説明

紙葉類検出装置およびプリント装置

【課題】紙葉類の有無および位置を常に的確に把握しながら、紙葉類検知用のセンサの個数を減らすことができる紙葉類検出装置およびプリント装置を提供する。
【解決手段】紙葉類Tを搬送する搬送路1と、この搬送路1の搬送方向に沿って設けられ、かつ前記紙葉類Tの最小長より長い間隔で配置された紙葉類検知用の複数のセンサと、この各センサP0,P1,…P11の出力およびその相互関係に基づき、前記紙葉類Tの位置情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送される紙葉類の有無および位置を検出する紙葉類検出装置およびプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類たとえば通帳への印字を行うプリント装置は、挿入口に通帳が挿入されると、その通帳を取込み、取込んだ通帳をドットヘッドまで搬送する。ドットヘッドは、通帳の空き印字欄にデータを印字する。そして、印字が済んだ通帳を挿入口まで搬送し、挿入口の外へ送り出す。挿入口からドットヘッドの周辺にかけての搬送路には、通帳を搬送するための多数の搬送ローラを設けるとともに、通帳の有無および位置を光学的に検知するための多数のセンサを設けている。
【0003】
各センサは、通帳の有無および位置を常に把握しておくことができるよう、通帳の最小長より短い間隔に配置される。
【0004】
このような通帳等の紙葉類を光学的に検知するセンサを有するものとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、各センサを通帳の最小長より短い間隔で配置すると、センサの個数が多くなり、コストの上昇を招くという問題がある。
【0006】
この発明は、上記の事情を考慮したもので、その目的は、紙葉類の有無および位置を常に的確に把握しながら、紙葉類検知用のセンサの個数を減らすことができる紙葉類検出装置およびプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の紙葉類検出装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、この搬送路の搬送方向に沿って設けられ、かつ前記紙葉類の最小長より長い間隔で配置された紙葉類検知用の複数のセンサと、この各センサの出力およびその相互関係に基づき、前記紙葉類の位置情報を生成する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明の紙葉類検出装置およびプリント装置によれば、紙葉類の有無および位置を常に的確に把握しながら、紙葉類検知用のセンサの個数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態に関わるプリント装置の全体的な構成を示す図。
【図2】一実施形態の制御回路のブロック図。
【図3】一実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】一実施形態において順方向に搬送される通帳がまだ両センサに対応していない状態を示す図。
【図5】図4に続いて通帳が手前のセンサに対応した状態を示す図。
【図6】図5に続いて通帳が両センサ間に移動した状態を示す図。
【図7】図6に続いて通帳が奥側のセンサに対応した状態を示す図。
【図8】図7に続いて通帳が両センサの位置を通過した状態を示す図。
【図9】通帳が逆方向に搬送されて奥側のセンサに対応した状態を示す図。
【図10】図9に続いて通帳が両センサ間に移動した状態を示す図。
【図11】図10に続いて通帳が手前のセンサに対応した状態を示す図。
【図12】図11に続いて通帳が両センサの位置を通過した状態を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、この発明に関わるプリント装置の全体的な構成を図1に示す。
図1において、1は搬送路で、紙葉類である通帳Tを始端である通帳挿入口1aから終端1bにかけて順方向に搬送するとともに、終端1bに達した通帳Tを通帳挿入口1aに向けて逆方向に搬送する。
【0011】
この搬送路1上の通帳挿入口1aの近傍にインサータシャッタ2が開閉自在に設けられ、搬送路1の中途部にアライメントシャッタ3が設けられる。搬送路1の終端1b側には、通帳Tに対するドットマトリックスプリントを行うドットヘッド4が設けられる。このドットヘッド4は、搬送路1の搬送方向と直交する方向に移動可能で、通帳Tの空き印字欄に文字情報を印字する。
【0012】
搬送路1上の通帳挿入口1aに、紙葉類検知用の複数のセンサP0,P1,P2A,P2Bが配設される。これらセンサP0,P1,P2A,P2Bは、通帳挿入口1aにおける通帳Tの有無を光学的に検知する。さらに、搬送路1上にかつその搬送方向に沿って、紙葉類検知用の複数のセンサP3,P4,…P11が配設される。これらセンサP3,P4,…P11は、通帳Tの有無および位置を光学的に検知する。これらセンサP3,P4,…P11のうち、センサP9,P10はドットヘッド4を挟む位置に存している。
【0013】
また、センサP3,P4,…P11のうち、ドットヘッド4を挟む位置に存する少なくともセンサ(第1センサ)P9およびセンサ(第2センサ)P10については、その相互間隔Dpが、通帳Tの搬送方向に沿う最小長Dtよりも長い距離に設定されている。
【0014】
制御回路を図2に示す。
10はプリント装置の制御部で、上位装置(ホスト装置ともいう)20に接続される。そして、制御部10に、上記センサP0,P1,…P11、インサータシャッタ2、アライメントシャッタ3、ドットヘッド4、搬送路1における出入ローラ11および搬送ローラ13a…13nが接続される。出入ローラ11は、通帳挿入口1aに挿入される通帳Tを取込むとともに、ドットヘッド4の印字が済んで逆方向に搬送されてくる通帳Tを通帳挿入口1aに外に送り出す。搬送ローラ13a…13nは、通帳Tの順方向および逆方向の搬送を行う。
【0015】
制御部10は、通帳Tの搬送および通帳Tの検出に関する主要な機能として、次の(1)の手段を有する。
(1)センサP0,P1,…P11の出力およびその相互関係に基づき、搬送路1における通帳Tの位置情報を生成する制御手段。具体的には、センサP0,P1,…P11の出力およびその相互関係だけでなく、それに搬送路1の搬送方向を加味して、通帳Tの位置情報を生成する。
【0016】
この制御部10の手段(1)とセンサP0,P1,…P11とにより、紙葉類検出装置が構成される。
【0017】
つぎに、図3のフローチャートを参照しながら、動作について説明する。ここでは、センサP0,P1,…P11のうち、センサP9,P10の動作について説明する。
【0018】
通帳Tが搬送路1上を搬送されるとき、センサP9,P10がオンする(ステップ101,102)。
【0019】
通帳Tの搬送方向が順方向で(ステップ103のYES)、図4に示すように通帳TがセンサP9,P10のどちらにも対応せず、センサP9,P10の出力信号が共に論理“0”のとき(ステップ104のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0(論理“0”)、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0(論理“0”)、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0(論理“0”)が生成される(ステップ105)。
【0020】
続いて、図5に示すように通帳TがセンサP9に対応してセンサP10にはまだ対応せず、センサP9の出力信号が論理“1”、センサP10の出力信号が論理“0”になると(ステップ106のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=1(論理“1”)、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0(論理“0”)、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0(論理“0”)が生成される(ステップ107)。
【0021】
続いて、図6に示すように通帳TがセンサP9,P10の中間位置に対応し、センサP9,P10の出力信号が共に論理“0”になると(ステップ108のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=1、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=1(論理“1”)、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0が生成される(ステップ109)。
【0022】
続いて、図7に示すように通帳TがセンサP9から離れてセンサP10に対応し、センサP9の出力信号が論理“0”、センサP10の出力信号が論理“1”になると(ステップ110のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=1が生成される(ステップ111)。
【0023】
続いて、図8に示すように通帳TがセンサP9,P10の位置を通過し、センサP9,P10の出力信号が共に論理“0”になると(ステップ104のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0が生成される(ステップ105)。
【0024】
こうして、通帳Tが順方向に搬送されるのに伴い、通帳Tの空き印字欄に対し、ドットヘッド4によって文字情報が印字される。
【0025】
印字の済んだ通帳Tが逆方向に搬送され(ステップ103のNO)、通帳Tが図8のようにまだセンサP9,P10のどちらにも対応せず、センサP9,P10の出力信号が共に論理“0”であるとき(ステップ112のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0が生成される(ステップ113)。
【0026】
続いて、図9に示すように通帳TがセンサP10に対応してセンサP9にはまだ対応せず、センサP9の出力信号が論理“0”、センサP10の出力信号が論理“1”になると(ステップ114のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=1が生成される(ステップ115)。
【0027】
続いて、図10に示すように通帳TがセンサP9,P10の中間位置に対応し、センサP9,P10の出力信号が共に論理“0”になると(ステップ116のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=1、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=1が生成される(ステップ117)。
【0028】
続いて、図11に示すように通帳TがセンサP10から離れてセンサP9に対応し、センサP9の出力信号が論理“1”、センサP10の出力が論理“0”になると(ステップ118のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=1、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0が生成される(ステップ119)。
【0029】
続いて、図12に示すように通帳TがセンサP9,P10の位置を通過し、センサP9,P10の出力信号が共に論理“0”になると(ステップ112のYES)、センサP9対応の位置情報AとしてPP9_Status=0、センサP9およびセンサP10の中間位置対応の位置情報BとしてBetweenP9P10=0、センサP10対応の位置情報CとしてPP10_Status=0が生成される(ステップ113)。
【0030】
生成される位置情報A,B,Cは、一定時間ごとの送信タイミングにおいて、上位装置20に送信される。上位装置20は、送られてくる位置情報A,B,Cを監視することにより、通帳Tの有無および位置を的確に把握することができる。
【0031】
とくに、通帳TがセンサP9,P10の相互間に存する場合でも、その通帳Tの有無および位置を表わす位置情報A(PP9_Status)、位置情報B(BetweenP9P10)、位置情報C(PP10_Status)が生成されるので、たとえセンサP9,P10の相互間隔Dpが通帳Tの搬送方向に沿う最小長Dtよりも長い距離に設定されていて、通帳Tの有無および位置を常に的確に把握することができる。
【0032】
センサP9,P10の相互間隔Dpを通帳Tの搬送方向に沿う最小長Dtよりも長い距離に設定できるので、通帳検知用のセンサの個数を減らすことができ、コストの低減が図れる。
【0033】
なお、上記実施形態では、2つのセンサP9,P10の相互間隔Dpが通帳Tの最小長Dtよりも長い距離である場合を例に説明したが、他のセンサの相互間距離についても同様に設定可能であり、センサの個数をさらに削減することができる。また、紙葉類として通帳Tを例に説明したが、通帳Tに限らず、他の用紙を搬送する場合にも同様に実施できる。その他、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…搬送路、1a…通帳挿入口(始端)、1b…終端、4…ドットヘッド、P1,P2,…P11……センサ、T…通帳(紙葉類)10…制御部、13a…13n……搬送ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開2008−13289号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送する搬送路と、
この搬送路の搬送方向に沿って設けられ、かつ前記紙葉類の最小長より長い間隔で配置された紙葉類検知用の複数のセンサと、
この各センサの出力およびその相互関係に基づき、前記紙葉類の位置情報を生成する制御手段と、
を備えることを特徴とする紙葉類検出装置。
【請求項2】
前記搬送路は、始端および終端を有し、始端から終端にかけて前記紙葉類を順方向に搬送するとともに、終端から始端にかけて前記紙葉類を逆方向に搬送する、
前記制御手段は、前記各センサの出力、これら出力の相互関係、および前記搬送路の搬送方向に基づき、前記紙葉類の位置情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類検出装置。
【請求項3】
前記各センサは、前記搬送路の始端から終端にかけて設けられた少なくとも第1および第2センサであり、
前記制御手段は、
前記紙葉類の搬送方向が順方向で、紙葉類がまだ前記第1および第2センサのどちらにも対応しないとき、第1センサ対応の位置情報として論理“0”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第2センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第1センサに対応して第2センサにはまだ対応しないとき、第1センサ対応の位置情報として論理“1”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第2センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第1および第2センサの中間位置に移動したとき、第1センサ対応の位置情報として論理“1”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“1”、第2センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第1センサに対応せず第2センサに対応したとき、第1センサ対応の位置情報として論理“0”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第2センサ対応の位置情報として論理“1”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第1および第2センサの位置を通過したとき、第1センサ対応の位置情報として論理“0”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第2センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、
前記紙葉類の搬送方向が逆方向で、紙葉類がまだ第2および第1センサのどちらにも対応しないとき、第2センサ対応の位置情報として論理“0”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第1センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第2センサに対応して第1センサにはまだ対応しないとき、第2センサ対応の位置情報として論理“1”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第1センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第1および第2センサの中間位置に移動したとき、第2センサ対応の位置情報として論理“1”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“1”、第1センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第2センサに対応せず第1センサに対応したとき、第2センサ対応の位置情報として論理“0”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第1センサ対応の位置情報として論理“1”を生成する手段と、続いて、紙葉類が第2および第1センサの位置を通過したとき、第2センサ対応の位置情報として論理“0”、第1および第2センサの中間位置対応の位置情報として論理“0”、第1センサ対応の位置情報として論理“0”を生成する手段と、
を有する、
ことを特徴とする請求項2記載の紙葉類検出装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3のいずれか記載の紙葉類検出装置を有するとともに、前記紙葉類に情報を印字するヘッドを有することを特徴とするプリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−57378(P2011−57378A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208792(P2009−208792)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】