の濃度の各試験成分を含む標準培地および成分を含まない対照と交換した。3日間のインキュベートの後、メラニンのレベルを、475nmで光学密度を記録することによって測定した。細胞を平衡塩類溶液で洗浄し、0.1M NaOH溶液中でホモジナイズした後、生存細胞数を、細胞タンパク質レベルの評価によって決定した(Bradford法)。
成分の組合せを、成分の単独と平行して、同じ細胞培養物において試験した。結果を、2回または3回のアッセイにおいてそれぞれ3測定の平均±SEM(標準誤差)として、対照(成分を含まない細胞培養培地)に対する%で表した。
【0095】
実施例8-1:ラウリン酸スクロースとWaltheria indica抽出物の組合せ
実施例1の抽出物および実施例5のラウリン酸スクロースを試験した:
【表1】


これらの結果は、ラウリン酸スクロース、Waltheria indica抽出物およびこれらの組合せが、生存B16メラニン細胞の割合を変えなかったことを示す。
【0096】
【表2】


表2は、糖脂肪酸エステル単独を0.0003%の濃度で用いると、メラニンの割合を56±18%まで低下させうることを示す。糖脂肪酸エステルの濃度を3倍(0.001%)まで増加させても、メラニン減少の有意の増大を導かない(0.001%ラウリン酸スクロースの濃度でメラニン割合54±16%)。
メラニン合成の有意のさらなる減少を、Waltheria indicaの抽出物を添加することによってのみ達成することができる(0.3%の添加によって、メラニン割合28±6%までの低下を達成することができる)。
【0097】
【表3】


表2および表3の結果は、異なる比率のラウリン酸スクロースとWaltheria indica抽出物の組合せが、メラニン生成阻害に対して向上した効果を有し、この効果が同じ濃度の各生成物単独よりも優れていることを示す。
【0098】
実施例8-2:ラウリン酸スクロースとPisum sativum抽出物の組合せ
【表4】


これらの結果は、ラウリン酸スクロース、Pisum sativum抽出物およびこれらの組合せが、生存B16メラニン細胞の割合を変えなかったことを示す。
【0099】
【表5】

【0100】
【表6】


表5および表6の結果は、ラウリン酸スクロースとPisum sativum抽出物の組合せが、メラニン生成阻害に対して向上した効果を有し、この効果が同じ濃度の各生成物単独よりも優れていることを示す。
【0101】
実施例9:メラニン細胞に対するチロシナーゼ活性
メラニン細胞(B16セルライン)を、ウシ胎仔血清(FCS)を含む標準の細胞培養培地に接種した。37℃およびCO2=5%で3日間インキュベートした後、増殖培地を、ある範囲の濃度の各試験成分を含む標準培地および成分を含まない対照と交換した。成分の組合せを、成分の単独と平行して、同じ培養物において試験した。3日間のインキュベートの後、B16メラニン細胞を、0.1%のDL-DOPA溶液とともに37℃で2時間インキュベートした。2時間目にDL-DOPA溶液の475nmでの光学密度を記録することによって、チロシナーゼ活性を評価した。475nmでの光学密度を、対照に対する%として表し、3測定の平均±SEM(標準誤差)として示した。
平行して、チロシナーゼ活性測定のときと同様に処理した第2組のB16メラニン細胞培養物を用いて、付着細胞中のタンパク質量を測定することにより細胞数を決定した。このようにして、使用した用量における生成物の無害性を評価することができた。
【0102】
【表7−1】


ラウリン酸スクロースのみがチロシナーゼ活性を低下させ、Waltheria indica抽出物は効果がなかった。同じ用量で組合せると、ラウリン酸スクロースとWaltheria indica抽出物の組合せは、ラウリン酸スクロース単独よりも高い効果を与え、相乗効果を示した。
【0103】
【表7−2】


独立してまたは混合して試験したラウリン酸スクロースならびにWaltheria indica抽出物は、細胞タンパク質の量を大きくは減少させず、従って、これらはこれらの濃度において毒性作用を示さない。
【0104】
【表8−1】


ラウリン酸スクロースのみがチロシナーゼ活性を低下させ、Pisum sativum抽出物は効果がなかった。同じ用量で組合せると、ラウリン酸スクロースとPisum sativum抽出物の組合せは、ラウリン酸スクロース単独よりも高い効果を与え、相乗効果を示した。
【0105】
【表8−2】


独立してまたは混合して試験したラウリン酸スクロースならびにPisum sativum抽出物は、細胞タンパク質の量を大きくは減少させず、従って、これらはこれらの濃度において毒性作用を示さない。
【0106】
実施例10:アジアのボランティアにおけるインビボでの美白効果
この試験は、特に前腕の内側に暗いかまたは非常に暗い皮膚を有する年齢が18〜45歳の26人のアジア皮膚型において、皮膚学的コントロールのもとで行った。0.5%のラウリン酸スクロースおよび0.05%のPisum sativum抽出物を含有するエマルジョンAを、2%のヒドロキノンを含有するエマルジョンB(表9を参照)および未処置の対照と比較して試験した。エマルジョンを、6週間にわたり1日2回、5mg/cm2の用量で前腕の2つの試験部位に適用した。美白効果の定量的評価を、処置前および処置の6週間後に、メキサメーターM16(Mexameter M16;Courage and Khazaka、独国)を用いて皮膚の色測定(色素沈着指数)により行った。これらの結果を、処置前に対する色素沈着指数の低下%として表し、平均±SEM(標準誤差)として示した(表10)。
【0107】
【表9】

【0108】
【表10】

【0109】
メキサメーターの結果は、試験エマルジョンの使用中および使用後に、処置をしなかった対照ゾーンと比較して、色素沈着度の有意の低下を示した。この美白活性は、メキサメーター値の低下に対応する。
ラウリン酸スクロースとPisum sativum抽出物の組合せを含有するエマルジョンによる暗いアジア皮膚の処置は、処置の6週間後に既に、皮膚を刺激することなく、基準のヒドロキノンと同等の有意の美白効果を誘導した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの糖脂肪酸エステル;
(b)Waltheria indicaの抽出物、Pisum sativumの抽出物、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの植物抽出物;
を含有する皮膚美白活性物質。
【請求項2】
糖脂肪酸エステルとして、糖成分が単糖、二糖およびこれらの混合物からなる群から選択されるエステルを含有する請求項1に記載の皮膚美白活性物質。
【請求項3】
糖脂肪酸エステルとして、アシル成分が式(I):R1CO-OH[式中、R1-COは、6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のアシルまたはヒドロキシアシル基である]で示される脂肪酸から導かれるエステルを含有する請求項1または2に記載の皮膚美白活性物質。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚美白活性物質を含有する化粧品組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなる皮膚美白剤(c)を含有する請求項4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚美白活性物質を、化粧品組成物を基準に、0.1〜10重量%の濃度で含有する化粧品組成物。
【請求項7】
皮膚美白剤としての、請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚美白活性物質および/または化粧品組成物の使用。
【請求項8】
メラニン生成阻害剤としての、請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚美白活性物質および/または化粧品組成物の使用。
【請求項9】
チロシナーゼ活性を低下させるため、および/またはメラノソーム成熟を低下させるための、請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚美白活性物質および/または化粧品組成物の使用。

【公表番号】特表2009−531345(P2009−531345A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501896(P2009−501896)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002221
【国際公開番号】WO2007/107268
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】