説明

紙製容器及びその製造方法

【課題】電子レンジ等の加熱に適した紙製容器であって、フランジ部分の剛性を確保してこのフランジ部分が歪むことを防止すると共に、全体の重量を軽減してコンパクトに形成する。
【解決手段】紙材からなるブランクを絞り加工して形成された有底筒状のカップ部2と、このカップ部2の上端部3aから連続する樹脂製のフランジ部5とを有し、フランジ部5は、カップ部2の周壁部3に沿う筒状部12と、この筒状部12から水平に張り出す環状平板部13とからなり、筒状部12がカップ部2の周壁部3の上端面3bを覆った状態で周壁部3の一部に重なるように固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製容器及びその製造方法に関し、特に、レトルト殺菌や電子レンジ、オーブンレンジ等によって加熱される場合に適した紙製容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト殺菌や電子レンジ等によって加熱することが可能な紙製容器として、例えば、特許文献1の紙トレーが知られている。この紙トレーは、紙箱が折り曲げ線を介してトレー状に組み立てられ、この紙箱の内面に熱可塑性プラスチックシートが積層されている。そして、この紙トレーの上端のフランジ部分では、内面に積層された熱可塑性プラスチックシートが裏面まで回り込んだ巻込部が形成されており、この巻込部により紙端面の露出部分が被覆されている。
【0003】
一方、特許文献2の紙容器は、熱可塑性プラスチックシートが積層された板紙を絞り加工することにより、フランジ部分を有する紙トレー本体が形成され、この紙トレー本体を射出成形金型に配置して、フランジ部分を覆うように熱可塑性樹脂を一体成形した構成とされている。
いずれの特許文献記載の紙製容器も、紙材のフランジ部を熱可塑性樹脂で覆って剛性を向上させ、加熱時の変形の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−255562号公報
【特許文献2】特開2000−335550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これら特許文献記載の紙製容器では、紙材の絞り加工によってフランジ付き容器を形成しているため、その絞り加工時に周縁部が縮径されることから、紙材が周方向に重なり合い、特にフランジ部にその重なり部により厚さ方向に大きな凹凸が生じる。この凹凸は、フランジ部の周縁に近いほど大きくなる。また、絞り加工時の材料の伸びのばらつき等に起因して、フランジ部の周縁が均等に形成されずに波状となり、フランジ部の幅が周方向でばらつき易い。
このため、特許文献1記載のようにフランジ部に熱可塑性プラスチックシートを巻き込んだり、あるいは特許文献2記載のように熱可塑性樹脂を射出成形するなどにより、フランジ部を樹脂で覆う場合に、フランジ全体を樹脂で覆うためには樹脂を厚肉にかつフランジの幅も大きくして形成する必要がある。したがって、被覆用の樹脂の使用量が多くなり、フランジ全体が大きくなり、また全体の重量が重くなるという問題がある。
また、紙材の絞りが深くなると、紙材が引張られて、周壁部の下部が破断するなどの成形不良が生じるという問題もある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、レトルト殺菌や電子レンジ等の加熱に適した紙製容器であって、フランジ部分の剛性を確保してこのフランジ部分が変形することを防止するとともに、全体の重量を軽減してコンパクトに形成することができ、しかも成形が容易な紙製容器及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙製容器は、紙材からなるブランクを絞り加工して形成された有底筒状のカップ部と、このカップ部の上端部から連続する樹脂製のフランジ部とを有し、前記フランジ部は、前記カップ部の周壁部に沿う筒状部と、この筒状部から水平に張り出す環状平板部とからなり、前記筒状部が前記カップ部の周壁部の上端面を覆った状態で前記周壁部の一部に重なるように固着されていることを特徴とする。
【0008】
このように、カップ部の周壁部の上端部に樹脂製フランジ部の筒状部を固着しているので、紙材の絞り加工時には、カップ部にフランジ部分を形成する必要はない。そして、フランジ部の筒状部がカップ部の周壁部の上端面を覆った状態で周壁部の一部に重なるように固着されているので、カップ部の周壁部の上端面に若干の高さのばらつきが生じていたとしても、フランジ部の筒状部の重なり部分により確実に連結状態として、カップ部とフランジ部との剥離等を防止することができる。
また、フランジ部は樹脂によって形成され、その環状平板部には紙材の成形部分を内包していないので、環状平板部の厚さを小さくすることができるとともに、その表面を平坦に形成することができ、その周縁も波打つことなく円滑に仕上げることができる。したがって、環状平板部の幅も小さく形成することができる。
【0009】
なお、カップ部の周壁部の上端部とフランジ部の筒状部との重なり部分は、周壁部の上端面を覆った状態で周壁部の内外周面側の少なくとも片面側と筒状部とが重なっていればよく、周壁部の内面側に筒状部が配置されるもの、周壁部の外面側に筒状部が配置されるもののいずれでもよい。或いは、周壁部を筒状部内に埋没させるように、周壁部の内外両面にわたって筒状部が形成されるようにしてもよい。
【0010】
本発明の紙製容器は、前記カップ部の周壁部には、その全周のうちの少なくとも一部に、深さ方向に延びる凹部が形成され、前記フランジ部の樹脂が前記凹部内に入り込んでいるとよい。
カップ部の周壁部の内外周面側の少なくとも片面側とフランジ部の筒状部とが重なるように形成した場合でも、フランジ部は、周壁部の上端面を覆った状態に固着されるので、フランジ部の射出成形時に、樹脂の一部が周壁部の上端面から反対面側にも凹部を伝って入り込み、この樹脂により周壁部の内外両面にわたって樹脂が配置されることになり、カップ部とフランジ部とを強固に固着することができる。
【0011】
また、本発明の紙製容器の製造方法は、紙材からなるブランクを絞り加工して有底筒状のカップ部を形成するカップ部形成工程と、前記カップ部を金型内に配置して前記カップ部の周壁部の上端部に固着した筒状部と前記筒状部から水平に張り出す環状平板部とからなるフランジ部を射出成形するフランジ部形成工程とを有し、前記フランジ部形成工程は、前記カップ部の周壁部の上端部を前記金型のキャビティ内に露出させた状態で前記キャビティの下方で前記周壁部を前記金型により挟持し、前記キャビティ内に樹脂を射出して前記周壁部の上端部に前記筒状部を一体に固着することを特徴とする。
【0012】
この製造方法により、カップ部とフランジ部とは、周壁部の上端面が覆われた状態で周壁部の上端部に筒状部が重なるように形成され、フランジ部を薄肉にして、コンパクト化、軽量化が可能な紙製容器を製造することができる。この場合、紙材のブランクからのカップ部の成形時には、フランジ部位を設ける必要がないため、絞り加工時に金型内にブランクを滑らせるようにしながら成形でき、不良の発生を少なくして、歩留りよく製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂製のフランジ部を有しているので、剛性を確保してレトルト殺菌や電子レンジ等の加熱による変形を防止することができるとともに、樹脂単体でフランジ部としたので、使用する樹脂量を少なくして全体の重量を軽減し、コンパクトに形成することが可能になる。このため、例えば、店舗等に陳列する際に省スペースを図り、また、フランジ部に被せるための蓋も小さくできる。カップ部の絞り加工時の負担が小さいので、丸型や角型、どんぶり型などの種々の形状に容易に形成することができ、広い用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の紙製容器の第1実施形態を示しており、(a)が半分を端面とした正面図、(b)が周壁部からフランジ部にかけた部分の拡大断面図である。
【図2】図1の紙製容器の平面図である。
【図3】図1の紙製容器におけるカップ部の半分を端面とした正面図である。
【図4】図3のカップ部を成形する前のブランクを示す平面図である。
【図5】図3のカップ部を射出成形金型内に配置した状態を示す要部の断面図である。
【図6】図1(b)のX−X線に沿う矢視拡大断面図である。
【図7】図1の紙製容器を積み重ねた状態を示す要部の断面図である。
【図8】本発明の紙製容器の第2実施形態を示す半分を端面とした正面図である。
【図9】図8の紙製容器の平面図である。
【図10】本発明の紙製容器の第3実施形態を示す平面図である。
【図11】図10の紙製容器の半分を端面とした正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示している。
この紙製容器1は、有底筒状のカップ部2と、このカップ部2の周壁部3の上端部3aに固着されるフランジ部5とを有している。
このうち、カップ部2は、図4に示した紙材よりなるブランク6を絞り加工することにより形成される。このブランク6は、円板状に形成され、カップ部2の周壁部3を形成する領域に多数の罫線(スコア溝)7、8が形成されている。これらの罫線7、8は、全体としてはブランク6の中心部を除き、その周囲に放射状に形成されるとともに、長短二種類のものが形成され、長い罫線7と短い罫線8とが周方向に交互に配置されている。例えば、1.8°間隔で200本の罫線7、8が形成され、長短各100本ずつ形成されている。なお、ブランク6の外周縁から所定距離(例えば、1mm程度)の範囲には罫線7、8が設けられておらず、この部位には平坦部9が配置されている。ブランク6を構成する紙材としては、例えば、厚さが0.2〜0.5mm程度とされ、この紙材の表裏面側に、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂による樹脂層(図示略)が形成される。また、アルミニウム箔やEVOH(エチレンビニル共重合)樹脂などの酸素透過率の低い材質からなるフィルムをラミネートしてもよく、これらアルミニウム箔やEVOH樹脂などをラミネートすることにより、内容物の酸化を防止して保存期間を延ばす効果がある。
【0016】
そして、この円形のブランク6を加熱状態の金型(図示略)によって絞り加工することにより、図3に示す有底筒状のカップ部2が成形される。このカップ部2は、円形の底部11、その周りを囲む周壁部3を一体に形成した形状とされる。このとき、前述した罫線7、8の幅及び間隔が絞り加工によって周方向に狭められることから、周壁部3には、図6に一部を拡大して描いたように、罫線7,8が凹部14Aとなるとともに、罫線の間の部分が凸部14Bとなり、その境界で周壁部3の一部が重なり合って多数の折り目部15が形成される。また、周壁部3は、その上端部3aに向かうにしたがい漸次拡径したテーパ状に形成されている。
【0017】
このカップ部2において、前述したように、周壁部3の上端部3aに樹脂によって形成したフランジ部5が一体に固着される。このフランジ部5は、射出成形によりカップ部2に固着され、このフランジ部5を成す樹脂は、紙材の樹脂層を形成する樹脂と同材料のポリプロピレンでもよいが、オーブンレンジ等で加熱調理される内容物を収容する場合には、耐熱性に優れるPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂やPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂などを用いるとよい。樹脂の厚さは、例えば、0.5〜1mm程度とされる。
【0018】
このフランジ部5は、カップ部2との固着部分であって周壁部3に沿う形状とされた筒状部12と、この筒状部12の上端から水平に張り出す環状平板部13とを有している。筒状部12は、カップ部2の平坦部9よりも長く形成され、この長さは、絞り加工時の歪みにより生じる上端部3aの上縁の高低差を埋めるに足りる長さ(例えば10mm程度)とされる。そして、このフランジ部5は、図1等では、筒状部12がカップ部2の周壁部3の上端面3bを覆った状態で周壁部3の上端部3aの外周面に重なるように固着されて一体化されている。この場合、筒状部12は、上端部3aの外周面に固着される形態以外にも、上端部3aの内周面に固着される形態としてもよく、或は、上端部3aを内外周両側から挟むように上端部3aを埋没させた状態で固着される形態としてもよい。
【0019】
続いて、このように構成される紙製容器1の製造方法について説明する。
この製造方法は、紙材のブランク6によりカップ部2を形成するカップ部形成工程と、そのカップ部2に射出成形のインサート成形によってフランジ部5を形成するフランジ部形成工程とに分けられる。
カップ部2は、前述したようにブランク6をプレスして絞り加工することにより形成される。このときは、フランジ部を形成しないので、ブランク6をプレスの金型内に滑らせながら、円滑にカップ部2を形成することができる。
【0020】
フランジ部形成工程においては、図5に示す射出成形金型が用いられる。この射出成形金型16は、一組の型板17,18からなり、これら型板17,18を組み合わせたときには、両型板17,18に挟まれた部分にフランジ部成形用の環状のキャビティ19が形成される。また、このキャビティ19の下方部分に、周壁部3の上端部3aをキャビティ19に突出させた状態で周壁部3の内外周面を挟持する押圧接触部20,21が形成されている。この押圧接触部20,21は、型締め時にカップ部2の周壁部3の厚さよりも小さい間隔をおいて対向する寸法設定とされており、周壁部3を押圧状態に挟持するようになっている。更に、この押圧接触部20,21の下方には、カップ部2の下部を若干の隙間を開けて配置する逃がし空洞部22が形成されている。また、キャビティ19には、例えば180°の対向配置された2ヶ所のゲート部23が連結されており、このゲート部23にランナー部24、スプルー部25が接続され、スプルー部25に射出成型機のヘッドから溶融した樹脂を射出して、キャビティ19内に注入する構造である
【0021】
そしてカップ部2を両型板17,18の間に配置して型締めすることにより、押圧接触部20,21によって周壁部3の内外周面が挟持されて上端部3aがキャビティ19内に露出した状態となる。図5では、周壁部3の上端面3bから上端部3aの外周面がキャビティ19内に臨んでいる。この状態でキャビティ19内に溶融した樹脂を射出注入し、カップ部2の周壁部3の上端部3aに筒状部12を固着してフランジ部5を一体化する。このとき、カップ部2の表面の樹脂層と射出された樹脂とが溶着し、カップ部2とフランジ部5とが強固に固着する。また、周壁部3の上端面3bはフランジ部5の筒状部12により覆われた状態となる。
この場合、前述したように周壁部3の両面には凹部14A及び凸部14Bが形成されているが、押圧接触部20,21が周壁部3の厚さよりも小さい間隔で周壁部3を挟持しているので、周壁部3の凹凸が押しつぶされ、射出された樹脂が押圧接触部20,21を超えて下方にはみ出ることは確実に防止される。この周壁部3に関して、射出成形後に押圧接触部20,21により挟持されていた部分と、その下方の無負荷部分(型締め時に空洞部22内に配置されていた部分)との厚さを測定したところ、押圧接触部20,21により挟持されていた部分が320μm〜353μm(平均337μm)、その下方の無負荷部分が333μm〜465μm(平均374μm)であった。測定は、株式会社テクロック製ダイヤルシックネスゲージを使用し、1個の容器につき90°間隔で4箇所、複数の容器について測定した。
【0022】
このようにして得られる紙製容器1は、カップ部2に予めフランジ部位を形成する必要がなく、フランジ部5を樹脂単体で形成することでフランジ部5の歪みを防いで環状平板部13の平面度を向上させることができ、このフランジ部5の厚さを小さくかつ幅も小さくして全体を小型化することができる。
また、紙材の端面が露出していると、その端面から紙粉が発生するおそれがあるが、カップ部2における周壁部3の上端面3bが樹脂製のフランジ部5の筒状部12により覆われた状態となるので、紙粉の発生はなく、衛生的である。
また、この紙製容器1は、カップ部2の周壁部3では、フランジ部5の筒状部12の固着部分が他の部分に比較して厚肉となるため、図7に示すように、紙製容器1どうしを積み重ねたときには、この筒状部12によりフランジ部5の環状平板部13の間に隙間Gが生じるので、積み重ね状態に保管しても紙製容器1の分離が容易である。
【0023】
なお、図5に示すように周壁部3の外周面側に筒状部12を形成する型締め構造であるが、前述したように、周壁部3の両面には凹部14A及び凸部14Bが深さ方向に沿って形成されているので、周壁部3の内周面を型板17に接触させた状態に保持したとしても、凹部14Aにより型板17と周壁部3の内周面との間に隙間が形成される。したがって、キャビティ19内に樹脂を注入すると、周壁部3の上端面3aから周壁部3の内周面側の凹部14Aにも一部の樹脂が入り込み、その結果、図6にPで示すように周壁部3の内周面側にも部分的に或いは薄く全周にわたって樹脂の層が形成され、外周側の樹脂と一体となって筒状部12が形成される。
因みに、周壁部3の横断面を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−200/100Fにて写真撮影し、同測定器内の機能を用いて凹部14Aの深さDを測定したところ、50μm〜250μmであった。
【0024】
図8及び図9は、本発明の紙製容器の第2実施形態を示している。この実施形態の紙製容器31では、角形のどんぶり状のカップ部32を絞り成形により成形し、このカップ部32の周壁部33の上端部33aに射出成形によりフランジ部35を一体に固着したものである。この場合も、フランジ部35は、カップ部32の周壁部33の上端面33bを覆った状態で上端部33aに重なるように固着される角形の筒状部36と、この筒状部36の上端から水平に張り出す環状平板部37とから構成される。
このような角形どんぶり状の紙製容器31であっても、紙材からなるカップ部32の絞り加工時にはフランジ部を形成しないので、ブランクからの絞り加工を容易にして、不良の発生を少なくすることができる。そして、樹脂製のフランジ部35によって角形の環状平板部37を平坦にかつ薄肉の小さい幅で形成することができ、小型化、軽量化を図ることができる。
この角形のカップ部32の場合は、そのブランク材には、角形の四隅部に対応する部分にのみ罫線が形成され、絞り加工時に罫線に起因する凹部14A及び凸部14Bは角形の四隅部に生じる。したがって、フランジ部35の射出成形時には、周壁部33の片面を型板に接触させた状態に保持した場合には、主として四隅部で樹脂が型板と周壁部33との間に入り込んで表裏一体に成形される。
【0025】
図10及び図11は、本発明の紙製容器の第3実施形態を示している。この実施形態の紙製容器41では、ほぼ楕円形の比較的浅いカップ部42を絞り成形により成形し、このカップ部42の周壁部43の上端部43aに射出成形によりフランジ部45を一体に固着したものである。この場合も、フランジ部45は、カップ部42の周壁部43の上端面43bを覆った状態で上端部43aに重なるように固着される筒状部46と、この筒状部46の上端から水平に張り出す環状平板部47とから構成される。
この紙製容器41の場合も、上記各実施形態の場合と同様に、紙材からなるカップ部42の絞り加工時にはフランジ部を形成しないので、ブランクからの絞り加工を容易にして、不良の発生を少なくすることができ、樹脂製のフランジ部45によって環状平板部47を平坦にかつ薄肉の小さい幅で形成することができ、小型化、軽量化を図ることができる。
この楕円形のカップ部42においても、その周壁部43には、曲率半径の小さい部分と曲率半径の大きい部分とで密度に差はあるが、凹部14A及び凸部14Bが形成され、フランジ部45の樹脂が周壁部43の表裏に形成されている。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、カップ部は上記各実施形態以外の形状であってもよく、浅い角皿型などの各種の形状に設けることもできる。また、製造方法の実施形態においては射出成型時のゲート部を2ヶ所に形成したが、120°の間隔によって3ヶ所に形成するようにしてもよく、また、環状平板部の裏面からサブマリンゲートによって注入する構造としてもよい。さらに、ランナーレス金型とするなど、公知の射出成形技術を適用することができる。
また、蓋材の超音波溶着等を確実にするために、フランジ部の環状平板部の上面に断面三角形状の凸条ビードを周方向に沿って設けてもよい。その場合も、環状平板部自体を薄肉に形成できるので、ビードを設けても、全体の厚さは小さく抑えることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 紙製容器
2 カップ部
3 周壁部
3a 上端部
3b 上端面
5 フランジ部
6 ブランク
11 底部
12 筒状部
13 環状平板部
14A 凹部
14B 凸部
15 折り目部
16 金型
17,18 型板
19 キャビティ
20 押圧接触部
31,41 紙製容器
32,42 カップ部
33,43 周壁部
33a,43a 上端部
33b,43b 上端面
35,45 フランジ部
36,46 筒状部
37,47 環状平板部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材からなるブランクを絞り加工して形成された有底筒状のカップ部と、このカップ部の上端部から連続する樹脂製のフランジ部とを有し、前記フランジ部は、前記カップ部の周壁部に沿う筒状部と、この筒状部から水平に張り出す環状平板部とからなり、前記筒状部が前記カップ部の周壁部の上端面を覆った状態で前記周壁部の一部に重なるように固着されていることを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
前記カップ部の周壁部には、その全周のうちの少なくとも一部に、深さ方向に延びる凹部及び凸部が形成され、前記フランジ部の樹脂が前記凹部内に入り込んでいることを特徴とする請求項1記載の紙製容器。
【請求項3】
紙材からなるブランクを絞り加工して有底筒状のカップ部を形成するカップ部形成工程と、前記カップ部を金型内に配置して前記カップ部の周壁部の上端部に固着した筒状部と前記筒状部から水平に張り出す環状平板部とからなるフランジ部を射出成形するフランジ部形成工程とを有し、前記フランジ部形成工程は、前記カップ部の周壁部の上端部を前記金型のキャビティ内に露出させた状態で前記キャビティの下方で前記周壁部を前記金型により挟持し、前記キャビティ内に樹脂を射出して前記周壁部の上端部に前記筒状部を一体に固着することを特徴とする紙製容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−178467(P2011−178467A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12403(P2011−12403)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(595180017)株式会社エムエーパッケージング (23)
【Fターム(参考)】