説明

紙カレンダーのメモスペースを電子的に拡張する機能を備えたカレンダー装置及びコンピュータプログラム

【課題】紙カレンダーのメモスペースを電子的に拡張することのできるカレンダー装置を提供する。
【解決手段】カレンダー装置1には,紙カレンダーのメモスペースを電子的に拡張するために,紙カレンダー3の月を認識する月認識部110と,月認識部110が認識した月に対応する予定データを取得する予定データ取得部111と,指領域の先端部で直線が遮られている日付枠を検出することで,予定データの表示形式及び表示期間を決定する指認識部112と,表示期間に含まれる予定データを表示形式に合わせて,紙カレンダーの映像に貼り付けて表示する予定表示部113が含まれるカレンダー手段11が備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,月毎のイメージに合わせた絵画や写真が添えられ,部屋のインテリアとしても利用される紙媒体のカレンダーのメモスペースを電子的に拡張するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
月毎のイメージに合わせた絵画や写真が添えられ,月日の確認ばかりではなく,部屋のインテリアとしても利用される紙媒体のカレンダー(紙カレンダー)には,予定や記念日などを書き込むことができるメモスペースが設けられているものがあるが,紙カレンダーのメモスペースを,家族などの複数の人数で利用すると,全員の予定を紙カレンダーのメモスペースに書き込むことができなくなってしまい,紙カレンダーによる予定の共有化を図ることができなかった。
【0003】
紙カレンダーのメモスペースを拡張する最も一般的な手法は,紙カレンダーではなく,コンピュータ上で動作する電子カレンダーを用いることである。電子カレンダーが動作するコンピュータ機器のメモリ制限はあるものの,電子カレンダーのメモスペースには,紙カレンダーのメモスペースよりも遙かに多くの情報を入力することができる。
【0004】
しかし,紙カレンダーには,月日の確認用途ばかりではなく,部屋のインテリアとしての用途もあるが,電子カレンダーは,部屋のインテリアとしても利用できないため,従来の紙カレンダーのメモスペースを電子的に拡張できることが望ましい。
【0005】
紙カレンダーと電子カレンダーを結び付けるための発明として,例えば,特許文献1において,特売日等が印字された紙カレンダー(例えば,宣伝チラシ)の内容を,コンピュータに入力するための発明が開示されている。
【0006】
しかし,特許文献1で開示されている発明は,紙カレンダーに印字された内容をコンピュータに入力するための発明で,紙カレンダーのメモスペースを電子的に拡張するための発明ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-128160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで,本発明は,月毎のイメージに合わせた絵画や写真が添えられ,部屋のインテリアとしても利用される紙媒体のカレンダーのメモスペースを電子的に拡張することのできるカレンダー装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する第1の発明の態様1は,紙カレンダーをカメラで撮影する撮影手段と,前記撮影手段で撮影された紙カレンダーのメモスペースを電子的に拡張する手段として,月を意味する文字列を文字認識することで,前記撮影手段で撮影されている前記紙カレンダーの月を認識する月認識部と,予定データを記憶しているデータベースから,前記月認識部が認識した月に対応する前記予定データを取得する予定データ取得部と,ユーザが指定した表示期間に含まれる前記予定データを,ユーザが指定した表示形式に合わせ,前記撮影手段で撮影されている前記紙カレンダーの映像に貼り付けて表示する予定表示部を有するカレンダー手段を備えたことを特徴とするカレンダー装置である。
【0010】
更に,第1の発明の態様2は,第1の発明の態様1において,格子状に配置される縦線と横線によって,メモスペースを有する日付枠が前記紙カレンダーに形成され,前記撮影手段が撮影している映像に含まれる指を指認識し,指認識で得られた指領域の先端部で直線が遮られている前記日付枠と前記指領域の先端部で遮られている直線の種類を特定し,該直線の種類からユーザが指定した前記予定データの表示形式を決定し,直線が遮られている前記日付枠からユーザが指定した表示期間を決定する指認識部を前記カレンダー手段が有しているカレンダー装置で,第1の発明の態様2によれば,紙カレンダー上を指で指すことで,前記予定データの表示形式と表示期間を指定できるようになる。
【0011】
更に,第1の発明の態様3は,第1の発明の態様1又は態様2において,ネットワーク上のデータベースに前記予定データを記憶させ,前記カレンダー手段の前記予定データ取得部は該データベースから前記予定データを取得するカレンダー装置であって,複数のユーザが一つの前記紙カレンダーを共有利用する場合,第1の発明の態様3のようにすることが望ましい。
【0012】
更に,第1の発明の態様4は,第1の発明の態様1から態様3のいずれか一つにおいて,前記カレンダー手段の前記月認識部を,前記カレンダー装置に内蔵された時計回路から,月を認識する時点の当月,来月及び再来月を候補月とし,文字認識して得られる文字列と前記候補月を意味する文字列の一部又は全てが一致する前記候補月を,前記撮影手段で撮影されている前記紙カレンダーの月として認識する手段とすることカレンダー装置である。
【0013】
更に,第1の発明の態様5は,第1の発明の態様2から態様4のいずれか一つにおいて,前記カレンダー手段の前記予定表示部は,前記指領域の先端部で直線が遮られている前記日付枠を基準とし,前記指認識部が決定した前記予定データの表示形式に適合するように行又は列方向に前記日付枠の映像を切り出し,前記指認識部が決定した前記予定データの表示期間に対応する前記予定データを,切り出した映像に貼り付けて表示するカレンダー装置であって,第1の発明の態様5によれば,前記予定データの表示期間に対応して前記日付枠の映像を表示できるようになる。
【0014】
更に,第1の発明の態様6は,第1の発明の態様5において,前記カレンダー手段の前記指認識部は,前記指領域の先端部で遮られている直線の種類が横線の場合,前記予定データの表示形式を週表示に,直線が遮られている前記日付枠から得られる日付が含まれる週を表示期間として決定し,前記予定表示部は,該日付枠を基準として行方向に前記日付枠の映像を切り出すようにするカレンダー装置である。
【0015】
また,第1の発明の態様7は,第1の発明の態様5又は態様6において,前記カレンダー手段の前記指認識部は,前記指領域の先端部で遮られている直線の種類が縦線の場合,前記予定データの表示形式を曜日表示に,直線が遮られている前記日付枠から得られる曜日の日付を表示期間として決定し,前記予定表示部は,該日付枠を基準として列方向に日付枠の映像を切り出すようにするカレンダー装置である。
【0016】
また,第1の発明の態様8は,第1の発明の態様5から態様7のいずれか一つにおいて,前記カレンダー手段の前記指認識部は,前記指領域の先端部で遮られている直線の種類が縦線・横線の両方の場合,前記予定データの表示形式を日付表示に,直線が遮られている前記日付枠から得られる日付を表示期間として決定し,前記予定表示部は,該日付枠を基準として行方向に前記日付枠の映像を切り出すようにするカレンダー装置である。
【0017】
上述した課題を解決する第2の発明は,コンピュータ上で動作するコンピュータプログラムであって,上述したカレンダー手段として,コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
このように,上述した本発明によれば,月毎のイメージに合わせた絵画や写真が添えられ,部屋のインテリアとしても利用される紙媒体のカレンダーのメモスペースを電子的に拡張することのできるカレンダー装置及びコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】カレンダー装置が配置されたシステムを説明する図。
【図2】カレンダー装置の画面の一例。
【図3】カレンダー装置のブロック図。
【図4】カレンダー装置の機能を説明する図。
【図5】カレンダーアプリケーションの動作を説明するフロー図。
【図6】予定データを表示させる操作を行うときの画面の一例。
【図7】紙カレンダーの月を認識する処理のフロー図。
【図8】予定データの表示形式と表示期間を決定する処理のフロー図。
【図9】予定データの表示形式を決定するルールの一例を説明する図。
【図10】表示形式が日付形式のときのカレンダー装置の画面の一例。
【図11】表示形式が週形式のときのカレンダー装置の画面の一例。
【図12】表示形式が曜日形式のときのカレンダー装置の画面の一例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここから,本願発明の実施形態について,本願発明の技術分野に係わる当業者が,本願発明の内容を理解し,本願発明を実施できる程度に説明する。
【0021】
図1は,本実施形態に係るカレンダー装置1が配置されたシステムを説明する図である。図1で図示したシステムは,メモスペースが設けられた紙媒体のカレンダー3(以下,紙カレンダー3と記す。)と,紙カレンダー3のメモスペースを電子的に拡張するためのアプリケーションであるカレンダーアプリケーション12が動作するカレンダー装置1と,紙カレンダー3を利用するユーザの予定データが記憶されているデータベースが構築されたカレンダーサーバ2が含まれ,カレンダー装置1はネットワーク4を介してカレンダーサーバ2にアクセスする。
【0022】
図1で図示した紙カレンダー3は月めくりの紙カレンダー3であり,各月のページには,月を示す文字(ここでは,「October」)に加え,縦線と横線によって格子状に形成される日付枠30によって,月の日付と曜日が格子状に印刷され,日付枠30の余白部が,手書きにて予定や記念日を記入できるメモスペースとして利用することができる。
【0023】
本実施形態において,図1で図示したカレンダーサーバ2は,紙カレンダー3のメモスペースの補助記憶装置として利用される装置で,カレンダーサーバ2に記憶される予定データは,カレンダー装置1やカレンダー装置1以外の装置を用いてカレンダーサーバ2に入力される。
【0024】
本実施形態において,紙カレンダー3のメモスペースの補助記憶装置として利用されるカレンダーサーバ2を設けているのは,紙カレンダー3のメモスペースを共有利用するユーザ毎にカレンダー装置1を所持していると想定しているからで,複数のユーザそれぞれが異なるカレンダー装置1を所持していると,予定データを一つのカレンダー装置1に記憶させた場合,複数のユーザが予定データを共有利用できなってしまうため,複数のカレンダー装置1からアクセス可能なカレンダーサーバ2を設け,このカレンダーサーバ2に予定データを記憶させている。
【0025】
なお,紙カレンダー3のメモスペースを共有利用する複数のユーザで一つのカレンダー装置1を共有利用する場合,又は,紙カレンダー3のメモスペースを利用するユーザが一人の場合は,カレンダー装置1のメモリを紙カレンダー3のメモスペースの補助記憶装置として利用し,該メモリに予定データを記憶させるようにしてもよい。
【0026】
紙カレンダー3のメモスペースを電子的に拡張するためのアプリケーションであるカレンダーアプリケーション12は,カレンダー装置1のカメラ1fによって撮影されている紙カレンダー3の映像を解析することで,カメラ1fで撮影されている紙カレンダー3の月を示す文字から該月を認識し,ユーザが指定した予定データの表示形式及び表示期間に合わせ,認識した月の予定データと紙カレンダー3の映像に含まれる日付枠30の映像を合成してカレンダー装置1に表示させることで,紙カレンダー3のメモスペースを電子的に拡張する。
【0027】
図2は,カレンダー装置1の画面の一例である。図2で図示した画面5aは,ユーザの指によって指定された週に係わる予定データを週表示した画面で,画面5aの上段はユーザの指6によって指定された週に対応する紙カレンダー3の映像で,画面5aの下段に一日のスケジュール欄が表示され,このスケジュール欄には,画面5aの上段に表示される日付毎に,該日付の予定データが,開始時刻と終了時刻で定める予定データの予定期間に合わせて表示されている。
【0028】
このように,現実の紙カレンダー3をカメラ1fで撮影し,カメラ1fで撮影した紙カレンダー3の映像に,カレンダーサーバ2から得られた予定データをはめ込んで表示することで,カレンダー装置1上に表示される紙カレンダー3のメモスペースには電子的な情報(ここでは,予定データ)が付加されることになり,紙カレンダー3のメモスペースは電子的に拡張されることになる。
【0029】
ここから,図1で図示したカレンダー装置1及びカレンダー装置1上で動作するカレンダーアプリケーション12について詳細に説明する。図3は,カレンダー装置1のブロック図である。なお,カレンダー装置1として利用される装置に合わせて,実際のカレンダー装置1には,図3で図示した以外の要素も備えられているが,図3では,本願発明を説明するのに必要な要素のみを図示している。
【0030】
図3で図示したように,カレンダー装置1は,アプリケーションプロセッサなどのCPU,RAM及びROMなどが実装されたプロセッサ回路1aに,カメラ1f,タッチパネル1d,時計回路1c,メモリ1e及び通信回路1bなどが接続されたコンピュータ機器で実現される装置で,カレンダー装置1として利用できるコンピュータ機器としては,カメラ付き携帯電話,カメラ付きスマートフォン及びWebカメラが接続されたノート型のパーソナルコンピュータなどが挙げられる。
【0031】
図1で図示したカレンダー装置1に実装されたプロセッサ回路1aには,プロセッサ回路1aのCPUを動作させるためのオペレーティングシステムが搭載され,カレンダーアプリケーション12は,このオペレーティングシステム上で動作する一つのアプリケーションになり,カレンダーアプリケーション12の本体はカレンダー装置1のメモリ1eに記憶されている。
【0032】
図4は,カレンダー装置1の機能を説明する図で,図4に図示したように,カレンダー装置1には, 紙カレンダー3をカメラ1fで撮影する撮影手段10と,月を意味する文字列を文字認識することで,撮影手段10で撮影されている紙カレンダー3の月を認識する月認識部110と,カレンダーサーバ2から,月認識部110が認識した月に対応する予定データを取得する予定データ取得部111と,撮影手段10が撮影している映像に含まれる指6を指認識し,指認識で得られた指領域の先端で直線が遮られている日付枠30と指領域の先端で遮られている直線の種類を特定し,該直線の種類からユーザが指定した予定データの表示形式を決定し,直線が遮られている日付枠30からユーザが指定した表示期間を決定する指認識112部と,ユーザが指定した表示期間に含まれる予定データを,ユーザが指定した表示形式に合わせ,撮影手段10で撮影されている紙カレンダー3の映像に貼り付けて表示する予定表示部113が含まれるカレンダー手段11が備えられる。
【0033】
カレンダー装置1の撮影手段10は,カレンダー装置1に接続されたカメラ1fを利用して実現され,カレンダー装置1が本来から有する機能で,カレンダー装置1のカレンダー手段11は,カレンダー装置1に実装されるカレンダーアプリケーション12によって,カレンダー装置1として利用されるコンピュータ機器に付加される機能である。
【0034】
図5は,カレンダーアプリケーション12の動作を説明するフロー図である。カレンダーアプリケーション12のアイコンが選択されることで起動し,カレンダーアプリケーション12は起動すると,撮影手段10を作動させて映像を撮影開始し,撮影手段10が撮影している映像をタッチパネル1dに表示する処理(S1)を行う。
【0035】
撮影手段10を作動させて映像を撮影開始し,撮影手段10が撮影している映像をタッチパネル1dに表示した後,ユーザが紙カレンダー3の日付枠30に焦点を合わせ,予定データを表示させる操作を実行すると,カレンダーアプリケーション12は,月認識部110として機能するモジュールを実行し,撮影手段10で撮影されている紙カレンダー3の映像を解析することで,撮影されている紙カレンダー3の月を認識する処理を実行する(S2)。
【0036】
図6は,予定データを表示させる操作を行うときの画面の一例である。図6で図示した画面5bには,撮影手段10で撮影されている映像に加え,予定データを表示させるときにユーザが押すボタン5b1が表示され,ユーザによってこのボタン5b1が押されることで,予定データを表示させる操作が実行される。
【0037】
図7は,撮影されている紙カレンダー3の月を認識する処理のフロー図で,撮影されている紙カレンダー3の月は,撮影手段10が撮影している映像に含まれ,月を意味する文字(図6では,「October」)を文字認識することで認識できる。
【0038】
本実施形態において,カレンダーアプリケーション12は,まず,カレンダー装置1の時計回路1cからこの時点の年月日を取得し(S10),この時点の当月,来月及び再来月の3つを紙カレンダー3の候補月として決定する(S11)。例えば,カレンダー装置1の時計回路1cから取得した年月日が2010年10月8日であれば,カレンダーアプリケーション12は,10月,11月及び12月を紙カレンダー3の候補月とし決定する。
【0039】
カレンダーアプリケーション12は,紙カレンダー3の候補月を決定すると,撮影手段10が撮影している映像から,月を意味する単語,数字などの文字列を文字認識し(S12),文字認識して得られる文字列と候補月を意味する文字列の一部又は全てが一致する候補月を,撮影されている紙カレンダー3の月として特定する(S13)。
【0040】
なお,撮影手段10が撮影している映像から,月を意味する単語,数字などの文字列を文字認識するとき,撮影手段10が撮影した映像の2値化,適切な領域を指定して移動平均フィルタをかけてノイズ除去した後,移動平均フィルタをかけた映像を再度2値化して、文字領域と非文字領域にクラスタリングし,他の文字領域よりサイズの大きい文字領域を対象として,テンプレートなどを用いて文字認識する。
【0041】
また,文字認識して得られた文字列と紙カレンダー3の候補月を意味する文字列と比較するとき,文字認識して得られた文字が数字であれば,文字認識して得られる上位2文字と紙カレンダー3の候補月の数字と比較し,文字認識して得られた文字が英単語であれば,文字認識して得られる上位3文字と紙カレンダー3の候補月を意味する英語の上位3文字を比較するとよい。
【0042】
ここから,図5の説明に戻る。撮影されている紙カレンダー3の月を認識すると,カレンダーアプリケーション12は,予定データ取得部111として機能するモジュールを実行させ,認識した月に予定期間が含まれる予定データをカレンダーサーバ2から取得することで,撮影されている紙カレンダー3の月に対応する予定データを取得する(S3)。
【0043】
カレンダーアプリケーション12は,撮影されている紙カレンダー3の月の予定データをカレンダーサーバ2から取得すると,ユーザが指定した予定データの表示形式及び表示期間を決定する(S4)。
【0044】
予定データの表示形式をユーザから取得するためのダイヤログなどをカレンダーアプリケーション12に設けるようにしてもよいが,本実施形態では,撮影手段10が撮影した映像に含まれるユーザの指がポインタの役割を果し,カレンダーアプリケーション12は指認識部112として機能するモジュールを実行させ,撮影手段10が撮影している映像に含まれる指を指認識し,指認識で得られた指領域の先端で直線が遮られている日付枠30と指領域の先端で遮られている直線の種類を特定し,該直線の種類からユーザが指定した予定データの表示形式を決定し,直線が遮られている日付枠30からユーザが指定した表示期間を決定する。
【0045】
図8は,予定データの表示形式と表示期間を決定する処理のフロー図である。撮影手段10で撮影された映像を解析し,ユーザが指定した予定データの表示形式及び表示期間を決定するとき,まず,カレンダーアプリケーション12は,撮影手段10が撮影した映像に含まれる直線を抽出する(S20)。
【0046】
撮影手段10で撮影されている映像から直線を抽出すると,カレンダーアプリケーション12は,肌色領域を利用して撮影されている映像に含まれる指を指認識し,該映像における指領域を特定する(S21)。指認識の手法は様々公開されているが,例えば,撮影手段10が撮影した映像の肌色領域を2値化し,適切な領域を指定して移動平均フィルタをかけることでノイズ除去し,ノイズ除去した映像を再度2値化した後、肌色領域に該当する黒部を輪郭処理し,指のテンプレートとマッチングすることで指領域を特定する。
【0047】
カレンダーアプリケーション12は,指領域を特定すると,抽出した直線の中から,指領域の先端と交わる直線を特定し(S22),特定した直線の種類により,予定データの表示形式を決定する(S23)。
【0048】
図9は,予定データの表示形式を決定するルールの一例を説明する図である。図9(a)は,指領域の先端部と交わる直線が縦線のケースで,指領域の先端と交わる直線が縦線のとき,カレンダーアプリケーション12は,予定データの表示形式を週表示に決定する。図9(b)は,指領域の先端と交わる直線が縦線・横線の両方のケースで,指領域の先端と交わる直線が縦線・横線のとき,カレンダーアプリケーション12は,予定データの表示形式を日付表示に決定する。図9(c)は,指領域の先端と交わる直線が横線のケースで,指領域の先端と交わる直線が横線のとき,カレンダーアプリケーション12は,予定データの表示形式を曜日表示に決定する。
【0049】
カレンダーアプリケーション12は,予定データの表示形式を決定すると,予定データを表示する表示期間を特定する。予定データの表示期間は,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30と表示形式に基づき決定され,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30の日付は,例えば,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30内の文字を文字認識したり,紙カレンダー3内における該日付枠30の位置を特定することできる。
【0050】
予定データの表示期間は,予定データの表示形式に依存して特定され,予定データの表示形式が日付形式のときは,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30の日付が予定データの表示期間となる。また,予定データの表示形式が週形式のときは,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30の日付を含む週の日付が予定データの表示期間になり,更に,予定データの表示形式が曜日形式のときは,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30の日付と同じ曜日の日付が予定データの表示期間になる。
【0051】
カレンダーアプリケーション12は,予定データの表示形式及び表示期間を決定すると,予定表示として機能するモジュールを実行させ,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30を基準とし,指認識部が決定した予定データの表示形式に適合するように行又は列方向に,撮影手段10が撮影している映像を切り出し(S24),指認識部112が決定した予定データの表示期間に対応する予定データを切り出した映像に貼り付けてタッチパネル1dに表示し(S25),この手順を終了する。
【0052】
図10は,表示形式が日付形式のときのカレンダー装置1の画面の一例を説明する図である。図10の画面5cで図示したように,予定データの表示形式が日付形式のとき,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30を基準とし,撮影手段10が撮影している映像が行方向に切り取られ,予定データを表示する日付を含む週の日付枠30の映像が切り取られ,予定データの表示期間で特定される日付の位置に対応するように,該日付の予定データを吹き出し形式はめ込んだ映像がカレンダー装置1のタッチパネル1dに表示される。
【0053】
図11は,表示形式が週形式のときのカレンダー装置1の画面の一例を説明する図である。表示形式が週形式のときのカレンダー装置1の画面は,図2で図示した画面であってもよいが,図11では,図2とは形態の異なる画面を図示している。
【0054】
図11の画面5dで図示したように,予定データの表示形式が週形式のとき,指領域の先端で直線が遮られている日付枠30を基準とし,撮影手段10が撮影している映像が行方向に切り取られ,予定データを表示する日付を含む週の日付枠30の映像が切り取られ,撮影手段10が撮影した映像から切り取られた映像の下側に設けられた欄に,日付枠30に対応する日付の予定データが予定期間順に表示される。
【0055】
図12は,表示形式が曜日形式のときのカレンダー装置1の画面の一例を説明する図である。図12の画面5eで図示したように,予定データの表示形式が曜日形式のとき,指領域の先端部で直線が遮られている日付枠30を基準とし,撮影手段10が撮影している映像が列方向に切り取られ,予定データを表示する日付と曜日が同じ日付枠30の映像が切り取られ,撮影手段10が撮影した映像から切り取られた映像の右側に,予定データの一覧を表示するスケジュール欄が設けられ,日付枠30に対応する日付の予定データが予定期間に合わせてこのスケジュール欄内に表示される。
【0056】
以上、本実施形態のカレンダー装置1は、カメラ1fによって撮影されている紙カレンダー3の映像を解析することで,カメラ1fで撮影されている紙カレンダー3の月を示す文字から該月を認識し,ユーザが指定した予定データの表示形式及び表示期間に合わせ,認識した月の予定データと紙カレンダー3の映像に含まれる日付枠30の映像を合成して表示することで,紙カレンダー3のメモスペースを電子的に拡張することができる。
【0057】
また、カレンダー装置1は、格子状に配置される縦線と横線によって日付枠とメモスペースを有する紙カレンダー3の場合において、撮影手段10が撮影している映像から指領域を認識し、認識した指領域の先端で直線が遮られている日付枠30と指領域の先端で遮られている直線の種類からユーザが指定した予定データの表示形式を決定するので、ユーザの紙カレンダー3上における直感的操作によって表示形式を変更して表示することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 カレンダー装置
10 撮影手段
11 カレンダー手段
110 月認識部
111 予定データ取得部
112 指認識部
113 予定表示部
2 カレンダーサーバ
3 紙カレンダー
30 日付枠
4 ネットワーク
6 ユーザの指


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙カレンダーをカメラで撮影する撮影手段と,
月を意味する文字列を文字認識することで,前記撮影手段で撮影されている前記紙カレンダーの月を認識する月認識部と,予定データを記憶しているデータベースから,前記月認識部が認識した月に対応する前記予定データを取得する予定データ取得部と,ユーザが指定した表示期間に含まれる前記予定データを,ユーザが指定した表示形式に合わせ,前記撮影手段で撮影されている前記紙カレンダーの映像に貼り付けて表示する予定表示部を有するカレンダー手段と,
を備えたことを特徴とするカレンダー装置。
【請求項2】
前記紙カレンダーには,格子状に配置される縦線と横線によって,メモスペースを有する日付枠が形成され,前記撮影手段が撮影している映像を指認識し,指認識で得られた指領域の先端で直線が遮られている前記日付枠と前記指領域の先端で遮られている直線の種類を特定し,該直線の種類からユーザが指定した前記予定データの表示形式を決定し,直線が遮られている前記日付枠からユーザが指定した表示期間を決定する指認識部をカレンダー手段が有していることを特徴とする,請求項1に記載のカレンダー装置。
【請求項3】
前記カレンダー手段の前記予定データ取得部は,ネットワーク上のデータベースから前記予定データを取得することを特徴とする,請求項1又は請求項2に記載のカレンダー装置。
【請求項4】
前記カレンダー手段の前記月認識部は,前記カレンダー装置に内蔵された時計回路から,月を認識する時点の当月,来月及び再来月を候補月とし,文字認識して得られる文字列と前記候補月を意味する文字列の一部又は全てが一致する前記候補月を,前記撮影手段で撮影されている前記紙カレンダーの月として認識すること特徴とする,請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のカレンダー装置。
【請求項5】
前記カレンダー手段の前記予定表示部は,前記指領域の先端で直線が遮られている前記日付枠を基準とし,前記指認識部が決定した前記予定データの表示形式に適合するように行又は列方向に前記日付枠の映像を切り出し,前記指認識部が決定した前記予定データの表示期間に対応する前記予定データを,切り出した映像に貼り付けて表示することを特徴とする,請求項2から請求項4のいずれか一つに記載のカレンダー装置。
【請求項6】
前記カレンダー手段の前記指認識部は,前記指領域の先端で遮られている直線の種類が横線の場合,前記予定データの表示形式を週表示に,直線が遮られている前記日付枠から得られる日付が含まれる週を表示期間として決定し,前記予定表示部は,該日付枠を基準として行方向に前記日付枠の映像を切り出すことを特徴とする,請求項5に記載のカレンダー装置。
【請求項7】
前記カレンダー手段の前記指認識部は,前記指領域の先端で遮られている直線の種類が縦線の場合,前記予定データの表示形式を曜日表示に,直線が遮られている前記日付枠から得られる曜日の日付を表示期間として決定し,前記予定表示部は,該日付枠を基準として列方向に日付枠の映像を切り出すことを特徴とする,請求項5又は請求項6に記載のカレンダー装置。
【請求項8】
前記カレンダー手段の前記指認識部は,前記指領域の先端で遮られている直線の種類が縦線・横線の両方の場合,前記予定データの表示形式を日付表示に,直線が遮られている前記日付枠から得られる日付を表示期間として決定し,前記予定表示部は,該日付枠を基準として行方向に前記日付枠の映像を切り出すことを特徴とする,請求項5から請求項7のいずれか一つに記載のカレンダー装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載のカレンダー手段として,コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−43348(P2012−43348A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186130(P2010−186130)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】