説明

紙葉類処理装置

【課題】紙葉類のジャムが発生しオペレータがその処理を行なう場合、オペレータに対し容易に理解できる詳細な対処方法を示すことができるとともに、スループットを向上させることができる紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】紙葉類を種類ごとに区分して集積する紙葉類処理装置において、紙葉類のジャムを検知すると、当該ジャム発生箇所の画像をカメラにより取得して表示部に表示するとともに、搬送路におけるジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画をも上記表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば、有価証券等の紙葉類を1枚ずつ取込んで搬送し、この搬送される紙葉類に対し少なくとも種類を判別し、この判別結果に基づき紙葉類を種類ごとに計数するとともに、上記判別結果に基づき紙葉類を種類ごとに区分して集積する紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の紙葉類処理装置にあっては、搬送途中にある紙葉類にジャムが発生した場合、その対処方法はジャムの発生コードに対応したテキストを表示するか、あるいは、集約したイメージ画像でオペレータに示していた。そのため、必ずしも正しいジャム処理をオペレータが認識できていないという問題がある。
【0003】
また、紙葉類のジャム発生時、搬送路を停止させるが、惰性等により紙葉類が移動してしまう。そのため、紙葉類処理装置内には計数が確定した紙葉類とまだ未確定な紙葉類が存在するが、オペレータにとって、どこまでが確定しているか判断が難しい。そのため、確定している紙葉類も含めて物理的に分離されている範囲まで再度処理を行ない、スループットを低下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−85220号公報
【特許文献2】特開2000−155508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、実施形態は、紙葉類のジャムが発生しオペレータがその処理を行なう場合、オペレータに対し容易に理解できる詳細な対処方法を示すことができるとともに、スループットを向上させることができる紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る紙葉類処理装置は、供給部にセットされた紙葉類を1枚ずつ取込む取込手段と、この取込手段により取込まれた紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送手段と、この搬送手段により搬送される紙葉類に対し少なくとも種類を判別する判別手段と、この判別手段の判別結果に基づき、判別された紙葉類を種類ごとに計数する計数手段と、前記判別手段の判別結果に基づき、前記搬送手段により搬送されてくる紙葉類を種類ごとに区分して集積する集積手段と、前記搬送手段に対して設けられ、搬送される紙葉類のジャムを検知するジャム検知手段と、前記搬送手段の近傍で、前記ジャム検知手段に対応して設けられ、紙葉類のジャムが発生した際に当該ジャム発生箇所の画像を撮像する撮像手段と、前記搬送手段におけるジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画をあらかじめ記憶している記憶手段と、前記ジャム検知手段が紙葉類のジャムを検知すると、前記撮像手段により撮像された当該ジャム発生箇所の画像を表示するとともに、前記記憶手段に記憶されているジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画を表示する表示手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示す側面図。
【図2】実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図。
【図3】ジャム処理を中心とした動作の流れについて説明するフローチャート。
【図4】実施形態に係るジャム処理の要部の具体例を詳細に説明するための模式図。
【図5】実施形態に係るジャム処理の要部の具体例を詳細に説明するための模式図。
【図6】実施形態に係るジャム処理の要部の具体例を詳細に説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示すものである。この紙葉類処理装置は、紙葉類処理装置本体1と紙葉類処理装置本体1を操作するための端末装置2とから構成されている。
【0009】
紙葉類処理装置本体1は、紙葉類としての銀行券(たとえば、紙幣)Pを種類あるいは状態に応じて区分し、区分した銀行券Pを種類あるいは状態ごとに集積する区分集積装置1Aと所定数ごとに銀行券Pを施封する施封装置1Bとを有している。
【0010】
区分集積装置1Aは、複数の種類からなる複数の銀行券Pが一括してセットされ、セットされた各銀行券Pの種類および状態に応じて分類し、分類した銀行券Pを各集積庫あるいは施封装置1Bへ搬送する。施封装置1Bは、区分集積装置1Aから送られる銀行券Pを集積庫に集積し、所定数ごとに紙帯で施封する。
【0011】
端末装置2は、紙葉類処理装置本体1の制御、紙葉類処理装置本体1に対する動作設定、あるいは、紙葉類処理装置本体1による処理データの管理などを行なうもので、たとえば、パーソナルコンピュータ等により構成される。
【0012】
区分集積装置1Aは、複数の銀行券Pがセットされる供給部4を有している。供給部4には、複数の種類が混在する複数の銀行券Pが一括してセットされる。供給部4にセットされる銀行券Pは、それぞれ長手方向と幅方向とを有し、銀行券Pの長手方向の上端あるいは下端が下を向く姿勢でセットされる。
【0013】
供給部4は、ステージ5、バックアッププレート6、および、取込手段としての取出しローラ10を有している。ステージ5には、複数の銀行券Pがその上端あるいは下端に当接して整位された状態でセットされる。バックアッププレート6は、ステージ5に対して垂直方向に立設されていて、ばね8によりステージ5に沿って取出しローラ10側(図中左方向)に移動するようになっている。取出しローラ10は、1対のローラにより構成されていて、所定方向に回転することにより、ステージ5上の図中左端にある銀行券Pを順に1枚ずつ取出す。したがって、供給部4にセットされた複数の銀行券Pは、バックアッププレート6によってステージ5に沿って図中左方向に移動され、取出しローラ10に押し付けられる。
【0014】
取出しローラ10の後段には、搬送路12が設けられていて、この搬送路12には、取出しローラ10により取出された銀行券Pが順に1枚ずつ供給される。搬送路12は、複数のローラ15と搬送ベルト14,16により構成されていて、複数のローラ15により駆動される搬送ベルト14,16により銀行券Pが1枚ずつ搬送される。
【0015】
取出しローラ10は、銀行券Pをその上端あるいは下端を先頭にして幅方向に搬送路12に供給する。また、取出しローラ10により搬送路12上に供給される銀行券Pは、表裏がばらばらの状態となっている。図1に示す構成例では、供給部4から取出される銀行券Pの取出し方向は下向きとなっている。
【0016】
搬送路12上の取出しローラ10側には、判別手段としての検知部30が設けられている。検知部30は、種々のセンサを有し、搬送路12を搬送される銀行券Pから種々の情報、たとえば、銀行券Pの真偽、券種、表裏、天地、汚れや破損の有無等を判別するための特徴情報を読取る。
【0017】
検知部30は、たとえば、銀行券Pの表面の画像を読取るイメージセンサ、銀行券Pの厚さを検知する厚みセンサ、銀行券Pに含まれる磁性体を検知する磁気センサなどを有していて、各センサにより読取った情報に基づいて、後述する判別部65は、上述したような銀行券Pの特徴を判別する。
【0018】
区分集積装置1Aの供給部4には、表裏および天地がばらばらの状態の複数の銀行券Pがセットされる。このため、検知部30を通過する各銀行券Pも、表裏および天地がばらばらな状態となっている。ここで、検知部30を通過する銀行券Pの表裏および天地に関する向きは4種類ある。以下の説明では、表面が上方を向いて搬送方向前方に対して上端を向けて取出された銀行券Pを表上(FF)券と称し、表面が上方を向いて搬送方向前方に対して下端を向けて取出された銀行券Pを表下(FR)券と称し、裏面が上方を向いて搬送方向前方に対して上端を向けて取出された銀行券Pを裏上(BF)券と称し、裏面が上方を向いて搬送方向前方に対して下端を向けて取出された銀行券Pを裏下(BR)券と称する。つまり、検知部30を通過して搬送される銀行券Pは、これら4種類の搬送姿勢のうちいずれかの姿勢で搬送されることになる。
【0019】
検知部30の後段に延設された搬送路12上には、検知部30の検知結果に基づく後述する判別部65の判別結果に基づいて銀行券Pの搬送方向を選択的に切換えるための複数のゲートG1〜G9が設けられている。
【0020】
まず、ゲートG1は、銀行券Pを後段の処理が可能なものとリジェクトするものとに振り分ける。たとえば、判別部65において、後段の処理が不可能であることが判定された銀行券Pは、ゲートG1を介してリジェクト箱32(図中右方向)へ搬送される。後段の処理が不可能な銀行券としては、たとえば、2枚取りが判定された銀行券、所定のレベルを超えて大きくスキューしたことが判定された銀行券、あるいは、再流通可能な正券と判定されなかった損券や偽券などがある。
【0021】
一方、判別部65において後段の処理が可能であると判定された銀行券Pは、ゲートG1を介してゲートG2(図中左方向)へ搬送される。ゲートG2は、表裏に応じて銀行券Pを振り分けるようになっている。ゲートG2の下流側の搬送路は、2方向に分岐されている。すなわち、ゲートG2は、表裏の状態に応じて銀行券Pの搬送方向を2方向に選択的に切換える。
【0022】
ゲートG2の下流側で分岐された一方の搬送路上に、銀行券Pの表裏を反転させるための表裏反転機構34(表裏反転部)が設けられている。また、ゲートG2の下流側で分岐された他方の搬送路36は、銀行券Pの表裏を変化させずに、単に銀行券Pを通過させる搬送パスとなっている。すなわち、ゲートG2の後段では、銀行券Pの表裏を取り揃えられるようになっている。
【0023】
表裏反転機構34は、2組の搬送ベルト33,35により構成される。搬送ベルト33,35は、その入口から出口に向けて中心軸の回りで180°回転されたねじり搬送路を形成している。したがって、ゲートG2により表裏反転機構34へ振り分けられた銀行券Pは、表裏反転される。たとえば、FF券は、表裏反転機構34により表裏反転され、裏面を上にしたBF券に反転される。
【0024】
表裏反転機構34を通過して表裏反転された銀行券P、および、表裏反転機構34を通過せずに搬送路(搬送パス)36を通過した銀行券Pは、いずれも合流部38を介してゲートG3に送り込まれる。
【0025】
ゲートG2から表裏反転機構34を介して合流部38に至る銀行券Pの処理時間(搬送時間)とゲートG2から搬送路36を介して合流部38に至る銀行券Pの搬送時間とが同じになるように設定されている。これにより、表裏反転機構34を介して搬送された銀行券Pと搬送路36を通過された銀行券Pとが同じタイミングで合流部38を通過する。その結果、全銀行券PがBF券に合わせられてゲートG3へ送られる。
【0026】
ゲートG3は、合流部38を通過した銀行券Pを振り分けるようになっている。ゲートG3の下流側の搬送路は、2方向に分岐されている。ゲートG3は、銀行券Pの種類(あるいは状態)に応じて銀行券Pの搬送方向を2方向に選択的に切換える。
【0027】
ゲートG3の下流側で分岐された一方の搬送路は、銀行券Pを施封装置1Bへ搬送するための搬送路である。また、ゲートG3の下流側で分岐された他方の搬送路(水平搬送路)40は、銀行券Pを区分集積装置1A内の各集積庫41〜46に集積するための搬送路であり、複数の集積庫41〜46の上方で略水平方向に延びた搬送路を形成している。
【0028】
水平搬送路40上には、銀行券Pを6つの集積庫41〜46のうちのいずれか1つに振り分けて集積するための5つのゲートG5〜G9が設けられている。各集積庫41〜46は、搬送されてくる銀行券を集積するもので、それぞれ銀行券の有無を検知するセンサが設けられている。
【0029】
水平搬送路40の最も上流側にあるゲートG5によって選択的に振り分けられた銀行券Pは集積庫41に集積される。ゲートG6によって選択的に振り分けられた銀行券Pは集積庫42に集積される。ゲートG7によって選択的に振り分けられた銀行券Pは集積庫43に集積される。ゲートG8によって選択的に振り分けられた銀行券Pは集積庫44に集積される。ゲートG9によって選択的に振り分けられた銀行券Pは集積庫45或いは集積庫46に集積される。
【0030】
銀行券Pを搬送する搬送路の必要な箇所、すなわち、経験的にジャムが発生し易い箇所、この実施形態では、たとえば、搬送路12の検知部30の入口近傍、ゲートG2の下流側の搬送路である表裏反転機構34の中途部、および、搬送路36の中途部には、それぞれ撮像手段としてのビデオカメラ(以後、単にカメラと略称する)C1,C2,C3が設置されている。
【0031】
カメラC1は、当該設置箇所と対応する搬送路12の検知部30を含む所定範囲の画像(搬送される所定範囲内の銀行券を含む画像)を常時撮像し、カメラC2は、当該設置箇所と対応する搬送路(表裏反転機構34)の所定範囲の画像(搬送される所定範囲内の銀行券を含む画像)を常時撮像し、カメラC3は、当該設置箇所と対応する搬送路36の所定範囲の画像(搬送される所定範囲内の銀行券を含む画像)を常時撮像するものである。
【0032】
また、図1では図示を省略されているが、搬送路12、表裏反転機構34、搬送路36などの各搬送路には、複数のジャム検知センサを兼ねるシフトセンサ(後述する)が所定間隔あけて設置されている。
【0033】
施封装置1Bは、集積庫51,52、供給部53、施封機構54、印刷機構55、帯供給部56を有している。集積庫51,52は、それぞれゲートG4を介して送り込まれた銀行券Pを集積するもので、それぞれ銀行券の有無を検知するセンサが設けられている。
【0034】
供給部53は、集積庫51あるいは52に集積された所定枚数(たとえば100枚)の銀行券Pを施封機構54に供給する。施封機構54は、供給部53によって供給される集積庫51あるいは52に集積された所定枚数(たとえば、100枚)の銀行券Pを紙帯で施封する施封機構である。印刷機構55は、施封機構54で使用する紙帯に所望の印刷データを印刷する。帯供給部56は、施封機構54で使用する紙帯を供給する。
【0035】
施封装置1Bに、区分集積装置1AのゲートG3により図中左方向に分岐された搬送路によって銀行券Pが供給される。区分集積装置1Aから供給された銀行券Pは、施封装置1B内においてゲートG4により搬送方向が2方向に選択的に切換えられる。ゲートG4によって分岐搬送される銀行券Pは、施封装置1B内の集積庫51あるいは集積庫52に選択的に集積される。
【0036】
ゲートG4を介していずれかの集積庫51あるいは52に集積された銀行券Pは、供給部53によって施封機構54へ送り込まれる。施封機構54は、帯供給部56から供給された紙帯によって供給部53により供給された所定枚数の銀行券Pを施封する。所定枚数毎に施封された銀行券Pの束は、図示しないコンベアを介して装置外へ搬出される。
【0037】
なお、区分集積装置1Aは、あらかじめ設定される内容に基づいて特定の券種を施封装置1Bへ供給するようになっている。したがって、施封装置1Bは、区分集積装置1Aから供給される特定の券種の銀行券を施封する。また、施封装置1Bにて施封すべき券種以外の券種の銀行券Pは、区分集積装置1A内の集積庫41〜46のいずれかに集積される。
【0038】
次に、紙葉類処理装置の制御系について説明する。
図2は、本実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の構成を概略的に示すものである。
区分集積装置1Aの制御系は、制御部60、記憶部61、取出し制御部62、搬送制御部63、ゲート制御部64、判別部65、ジャム検知部66、および、画像入力部67などにより構成されている。
【0039】
制御部60は、制御手段として機能し、あらかじめ設定した動作プログラムにしたがって区分集積装置1Aの全体動作を制御する。記憶部61は、制御部60により実行される動作プログラムを記憶している。また、記憶部61は、データの記憶用に用いられる。たとえば、記憶部61は、各集積庫41〜46、および、施封装置1Bの集積庫51、52に集積される集積枚数を計数する計数データベースを記憶する。
【0040】
取出し制御部62は、制御部60の制御に基づいて前記取出しローラ10等を駆動制御する。搬送制御部63は、制御部60の制御に基づいて前記搬送路12、表裏反転機構34、搬送路36、搬送路40などの各搬送路を駆動制御する。
【0041】
また、搬送制御部63には、複数のジャム検知センサを兼ねるシフトセンサSS,…が接続されていて、これらシフトセンサSS,…によって搬送中の銀行券Pの位置を逐次把握しながら銀行券Pの搬送を制御するとともに、検知した銀行券Pの位置情報を制御部60へ送るようになっている。
【0042】
シフトセンサSS,…は、たとえば、光学的な透過型センサであり、前述したように搬送路12、表裏反転機構34、搬送路36、搬送路40などの各搬送路に対し所定間隔あけて設置されている。
【0043】
ゲート制御部64は、制御部60の制御に基づいて前記ゲートG1〜G3、G5〜G9を駆動制御する。
【0044】
判別部65は、判別手段として機能し、検知部30の検知結果に基づいて、銀行券Pの真偽および券種を判別する。判別部65は、各センサにより読取った物理的特徴と基準となる物理的特徴とを比較することにより銀行券Pの真偽および券種を判別する。また、判別部65は、検知部30の検知結果に基づく銀行券Pの判別結果を制御部60へ送るとともに、銀行券Pの判別結果に基づき、判別された銀行券Pを種類ごとに計数し、その計数結果を制御部60へ送るようになっている。
【0045】
さらに、判別部65は、当該銀行券Pの表裏、天地、正券、損券を判別する。正券とは、再流通が可能な券であり、損券とは、再流通が不可な券である。つまり、正券か損券かは、銀行券Pの状態(質)の良し悪しにより判別される。判別部65は、銀行券Pの汚れ、破れ、折れ、紙質、テープ貼り等の度合いによって正券か損券かを判別する。
【0046】
ジャム検知部66は、複数のジャム検知センサを兼ねるシフトセンサSS,…からの検知信号に基づき、搬送中の銀行券Pにジャムが発生したか否かを検知する。たとえば、シフトセンサがあらかじめ定められた所定時間以上、連続して銀行券Pを検知した場合はジャムが発生したものと判定し、その判定信号(検知信号)を制御部60へ送るようになっている。
【0047】
画像入力部67は、前記カメラC1,C2,C3で撮像された各画像をA/D変換してデジタル画像として制御部60へ送るようになっている。
【0048】
施封装置1Bの制御系は、制御部70、記憶部71、および、ゲート制御部72などにより構成されている。
制御部70は、あらかじめ設定された動作プログラムにしたがって施封装置1Bの全体動作を制御するもので、前記供給部53、施封機構54、印刷機構55、および、帯供給部56が接続されている。記憶部71は、制御部70により実行される動作プログラムを記憶している。ゲート制御部72は、制御部70の制御に基づいてゲートG4を駆動制御する。
【0049】
端末装置2の制御系は、制御部80、記憶部81、表示部82、および、操作部83などにより構成されている。
制御部80は、あらかじめ設定された動作プログラムにしたがって端末装置2全体の制御を司る。たとえば、制御部80は、操作者からの操作指示に基づいて区分集積装置1Aに対する各種の動作設定などを行なう機能を有する。記憶部81は、制御部80が処理中のデータなどを一時保管するバッファメモリとしても機能する。
【0050】
また、記憶部81は、制御部80により実行される動作プログラムを記憶する。動作プログラムは、表示部82に表示される種々の表示画面(表示データ)を含んでいる。また、記憶部81は、処理データの集計等に用いられる。たとえば、記憶部81は、各紙葉類処理装置1による処理結果を集計してデータベースを作成し記憶する。
【0051】
さらに、記憶部81は、銀行券Pを搬送する各搬送路(搬送路12、表裏反転機構34、搬送路36等)におけるジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画をあらかじめ記憶しているとともに、ジャム処理のための銀行券1枚1枚に対応した詳細な対処方法を示す静止画あるいは動画をもあらかじめ記憶している。ここに、対処方法を示す静止画あるいは動画とは、銀行券Pの取り除き方法および移動方法を静止画もしくは動画
表示部82は、制御部80の表示制御に基づいて操作者に対する操作案内、および、ジャム処理のための静止画あるいは動画などを表示するもので、液晶ディスプレイ装置などにより構成されている。操作部83は、操作者が操作指示を入力するもので、キーボードあるいはマウスなどの入力装置などにより構成されている。
【0052】
なお、表示部82と操作部83とは、たとえば、タッチパネル内蔵の液晶ディスプレイ装置により構成してもよい。さらに、表示部82と操作部83とは、タッチパネル内蔵の液晶ディスプレイ装置とキーボード等の入力装置とを一体化した構成としてもよい。
【0053】
次に、このような構成において、ジャム処理を中心とした動作の流れについて図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0054】
供給部4に銀行券Pをセットして区分処理を開始すると、供給部4にセットされている銀行券Pが1枚ずつ取込まれ、搬送路12で搬送される(ステップS1)。搬送制御部63は、複数のシフトセンサSS,…によって搬送中の各銀行券Pの位置を逐次把握しながら銀行券Pの搬送を制御するとともに、検知した銀行券Pの位置情報を制御部60へ送る(ステップS2)。
【0055】
検知部30は、搬送される銀行券Pから種々の特徴情報を検知し、判別部65へ送る。判別部65は、上述したような銀行券Pの特徴を判別する。判別部65は、検知した特徴情報に基づき銀行券Pの券種等を判別し、その判別結果を制御部60へ送るとともに、その判別結果に基づき、判別された銀行券Pを種類ごとに計数し、その計数結果を制御部60へ送る(ステップS3)。
【0056】
制御部60は、判別部65により判別された銀行券Pの券種に基づき、搬送制御部63およびゲート制御部64を介して搬送路12、表裏反転機構34、搬送路36、搬送路40などの各搬送路および各ゲートG1−G9を制御することで、銀行券Pを種類ごとに対応する集積庫41〜46のいずれかへ区分処理する。
【0057】
各搬送路12、表裏反転機構34および搬送路36に設けられたカメラC1,C2,C3は、当該設置箇所と対応する搬送路の所定範囲の画像(搬送される所定範囲内の銀行券を含む画像)を常時撮像し、画像入力部67へ送っている(ステップS4)。
【0058】
ジャム検知部66は、複数のシフトセンサSS,…からの検知信号に基づき、搬送中の銀行券Pにジャムが発生したか否かを検知する。たとえば、シフトセンサがあらかじめ定められた所定時間以上、連続して銀行券Pを検知した場合はジャムが発生したものと判定し、その判定信号(検知信号)を制御部60へ送る(ステップS5)。
【0059】
制御部60は、銀行券Pのジャムが検知されると、搬送制御部63から得られる銀行券Pの位置情報に基づき、当該ジャム発生箇所の画像を画像入力部67を介してカメラC1,C2,C3のいずれかから取得して端末装置2へ送る(ステップS6)。端末装置2の制御部80は、送られてきたジャム発生箇所の画像を表示部82に表示する(ステップS7)。
【0060】
このとき、端末装置2の制御部80は、当該ジャム発生時、判別部65による計数が済んでいる銀行券Pとまだ済んでいない銀行券Pとの見分けがつくように、表示したジャム発生箇所の画像内の銀行券Pに重ね合わせて所定の枠あるいは特定の色を表示する(ステップS8)。これにより、オペレータは、再度処理を行なう銀行券P、確定している銀行券Pを容易に見分けることができる。
【0061】
また、制御部80は、記憶部81に記憶されているジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画を読出して、表示部82にカメラからの画像と同時に表示する(ステップS9)。この場合、ジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画は、たとえば、表示部82の特定領域に子画面として同時に表示してもよく、あるいは、同時ではなくカメラからの画像に切換えて表示するようにしてもよい。
【0062】
これにより、オペレータは、表示部82に表示された対処方法を示す静止画あるいは動画を目視することにより、紙葉類処理装置内の銀行券Pの対処方法を容易に理解することができる。
【0063】
ここで、オペレータが、表示部82に枠や色などで示された1枚1枚の銀行券Pに対して、操作部83内のマウスなどによりジャム処理する1枚の銀行券Pを選択すると(ステップS10)、制御部80は、記憶部81に記憶されている当該銀行券Pに対応する銀行券1枚1枚に対応した詳細な対処方法を示す静止画あるいは動画を読出して表示部82にカメラからの画像と同時に表示する(ステップS11)。この場合、ジャム処理のための銀行券1枚1枚に対応した詳細な対処方法を示す静止画あるいは動画は、たとえば、ステップS9で表示した画像に代えてカメラからの画像と同時に表示してもよく、あるいは、同時ではなくカメラからの画像に切換えて表示するようにしてもよい。
【0064】
オペレータは、表示部82に表示された対処方法を示す静止画あるいは動画を目視することにより、銀行券1枚1枚に対応した取り除き方法、移動方法を詳細に理解することができる。たとえば、表から銀行券を抜き取った方がよいであるとか、搬送ベルトを回してから銀行券を取り除いた方がよいなどを示すことができる。
【0065】
オペレータは、表示部82に表示された対処方法を示す静止画あるいは動画を目視することにより、それにしたがって当該銀行券Pに対応するジャム処理を行なう(ステップS12)。
【0066】
ジャム処理が終了すると、区分集積装置1Aの制御部60は、ジャム検知部66からの検知信号を確認することにより、ジャム発生箇所が無くなったか否かをチェックし(ステップS13)、まだジャム発生箇所があればステップS7に戻って上記同様な動作を繰り返し、ジャム発生箇所が無くなった場合は当該処理を終了する。
【0067】
次に、本実施形態に係るジャム処理の要部について、具体例を挙げて更に詳細に説明する。
たとえば、図4に示すように、搬送路12上を銀行券PがA、B、C、D、Eの順で搬送されていて、A、B、C、Dまでが検知部30を通過し、計数が行なわれているものとする。各銀行券Pの位置情報については、前述したように搬送路12上に所定間隔で設置された各シフトセンサSSからの信号により把握されている。その状態で銀行券Pのジャムが発生する。
【0068】
図5は、たとえば、Eの位置(検知部30の手前位置)で銀行券Pがジャムした場合を示していて、ジャム発生時に搬送路12を停止させるが、惰性等で銀行券Pが移動する。図5の例は、検知部30にFまで銀行券Pが搬送されているが、実際に計数されているのはDの銀行券Pまでである。
【0069】
ジャムが検知されると、搬送制御部63から得られる銀行券Pの位置情報に基づき、当該ジャム発生箇所の画像、この例ではEの位置(検知部30の手前位置)でジャムが発生しているので、当該ジャム発生箇所に対応するカメラC1で取得した画像(ジャム発生箇所の画像)を端末装置2の表示部82に表示する。図6にその表示例を示しており、これは図5の例に対応している。このとき、表示したジャム発生箇所の画像内の銀行券Pに重ね合わせて、計数済み銀行券P(C、Dの銀行券P)は緑色(図中の斜線部)、未計数銀行券P(E、F、Gの銀行券P)は赤色(図中の交差斜線部)を表示する。
【0070】
これにより、オペレータは、この表示画面を目視することで、計数が済んでいる銀行券Pとまだ済んでいない銀行券Pとの見分けが容易となり、実際の銀行券1枚1枚を処理済み集積部へ移動したり、あるいは、供給部4への移動を行なう。
【0071】
以上説明したように上記実施形態によれば、銀行券のジャムが発生してオペレータがその処理をする場合、対処方法をビジュアルに示す機能を有することにより、オペレータに対し容易に理解できる詳細な対処方法を示すことができるとともに、スループットを向上させることができる。
【0072】
また、銀行券のジャムが発生してオペレータがその処理をする場合、ジャム発生箇所の実画像を表示することにより、オペレータがジャム発生箇所の特定、状況確認を容易に行なうことができる。
【0073】
また、銀行券のジャムが発生してオペレータがその処理をする場合、銀行券1枚1枚の対処方法を静止画あるいは動画で示す機能を有することにより、銀行券1枚1枚に応じた最適なジャム処理をオペレータが理解することができ、かつ、実行することができる。
【0074】
さらに、銀行券のジャムが発生してオペレータがその処理をする場合、対処方法を実際の画像を用いて銀行券1枚1枚の対処方法を示す機能を有することにより、オペレータに未確定の銀行券のみを再処理とするジャム処理を行なうことができる。
【符号の説明】
【0075】
1…紙葉類処理装置本体、1A…区分集積装置、1B…施封装置、2…端末装置、4…供給部、10…取出しローラ、12…搬送路、15…搬送ローラ、30…検知部、41〜46…集積庫、60…制御部、61…記憶部、62…取出し制御部、63…搬送制御部、64…ゲート制御部、65…判別部、66…画像入力部、67…ジャム検知部(ジャム検知手段)、80…制御部、81…記憶部、82…表示部、83…操作部、C1,C2,C3…カメラ(撮像手段)、SS…シフトセンサ(ジャム検知センサ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部にセットされた紙葉類を1枚ずつ取込む取込手段と、
この取込手段により取込まれた紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段により搬送される紙葉類に対し少なくとも種類を判別する判別手段と、
この判別手段の判別結果に基づき、判別された紙葉類を種類ごとに計数する計数手段と、
前記判別手段の判別結果に基づき、前記搬送手段により搬送されてくる紙葉類を種類ごとに区分して集積する集積手段と、
前記搬送手段に対して設けられ、搬送される紙葉類のジャムを検知するジャム検知手段と、
前記搬送手段の近傍で、前記ジャム検知手段に対応して設置され、当該設置箇所と対応する前記搬送手段の所定範囲の画像を撮像する撮像手段と、
前記搬送手段におけるジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画をあらかじめ記憶している記憶手段と、
前記ジャム検知手段が紙葉類のジャムを検知すると、当該ジャム発生箇所の画像を前記撮像手段から取得して表示するとともに、前記記憶手段に記憶されているジャム処理のための対処方法を示す静止画あるいは動画を表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、ジャム発生時、前記計数手段による計数が済んでいる紙葉類とまだ済んでいない紙葉類との見分けがつくように、表示したジャム発生箇所の画像内の紙葉類に重ね合わせて所定の枠あるいは特定の色を表示することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、ジャム処理のための紙葉類1枚1枚に対応した詳細な対処方法を示す静止画あるいは動画をもあらかじめ記憶していて、
前記表示手段に表示されたジャム発生箇所の画像内の各紙葉類を選択する選択手段をさらに具備し、
前記表示手段は、前記選択手段により紙葉類が選択された場合、当該紙葉類に対応する紙葉類1枚1枚に対応した詳細な対処方法を示す静止画あるいは動画を前記記憶手段から取出して表示することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−64061(P2012−64061A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208632(P2010−208632)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】