説明

紙葉類処理装置、方法及びプログラム

【課題】 紙幣カセットからの紙幣の回収タイミングの判断をどの期間でも適切に行うことができる紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】 紙幣処理装置は、紙幣カセットと、紙幣カセットの収納枚数を計数する紙幣計数手段と、紙幣カセットが満杯になったことを検知する満杯検知手段とを有する。また、紙幣処理装置は、満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用期間が異なる複数の閾値を記憶する閾値記憶手段と、満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知のタイミングが属する期間の閾値と、紙幣計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には満杯検知を有効とする満杯検知無効判定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類処理装置、方法及びプログラムに関し、例えば、少なくとも紙幣の取込みを伴う取引を行う自動取引装置(ATM;Automatic Teller Machine)に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
少なくとも紙幣の取込みを伴う取引を行う取引装置としては、金融機関に係るATM、コンビニエンスストア等で利用される釣銭処理装置、駅等に設置されている自動券売機など、多様な装置がある。
【0003】
このような紙幣が取り込まれることがある取引装置は、紙幣が集積される紙幣カセットを備えている。特許文献1は、紙幣カセットに加えて、紙幣カセット内に集積された紙幣の枚数をカウントする集積枚数カウンタと、集積された紙幣が紙幣カセット満杯になったことを検知する検知センサとを有し、集積枚数カウンタによってカウントされた枚数が閾値未満の場合には、検知センサによる紙幣カセットが満杯になったことの検知を無効とする取引装置(釣銭処理装置)を記載している。この取引装置によれば、集積された紙幣に、折り目が付いた紙幣やカールのような癖が付いた紙幣が多く、集積枚数が閾値より少ないのにその枚数の紙幣で占有されている集積長が長くなって検知センサが満杯になったことを検知しても、それを無視して集積枚数が閾値に達するまで集積させるので(センサ検知後に紙幣を集積させても上部側の紙幣の重みでカールや折り目が小さくなって集積させることができる)、紙幣カセットからの紙幣の回収動作若しくは回収作業の頻度を押さえることができる等の効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−200187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の記載技術では、集積枚数カウンタによってカウントされた枚数が閾値未満の場合には、検知センサによる紙幣カセットが満杯になったことの検知を無効とするため、さらなる集積によって、紙幣カセットがそれ以上集積できない状態になっても、集積枚数カウンタによってカウントされた枚数が閾値未満であればさらに集積させようとし、装置をエラー状態にする恐れがある。特に、集積されている紙幣の大半が、印刷されて市場に投入された直後の官封券でなく、しかも、市場に出回っている期間が長くて癖があるものであれば、このような恐れは大きい。
【0006】
そのため、紙葉類収納部からの紙葉類の回収タイミングの判断を適切に行うことができる紙葉類処理装置、方法及びプログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明の紙葉類処理装置は、(1)紙葉類を収納する、紙葉類が投入されることがある紙葉類収納部と、(2)上記紙葉類収納部に収納されている紙葉類の枚数を計数する紙葉類計数手段と、(3)上記紙葉類収納部が紙葉類で満杯になったことを検知する満杯検知手段と、(4)上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用条件が異なる複数の閾値を記憶する閾値記憶手段と、(5)上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、上記閾値記憶手段に記憶されている当該検知のタイミングで適用条件を満足する閾値と、上記紙葉類計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を有効とする満杯検知無効判定手段とを有することを特徴とする。
【0008】
第2の本発明の紙葉類処理方法は、(1)紙葉類を収納する、紙葉類が投入されることがある紙葉類収納部を有すると共に、紙葉類計数手段、満杯検知手段、閾値記憶手段及び満杯検知無効判定手段を有し、(2)上記紙葉類計数手段は、上記紙葉類収納部に収納されている紙葉類の枚数を計数し、(3)上記満杯検知手段は、上記紙葉類収納部が紙葉類で満杯になったことを検知し、(4)上記閾値記憶手段は、上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用条件が異なる複数の閾値を記憶し、(5)上記満杯検知無効判定手段は、上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、上記閾値記憶手段に記憶されている当該検知のタイミングで適用条件を満足する閾値と、上記紙葉類計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を有効とすることを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の紙葉類処理プログラムは、紙葉類を収納する、紙葉類が投入されることがある紙葉類収納部と、上記紙葉類収納部が紙葉類で満杯になったことを検知する満杯検知手段とを有する紙葉類処理装置に搭載されるコンピュータを、(1)上記紙葉類収納部に収納されている紙葉類の枚数を計数する紙葉類計数手段と、(2)上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用条件が異なる複数の閾値を記憶する閾値記憶手段と、(3)上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、上記閾値記憶手段に記憶されている当該検知のタイミングで適用条件を満足する閾値と、上記紙葉類計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を有効とする満杯検知無効判定手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙葉類収納部からの紙葉類の回収タイミングの判断を適切に行うことができる紙葉類処理装置、方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の自動取引装置の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態における紙幣処理部の構成を示す概略側面図である。
【図3】第1の実施形態の自動取引装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態の自動取引装置における、満杯検知センサが満杯を検知したときに、その検知を無効とするか否かを判定する機能に係る機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態の自動取引装置における回収判定用閾値記憶手段の記憶内容を示す説明図である。
【図6】第1の実施形態の自動取引装置における回収判定用閾値の設定動作を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態の自動取引装置における閾値設定用画面を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態の自動取引装置における紙幣カセットの満杯検知時の動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態の自動取引装置とサーバとの接続形態を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態のサーバ及び自動取引装置における、満杯検知センサが満杯を検知したときに、その検知を無効とするか否かを判定する機能に係る機能ブロック図である。
【図11】第3の実施形態の自動取引装置における、満杯検知センサが満杯を検知したときに、その検知を無効とするか否かを判定する機能に係る機能ブロック図である。
【図12】第4の実施形態の自動取引装置における、満杯検知センサが満杯を検知したときに、その検知を無効とするか否かを判定する機能に係る機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置、方法及びプログラムを、自動取引装置(ATM)における紙幣の処理構成に適用した第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る自動取引装置1の外観を示す斜視図である。第1の実施形態の自動取引装置1は、操作部2、紙幣入出金口3、硬貨入出金口4、カード出入口6、通帳出入口7を備えている。
【0014】
操作部2は、表示部とタッチパネル式の入力部とを備え、顧客の操作により各種の入力を行なうと共に、操作ガイダンス等が表示されるものである。なお、特殊な操作手順により、当該自動取引装置1を設置している金融機関の社員だけが入力し得る情報(例えば、後述する紙幣満杯判定用閾値)が存在する。
【0015】
紙幣入出金口3は、紙幣が投入されると共に、紙幣が排出される開口部である。紙幣入出金口3にはシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより紙幣入出金口3が開閉される。紙幣入出金口3は、装置内の破線部で示した後述する紙幣処理部10に接続されている。
【0016】
硬貨入出金口4は、硬貨が投入されると共に、硬貨が排出される開口部である。硬貨入出金口4にもシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより硬貨入出金口4が開閉される。
【0017】
カード出入口6は、取引で使用されるカード(磁気カード、ICカードなど記録方式は問われない;キャッシュカード、クレジットカードなど発行元は問われない)がここから挿入され、取引が終了するとカードが排出される出入り口である。なお、カード出入口6から、取引内容が記載された明細票が排出されることもあり得る。
【0018】
通帳出入口7は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される出入り口である。
【0019】
図2は、上述した紙幣処理部10の構成を示す概略側面図である。なお、図2は、紙幣カセットが4個の例を示しているが、紙幣カセットの数は4個に限定されないものである。例えば、紙幣カセットの数は、当該自動取引装置1が設置される国における紙幣の種類数等に応じて定まるものである。
【0020】
図2において、紙幣処理部10は、上部ユニット10Uと下部ユニット10Dとに分かれている。上部ユニット10Uは、紙幣を投入したり排出したりするための接客ユニット11、紙幣の真偽や種類など判別すると共に、適宜、種類毎の枚数をカウントする紙幣認識ユニット12、搬送路からなる搬送ユニット14、投入され判別が終わり紙幣カセットへの移動待ちの紙幣を一時的に保留する一時保留部13などを有する。下部ユニット10Dには、各金種の紙幣をそれぞれ格納しておく紙幣カセット15a〜15d(但し、同一金種のカセットが複数あっても良い)と、出金用紙幣として補充すべき補充用紙幣を収納したり金種別紙幣カセット15a〜15dのいずれかが満杯になったときなどに回収用紙幣を取り込んで収納したりする補充回収収納部16、紙幣入出金口3へと出金された紙幣を顧客が取り忘れた場合に再び取り込んで収容する取忘れ紙幣収納部17、出金時のリジェクト紙幣などを収容する出金リジェクト収納部18などを有する。
【0021】
各紙幣カセット15a〜15dにはそれぞれ、当該カセットが紙幣でほぼ満杯になったことを検知する満杯検知センサ19a〜19dが設けられている。満杯検知センサ19a〜19dは、例えば光電センサでなり、投光部と受光部とを結ぶ経路上に紙幣が位置することで投光部からの光線が遮断されることにより満杯を検知するものである。ここで、満杯検知センサ19a〜19dが検知する紙幣カセット15a〜15dの上下方向の位置は、例えば、その位置より上方に、紙幣入出金口3に投入可能な最大枚数(例えば150枚)程度の紙幣を紙幣カセット15a〜15d内に追加して集積することができるような位置に選定されている。なお、満杯検知センサ19a〜19dは光電センサに限定されず、他の物理的な構成のセンサを適用しても良い。例えば、所定位置に設けられたアクチュエータが最上部の紙幣に接したか否かで検知するものであっても良い。
【0022】
図3は、第1の実施形態の自動取引装置1における制御系の構成を示すブロック図である。図3において、自動取引装置1は、各部の制御を司る主制御部20と、上述した操作部2、キャッシュカード等のカードに記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を音声出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトや通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を明細票に印字して排出する明細票処理部24、紙幣の取込みや排出を制御する上述した紙幣処理部10、硬貨の取込みや排出を制御する硬貨処理部25を有する。また、自動取引装置1は、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部としてのメモリ部28、図示しない当該金融機関のホストコンピュータとのインタフェースを制御するインタフェース部29を有する。
【0023】
主制御部20は、例えば、主にマイクロコンピュータなどで構成されており、当該自動取引装置1の動作全体を制御するものである。メモリ部28は、例えば、プログラムメモリやワーキングメモリや設定データメモリでなる。主制御部20(マイクロコンピュータ)は、プログラムメモリに格納されているプログラムや設定データメモリに設定されているデータに従い、ワーキングメモリを、情報を一時的に記憶するメモリとして用いながら、各部を制御する。なお、主制御部20は、現在の日時を特定できるタイマ20aを内蔵している。
【0024】
メモリ部28に記憶されているプログラムとしては、回収判定用閾値の設定プログラム28aや満杯検知時プログラム28bなどがある。メモリ部28に記憶されている設定データとしては回収判定用閾値のデータ28cがある。メモリ部28に記憶されている作業データ(ワーキングデータ)としては各紙幣カセット15a〜15d内の紙幣の集積枚数のデータ28dがある。
【0025】
図4は、満杯検知センサ19a〜19dのいずれかが満杯を検知したときに、その検知を無効とするか否かを判定する機能に係る機能ブロック図である。図4は、ある1個の紙幣カセットに関して示している。自動取引装置1は、図4に示した機能面から眺めると、満杯検知手段30、集積枚数カウンタ31、回収判定用閾値記憶手段32及び満杯検知無効判定手段33を有する。
【0026】
満杯検知手段30は、満杯検知センサ(19a〜19d)が該当するものであり、対象となっている紙幣カセット(15a〜15dのいずれか)が満杯になったことを検知するものである。
【0027】
集積枚数カウンタ31は、対象となっている紙幣カセットに集積されている紙幣の枚数をカウントするものである。集積枚数カウンタ31は、例えば、主制御部20及びメモリ部28が該当し、紙幣の取込み処理(入金取引や現金による振込取引等)では主制御部20が紙幣認識ユニット12からの認識結果の情報に基づいて投入枚数をカウントしてメモリ部28の紙幣の集積枚数を増加更新させ、紙幣の排出処理(出金取引等)では主制御部20が排出額で定まる排出枚数を決定してメモリ部28の紙幣の集積枚数を減少更新させる。なお、他の構成を適用しても良い。例えば、紙幣カセットの分離繰り出しローラの近傍に設けられた、通過方向を含めて紙幣の通過を検出するセンサと、取込み方向(集積方向)へのセンサ出力がある毎に1インクリメントすると共に排出方向へのセンサ出力がある毎に1デクリメントするカウンタとで集積枚数カウンタ31を構成するようにしても良い。
【0028】
回収判定用閾値記憶手段32は、満杯検知手段30が検知したときにおいて、その検知を無効とするか否かを判定するために、集積枚数カウンタ31の値と比較される閾値を記憶しているものである。回収判定用閾値記憶手段32は、例えば。上述したメモリ部28が該当し、主制御部20が回収判定用閾値の設定プログラム28aを実行することにより、閾値を記憶させるものである。第1の実施形態の場合、閾値は1種類ではなく、1年間を複数に分けた期間毎に、回収判定用閾値記憶手段32に閾値が記憶されている(後述する図5参照)。
【0029】
第1の実施形態の場合、閾値を設定可能なものであるが、複数の閾値の設定が固定なものであっても良い(後述する図5の閾値(の内容)が自動取引装置1の出荷時に固定的に記憶されていても良い)。
【0030】
満杯検知無効判定手段33は、満杯検知手段30が検知したときに、集積枚数カウンタ31の値とその検知のタイミングで適用することが定まっている閾値とを比較して、満杯検知手段30の検知を無効とするか否かを判定するものである。満杯検知無効判定手段33は、例えば、主制御部20及びメモリ部28が該当し、主制御部20が満杯検知時プログラム28bを実行することにより、満杯検知手段30の検知を無効とするか否かを判定する。
【0031】
図5は、回収判定用閾値記憶手段32の記憶内容、すなわち、閾値の設定内容を示す説明図である。図5は、中華人民共和国の国内に設置される自動取引装置1の場合の例を示している。
【0032】
図5の例では、1月1日〜1月31日、3月1日〜9月30日、11月1日〜12月31日を通常期間とし、通常期間の閾値として2,000枚を割り当てている。また、2月1日〜2月28日(うるう年は2月29日)を春節(旧暦元旦)に係る期間(以下、春節期間と呼ぶ)とし、春節期間の閾値として3,000枚を割り当てている。さらに、10月1日〜10月31日を国慶節(建国記念日)に係る期間(以下、国慶節期間と呼ぶ)とし、国慶節期間の閾値として3,000枚を割り当てている。春節期間や国慶節期間の閾値の枚数を通常期間より多くしているのは、春節期間や国慶節期間は市場に投入される官封券の枚数が通常期間より多く、紙幣カセットに集積可能な枚数が平均的に見て通常期間より多くなっていることに基づいている。
【0033】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る自動取引装置1の動作を、回収判定用閾値の設定動作、紙幣カセットの満杯検知時の動作の順に説明する。
【0034】
図6は、第1の実施形態の自動取引装置1における回収判定用閾値の設定動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、回収判定用閾値の設定プログラム28aの内容と見ることもできる。
【0035】
例えば、金融機関の社員が金融機関の営業時間外において、回収判定用閾値の設定動作を起動させるための特殊な操作を自動取引装置1の操作部2に対して実行した場合に、主制御部20は、図6に示す回収判定用閾値の設定処理を開始する。このような一連の特殊な操作の中には、例えば、自己が正規の社員であることを認証させる操作なども含まれる。なお、操作部2に対する操作に代え、携帯形の保守端末を自動取引装置1に接続させ(無線、有線を問わない)、保守端末に対して、回収判定用閾値の設定動作の起動操作を行うようにしても良い。
【0036】
主制御部20は、図6に示す処理を開始すると、まず、紙幣カセットの特定パラメータCSを4種類中の第1の紙幣カセットを指示する値(ここでは「1」)とした後(ステップS100)、図7に示す閾値設定用画面PIC1を操作部2の表示部に表示させ(ステップS101)、設定された回収判定用閾値を取り込み(ステップS102)、特定パラメータCSで特定されている紙幣カセットの回収判定用閾値(図4の符号28c参照)としてメモリ部28に格納する(ステップS103)。
【0037】
閾値設定用画面PIC1は、通常期間の閾値の入力フィールドF1、春節期間の閾値の入力フィールドF2、国慶節期間の閾値の入力フィールドF3と、登録アイコンA1、取消アイコンA2とを含み、また、「100元券カセット(この部分は対象となっている紙幣カセットの種類によって変化する部分である)の回収判定用閾値を設定して下さい」というガイダンスメッセージ(本来は中国語で表記されているが、当該明細書が日本語の明細書であるため、図7では日本語で表記している)が記述されている。金融機関の係員は、入力フィールドF1〜F3のそれぞれに、今、設定対象となっている紙幣カセットについて回収判定用閾値を入力した後、登録アイコンA1を操作する(ステップS102参照)。なお、図6では省略しているが、取消アイコンA2が操作された場合には、例えば、現在表示されている画面の一つ前の表示画面に戻る。閾値設定用画面PIC1が表示された直後の入力フィールドF1〜F3は、空欄であっても良く、予め定まっている初期値が表示されていても良く、直前の設定値が表示されていても良い。いずれかの値が表示されている場合であれば、その値を修正させる形で値を入力させることとなる。
【0038】
主制御部20は、ある紙幣カセットについて、回収判定用閾値の取込み、格納が終了すると、全ての紙幣カセットについて、回収判定用閾値の取込み、格納が終了したか否かを判別する(ステップS104)。図6の場合であれば、特定パラメータCSが「4」になっているか否かを判別することになる。
【0039】
全ての紙幣カセットについて、回収判定用閾値の取込み、格納が終了していない場合には、主制御部20は、紙幣カセットの特定パラメータCSを4第2の紙幣カセットを指示する値(ここでは「2」)にした後(ステップS105)、上述したステップS101に戻る。
【0040】
一方、全ての紙幣カセットについて、回収判定用閾値の取込み、格納が終了した場合には、主制御部20は、終了した旨を所定時間だけ表示させた後(ステップS106)、図6に示す一連の処理を終了する。
【0041】
ここで、図6では、4種類の紙幣カセット毎に回収判定用閾値を設定する場合を示しているが、回収判定用閾値を全ての紙幣カセットに共通なものとし、共通な回収判定用閾値の設定動作を行うようにしても良い。
【0042】
次に、第1の実施形態の自動取引装置1における紙幣カセットの満杯検知時の動作を説明する。図8は、紙幣カセットの満杯検知時の動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、満杯検知時プログラム28bの内容と見ることもできる。また、図8は、満杯検知センサ19a〜19dの状態を読みにいく状態から示している。
【0043】
例えば、顧客が紙幣入出金口3に投入した紙幣を、紙幣カセット15a〜15bに移動する処理を伴う取引が実行された際に、適宜、図8に示す処理が実行される。このような取引としては、入金取引や現金による振込取引等がある。入金取引の場合であれば、顧客によって紙幣入出金口3に投入された紙幣は、紙幣入出金口3から順次繰出され、紙幣認識ユニット12を介して金種などの認識が行われた後、一時保留部13に搬送されて保留される。全ての紙幣に対する金種認識などが終了すると、各金種の投入枚数などで定まる入金総額を、主制御部20は操作部2の表示部に表示させ、顧客に入金するかの最終確認をさせる。顧客が最終確認にかかるアイコンを操作すると、主制御部20は、一時保留部13に保留されている紙幣をそれぞれ、その紙幣に係る紙幣カセット15a〜15dに搬送して集積させる。このような集積時には、主制御部20は、紙幣カセット15a〜15d内の紙幣の集積枚数のデータ28dも適宜更新する。
【0044】
以上のような紙幣の搬送、集積が終了すると、主制御部20は、図8に示す処理部分に入る。そしてまず、主制御部20は、全ての満杯検知センサ19a〜19dの状態を読みにいき(ステップS150)、満杯を検知したセンサが1つでもあるか否かを判別する(ステップS151)。
【0045】
全ての満杯検知センサ19a〜19dが満杯を検知していない場合であれば、図8に示す処理部分を直ちに終了する。
【0046】
これに対して、満杯を検知した満杯検知センサが一つでもあれば、主制御部20は、満杯を検知したある満杯検知センサに対応した紙幣カセットを処理対象に設定した後(ステップS152)、メモリ部28から、その処理対象の紙幣カセットの集積枚数と回収判定用閾値とを取り出し(ステップS153)、2つの大小を比較する(ステップS154)。ここで、回収判定用閾値の取出しでは、主制御部20は内蔵するタイマ20aが規定している日時が、通常期間、春節期間、国慶節期間のいずれに属するかを認識した上で、属する期間の閾値を取り出す。なお、上記では、主制御部20がソフト的に大小比較する場合を示したが、コンパレータ回路などのハードウェアによって比較させ、その結果を、主制御部20が取り込むものであっても良い。
【0047】
主制御部20は、集積枚数が回収判定用閾値未満の場合には、満杯検知センサが満杯を検知していても回収フラグをオフとする(ステップS155)。一方、主制御部20は、集積枚数が回収判定用閾値以上の場合には、回収フラグをオンとする(ステップS156)。
【0048】
その後、主制御部20は、満杯を検知した満杯検知センサが他に残っているか否かを判別する(ステップS157)。残っている場合には、主制御部20は、上述したステップS152に戻る。
【0049】
満杯を検知した全ての満杯検知センサに対応した紙幣カセットを処理対象とした処理が終了し、未処理の満杯検知センサが残っていない場合には、主制御部20は、回収フラグがオンの紙幣カセットが存在するか否かを判別する(ステップS158)。回収フラグがオンの紙幣カセットが存在しなければ、主制御部20は、図8に示す処理部分を終了する。一方、回収フラグがオンの紙幣カセットが存在すれば、主制御部20は、回収処理プログラム(図示せず)に移行する(ステップS159)。
【0050】
このような場合には、例えば、主制御部20は、回収フラグがオンの紙幣カセットから、集積枚数の所定割合の枚数の紙幣を、補充回収収納部16へ移動させる。なお、紙幣カセットが自動取引装置1から着脱自在なものであれば、通知動作に基づき、係員が紙幣カセットを離脱させて、紙幣カセットから紙幣を回収するようにしても良い。すなわち、満杯の紙幣カセットからの紙幣の回収方法は、限定されるものではない。
【0051】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、満杯検知センサが満杯を検知したことを有効とするか無効とするかを切り分けるための回収判定用閾値を複数設定できるようにしたので、期間などの特殊性などに応じて、紙幣の回収タイミングの判断を適切に行うことができる。
【0052】
例えば、官封券が多い期間、少ない期間共に、紙幣の回収タイミングの判断を適切に行うことができるようになる。因みに、仮に、期間を問わずに同じ回収判定用閾値を設定した場合には以下のような課題を有するものである。官封券が多い期間を考慮して回収判定用閾値を多めに設定した場合には、官封券が少ない期間で、折り目が付いた紙幣やカールのような癖が付いた紙幣が多く、紙幣カセットが満杯になっても、集積枚数が回収判定用閾値を越えないため、さらに集積させようとし、集積できない状態で集積させようとするため、故障を起こす可能性が高い。逆に、官封券が少ない期間を考慮して回収判定用閾値を少なめに設定した場合には、官封券が多い期間で、官封券が多く集積されていても折り目やカールが激しい紙幣のため、満杯検知センサの光線が遮断されて検知したときに、集積枚数が、少ない回収判定用閾値を越えて満杯と判定されてしまう。このような場合には、さらに上積みされることで折り目やカールが激しい紙幣も平坦に近くなって更なる集積も可能であるにも拘らず、回収動作が実行されてしまう。
【0053】
上記第1の実施形態によれば、上述したいずれの課題も発生させることはない。
【0054】
(A−4)第1の実施形態の変形実施形態
上記第1の実施形態では、春節期間、国慶節期間、通常期間における回収判定用閾値を設定させる場合を示したが、春節期間、国慶節期間、通常期間における回収判定用閾値を装置が固定的に格納しているものであっても良い。
【0055】
上記第1の実施形態では、1年間を春節期間、国慶節期間、通常期間の3つの期間に分けて、回収判定用閾値を設定させる場合を示したが、期間の分割数はこれに限定されず、これより少なくても多くても良い。また、上記第1の実施形態では、各期間が自動取引装置1に固定的に設定されている場合を示したが、金融機関社員などの自動取引装置1に対して設定操作し得る者が期間分割(言い換えると、各期間の開始日及び終了日)を任意に設定した上で、回収判定用閾値を設定できるようにしても良い。
【0056】
上記第1の実施形態では、各期間の回収判定用閾値を値の入力により任意に設定できる場合を示したが、予め用意されている複数の回収判定用閾値の中からいずれかの回収判定用閾値を選択させることで、各期間の回収判定用閾値を設定させるようにしても良い。
【0057】
上記第1の実施形態では、春節期間や国慶節期間の回収判定用閾値として、全区間を通して同じ回収判定用閾値を適用するものを示したが、春節期間や国慶節期間の期間内の経過に応じて適用する回収判定用閾値を、自動取引装置1が自動的に変更させるようにしても良い。例えば、通常期間の閾値として2,000枚、春節期間の閾値として3,000枚が設定された場合において、春節期間の前半(例えば、2月1日〜14日)の閾値として3,000枚を適用すると共に、春節期間の後半(例えば、2月15日〜28日)の閾値として2,500(=(3000+2000)/2)枚を適用するようにしても良い。
【0058】
上記第1の実施形態では、集積枚数と回収判定用閾値との比較を行う直前に、当日がどの期間に属するか(言い換えると、どの回収判定用閾値を適用するか)を確認するものを示したが、当日がどの期間に属するかの確認をその日について1回だけ行って、どの回収判定用閾値を適用するかを設定させるようにしても良い。例えば、自動取引装置1の電源がオンされたときに、当日がどの期間に属するかを確認した上でその期間の回収判定用閾値を閾値レジスタに格納し、集積枚数と回収判定用閾値との比較を行う際には、当日がどの期間に属するかを確認することなく、閾値レジスタに格納されている回収判定用閾値を適用して比較するようにしても良い。
【0059】
上記第1の実施形態では、日にちを単位とした期間毎に適用する回収判定用閾値を切り替えるものを示したが、さらに、時間帯によっても適用する回収判定用閾値を切り替えるようにしても良い。例えば、その日が属する期間の回収判定用閾値が2,000枚に設定されている場合において、顧客が混雑する時間帯(例えば、正午〜午後1時や午後5時〜午後6時)はその設定枚数の1割増し(但し1割増しに限定されるものではない)である2,200枚を回収判定用閾値として適用することとし、顧客が混雑する時間帯では回収動作を通常の時間帯より起動し難いようにしても良い。また、期間による回収判定用閾値の切替えを実行せず、時間帯による回収判定用閾値の切替えだけを行うようにしても良い。
【0060】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による紙葉類処理装置、方法及びプログラムを、自動取引装置における紙幣の処理構成に適用した第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0061】
第2の実施形態に係る自動取引装置1Aは、図9に示すように、同一のサーバ40に複数が収容されているものである。例えば、サーバ40は、金融機関の支店内サーバであって、同一支店における複数の自動取引装置1Aを収容するものであっても良い。また例えば、サーバ40は、金融機関のセンターに設けられたサーバ(ホストコンピュータであっても良い)であって、支店の相違を問わず、複数の複数の自動取引装置1Aを収容するものであっても良い。
【0062】
図10は、金融機関サーバ3及び自動取引装置1Aの機能ブロック図であり、自動取引装置1Aにおけるある満杯検知センサ(例えば、図2の19a〜19d参照)が満杯を検知したときに、その検知を無効とするか否かを判定する機能に係る機能ブロック図である。
【0063】
図10において、自動取引装置1Aは、満杯検知手段30、集積枚数カウンタ31、回収判定用閾値記憶手段32及び満杯検知無効判定手段33に加え、回収判定用閾値受信手段34を有し、一方、サーバ40は、回収判定用閾値設定手段41及び回収判定用閾値送信手段42を有する。
【0064】
サーバ40は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を備え、各種のプログラムを実行したり、各種のデータを格納したりするものである。格納されているプログラムとして、回収判定用閾値を設定させて送信させるプログラム等が設けられ、サーバ40は、回収判定用閾値設定手段41及び回収判定用閾値送信手段42として機能する部分を有する。
【0065】
自動取引装置1Aにおける満杯検知手段30、集積枚数カウンタ31、回収判定用閾値記憶手段32及び満杯検知無効判定手段33は、第1の実施形態と同様なものである。自動取引装置1Aにおける回収判定用閾値受信手段34は、サーバ40から送信された各期間毎の回収判定用閾値を受信して判定用閾値記憶手段32に記憶させるものである。
【0066】
サーバ40における回収判定用閾値設定手段41は、金融機関の社員などのサーバ操作者が設定した各期間毎の回収判定用閾値を取り込むものである。この設定方法は任意であるが、例えば、図6及び図7を参照して上述した方法を適用することができる。回収判定用閾値送信手段42は、設定された各期間毎の回収判定用閾値を、収容している全ての自動取引装置1Aに送信するものである。送信方法は任意であって良く、例えば、同報送信を適用しても良く、また、ポーリング送信を適用しても良い。また例えば、サーバ40はある1つの自動取引装置1Aに送信し、それを受信して記憶した自動取引装置1Aが隣の自動取引装置に送信し、このような隣の自動取引装置への送信を繰り返すこと、全ての自動取引装置に各期間毎の回収判定用閾値を供給させるようにしても良い。
【0067】
以上のように、第2の実施形態の場合、各期間毎の回収判定用閾値をサーバ40に対して設定し、サーバ40が収容している自動取引装置1Aに送信する点が、第1の実施形態と異なっているが、各期間毎の回収判定用閾値を受信して記憶した自動取引装置1Aの動作は、第1の実施形態と同様である。
【0068】
従って、第2の実施形態によっても、期間などの特殊性などに応じて、紙幣の回収タイミングの判断を適切に行うことができる。第2の実施形態によれば、サーバだけに回収判定用閾値を設定すれば良く、自動取引装置のそれぞれに設定する場合に比較して設定作業を容易なものとすることができる。
【0069】
上記では、全ての自動取引装置1Aに対し、同じ回収判定用閾値を送信する場合を説明したが、自動取引装置1Aを複数のグループに分け、各グループについて回収判定用閾値を設定させて、そのグループの自動取引装置1Aに設定された回収判定用閾値を送信して記憶させるようにしても良い。例えば、同一支店に、入金専用の自動取引装置と、入出金対応の自動取引装置とが混在して存在する場合に、入金専用の自動取引装置と、入出金対応の自動取引装置とで、回収判定用閾値を変えて設定させるようにしても良い。
【0070】
上記では、サーバ40に対して回収判定用閾値を設定する場合を説明したが、ある自動取引装置に対して回収判定用閾値を設定し、この自動取引装置が、同一支店内の他の自動取引装置に設定された回収判定用閾値を送信するようにしても良い。
【0071】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による紙葉類処理装置、方法及びプログラムを、自動取引装置における紙幣の処理構成に適用した第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0072】
図11は、第3の実施形態に係る自動取引装置1Bの機能ブロック図であり、第1の実施形態に係る図4との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。図11において、自動取引装置1Bは、満杯検知手段30、集積枚数カウンタ31、回収判定用閾値記憶手段32及び満杯検知無効判定手段33Bに加え、例外閾値記憶手段35及び例外適用設定スイッチ36を有する。
【0073】
例外適用設定スイッチ36は、満杯検知無効判定手段33Bが、通常期間であっても、通常期間用の回収判定用閾値ではなく例外閾値記憶手段35に記憶されている回収判定用閾値を判定に利用する例外を、オン又はオフするものである。すなわち、例外適用設定スイッチ36がオン選定されているときには、満杯検知無効判定手段33Bは、通常期間であっても、通常期間用の回収判定用閾値ではなく例外閾値記憶手段35に記憶されている回収判定用閾値を判定に利用する。例外適用設定スイッチ36がオフ選定されているときには、満杯検知無効判定手段33Bは、各期間(通常期間、春節期間、国慶節期間)についての回収判定用閾値を判定に利用する。例外適用設定スイッチ36は、ディップスイッチやオンオフスイッチなどのハード的なスイッチであっても良く、ソフト的なスイッチであっても良い。
【0074】
例外閾値記憶手段35は、上述した例外の場合に利用される回収判定用閾値を記憶しているものである。例外閾値記憶手段35は、固定的に例外用の回収判定用閾値を記憶していても良く、また、金融機関の社員が設定操作によって任意の値の回収判定用閾値を設定できるものであっても良い。
【0075】
例えば、通常期間において、自動取引装置1Bが設置されている支店に官封券が配布され、その官封券を初期の集積券として紙幣カセットに集積させて営業を開始させるような場合には、例外適用設定スイッチ36をオンさせることにより、通常期間用の回収判定用閾値ではなく例外用の回収判定用閾値を判定に利用させるようにできる。
【0076】
第3の実施形態によっても、期間などの特殊性などに応じて、紙幣の回収タイミングの判断を適切に行うことができる。
【0077】
上記では、例外適用設定スイッチ36が1個の場合を示したが、択一的にオンとなる複数の例外適用設定スイッチを設け、複数の例外の回収判定用閾値の中から、適用するものを選択できるようにしても良い。
【0078】
上記では、例外適用設定スイッチ36が通常期間において例外を適用するためのものであったが、春節期間において例外を適用する例外適用設定スイッチを設けるようにしても良く、国慶節期間において例外を適用する例外適用設定スイッチを設けるようにしても良い。
【0079】
上記では、例外適用設定スイッチ36が通常期間における例外を適用するためのものであったが、期間の概念がない場合にも例外適用設定スイッチ36の技術思想を導入するようにしても良い。例えば、基本的に適用される回収判定用閾値を定めておき、この基本的な回収判定用閾値に代えて、例外時用の回収判定用閾値を適用する際にオンされる例外適用設定スイッチを設けるようにしても良い。
【0080】
上記では、例外適用設定スイッチ36がオンされているときには、例外時用の回収判定用閾値を適用する場合を示したが、例外時用の回収判定用閾値を適用する最長期間を定めるようにしても良い。例えば、最長期間として5日間を定めておき、例外適用設定スイッチ36のオンの連続時間が5日間を超えても、最長期間を超えた期間では通常期間の回収判定用閾値を適用させる。
【0081】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による紙葉類処理装置、方法及びプログラムを、自動取引装置における紙幣の処理構成に適用した第4の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0082】
図12は、第4の実施形態に係る自動取引装置1Cの機能ブロック図であり、第1の実施形態に係る図4との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。図12において、自動取引装置1Bは、満杯検知手段30、集積枚数カウンタ31、回収判定用閾値記憶手段32及び満杯検知無効判定手段33に加え、75%検知手段37及び回収判定用閾値決定手段38を有する。
【0083】
75%検知手段37は、満杯検知手段30が紙幣カセット(15a〜15d)が満杯であると検知する量の75%(この割合に限定されるものではない)を検知するものである。75%検知手段37も、例えば光電センサでなり、投光部と受光部とを結ぶ経路上に紙幣が位置することで投光部からの光線が遮断されることにより75%の集積量を検知するものである。満杯検知センサ(19a〜19d)が検知する紙幣カセット(15a〜15d)の上下方向の位置より、下方に、75%検知手段37を構成するセンサが設けられている。
【0084】
回収判定用閾値決定手段38は、75%検知手段37が検知していない状態から検知した状態に切り替わったときの集積枚数カウンタ31の値(集積枚数)Xを取り込み、この値Xに対して予め定まっている演算式を適用して、回収判定用閾値を算出し、算出した回収判定用閾値を回収判定用閾値記憶手段32に記憶させるものである。例えば、演算式としては、1.25X+α(但し、この演算値が整数以外では小数部を切り上げる)を適用することができる(αは、予め定まっている正の整数でなるオフセット値)。なお、演算に代え、変換テーブルなどによって、回収判定用閾値を決定するようにしても良い。
【0085】
満杯検知手段30、集積枚数カウンタ31、回収判定用閾値記憶手段32及び満杯検知無効判定手段33は、第1の実施形態のものと同様なものである。
【0086】
紙幣カセット(15a〜15d)に集積されている官封券の多少によって、75%検知手段37が検知状態に切り替わったときの集積枚数カウンタ31の値Xも変化する。逆に言えば、値Xは、紙幣カセットに集積されている官封券の多少が反映された値である。従って、この値Xに基づいて算出された回収判定用閾値も官封券の多少が反映された値となっており、算出された回収判定用閾値を適用した満杯検知無効判定手段33の判定結果も妥当な結果が得られる。なお、第4の実施形態の場合、回収判定用閾値記憶手段32に記憶されている回収判定用閾値はどのタイミングでも1個であるが、記憶している回収判定用閾値が変化するので、回収判定用閾値記憶手段32が複数の回収判定用閾値を記憶していると見ることもできる。特許請求の範囲の表現は、このような見方に応じた表現になっている。
【0087】
第4の実施形態によっても、官封券の多少が異なる期間などの特殊性に応じて、紙幣の回収タイミングの判断を適切に行うことができる。
【0088】
上記では、満杯検知センサと75%検知のセンサとを設けるものを示したが、1個のセンサを、満杯検知センサと75%検知のセンサとして併用するようにしても良い。例えば、満杯検知センサだけを設けておき、紙幣カセット内の集積板を25%分だけ上方に移動させることで満杯検知センサを75%検知のセンサとして流用させるようにしても良い。
【0089】
(E)他の実施形態
上記各実施形態では、満杯検知が有効か無効かの判断が下される紙幣カセットが入金取引や出金取引等の取引で紙幣が出し入れされる紙幣カセットである場合を示したが、補充回収収納部16などの他の紙幣カセットであっても良い。
【0090】
上記各実施形態では、紙幣、硬貨を取り扱う自動取引装置を示したが、紙幣だけを取り扱う自動取引装置に対しても、本発明を適用することができる。本発明に係る紙葉類処理装置が取り扱う紙葉類は紙幣に限定されず、小切手、証券、証書、チケットなどの他の紙葉類であっても良い。また、本発明に係る紙葉類処理装置は、金融機関に関係する装置に限定されず、紙葉類の取込みを伴う装置であれば良く、例えば、駅等に設置されている切符の自動販売機や、定期券の新規、継続発行装置、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で利用される釣銭処理装置等であっても良い。
【符号の説明】
【0091】
1、1A〜1C…自動取引装置、10…紙幣処理部、15a〜15d…紙幣カセット、19a〜19d…満杯検知センサ、20…主制御部、28…メモリ部、30…満杯検知手段、31…集積枚数カウンタ、32…回収判定用閾値記憶手段、33、33B…満杯検知無効判定手段、34…回収判定用閾値受信手段、35…例外閾値記憶手段、36…例外適用設定スイッチ、37…75%検知手段、38…回収判定用閾値決定手段、40…サーバ、41…回収判定用閾値設定手段、42…回収判定用閾値送信手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収納する、紙葉類が投入されることがある紙葉類収納部と、
上記紙葉類収納部に収納されている紙葉類の枚数を計数する紙葉類計数手段と、
上記紙葉類収納部が紙葉類で満杯になったことを検知する満杯検知手段と、
上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用条件が異なる複数の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、上記閾値記憶手段に記憶されている当該検知のタイミングで適用条件を満足する閾値と、上記紙葉類計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を有効とする満杯検知無効判定手段と
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
上記閾値記憶手段に記憶されている複数の閾値は、閾値を適用する期間がそれぞれ異なっていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
上記閾値記憶手段に記憶される期間が異なる複数の閾値を設定させる閾値設定手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
上記閾値設定手段は、各閾値を適用させる期間を任意に設定させることを特徴とする請求項3に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
紙葉類を収納する、紙葉類が投入されることがある紙葉類収納部を有すると共に、紙葉類計数手段、満杯検知手段、閾値記憶手段及び満杯検知無効判定手段を有し、
上記紙葉類計数手段は、上記紙葉類収納部に収納されている紙葉類の枚数を計数し、
上記満杯検知手段は、上記紙葉類収納部が紙葉類で満杯になったことを検知し、
上記閾値記憶手段は、上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用条件が異なる複数の閾値を記憶し、
上記満杯検知無効判定手段は、上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、上記閾値記憶手段に記憶されている当該検知のタイミングで適用条件を満足する閾値と、上記紙葉類計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を有効とする
ことを特徴とする紙葉類処理方法。
【請求項6】
紙葉類を収納する、紙葉類が投入されることがある紙葉類収納部と、上記紙葉類収納部が紙葉類で満杯になったことを検知する満杯検知手段とを有する紙葉類処理装置に搭載されるコンピュータを、
上記紙葉類収納部に収納されている紙葉類の枚数を計数する紙葉類計数手段と、
上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、当該検知を有効とするか無効とするかを切り分ける、適用条件が異なる複数の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
上記満杯検知手段が満杯を検知したときに、上記閾値記憶手段に記憶されている当該検知のタイミングで適用条件を満足する閾値と、上記紙葉類計数手段の計数枚数とを比較し、計数枚数が閾値未満の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を無効とするとし、計数枚数が閾値以上の場合には上記満杯検知手段による満杯検知を有効とする満杯検知無効判定手段と
して機能させることを特徴とする紙葉類処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−248159(P2012−248159A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121787(P2011−121787)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】