説明

紙葉類集積装置

【課題】 羽根車集積装置直前にベルトに段差を持たせた段違い配置レイアウトを設け、紙葉類に強制的な変形加えることにより紙葉類に剛性を持たせた後羽根車集積を行うことによって、腰の弱い紙葉類の集積を行うことができる紙葉類集積装置を提供する。
【解決手段】 羽根車は3枚ベルトによる段違いベルト配置に対応して、3枚の羽根を1組として複数組回転軸の周囲に配置する。この段違い配置に対応して、3枚羽根の中央の羽根の先端部の開口角を大きくし、それ以外の羽根の開口角を小さくする。ただし、3枚羽根の根元部分は均一で平坦にする。紙葉類は剛性が低いため、座屈などが発生しやすい。そこで、紙葉類を羽根車集積部430bに送り込む直前に、紙葉類に強制的な変形を加えることにより、羽根への直進安定性が向上し、座屈や引っ掛かりによる挙動不安定な動作が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣など紙葉類を処理する紙葉類処理装置に搭載される集積装置に関し、特に、腰の弱い紙葉類集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、集積した状態で投入された1ロット分の紙葉類を紙葉類取出装置によって1枚ずつ取り出し、後段の処理部へ搬送する。このようにして搬送された紙葉類は、例えば、搬送路上に設けられた紙葉類判別装置を通過したときに、搬送先に関する情報が検出され、この検出結果に基づいて搬送路上に設けられた複数の振分ゲートが切り換えられて、所定の搬送先へ搬送されて集積処理又は施封処理が行われる。
【0003】
集積処理は、このようにして振り分けられた紙葉類を紙葉類集積装置によって集積する。近年高速に搬送される紙葉類の集積手段として羽根車集積装置が用いられるようになった。この羽根車集積装置は、高速に搬送される紙葉類が連続かつ等間隔に搬送される場合に適しており、高速に搬送される紙葉類の運動エネルギーを吸収し、かつ一時集積庫に静止して集積するために適していることによる。羽根車集積装置は、羽根車集積装置の羽根間に1枚ずつ取り込み、一次集積庫に集積する(例えば、特許文献1参照。)。ここで、1ロット分の区分集積が完了すると、これら各一時集積庫の排出口(シャッター)を開放して、各一時集積室に対応したカセットに押込み部材(押込板)により押圧して収納している。
【0004】
また、施封処理は、施封するように指定された紙葉類が一次集積庫に集積され、例えば100枚に達する毎に帯巻部に搬送され紙帯で施封される。
【0005】
集積処理又は施封処理の何れにも使用される羽根車集積装置は、羽根間の奥に紙葉類を正しく入れることによって十分な機能を果たすことから、紙葉類を奥まで入れる方法として、羽根車の羽根との間隔をぎりぎりまで短くして搬送ベルトを配置したり、ベルトを羽根にオーバラップさせたり、ガイドを羽根に入れ子にするなどの方法が用いられてきた。
【特許文献1】特開平2−175559号公報 (第1―3頁、第1図−第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の方法は、形状の異なる紙葉類、折り癖のある紙葉類、一部破損した券質の悪い劣悪券などを羽根車集積装置の羽根間に送り込むのは困難であるという問題があった。例えば、折り癖のある紙葉類は羽根間に座屈したり、破損した紙葉類の一部が引っかかったりして、羽根間の奥に入り込まないという問題である。また、これらの紙葉類は、ジャムや脱落を生じやすいと言う問題もあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、羽根車集積装置直前に、ベルトに段差を持たせた段違い配置レイアウトを設け、このレイアウトにより紙葉類に強制的な変形加えることによって剛性を持たせた後、羽根車集積を行うことによって腰の弱い紙葉類の集積を行うことができる紙葉類集積装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類集積装置は、搬送される紙葉類を集積する集積装置であって、紙葉類を挟持して搬送する少なくとも3対の搬送ベルトを有し、その3対の搬送ベルトの中で搬送方向の略中央に配置した1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さと、搬送方向の両サイドに配置したそれぞれ1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さとを段違い配置した搬送手段と、この搬送手段によって送り出された紙葉類を回転軸の周りに配置した羽根間で取り込む羽根車と、この羽根車に取り込まれた紙葉類を集積する集積庫とを有する羽根車集積装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2記載の紙葉類集積装置は、搬送される紙葉類を集積する集積装置であって、紙葉類を挟持して搬送する少なくとも3対の搬送ベルトを有し、その3対の搬送ベルトの中で搬送方向の略中央に配置した1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さと、搬送方向の両サイドに配置したそれぞれ1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さとを段違い配置した搬送手段と、この搬送手段によって送り出される前記紙葉類の高さに合わせて、前記羽根間の開口角を段違い配置した3枚羽根を1組として回転軸の周りに複数組配置した羽根間で前記紙葉類を取り込む羽根車と、この羽根車に取り込まれた前記紙葉類を集積する集積庫とを有する羽根車集積装置とを備えたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の請求項3記載の紙葉類集積装置は、搬送される紙葉類を集積する集積装置であって、紙葉類を挟持して搬送する少なくとも3対の搬送ベルトを有し、その3対の搬送ベルトの中で搬送方向の略中央に配置した1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さと、搬送方向の両サイドに配置したそれぞれ1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さとを段違い配置した搬送手段と、この搬送手段によって送り出される前記紙葉類の高さに合わせて、前記羽根間の開口角を段違い配置した1枚羽根を回転軸の周りに複数組配置した羽根間で前記紙葉類を取り込む羽根車と、この羽根車に取り込まれた前記紙葉類を集積する集積庫とを有する羽根車集積装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、羽根車集積装置直前にベルトに段差を持たせた段違い配置レイアウトを設け、紙葉類に強制的な変形加えることによって剛性を持たせてから羽根車集積を行うことによって、腰の弱い紙葉類の集積を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明による紙葉類集積装置を搭載した紙葉類処理装置の概略断面図である。この紙葉類処理装置は、紙葉類処理部1と主制御部500とで構成される。紙葉類処理部1は、複数券種の、サイズの異なる複数枚の紙葉類Pを混在させて一括して投入したものに対し、主制御部500の操作部502からの指定に基づき、例えば、処理する紙葉類Pの搬送状態を表面で正立した状態に揃えて券種毎に集積するものである。この際、操作部502から施封部4の一時集積部422a、422bに集積後施封する紙葉類の種類、及び集積部430a〜430fのカセットに集積する紙葉類の種類(以下、紙葉類の種類を券種と称する。)を指定することができる。
【0014】
ここで、紙葉類Pが搬送されるときの搬送状態について説明する。紙葉類Pは、表(Face:表を上にした状態)、裏(Back:裏を上にした状態)、正(Foward:紙葉類の表もしくは裏の印刷が正立した状態)、逆(Reverse:紙葉類の表もしくは裏の印刷が倒立した状態)の4種類あり、これらを組み合わせた表正FF、表逆FR、裏正BF、裏逆BRからなる4種類の搬送状態が形成される。
【0015】
紙葉類処理部1は、紙葉類Pを供給する供給部10と、この供給部10から供給された紙葉類Pを1枚ずつ取り出す紙葉類取出装置200と、この紙葉類取出装置200によって取り出された紙葉類Pを搬送する搬送路(搬送手段)16とを有している。また、この搬送路16によって搬送される紙葉類Pの搬送ピッチを補正する搬送ピッチ補正部210が配置されている。さらに、この搬送ピッチ補正部210によって搬送ピッチが補正された紙葉類Pを1枚ずつ判別する紙葉類判別装置19が配置されている。この紙葉類判別装置19の判別結果に基づき紙葉類Pの搬送状態を揃えるために反転する反転処理部が配置されている。このようにして搬送状態の揃えられた紙葉類Pは、区分方法を設定する設定手段に基づいて施封する施封部4、及び券種毎に集積する集積部(集積手段)430a〜430fに集積される(区分手段)。
【0016】
また、紙葉類処理部1はインターフェース501を介して主制御部500に接続されている。
【0017】
上記供給部10は、4種類の搬送状態が混在する紙葉類Pを当接して整位するステージ11と、ステージ11に対して鉛直方向に立設したバックアッププレート12とで構成されている。また、このバックアッププレート12は、バネ13の付勢力によってステージ11に沿って左側に移動可能になっている。このようにして供給された紙葉類Pは、バックアッププレート12によりピックアップローラ5側に圧接される。
【0018】
搬送ピッチ補正部210は、搬送ローラ211の搬送方向下流に近接して設置されて紙葉類Pを検知するタイミングセンサSC1と、搬送ローラ駆動モータ212からの駆動力によって回転速度を可変することができる搬送ローラ213と、この搬送ローラ213に対向配置されたピンチローラ214及び搬送ローラ駆動モータ212を制御する搬送ピッチ制御部(図示なし)とで構成される。
【0019】
振分ゲートG1は、例えば、リジェクト券と、処理券とに振り分けるゲートである。リジェクト券とは、紙葉類判別部20で判別された紙葉類Pが偽券または折れ、破れ、スキューなどにより判別のできない「判別不能券」を指し、その判別信号を搬送制御部26が受信すると、振分ゲートG1を右側(時計方向)に回動することにより、判別不能券をリジェクト集積部80に集積する。
【0020】
また、「処理券」とは、紙葉類判別部20で判別された紙葉類Pが真券で正券(Fit:再流通可能券)、又は真券で損券(UnFit:流通不能券)を指し、その判別信号を搬送制御部26が受信すると、振分ゲートG1を左側(反時計方向)に回動する。
【0021】
反転処理部は、スイッチバック反転部3及び表裏反転部9で構成され、取り揃える方向により上記スイッチバック反転部3及び表裏反転部9の一方、若しくは両方が使用される。
【0022】
スイッチバック反転部3は、搬送ローラ対300、301の搬送方向下流に近接して設置されて紙葉類Pを検知するタイミングセンサSC2と、このタイミングセンサSC2の搬送方向下流に近接して設置された振り分けゲートG10、G11と、反転処理部取り込みローラ302、303とによって反転部311に取り込まれる。
【0023】
反転部311は、取り込んだ紙葉類Pを図示矢印A31の方向に搬送するために正回転する逆転ローラ304及びピックアップローラ305と、この逆転ローラ304を駆動する逆転ローラ駆動モータ310と、搬送ローラ306、307とで構成される。
【0024】
また、反転部311に取り込んだ紙葉類Pを反転するために図示矢印A32の方向に搬送し、スイッチバック反転部3から放出するための搬送ローラ308、309が設けられている。
【0025】
ここで、逆転ローラ304は、紙葉類Pを図示矢印A31の方向に搬送する場合は正回転し、図示矢印A32の方向に搬送する場合は逆回転する。
【0026】
振分ゲートG2は、表裏正逆振分ゲートである。紙葉類判別部20で判別された紙葉類Pの搬送状態の結果に基づき、表裏反転を必要とする場合に右側(時計方向)に回動し、紙葉類Pを図示矢印A6で示す表裏反転部9を通過させる。また、表裏反転を必要としない場合、振り分けゲートG2を、左側に回動し、紙葉類Pを図示矢印A4で示す方向に搬送させる。
【0027】
表裏反転部9は、紙葉類判別装置19の紙葉類判別部20で判別された紙葉類Pの搬送状態の表裏を反転する。例えば搬送状態が裏逆(BF)の場合、表裏反転部9によって表正FFになる。
【0028】
振り分けゲートG3は、搬送される紙葉類Pを施封部4と集積部430a〜430fに振り分ける振り分けゲートである。搬送される紙葉類Pが主制御部500によって施封するように指定された券種の場合、搬送制御部26は、振り分けゲートG3を右側(時計方向)に回動し、紙葉類Pを施封部4のある図示矢印A40の方向に搬送する。また、それ以外の券種の紙葉類Pは、ゲートG3からゲートG4〜G8を経由して集積部430a〜430fに集積するように振り分けられる。
【0029】
施封部4及び集積部430a〜430fは、紙葉類が搬送される搬送路から分離するために搬送路の終端に紙葉類を集積する集積装置として羽根車集積装置が設けられている。
【0030】
この羽根車集積装置は、羽根車421、一時集積部421、422a、422b、及び集積を補佐する装置(後述する)で構成される。
【0031】
羽根車421は、複数の羽根が回転軸の周辺に組み込まれており、搬送されてきた紙葉類を羽根と羽根の間(以下、羽根間と称する。)で受け取れるように紙葉類の搬送に同期して回転している。この羽根車を使用することによって、高速に搬送される紙葉類の運動エネルギーを吸収しながらかつ、整位された状態で一時集積部に集積される。
【0032】
一時集積部は、集積部430a〜430fで使用される一時集積部421と、施封部4の一時集積部422a、422bとでは以降で処理する目的が異なるために形態が異なっている。
【0033】
集積部430a〜430fで使用される一時集積部432にはシャッター433が備えられており、このシャッター433に紙葉類を集積する。そして、このシャッター433に集積された紙葉類は、例えば満杯になったとき、又は業務終了指示(図示しない)などがあると、シャッター433が開き、シャッター433下部に設けられたカセット438に落下して集積される。
【0034】
一方、施封部4の一時集積部422a、422bでは、バックアッププレート423a、423bに集積された紙葉類が100枚に達すると、搬送キャリア404に渡され、帯巻き部410で帯巻きする工程に移る(詳細は、後述する。)。
【0035】
施封部4(施封手段)は、施封搬送路401a、401bによって搬送された紙葉類Pを集積する一時集積部(集積庫)422a、422b、集積された紙葉類を搬送する搬送部、及び搬送された紙葉類を印刷された紙帯で施封する紙帯部とで構成される。以下、施封部4の各部構成について説明する。
【0036】
一時集積部422a、422bは、搬送される紙葉類Pを計数し100枚毎に区分して集積するバックアッププレート423a、423bを備えている。
【0037】
搬送部は、縦搬送路402a、402b、搬送キャリア404、及び横搬送路405から構成される。縦搬送路402a、402bは、バックアッププレート423a、423bで受けた100枚紙葉類412を上昇又は下降するためのものである。また、搬送キャリア404は、縦搬送路402a又は縦搬送路402bの停止位置でバックアッププレート423a又は423bから100枚紙葉類412を受け、施封トレイ(図示しない)に渡すために横搬送路405上を往復移動することができるように構成される。
【0038】
紙帯部は、施封トレイに積載された100枚紙葉類412を施封するための紙帯408と、紙帯408に印刷するための印刷部409と、100枚紙葉類412を印刷済み紙帯で施封する帯巻き部410、及び施封部4を制御する施封制御部400とで構成される。
【0039】
図2は、紙葉類判別装置19及び主制御部500の構成を示すブロック図である。紙葉類判別装置(判別手段)19は、紙葉類Pの判別を行う紙葉類判別部20と、搬送される紙葉類Pの行き先を決定する搬送制御部26とで構成される。
【0040】
紙葉類判別部20は、紙葉類Pの材質に関わる光学的特性や磁気的特性を検出するための複数のセンサ1〜n、これらセンサ1〜nの出力信号を増幅する増幅回路1〜n、この増幅回路1〜nの出力信号を処理する処理手段から構成される。この処理手段は、A/D変換するためのA/D変換部24、このA/D変換部24でA/D変換されたデータを論理演算する論理回路部23、この論理回路部23の出力信号から真偽(本物か偽物か)、正損(正券か損券か)を判別する他、紙葉類判別部20の全体を制御するCPU21と、このCPU21によってアクセスされる記憶部25、及びCPU21で判別された結果やデータを主制御部500との間で通信するためのI/F部22とで構成される。
【0041】
また、搬送制御部26は、紙葉類判別部20の判別結果により、搬送される紙葉類Pの行き先を決定して、紙葉類Pの搬送制御を行うCPU27と、このCPU27によってアクセスされる記憶部29と、紙葉類判別部20とのI/F部28とで構成される。
【0042】
このように構成された紙葉類処理部1は、紙葉類Pの搬送を制御する搬送制御部26と、この搬送制御部26によって搬送された紙葉類Pを施封する施封制御部400によって制御される。
【0043】
すなわち、紙葉類Pが紙葉類処理装置に供給されてから、主制御部500の操作部502空操作員によって施封するように指定された券種は施封部4に搬送され、それ以外の券種はリジェクト集積部80、又は集積部430a〜430fに収納される。
【0044】
図3は、集積部430a及び430bの正面図である。集積部430a〜430fは同一部品によって構成されているため、集積部430bを説明し、その他の集積装置については省略し、異なる部分については後述する。
【0045】
集積部430bは、集積搬送路439bから搬送されてくる紙葉類を受け取る羽根車421、羽根車421が受け取った紙葉類を集積する一時集積部432が備えられている。
【0046】
一時集積部432には、紙葉類を集積するときの底部に配置され、かつ、左右に開閉可能なシャッター433、このシャッター433に集積された紙葉類を整位するための整位装置435、436が配置されている。また、この一時集積部432には掻き出し装置437bが設けられており、集積中に羽根車421に引っかかった紙葉類を、羽根車421が回転するときに掻き出すことができる。
【0047】
シャッター433は、2枚の板状体で構成され、紙葉類の積載方向と直交する方向に開閉自在に設けられている。実施例では、概略中央で交差するように設けた2枚の板状体が同時に開閉できるようにしてある。
【0048】
整位装置435は、紙葉類の搬送方向に直交する方向の紙葉類の集積時の位置ずれを整位し、整位装置436は、紙葉類の搬送方向の紙葉類の集積時の位置ずれを整位する。
【0049】
このように構成されたシャッター433の上に集積された紙葉類は、一時集積部432が満杯になると、満杯検知センサ(図示しない)によって満杯が検知される。この満杯検知の結果、2枚の板状体であるシャッター433が開き、このシャッターの上に集積された紙葉類が図1に示すカセット438に設けられたバックアッププレート(図示しない)の上に落下して集積される。さらに、プッシャー434が下降し、集積された紙葉類を押圧し、カセット438内部に押込む。
【0050】
カセット438に収納された紙葉類が満杯になったときには、満杯検知(図示しない)によって検知される。この満杯検知の結果に基づき、操作員は操作部500からカセット438の交換業務を行うことができる。このときは、装置に対するカセット438のロック機構が解除される。
【0051】
操作員は、ロック解除されたカセット438を装置から取り外し、紙葉類をカセットから抜き取り、カセットを元の位置にもどす。そして、この一連の作業によるカセット交換終了とともに、解除したロックを再度ロックする。
【0052】
図4は、劣悪紙葉類の一例である。図4(1)は、破れた紙葉類の一例であり、(図4)(2)は、真中折れ紙葉類の一例である。
【0053】
図5は、羽根車集積装置に紙葉類Pが座屈した場合の一例である。この図で分かるように、羽根間に座屈した紙葉類Pは挿入された様子を示しており、この場合は、紙葉類が座屈しているために、奥まで挿入されない状態が発生する。
【0054】
図6は、段違いベルト配置による紙葉類の強制変形を示す斜視図である。図6(1)は段違いベルト配置図の一例で、図6(2)は、ベルトを段違い配置したときのベルト配置を示す断面を示す。
【0055】
紙葉類は剛性が低いため、もともと座屈などが発生しやすい。そこで、紙葉類を羽根車集積部430bに送り込む直前に、紙葉類に強制的な変形(曲げ)を加えることにより、羽根への直進安定性(突入性)を向上させることによって、座屈や引っ掛かりによる挙動不安定な動作を低減することができる。そのために本実施例では、ベルトを段違いに配置した段違いベルト配置によって紙葉類を強制変形し剛性を高くした一例である。
【0056】
図7は、実施例1による段違いベルト配置の正面図である。本実施例では、搬送方向に配置した3枚ベルトの中央のベルト配置位置を高くし、それ以外のベルト位置を低くしてある。
【0057】
図8は、実施例1による段違いベルト配置に対応した3枚羽根による羽根車の斜視図である。図8(1)は、全体図で、図8(2)は羽根部の詳細図である。この羽根車は3枚ベルトによる段違いベルト配置に対応して、3枚の羽根を1組として複数組回転軸の周囲に配置して構成してある。図7に示す段違いベルト配置に対応して、3枚羽根の中央の羽根の先端部の開口角を大きくし、それ以外の羽根の開口角を小さくしてある。ただし、3枚羽根の根元部は平坦にしてある。
【0058】
このような構成にすることによって、強制的に変形されて挿入された紙葉類は、羽根先端の中央部分の開口角が大きいために取り込み易く、取り込まれた紙葉類は挿入されながら徐々に原型に復帰することになる。
【実施例2】
【0059】
図9は、実施例1による段違いベルト配置に対応した1枚羽根441aで構成した羽根車441の斜視図である。図9(1)は、本実施例の羽根車441の斜視図である。この羽根車441及び1枚羽根441a以外の部分は図1に示す実施例1と同様であるためその説明は省略し、羽根車441及び1枚羽根441aの部分のみ説明する。
【0060】
上記羽根車441は、3枚ベルトによる段違いベルト配置に対応して、変形した1枚羽根441aで構成し、この1枚羽根441aを複数枚、回転軸の周囲に配置して構成したものである。
【0061】
図9(2)は、上記1枚羽根441aの斜視図である。図示されているように、1枚羽根441a先端の中央部分を凸形状にし、根元部は平坦にしてある。この構造によって、強制的に変形されて挿入された紙葉類は、中央部の開口角が大きいために取り込みやすく、取り込まれた紙葉類は挿入されながら徐々に原型に復帰することになる。
【0062】
この場合も図8に示す実施例1の羽根車と同様の集積効果が得られる。
【0063】
このような構成にすることによって、3枚羽根が1枚羽根になることから、製造及び組み立てが容易になり、実施例1に比べて安価に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例による紙葉類集積装置を搭載した紙葉類処理装置の概略断面図。
【図2】紙葉類判別装置及び主制御部の概略構成図。
【図3】羽根車集積装置の正面図。
【図4】劣悪紙葉類の一例。
【図5】羽根車集積装置に紙葉類が座屈した場合の一例。
【図6】段違いベルト配置による紙葉類の強制変形を示す斜視図。
【図7】実施例1による段違いベルト配置の正面図。
【図8】実施例1による段違いベルト配置に対応した3枚羽根で構成した羽根車の斜視図。
【図9】実施例2による段違いベルト配置に対応した1枚羽根で構成した羽根車の斜視図。
【符号の説明】
【0065】
P 紙葉類
G1〜G8 振り分けゲート
G10〜G12 振分ゲート
1 紙葉類処理部
3 スイッチバック反転部
4 施封部
401a、401b 施封搬送路
402 縦搬送路
404 搬送キャリア
405 横搬送路
408 紙帯
409 印刷部
410 帯巻き部
420 羽根車集積部
421 羽根車
421a 羽根
422a、422b 一時集積部
423 バックアッププレート
434 押込板
435、436 整位ガイド
430a〜430f 集積部
432 一時集積部
433 シャッター
438 カセット
439a〜439f 集積搬送路
441 羽根車
441a 羽根
500 主制御部
502 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される紙葉類を集積する集積装置であって、
紙葉類を挟持して搬送する少なくとも3対の搬送ベルトを有し、その3対の搬送ベルトの中で搬送方向の略中央に配置した1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さと、搬送方向の両サイドに配置したそれぞれ1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さとを段違い配置した搬送手段と、
この搬送手段によって送り出された紙葉類を回転軸の周りに配置した羽根間で取り込む羽根車と、この羽根車に取り込まれた紙葉類を集積する集積庫とを有する羽根車集積装置と
を備えたことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項2】
搬送される紙葉類を集積する集積装置であって、
紙葉類を挟持して搬送する少なくとも3対の搬送ベルトを有し、その3対の搬送ベルトの中で搬送方向の略中央に配置した1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さと、搬送方向の両サイドに配置したそれぞれ1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さとを段違い配置した搬送手段と、
この搬送手段によって送り出される前記紙葉類の高さに合わせて、前記羽根間の開口角を段違い配置した3枚羽根を1組として回転軸の周りに複数組配置した羽根間で前記紙葉類を取り込む羽根車と、この羽根車に取り込まれた前記紙葉類を集積する集積庫とを有する羽根車集積装置と
を備えたことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項3】
搬送される紙葉類を集積する集積装置であって、
紙葉類を挟持して搬送する少なくとも3対の搬送ベルトを有し、その3対の搬送ベルトの中で搬送方向の略中央に配置した1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さと、搬送方向の両サイドに配置したそれぞれ1対の搬送ベルトによって前記紙葉類を挟持する搬送路上の高さとを段違い配置した搬送手段と、
この搬送手段によって送り出される前記紙葉類の高さに合わせて、前記羽根間の開口角を段違い配置した1枚羽根を回転軸の周りに複数組配置した羽根間で前記紙葉類を取り込む羽根車と、この羽根車に取り込まれた前記紙葉類を集積する集積庫とを有する羽根車集積装置と
を備えたことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項4】
前記3枚羽根及び前記1枚羽根の先端部の開口角は前記段違い配置され、前記3枚羽根及び前記1枚羽根の根元部は平坦にし、前記段違い配置された前記3対の搬送ベルトによって強制変形された紙葉類が元に戻るようにした請求項2又は請求項3記載の紙葉類集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−55751(P2007−55751A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243364(P2005−243364)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】