説明

細径同軸ケーブルハーネス及び細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体

【課題】コストアップが極力抑えられ、良好な防水性及び優れた汎用性が確保された細径同軸ケーブルハーネス及び細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体を提供する。
【解決手段】細径同軸ケーブルハーネス11は、複数本の細径同軸ケーブル12が、端末部分で平面状に配列され、端末部分以外の少なくとも一部が防水チューブ21に挿入されて各細径同軸ケーブル12同士の位置関係が変化し得る程度に束ねられ、樹脂ブロック22の挿通孔24に挿通されており、防水チューブ21の端部が樹脂ブロック22の挿通孔24に圧入されて、防水チューブ21と樹脂ブロック22とが液密的に接続され、樹脂ブロック22における防水チューブ21との接続側と反対側の面に防水接着テープ23が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細径の同軸ケーブルを複数束ねて形成した細径同軸ケーブルハーネス及び細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や小型ビデオカメラなどの精密小型機器は、互いにスライド可能あるいは回動可能に連結された筐体内の回路基板を配線材によって接続している。
このような配線材として、細径の同軸ケーブルを複数本束ねた細径同軸ケーブルハーネスがある。細径同軸ケーブルハーネスの一例として、筐体への導入箇所に取り付けられる防水部がシールキャップおよびシールキャップの外周に装着されたOリングからなり、防水部の間が防水チューブで覆われ、シールキャップが接着材によって筐体に接着されて防水チューブと防水部とが水密に取り付けられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−206043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、Oリングは、耐水性、耐熱性、耐圧縮性に優れた弾性材料から形成される高価なものであるため、Oリングを用いることによりコストアップを招いてしまう。また、Oリングを装着する箇所に、Oリングの装着用の溝部を全周にわたって形成しなければならず、シールキャップの形状の複雑化によってもコストアップを招いてしまう。
また、Oリングは、その装着部の外径に対応したものを選択しなければならず、外形が円形の部材以外には使用が制限されるため、汎用性が乏しかった。
【0005】
本発明の目的は、コストアップが極力抑えられ、良好な防水性及び優れた汎用性が確保された細径同軸ケーブルハーネス及び細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明の細径同軸ケーブルハーネスは、
複数本の細径同軸ケーブルと、防水チューブと、挿通孔を有するブロックと、防水接着テープとを備え、
複数本の前記細径同軸ケーブルは、端末部分で平面状に配列され、前記端末部分以外の少なくとも一部が前記防水チューブに挿入されて各前記細径同軸ケーブル同士の位置関係が変化し得る程度に束ねられ、前記ブロックの前記挿通孔に挿通されており、
前記防水チューブの端部が前記ブロックの前記挿通孔に圧入されるか、または前記ブロックが前記防水チューブ内に圧入されて、前記防水チューブと前記ブロックとが液密的に接続され、
前記ブロックにおける前記防水チューブとの接続側と反対側の面に前記防水接着テープが設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体は、上記の何れかの細径同軸ケーブルハーネスによって互いに接続された筐体であって、前記ブロックが前記防水接着テープによって前記筐体に液密的に接着されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体において、前記筐体には前記ブロックが嵌合される凹部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防水チューブが液密的に接続されたブロックにおける防水チューブとの接続側と反対側の面に防水接着テープが設けられているので、ブロックを防水接着テープによって筐体に接着固定することにより、筐体に対してブロックを液密的に接続することができる。これにより、細径同軸ケーブルハーネスを伝って筐体に水が浸入することがない。
また、耐水性、耐熱性、耐圧縮性に優れた弾性材料から形成される高価なOリングが不要であるので、コストアップを招くことなく、良好な防水構造を得ることができる。しかも、Oリングを用いる場合のように、Oリングの装着溝を形成する必要もなく、形状の複雑化によるコストアップもなくすことができる。Oリングは、装着側の外径に対応した径のものを選択して用意しなければならず、しかも、外形が円形の部材以外には使用が制限されるが、本発明ではOリングが不要であるので、ブロックの形状の制限がなく、接続する筐体側に対応させてブロックを様々な外形とすることができ、高い汎用性を確保しつつ良好な防水構造を得ることができる。
また、筐体から取り外してブロックの防水接着テープを除去した後、再びブロックに防水接着テープを貼り付けることにより、再使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の細径同軸ケーブルハーネスで接続された携帯電話端末を連結側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る細径同軸ケーブルハーネスの実施形態の例を示す断面図である。
【図3】細径同軸ケーブルハーネスの端部における斜視図である。
【図4】細径同軸ケーブルハーネスの変形例を示す端部における斜視図である。
【図5】細径同軸ケーブルハーネスの端部の接続構造を示す接続箇所の平面図である。
【図6】水密性試験方法の様子を示す概略断面図である。
【図7】気密性試験方法の様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る細径同軸ケーブルハーネス及び細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体の実施形態の例について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態では、第1筐体1及び第2筐体2を備えた携帯電話端末3のそれぞれの第1筐体1及び第2筐体2が、細径同軸ケーブルハーネス11によって接続されている。
【0012】
携帯電話端末3は、第1筐体1及び第2筐体2の端部同士が、ヒンジ4によって回動可能に連結され、開閉されることにより位置関係が変化する。
第1筐体1及び第2筐体2は、その連結側の端面に、ケーブル挿通孔5,6がそれぞれ形成されており、これらのケーブル挿通孔5,6から、細径同軸ケーブルハーネス11の両端がそれぞれ導入されている。
また、ヒンジ4には、連通孔4aが形成されており、この連通孔4a内に細径同軸ケーブルハーネス11が挿通されている。
【0013】
図2に示すように、細径同軸ケーブルハーネス11は、複数本(20〜60本)の細径同軸ケーブル12を束ねた束部10を有するもので、両端の端末部分では、平面状に配列され、携帯電話端末3の第1筐体1及び第2筐体2内の配線基板(図示省略)への接続のためのコネクタ(被接続部材)13が取り付けられて成端処理されている。
【0014】
細径同軸ケーブル12は、中心軸に直交する径方向の断面において、中心から外側に向かって、中心導体、内部絶縁体、外部導体、外被を有する構成であり、それぞれの端部では、端末処理が施されて、外部導体、内部絶縁体、中心導体が段階的に所定長さに露出され、コネクタ13に接続されている。また、細径同軸ケーブルハーネス11には、複数本の細径同軸ケーブル12の他に、外部導体のない細径絶縁ケーブルが含まれていても良い。なお、図面では、細径同軸ケーブル12の本数を少なく示して簡略化している。
【0015】
本発明でいう細径同軸ケーブル12は、AWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG40よりも細い同軸ケーブルである。AWG44よりも細い極細同軸ケーブルを用いるのが望ましい。これにより、細径同軸ケーブルハーネス11は、曲がり易く、第1筐体1及び第2筐体2が回動するときの抵抗を小さくすることができる。また、複数本の細径同軸ケーブル12を束ねて束部10を形成したときに、細径同軸ケーブルハーネス11の径を細くすることができ、限られた配線スペースでの高密度配線を可能とする。
【0016】
また、細径同軸ケーブルハーネス11は、その束部10が防水チューブ21に挿入されており、各細径同軸ケーブル12同士の位置関係が変化し得る程度に束ねられている。
この防水チューブ21によって束ねられた束部10の一部分は、携帯電話端末3のヒンジ4に形成された連通孔4aに挿通されている。この防水チューブ21は、優れた防水性を有するもので、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィンあるいはシリコーンゴム等の軟質の樹脂またはこれらの多孔体から形成されている。
【0017】
細径同軸ケーブルハーネス11を構成する束部10は、20本から60本程度の細径同軸ケーブル12を含むものである。細径同軸ケーブル12がAWG46の細さである場合には、防水チューブ21の中に細径同軸ケーブル12を挿通させて束とすると、細径同軸ケーブル12が60本の場合は防水チューブ21の内径は2.0mmから2.5mm以内に収めることができる。
【0018】
図2及び図3に示すように、防水チューブ21は、その両端が、樹脂ブロック(ブロック)22に連結されている。
この樹脂ブロック22は、例えば、ABS、ポリカーボネートあるいはポリアセタールなどの硬質樹脂から成形されたもので、その中心に形成された挿通孔24に、細径同軸ケーブル12が挿通されている。
【0019】
また、この樹脂ブロック22には、挿通孔24に、防水チューブ21の端部が圧入されている。これにより、防水チューブ21の外周面が、挿通孔24の内周面に密着されて、樹脂ブロック22に対して防水チューブ21が液密的に接続されている。また、防水チューブ21と樹脂ブロック22との接続箇所は、接着剤によって接着されていることが好ましく、これによりさらに確実に液密状態で防水チューブ21と樹脂ブロック22とが接続される。なお、防水チューブ21と樹脂ブロック22との接続箇所を接着させる接着剤としては、例えば、紫外線硬化性樹脂が好ましい。
【0020】
樹脂ブロック22は、一例として断面の外形が円形に形成されたものであり、防水チューブ21との接続側と反対側の端面22aには、防水接着テープ23が挿通孔24の周囲に環状に設けられている。この防水接着テープ23は、例えば、ポリエステルからなるフィルムを基材とし、この基材の表裏面に接着剤を積層させたもので、約0.05mm以上0.1mm以下の厚さ寸法で約1mm以上2mm以下の幅寸法とされている。なお、この基材に積層させる接着剤としては、例えば、アクリル系又はブチルゴム系の接着剤が好ましい。
【0021】
上記構造の細径同軸ケーブルハーネス11は、その端部のコネクタ13が、第1筐体1のケーブル挿通孔5に挿通されて第1筐体1内に入れられる。第1筐体1には、その端面に、平面視円形の凹部7が形成されており、この凹部7に、細径同軸ケーブルハーネス11の樹脂ブロック22がほぼ隙間なく嵌合されている。そして、この樹脂ブロック22の端面22aに設けられた防水接着テープ23が、凹部7の底部7aに接着されている。これにより、樹脂ブロック22は、液密的に第1筐体1へ接続されている。
【0022】
第2筐体2においても、第1筐体1と同様に、細径同軸ケーブルハーネス11の端部のコネクタ13が、第2筐体2のケーブル挿通孔6に挿通され、さらに、第2筐体2の端面に形成された平面視円形の凹部8内に樹脂ブロック22がほぼ隙間なく嵌合されている。そして、この樹脂ブロック22の端面22aに設けられた防水接着テープ23が、凹部8の底部8aに接着されている。これにより、樹脂ブロック22は、液密的に第2筐体2へ接続されている。
なお、細径同軸ケーブルハーネス11の樹脂ブロック22を、第1筐体1及び第2筐体2のそれぞれの凹部7,8に対して圧入しても良い。
【0023】
上記のような防水構造を備えた細径同軸ケーブルハーネス11を製造するには、まず、両端にコネクタ13が接続された細径同軸ケーブルハーネス11(図2に示す状態のもの)を防水チューブ21に挿通させる。
その後、細径同軸ケーブルハーネス11に、その両端から樹脂ブロック22を挿通させ、樹脂ブロック22の挿通孔24に防水チューブ21の端部を圧入して接続させる。また、樹脂ブロック22の防水チューブ21との接続側と反対側の端面22aに、防水接着テープ23を貼付する。
【0024】
上述のようにコネクタ13を先に細径同軸ケーブル12の端部に取り付け、コネクタ13を防水チューブ21及び樹脂ブロック22の挿通孔24に通す場合は、防水チューブ21および樹脂ブロック22の挿通孔24の内径を、コネクタ13を挿通させることができる大きさとする。防水チューブ21又は樹脂ブロック22の挿通孔24にコネクタ13を挿通させることが難しい場合は、防水チューブ21又は樹脂ブロック22の挿通孔24に細径同軸ケーブル12を挿通し、その後に細径同軸ケーブル12の端部にコネクタ13を取り付ければよい。
【0025】
携帯電話端末3を構成する第1筐体1及び第2筐体2に細径同軸ケーブルハーネス11を装着するには、まず、コネクタ13を第1筐体1及び第2筐体2の挿通孔5,6に挿通し、第1筐体1及び第2筐体2の中に入れる。次に、両端の樹脂ブロック22を第1筐体1の凹部7及び第2筐体2の凹部8にそれぞれ嵌合させる。このようにすると、それぞれの樹脂ブロック22の防水チューブ21との接続側と反対側に設けた防水接着テープ23が凹部7,8の底部7a,8aに接着され、それぞれの樹脂ブロック22が第1筐体1及び第2筐体2へ液密的に接続される。
【0026】
本実施形態によれば、防水チューブ21が液密的に接続された樹脂ブロック22における防水チューブ21との接続側と反対側の端面22aに防水接着テープ23が設けられているので、樹脂ブロック22を防水接着テープ23によって第1筐体1及び第2筐体2に接着して固定することにより、第1筐体1及び第2筐体2に対して樹脂ブロック22を液密的に接続することができる。これにより、細径同軸ケーブルハーネス11を伝って第1筐体1または第2筐体2に水が浸入することがない。
これにより、良好な防水性を得つつ、屈曲半径を小さくすることができ、繰り返し屈曲にも有利な細径同軸ケーブルハーネス11によって第1筐体1及び第2筐体2同士を容易に接続することができる。また、細径同軸ケーブル12はシールド性が良好でありノイズ特性に優れているため、安定した信号伝送を行うことができる。
【0027】
特に、本実施形態によれば、耐水性、耐熱性、耐圧縮性に優れた弾性材料から形成される高価なOリングが不要であるので、コストアップを招くことなく、良好な防水構造を得ることができる。しかも、Oリングを用いる場合のように、樹脂ブロック22にOリングの装着溝を形成する必要もなく、形状の複雑化によるコストアップもなくすことができる。
また、Oリングが不要であるので、樹脂ブロック22の形状の制限もなく、接続する第1筐体1及び第2筐体2側に対応させて樹脂ブロック22を断面円形以外の様々な外形とすることができ、高い汎用性を確保しつつ良好な防水構造を得ることができる。
【0028】
例えば図4に示すものは、外形が平面視矩形状の樹脂ブロック22aを備えた細径同軸ケーブルハーネスである。樹脂ブロック22aの形状に合わせて、端面22b及び防水接着テープ23の形状も矩形である。この細径同軸ケーブルハーネスでは、第1筐体1及び第2筐体2にそれぞれ形成された平面視矩形状の凹部7,8に嵌合させて接続させる。
このように、本実施形態では、Oリングが不要であるので、樹脂ブロック22の形状を平面視矩形状などの円形以外の形状としても良好な防水構造を得ることができる。
【0029】
また、第1筐体1及び第2筐体2から取り外して樹脂ブロック22の防水接着テープ23を除去した後、再び樹脂ブロック22に防水接着テープ23を貼り付けることにより、細径同軸ケーブルハーネス11を再使用することができる。
【0030】
また、第1筐体1及び第2筐体2の凹部7,8に樹脂ブロック22を嵌合させた構造であるので、細径同軸ケーブルハーネス11が曲げられたとしても、その曲げ力によって第1筐体1及び第2筐体2に対して樹脂ブロック22が殆ど変位することがない。つまり、細径同軸ケーブルハーネス11が曲げられたとしても、樹脂ブロック22と凹部7,8の底面7a,8aとを接着している防水接着テープ23へ負荷が作用せず、よって、防水接着テープ23による第1筐体1及び第2筐体2への樹脂ブロック22の液密的な接続状態を長期にわたって確実に維持させることができる。
【0031】
また、細径同軸ケーブルハーネス11は、両端のコネクタ13によって第1筐体1及び第2筐体2内の配線基板などに容易に接続することができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、防水チューブ21の端部を樹脂ブロック22の挿通孔24へ圧入することにより、防水チューブ21を樹脂ブロック22へ液密的に接続したが、防水チューブ21の端部に樹脂ブロック22を圧入することにより、防水チューブ21を樹脂ブロック22へ液密的に接続しても良い。この場合、防水チューブ21がシリコーンゴムのような弾性復元力を持つ材料からなる場合、防水チューブ21の弾性復元力によって良好な液密状態を確保することができて効果的である。また、防水チューブ21として、例えば、ポリオレフィンなどの熱収縮性の樹脂のチューブを用い、樹脂ブロック22を防水チューブ21へ圧入した後に、防水チューブ21の端部を熱収縮させることによって、防水チューブ21の端部と樹脂ブロック22とを、さらに良好に液密的に接続することができる。
【0033】
また、細径同軸ケーブルハーネス11は、その束部10を、例えば、モノフィラメント繊維を筒状に編み込んだ編組スリーブによって束ねたり、防水チューブ21よりも滑りのよいバンドルテープや糸を螺旋状に巻き付けて束ねても良く、このようにすると、防水チューブ21への挿入作業の円滑化を図ることができる。
【0034】
また、細径同軸ケーブルハーネス11としては、コネクタ13を後付けするものでも良い。つまり、コネクタ13を取り付ける前の細径同軸ケーブルハーネス11を防水チューブ21及び樹脂ブロック22の挿通孔24に通し、その後、両端にコネクタ13を装着しても良い。
【0035】
なお、本実施形態は、コネクタ13を装着せずに、図5に示すように、細径同軸ケーブルハーネス11の細径同軸ケーブル12を配線基板31へ直接またはFPC(Flexible Printed Circuits)等を介して接続する場合にも適用可能である。
【0036】
細径同軸ケーブル12を配線基板31に直付けする場合には、並列させた細径同軸ケーブル12の端末を配線基板31に対してフィルムなどで仮止めし、細径同軸ケーブル12の端末の中心導体を配線基板31の接続端子に半田付けで接続すればよい。また、端末部分で露出された外部導体は、グランドバー32に接続する。このようにすると、細径同軸ケーブル12の各外部導体をグランドバー32によってまとめて容易に接地させ、良好なシールド効果を得ることができる。また、各細径同軸ケーブル12の配列ピッチを良好に固定することができる。
【0037】
また、上記実施形態では、ヒンジ4の連通孔4aに細径同軸ケーブルハーネス11を挿通させる構造を例示して説明したが、ヒンジ4の連通孔4aに挿通しない構造にも適用可能である。
【実施例】
【0038】
(水密性試験)
図6に示すように、細径同軸ケーブルハーネス11の両端を、それぞれ密閉された第1筐体1及び第2筐体2に接続し、水槽40内の水に沈め、水深1mの場所に30分間放置した。その後、細径同軸ケーブルハーネス11を引き上げ、第1筐体1及び第2筐体2内の水の浸入の有無を確認した。
細径同軸ケーブルハーネス11の両端の樹脂ブロック22に、ポリエステルフィルムからなる基材の表裏にアクリル系の接着剤が積層された厚さ0.05mmの防水接着テープ23を設けたものを実施例1とし、樹脂ブロック22に防水接着テープ23を設けていないものを比較例1とした。
その結果、実施例1では、第1筐体1及び第2筐体2の何れの内部にも水の浸入が確認されなかった。これに対して、比較例1では、第1筐体1及び第2筐体2の内部に水が浸入していた。
【0039】
(気密性試験)
図7に示すように、一つの面が疑似金属膜41aからなる密閉された加圧カプセル41を用意し、この加圧カプセル41の底面に凹部42を形成し、これらの凹部42に、細径同軸ケーブルハーネス11の両端の樹脂ブロック22をそれぞれ嵌合させた。
この状態で、加圧カプセル41のエア導入口41bからエアを注入した後にエア導入口41bを密封し、変位センサ43によって疑似金属膜41aの変位を測定し、加圧カプセル41からの空気のリークの有無を調べた。なお、加圧カプセル41へのエアの注入後、10秒間で0.5cc以上の空気が減少した場合は空気のリーク有りと判定した。
細径同軸ケーブルハーネス11の両端の樹脂ブロック22に、ポリエステルフィルムからなる基材の表裏にアクリル系の接着剤が積層された厚さ0.05mmの防水接着テープ23を設けたものを実施例2とし、樹脂ブロック22に防水接着テープ23を設けていないものを比較例2とした。
その結果、実施例2では、空気のリークはなかった。これに対して、比較例2では、空気のリークが認められた。
【0040】
上記の水密性試験及び気密性試験の結果から、上記実施形態に示したように樹脂ブロック22に防水接着テープ23を設けることにより、Oリングを用いることなく、Oリングと同等の良好な水密性及び気密性を得ることができることがわかった。
【符号の説明】
【0041】
1:第1筐体(筐体)、2:第2筐体(筐体)、7,8:凹部、11:細径同軸ケーブルハーネス、12:細径同軸ケーブル、13:コネクタ、21:防水チューブ、22:樹脂ブロック(ブロック)、23:防水接着テープ、24:挿通孔、32:グランドバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の細径同軸ケーブルと、防水チューブと、挿通孔を有するブロックと、防水接着テープとを備え、
複数本の前記細径同軸ケーブルは、端末部分で平面状に配列され、前記端末部分以外の少なくとも一部が前記防水チューブに挿入されて各前記細径同軸ケーブル同士の位置関係が変化し得る程度に束ねられ、前記ブロックの前記挿通孔に挿通されており、
前記防水チューブの端部が前記ブロックの前記挿通孔に圧入されるか、または前記ブロックが前記防水チューブ内に圧入されて、前記防水チューブと前記ブロックとが液密的に接続され、
前記ブロックにおける前記防水チューブとの接続側と反対側の面に前記防水接着テープが設けられていることを特徴とする細径同軸ケーブルハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載の細径同軸ケーブルハーネスによって互いに接続された筐体であって、
前記ブロックが前記防水接着テープによって前記筐体に液密的に接着されていることを特徴とする細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体。
【請求項3】
請求項2に記載の細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体であって、
前記筐体には前記ブロックが嵌合される凹部が形成されていることを特徴とする細径同軸ケーブルハーネスで接続された筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−181216(P2011−181216A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41794(P2010−41794)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】