説明

紡績機および紡績機の駆動方法

【課題】紡績機または紡績機システムにおいてモータのタイプに応じて理想的な電圧比でのエネルギ供給を行えるようにする。
【解決手段】少なくとも3つの直流電圧線が電源に接続されており、ここで少なくとも1つの直流電圧線は少なくとも2つの直流電圧源に共通に接続され、電流負荷は少なくとも3つの直流電圧線のうち2つの直流電圧線に選択的に接続され、これにより少なくとも選択的に、a)第1の直流電圧線と第2の直流電圧線とのあいだの電圧U1+U2、b)第1の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだの電圧U1、および、c)第2の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだの電圧U2が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は独立項の上位概念に記載されている電気駆動部を備えた紡績機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の紡績機は例えば独国公開第3900408号明細書に記載されている。それぞれ異なる回転数または可変の回転数を有する多数のACモータに電流を供給するために、交流電圧源から電気エネルギが整流器を介して直流電圧中間回路へ供給される。この直流電圧中間回路から、モータに接続されたインバータの入力側に一定の電圧の電気エネルギが供給される。電気駆動部は紡績機の種々の機能、例えばスピンドル(Spinnspindel)の駆動、リングバンクドライブ(Ringbankantrieb)の操作または送風装置(Streckwerk)の駆動に用いられる。
【0003】
独国公開第19836168号明細書には、整流回路(コミュテーション回路)を備えたDCモータを有するスピンドル装置が記載されている。モータは、例えば糸の破断による負荷の脱落または負荷の低下を識別する識別手段と、自身を自動遮断して駆動状態の変更を中央制御装置へ報告する遮断手段とを有する。
【0004】
独国特許第4142707号明細書には、同様に、紡績機のスピンドルに対する駆動部として個々のモータを用いることが記載されている。また、独国公開第3421104号明細書からは、コレクタレスDCモータにおいて定置の回転位置検出器として永久磁石によって制御されるホールセンサを用いることが公知である。
【0005】
少なくとも2つのホールセンサを備えたロータを有する回転位置検出器も可能である。回転位置信号からスピンドルの回転数が導出される。前掲の独国特許第4142707号明細書には、前述したホールセンサを少なくとも1つ有する非同期モータが記載されている。
【0006】
紡績機では種々に構成された多数のモータが用いられているので、給電部は個々のモータの要求に応じてそれぞれ固有の値を送出するように構成されなければならない。本発明は、紡績機内の均等な電流電源網は種々の要求に適さないという重大な認識から出発している。
【特許文献1】独国公開第19836168号明細書
【特許文献2】独国特許第4142707号明細書
【特許文献3】独国公開第3421104号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした従来技術から出発して、本発明の基礎とする課題は、紡績機または紡績機システムにおいてモータのタイプに応じて理想的な電圧比でのエネルギ供給を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、少なくとも2つの電圧U1,U2を送出する少なくとも2つの直流電圧源を備えた紡績機において、少なくとも3つの直流電圧線が電源に接続されており、ここで少なくとも1つの直流電圧線は少なくとも2つの直流電圧源に共通に接続され、電流負荷は少なくとも3つの直流電圧線のうち2つの直流電圧線に選択的に接続され、これにより少なくとも選択的に、a)第1の直流電圧線と第2の直流電圧線とのあいだの電圧U1+U2、b)第1の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだの電圧U1、および、c)第2の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだの電圧U2が供給される構成により解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の有利な実施形態によれば、電気駆動部および1次交流電圧源を備えた紡績機において、1次交流電圧源に少なくとも1つのトランスが接続されており、この少なくとも1つのトランスの端子に少なくとも1つの整流器群が接続されており、この少なくとも1つの整流器群の出力側が複数の直流電圧源へ接続されており、これら複数の直流電圧源にDCモータに対するドライバ回路または整流回路あるいはインバータが接続されており、ここで複数の整流器、特に少なくとも2つの整流器群に少なくとも2つの直流電圧線が接続されており、それ以外の1つの直流電圧線は2つの直流電圧源に対して共通であり、少なくとも3つの直流電圧線のあいだに特に270Vおよび540Vの直流電圧が生じる。
【0010】
本発明の別の有利な実施形態によれば、電気駆動部および直流電圧源および交流電圧源を有する給電装置を備えた紡績機において、交流電圧源に少なくとも1つのトランスが接続されており、この少なくとも1つのトランスの端子に少なくとも1つの整流器群が接続されており、整流器群の出力側は複数の直流電圧源へ接続されており、これら複数の直流電圧源にモータに対するドライバ回路または整流回路あるいはインバータが接続されており、ここで、交流電圧源、特に400Vの3相電圧源にトランスの各巻線が直接または間接に接続されており、複数の整流器、特に2つの整流器群に2つの直流電圧線が接続されており、それ以外の1つの直流電圧線は複数の整流器、特に2つの整流器群に対して共通であり、少なくとも3つの直流電圧線のあいだに特に270Vおよび540Vの直流電圧が生じる。
【0011】
有利には、3相電圧を供給する1次交流電圧源の電源端子に1つずつ1次巻線が接続されており、各1次巻線に、3相電圧を供給する2次交流電圧源の少なくとも2つの2次巻線が接続されており、この少なくとも2つの2次巻線に少なくとも2つの整流器群が接続されている。
【実施例】
【0012】
図1には、紡績機または紡績機システムにおいて、400Vの3相電圧を有する交流電圧源から少なくとも2つのトランスの2次巻線を介して低い電圧の交流電流が供給されることが示されている。ここで、3相電圧を供給する1次交流電圧源の電源端子10に1つずつトランスの1次巻線が接続されており、各1次巻線に3相電圧を供給する2次交流電圧源の少なくとも2つの2次巻線が接続されている。各2次巻線は整流器群を介してエネルギを少なくとも2つの直流電圧源へ送出する。ここで各直流電圧源は複数のモータに電気エネルギを送出する。例えば紡績機のスピンドルモータにはこのようにして電圧270Vの直流電流が供給される。複数の直流電圧源が共通に接続されることにより、個々の直流電圧源の電圧の和に相応する電圧を有する直流電流を送出することができる。前述したケースでは、2つの直流電圧源がそれぞれ270Vであるとき、スピンドルモータには直流電圧270Vの直流電流が供給され、他の電流負荷には電圧540Vの直流電流が供給される。これに対して、前述したように、DCモータには制御装置を介して直流電流が供給され、他のモータ、特に同期モータにはインバータを介して直流電圧源から直流電流が供給される。有利には540Vの高い直流電圧が送風装置のモータの制御のために共通に接続された直流電圧源から供給される。
【0013】
電源端子10で電源電流の欠落が生じると、DCモータ26a,26bのジェネレータモードにおいて、直流電圧線(バスバー)18,20,22を介したエネルギ交換が行われる。これによりエネルギがインバータひいてはこれに接続されたモータ30a,30bへ供給される。このエネルギは電源欠落が起こった場合の紡績機の低速動作および順次遮断に必要なものである。
【0014】
例えば400Vの3相電圧の交流電圧源に接続された電源端子10には保護手段12を介してトランス14の1次巻線14bが接続されている。図1に示されているように、補助駆動部に対する端子14aが設けられており、これは一定の振幅の交流電圧によって駆動される。特に、トランス14は3つの1次巻線14bと6つの2次巻線14c,14dを有している。ここで、それぞれの1次巻線は第1の2次巻線14cと第2の2次巻線14dとに対応している。これに代えて、それぞれ3つの1次巻線および3つの2次巻線を有する2つの並列なトランスを設けることもできる。このときには、図1とは異なって6つの1次巻線14bが存在することになる。
【0015】
3つずつの2次巻線の組14c,14dにそれぞれ整流器群16a,16bが接続されており、これにより2次交流電圧源の第1の2次巻線の組と第2の2次巻線の組とから2つの直流電圧源が形成される。第1の整流器群16aは第1の直流電圧線18および第3の直流電圧線22を有する第1の直流電圧源に給電し、第2の整流器群16bは第2の直流電圧線20および第3の直流電圧線22を有する第2の直流電圧源に給電する。第1の直流電圧源は第1の直流電圧線18および第3の直流電圧線22として定義され、第2の直流電圧源は第2の直流電圧線20および第3の直流電圧線22として定義され、それぞれ2つの電圧線間の電流負荷に給電する。したがって、種々の直流電圧線に必要に応じて種々の電流負荷、特にDCモータ26a,26bを接続することができる。第1の直流電圧線18と第3の直流電圧線22とのあいだ、および、第3の直流電圧線22と第2の直流電圧線20とのあいだで、それぞれ直流電圧270Vの直流電流が得られる。これに対して、第1の直流電圧線18および第2の直流電圧線20から成る第3の直流電圧源から電流負荷に対して直流電圧540Vが得られる。第1の直流電圧線18および第3の直流電圧線22から成る第1の直流電圧源により保護手段12を介してDCモータ26aへ、また、第2の直流電圧線20および第3の直流電圧線22から成る第2の直流電圧源により保護手段12を介してDCモータ26bへ、給電が行われる。モータは並列に多数接続されており、そのうちのモータ26a,26bのみがドライバ回路24とともに示されている。紡績機、特にリング式紡績機では、数百の同タイプのモータが用いられる。スピンドルの駆動に用いられるモータは、有利には、冒頭に言及した特許文献に記載されているような電子整流回路およびセンサ(特にホールセンサ)を備えたブラシレスDCモータである。
【0016】
モータの駆動制御には特に各モータに対する整流回路またはドライバ回路24が必要である。
【0017】
第3の直流電圧源すなわち第1の直流電圧線18および第2の直流電圧線20から直流電圧540Vが得られる。図1に示されているように、この第3の直流電圧源には種々の周波数変換器またはインバータ28a〜28dがそれぞれ保護手段12を介して接続されている。各インバータは直流電圧の電流から、例えば最大電圧400V以上および最大周波数200Hz以上の交流電圧を形成する。このインバータにはモータ30a〜30dが接続されている。種々のインバータおよび整流回路を制御するために、紡績プログラムを処理する上位の制御装置32を設けなければならない。モータ30a〜30dは紡績機の種々の機能部、例えば送風装置の軸またはリングフレームドライブを駆動するために用いられる。紡績機の分野では、有利には、2つの遅延領域を備えた3シリンダ送風装置において個々のシリンダがモータ30a〜30cによって駆動される。横長の紡績機システムでは、システムの長さ全体にわたって、伝達装置を介して送風シリンダに配属された複数のモータ30a〜30cが分散されている。ここでは駆動部として同期モータ、非同期モータまたはリラクタンスモータなどが用いられる。
【0018】
前述したエネルギ供給のコンセプトにより、きわめて多数の紡績位置を有する紡績機において、多数のスピンドルモータを良好な効率で駆動することができる。
【0019】
図2には図1の実施例とは異なり、紡績機の内部で電流供給を行うコンセプトが示されている。交流電圧源には電源端子10を介してトランス14の中点タップが接続されており、このトランスの2次側には400Vの交流電圧が供給される。2次側には整流器群16aが接続されており、直流電圧540Vの直流電流が給電される。また、トランスの中点にかかる電圧270Vが、中点に接続された第3の直流電圧線22を介して取り出される。トランス14の中点は電位を測定するためだけに用いられる。第3の直流電圧線22では小さな補償電流しか流れず、このことは複数のモータまたはモータ群に均等に負荷がかかることの前提となる。主として電流を導通するのは、第1の直流電圧線18および第2の直流電圧線20である。この実施例では、トランスの2次側に補助駆動部のための端子14aが設けられている。図2については図1の実施例と異なる箇所のみ説明する。
【0020】
紡績機の序列化された動作を制御するために、図1の実施例と同様に、整流回路またはドライバ回路24とインバータ28a,28bとが上位の中央制御装置32へ接続されている。この中央制御装置は、紡績機のノーマルモードにおいて、また電流欠落または電圧低下の状態において、モータ26a,26b,30a,30bの回転数を設定された回転数‐時間プログラムにしたがって制御するように構成されている。複数のDCモータまたはDCモータ群に対する上位の制御装置32は、電源欠落が起こった場合、ジェネレータモードで電流を直流電圧線18,20,22へ送出し、これによりインバータ28a〜28cとのエネルギ交換を行うように構成されている。
【0021】
整流回路またはドライバ回路および他の素子を制御するために、有利には直流電圧24Vの直流電流を形成しなければならない。DCモータ26a,26bの個々のモータケーシングにはオンオフスイッチが取り付けられている。特にモータ26a,26bは中央制御装置32にバスまたはCANバスBUSを介して接続されている。例えば糸の破断により20%の負荷の低下が起こった場合、または限界値の上方超過が検出された場合、モータ26aは自動遮断される。電源欠落または重大な電圧障害は中央制御装置32により検出され、相応の回転数目標値の低減がバスまたはCANバスを介して全てのドライバ回路24へ伝達される。この場合、接続されているモータ26a,26bはジェネレータモードへ移行する。つまりモータは回転数の低減に基づき、質量体の回転によって蓄積されるエネルギを電気エネルギに変換して他の負荷へ供給する。回転数の低減は、モータ26a,26bの駆動電圧270Vの直流電流がこれらのモータの静止状態の達成まで一定にとどまるように行われる。電源欠落が短時間で終了し電源が速やかに復帰した場合には、紡績機プログラムによって設定される通常の駆動回転数へ再び自動的に移行する。電源欠落が或る程度長く続くと、全てのモータ26a,26b,30aおよび他の駆動部は同期して静止状態へ向かって低速運転される。このとき、モータ26a,30aの回転数は、一定の電圧が直流電圧線18,20,22すなわち直流電流中間回路18,20または18,22または22,20へ印加されるように閉ループ制御される。
【0022】
上位の制御装置は直流電圧24Vの直流電流を有しており、この制御装置は図1では電圧変換器33を介して540Vの直流電圧源すなわち直流電圧線18,20に接続されている。整流器群16a,16bに並列に、直流電圧線18,22間および直流電圧線20,22間にコンデンサが配置されている。
【0023】
モータ26a,26bは紡績機のスピンドルおよび/またはホッパ(Spinntrichter)に取り付けられる。モータ26a,26bは他のモータ30a〜30dと同様に紡績機の種々の機能部、特に送風装置の軸またはリングフレームに組み込むことができる。2つの遅延領域を備えた3シリンダ送風装置において個々のシリンダがモータ30a〜30cによって駆動される。各モータはシステムの長さ全体にわたって複数の位置に分散され、伝達装置を介して送風シリンダに配属されている。
【0024】
図2の実施例に関連して、複数のセクタに分割された紡績機において、複数のトランス14を電源端子10に接続し、各トランスの2次側に整流器群を接続し、この整流器群の出力電圧を2つの直流電圧線に印加し、トランスの中点に第3の直流電圧線22を接続し、この第3の直流電圧線にトランスの中点の出力電圧を印加し、第1の直流電圧線18と第3の直流電圧線22とのあいだにDCモータまたはDCモータ群26aを接続し、第2の直流電圧線20と第3の直流電圧線22とのあいだに同タイプの他のDCモータまたはDCモータ群26bを接続することができる。この場合、それぞれのセクタにさらなるモータ群が設けられる。
【0025】
図3では、図1,図2の実施例と同様に、DCモータ26aが2つの直流電圧線18,22のあいだに配置されている。紡績機のノーマルモードすなわちモータモードでは直流電圧線18に正の電圧が印加され、直流電圧線22にモータ26aに対する負の電圧が印加される。モータ26aのジェネレータモードにおいてエネルギが送出される場合、すなわち、力学的エネルギの回復により直流電圧中間回路18,22へエネルギが戻される場合、電位の反転が起こるので、直流電圧線22は正極となり、直流電圧線18は負極となる。
【0026】
モータ26aの回転数実際値nactはホールセンサとして構成されたセンサ26bにより検出され、回転数制御器36の入力側へ供給される。電子整流回路を備えたブラシレスDCモータであれば、センサなしで、任意の相のゼロ点通過を測定する装置により回転数を導出することができる。
【0027】
回転数制御器36は中央制御装置によって駆動される回転数設定器34から回転数目標値ndesを受け取る。回転数制御器36は有利にはPI制御器として構成されており、ここから回転数実際値nactと回転数目標値ndesとの差に基づいて電流強度目標値Idesが出力される。モータ26aと調整素子40とのあいだの電流実際値Iactが検出され、電流制御器38の入力側へ供給される。図3では、電流制御回路38は、電流実際値Iactと電流目標値Idesとのあいだの差に基づき、電流制限器41を介して調整素子40を制御する。ここで調整素子40は有利には反平行トランジスタとして構成されている。調整素子には2つのダイオードが存在しており、これらは交互に紡績機のモータのノーマルモードとジェネレータモードとを切り換えることができる。このために、ダイオードはそれぞれスイッチに直列に接続されている。ここでスイッチにより、調整素子40は直流電圧線18から直流電圧線22への切り換え、または直流電圧線22から直流電圧線18への切り換えを行うことができる。
【0028】
上位の制御装置32が一般の給電について前述したような電圧の低下または電源欠落を検出した場合、この制御装置はモータモードからジェネレータモードへ切り換える制御命令を調整素子40へ送出する。また、上位の制御装置32は、ジェネレータモードにおいて、例えばポテンショメータとして構成された回転数設定器34を介して、形成される電圧42が設定された目標値にしたがって一定にとどまるように制御する。これは制御装置が回転数設定器34を介してスピンドルの回転数を低下させることにより行われる。形成された電圧が小さすぎる場合、回転数は迅速に低減される。形成される電圧が大きい場合、回転数は緩慢に低減される。この制御はいわゆる回転数の傾きにしたがって行われる。糸巻き部のコップの重量が電流の低下時にあらかじめ既知となっていない場合、一定の回転質量での場合とは異なって、回転数は設定された回転数曲線にしたがって低減しない。したがって、この場合には前述したように制御回路を介して回転数を低減しなければならない。このようにすればモータ26aから供給されたエネルギを他の電流負荷28a,30aにおいて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図3】モータモードからジェネレータモードへ切り換える制御回路を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10 電源端子、 12 保護手段、 14 トランス、 14a 補助駆動部への端子、 14b 1次巻線、 14c,14d 2次巻線、 16a,16b 整流器群、 18,20,22 直流電圧線、 24 ドライバ回路、 26a,26b DCモータ、 28a〜28d インバータ、 30a〜30d モータ、 32 制御装置、 33 電圧変換器、 34 回転数制御器、 36 PI制御器、 38 電圧制御器、 40 調整素子、 41 電流制限器、 42 電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電圧U1,U2を送出する少なくとも2つの直流電圧源を備えた紡績機において、
種々のモータへ給電する少なくとも3つの直流電圧線が電源に接続されており、ここで少なくとも1つの直流電圧線は少なくとも2つの電源に共通に接続され、電流負荷は少なくとも3つの直流電圧線のうち2つの直流電圧線に選択的に接続され、これにより少なくとも選択的に、a)第1の直流電圧線と第2の直流電圧線とのあいだの電圧U1+U2、b)第1の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだの電圧U1、および、c)第2の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだの電圧U2が供給される
ことを特徴とする紡績機。
【請求項2】
電気駆動部および1次交流電圧源が設けられており、該1次交流電圧源に少なくとも1つのトランスが接続されており、該トランスの端子に少なくとも1つの整流器群が接続されており、該少なくとも1つの整流器群の出力側は複数の直流電圧源(U1,U2)へ接続されており、直流電圧源にDCモータに対するドライバ回路または整流回路あるいはインバータが接続されており、ここで複数の整流器、例えば少なくとも2つの整流器群に少なくとも2つの直流電圧線が接続されており、それ以外の1つの直流電圧線は2つの直流電圧源に対して共通であり、少なくとも3つの直流電圧線のあいだに直流電圧例えば270Vおよび540Vが生じる、請求項1記載の紡績機。
【請求項3】
電気駆動部および直流電圧源および交流電圧源を有する給電装置が設けられており、交流電圧源に少なくとも1つのトランスが接続されており、該少なくとも1つのトランスの端子に少なくとも1つの整流器群が接続されており、整流器群の出力側は複数の直流電圧源へ接続されており、該複数の直流電圧源にモータに対するドライバ回路または整流回路あるいはインバータが接続されており、ここで、交流電圧源、例えば400Vの3相電圧源にトランスの各巻線が直接または間接に接続されており、複数の整流器、例えば2つの整流器群に2つの直流電圧線が接続されており、それ以外の1つの直流電圧線は複数の整流器、例えば2つの整流器群に対して共通であり、少なくとも3つの直流電圧線のあいだに直流電圧例えば270Vおよび540Vが生じる、請求項1または2記載の紡績機。
【請求項4】
3相電圧を供給する1次交流電圧源の電源端子に1つずつ1次巻線が接続されており、各1次巻線に、3相電圧を供給する2次交流電圧源の少なくとも2つの2次巻線が接続されており、該少なくとも2つの2次巻線に少なくとも2つの整流器群が接続されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項5】
各2次巻線(14c,14d)から各整流器群(16a,16b)を介してエネルギが少なくとも2つの直流電圧源(U1,U2)へ送出され、各直流電圧源が複数のモータ(26a,26b)に接続されている、請求項4記載の紡績機。
【請求項6】
モータが紡績機のスピンドルまたはホッパに取り付けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項7】
複数の直流電圧源(U1,U2)が共通に接続されており、個々の直流電圧源の電圧の和(U1+U2)に相応する電圧の直流電流が供給される、請求項1から6までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項8】
各直流電圧源がそれぞれ270Vを送出する場合、2つのスピンドルモータ群がそれぞれ直流電圧270Vの直流電圧源に接続され、他の電流負荷が直流電圧540Vの第3の直流電圧源に接続され、DCモータは整流回路を介して直接に第1の直流電圧源へ接続され、他のACモータは電流供給のためのインバータを介して第3の直流電圧源へ接続されており、ここで共通に接続された直流電圧源から得られる高い直流電圧540Vは送風装置のモータの制御に用いられる、請求項1から7までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項9】
400Vの3相電圧を送出する交流電圧源に接続された電源端子は保護手段を介してトランスの1次巻線へ接続されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項10】
トランスの巻線に、一定の振幅の交流電圧によって駆動される補助駆動部のための端子(14a)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項11】
トランスは3つの1次巻線と少なくとも6つの2次巻線とを有しており、各1次巻線は少なくとも2つの2次巻線に対応している、請求項1から10までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項12】
それぞれ3つの1次巻線および3つの2次巻線を有する2つの並列なトランスが設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項13】
2次交流電圧源のそれぞれ3つの巻線から成る第1の2次巻線と第2の2次巻線とに整流器群が接続されており、各2次巻線に各直流電圧源が配属されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項14】
第1の整流器群は2つの直流電圧線を有する第1の直流電圧源へ接続されており、第2の整流器群は2つの直流電圧線を有する第2の直流電圧源へ接続されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項15】
第1の直流電圧源は第1の直流電圧線および第3の直流電圧線として定義されており、第2の直流電圧源は第3の直流電圧線および第2の直流電圧線として定義されており、2つの直流電圧源はそれぞれ2つの電圧線間に電流負荷を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項16】
種々の直流電圧線に必要に応じて種々の電流負荷が接続されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項17】
第1の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだおよび第3の直流電圧線と第2の直流電圧線とのあいだにそれぞれ電圧270Vの直流電流が得られ、第1の直流電圧線および第2の直流電圧線から成る第3の直流電圧源において電流負荷に対して有利には540Vの直流電圧が得られる、請求項1から16までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項18】
第1の直流電圧線(18)および第3の直流電圧線(22)から成る第1の直流電圧源に保護手段(12)およびドライバ回路(24)を介して第1のDCモータ(26a)が接続されており、第3の直流電圧線(22)および第2の直流電圧線(20)から成る第2の直流電圧源に他の数百個の同タイプのDCモータおよびこれに対するドライバ回路が接続されている、請求項1から17までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項19】
スピンドルまたはホッパの駆動部に用いられるモータは、センサ例えばホールセンサおよび電子整流回路を備えたブラシレスDCモータまたはセンサなしで自由相の零点通過を測定する測定回路を備えたブラシレスDCモータとして構成されている、請求項1から18までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項20】
各モータを駆動するために整流回路が設けられている、請求項1から19までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項21】
直流電圧540Vの電流からインバータを介して最大周波数200Hz以上および最大電圧400V以上の交流電圧が形成され、該インバータに複数のモータが接続されている、請求項1から20までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項22】
各インバータおよび整流回路を制御するために紡績プログラムを格納した上位の制御装置が設けられている、請求項1から21までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項23】
モータは紡績機の種々の機能部、例えば送風装置の軸またはリングフレームに組み込まれている、請求項1から22までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項24】
2つの遅延領域を備えた3シリンダ送風装置において個々のシリンダがモータによって駆動される、請求項1から23までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項25】
紡績機システムの長さにわたって、伝達装置を介して送風装置のシリンダに配属された複数のモータが分散されて配置されている、請求項1から24までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項26】
DCモータのほか、第2の駆動部として非同期モータ、同期モータ、リラクタンスモータまたはサーボモータが用いられている、請求項1から25までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項27】
整流回路またはドライバ回路、インバータ、および、他の電流負荷例えば他のモータは上位の制御装置へ接続されており、該制御装置は紡績機のノーマルモードにおいておよび電流欠落または電圧低下の状態においてモータ回転数を設定された回転数‐時間プログラムにしたがって調整し、ここでモータ回転数は一定の電圧が各直流電圧線へ印加されるように制御される、請求項1から26までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項28】
トランスが電源端子に接続され、トランスの2次側に整流器群が接続され、該整流器群からの出力電圧が2つの直流電圧線に印加され、トランスの中点に第3の直流電圧線が接続され、該第3の直流電圧線にトランスの中点からの電圧が印加され、第1の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだにDCモータまたはDCモータ群が接続され、第2の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだに同タイプの他のDCモータまたはDCモータ群が接続される、請求項2記載の紡績機。
【請求項29】
複数のトランスが電源端子に接続され、各トランスの2次側に整流器群が接続され、該整流器群からの出力電圧が2つの直流電圧線に印加され、トランスの中点に第3の直流電圧線が接続され、該第3の直流電圧線にトランスの中点からの電圧が印加され、第1の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだにDCモータまたはDCモータ群が接続され、第2の直流電圧線と第3の直流電圧線とのあいだに同タイプの他のDCモータまたはDCモータ群が接続される、請求項28記載の紡績機。
【請求項30】
電圧24Vの直流電流を有する上位の制御装置は電圧変換器を介して540Vの直流電圧源へ接続されている、請求項1から29までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項31】
紡績機のノーマルモードにおいてDCモータに対する整流回路またはドライバ回路とACモータに対するインバータとが上位の制御装置へ接続されており、該制御装置は紡績機のノーマルモードに対しておよび電流欠落または電圧低下の状態に対してモータ回転数を設定された回転数‐時間プログラムにしたがって調整し、ここで、制御装置の制御により、モータまたはモータ群は電源欠落時にジェネレータモードで電流を各直流電圧線へ送出しインバータとのエネルギ交換を行う、請求項1から30までのいずれか1項記載の紡績機。
【請求項32】
DCモータに対するドライバ回路または整流回路、DCモータまたは他の電流負荷を電源欠落の場合または電源端子での電圧が低下した場合に制御し、DCモータをジェネレータモードへ移行させてエネルギを形成し、該エネルギを直流電圧線および他の負荷例えばインバータへ供給する
ことを特徴とする紡績機の駆動方法。
【請求項33】
紡績機のノーマルモードにおいてDCモータ群に対する整流回路またはドライバ回路とACモータに対するインバータとを上位の制御装置へ接続し、該制御装置により紡績機のノーマルモードに対しておよび電流欠落または電圧低下の状態に対してモータ回転数を設定された回転数‐時間プログラムにしたがって調整し、ここで制御装置は、モータまたはモータ群が電源欠落時にジェネレータモードで電流を直流電圧線へ送出しインバータとのエネルギ交換を行うように制御する
ことを特徴とする紡績機の駆動方法。
【請求項34】
回転数センサの設けられたDCモータが2つの直流電圧線のあいだにトランジスタとして構成された反平行の調整素子とともに接続されており、該調整素子はDCモータと第1の直流電圧線とのあいだに配置されており、トランジスタのスイッチング状態に応じてモータモードにおいて電流が第1の方向へ導通されるかまたはジェネレータモードにおいて電流が第1の方向とは反対の第2の方向へ導通され、DCモータ、回転数センサ、回転数制御器、電流制御器および調整素子が接続されて制御回路を形成している
ことを特徴とする紡績機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−138354(P2008−138354A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310713(P2007−310713)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】