説明

紙幣収納装置

【課題】動作の不具合の発生を防止することができる小型で安価な紙幣収納装置を提供する。
【解決手段】紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11の搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根12と、搬送ベルト11の下方に設けられ、搬送ベルト11で取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫3と、紙幣収納庫3に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージ4とを備え、搬送ベルト11を紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣をステージ4上に積載された収納紙幣と搬送ベルト11との間に挟みながら紙幣収納庫3に収納する紙幣収納装置において、ステージ4上に積載された収納紙幣を繰り出し搬送するためのキックローラ20をさらに備え、キックローラ20と、搬送ベルト11を駆動する駆動側プーリ15とを同軸52上に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣を一枚ずつ取り込み、それを積み重ねて収納する一方、収納してある紙幣を繰り出す紙幣収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣を一枚ずつ取り込んで、それを整列して積み重ねて収納庫に収納する紙幣収納装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示される装置は、紙葉類(紙幣)を一枚ずつ集積部に取り込んで集積する装置であり、集積部に導かれる紙葉類の先端部を保持しながら取込み搬送する先端保持手段を備える。先端保持手段は、取込み搬送用のベルト面に形成された係合保持突起からなる。
【0003】
これに対し、本件特許出願人は、既に特願2009−2642に示す紙幣収納装置を提供している。図5および図6に示すように、この紙幣収納装置は、紙幣を一枚ずつ取り込んで収納する紙幣収納庫3と、紙幣収納庫3に取り込まれた紙幣を積載するステージ4と、ステージ4の紙幣載置面4aの上方に対向配置され、紙幣収納庫3への紙幣の取り込み方向に延設された搬送ベルト11とを備える。
【0004】
この装置は、搬送ベルト11に一端を連結して付加し、他端を開放状態として揺動自在に設けた複数の片持羽根12と、搬送ベルト11を駆動する駆動側プーリ15と、補助プーリ16とを備える。また、フィードローラ8と、繰り出し用のキックローラ20と、複数の叩き羽根9bを有する羽根車9とをさらに備える。そして、紙幣を紙幣収納庫3に収納するとき、搬送ベルト11を紙幣の取り込み速度に合わせて駆動し、その取り込み紙幣を、ステージ4上に積載された収納紙幣と片持羽根12間に挟んで平らかに拘束しながら紙幣収納庫3のステージ4上に積載する。こうして紙幣の癖戻りをなくして安定に紙幣収納部に集積することで、それらの紙幣を搬出する場合の詰まり等を防止するとともに、紙幣の集積を効率的に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−301593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特願2009−2642の紙幣収納装置の入金動作においては、図7(a)に示すように、紙幣挿入の段階では入金紙幣の搬送開始と同時にフィードローラ8、搬送ベルト11、羽根車9が入金方向に回転する。そして、図7(b)に示すように、紙幣集積の段階では入金紙幣の先端が搬送ベルト11の羽根12間に入り込み、この状態のまま紙幣収納庫3奥へと搬送される。このとき、入金紙幣、収納紙幣共に羽根12等の弾性でステージ4側に押し付けられ拘束されながら集積動作が行われる。
【0007】
一方、出金動作においては、図8(a)に示すように、出金準備の段階では出金開始と同時にステージ4が上昇し、収納紙幣(出金紙幣)がキックローラ20に接触する。このとき、搬送ベルト11の羽根12はステージ4上昇による拘束を受け、上方に押し込まれる。そして、図8(b)に示すように、出金開始の段階ではキックローラ20、フィードローラ8、羽根車9が出金方向に回転する。キックローラ20に接触している収納紙幣は出金方向に搬送され、フィードローラ8を経由し出金口6(紙幣出入り口)まで送られる。
【0008】
この特願2009−2642の紙幣収納装置においては、図5および図6に示すように、入金時に動作する搬送ベルト11の駆動側プーリ15と、出金時に動作するキックローラ20とは、機能の違いからそれぞれ異なる軸上に設けてある。この場合、次の二つの問題が生じる。
【0009】
第一に、駆動側プーリ15軸の位置をキックローラ20軸の後方に配置すると、紙幣挿入位置から搬送ベルト11の羽根12の先端までの距離が長くなることで紙幣を保持する羽根12の長さが長くなってしまい、駆動側プーリ15の回転中に紙幣以外の構成部品との接触が増え、負荷が増し、駆動側プーリ15の駆動源が大型化する。この場合、装置の大型化やコストアップを招くおそれがある。
【0010】
第二に、キックローラ20軸の位置を駆動側プーリ15軸の後方に配置すると、キックローラ20からフィードローラ8までの距離が長くなり、出金紙幣がこの間で撓みや癖戻りが発生し易くなって紙幣詰まりの要因となる。この場合、出金性能が低下するおそれがある。
【0011】
他方、上記の特願2009−2642の紙幣収納装置においては、図14(a)、(b)の入金動作に示すように、紙幣収納庫3内に紙幣が入金し、搬送開始と同時にフィードローラ8と搬送ベルト11が回転する。そして、入金紙幣は搬送ベルト11の羽根12の弾性で収納紙幣へ押し当てられる。入金紙幣・収納紙幣とも搬送ベルト11の羽根12間により拘束されて集積動作が行われる。
【0012】
そして、図14(c)、(d)に示すように、入金紙幣の後端がフィードローラ8を抜けるとフィードローラ8の搬送力はなくなるが、紙幣の惰性、羽根の叩き作用によって紙幣の搬送は進行される。紙幣先端は搬送ベルト11の羽根12間に絡まって巻き込まれないように、案内部材18に衝突して羽根12から分離してステージ4上に集積されて収納動作が完了する。こうして、入金紙幣は搬送ベルト11の羽根12によって収納紙幣側に押し付けられて集積、収納される。羽根12等の作用によって紙幣の癖戻り等がない整列された集積状態となる。
【0013】
また、紙幣先端を羽根12間で正常に保持する正常動作時においては、図15(a)、(b)に示すように、まず、入金紙幣の先端の上下位置に羽根12があるタイミングで入金動作が行われ、紙幣上側の羽根12が下側の羽根12に押し当てるように集積動作がなされる。そして、これら2枚の羽根12で紙幣先端を挟み込むように保持して搬送される。このため、ステージ4上の収納紙幣と干渉することなく正常に集積される。
【0014】
紙幣先端を羽根12間で正常に保持できない異常動作時においては、図15(c)に示すように、入金紙幣の先端の下位置に羽根12がないタイミングで入金動作が行われ、紙幣上側の羽根12が収納紙幣に押し当てるように集積動作がなされる。そして、紙幣先端が羽根12と収納紙幣間に挟み込まれて搬送される。このため、ステージ4上の収納紙幣との干渉で座屈等を起こし、集積乱れを生じるおそれがある。
【0015】
紙幣先端が収納紙幣と干渉しないように集積するためには、図15(b)に示すように、紙幣先端が羽根12の間に挟まれて搬送されることが望ましい。しかしながら、紙幣の入金タイミングによっては羽根12間に入ることができず、上述したように紙幣先端と収納紙幣とが干渉する場合がある(図15(c))。この場合、万が一収納紙幣に破れ等の引っ掛かり部分があると、紙幣が負荷を受け、座屈によるジャム等の集積不具合が発生するおそれがある。
【0016】
また、上記の特願2009−2642の紙幣収納装置においては、図6に示すように、羽根12を付加した搬送ベルト11を紙幣収納庫3の天井部に二列配置する。
【0017】
この場合の入金動作としては、図20(a)、(b)に示すように、紙幣収納庫3内に紙幣が入金し、搬送開始と同時にフィードローラ8と搬送ベルト11が回転する。そして、入金紙幣は搬送ベルト11の羽根12の弾性で収納紙幣へ押し当てられる。入金紙幣・収納紙幣とも搬送ベルト11の羽根12間により拘束されて集積動作が行われる。
【0018】
そして、図20(c)、(d)に示すように、入金紙幣の後端がフィードローラ8を抜けるとフィードローラ8の搬送力はなくなるが、紙幣の惰性、羽根の叩き作用によって紙幣の搬送は進行される。紙幣先端は搬送ベルト11の羽根12間に絡まって巻き込まれないように、案内部材18に衝突して羽根12から分離してステージ4上に集積されて収納動作が完了する。こうして、入金紙幣は搬送ベルト11の羽根12によって収納紙幣側に押し付けられて集積、収納される。羽根12等の作用によって紙幣の癖戻り等がない整列された集積状態となる。
【0019】
ところで、図21に示すように、二列の搬送ベルト11間に出金用のキックローラ20を設置する場合には、搬送ベルト11間に隙間が出来てしまい、紙幣を押さえられない領域が生じることとなる。
【0020】
折れ目の付いたイレギュラー紙幣の中には、図22に示すように、二列の搬送ベルト11の羽根12でその両縁を押さえられた場合に、中央部が浮き上がるといったものがある。図23の左図に示すように、イレギュラー紙幣(点線にて図示)が入金されると、羽根12によって紙幣が押さえ付けられ、癖が抑制された状態(実線にて図示)となる。
【0021】
ところが、図23の右図に示すように、入金・集積された後、紙幣が羽根12で叩かれているうちに徐々にその折れ癖(折れ目)が戻っていく。この紙幣は両縁が持ち上がったW字状の断面であるため、両縁を押さえ付けると折れ目に内側方向(図中の矢印の向き)の力がかかり、折れ癖の復元力は強く働く。折れ癖が戻った場合、後から入金される紙幣と干渉を起こして紙幣詰まりの要因となってしまう。したがって、このような紙幣については、搬送ベルト11間の隙間で折れ癖が戻らぬように、入金・集積後の状態を保持する必要がある。
【0022】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動作の不具合の発生を防止することができる小型で安価な紙幣収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る紙幣収納装置は、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、前記ステージ上に積載された収納紙幣を繰り出し搬送するためのキックローラをさらに備え、前記キックローラと、前記搬送ベルトを駆動する駆動側プーリとを同軸上に配置したことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項2に係る紙幣収納装置は、上述した請求項1において、前記駆動側プーリとキックローラの双方を紙幣出入り口の近傍に配置したことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項3に係る紙幣収納装置は、上述した請求項1または2において、前記駆動側プーリを紙幣の取り込み搬送時に回転させ、紙幣の繰り出し搬送時に空転させるワンウェイクラッチをさらに備えることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項4に係る紙幣収納装置は、上述した請求項3において、紙幣の取り込み搬送時に、前記駆動側プーリと前記キックローラとを入金方向に回転させる一方で、紙幣の繰り出し搬送時に、前記ステージを上昇させて収納紙幣を前記キックローラに接触させ、前記キックローラを出金方向に回転させる制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項5に係る紙幣収納装置は、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、紙幣を取り込んで前記搬送ベルトに送るフィードローラをさらに備え、紙幣の先端が前記搬送ベルトの前記羽根に係合する直前の区間において、前記羽根の移動速度と前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度とに速度差を設けたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の請求項6に係る紙幣収納装置は、上述した請求項5において、前記紙幣の先端の位置を検知するセンサを有し、このセンサの検知に応じて前記羽根の移動速度と前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度の少なくとも一方を変化させる速度制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の請求項7に係る紙幣収納装置は、上述した請求項5または6において、前記紙幣収納庫の前面側に、前記羽根の移動速度を前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度よりも遅くする区間を設けたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の請求項8に係る紙幣収納装置は、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、前記搬送ベルトは、少なくとも二列配置され、収納紙幣が前記二列の搬送ベルト間で上に凸に変形することを抑制する紙幣押さえ手段を設けたことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の請求項9に係る紙幣収納装置は、上述した請求項8において、前記紙幣押さえ手段は、紙幣の繰り出し搬送時に退避動作可能であることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の請求項10に係る紙幣収納装置は、上述した請求項8または9において、前記紙幣押さえ手段は、板ばね状の押さえ板からなることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の請求項11に係る紙幣収納装置は、上述した請求項10において、前記押さえ板の紙幣面に対する傾斜角度を30°程度としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の請求項1によれば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、前記ステージ上に積載された収納紙幣を繰り出し搬送するためのキックローラをさらに備え、前記キックローラと、前記搬送ベルトを駆動する駆動側プーリとを同軸上に配置したので、搬送ベルトの駆動源の小型化や駆動部品数の削減が図れ、小型で安価な紙幣収納装置を提供することができる。また、出金時の紙幣詰まりなどの動作の不具合の発生を防止することができる。
【0035】
本発明の請求項5によれば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、紙幣を取り込んで前記搬送ベルトに送るフィードローラをさらに備え、紙幣の先端が前記搬送ベルトの前記羽根に係合する直前の区間において、前記羽根の移動速度と前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度とに速度差を設けたので、この速度差を羽根と紙幣先端との位置関係に応じて適宜設定することにより、紙幣先端を羽根間の奥まで確実に入れることが可能となる。したがって、紙幣先端と収納紙幣の干渉による集積動作の不具合の発生を防止することができる。
【0036】
本発明の請求項8によれば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、前記搬送ベルトは、少なくとも二列配置され、収納紙幣が前記二列の搬送ベルト間で上に凸に変形することを抑制する紙幣押さえ手段を設けたので、紙幣押さえ手段によって収納紙幣が浮き上がるスペースがなくなる。したがって、紙幣が集積後叩かれていくうちに紙幣の折れ癖が戻ることを防止することができる。このため、紙幣同士の接触による詰まりなどの動作の不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の実施例1の紙幣収納装置を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明に実施例1の紙幣収納装置を示す正面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1の入金動作を説明する図であり、(a)は紙幣挿入時、(b)は紙幣集積時の図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1の出金動作を説明する図であり、(a)は出金準備時、(b)は出金開始時の図である。
【図5】図5は、従来の紙幣収納装置の側面図である。
【図6】図6は、従来の紙幣収納装置の正面図である。
【図7】図7は、従来の入金動作を説明する図であり、(a)は紙幣挿入時、(b)は紙幣集積時の図である。
【図8】図8は、従来の出金動作を説明する図であり、(a)は出金準備時、(b)は出金開始時の図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2の紙幣収納装置を示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2の紙幣収納装置を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は解決しようとする課題の説明図、(c)は本発明の説明図である。
【図11】図11は、本発明の実施例2の紙幣収納装置を説明する図である。
【図12】図12は、本発明の実施例2の紙幣収納装置を説明する図であり、(a)は各段階における図、(b)は速度の変化状況を示した図である。る。
【図13】図13は、本発明の実施例2の他の紙幣収納装置を示す側面図である。
【図14】図14は、従来の入金動作を説明する図であり、(a)は紙幣挿入時、(b)は紙幣集積前半時、(c)は紙幣集積後半時、(d)は収納完了時の図である。
【図15】図15は、従来の紙幣収納装置の課題を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は正常動作時の図、(c)は異常動作時の図である。
【図16】図16は、本発明の実施例3の紙幣収納装置を示す側面図である。
【図17】図17は、本発明の実施例3の紙幣収納装置を示す正面図である。
【図18】図18は、紙幣押さえ手段を示す側面図である。
【図19】図19は、紙幣押さえ手段の動作を説明する図である。
【図20】図20は、従来の入金動作を説明する図であり、(a)は紙幣挿入時、(b)は紙幣集積前半時、(c)は紙幣集積後半時、(d)は収納完了時の図である。
【図21】図21は、従来の紙幣収納装置の搬送ベルト間の隙間を説明する図である。
【図22】図22は、中央部が浮き上がり易いイレギュラー紙幣の斜視図である。
【図23】図23は、イレギュラー紙幣の癖戻り動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明に係る紙幣収納装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
図1および図2に示すように、本発明の実施例1に係る紙幣収納装置100は、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11の搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根12と、搬送ベルト11の下方に設けられ、搬送ベルト11で取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫3と、紙幣収納庫3に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージ4とを備える。搬送ベルト11は、図示しない駆動源に接続した駆動側プーリ15と、補助プーリ16とに掛け回してある。
【0040】
この紙幣収納装置100は、搬送ベルト11を紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣をステージ4上に積載された収納紙幣と搬送ベルト11との間に挟みながら紙幣収納庫3に収納するものであり、ステージ4上に積載された収納紙幣を繰り出し搬送するためのキックローラ20をさらに備える。
【0041】
キックローラ20と駆動側プーリ15とは、紙幣出入り口6の近傍において同軸上に配置してあり、キックローラ20と駆動側プーリ15の回転は、図示しない制御手段により入金および出金動作時に各々制御される。
【0042】
図2に示すように、搬送ベルト11の駆動側プーリ15にはワンウェイクラッチ50が挿入してある。入金動作においては、ワンウェイクラッチ50がロックし、駆動側プーリ15の駆動によって搬送ベルト11が回転するように制御される。出金動作においては、ワンウェイクラッチ50はロック解除し、駆動側プーリ15の駆動が伝達されず、搬送ベルト11は停止状態となるように制御される。なお、キックローラ20は軸52に固定してあり、入出金動作時共に回転する。軸52はベアリング54を介して側板56に回転自在に固定してある。
【0043】
より詳細には、図3の入金動作に示すように、入金紙幣の挿入の段階では、入金紙幣の搬送開始と同時に、フィードローラ8、搬送ベルト11、キックローラ20、羽根車9が入金方向に回転するように制御される(図3(a))。入金紙幣の集積の段階では、入金紙幣の先端が搬送ベルト11の羽根12間に入り込み、この状態のまま紙幣収納庫3奥へ搬送される(図3(b))。このとき、入金紙幣、収納紙幣共に羽根12の弾性でステージ4側に押し付けられ拘束されながら集積動作が行われる。なお、キックローラ20も回転するが入金方向の回転であり、集積動作には影響はない。
【0044】
一方、図4の出金動作に示すように、出金準備の段階では、出金開始と同時にステージ4が上昇し、収納紙幣(出金紙幣)がキックローラ20に接触するように制御される。このとき、搬送ベルト11の羽根12はステージ4上昇による荷重を受け、上方に押し込まれる(図4(a))。出金開始の段階では、キックローラ20、フィードローラ8、羽根車9が出金方向に回転するように制御される。キックローラ20に接触している収納紙幣(出金紙幣)が出金方向に搬送され、フィードローラ8を経由し出金口6まで送られる(図4(b))。なお、この場合、キックローラ20の回転のため軸52は回転するが、同軸上の駆動側プーリ15はワンウェイクラッチ50の作用により空転する。
【0045】
以上のように構成した実施例1の紙幣収納装置100によれば、機能の異なる搬送ベルト11とキックローラ20の双方を紙幣挿入位置(紙幣出入り口6)の近傍に同軸上に配置することによって、搬送ベルト11の羽根12を短くすることが可能であり、回転に伴う接触部分が減って、駆動源の負荷を減らすことができる。これにより、搬送ベルト11の駆動源の小型化が可能となり、装置の外形寸法を小さくすることができる。また、入出金動作に伴う回転軸の数を2本から1本に削減することができるので、軸、モータ、ベアリングなどの駆動手段の構成部品数が減り、コストを低減することができる。
【0046】
また、キックローラ20からフィードローラ8までの搬送方向距離を短く構成することができるので、出金紙幣の撓みや癖戻りに起因する紙幣詰まりなどの動作の不具合の発生を抑制し、出金性能の向上を図ることもできる。
【0047】
したがって、実施例1の紙幣収納装置100によれば、搬送ベルトの駆動源の小型化や駆動部品数の削減が図れ、小型で安価な紙幣収納装置を提供することができる。また、出金時の紙幣詰まりなどの動作の不具合の発生を防止することができる。
【0048】
[実施例2]
図9に示すように、本発明の実施例2に係る紙幣収納装置200は、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11の搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根12と、搬送ベルト11の下方に設けられ、搬送ベルト11で取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫3と、紙幣収納庫3に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージ4とを備える。
【0049】
この紙幣収納装置200は、搬送ベルト11を紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣をステージ4上に積載された収納紙幣と搬送ベルト11との間に挟みながら紙幣収納庫3に収納するものであり、紙幣を取り込んで搬送ベルト11に送るフィードローラ8をさらに備える。
【0050】
駆動側プーリ15の位置を入金口6側へ寄せ、取り込み紙幣の先端が紙幣収納庫3に至る直前に、紙幣先端と羽根12とが係合する搬送区間Lを設ける。この搬送区間Lにおいては、駆動側プーリ15とフィードローラ8の回転速度を図示しない速度制御手段によってそれぞれ制御する。この場合、紙幣先端を確実に羽根12間に導き入れることができるように、紙幣位置によって羽根12の移動速度(搬送ベルト速度V)とフィードローラ8による紙幣の取り込み搬送速度(紙幣搬送速度V)とに速度差を設け、紙幣先端と収納紙幣との干渉を防止するようにする。
【0051】
例えば、図9に示すように、上から紙幣を抑える羽根(羽根2)の先端と紙幣先端とが接触する位置関係にある場合には、紙幣先端と先行する羽根(羽根1)との距離が最も大きくなる。この場合、速度ばらつきや紙幣変形による羽根の先端間距離Pのばらつきを考慮しても、紙幣収納庫3の直前で羽根1と羽根2の間に紙幣が確実に入り込むようなVおよびVの速度条件を以下のように決定する。
【0052】
まず、最小の紙幣搬送速度V、最大の搬送ベルト速度Vは、次式で表すことができる。
=VMS−ΔV
=VWS+ΔV・・・(1)
ここで、VMSは図示しない速度制御手段に設定される紙幣搬送設定速度、VWSは搬送ベルト設定速度を示し、ΔV、ΔVは各速度のばらつき量の最大値を示している。
【0053】
紙幣が、羽根の落下地点から紙幣収納庫3の直前までの搬送区間Lを進む時間をTとする。紙幣が羽根間に入る最も厳しい条件は、搬送ベルト速度Vが最も速く、紙幣搬送速度Vが最も遅い場合であるから、紙幣先端が羽根間に入り込むには、上記時間Tで次の関係を満足する必要がある。
(紙幣が進む距離)−(羽根1が進む距離)>(羽根先端間距離P) ・・・(2)
これは、時間Tで紙幣が先行する羽根1を追い越す条件(羽根間に入り込む条件)である。
【0054】
羽根先端間距離Pのばらつきが最も大きくなった場合をPmaxとして、(2)を数式化すると次式が得られる。
・T−V・T>Pmax ・・・(3)
【0055】
T=L/Vより、搬送ベルト設定速度VWSの満たすべき条件は次式となる。
WS+ΔV<(L−Pmax)・(VMS−ΔV)/L ・・・(4)
【0056】
(4)式において搬送ベルトの速度ばらつきの最大を設定速度のα%、紙幣搬送速度の速度ばらつきの最大を設定速度のβ%とすると、次式が得られる。
WS<(100−β)/(100+α)・(L−Pmax)・VMS/L ・・・(5)
【0057】
一方、図13に示すように、紙幣下に入る羽根(羽根1)の先端と紙幣先端とが接触する位置関係にある場合には、下側の羽根(羽根1)との距離が最も近いため、紙幣収納庫3の直前の搬送区間Lで入り込み量が最も大きくなる。この場合、速度ばらつきを考慮しても、紙幣先端と羽根根元が干渉しないようなVおよびVの速度条件を以下のように決定する。
【0058】
まず、最大の紙幣搬送速度V、最小の搬送ベルト速度Vは、次式で表すことができる。
=VMS+ΔV
=VWS−ΔV・・・(6)
ここで、VMSは図示しない速度制御手段に設定される紙幣搬送設定速度、VWSは搬送ベルト設定速度を示し、ΔV、ΔVは各速度のばらつき量の最大値を示している。
【0059】
紙幣が、羽根の落下地点から紙幣収納庫3の直前までの搬送区間Lを進む時間をTとし、羽根速度(搬送ベルト速度V)の切り替わりに要する時間をΔTとする。紙幣が羽根間に入る最も厳しい条件は、羽根速度Vが最も遅く、紙幣速度Vが最も速くなるようにばらついた場合であるから、紙幣が羽根根元と接触・干渉しない条件は、次の関係を満足することである。
(時間T+ΔT間に紙幣が進む距離)−(時間T+ΔT間に羽根1が進む距離)<(羽根長さL) ・・・(7)
【0060】
羽根速度Vが切り替わる時間ΔT間の平均羽根速度をVWΔTとして数式化すると次式が得られる。
・(T+ΔT)−(V・T+VWΔT・ΔT)>L ・・・(8)
ここで、T=L/V、VWΔT=(V+V)/2
【0061】
したがって、(6)式、(8)式より
WS−ΔV<[2・(L−L)+(VMS+ΔV)・ΔT]/[2・L+(VMS+ΔV)・ΔT]・(VMS+ΔV) ・・・(9)
【0062】
(9)式において搬送ベルトの速度ばらつきの最大を設定速度のα%、紙幣搬送速度の速度ばらつきの最大を設定速度のβ%とすると、次式が得られる。
WS<(100+β)/(100−α)・VMS・{[2・(L−L)+(100+β)・VMS・ΔT]/[2・L+(100+β)・VMS・ΔT]} ・・・(10)
【0063】
したがって、(5)式、(10)式を同時に満足するように設定速度VWSおよびVMSを設定し、これら設定速度に基づいて駆動側プーリ15とフィードローラ8を制御する。こうすることで、紙幣先端と羽根根元とが干渉しないように、羽根間の奥まで紙幣先端を入れ込むことが可能となり、紙幣先端と収納紙幣との干渉による集積の不具合を防止することができる。
【0064】
以上説明したように、紙幣搬送速度Vおよび搬送ベルト速度Vの速度差を、紙幣と羽根が動作する紙幣収納庫3の直前の搬送区間Lなどの羽根と紙幣先端との位置関係に応じて適宜設定することにより、たとえ羽根が紙幣先端より遠い位置にある場合であっても、速度差によって紙幣が羽根に追い付くことで、紙幣先端を羽根間の奥まで確実に入れることが可能となる。
【0065】
また、従来の紙幣収納装置においては、図10(b)の中央図に示すように、紙幣上面に羽根が接触した場合に、紙幣下に羽根がないと羽根間(同右図の斜線部60)に紙幣が入り込めない。しかし、本発明の紙幣収納装置200によれば、図10(c)に示すように、紙幣の先端が搬送区間Lにある場合に、紙幣搬送速度V>羽根速度Vのように設定することで、羽根が紙幣より遅く進むため、紙幣が先行する羽根に追い付き、羽根間へ紙幣が入り込むことができる。
【0066】
上記の実施例2において、図11に示すように、紙幣搬送速度Vと羽根速度Vに速度差を付けると、紙幣収納庫3の直前の搬送区間Lで紙幣が羽根間に入り込むことが可能となる。一方で、この速度差のまま搬送を続けた場合、紙幣先端が紙幣収納庫3で羽根奥側にさらに入り込み、図11の右側図に示すように、紙幣先端が羽根根元と衝突して負荷を受け、座屈等が発生して集積状態が乱れるおそれがある。そこで、紙幣先端が紙幣収納庫3側に進入するタイミングを入金検知センサで検知して、このタイミングで羽根速度Vを紙幣搬送速度Vと同じ速度に変える制御を行ってもよい。
【0067】
この場合、図12(a)、(b)に示すように、入金検知センサを紙幣収納庫3と搬送区間Lの境界に設置し、紙幣先端が搬送区間Lにある間は、搬送ベルト設定速度VWSを紙幣搬送設定速度VMSよりも低い速度として紙幣を搬送する((a)の左図、(b)のS1)。そして、紙幣先端が紙幣収納庫3へ入り込むタイミングを入金検知センサが検知すると((a)の中央図、(b)のS2)、搬送ベルト設定速度VWSを上げて紙幣搬送設定速度VMSの速度に近づける制御を行う。
【0068】
そして、この速度の切り替えに要する時間ΔTの経過後に、搬送ベルト設定速度VWSを紙幣搬送設定速度VMSと同じ速度として紙幣を搬送する(図12(a)の右図、(b)のS3)。その後、紙幣後端が紙幣収納庫3へ入り込むタイミングを入金検知センサが検知すると、集積を完了するように制御してもよい。
【0069】
[実施例3]
図16および図17に示すように、本発明の実施例3に係る紙幣収納装置300は、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルト11と、搬送ベルト11の搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根12と、搬送ベルト11の下方に設けられ、搬送ベルト11で取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫3と、紙幣収納庫3に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージ4とを備える。
【0070】
この紙幣収納装置300は、搬送ベルト11を紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣をステージ4上に積載された収納紙幣と搬送ベルト11との間に挟みながら紙幣収納庫3に収納するものである。搬送ベルト11は二列配置され、二列の搬送ベルト11間には、紙幣押さえ手段としての押さえ板70が設けてある。
【0071】
この押さえ板70は、図18に示すように、V字状に折れ曲がった板ばねからなり、一方の側縁の支点72で装置300の本体に回転可能に固定され、他方の側縁は自由端としてある。押さえ板70の収納紙幣面に対する傾斜角度は、入金紙幣との衝突負荷を低減するために20〜30°程度に設定してある。
【0072】
押さえ板70を設けることによって紙幣が浮き上がるスペースがなくなり、収納紙幣の浮き上がりを抑制することができる。これにより、ステージ4上に集積した紙幣が羽根12に叩かれていくうちに紙幣の折れ癖が戻ることを抑制し、次入金紙幣との接触・干渉による紙幣詰まりの発生を防止することができる。
【0073】
この押さえ板70は、図19に示すように、入金動作時には入金紙幣と衝突して支点72周りに時計回りに回転し、その位置を退避する。これにより、紙幣の搬送時の抵抗負荷となることを防止することができる。また、出金動作時に退避してキックローラ20による繰り出しの負荷となることを防止することができる。
【0074】
以上説明したように、本発明の請求項1(紙幣収納装置100)によれば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、前記ステージ上に積載された収納紙幣を繰り出し搬送するためのキックローラをさらに備え、前記キックローラと、前記搬送ベルトを駆動する駆動側プーリとを同軸上に配置したので、搬送ベルトの駆動源の小型化や駆動部品数の削減が図れ、小型で安価な紙幣収納装置を提供することができる。また、出金時の紙幣詰まりなどの動作の不具合の発生を防止することができる。
【0075】
また、本発明の請求項5(紙幣収納装置200)によれば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、紙幣を取り込んで前記搬送ベルトに送るフィードローラをさらに備え、紙幣の先端が前記搬送ベルトの前記羽根に係合する直前の区間において、前記羽根の移動速度と前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度とに速度差を設けたので、この速度差を羽根と紙幣先端との位置関係に応じて適宜設定することにより、紙幣先端を羽根間の奥まで確実に入れることが可能となる。したがって、紙幣先端と収納紙幣の干渉による集積動作の不具合の発生を防止することができる。
【0076】
また、本発明の請求項8(紙幣収納装置300)によれば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、前記搬送ベルトは、少なくとも二列配置され、収納紙幣が前記二列の搬送ベルト間で上に凸に変形することを抑制する紙幣押さえ手段を設けたので、紙幣押さえ手段によって収納紙幣が浮き上がるスペースがなくなる。したがって、紙幣が集積後叩かれていくうちに紙幣の折れ癖が戻ることを防止することができる。このため、紙幣同士の接触による詰まりなどの動作の不具合の発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明に係る紙幣収納装置は、紙幣を一枚ずつ取り込み、それを積み重ねて収納する一方、収納してある紙幣を繰り出す紙幣収納装置に有用であり、特に、動作の不具合の発生を防止するのに適している。
【符号の説明】
【0078】
3 紙幣収納庫
4 ステージ
6 紙幣出入り口(入金口、出金口)
8 フィードローラ
9 羽根車
9b 叩き羽根
11 搬送ベルト
12 羽根
15 駆動側プーリ
16 補助プーリ
18 案内部材
50 ワンウェイクラッチ
52 軸
54 ベアリング
56 側板
70 押さえ板(紙幣押さえ手段)
72 支点
100 紙幣収納装置(実施例1)
200 紙幣収納装置(実施例2)
300 紙幣収納装置(実施例3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、
前記ステージ上に積載された収納紙幣を繰り出し搬送するためのキックローラをさらに備え、
前記キックローラと、前記搬送ベルトを駆動する駆動側プーリとを同軸上に配置したことを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項2】
前記駆動側プーリとキックローラの双方を紙幣出入り口の近傍に配置したことを特徴とする請求項1に記載の紙幣収納装置。
【請求項3】
前記駆動側プーリを紙幣の取り込み搬送時に回転させ、紙幣の繰り出し搬送時に空転させるワンウェイクラッチをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣収納装置。
【請求項4】
紙幣の取り込み搬送時に、前記駆動側プーリと前記キックローラとを入金方向に回転させる一方で、紙幣の繰り出し搬送時に、前記ステージを上昇させて収納紙幣を前記キックローラに接触させ、前記キックローラを出金方向に回転させる制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の紙幣収納装置。
【請求項5】
紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、
紙幣を取り込んで前記搬送ベルトに送るフィードローラをさらに備え、
紙幣の先端が前記搬送ベルトの前記羽根に係合する直前の区間において、前記羽根の移動速度と前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度とに速度差を設けたことを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項6】
前記紙幣の先端の位置を検知するセンサを有し、このセンサの検知に応じて前記羽根の移動速度と前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度の少なくとも一方を変化させる速度制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の紙幣収納装置。
【請求項7】
前記紙幣収納庫の前面側に、前記羽根の移動速度を前記フィードローラによる紙幣の取り込み搬送速度よりも遅くする区間を設けたことを特徴とする請求項5または6に記載の紙幣収納装置。
【請求項8】
紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトの搬送面に揺動自在に設けられ、取り込み搬送する紙幣の先端と係合可能な複数の羽根と、前記搬送ベルトの下方に設けられ、前記搬送ベルトで取り込んだ紙幣を収納する紙幣収納庫と、前記紙幣収納庫に設けられ、取り込んだ紙幣を積載するステージとを備え、前記搬送ベルトを紙幣の取り込み搬送速度に合わせて駆動し、取り込み紙幣を前記ステージ上に積載された収納紙幣と前記搬送ベルトとの間に挟みながら前記紙幣収納庫に収納する紙幣収納装置において、
前記搬送ベルトは、少なくとも二列配置され、
収納紙幣が前記二列の搬送ベルト間で上に凸に変形することを抑制する紙幣押さえ手段を設けたことを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項9】
前記紙幣押さえ手段は、紙幣の繰り出し搬送時に退避動作可能であることを特徴とする請求項8に記載の紙幣収納装置。
【請求項10】
前記紙幣押さえ手段は、板ばね状の押さえ板からなることを特徴とする請求項8または9に記載の紙幣収納装置。
【請求項11】
前記押さえ板の紙幣面に対する傾斜角度を30°程度としたことを特徴とする請求項10に記載の紙幣収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−60183(P2011−60183A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211673(P2009−211673)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】