説明

糞尿処理装置

【課題】効率よく曝気処理を行うことができる糞尿処理装置を提供する。
【解決手段】レベルセンサ243により、前貯留槽4内部の糞尿流体の液面が所定の高さよりも低くなり、前貯留槽4内部の糞尿流体の量が所定の値よりも少なくなったことが検出されると、コントローラ8は、バルブ142を閉じ、かつ、バルブ143を開放する。すると、消泡水タンク25に貯留された糞尿流体(消泡水)は、パイプ25dおよびフィードバックパイプ152を介して、前貯留槽4の前貯留部5bに送出される。これにより、例えば、前貯留槽4に投入される糞尿流体の量が少ない場合でも常に糞尿流体を確保でき、前貯留槽4内部の糞尿流体の酸化発酵処理が滞るのを防ぐことができる。結果として、曝気処理槽1、第1熟成槽2および第2熟成槽3における曝気処理が滞るのを防ぐことが可能となり、曝気処理を効率的に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糞尿処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年環境保全に対する問題がクローズアップされ、人と動物等の共生化を図るために、人の生活環境を壊さない状態を維持しながら如何にお互いに満足できるような環境を創るかが真剣に議論されるようになってきた。その際、人の排泄物はもちろんのこと家畜の排泄物の処理についても注目されるようになってきた。
【0003】
一般に牛、豚、その他の家畜等の糞尿を処理する場合、排泄された糞尿から固形物を除去した後、大型タンクにこの糞尿液を貯留して曝気処理を行うことにより糞尿液の臭いを軽減しかつ微生物の自己分解能を促して酸化発酵処理を行い、所望の曝気糞尿処理液に加工し、これを肥料等に使っている。例えば、特許文献1では、糞尿流体を前貯留槽に貯留し、この貯留された糞尿流体を曝気処理槽で曝気処理を行い、この曝気処理された曝気処理糞尿流体を熟成槽で熟成させることにより、所望の曝気処理糞尿流体に加工している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−126896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の糞尿処理装置において、前貯留槽内部の糞尿流体の量が少なくなると、前貯留槽内部における酸化発酵処理が滞ることが生じていた。前貯留槽における酸化発酵処理が滞ると、曝気処理槽や熟成槽における酸化発酵処理にも時間がかかってしまい、最終的に所望の特性を有する曝気処理流体を生成するのにも時間がかかり、結果として、曝気処理を効率的に行うことができない。
【0006】
そこで、本願発明は、効率よく曝気処理を行うことができる糞尿処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解消するために、本発明にかかる糞尿処理装置は、糞尿を固形物と糞尿流体とに分離する固液分離器と、この固液分離器により分離された固体を蓄える堆肥ユニットと、前記固液分離器により分離された前記糞尿流体を貯留する前貯留槽と、この前貯留槽に貯留された前記糞尿流体を曝気処理する曝気処理槽と、この曝気処理槽からの出力を貯留する熟成槽と、前記前貯留槽と前記曝気処理槽との間に設けられ、前記前貯留槽内の糞尿流体を前記曝気処理槽に送出するパイプと、前記前貯留槽と前記曝気処理槽との間に設けられ、前記曝気処理槽内の糞尿流体を前記前貯留槽に送出する第1のパイプと、前記第1のパイプに設けられた第1のバルブと、この第1のバルブを開閉する制御装置とを備え、前記曝気処理槽は、槽内の底部付近に配置された曝気レータと、上部に槽内に発生した泡を消泡することにより消泡水化し、これを前記熟成槽に出力する出力部とを備え、前記前貯留槽は、槽内に所定レベルで常時貯留された糞尿流体の液面より低い位置に設けられた循環ポンプと、前記槽内の液面の高さを検出する前貯留槽レベルセンサとを備え、前記制御装置は、前記前貯留槽レベルセンサにより前記前貯留槽の液面が所定レベルよりも低いことが検出されると、前記第1のバルブを開くことにより、前記曝気処理槽から前記第1のパイプを介して前記前貯留槽に前記糞尿流体を出力させることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記前貯留槽と前記熟成槽との間に設けられ、前記熟成槽内の糞尿流体を前記前貯留槽に送出するパイプと、このパイプに設けられた第2のバルブとをさらに備え、前記曝気処理槽は、槽内の液面の高さを検出する曝気処理槽レベルセンサをさらに備え、前記熟成槽は、槽内の液面の高さを検出する熟成槽レベルセンサをさらに備え、前記制御装置は、前記前貯留槽レベルセンサにより前記前貯留槽の液面が所定レベルよりも低いことが検出されると、前記曝気処理槽レベルセンサおよび前記熟成槽レベルセンサにより前記曝気処理槽および前記熟成槽の液面の高さを検出し、この検出した値に基づいて前記第1のバルブまたは前記第2のバルブを選択的に開き、前記曝気処理槽または前記熟成槽から前記前貯留槽に前記糞尿流体を出力させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前貯留槽の液面が所定レベルよりも低いときに、第1のバルブを開くことにより、曝気処理槽から第1のパイプを介して前貯留槽に糞尿流体を出力させることにより、前貯留槽内部の糞尿流体の量を所定の値に保つことが可能となり、曝気処理を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明にかかる糞尿処理装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
[糞尿処理装置の構成]
図1〜図5に示すように、本実施の形態にかかる糞尿処理装置は、糞尿流体の曝気処理を行う曝気処理槽1と、上述した曝気処理槽1で曝気処理された糞尿流体を所定特性を有した状態で貯留する熟成槽2と、この熟成槽2の後段に配置され排泄物から固液分離された糞尿流体を投入して前述した曝気処理槽1に糞尿流体を供給する前貯留槽3と、熟成槽2からの曝気処理液を貯留する外部貯留槽4と、上述した曝気処理槽1の槽下部の沈殿物を貯留するドレーンタンク5と、家畜等の排泄物を固形物と糞尿流体に分離する固液分離器6と、処理槽全体の各部の動作制御を行うコントローラ7と、このコントローラ7の指示に基づいて曝気処理槽全体の制御に関わる動作を行う制御装置8とから構成されている。
【0012】
なお、本実施の形態は曝気処理槽が1つ設けられているが、曝気処理槽の数は1つに限定されず例えば2つなど適宜自由に変更することができる。
【0013】
<曝気処理槽の構成>
曝気処理槽1について、図2を用いて具体的に説明すると、曝気処理槽1の外形を定める箱体10は、全体として直方体であり隔壁11により内部が曝気処理部1aと循環部1bに仕切られている。曝気処理部1aの上方には、糞尿流体拡散部12と、出力装置13,14、消泡された糞尿流体(消泡水)を貯留する消泡水タンク25が設けられている。曝気処理部1aおよび循環部1bの内部上方には、糞尿流体を出力するシャワー15が配設され、曝気処理部1aの内部下方には、糞尿流体と空気を混ぜ合わせて吐出する曝気レータ16と曝気処理部1a内の糞尿流体中に直接供給されて曝気処理をさらに促進させる空気供給装置17が配設され、曝気処理槽1底部には、曝気処理槽1底部の沈殿物を循環部1bに移動させるミキサ18が配設されている。曝気処理部1aに併設された循環部1bの内部下方には、曝気処理部1aから移動してきた糞尿流体を糞尿流体拡散部12へ送出するポンプ19、曝気処理部2aから移動してきた糞尿流体をシャワー15および消泡水タンク25または後述する熟成槽2へ送出するポンプ20、曝気処理槽1下部の沈殿物を曝気処理槽1外部に排出するするドレーンパイプ21が配設されている。箱体10底部外周には、加熱パイプ23が配設されており、箱体10の露出した外面は保温材24により被覆されている。出力装置13,14の後述するパイプ13g,14gには流量センサ202が設けられ、箱体10内部には箱体10上部から垂下されたpHセンサ201、温度センサ203およびレベルセンサ204が配設されている。
【0014】
糞尿流体拡散部12は、拡散板12cが軸12eにより曝気処理部1a上部より垂下されており、この軸12eはモータ12dに取り付けられている。図1および図2によく示されるように、箱体10内部から糞尿流体拡散部12付近で箱体10外部に導出されているパイプ12aは、バルブ114を介して曝気処理槽1の循環部1bに配設されたポンプ19のパイプ19bに接続されている。これにより曝気処理槽1内部において、曝気処理部1aから循環部1bに導かれた糞尿流体は、糞尿流体拡散部12から再び曝気処理部1aに導かれ、曝気処理槽1内部を循環して連続的な曝気処理が施される。また、パイプ12aは、バルブ111,112,114,140,141を介して熟成槽2、前貯留槽3およびドレーンタンク5にも接続されている。
【0015】
引き込み管12bは、前述したパイプ12aに接続され、このパイプ12aから送られてきた糞尿流体が、糞尿流体拡散部12の下端部に設けられた複数の孔からその下方に垂下された拡散板12cに向けて放出される。ここに示される拡散板12cは、大小2個の円盤からなり、モータ12dにより回転されると、拡散板12cに衝突した糞尿流体は、拡散板12cの遠心力によって周方向に飛ばされ、曝気処理部1a内に効果的に拡散される。
【0016】
なお、図2に示される本実施の形態において、糞尿流体拡散部12に引き込み管12cが設けられているが、この引き込み管12cは設けられていなくてもよい。パイプ12aから送られてくる糞尿流体を、曝気処理部1a上部から直接拡散板12cに落とし込むようにしてもよい。また、拡散板12cに糞尿流体が確実に衝突するようガイド等を設けるようにすることもできる。
【0017】
シャワー15は、図2に示すようにバルブ115介してポンプ20と接続されており、ポンプ20から送出される糞尿流体を曝気処理部1aおよび循環部1b内部に複数のノズル15aから出力する。これにより曝気処理槽1底部の糞尿流体は、シャワー15から曝気処理槽1上方から出力されることにより、空気との接触面積が大きくなり、効果的に曝気処理が施されることになる。また、シャワー15は、バルブ116を介して消泡水タンク25に接続されたパイプ15bを有し、このパイプ15bにより曝気処理槽1内部の糞尿流体は選択的に消泡水タンク25に出力される。
【0018】
曝気レータ16は、図2に示すように曝気処理部1a下方の中央付近に配設されており、この曝気レータ16から箱体10外部に空気導入管16aが導出されている。曝気レータ16は、コントローラ7の指示により曝気レータ16付近の糞尿流体と空気導入管16aから取り込まれた空気を混合し、この混合物を糞尿流体中に放出する。
【0019】
空気供給装置17は、筒の形状を有し、曝気処理部1a下方付近に配設された端部には空気供給口17aが形成され、この空気供給口17aから糞尿流体中に空気が放出される。また、空気供給装置17の一端は、箱体10の外部に導出されて、後述する制御装置8の空気供給口105に接続されており、この空気供給口105から図1および図2において丸付き符号5で示す空気が供給される。このように曝気処理槽1内部に曝気レータ16に加えて空気供給装置17を設けることにより、曝気処理部1a内の糞尿流体中に空気が十分に供給され、糞尿流体は効果的に曝気処理される。
【0020】
ポンプ部19aとパイプ19bから構成されるポンプ19は、図1および図2に示すように、パイプ19bがバルブ114を介して糞尿流体拡散部12のパイプ12aに接続されており、ポンプ19から送出される糞尿流体は、糞尿流体拡散部12から曝気処理部1aに放出される。これにより糞尿流体は、曝気処理部1aと循環部1bを循環し、連続的に曝気処理が施される。
【0021】
また、ポンプ19は、バルブ114,112,141を介して熟成槽2のパイプ53に接続されており、曝気処理槽1内部の糞尿流体を熟成槽2に送出する。これにより糞尿流体は、曝気処理槽1から第2曝気処理槽2に送出されて、段階的に曝気処理が施される。
【0022】
ポンプ部20aとパイプ20bから構成されるポンプ20は、図1および図2に示すように、パイプ20bがバルブ115を介してシャワー15に接続されており、ポンプ20から送出される糞尿流体は、シャワー15から曝気処理部1a、循環部1bおよびバルブ116を介して消泡水タンク25に放出される。これにより糞尿流体は、曝気処理部1aと循環部1bを循環し、連続的に曝気処理が施される。
【0023】
なお、ポンプ20は、シャワー15に設けられているバルブ116により、消泡水タンク25に糞尿流体を送出するか否かを選択することができる。また、パイプ20bは、バルブ117を介して熟成槽2のパイプ53に接続されており、ポンプ20から送出される糞尿流体を熟成槽2に送出するする。これにより糞尿流体は、曝気処理槽1から熟成槽2に送出されて、段階的に曝気処理が施される。
【0024】
また、ポンプ19bは、ポンプ20bより循環部1b内において上方に配設されている。このようにポンプ19bと20bが循環部1b内において異なる高さに配設されることにより、曝気処理を施された度合いが異なる糞尿流体を選択的に曝気処理槽内部で循環させることができる。
【0025】
ドレーンパイプ21は、図1および図2に示すように循環部1b下方から箱体10外部に導出され、バルブ135およびポンプ98を介してドレーンタンク5に接続される。循環部1b底部に堆積している沈殿物は、ドレーンパイプ21によりドレーンタンク5へ送出される。これにより、曝気処理槽1底部の沈殿物は曝気処理槽1外部に送出され、曝気処理槽1は、糞尿流体のみに曝気処理を施すことになり、結果として曝気処理の効率が向上する。
【0026】
加熱パイプ23は、図1および図2に示すように、箱体10底部の側壁に沿って箱体10底部に配設され、両方の端部が後述する制御装置8の流体出力口106および流体入力口107に接続されている。図1および図2において丸付き符号6で示す流体出力口106出力された加熱された流体は、加熱パイプ23内部を通り、図1および図2において丸付き符号7で示す加熱パイプ23内部を通ってきた流体は、流体入力口107に出力される。このように加熱パイプ23は、この加熱パイプ23内部に制御装置8から送出される加熱された流体を循環させることにより、曝気処理槽1内部を加熱する。
【0027】
出力装置13、14は、上端が開口に向かって狭められるテーパを有する筒状ガイド部13a、14aの上部に筒状の外囲器13b、14bが設けられ、この外囲器13b、14bには曝気処理されて発生した泡を消泡する消泡部材13c、14cが内設されている。また、外囲器13b、14bの側壁には出口部13d、14dとガス出力部13e、14eが設けられ、それぞれはパイプ13g、14gに接続されている。パイプ13g、14gの一端にはガス排気口13f、14fが設けられ、他端は後述する第2曝気処理槽2の消泡水タンク36に接続されている。そして、外囲器13b、14bの上部には、ガス排気管13h、14hが少なくとも1つ設けられている。
【0028】
曝気処理部1aで曝気処理されて発生した大量の泡は、筒状ガイド部13a、14aに導かれ、この筒状ガイド部13a、14a内を上昇してきた泡は、円錐状の消泡部材13c、14cにより液化され、液化した糞尿流体(消泡水)は出口部13d、14dに滴下し、パイプ13g、14gから後述する消泡水タンク25に送出される。
【0029】
ガス排気口13f、14fは、筒の形状を有し、パイプ13g、14gの上端に接続されている。このガス排気口13f、14fを設けることにより、消泡部13c、14cにより液化された糞尿流体がパイプ13g、14gから効率的に出力される。
上述した出力装置13、14のそれぞれの部品は、公知の材料から構成される。
【0030】
図1および図2によく示されるように消泡部を実現する曝気処理槽1の出力装置13,14のパイプ13g,14gから送出される消泡された糞尿流体(消泡水)は、公知のタンクからなる消泡水タンク25に導かれる。この消泡水タンク25に導かれた糞尿流体は、消泡水タンク25の底部に一端が接続された設けられたパイプ25aまたはポンプ25bに接続されたパイプ25cから曝気処理部1a底部に放出される。これにより糞尿流体は、曝気処理槽1内部で行われている曝気処理の促進を妨げることなく曝気処理部1aの内部を循環し、連続的に曝気処理が施される。
【0031】
なお、パイプ25aおよびパイプ25cは、一端を曝気レータ16に接続するようにしてもよい。このような構成にすると、パイプ25aおよびパイプ25cから送出される糞尿流体は、曝気レータ16により空気と混合され、より効率よく曝気処理が施される。
【0032】
また、消泡水タンク25に貯留された消泡水は、図2において丸付き符号4で示すように、消泡水タンク25の側壁に接続されたパイプ25dからバルブ142,143およびパイプ151,フィードバックパイプ152介して、熟成槽2または前貯留槽3へ送出される。
【0033】
また、消泡水タンク25上部にはガス排気管25eが設けられており、このガス排気管25eにより消泡水タンク25内部に発生したガスは消泡水タンク25外部に放出される。
【0034】
pHセンサ201は、公知のpHセンサからなり、図2に示すように箱体10上部から糞尿流体中に垂下されており、糞尿流体のpH値を測定し、測定した値をコントローラ7に出力する。なお、pHセンサ201を配設する位置は、糞尿流体のpH値を測定できる場所であるならば、曝気処理槽1内部のどの位置にでも適宜自由に変更することができる。
【0035】
流量センサ202は、電磁流量計等の公知の流量計からなり、図1および図2に示すように出力装置13,14のパイプ13g,14gに取り付けられており、出力装置13,14から出力される消泡水の流量を測定し、この測定した値をコントローラ7に出力する。なお、流量センサ202を配設する位置は、出力装置13,14から出力される消泡水の流量を測定できる場所であるならば、曝気処理槽1のどの位置にでも適宜自由に変更することができる。
【0036】
温度センサ203は、公知の温度計からなり、図2に示すように箱体10上部から糞尿流体中に垂下されており、糞尿流体の温度を測定し、測定した値をコントローラ7に出力する。なお、温度センサ203を配設する位置は、曝気処理槽1内部の糞尿流体の温度を測定できる場所であるならば、曝気処理槽1のどの位置にでも適宜自由に変更することができる。
【0037】
レベルセンサ204は、公知のレベルセンサからなり、図2に示すように箱体10上部から糞尿流体中に垂下されており、箱体10内部の糞尿の量を測定し、測定した値をコントローラ7に出力する。なお、レベルセンサ204を配設する位置は、曝気処理槽1内部の糞尿流体の量を測定できる場所であるならば、適宜自由に変更することができる。
【0038】
上述したそれぞれの部品は、公知の材料から構成される。
【0039】
<熟成槽の構成>
次に、熟成槽2について説明する。図3に示すように、箱体51は、隔壁52により内部を熟成部3aと熟成部3bに仕切られている。熟成部3aの内部上方にはパイプ53が配設され、熟成部3aの下方側壁には前述した曝気処理槽1の消泡水タンク25のパイプ25dが接続されている。熟成部3aおよび熟成部3bの底部にはポンプ54,55が設置され、このポンプ54,55に接続されたシャワー56,57が熟成部3a,3bの内部上方に配設されている。また、ポンプ54に接続されたパイプ58は、熟成部3bの内部上方に導出され、ポンプ55に接続されたパイプ59は、熟成槽2外部に導出されている。また、熟成部3aおよび3bの両方において、内部下方には空気供給装置60が配設され、底部には加熱パイプ61が設けられている。熟成部3a,3bには、箱体51上部から糞尿流体中に垂下されたpHセンサ221,222、温度センサ223,224およびレベルセンサ225,226が配設されている。また、箱体51の外部は、保温材62により被覆されている。
【0040】
箱体51の熟成部3aの下方側壁にはパイプ25dが接続されており、このパイプ25dからは、図2および図3において丸付き符号4で示す前述した消泡水タンク25から消泡された糞尿流体(消泡水)が送出されてくる。
【0041】
パイプ53は、一端は熟成部3a上部に配設され、他端は箱体51外部に導出されて曝気処理槽1のポンプ19のパイプ19bおよびポンプ20のパイプ20bに接続されている。前述したように曝気処理槽1のポンプ19,20から送出される曝気処理が施された糞尿流体(曝気処理液)は、パイプ53を経由して熟成槽3aに送出される。
【0042】
ポンプ部54aとパイプ54bから構成されるポンプ54は、図1および図3に示されるように、パイプ54bがバルブ122を介してシャワー56に接続されており、ポンプ54から送出される曝気処理液は、シャワー56から放出される。これにより曝気処理液は、熟成部3aを循環して所定の特性を有した状態で熟成部3a内部に貯留される。パイプ54bは、バルブ123を介してパイプ58に接続されており、熟成部3aに貯留された曝気処理液は、ポンプ54により隔壁52によって隔てられた熟成部3bに送出される。
【0043】
ポンプ55は、上述したポンプ54と同等の構成を有し、パイプ55bはバルブ124を介してシャワー57に接続されており、パイプ58により熟成部3bに送出された曝気処理液は、ポンプ55とシャワー57により熟成部3bを循環して、所定の特性を有した状態で熟成部3bに貯留される。なお、パイプ55bは、バルブ130,131を介して前貯留槽3に接続されたパイプ85、および、バルブ132を介して外部貯留槽4から導出されているパイプ91に接続されている。これにより、熟成部3bに貯留された曝気処理液は、前貯留槽3または外部貯留槽4に送出される。
【0044】
空気供給装置60は、その表面に複数の空気供給口60aが形成され、箱体51下方に配設されている。空気供給装置60の一端は、箱体61の外部に導出され、後述する制御装置8の空気供給口105に接続されており、この空気供給口105から図1および図3において丸付き符号5で示す空気が供給される。空気供給装置60が曝気処理液中に空気を供給することにより曝気処理液は、所定の特性を保った状態で熟成槽2内部に貯留される。
【0045】
箱体51の底部に張り巡らされている加熱パイプ61は、両方の端部が後述する制御装置8の流体出力口106および流体入力口107に接続されている。図1および図3において丸付き符号6で示す流体出力口106から出力された加熱された流体は、加熱パイプ61内部を通り、図1および図3において丸付き符号7で示す加熱パイプ61内部を通ってきた流体として、流体入力口107に出力される。このように加熱パイプ61は、制御装置8から送出される加熱された流体を循環させることにより、熟成槽2内部を加熱する。
【0046】
熟成部3a,3bそれぞれには、pHセンサ221,222、温度センサ223,224およびレベルセンサ225,226が配設されており、それぞれにより測定された値は、コントローラ7に出力される。なお、pHセンサ221,222、温度センサ223,224およびレベルセンサ225,226を配設する位置は、熟成槽2内部の糞尿流体のpH値、温度および量を測定できる場所であれば、適宜自由に設定することができる。
【0047】
上述したそれぞれの部品は、公知の材料から構成されている。
【0048】
<前貯留槽の構成>
次に、前貯留槽3について説明する。図4に示すように、箱体81は、隔壁82により前貯留部5a,5b中の糞尿流体がそれぞれの前貯留部を移動可能なように仕切られている。前貯留部5a上部には投入口83が、前貯留部5a底部にはミキサ84が設置されており、前貯留部5b上方にはパイプ85が、前貯留部5b底部にはポンプ86が配設され、前貯留部5aおよび5bの底部には加熱パイプ87が配設されている。箱体81内部には、pHセンサ241、温度センサ242およびレベルセンサ243が配設されている。また、箱体81の外部は、保温材88により被覆されている。さらに、前貯留部5aの底部には、循環ポンプ89が配設されている。
【0049】
隔壁82は、板状の形状を有し、箱体81を前貯留部5aと5bに仕切る。この隔壁82には、糞尿流体が前貯留部5aと5bのそれぞれの間を移動できるように複数の孔が形成されている。
【0050】
投入口83は、前貯留部5a上部に形成され、ここから固液分離された糞尿流体が前貯留槽3に投入される。
【0051】
ミキサ84は、前貯留部5aに設置され、前貯留槽3内の糞尿流体を攪拌する。
【0052】
パイプ85は、一端は前貯留部5b上部に接続され、他端は図1に示すように箱体81の外部に導出され、バルブ130,131を介して熟成槽2のポンプ55のパイプ55bと、バルブ131,133を介して後述する外部貯留槽4のポンプ92のパイプ92bに接続されている。これにより、熟成槽2の熟成部3bに貯留されている曝気処理液は、選択的に前貯留槽3に送出される。また、外部貯留槽4に貯留されている曝気処理液も、選択的に前貯留槽3に送出される。
【0053】
ポンプ86は、ポンプ部86aとパイプ86bから構成され、パイプ86bは、一端はポンプ部86aに接続され、他端は図1に示すように箱体81外部に導出されてバルブ112,140を介して曝気処理槽1のパイプ12aに接続されている。これにより、前貯留槽3に投入された糞尿流体は、曝気処理槽1に送出される。
【0054】
加熱パイプ87は、前述した加熱パイプ61,75と同等の構成を有する。この加熱パイプ87により前貯留槽3内部の糞尿流体を加熱することができる。
【0055】
循環ポンプ89は、ポンプ部89aとパイプ89bとから構成される。ポンプ部89bは、前貯留部5aにおいて糞尿流体の液面よりも下方、例えば前貯留部5aの底部に配設されており、前貯留部5a内部の糞尿流体を吸入しパイプ89bに送出する。パイプ89bは、一端はポンプ部89aに接続され、他端は前貯留部5aの上方に配設されている。これにより、前貯留部5a内に貯留された糞尿流体は、循環ポンプ89により前貯留部5aの上方から前貯留部5aの下方に向けて放出されることにより、前貯留部5a内部を循環させられる。
【0056】
箱体81内部には、箱体81上部から垂下されたpHセンサ241、温度センサ242およびレベルセンサ243が配設されており、それぞれにより測定された値は、コントローラ7に出力される。なお、pHセンサ241、温度センサ242およびレベルセンサ243を配設する位置は、前貯留槽3内部の糞尿流体のpH値、温度および容量を測定できる場所であれば、適宜自由に変更することができる。
【0057】
上述した隔壁82、投入口83、ミキサ84、パイプ85、ポンプ86、加熱パイプ87、保温材88および循環ポンプ89は、公知の材料から構成される。
【0058】
また、前貯留槽3の前貯留部5bには、一端がパイプ25dに接続されたフィードバックパイプ152が接続されている。これにより、曝気処理槽1の消泡水タンク25に貯留された消泡水は、パイプ25d、バルブ143およびフィードバックパイプ152を介して前貯留槽3に送出される。
【0059】
<外部貯留槽の構成>
次に、外部貯留槽4について説明する。外部貯留槽4は、公知のタンク90から構成され、その内部上方にパイプ91、内部下方にはポンプ92が配設されている。
【0060】
図1に示すように、パイプ91は、バルブ132を介して熟成槽2のパイプ55bに接続されており、ポンプ55から送出される曝気処理液を貯留する。
【0061】
また、ポンプ部92aとパイプ92bから構成されるポンプ92は、図1に示すようにシャワー57とパイプ85に接続されている。これにより外部貯留槽4に貯留されている曝気処理液は、熟成槽2または前貯留槽3に選択的に送出される。
【0062】
<ドレーンタンクの構成>
次に、ドレーンタンク5について説明する。図1に示すようにドレーンタンク5は、公知のタンク95から構成され、タンク95上部にはポンプ98に接続されたパイプ96が配設され、タンク95内部上方にはポンプ部97aとパイプ97bからなるポンプ97が配設されている。ドレーンタンク5を構成する各要素は、それぞれ公知の材料から構成される。
【0063】
パイプ96は、曝気処理槽1のドレーンパイプ21にバルブ135およびポンプ98を介して接続されており、曝気処理槽1底部に停留している沈殿物をポンプ98によりタンク97に送出する。
【0064】
パイプ97bは、ドレーンタンク5外部に導出され、バルブ111を介して曝気処理槽1のパイプ12aに接続されている。これによりタンク95内部に貯留された沈殿物の上澄みの流体成分は、曝気処理槽1に送出されて、曝気処理が施される。
【0065】
<固液分離器の構成>
次に、固液分離器6について説明する。図1および図5に示すように、固液分離器6は、スクリュープレス式の固液分離器から構成され、平面視略矩形のベース301と、このベース301上に配設された分離部302と、この分離部302上に配設された受入ホッパ303と、分離部302の後述する固形物排出口側に設けられた加圧部304と、分離部302の加圧部304とは反対側に設けられたモータ305とから構成される。
【0066】
分離部302は、円筒形のカバー302aと、カバー302aの一端側において軸線がカバー302aの軸線と一致するようにカバー302a内部に設けられたスクリューシャフト302bと、カバー302aの他端側においてスクリューシャフト302bと隣接して設けられたスクリーン302cとから構成される。ここで、スクリューシャフト302bの一端はモータ305に接続され、他端は軸部が加圧部304に支持されている。スクリーン302cは、円筒状パンチングメタルから構成され、円形の孔が所定間隔で千鳥に配置されている。このスクリーン302c下方に位置するカバー302aおよびベース301には、糞尿流体を排出する糞尿流体排出口(図示せず)が設けられている。
【0067】
受入ホッパ303は、鉛直下方から鉛直上方に向けて開口した中空の略円錐台または角錐台の形状を有する。この受入ホッパ303の底部は、分離部302のスクリューシャフト302b上方に相当する位置でカバー302aに接続されている。
【0068】
加圧部304は、箱体の形状を有するカバー304aと、このカバー304内部において分離部302側に配設された圧力調整板304bと、この圧力調節板304bの分離部302側と反対側の面に取り付けられた支持部304cと、支持部304cを分離部302側に押圧するスプリング304dとから構成される。カバー304aの分離部302側の面は開口しており、この開口を塞ぐように圧力調整板304bが配設されている。カバー304a底部およびこの位置に対応するベース301には、固形物を排出する固形物排出口(図示せず)が設けられている。
【0069】
このような固液分離器6は、受入ホッパ303に家畜等の排泄物が投入されると、この排泄物はスクリューシャフト302に到達する。スクリューシャフト302bをモータ305により回転させると、排泄物は、スクリューシャフト302bにより攪拌されながらスクリーン302c側に押圧され、スクリーン302cを通過しながら固形物と糞尿流体とに分離される。分離された糞尿流体は、糞尿流体排出口から液分貯留槽6aに貯留される。スクリーン302cを通過して加圧部304にまで到達した排泄物は、圧力調整板304bにより分離部302側に押圧される。これにより、排泄物は、圧力調整板304bおよびスクリューシャフト302bによる押圧力によって、挟まれるように押圧され、液体成分が除去される。この液体成分が除去された固形物は、固形物排出口より排出され、ベルトコンベア等の搬送装置によって、堆肥ユニット6bに搬送される。
【0070】
液分貯留槽6aに貯留された糞尿流体は、ポンプ310およびパイプ311により、前貯留槽3の投入口83から前貯留槽3内部に送出される。堆肥ユニット6bに蓄積された固形物は、農地や牧草地において、堆肥として用いられる。
【0071】
<コントローラの構成>
次に、コントローラ7について説明する。図1に示すようにコントローラ7は、各モータ12d、曝気レータ16、ミキサ18、ポンプ19,20,54,55,86,92,97、循環ポンプ89、各バルブと電気的に接続され、pHセンサ201,211,222、流量センサ202、温度センサ203,223,224,242から受信する値に基づいて、それぞれの制御を行う。
また、コントローラ7は、制御装置8のコンプレッサー101、タンク102、ボイラー103と電気的に接続され、それぞれの制御も行う。
なお、コントローラ7および各バルブは公知の材料から構成される。
【0072】
コントローラ7の構成を図6に示す。コントローラ7は、コントローラ7全体の動作を制御する制御部8aと、制御部8aの動作に関するプログラムやデータが予め格納されかつI/F8cが受信する各データを記憶するメモリ8bと、電気的に接続されたモータ、曝気レータ、ミキサ、ポンプ、バルブなどと信号の送受信を行い、かつ、pHセンサ、流量センサ、温度センサおよびレベルセンサからデータを受信するI/F8cと、オペレータからの操作入力を検出して制御部8aに出力する操作部8dと、糞尿処理装置の運転状態等を出力する表示部8eとから構成される。
【0073】
制御部8aは、メモリ8bに予め格納されたプログラムに基づき、I/F8cがpHセンサ、流量センサ、温度センサおよびレベルセンサ等の各センサから受信したデータを参照して、モータ、曝気レータ、空気供給装置、ミキサ、ポンプ、バルブなどと信号を送受信することにより糞尿処理装置全体の制御を行う。
【0074】
メモリ8bは、制御部8aが糞尿処理装置全体の制御を行うためのプログラムや各センサの基準値等のデータを予め記憶し、かつpHセンサ、流量センサ、温度センサおよびレベルセンサから受信したデータ、糞尿処理装置の運転状況等の履歴などを記憶する。
【0075】
I/F8cは、制御部8aの指令に基づいて、電気的に接続されたモータ、曝気レータ、ミキサ、ポンプ、バルブなどと信号の送受信を行い、かつpHセンサ、流量センサ、温度センサおよびレベルセンサ等の各センサが測定した測定値等のデータを受信する。
【0076】
操作部8dは、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等からなり、オペレータの操作入力を検出し、制御部8aに出力する。
【0077】
表示部8eは、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の画面表示装置からなり、糞尿処理装置の運転状況や各処理槽の情報等を表示する。
【0078】
コントローラ7は、上述したような構成を有することにより、本実施の形態にかかる曝気処理装置において行われる糞尿流体の曝気処理に関する全ての動作を制御することができる。
【0079】
<制御装置の構成>
次に、制御装置8について説明する。図1に示すように制御装置8は、コンプレッサー101、タンク102、ボイラー103、制御盤104、空気供給口105、流体出力口106、流体入力口107から構成されている。この制御装置8は、コントローラ7の指示に基づいて、本実施の形態にかかる糞尿処理装置の動作およびこれに付随する制御を行う。ここで、コンプレッサー101、タンク102、ボイラー103は公知の材料から構成される。なお、ボイラー103は、電気温水器から構成されるようにしてもよい。
【0080】
空気供給口105は、空気供給装置17,60に接続されており、コントローラ7の指示に基づいてそれぞれにコンプレッサー101から図1〜図4において丸付き符号5で示す空気を供給する。
【0081】
流体出力口106は、加熱パイプ23,61,87の一端に接続されており、コントローラ7の指示に基づいてそれぞれにボイラー103により図1〜図4において丸付き符号6で示す加熱した水や不凍液等の流体を出力する。
【0082】
流体入力口107は、加熱パイプ23,61,87の一端に接続されており、コントローラ7の指示に基づいてそれぞれから図1〜図4おいて丸付き符号7で示す流体出力口106が出力した水や不凍液等の流体を回収する。
【0083】
[前貯留槽内の糞尿流体の量の制御方法]
次に、本実施の形態にかかる糞尿処理装置の前貯留槽3内部の糞尿流体の量の制御方法について図1および図4を参照して説明する。
【0084】
レベルセンサ243により、前貯留槽3内部の糞尿流体の液面が所定の高さよりも低くなり、前貯留槽3内部の糞尿流体の量が所定の値よりも少なくなったことが検出されると、コントローラ7は、バルブ142を閉じ、かつ、バルブ143を開放する。すると、消泡水タンク25に貯留された糞尿流体(消泡水)は、パイプ25dおよびフィードバックパイプ152を介して、前貯留槽3の前貯留部5bに送出される。これにより、例えば、前貯留槽3に投入される糞尿流体の量が少ない場合でも常に糞尿流体を確保でき、前貯留槽3内部の糞尿流体の酸化発酵処理が滞るのを防ぐことができる。結果として、曝気処理槽1、熟成槽2および熟成槽2における曝気処理が滞るのを防ぐことが可能となり、曝気処理を効率的に行うことができる。
【0085】
[曝気処理槽の制御方法]
次に、本実施の形態にかかる糞尿処理装置の曝気処理槽1の制御方法について図1および図7を参照して説明する。
【0086】
前貯留槽3に投入された糞尿流体は、曝気処理槽1に送出される。この曝気処理槽1では、図7のフローチャートに示すように曝気処理が施される。
【0087】
まず、コントローラ7は、レベルセンサ204により曝気処理槽1内部に所定量の糞尿流体があるか否かを検出する(ステップS1)。曝気処理槽1内部の糞尿流体が所定量に満たない場合には(ステップS1:NO)、コントローラ7は、前貯留槽3のポンプ86を駆動し、バルブ111,112,114,140,141を調整することにより、前貯留槽3内の糞尿流体を曝気処理槽1へ糞尿流体を供給する(ステップS7)。
【0088】
曝気処理槽1内の糞尿流体が所定量を満たしていると(ステップS1:YES)、コントローラ7は、空気供給手段を実現する曝気レータ16および空気供給装置17に駆動させ(ステップS2)、糞尿流体に曝気処理を施す。
【0089】
空気供給手段から糞尿流体中に空気が供給されると、糞尿流体中の微生物の酸化発酵が促進され、曝気処理槽内部には、大量の泡が発生する。このような曝気処理が過剰に行われると、空気供給手段から供給される空気と糞尿流体中の微生物の酸化発酵により生成されるガス等で曝気処理槽内部が高圧になり、場合によっては曝気処理槽が破裂してしまう恐れがあり、危険である。その一方で、空気供給手段により空気が糞尿流体中に十分に供給されないと、糞尿流体中の微生物の酸化発酵処理が促進されず、糞尿流体に十分に曝気処理を行うことができない。そこで、制御部8aは、出力装置13,14から出力される消泡水の流量(Q)が所定の範囲内(Q02<Q<Q01)で、曝気処理槽1内の糞尿流体のpH値が所定の値(S1)を超えるまで曝気処理を続けるように曝気処理槽1の各部を制御する。
【0090】
すなわち、制御部8aは、出力装置13,14から出力される消泡水の流量がQ01(流量の上限値)を超えた場合は(ステップS3:NO)、曝気処理槽1内部で過剰に曝気処理が行われているので曝気レータ16および空気供給装置17を停止し(ステップS8)、曝気処理槽1の内部圧力がこれ以上上昇するのを防ぐ。
【0091】
また、コントローラ7は、出力装置13,14から出力される消泡水の流量がQ02(流量の下限値)より低い場合は(ステップS4:NO)、糞尿流体中の微生物の酸化発酵処理が十分に行われていないので、曝気レータ16および空気供給装置17が停止している場合は、曝気レータ16および空気供給装置17駆動させ、曝気レータ16および空気供給装置17が駆動している場合は、継続して曝気レータ16および空気供給装置17を駆動させる(ステップS9)。なお、Q01,Q02,S1等の基準値は、メモリ8bに記録されている。
【0092】
制御部8aは、出力装置13,14から出力される消泡水の流量が所定の範囲内の状態で(ステップS3,4:YES)、pHセンサ201を参照して曝気処理槽1内部の糞尿流体のpH値が所定の値に達するまで曝気処理を行う(ステップS5:NO)。そして、曝気処理槽1内部の糞尿流体のpH値が所定の値に達すると(ステップS5:YES)、制御部8aは、ポンプ20を駆動し、かつバルブ115,117を調節することにより、所定のpH値になるまで曝気処理が行われた曝気処理槽1内部の糞尿流体を、所定量ずつ熟成槽2へ送出する。
【0093】
なお、制御部8aは、pHセンサ201が、曝気処理槽1内部の糞尿流体のpH値が所定の値に達したことを、所定回数もしくは所定時間測定したことを確認した後に、熟成槽2に糞尿流体を送出するようにすることもできる。
【0094】
また、本実施の形態において、曝気処理槽での曝気処理を制御するのに用いるパラメータは、上述したpH値の替わりにBOD値を用いることもできる。このBOD(Biochemical Oxygen Demand/生物化学的酸素要求量)値とは、水中の有機汚濁物質が水中の好気性微生物により生物化学的に酸化されるために消費する酸素量を表したものである。この場合、曝気処理槽内部にBOD値を検出するセンサを設け、BOD値が所定の値になるまで、出力装置から出力される消泡水の流量が所定の範囲内に収まるように曝気レータや空気供給装置等の空気供給手段や加熱パイプ等の加熱装置を制御するようにすればよい。具体的な方法については、図7のステップS5の所定のpH値を所定のBOD値に置き換えればよいので、詳細な説明は省略する。
【0095】
また、本実施の形態において、曝気処理槽での曝気処理を制御するのに用いるパラメータは、前述したpH値の替わりにCOD値を用いることもできる。このCOD(Chemical Oxygen Demand/化学的酸素要求量)値とは、水中の、主として有機汚濁物質が酸化物質によって処理される際に消費される酸素量を表したものである。この場合、曝気処理槽内部にCOD値を検出するセンサを設け、COD値が所定の値になるまで、出力装置から出力される消泡水の流量が所定の範囲内に収まるように曝気レータや空気供給装置等の空気供給手段や加熱パイプ等の加熱装置を制御するようにすればよい。具体的な方法については、図7のステップS5の所定のpH値を所定のCOD値に置き換えればよいので、詳細な説明は省略する。
【0096】
また、本実施の形態において、曝気処理槽での曝気処理を制御するのに用いるパラメータは、前述したpH値の替わりに電気伝導度を用いることもできる。この電気伝導度は、糞尿流体中の不純物の混濁具合を表す。この場合、曝気処理槽内部に糞尿流体の電気伝導度を検出するセンサを設け、電気伝導度が所定の値になるまで、出力装置から出力される消泡水の流量が所定の範囲内に収まるように曝気レータや空気供給装置等の空気供給手段や加熱パイプ等の加熱装置を制御するようにすればよい。具体的な方法については、図7のステップS5の所定のpH値を所定の電気伝導度に置き換えればよいので、詳細な説明は省略する。
【0097】
[曝気処理槽の他の制御方法]
また、本実施の形態において、曝気処理槽での曝気処理を制御するのに用いる値は、上述した流量に、曝気処理槽内部の糞尿流体の温度と、曝気処理槽内部の圧力のうち少なくとも一方を組み合わせて用いることができる。この場合、曝気処理槽内部の温度および圧力が所定の範囲内に収まるように曝気レータや空気供給装置等の空気供給手段や加熱パイプ等の加熱装置を制御すればよい。この制御方法の構成を、図8に示す。
【0098】
曝気処理槽1には、流量センサ202に加えて、曝気処理槽1内部の圧力を測定する圧力センサと、曝気処理槽1内部の糞尿流体の温度を測定する温度センサ203を設ける。これらの流量センサ202、圧力センサおよび温度センサ203は、コントローラ7と電気的に接続されており、各センサで測定された値は、コントローラ7に出力される。コントローラ7は、流量センサ、圧力センサおよび温度センサで測定される値に所定の範囲を設け、この範囲内に流量センサ202、圧力センサおよび温度センサ203から測定される値が収まるよう制御装置8および曝気レータ16等を制御し、糞尿流体が所定のパラメータ値を有するようになるまで曝気処理を行う。なお、温度センサ203および圧力センサは、曝気処理槽内部の糞尿流体の温度または曝気処理槽内部の温度を測定できる場所であれば、曝気処理槽1のどの位置にでも設けることができる。
【0099】
コントローラ7は、糞尿流体のパラメータ値が所定の値になるまで、曝気処理槽1内部の圧力が所定の範囲内で曝気処理が行われるよう、圧力センサで測定される値に上限値と下限値を設け、その圧力が上限値を超えると曝気レータ16等の空気供給手段を停止し、曝気処理槽1内部の圧力が下限値を下回ると曝気レータ16等の空気供給手段を駆動させる。
【0100】
また、コントローラ7は、糞尿流体のパラメータ値が所定の値になるまで、曝気処理槽1内部の糞尿流体の温度が所定の範囲内で曝気処理が行われるよう、温度センサ203で測定される値に上限値と下限値を設け、その温度が上限値を超えると曝気レータ16等の空気供給手段や加熱手段を停止し、曝気処理槽1内部の糞尿流体の温度が下限値を下回ると曝気レータ16等の空気供給手段や加熱パイプ等の加熱装置等を駆動させる。
【0101】
上述したこれらの制御方法に、図7を参照した流量センサを用いた制御方法を組み合わせることにより、本実施の形態にかかる糞尿処理装置は、糞尿流体に安定した曝気処理を行い、かつ所定の特性を有した曝気処理糞尿流体を得ることができる。
【0102】
なお、制御部8aは、pHセンサ、流量センサ、温度センサ、圧力センサ、BOD値センサ、COD値センサおよび電気伝導度センサ等のパラメータ値測定部で得られた測定値と、メモリ8bに記録されている基準値とを比較して差分を算出し、この差分に基づいて曝気処理槽を制御するようにすることもできる。制御部8aは、差分の度合いによって空気供給手段が供給する空気の量を調節することにより、円滑に曝気処理槽内の曝気処理の制御を行うことが可能となる。
【0103】
また、メモリ8bには、pHセンサ、流量センサ、温度センサ、圧力センサ、BOD値センサ、COD値センサおよび電気伝導度センサ等のパラメータ値測定部で得られた測定値に対応した基準値が複数記録されており、制御部8aは、pHセンサ、流量センサ、温度センサ、圧力センサ、BOD値センサ、COD値センサおよび電気伝導度センサ等等のパラメータ値測定部で得られた測定値に、基準値を乗算等をすることにより更正し、この更正した値に基づいて制御するようにすることもできる。これにより、本実施の形態にかかる糞尿処理装置は、曝気処理槽内の糞尿流体の状態に応じて、空気供給手段が供給する空気の量の加減および駆動時間等を調節して、あらゆる状態の糞尿流体に効果的に曝気処理を行うことができる。
【0104】
また、メモリ8bに記録されている基準値は、pHセンサ、流量センサ、温度センサ、圧力センサ、BOD値センサ、COD値センサおよび電気伝導度センサ等のパラメータ値測定部で得られた時点の異なるそれぞれの複数の測定値の平均値に基づいて更正することができる。パラメータ値測定部が測定する測定値は、糞尿流体の特性や曝気処理槽内の曝気処理の状態により、測定した時点、つまり測定した時点でのパラメータ値測定部のセンサ付近の糞尿流体の状態によって異なる場合がある。そこで、制御部8aは、時点が異なる測定値の平均値を算出し、この平均値に基づいて空気供給手段等の制御を行う。なお、メモリ8bには、パラメータ値測定部が測定した時点が異なる測定値が記録されており、制御部8aは、メモリ8bに記録されている時点が異なる測定値に基づいて基準値を更正する。
【0105】
これにより、本実施の形態にかかる糞尿処理装置は、糞尿流体全体に安定した曝気処理を行うことができる。
【0106】
また、シャワー15は、曝気処理槽1底部の糞尿流体を曝気処理槽1の液面の上方から出力して空気と接触させることにより、糞尿流体の酸化発酵を促進させるため、曝気レータ16および空気供給装置17と同様に空気供給手段として駆動させることもできる。これにより、糞尿流体は、効果的に曝気処理が施される
【0107】
[糞尿処理装置の動作]
次に、本実施の形態にかかる糞尿処理装置の動作について説明する。
【0108】
家畜が排泄した糞尿は、固液分離器6により、固体成分と液体成分に分離され、液体成分(糞尿流体)は液分貯留槽6aに貯留され、固体成分(固形物)は堆肥ユニット6bに搬送される。
【0109】
液分貯留槽6aに貯留された糞尿流体は、ポンプ310およびパイプ311を介して前貯留槽3の上部に設けられている投入口83より箱体48内部の前貯留部5aに投入される。この前貯留槽3に投入された糞尿流体のpH値は、約5.0〜7.0である。なお、本実施の形態において、パラメータ値にpH値を用いて動作について説明するが、pH値の替わりにBOD値、COD値または電気伝導度を適用できることは言うまでもない。また、パラメータ値にpH値、BOD値、COD値または電気伝導度のうち少なくとも2つを組み合わせることもできる。
【0110】
前貯留部5aに投入された糞尿流体は、固液分離されたばかりであるため、糞尿流体中に残留固形物が混じっていて、粘性が高い。そこで、前貯留部5aに設けられたミキサ84や循環ポンプ89を駆動させる。ミキサ84を駆動させると、糞尿流体は、糞尿流体中の液体成分と残留固液物が攪拌されて粘性が低くなり、後の曝気処理が効果的に行われる。また、循環ポンプ89を駆動させると、前貯留部5a底部の糞尿流体が前貯留部5a上部より排出されることにより、糞尿流体が攪拌されるので、糞尿流体の粘性を低下させることができる。
【0111】
また、隔壁82が孔82aを有しているので、糞尿流体は、ミキサ84や循環ポンプ89により攪拌されるときに孔82aを通過し、前貯留部5aおよび前貯留部5bの間を移動することにより効果的に攪拌される。
【0112】
上述したように前貯留槽3に投入されてミキサ84により攪拌された糞尿流体は、ポンプ86により、パイプ86bおよびパイプ12aを経由して、曝気処理槽1の糞尿流体拡散部12に送出される。
【0113】
前貯留槽3から送出された糞尿流体は、糞尿流体拡散部12のパイプ12aから引き込み管12b内部を通り、引き込み管12bの下端部から拡散板12cに向けて放出される。モータ12dにより回転させられている拡散板12cに衝突した糞尿流体は、曝気処理部1a内部に効果的に拡散する。これにより、曝気処理槽1内部に放出された糞尿流体が1ヶ所に堆積してしまうのを防ぐことができ、糞尿流体全体が効果的に曝気処理される。
【0114】
糞尿流体拡散部12により曝気処理部1a内部に拡散された糞尿流体は、曝気処理部1a底部に貯留し、曝気レータ16により曝気処理が行われる。このとき、空気供給装置17により補助的に空気が糞尿流体中に供給されることにより、糞尿流体の曝気処理の効率が向上する。
【0115】
糞尿流体に曝気処理を施すと、糞尿流体は大量の泡を発生する。この泡は、出力装置13,14の筒状ガイド部13a,14aを通って消泡部13c,14cに達し、この消泡部13c,14cにより消泡されて液体となり、出口部13d,14dを通ってパイプ13g,14gを経由し、消泡水タンク25に出力される。
【0116】
パイプ13g,14gから消泡水タンク25へ送出された糞尿流体は、消泡水タンク25の底部に一端が接続された設けられたパイプ25aまたはポンプ25bに接続されたパイプ25cから曝気処理部1a底部に放出され、曝気処理部1aにおいて曝気処理が施される。
【0117】
曝気処理部1aで糞尿流体が曝気処理が施されることにより発生した泡は、出力装置13,14により消泡水タンク25に出力される。これにより曝気処理部1a内部の糞尿流体は、曝気処理部1a内部を循環し、連続的に曝気処理が施される。なお、消泡水タンク25に消泡水タンク25の所定量より多くの糞尿流体が送出されてきたときには、過剰の糞尿流体は、消泡水タンク25の側壁に接続されたパイプ25dから熟成槽2や前貯留槽3へ送出される。
【0118】
曝気処理部1a底部に溜まっている糞尿流体は、ミキサ18により隔壁11の下端部と箱体10から構成される隙間を通過して循環部1bに侵入する。この循環部1bに侵入した糞尿流体は、ポンプ19によりパイプ19bを経由してパイプ12aを通り、再び糞尿流体拡散部12に送られ、曝気処理部1a内部に拡散される。これにより、糞尿流体全体が効果的に曝気処理される。また、循環部1bに侵入した糞尿流体は、ポンプ20によりパイプ20bを経由してシャワー15に送られ、曝気処理部1a内部に放出され、曝気処理槽1内部を循環して曝気処理が施される。
【0119】
曝気処理槽1内部の糞尿流体は、pH値が約7.5〜8.5になるまで上述したような方法で曝気処理が行われた後、ポンプ20によりパイプ20bおよびパイプ53を経由して熟成槽2の熟成部3aに送出される。なお、曝気処理槽1内部の糞尿流体は、必要に応じてポンプ19によりパイプ19bおよびパイプ86bを経由してパイプ53を通り、熟成槽2に送出するようにしてもよい。
【0120】
曝気処理部1a底部に溜まっている堆積物は、ドレーンパイプ21によりドレーンタンク5に送出される。また、ドレーンタンク5に部に貯留された沈殿物の上澄みの流体成分は、ポンプ97により曝気処理槽1に送出されて、曝気処理が施される
【0121】
曝気処理槽1で曝気処理が行われると、微生物が酸化発酵する際に熱を放出し、そのときの糞尿流体の温度は、約50〜53℃になる。寒冷下で曝気処理を行う際には、微生物の酸化発酵を促進させるために、加熱パイプ23,45で曝気処理槽内部を加熱することにより、糞尿流体を効果的に曝気処理することができる。
【0122】
ポンプ20によりパイプ20bおよびパイプ53を経由して熟成槽2に送出された曝気処理液およびパイプ25dおよび151により消泡水タンク25から送出された曝気処理液は、熟成部3aに貯留される。熟成部3aに貯留された曝気処理液は、必要に応じて空気供給装置60により空気を供給することにより、曝気処理液中の菌が死滅を防ぎかつ曝気処理液が有する所定の特性、すなわち所定のpH値を有した状態に維持することができる。また、熟成部3aに貯留された曝気処理液は、必要に応じてポンプ54によりシャワー56から熟成部3aに放出することにより、熟成部3a内部を循環させることができる。これによっても曝気処理液中の菌が死滅を防ぎかつ曝気処理液が有する所定の特性有した状態に維持することができる。
【0123】
所定の期間熟成部3aに貯留された曝気処理液は、ポンプ54により熟成部3bに送出される。熟成部3bに送出された曝気処理液は、熟成部3bにおいて熟成部3aと同様に所定の特性を有した状態で貯留されて、最終的に曝気処理液は、所定の特性を有した状態で熟成部4bから外部貯留槽4に出力され、液肥として耕種作物の栽培に用いる。
【0124】
なお、必要に応じて曝気処理液は、熟成槽2に貯留された糞尿流体を前貯留槽3に送出するようにしてもよい。例えば、レベルセンサ243により前貯留槽3内部の糞尿流体の量が所定の量よりも少ないことが検出され、かつ、レベルセンサ204により曝気処理槽1内部の糞尿流体の量も少ないことが検出された場合、バルブ130,131を開放し、かつ、バルブ124,132,133を閉じ、ポンプ55を駆動させるにより、パイプ55b、85を介して熟成槽2に貯留された糞尿流体を前貯留槽3に送出するようにしてもよい。これにより前貯留槽3は、投入される糞尿流体や曝気処理槽1内部の糞尿流体の量が少ない場合でも常に糞尿流体を確保でき、糞尿流体中の菌の死滅を防ぐことができる。
【0125】
また、曝気処理液は、曝気処理槽1および熟成槽2から選択的に前貯留槽3に送出するようにしてもよい。例えば、レベルセンサ243により前貯留槽3内部の糞尿流体の量が所定の量よりも少ないことが検出されると、曝気処理槽1のレベルセンサ204の値と、熟成槽2のレベルセンサ225,226の値とを比較し、曝気処理液が多い方から前貯留槽3に曝気処理液を送出するようにしてもよい。このようにしても、前貯留槽3は、投入される糞尿流体や曝気処理槽1内部の糞尿流体の量が少ない場合でも常に糞尿流体を確保でき、糞尿流体中の菌の死滅を防ぐことができる。
【0126】
本実施の形態において、例えば搾乳牛100頭の糞尿処理を行うとすると、1日につき搾乳牛は1頭あたり60kgの糞尿(内訳は糞40kg、尿20kg)を排出し、この糞尿を固液分離装置で固液分離すると搾乳牛1頭あたり50kgの糞尿流体が得られるので、搾乳牛100頭では1日につき5t(5m3)の糞尿流体が排出されることになる。この場合は、曝気処理槽1の容量を15m3、熟成槽2および前貯留槽3の容量を10m3と設定すると、それぞれの糞尿処理装置が1日につき5m3ずつ糞尿流体を次段階処理装置に移行することになり、その結果約5日間という短期間で1日分の糞尿流体の曝気処理が完了する。上述したように最初に糞尿流体を前貯留槽3に投入してから5日目以降は、毎日5m3の糞尿流体を前貯留槽3に投入すると、毎日5m3の曝気処理液が熟成槽2から得られることになり、糞尿流体の曝気処理を連続的に行うことが可能となる。
【0127】
本実施の形態にかかる糞尿処理装置は、曝気処理槽1、熟成槽2、前貯留槽3のそれぞれがステンレスユニット構造体によって構成されている。これにより、各ユニットを予め工場で作っておき、設置現場では、このユニットの設置と各ユニット間の接続を行うだけでよく、工期を従来工法より格段に短くすることが可能となる。
【0128】
本実施の形態では、曝気処理槽1、熟成槽2、前貯留槽3、外部貯留槽4、ドレーンタンク5、固液分離器6、コントローラ7および制御装置8から構成されたが、処理槽の数および容量、糞尿処理の曝気処理の順番およびそれぞれの槽のレイアウト等は、これに限定されず、頭数、設置場所等必要に応じて自由に変形、変更することができる。
【0129】
また、本実施の形態では、曝気処理槽を制御するパラメータとして流量およびpH値を用いて説明したが、曝気処理槽を制御するパラメータはこれに限定されず、例えばBOD値、COD値および電気伝導度など必要に応じて自由に変更することができる。また、曝気処理槽を制御するパラメータとして流量、pH値、BOD値、COD値および電気伝導度等を適宜自由に組み合わせて用いることもできる。これらは、コントローラ7と電気的に接続されたBOD値、COD値および電気伝導度を検出するセンサを曝気処理槽内部に設けることにより実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、曝気処理を行う装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の糞尿処理装置の概略図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】固液分離器の構成を示す模式図である。
【図6】コントローラ7の構成を示すブロック図である。
【図7】コントローラ7の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】曝気処理槽の他の制御例を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0132】
1…曝気処理槽、1a…曝気処理部、1b…循環部、2…熟成槽、3a,3b…熟成部、3…前貯留槽、5a,5b…前貯留部、4…外部貯留槽、5…ドレーンタンク、6…固液分離器、6a…液分貯留槽、6b…堆肥ユニット、7…コントローラ、8a…制御部、8b…メモリ、8c…I/F、8d…操作部、8e…表示部、8…制御装置、89…循環ポンプ、89a…ポンプ部、89b…パイプ、101…コンプレッサー、102…タンク、103…ボイラー、105…空気供給口、106…流体出力口、107…流体入力口、111〜143…バルブ、152…フィードバックパイプ、201,221,222,241…pHセンサ、202…流量センサ、203,223,224,242…温度センサ、204,225,226,243…レベルセンサ、301…ベース、302…分離部、302a…カバー、302b…スクリューシャフト、302c…スクリーン、303…受入ホッパ、304…加圧部、304a…カバー、304b…圧力調整板、304c…支持部、304d…スプリング、305…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糞尿を固形物と糞尿流体とに分離する固液分離器と、
この固液分離器により分離された固体を蓄える堆肥ユニットと、
前記固液分離器により分離された前記糞尿流体を貯留する前貯留槽と、
この前貯留槽に貯留された前記糞尿流体を曝気処理する曝気処理槽と、
この曝気処理槽からの出力を貯留する熟成槽と、
前記前貯留槽と前記曝気処理槽との間に設けられ、前記前貯留槽内の糞尿流体を前記曝気処理槽に送出するパイプと、
前記前貯留槽と前記曝気処理槽との間に設けられ、前記曝気処理槽内の糞尿流体を前記前貯留槽に送出する第1のパイプと、
前記第1のパイプに設けられた第1のバルブと、
この第1のバルブを開閉する制御装置と
を備え、
前記曝気処理槽は、
槽内の底部付近に配置された曝気レータと、
上部に槽内に発生した泡を消泡することにより消泡水化し、これを前記熟成槽に出力する出力部と
を備え、
前記前貯留槽は、
槽内に所定レベルで常時貯留された糞尿流体の液面より低い位置に設けられた循環ポンプと、
前記槽内の液面の高さを検出する前貯留槽レベルセンサと
を備え、
前記制御装置は、前記前貯留槽レベルセンサにより前記前貯留槽の液面が所定レベルよりも低いことが検出されると、前記第1のバルブを開くことにより、前記曝気処理槽から前記第1のパイプを介して前記前貯留槽に前記糞尿流体を出力させる
ことを特徴とする糞尿処理装置。
【請求項2】
前記前貯留槽と前記熟成槽との間に設けられ、前記熟成槽内の糞尿流体を前記前貯留槽に送出するパイプと、
このパイプに設けられた第2のバルブと
をさらに備え、
前記曝気処理槽は、槽内の液面の高さを検出する曝気処理槽レベルセンサをさらに備え、
前記熟成槽は、槽内の液面の高さを検出する熟成槽レベルセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記前貯留槽レベルセンサにより前記前貯留槽の液面が所定レベルよりも低いことが検出されると、前記曝気処理槽レベルセンサおよび前記熟成槽レベルセンサにより前記曝気処理槽および前記熟成槽の液面の高さを検出し、この検出した値に基づいて前記第1のバルブまたは前記第2のバルブを選択的に開き、前記曝気処理槽または前記熟成槽から前記前貯留槽に前記糞尿流体を出力させる
ことを特徴とする請求項1記載の糞尿処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−173560(P2008−173560A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8522(P2007−8522)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(501453156)
【Fターム(参考)】