説明

紙葉類処理装置及び搬送速度設定方法

【課題】処理する紙葉類の汚損度に応じて紙葉類を搬送する搬送速度を可変することにより汚損券のジャム発生頻度を低下させ処理能力を向上する紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】最初に、処理する紙葉類束Psの正損判別レベルが操作表示部2から設定される(S40)。設定された正損判別レベルに基づいて搬送速度データが読み出され、読み出された搬送速度データに基づいて搬送速度切換え処理が行われ(S42)、搬送速度が設定される。紙葉類束Psの最上面の紙葉類Pから順番に取り出されて設定された搬送速度で送られる。また、搬送路に配置された紙葉類判別部50によって当該紙葉類Pの正損レベルが生成される。生成された正損レベルは紙葉類束Psに付いて加算され、その平均正損レベルが算出される(S43)。この算出された平均正損レベルに基づき搬送速度データが読み出され次の紙葉類束Psの搬送速度が設定される(S46)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類の処理装置に関し、特に紙葉類の汚損度によって搬送速度を設定する紙葉類処理装置及び搬送速度設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類束(例えば、1000枚)から取出装置によって紙葉類を1枚ずつ取出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類の品質(形状、損傷など)を判別し、正常な券(以下、正券と称する。)、不良券(以下、損券と称する。)及び搬送異状券や2枚取り券などの排除券に区分して集積装置によって一次集積し、その一次集積された枚数が所定の枚数(例えば、100枚)に達した場合は、帯などで結束して把Hを形成する装置である。
【0003】
上記従来の紙葉類処理装置において、当該処理する紙葉類を一定速度で搬送するのが基本であるが、紙葉類の大きさが異なる場合に一定の処理量を確保するために、供給部に供給された紙葉類が搬送路に送り出される最初の紙葉類の大きさを検知して種別を判別し、その種別に応じて紙葉類の搬送速度を設定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開7−267402号公報 (第2−3頁、図3−図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の紙葉類処理装置では、紙葉類の種別が同一の場合に付いては速度変更ができないため、汚損している損券の場合上記正券と同じ搬送速度で搬送され、搬送中の負荷により破れ・切れなどが発生しやすいという課題がある。さらに、装置の処理能力向上のため搬送速度が速い装置においては、搬送中の処理媒体(紙葉類)への負荷が増大し、結果的に汚損券のジャム発生頻度が増加し、処理能力が上がらないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、処理する紙葉類の汚損度に応じて紙葉類を搬送する搬送速度を可変することにより汚損券のジャム発生頻度を低下させ処理能力を向上する紙葉類処理装置及び搬送速度設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送路と、この搬送路によって搬送される前記紙葉類を検知する紙葉類検知装置と、この紙葉類検知装置による検知結果に基づいて当該紙葉類を区分して集積する集積装置と、を備えた紙葉類処理装置であって、前記紙葉類の搬送速度を切換える搬送速度切換え手段と、この搬送速度切換え手段によって切換えられたポジションに応じて搬送速度を設定する搬送速度設定手段と、この搬送速度設定手段で設定された搬送速度に基づいて、前記搬送路、前記紙葉類検知装置及び前記集積装置の動作を設定するパラメータ設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項4記載の紙葉類処理装置の搬送速度切換え方法は、供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送路と、この搬送路によって搬送される前記紙葉類を検知する紙葉類検知装置と、この紙葉類検知装置による検知結果に基づいて当該紙葉類を区分して集積する集積装置と、前記紙葉類の正損を判別する正損判別レベルを設定する手段と、を備えた紙葉類処理装置の搬送速度設定方法であって、前記正損判別レベルに基づいて、対応付けられた搬送速度を読み出して設定する第1の工程と、この第1の工程によって設定された搬送速度に基づいてパラメータ設定手段により搬送路、紙葉類検知装置及び集積装置の動作を設定する第2工程と、この第2工程によって設定された搬送速度で前記紙葉類を搬送する第3工程と、この第3工程で搬送された当該紙葉類を前記紙葉類検知装置で検知すると共に正損レベル算出手段によって正損レベルを算出する第4工程と、この第4工程によって算出された正損レベルを前記紙葉類束の範囲で加算し、その平均値である平均正損レベルを算出する第5工程と、最初の紙葉類束の処理終了後、続けて紙葉類束が前記供給部に供給されたとき、この紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送速度を、前記第5工程で算出した平均正損レベルに基づいて設定する第6工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理する紙葉類の汚損度に応じて紙葉類を搬送する搬送速度を可変することができるので、汚損紙葉類のダメージを低減し、さらに汚損紙葉類のジャム発生頻度を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1に係る搬送速度を可変することができる紙葉類処理装置である。紙葉類処理装置1は、操作表示部2と接続される。操作員が当該紙葉類処理装置1で処理する紙葉類Pの種類(券種)、搬送方向、処理単位、正損判別レベル及び本発明に係る紙葉類搬送速度などを設定することができる。
【0011】
紙葉類処理装置1は、有価証券などの紙葉類Pの真偽(真券か偽券か)又は正損(再流通可能な正券か再流通不可能な損券か)を判別し、正券は集積装置30・31に集積し、損券は集積装置32・33に集積する。
【0012】
このようにして集積された正券又は損券は、集積装置の下部に配置された結束装置(図示しない)で結束される。
【0013】
紙葉類処理装置1には、集積された紙葉類Pを一括して供給する供給部10が設けられている。この供給部10に集積された紙葉類Pは、取出ロータ10Aによって一定間隔で1枚ずつ取り出され、搬送路(搬送手段)20によって搬送される。
【0014】
このようにして、取出ロータ10Aによって供給部10から取り出された紙葉類Pは、紙葉類判別部50によって判別される。紙葉類判別部50は、紙葉類Pの物理的特性を検知して判別するもので、複数の紙葉類検知装置52〜56で構成されており、搬送方向下流に向かって搬送路20に設けられている。
【0015】
取出検知部21は、供給部10から取り出された紙葉類Pの取り出し状態を検知し、検知結果を搬送制御部36に送信する。この取出し状態の検知結果が、例えば、2枚取りなどの複数枚取り出し、搬送ピッチ詰まりなどの搬送異状の場合は、搬送方向下流に搬送して処理する振分ゲートで振り分けられないなどの障害が発生しやすいため、これらの搬送異状を搬送制御部36に送信する。
【0016】
搬送制御部36は、この搬送異状を受信した場合には、当該紙葉類Pの搬送方向を振り分ける振分けゲートG1を回動して排除券集積庫34に集積する。なお、この排除券集積庫34に集積された排除券は再供給することが可能である。
【0017】
図2は、本発明の実施例1に係る搬送速度切換え手段としてのスイッチ及びジョグダイヤル図である。このスイッチ2a及びジョグダイヤル2bは、操作員によって設定される。
【0018】
搬送速度切換え手段としてスイッチ2aを用いた場合には、操作員が当該紙葉類処理装置1で処理する紙葉類束Psの品質によって、例えば、紙葉類束Psが全体として品質が悪い場合にはスイッチ2aをオンし、搬送速度を低速搬送に切換えて紙葉類Pを搬送する。一方、通常品質の場合には、スイッチ2aをオフして搬送速度を標準搬送速度に切換えてで搬送する。
【0019】
また、搬送速度切換え手段としてジョグダイヤル2bを用いることができる。この場合には、本発明に係る紙葉類Pの正損レベル(汚損度)に応じてジョグダイヤル2bを設定することができる。
【0020】
次に、上記正損レベルの算出方法を説明する。搬送される紙葉類Pの透過光及び反射光を搬送路20に配置された紙葉類検知装置52〜56によって検知する。一般的に、汚損された紙葉類Pの反射光量及び透過光量は、汚損されていない紙葉類Pに比べて小さい値になることが知られており、その値の変化を用いることによって紙葉類Pの汚損の程度を測定することができる。この汚損の程度を示すレベルのことを正損レベルと称し、紙葉類Pごとに付与される。この正損レベルは、正券であっても、損券であっても、正損レベルが付与される。
【0021】
紙葉類処理装置1では、この正損レベルに対する正損判別レベルが操作員によって設定される。例えば、正損判別レベルが10段階の5に設定されている場合には、搬送された紙葉類Pの正損レベルが5以上の場合は正券と判別され、5未満の場合は損券と判別される。
【0022】
上記ジョグダイヤル2bの設定を、上記正損判別レベルに応じて設定する方法を説明する。
【0023】
最初に、処理する紙葉類束Psを券種ごとに所定枚数搬送してその正損レベルを収集し、統計的手法によって正損レベルの分布を生成する。この分布に基づいて、例えば、上記券種ごとに紙葉類の正損レベルの下位5パーセントが含まれる正損判別レベルを1とし、下位10パーセントまで含まれる正損判別レベルを2とする。以下同様に正損判別レベルの下位50パーセントが含まれる正損判別レベルを10に設定する。この設定は5パーセント単位に行ったが、これに限るものではなく。例えば3パーセント単位に設定してもよい。この設定の基準は、当該紙葉類処理装置によって処理される紙葉類の品質によって設定される。
【0024】
次に、上記ジョグダイヤル2bの設定を上記正損判別レベルに対応させる。この場合の効果は以下のようになる。通常、処理する紙葉類束Psの品質を見て、操作員は、正損判別レベルを設定するか、又は処理する紙葉類束Psの一定割合を損券にするよう決められている場合がある。例えば、約25パーセントの紙葉類Pを損券とすることが決められている場合、処理する紙葉類束Psの品質が標準的であれば、操作員は、損券判別レベルを5に設定すればよい。この結果、上述したように25パーセントの紙葉類Pが損券に判別される。
【0025】
一方、処理する紙葉類Pの品質が標準より悪い場合には、損券枚数が25パーセントを越す場合があるため、損券判別レベルを4又は3に設定することが考えられる。
【0026】
以上のことから、損券判別レベルを5に設定した場合の搬送速度に比べて、損券判別レベルを4に設定した場合の搬送速度が遅くなる。このように設定することによって、処理する紙葉類処理装置1の搬送速度を処理する紙葉類束Psの品質によって変えることができる。
【0027】
図3は、本発明の実施例による搬送速度切換えに用いる搬送速度切換えスイッチ2a又はジョグダイヤル2bを説明する図である。
【0028】
図3は、図1に示す紙葉類処理装置1において、パラメータ設定手段の流れを説明する図である。この図を参照して、上記搬送速度切換えスイッチ2a又はジョグダイヤル2bによって搬送速度が変更された場合の動作を説明する。この搬送速度変更は、各装置のパラメータを設定することによって行われる。
【0029】
最初に、操作員によって操作表示部2から運転開始が指示されると、その結果は、主制御部37に通知される(S1)。
【0030】
主制御部37は、パラメータ設定手段として、搬送速度設定手段によって設定された搬送速度データを読み込み、読み込んだ搬送速度を搬送制御部36、集積装置30〜33、及び検知制御部51に送信する(S2〜S4、送信手段)。
【0031】
搬送速度設定手段は、搬送速度切換え手段によって設定されたポジションに対応する搬送速度データを読み込み、搬送速度を設定する。
【0032】
検知制御部51は、各紙葉類検知装置52〜56に搬送速度を送信する(S5〜S9、送信手段)。
【0033】
搬送制御部36は、搬送速度変更(設定)に伴い、以下に示す各種設定値(パラメータ)を設定する(S10、設定手段)。この設定によって各種設定値が変更になる場合がある。
【0034】
(1)設定された搬送速度で搬送路20が駆動されるようにエンコード信号を用いたフィードバック処理を実施する。
(2)搬送される紙葉類Pを検知する搬送センサ(図示しない)間の搬送時間、搬送センサでの券長時間など搬送状態監視閾値を搬送速度に合わせて変更(設定)する。
(3)搬送センサへ紙葉類Pが到達したときの区分ゲートG1〜G4の駆動タイミングを設定する。
(4)紙葉類Pの搬送ピッチ、搬送ギャップ異状を検知する閾値を設定する。
(5)紙葉類搬送中の各種チェックタイミング(各紙葉類検知装置52〜56の判定結果取得タイミング)を設定する。
【0035】
搬送制御部36は、上記(1)〜(5)の変更が終了するとその結果を主制御部37に通知する(S10a)。
【0036】
集積装置30〜33は、搬送速度変更に伴い、以下に示す各種設定を行う(S11)。
【0037】
(1)紙葉類1枚ごとの集積羽根車(図示しない)制御を行う。搬送速度が変更になると、集積羽根車の羽根と羽根の間で当該紙葉類Pを集積するために、搬送速度の変更に伴って、羽根車の回転速度を設定する(S11)。
(2)集積装置30〜33の変更が終了するとその結果を主制御部37に通知する(S11a)。
【0038】
検知制御部51、及び各紙葉類検知装置52〜56は、搬送速度変更に伴い、以下に示す各種設定を行う(S12,S13〜S17)。
【0039】
(1)紙葉類検知装置52〜56での紙葉類Pの検知開始タイミングを設定する。
(2)紙葉類検知装置52〜56での紙葉類Pのデータ処理サンプリングを設定する。
(3)紙葉類検知装置52〜56での特徴抽出範囲を設定する。
【0040】
各紙葉類検知装置52〜56で上記(1)〜(3)の変更が終了すると、その結果を検知制御部51に通知する(S13a〜S17a)。
【0041】
検知制御部51は、上記各紙葉類検知装置52〜56からの通知(S13a〜S17a)を受け、その結果を主制御部37に通知する(S12a)。
【0042】
以上の処理を経て、操作表示部2から入力された搬送速度設定データによって設定された搬送速度で紙葉類の搬送・判別・集積が行われる。
【0043】
図4は、搬送速度切換えスイッチを用いた搬送速度変更を説明するフローチャートである。
【0044】
供給部10に供給される紙葉類束Psの品質が良好で有るかどうか操作員が判断する(S20)。この判断の結果、もし、紙葉類束Psの品質が標準品質である場合には(S20のYes)、搬送速度の変更は必要ないため、標準の搬送速が設定される(S21)。
【0045】
次に、この標準の搬送速度に基づいて搬送速度切換え処理(図3で説明した処理)が行われ、標準搬送速度で紙葉類Pが搬送され処理される。
【0046】
ステップS20において、紙葉類束Psの品質が良好でない場合(S20のNo)、搬送速度切換えスイッチをオンにする(S22)。
【0047】
この搬送速度切換えスイッチオンに基づく搬送速度が読み出されて設定される。この場合の搬送速度は、例えば、標準搬送速度の90%で搬送するなど事前に設定される。この設定された搬送速度に基づいて搬送速度切換え処理が行われる(S24)。
【0048】
以上説明した方法によって、処理する紙葉類束の品質が悪い場合には低速搬送して紙葉類を処理することが可能になり。品質の悪い紙葉類Pにダメージを与えず処理することが可能になる。
【0049】
図5は、ジョグダイヤル2bを用いた搬送速度変更を説明するフローチャートである。
【0050】
本実施例では、正損判別レベルの設定に応じてジョグダイヤル2bを設定する場合を説明する。
【0051】
最初に、操作表示部2から操作員によって正損判別レベルが設定される(例えば、正損判別レベル5が設定される。)(S30)。
【0052】
次に、この正損判別レベル5に合わせてジョグダイヤル2bを5に設定する(S31)。
【0053】
次に、このジョグダイヤル2bの値に対応して設けられた搬送速度が読み出されて設定される(S32)。
【0054】
次に、この設定された搬送速度に基づいて搬送速度切換え処理(図3で説明した処理)が行われる。
【0055】
この結果、供給部10に供給された紙葉類Pは、ジョグダイヤル2bで設定した搬送速度によって搬送される。
【0056】
以上説明した方法によって、図4に示した搬送速度切換えスイッチによる搬送速度変更の場合に比べて、きめ細かく搬送速度を設定することができる。
【0057】
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、処理する紙葉類束Ps品質によって設定した搬送速度で当該紙葉類束の処理が行われる。この結果、損券の比率の多い紙葉類束Psは低速で搬送されて処理されるため、搬送時のジャム発生の比率を低減することができ、総合的に紙葉類の処理能力が向上する。
【実施例2】
【0058】
図6は、本発明の実施例2に係る搬送速度を設定する方法を説明するフローチャートである。本実施例では実施例1に示す図1又は図3に示す構成は共通であり、その方法のみが異なるため、共通する部分の説明は省略する。
【0059】
本発明の実施例2は、実施例1において設定した紙葉類Pの搬送速度を、前に処理した紙葉類束Psの平均正損判別レベルを算出し、その平均正損判別レベルによって次に処理する紙葉類束Psの搬送速度を設定する方法である。
【0060】
最初に、操作員によって処理する紙葉類束Psの券種、搬送方向、正損判別レベルが操作表示部2の画面から設定される(S40)。
【0061】
上記正損判別レベルに基づいて搬送速度データが読み出され設定される(S41)。
【0062】
次に、この設定された搬送速度に基づいて搬送速度切換え処理が行われる(S42)。
【0063】
この切換え処理によって設定された搬送速度で供給部10に供給された紙葉類束Ps(例えば、1000枚紙葉類束)の最上面の紙葉類Pから順番に搬送され、紙葉類判別部50によって当該紙葉類Pの正損レベルが生成され、判別、処理される。続けて搬送された紙葉類Pについても同様の処理が行われ、当該紙葉類Pは、その正損レベルが先に算出された正損レベルに加算される。以上の処理が、供給された紙葉類束(1000紙葉類)Psに付いて行われる(S43)。
【0064】
上記加算された正損レベルの合計値と供給枚数から平均正損レベルを算出する(S44)。
【0065】
紙葉類処理装置1による新規紙葉類束Psの処理を行う場合(S45のNo)、上記算出した平均正損レベルに基づき搬送速度データが読み出され、次の紙葉類束Psの搬送速度が設定される(S46)。
【0066】
次に、設定された搬送速度に基づいて搬送速度切換え処理が行われる(S42)。以下、上述した処理が繰り返される。
【0067】
以上の処理を経て、紙葉類処理装置1の搬送速度が設定される。この方法によれば、処理する1000枚紙葉類の搬送速度がその前に処理した紙葉類束の正損判別レベルによって設定される。
【0068】
なお、上述した説明においては、1000枚紙葉類Psを処理するごとに正損判別レベルを再設定する方法を説明せたが、これに限られるものではなく、2000枚紙葉類束又は処理するロットごとに再設定することも可能である。その場合は、再設定のインターバルを操作表示画面2から設定できるように入力画面を構成し、券種、方搬送方向、正損判別レベルの設定と同様に設定可能である。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施例2によれば、最初に処理した1000枚紙葉類束の平均正損判別レベルによって次の紙葉類束Psの搬送速度を設定することができる。この方法によれば、紙葉類束の品質(正損判別レベル)が紙葉類処理装置によって判別され、その判別結果から算出された平均正損判別レベルに応じて搬送速度が設定される。従って、処理する紙葉類束Psの品質が悪い場合には搬送速度が低下する。この結果、紙葉類束Psの品質に応じて搬送速度が設定されるので、紙葉類束Psの品質が悪い紙葉類Pは低速に搬送されて処理されるため、非処理中のジャムの発生を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施例1に係る搬送速度を可変することができる紙葉類装置。
【図2】本発明の実施例1に係るスイッチ及びジョグダイヤル。
【図3】図1に示す紙葉類処理装置において、パラメータ設定手段の流れを説明する図。
【図4】搬送速度切換えスイッチを用いた搬送速度変更を説明するフローチャート。
【図5】ジョグダイヤルを用いた搬送速度変更を説明するフローチャート。
【図6】本発明の実施例2に係る搬送速度を設定する方法を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
P 紙葉類
Ps 紙葉類束(1000枚紙葉類)
G1〜G4 分岐ゲート
1 紙葉類処理装置
10 供給部
10A 取出ロータ
20 搬送路
21 取出検知部
30〜33 集積装置
34 排除券集積庫
36 搬送制御部
37 主制御部
50 紙葉類判別部
51〜56 紙葉類検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送路と、この搬送路によって搬送される前記紙葉類を検知する紙葉類検知装置と、この紙葉類検知装置による検知結果に基づいて当該紙葉類を区分して集積する集積装置と、を備えた紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類の搬送速度を切換える搬送速度切換え手段と、
この搬送速度切換え手段によって切換えられたポジションに応じて搬送速度を設定する搬送速度設定手段と、
この搬送速度設定手段で設定された搬送速度に基づいて、前記搬送路、前記紙葉類検知装置及び前記集積装置の動作を設定するパラメータ設定手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記搬送速度切換え手段は、
複数のポジションを設定するスイッチ手段、又は複数のポジションを入力若しくは選択可能な入力手段で構成され、
前記搬送速度設定手段は、
前記搬送速度切換え手段によって設定されたポジションに対応する搬送速度を読み出して設定する設定手段で構成され、
前記パラメータ設定手段は、
前記搬送路を制御する搬送制御部、前記紙葉類検知装置を制御する検知制御部及び前記集積装置に前記搬送速度を送信する送信手段を有し、
前記搬送制御部、前記検知制御部及び前記集積装置は、受信した搬送速度に応じて動作に必要な各種設定値を設定する設定手段を有することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送路と、この搬送路によって搬送される前記紙葉類を検知する紙葉類検知装置と、この紙葉類検知装置による検知結果に基づいて当該紙葉類を区分して集積する集積装置と、を備えた紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類の正損を判別する正損判別レベルを設定する手段と、
この正損判別レベルに応じて搬送速度を設定する搬送速度設定手段と、
この搬送速度設定手段で設定された搬送速度に基づいて、前記搬送路、前記紙葉類検知装置及び前記集積装置の動作を設定するパラメータ設定手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送路と、この搬送路によって搬送される前記紙葉類を検知する紙葉類検知装置と、この紙葉類検知装置による検知結果に基づいて当該紙葉類を区分して集積する集積装置と、前記紙葉類の正損を判別する正損判別レベルを設定する手段と、を備えた紙葉類処理装置の搬送速度設定方法であって、
前記正損判別レベルに基づいて、対応付けられた搬送速度を読み出して設定する第1の工程と、
この第1の工程によって設定された搬送速度に基づいてパラメータ設定手段により搬送路、紙葉類検知装置及び集積装置の動作を設定する第2工程と、
この第2工程によって設定された搬送速度で前記紙葉類を搬送する第3工程と、
この第3工程で搬送された当該紙葉類を前記紙葉類検知装置で検知すると共に正損レベル算出手段によって正損レベルを算出する第4工程と、
この第4工程によって算出された正損レベルを前記紙葉類束の範囲で加算し、その平均値である平均正損レベルを算出する第5工程と、
最初の紙葉類束の処理終了後、続けて紙葉類束が前記供給部に供給されたとき、この紙葉類束から前記紙葉類を1枚ずつ取り出して搬送する搬送速度を、前記第5工程で算出した平均正損レベルに基づいて設定する第6工程と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置の搬送速度設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−102090(P2009−102090A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273103(P2007−273103)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】