説明

紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法

【課題】安定して紙葉類のデータを取得することが出来る紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供する。
【解決手段】紙葉類処理装置1は、基準データを予め記憶し、紙葉類10を搬送し、基準色部材34を使用類の搬送エリアを外れて設け、搬送される前記紙葉類10及び前記基準色部材34に投光し、前記基準色部材34により反射された反射光を受光して電気信号に変換して比較データを取得し、前記紙葉類10により反射された反射光を受光して電気信号に変換して紙葉類データを取得し、比較データと、記憶している基準データとから補正値を算出し、算出した補正値により、紙葉類データを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、搬送される紙葉類の鑑査を行なう紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有価証券、または紙幣などの紙葉類を計数及び鑑査し、この鑑査結果に応じて施封処理や裁断処理を行なう機器本体と、この機器本体とUSBもしくはLANなどのケーブルにより接続され、上記機器本体の計数情報を管理する管理端末とからなる紙葉類検査装置(紙葉類処理装置)が実用化されている。
【0003】
このような紙葉類処理装置では、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、取り込んだ紙葉類を搬送ベルトによって挟持して読取装置に搬送し、この読取装置により紙葉類の表面から読み取った情報に基づいて、紙葉類を区分して集積する。
【0004】
紙葉類処理装置の読取装置として、紙葉類に対して光を投光し、紙葉類の表面により反射された反射光を受光してデータ(紙葉類の画像)を取得するものがある。しかし、例えば、ランプの光量が低下して、読み取った画像が全体的に暗くなる場合がある。そこで、紙葉類の画像を安定して取得する為に、紙葉類に摺接する位置に設置された白色の基準となる標準白色板(基準色部材)と、この標準白色板から読み取った画像を白色の基準として紙葉類の画像を補正するAuto Gain Control(AGC)回路とを備えた紙葉類処理装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−72594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の紙葉類処理装置は、標準白色板が搬送される紙葉類に摺接する位置に設置されている為、紙葉類の表面のインクが標準白色板に付着してしまい、安定してデータを取得することが出来ない場合があるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の一形態は、上記した問題点を解決するものであり、安定して紙葉類のデータを取得することが出来る紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、基準データを予め記憶している記憶手段と、紙葉類を搬送する搬送手段と、前記搬送手段による紙葉類の搬送エリアを外れて設けられた基準色部材と、前記搬送手段により搬送される紙葉類及び前記基準色部材に投光する光源と、前記基準色部材により反射された反射光を受光して電気信号に変換して比較データを取得する第1の取得手段と、前記紙葉類により反射された反射光を受光して電気信号に変換して紙葉類データを取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段により取得した前記比較データと、前記記憶手段により記憶されている前記基準データとから補正値を算出する補正値算出手段と、前記補正値算出手段により算出した補正値により、前記第2の取得手段により取得した前記紙葉類データを補正する補正手段とを具備する。
【0008】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理方法は、基準データを予め記憶し、紙葉類を搬送し、前記紙葉類の搬送エリアを外れて基準色部材を設け、前記搬送される紙葉類及び前記基準色部材に投光し、前記基準色部材により反射された反射光を受光して電気信号に変換して比較データを取得し、前記紙葉類により反射された反射光を受光して電気信号に変換して紙葉類データを取得し、前記基準色部材から取得した前記比較データと、前記予め記憶されている前記基準データとから補正値を算出し、前記算出した補正値により、前記紙葉類から取得した前記紙葉類データを補正する。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一形態によれば、安定して紙葉類のデータを取得することが出来る紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法について詳細に説明する。
【0011】
図1は、紙葉類処理装置1の構成例を概略的に示す図である。紙葉類処理装置1は、例えば、サイズや図柄などが異なる複数種類の紙葉類(ここでは、各紙葉類は長方形状であるものとする)が一括して投入され、投入された全ての紙葉類の画像を取得し、取得した画像に基づいて各紙葉類の種別を判定し、各紙葉類を種別ごとに分類して集積などの処理を行うものである。
【0012】
紙葉類処理装置1は、第1モジュール1Aと第2モジュール1Bと第3モジュール1Cとから構成されているものとする。第1モジュール1Aは、主に、オペレータによる操作、紙葉類の取出し、紙葉類に対する検査及び鑑査などを行うものである。第2モジュール1Bは、主に、紙葉類の集積及び施封を行うものである。第3モジュール1Cは、主に、紙葉類の集積、施封、及び裁断を行うものである。
【0013】
紙葉類処理装置1には、複数の紙葉類が一括投入される投入部35が設けられている。この投入部35は、全ての紙葉類の長手方向に沿った下端辺(一方の長端辺)をステージに当接せしめて整位するとともに、ステージに沿って紙葉類の面方向に図示しないバックアッププレートを移動せしめる。これにより、投入部35内の紙葉類は、取出し部35aへ移動する。この取出し部35aは、一対の取出しローラにより構成される。この一対の取出しローラが回転すると、ステージ上の紙葉類は、端のものから順に搬送手段としての搬送路36上に取出される。この搬送路36は、主搬送路36aと、その主搬送路36aから各ゲートG(G11、G21、G22、G51、G52、G53)により分岐される複数の分岐搬送路36b〜36hとにより構成される。
【0014】
また、紙葉類処理装置1は、装置内部に制御部11を具備している。制御部11は、当該紙葉類処理装置1の全体の制御を司るものであり、CPU、CPUの作業領域として機能するRAMなどのバッファメモリ、CPUが実行する種々のプログラムや制御データなどが記憶されているROMなどのプログラムメモリ、あるいは不揮発性メモリなどから構成される。制御部11は、CPUがプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現している。例えば、制御部11は、紙葉類に対する処理の実行、停止、再開などの動作を制御する。また、制御部11は、例えば集計装置などの外部機器とのデータ通信などを行う。
【0015】
投入部35直後の主搬送路36a上には、図示しない整列整位部が設けられている。整列整位部は、取出し部35aにより主搬送路36a上に取出された紙葉類のスキューやシフトに起因した不具合を防止するため、各紙葉類のスキューおよびシフトを補正するものである。さらに、整列整位部直後の主搬送路36a上には、紙葉類の種類、表裏、天地、汚れや破損の有無等の特徴を検出する検査ユニット37が設けられている。この検査ユニット37は、例えば、光学検知部37aなどの複数の検査部を有する。光学検知部37aは、搬送されている紙葉類を撮像することにより紙葉類の画像を取得する機能を有し、例えば、Charge−Coupled Device(CCD)などを具備している。
【0016】
また、検査ユニット37は、各検査部による検出結果を制御部11へ出力する。制御部11は、検査ユニット37によって紙葉類の画像を取得し、取得した画像に基づいて紙葉類の検査を行なう。即ち、制御部11は、紙葉類が正券か損券か排除券かを判別する。また、制御部11は、正券と判別した紙葉類をどの集積装置に集積するかを判定するため、正券と判別した紙葉類の種類などを判別する。さらに、制御部11は、集積、及び裁断した紙葉類の種類毎の枚数を計数する計数処理を行なう。
【0017】
検査ユニット37より下流側の主搬送路36a上には、制御部11による制御に基づいて紙葉類の搬送方向を選択的に切換えるための複数のゲートG11、G21、G22、G51、G52、G53が設けられている。
【0018】
最も上流側に設けられたゲートG11は、紙葉類の搬送方向を主搬送路36aから分岐搬送路36bとしての排除搬送路へ分岐するものである。このゲートG11を介して分岐された分岐搬送路36bの終端には、排除すべき紙葉類を排除集積するためのリジェクト部Rejが設けられている。
【0019】
このリジェクト部Rejへ搬送される排除すべき紙葉類とは、制御部11により2枚取りが判定された紙葉類などの後段の処理部における処理が不可能であることが判定された紙葉類、及び所定のレベルを超えて大きくスキューしたことが判定された紙葉類などである。また、制御部11により偽券の可能性があると判定された紙葉類、或は検査ユニット37において特徴量が検出されなかった紙葉類もリジェクト部Rejへ排除される。リジェクト部Rejは、投入部35の近傍に配置され、外部からのアクセスが可能となっている。
【0020】
また、ゲートG11の下流側の主搬送路36a上には、ゲートG21、G22、G51、G52、G53が順に設けられている。ゲートG21は、主搬送路36a上を搬送される紙葉類を集積装置A1への分岐搬送路36cの方向へ分岐搬送させるものである。ゲートG22は、主搬送路36a上を搬送される紙葉類を集積装置A2への分岐搬送路36dの方向へ分岐搬送させるものである。ゲートG51は、主搬送路36a上を搬送される紙葉類を集積装置B1への分岐搬送路36eの方向へ分岐搬送させるものである。ゲートG52は、主搬送路36a上を搬送される紙葉類を集積装置B2への分岐搬送路36fの方向へ分岐搬送させるものである。また、ゲートG53は、主搬送路36a上を搬送される紙葉類を損券集積部Audへの分岐搬送路36g、あるいは裁断処理部SDへの分岐搬送路36hの何れかに選択的に振り分けるものである。
【0021】
各集積装置A1、A2、B1、B2は、それぞれ施封処理部41、帯収納部42、及び収納部43を有している。施封処理部41には、主搬送路36aから分岐搬送された紙葉類が所定数に達するまで各紙葉類を順次集積する。施封処理部41は、紙葉類が所定数に達した場合、帯収納部42に収納されている帯を用いて所定数に達した紙葉類を束ねる。この帯により束ねられた所定数の紙葉類を1束に束ねる。収納部43は、施封処理部41により1束に把ねられた紙葉類を順次収納するものである。通常、収納部43に収納された段階で当該紙葉類の数が確定する。
【0022】
また、制御部11により損券と判定された紙葉類は、主搬送路36a上を搬送されて各ゲートG21、G22、G51、及びG52を通過し、ゲートG53へ至る。ゲートG53に至った紙葉類は、ゲートG53により選択的に損券集積部Audあるいは裁断処理部SDへ搬送される。裁断処理部SDは、損券と判定された紙葉類を裁断するものであり、損券集積部Audは、損券と判定された紙葉類の一部を集積し、集積した紙葉類が損券とすべき券であったか否かを検査するものである。
【0023】
裁断処理部SDは、搬送されてきた紙葉類を全て裁断するものである。これに対して、損券集積部Audは、搬送されてきた紙葉類が損券として真に処理すべき券(本当に損券として処理すべき汚い紙葉類)であるか否かを検査するものである。例えば、損券集積部Audへの集積率を10%とする場合、損券集積部Audには、100枚中10枚の紙葉類が集積される。
【0024】
また、主搬送路36a及び各分岐搬送路36b〜36h上には、複数の検知センサP(P11〜P18、P21〜P24、P51〜P56、SD1A、及びSD1B)が設けられている。各検知センサPは、搬送路36上の紙葉類の有無を検知するものである。各検知センサPの検知出力は、制御部11へ供給されるようになっている。従って、制御部11は、各検知センサPからの検知出力に基づいて搬送路36内の紙葉類の位置を判断したり、紙葉類処理装置1内のジャムなどの搬送異常を判断したりできるようになっている。
【0025】
さらに、紙葉類処理装置1には、投入部35近傍に、表示部としてのディスプレイパネル38及び操作部としてのオペレーションパネル39が設けられている。ディスプレイパネル38には、オペレータに対する操作案内、あるいは処理状況などを表示される。また、オペレーションパネル39は、オペレータが操作指示を行うものである。
【0026】
制御部11は、搬送路36、ゲートG、取出し部35a、集積装置A1、A2、B1、B2あるいは裁断処理部SDなどの各部の駆動機構(図示しない)に接続され、各部の動作を制御するようになっている。また、検知センサP、ディスプレイパネル38、オペレーションパネル39なども制御部11に接続されて制御されている。
【0027】
図2及び3は、図1に示す検査ユニット37の一部の構成を概略的に説明するための説明図である。図2は、光学検知部37aの設置位置付近の搬送路36aを上部から見た図である。図3は、光学検知部37aの設置位置付近の搬送路36aを側部から見た図である。
図2及び図3に示す様に、検査ユニット37は、搬送路36a、光学検知部37a、ベース32、ガイド33、及び、標準白色板34などを具備している。光学検知部37aは、光源12、および、CCD13などを具備している。
【0028】
光源12は、ハロゲンランプなどの照明装置であり、搬送路36a上の所定の領域に対して投光する。CCD13は、受光した光を電気信号に変換する画素を複数備えており、搬送路36a上の所定の領域を順次撮像することにより、搬送路36aにより搬送される紙葉類10の画像を取得する。即ち、CCD13は、光を受光して各種のデータを取得する取得手段として機能する。光源12、及びCCD13は、図3に示す様に、搬送路36aの上部に設置されている。
【0029】
搬送路36aは、上下1対のベルト、若しくは複数のローラなどにより構成され、紙葉類10を挟み入れて搬送する。ベース32は、搬送路36aに沿うように配置されている。
【0030】
ガイド33は、ベース32に固定され、ベースから紙葉類10の搬送向きに対して垂直な向きで紙葉類10の搬送エリアの先まで延出している。ガイド33は、紙葉類10と対向する面33aを有し、搬送される紙葉類10に摺接して紙葉類10の搬送をガイドするガイド手段である。標準白色板(基準色部材)34は、白色の基準となる標準白色部34aを有し、図2に示す様に、ガイド33の対向面33a側の紙葉類を摺接しない位置、即ち、搬送エリア外に延出した延出端部に設けられている。ガイド33、及び標準白色板34は、図3に示す様に、搬送路36aの下部に設置されている。また、標準白色板34が設けられている対向面33a側に光源12及びCCD13が設置されている。
【0031】
光源12から投光された入射光は、搬送されている紙葉類10、あるいは、標準白色板34の標準白色部34aにより反射される。紙葉類10、あるいは、標準白色板34により反射された反射光は、CCD13により受光され、電気信号に変換される。即ち、紙葉類10により反射された反射光は、紙葉類の画像(紙葉類データ)に変換される。また、標準白色板34により反射された反射光は、白色画像(比較データ)に変換される。制御部11は、後述するCCD13の後段のAGC回路により、取得した白色画像と予め記憶している基準値としての基準白色画像(基準データ)とに基づいて補正値を算出する。
【0032】
図4は、図1に示す光学検知部37aの構成の例を説明するためのブロック図である。図4に示す様に、光学検知部37aは、光源12、CCD13、増幅器(Amp)14、アナログ/ディジタル変換回路(A/D回路)15、シェーディング補正回路16、及び、AGC回路17を具備している。この光学検知部37aの各部は、制御部11により統括的に制御されている。
【0033】
Amp14は、AGC回路17によって算出された増幅率(補正値)に応じてCCD13からの入力信号を増幅して出力信号として出力する。A/D回路15は、入力信号であるアナログ信号をディジタル信号に変換して出力信号として出力する。シェーディング補正回路16は、予め記憶されているCCD13の各画素の特性に基づいて入力信号のムラを補正するシェーディング補正を行なう。AGC回路17は、Amp14において、入力信号のレベルの大小にかかわらず、出力信号のレベルが常に一定になるような増幅率(補正値)を算出して出力する。即ち、AGC回路17は補正値算出手段として機能する。
【0034】
制御部11は、上記したように、その内部に記憶手段としての不揮発性メモリ11aを備えている。この不揮発性メモリ11aには、例えば、真の白色を撮像することにより取得した基準値としての基準白色画像が記憶されている。制御部11は、AGC回路17により補正値を算出する場合、不揮発性メモリ11aに記憶されている基準白色画像と光源12からの入射光が標準白色板34の標準白色部34aにより反射された反射光をCCD13により受光することにより得られた白色画像とに基づいて補正値を算出する。即ち、AGC回路17は、白色画像と、基準白色画像とを比較し、白色画像の基準白色画像に対する利得を算出し、補正値として出力する。
【0035】
上記の処理により算出された補正値は、制御部11の不揮発性メモリ11aに記憶され、紙葉類10の鑑査の際に用いられる。補正値が制御部11の制御によりAmp14に増幅率として入力された場合、Amp14は、紙葉類10から取得した信号を入力された増幅率に基づいて増幅して後段の回路に出力する。即ち、この場合、制御部11は補正手段として機能する。
【0036】
なお、基準色部材は白色に限定されない。上記の実施形態では、補正値の算出に基準色部材としての標準白色板34から取得した白色画像と、真の白色の画像である基準白色画像とを用いるとしたが、基準色部材に対応する色の画像が制御部11の不揮発性メモリ11aに記憶されていれば、基準色部材の色は如何なる色であっても、正確な補正値を算出することが出来る。
【0037】
図5は、補正値を算出する場合の紙葉類処理装置1の処理を説明するためのフローチャートである。
【0038】
補正値を算出する場合、制御部11は、光学検知部37aにおいて、光源12を制御することにより、標準白色板34に対して光を投光する(ステップS11)。投光された光は、標準白色板34により反射される。
【0039】
制御部11は、CCD13により標準白色板34により反射された光を受光し、電気信号に変換して白色画像を取得する(ステップS12)。制御部11は、CCD13により取得した白色画像をA/D回路15によりディジタル変換する(ステップS13)。制御部11は、A/D回路15によりディジタル変換された白色画像に対してシェーディング補正回路16によりシェーディング補正を行なう(ステップS14)。
【0040】
制御部11は、不揮発性メモリ11aより基準白色画像を取得する(ステップS15)。制御部11は、取得した基準白色画像をAGC回路17に送信し、AGC回路17により白色画像と基準白色画像とを比較する(ステップS16)。制御部11は、AGC回路17により白色画像と基準白色画像とを比較することにより補正値を算出する(ステップS17)。
【0041】
上述したように、本発明の一実施形態によると、紙葉類処理装置の検査ユニットにおいて、補正値を決定するための標準白色板が紙葉類の搬送エリア外に1つ設置されている。
【0042】
このように紙葉類の搬送エリア外に標準白色板を設置することにより、標準白色板が紙葉類に摺接することなく、且つ、紙葉類にごく近い位置で光源からの光を反射することができる。これにより、標準白色板に紙葉類のインクなどの汚れが付着することを防ぐことが出来る。この結果として、安定して紙葉類のデータを取得することが出来る紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供することができる。
【0043】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0044】
上記の実施形態では、まず補正値を算出し、算出した補正値を記憶しておき、紙葉類の画像を補正する構成としたが、逐次補正値を算出するようにしてもよい。即ち、標準白色板が搬送エリア外に設置されている為、紙葉類を読み取るのと同時に標準白色板を読み取り、紙葉類毎の補正値を算出することができる。これにより、逐次変化する環境に関わらず、紙葉類の画像を安定して取得することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本実施形態に係わる鑑査機本体の構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示す検査ユニットの一部を上部から見た場合の構成を概略的に説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1に示す検査ユニットの一部を側部から見た場合の構成を概略的に説明するための説明図である。
【図4】図4は、図1に示す光学検知部の構成の例を説明するためのブロック図である。
【図5】図5は、補正値を算出する場合の紙葉類処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1…紙葉類処理装置、3…携帯可能電子装置、10…紙葉類、11…制御部、11a…不揮発性メモリ、12…光源、13…CCD、14…Amp、15…A/D回路、16…シェーディング補正回路、17…AGC回路、32…ベース、33…ガイド、34…標準白色板、35…投入部、36…搬送路、37…検査ユニット、37a…光学検知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準データを予め記憶している記憶手段と、
紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による紙葉類の搬送エリアを外れて設けられた基準色部材と、
前記搬送手段により搬送される紙葉類及び前記基準色部材に投光する光源と、
前記基準色部材により反射された反射光を受光して電気信号に変換して比較データを取得する第1の取得手段と、
前記紙葉類により反射された反射光を受光して電気信号に変換して紙葉類データを取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得した前記比較データと、前記記憶手段により記憶されている前記基準データとから補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値算出手段により算出した補正値により、前記第2の取得手段により取得した前記紙葉類データを補正する補正手段と、
を具備する紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記搬送手段によって搬送される紙葉類を摺接してガイドするガイド手段をさらに具備し、
前記基準色部材は、前記ガイド手段の前記紙葉類の搬送エリア外に延出した延出端部に前記取得手段と向かい合って設けられている請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記補正値算出手段は、前記第1の取得手段により取得した前記比較データの前記記憶手段により記憶されている前記基準データに対する利得を補正値として算出する手段を具備する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記基準色部材は、白色の基準となる標準白色部を具備し、
前記記憶手段は、真の白色から取得したデータを前記基準データとして予め記憶する手段を具備する、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段により記憶されている前記基準データは、真の白色の画像であり、
前記第1の取得手段により取得する前記比較データは、前記基準色部材から取得した基準色部材の画像であり、
前記第2の取得手段により取得する前記紙葉類データは、前記紙葉類から取得した紙葉類の画像である、
請求項1乃至4のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
基準データを予め記憶し、
紙葉類を搬送し、
前記紙葉類の搬送エリアを外れて基準色部材を設け、
前記搬送される紙葉類及び前記基準色部材に投光し、
前記基準色部材により反射された反射光を受光して電気信号に変換して比較データを取得し、
前記紙葉類により反射された反射光を受光して電気信号に変換して紙葉類データを取得し、
前記基準色部材から取得した前記比較データと、前記予め記憶されている前記基準データとから補正値を算出し、
前記算出した補正値により、前記紙葉類から取得した前記紙葉類データを補正する、
紙葉類処理方法。
【請求項7】
前記基準色部材から取得した前記比較データの前記基準データに対する利得を補正値として算出する請求項6に記載の紙葉類処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−134594(P2009−134594A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311042(P2007−311042)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】