説明

細胞および/または微生物を培養するための装置

本発明は、使い捨て要素として設計されている反応器と、上記反応器を受けるための容器と、反応器と上記反応器に回転振動運動を与えるための駆動装置とを備える装置と、細胞および/または微生物を培養するための装置の使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは使い捨て要素として設計されている反応器、この反応器を収容するための容器、反応器とこの反応器の回転振動運動を生み出すための駆動装置とを備える装置、および細胞および/または微生物を培養するための装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高度に管理された医薬製造において、時間、設備、および人員に関する多大な経費が、洗浄および滅菌されたバイオリアクターの設備に割り当てられる。多目的プラントまたは2個の製品バッチの間において製品変更による交差汚染を確実に回避するために、洗浄に加えて、プロセスを調整する場合に繰り返されることが必要かもしれない非常に複雑な洗浄バリデーションが必要とされる。
【0003】
これは上流の工程(USP)、即ち発酵における生物学的製品の製造だけでなく、下流の工程(DSP)、即ち発酵による製品の精製にもまた、適用される。
【0004】
USPおよびDSPにおいて、ケトル(kettles)が、撹拌器および反応システムとしてしばしば使用される。特に、発酵の場合、培養の成功のために、無菌環境が不可欠である。バッチ、または供給されたバッチの発酵槽の滅菌のため、SIP(定置滅菌(sterilizable-in-place))技術が通常使用される。連続処理方法において長期間の十分な滅菌を確実にするために、オートクレーブ技術もまた使用されるが、オートクレーブへの反応器の面倒な輸送を必要とし、比較的小規模の反応器でのみ使用可能である。発酵の間に汚染される危険性は、サンプリングおよび撹拌器のシャフトが作動している間に、特に重大である。後者には通常、複雑な封止システム(例えば、スライディングリングシール)が備え付けられている。発酵ケーシングのそのような貫通なくして成功する技術が好ましい。なぜなら、そのような技術は、プロセスロバスト性(またはプロセスの頑健性)がより大きいからである。
【0005】
調整操作に必要とされる反応器の休止時間は、使用期間が短い場合および製品を頻繁に変更する場合、特に、反応器が利用可能である時間とほぼ同じ規模であり得る。生物工学的製造のUSPにおいて影響を受ける工程は、例えば、培地生成および発酵の処理工程であり、DSPにおいて影響を受ける工程は、可溶化、冷凍、解凍、pH調節、沈殿、結晶化、緩衝剤の交換およびウィルスの不活性化である。
【0006】
最大限の清潔さおよび滅菌を維持すると同時に、製造プラントの急速かつ柔軟なチャージングのための要求に応じるために、使い捨て反応器のための設計は、市場において常に関心が高まっている主題である。
【0007】
国際公開第2007/121958号には、細胞および微生物を培養するためのこの種の使い捨て反応器が記載されている。好適な実施形態において、上記使い捨ての反応器は、安定した、好ましくは多層のポリマー材料からなっている。変形可能な使い捨て反応器は、これを支持する容器によって収納されている。この場合、上から上記容器内に導入されるのが好ましい。上記容器は、駆動装置に接続される。上記駆動装置は、上記使い捨ての反応器を含む容器を、位置が固定された、好ましくは上記容器の鉛直軸の周りに回転振動運動させる。上記使い捨ての反応器および/または上記使い捨ての反応器内側の角状の実施形態によって、反応器の中身に高電圧入力が、上記振動回転運動中になされうる。したがって、上記使い捨ての反応器は、細胞および微生物を培養するために表面ガスが導入される発酵槽として使用されうる。
【0008】
国際公開第2007/121958号に記載されている上記使い捨ての反応器は、中央に出口を有する平らな床またはピラミッド形に外側に曲がった床を有している。中央の出口を備えたピラミッド形に外側に曲がった床によって達成されると意図した効力は、一旦出口のバルブが開かれれば、反応器内容物を完全に除去するのは、ホースラインを介して可能であるということである。
【0009】
国際公開第2007/121958号に記載されている上記システムの不利な点は、上記使い捨ての反応器の大きさが増すにつれて、10Lから100Lの反応器容量において、二次的な役割を果たす問題が生じるということである。
【0010】
平らな床が有する不利な点は、例えば、上記使い捨ての反応器が、すぐには完全に空になれないことである。もし、出口が床縁の上にあれば、反応器の内容物のいくらかは、反応器内に残り続ける。大容量の反応器の場合、反応器内に残るのは、製品のかなりの量となりうる。上記中央出口を有する外側に曲がった床は、反応器が実質的に完全に空になりうるという有利なことがありうる。
【0011】
しかしながら、上記使い捨ての反応器の大きさが増すにつれて、容器内に上から上記使い捨ての反応器を導入するのがますます難しくなる。さらに、外側から使い捨て反応器のピラミッド形に外側に曲がった床の中央出口へ、ホースラインを取り付けるのがますます難しくなる。さらに、下方に導かれたホースラインは、安全面のリスクとなる。つまり、弱結合あるいはホースラインが爆発すべき場合、反応器の全内容物は、妨害されることなく飛び出るだろう。
【0012】
さらに、上記反応器の大きさが増すにつれて、回転振動運動の混合作用は、回転軸の近くで減少する。細胞および/または微生物を培養するとき、回転軸近くにある培養物は、十分な養分の供給を受けないというリスクがある。
【0013】
上記反応器の大きさが増すにつれて表面積対体積率が減ることによって、特に、比較的大きな反応器の場合に、ガスが専ら表面ガス導入によって反応器内に導入されるならば、細胞および/または微生物にガスが十分に供給されないリスクがある。
【0014】
先行技術から始めて、清潔と滅菌に課された高い要求を備えたプロセスを行なうためのシステムを提供するのが目的であり、上記システムは、時間、設備、および清潔になり殺菌されたコンポーネントの準備に配分されている人員の点から支出を削減する。上記システムは、100Lから200Lまで、またはそれ以上のプロセス容量でさえ使用可能になることを特に目的としている。製薬産業の例外的な要求を満たし、単純かつ直観的に扱われ、また、費用効率がよいことを目的としている。プロセス空間からの物質の出現により安全リスクを最小まで減らすことを目的としている。プロセス内容物の十分な混合を許容することを目的としている。微生物と細胞培養に適していると共に、培地に対する特にガス状物質の十分な供給と、培地からのガス状物質の十分な除去とを保証することを目的としている。
【0015】
本発明によると、この目的は、独立請求項に挙げられている内容によって達成される。好適な実施形態は、従属請求項に存在する。
【0016】
本発明の第1の内容は、内部空間を囲む壁と、この壁における通過部および/または接続部とを備え、上記内部空間を外部環境につなぐのを許容する反応器であって、液体で満たされたとき、上記液体の表面と平行な多角形断面と、上記内部空間内に曲がった、または曲げられうる床とを有していることを特徴とする反応器である。
【0017】
本発明に係る反応器は、化学的、生物学的、生化学的、および/または物理的なプロセスを実行するために、外側から密閉されうる空間を構成する。特に、上記反応器は、細胞および/または微生物を培養するための空間を供給するのに役立つ。
【0018】
上記反応器は、好ましくは使い捨て要素として設計され、つまり、好ましくは使用後に反応器を掃除するのではなく、むしろ反応器を使い捨てるために供給される。したがって、上記反応器は、滅菌反応空間を与えることが要求される必須要素だけ、つまり、制御された態様で上記反応空間を外側の世界につなげることができるために、空間を仕切って外側から後者を密閉する壁と、上記壁内の通過部とを備えている。
【0019】
反応器を運転するため、特に細胞および/または微生物を培養するために必要な残り全ての要素は、再使用可能な周辺装置によって与えられる。上記周辺装置は、上記反応器を収容する容器と上記反応器の回転振動運動のための駆動装置とを含み、さらに詳細について後述する。
【0020】
したがって、従来技術における凝集ユニットを従来構成する反応器は、好ましくは、このケースでは、機能に従って構成されている別々の部品に分けられている。この場合、上記反応器と上記容器とは、全体システムの別々の部品として、上記反応器が上記容器内に設置されうるような態様でお互いに一致し、液体で満たされたとき、上記容器によって支持される。上記反応器は、上記容器の内皮(プロセス変化のために、未使用の、滅菌された反応細胞を確保するために更新されうる)として説明されうる。
【0021】
本発明に係る反応器は、費用効率が高く生産されうる態様で設計されている。上記反応器は、好ましくは、変形可能なくぼんだ本体であり、この本体の壁は柔軟で、すなわち曲げやすく、この本体の形状は、少なくとも反応器が満杯ではない状態で、外力によって変形されうる。上記壁は、好ましくは、安定した、単層または多層のポリマーからなっている。上記変形能によって、例えば、反応器を折り畳むことができ、したがって、後者を輸送および貯蔵のために省スペースの形状にすることができる。
【0022】
好ましくは、使い捨て要素として設計されている反応器の場合、上記変形能は、上記反応器の安い材料や製造コストの要求からも生じている。上記反応器は、本質的には、滅菌された空間にのみ供給することを目的としているので、例えば、上記壁が自立している必要はない。その代わり、上記反応器は変形可能な本体として設計されており、その本体は、使用のため、上記反応器を支持する容器内に設置される。したがって、上記反応器の壁の強さは、最小限まで減らすことができ、このことは、支持された反応器の安定基準を満たしている。したがって、上記壁の強さは、通常、上記壁が変形可能な範囲内にある。
【0023】
さらに、柔軟な壁を有する変形可能な反応器は、使用中の反応器を支持することを目的としている容器領域に対して、ぴったりとはまりうる。このことは、例えば、製造公差を保証するのに有利な点でありうる。
【0024】
本発明に係る反応器の壁(したがって、好ましくは、また、上記反応器を収容するのに役立つ容器領域)は、位置固定された軸の周りに反応器が回転振動運動する間、力が反応器の液体内容物に入力されるような態様で配置されている。
【0025】
もし上記反応器が円形シリンダーとして設計され、液体で満たされた反応器が、シリンダーの長軸の周りに回転振動運動をすれば、反応器内の不活性液体は、反応器と一緒にはほとんど動かないだろう。壁に近い層だけが、接着力に起因して同時に回転させられるだろう。したがって、本発明に係る反応器は、液体で満たされたとき、液体の表面と平行な角断面を有する。この角断面の実施形態は、確実に力が液体に入力され、反応器の運動を反応器の内容物に押し付けるようにする。反応器は、振動する態様、つまり、回転方向が定期的に変化する態様で動く。反応器の内容物の慣性および流動状態により、反応器の内容物の運動は、反応器の運動に対して遅れる。したがって、混合動作が得られる。特に、液体の上の液体にガスを入れることができる。このことは、国際公開第2007/121958号明細書の25ページおよび図5cによって説明されている。
【0026】
液体で満たされた反応器の表面に平行な横断面は、好ましくは、n角形状である。ここで、nは、3から12までの範囲内、好ましくは4から8までの範囲内、特に好ましくは4から6までの範囲内にあり、最も好ましいのは、nが4に等しいときである。
【0027】
本発明に係る反応器の側壁は、液体の表面に対して平行に延在せず、45°から120°までの角度でお互いに対して交わる平らな表面として、好ましくは、少なくとも部分的に設計されている。
【0028】
例えば、反応器の側壁は、多面体を形成することが考えられる。
【0029】
さらに、本発明に係る反応器は、反応器の内部空間内に作り付けられる床を有し、または、変形可能な反応器の場合、内側に作り付けられうる床を有する。上記床は、例えば、内側に向いた4面体の形状、内側に向いたピラミッドであり、または、放物面またはベル形状を有していてもよい。さらなる形状が考えられる。
【0030】
上記床は、好ましくは、回転振動運動中に、容器内の流体に力が入力されるように、内側に向いた縁を有している。上記床は、ピラミッド形の設計が特に好ましい。
【0031】
内部空間内に作り付け、または作り付けられうる領域は、また、以下湾曲といわれる。
【0032】
湾曲の高さhは、床横断面の円相当直径dの0.01倍から1倍までの範囲内にある。もし、上記床横断面が、例えば、辺長aの四角形、場合によっては、ピラミッド形に曲がった床ならば、横断面積は、A=aである。そして、上記円相当直径dは、式(1)による。

【0033】
上記円相当直径dに対する湾曲の高さhは、好ましくは3%から100%までの範囲内、特に好ましくは5%から30%までの範囲内、さらに特に好ましくは10%から20%までの範囲内である。
【0034】
驚いたことに、内側に曲がった/作り付けられた床は、特にもしその床が多面体(例えばピラミッド形)の設計で、反応器の内側に向いた縁を有していれば、平らに設計され、または外側に作り付けられた床と比較して、回転振動反応器の混合運動をはるかに改善することが分かった。このことは、回転振動運動中に内側に向けられた縁によって増やされる力の入力に起因する。さらに、内側に向けられた縁を有する床形状は、反応器内部の床に落ちる粒子の再懸濁を引き起こす。上記振動運動は、粒子を再度反応器の上部へ戻す渦を上記縁で生じさせる。
【0035】
さらに、反応器の内容物を反応器の床縁上の横の接続部を介して除去するとき、内側の湾曲は残留量を減少させる。これは、排出接続が床に達すること、および関連する問題やリスクを回避することを可能にする。
【0036】
本発明に係る反応器は、例えば、内容物を除去するおよび/または供給することを可能にし、および/または反応器の内容物について計量するための通過部および/または接続部を有する。
【0037】
上記反応器は、位置的に固定された軸の周りの回転振動運動を実行することを目的としているので、上記傾斜は、例えば、内容物の供給および/または除去のためのホース長さを可能な限り短くするために、通過部および/または接続部を回転軸の近くに持っていくためである。ホースは、この場合、単純な態様で回転軸に沿って反応器から離れてガイドされうる。そして、ホースは、すぐにもつれるようにならない。また、国際公開第2007/121958号明細書に記載されているように、ホースは、好ましくは、回転軸の近くの、反応器の頭部に取り付けられる。
【0038】
しかしながら、接続部は、頭部において、特に、ホースの先端(上から反応器の内容物内へ突き出るのを目的としている(浸漬管))が含まれている場合、不利であるということがわかった。なぜなら、上記ホースの先端は、回転振動動作により、反応器内の再生産可能な位置におらず、むしろ行ったり来たりブラブラするからである。この種のホースの先端は、反応器の生産中は、反応器内部に設置されていなければならず、このことは、結果として生産コストの上昇になる。上記ホースの先端は、反応器の生産中、輸送中、作動中、および運転中に容易にもつれうる。上記ホースの先端は、非常に大きな困難を伴って初めて解くことができ、たとえ解けたとしても、外側からである。なぜなら、反応器内部は、特に運転中は、外からアクセスできないからである。
【0039】
したがって、本発明に係る反応器は、好ましくは、側部に通過部および/または接続部を有する。
【0040】
上記反応器内容物を外に出すための通過部は、好ましくは、上記床縁の近くに取り付けられる。
【0041】
例えば、反応器内のpH値および/または酸素濃度が、同様に横向きに取り付けられた接続部を介して計測されうる。光学的に計測されうる蛍光センサ(また、この点において国際公開第2007/121958号明細書を参照。ここには、このタイプのセンサがより詳細に記載されている。)のような、非接触で動作する計測システムは、特に適切である。
【0042】
本発明に係る反応器は、好ましくは、運転中に反応器内を見ることが出来る単層または多層の透明なポリマー材料で形成されている。
【0043】
ポリマー材料は、比較的費用効率が高く処理もされうる比較的費用効率の高い材料である。したがって、使用済みの反応器の廃棄と新しい廃棄可能な反応器の使用は、使用済みの反応器を洗浄するよりも経済的である。なぜなら、特に、複雑な洗浄バリデーションは、新しい使い捨ての反応器の使用には必要がないからである。本発明に係る反応器は、好ましくは、無菌でパッケージされる。
【0044】
本発明に係る反応器のための適切な材料は、特に上記材料と、米国特許6,186,932号において言及された小袋のための2列および3列で使用されている材料の組み合わせである。そこで言及されている壁の厚さは、また、本発明に係る反応器に適用されうる。
【0045】
好適な実施形態において、本発明に係る反応器の壁は、ポリプロピレンの層とポリエチレンの層とを有するフィルム合成物から成っている。
【0046】
上記ポリエチレン層は、好ましくは、反応器の内側に設けられている一方、上記ポリプロピレン層は、好ましくは、反応器の外側に設けられている。
【0047】
ポリマーフィルムの発明に係る反応器は、例えば、米国特許6,186,932号に記載されている方法によると、内側に作り付けられうる床が生産されるような態様で適用しなければならない溶接線を有して生産されうる。本発明に係る反応器の好適な実施形態の生産のための典型的な実施形態は、以下に詳述する。
【0048】
本発明に係る反応器は、最大幅に対する高さの比が0.2から3まで、好ましくは0.5から2まで、特に好ましくは0.7から1.5までの範囲内である。
【0049】
上記反応器の容量は、例えば、10Lから300Lまでの値を想定しうる。
【0050】
正しい使用のため、上記反応器は、好ましくは、反応器が満たされているとき、反応器の柔軟な壁を支持する容器内に設置されている。したがって、上記容器および反応器の形状は、好ましくは、お互いに調和している。
【0051】
本発明に係る反応器を収容するための容器は、本発明の更なる内容である。
【0052】
本発明に係る容器は、少なくとも、
反応器を収容する内部空間と、
上記容器内へ反応器を正面から導入するための開口とを備え、
上記開口は、閉じられうると共に、上記閉状態で液密されるように設計されており、
上記容器の上記内部空間内へ内側に曲がった床と、
側部チャンネルとを備え、
この側部チャンネルを介して、ホースおよび/またはチャンネルおよび/または計測プローブが、上記反応器につながれうる。
【0053】
容器は、内部空間を囲むと共に、閉状態で壁によって外側世界から上記内部空間を区切る容器を指すものとして理解される。本発明に係る容器は、好ましくは、液密、つまり、液体が、容器の内部から外側世界へうっかり通過しないような態様で外側世界から密閉できるように設計されている。
【0054】
上記容器は、円筒形の設計でも良く、例えば、円柱形や、立方体形として設計されてもよい。上記容器は、好ましくは、立方体形の設計である。上記容器の幅と深さは、側部チャンネルなしの内部空間に関する大きさについて、特に好ましくは略等しい。つまり、最大でお互いに対して200%異なる。最大幅に対する高さの比が0.2から3まで、好ましくは0.2から3まで、特に好ましくは0.7から1.5までである。幅に対する高さの時々比較的小さい比は、小さいスペース、例えば、研究室における大容量の収容を許容すると共に、反応器容量当たりの液体の比較的高くて明確な表面の結果として、表面のガス導入中の物質の運搬を改善する。
【0055】
本発明に係る反応器は、容器の内部空間に設置されうる。好ましくは変形可能な反応器は、容器の内壁に支持されている。上記容器は、内側に曲がった床を有している。上記容器および上記反応器の床形状は、お互いに調和している。
【0056】
改善した混合動作、およびより少ないデッドスペースに加えて、内側の湾曲が付加的に、反応器内容物が外に出されているとき、容器の安定性を増すという有利な点を有する。結果として、容器の壁の厚みを減らすことができて、重量と、したがってコストとの削減を成し遂げることができる。
【0057】
上記ヘッドスペースにおける圧力に関する要求によって、容器のカバープレートは、力が反応器から容器へ伝わりうるような態様で設計されうる。この場合、反応器と容器との間に非常にしっかりとした摩擦のつながりを確保するように細心の注意を払うべきである。
【0058】
上記容器は、容器の一方側に設けられた少なくとも一つの開口を有し、その開口を介して、反応器は、好ましくは正面を向いて、容器内に設置されうる。国際公開第2007/121958号に記載されているシステムに対し、上記反応器は、好ましくは、上記容器内に上からではなくむしろ正面を向いて設置される。反応器が100Lから200L以上の容量を有している場合、容器は、或る高さに達するので、反応器を上から位置に取り付けることは、第一に、部屋の高さへの対応が必要であり、第二に、上側の容器開口に達するための補助(はしご、クレーン)が必要である。より単純な搬送により、正面に方向付けられた開口は有利である。
【0059】
上記開口は、閉鎖可能な設計であり、つまり、ドアまたはドアと同等なものが、好ましくは液密の態様で容器を閉じることが出来るようにするために存在している。
【0060】
さらに上記容器は、側部チャンネルを有し、この側部チャンネルを介して、ホースとその他の接続部、例えば、センサまたはセンサ線が、反応器につながれうる。上記チャンネルは、外側に対して密閉されるので、漏れがあった場合、媒体、特に遺伝子組み換え生物を含む生体媒体は、容器から逃れることはできない。
【0061】
好適な実施形態において、上記チャンネルは、2つの間隔をおいた、好ましくは透明な壁によって形成されており、使い捨て反応器の床部に達する。上記反応器の方に向けられた内側の壁は、上記反応器を支持するのに役立つ。外側の壁は、外側に対して容器を密閉するのに役立つ。両方の壁は、上記容器内に上記反応器を正面から導入するために取り除かれうる。上記ホースラインと他のカップリングは、
したがって、このことは、カップリングにおける漏れの結果として反応器が完全に排出するのを確実に避ける。したがって、周囲からのラインの付加的な保護は、要求されない。
【0062】
上記容器は、好ましくは上記容器と、上記容器内に設けられている反応器の温度を制御する手段を有している。上記温度が制御されることを可能にする加熱および/または冷却要素は、好ましくは容器の壁内または壁上に設置されおよび/または固定される。
【0063】
上記反応器または上記容器は、運転中に鉛直な軸の周りに回転可能に取り付けられると共に、駆動装置に接続される。上記駆動装置は、位置が固定された鉛直軸の周りに回転振動する態様で反応器を運動させることができるので、上記駆動装置を反応器自体に直接つなげることは要求されない。また、強制的な結合は、例えば、センサ外乱を引き起こすかもしれない電磁ビームの解放を大幅に減少しうる。
【0064】
上記反応器の振動運動を実現するために、好ましくは、反応器、または適切なカップリング部(例えば歯付きベルト)を介して、上記容器につながれた振動機構を利用する。上記振動機構と反応器/容器とは、好ましくは上記反応器/容器床の下で結合される。そのような配置は、非常に静かになって、低重心が可能になるという利点を有している。後者は、特に大きな機器容量や、制限された建物高さ(例えば研究室内の組立のため)の場合に関連がある。
【0065】
上記容器は、ホルダー、またはアキシャル軸受の中に、例えばクレーンの助けを借りて、上から挿入されうるので、同一の駆動装置および/または同一の計測技術が異なるタイプの容器に使用されうる。
【0066】
上記反応器は、好ましくは、反応器の回転が実質的に一定の角加速度または角減速度で加速されるおよびブレーキがかけられるような態様で、駆動装置に力がつながれる。結果として、回転振動する反応器運動のすべての局面において、懸濁粒子(例えば動物細胞)にかかる流体力学的せん断力の瞬間のピーク値は、反応器の運動における他の形式におけるものと比べて、比較的低く保たれる。正弦波加減速プロフィールの極端な場合までの加速とブレーキとの間の穏やかな推移は、駆動要素の運転持続時間を増加させるために、ここでは実に望ましい。加速または減速の永久運動により、反応器の回転速度は、時間とともに回転振動の各運動過程の中で変わる。相互につながれた制御モジュールは、この単純な反応器運動のために必要ではない。
【0067】
既に言及されたように、本発明にかかる上記容器は、容器の内部空間内へ曲げられると共に、本発明に係る反応器と一致する床を有している。したがって、反応器の場合のように、上記床は、円錐形になるように設計されうるし、球形セグメントの態様で、ベル形状、放物線、または多面体形状になるように設計されうる。上記床は、好ましくは上記容器の内部へ向けられた縁を有している。上記床は、特に好ましくはピラミッド形の設計である。
【0068】
上記容器床の湾曲の高さhは、上記床横断面の円相当直径dの0.01倍から1倍までの範囲内にある。もし、上記床横断面が、例えば、辺長aの四角形、場合によっては、ピラミッド形に曲がった床ならば、横断面積は、A=aである。そして、上記円相当直径dは、式(1)による。

【0069】
上記円相当直径dに対する湾曲の高さhは、好ましくは3%から100%までの範囲内、特に好ましくは5%から30%までの範囲内、さらに特に好ましくは10%から20%までの範囲内である。
【0070】
上記内側へ曲がった床と、好ましくは上記容器の立方体形の実施形態によって、分布プロセスおよび/または混合反応は、単純な態様の回転振動運動と組み合わせると共に、従来の攪拌機容器におけるのと同じ強さと組み合わせて実行されうる。一方で、本発明に係る概念において、軸通過は、完全に省かれうる。
【0071】
したがって、内部の湾曲は、第1に、床部における付加的な力の入力のせいで、動いている状態における粒子の堆積作用を防ぐ。第2に、反応器の床縁上の側面の接続部を介して反応器内容物を排出するとき、内部の湾曲は、残留量を減らす。それにより、排出接続部が上記床に達することが回避されうる。
【0072】
さらに、内側に曲がった容器床の概念によって、既に上述したように、容器の安定性がかなり増加されうる。結果として、側部の壁の厚みが減らされて、重量削減が達成されるので、コスト削減も達成される。さらに、上記壁の厚みの減少によって、容器の慣性力と、最終的には容器の駆動力が、かなり減らされる。
【0073】
特に好適な実施形態において、接続板は、好ましくは側部チャンネルの内壁の床部に設けられ、上記接続板は、上記反応器が接続線部で支持されるのを許容すると共に、接続線が、上記側部チャンネル内にガイドされるのを許容する。
【0074】
好適な実施形態において、この接続板は、接続線が通過するための通過部を有している。上記接続板は、組み立て中に反応器に接続される。この実施形態において、上記接続板は、好ましくは、同じように使い捨て要素である。
【0075】
さらに好適な実施形態において、上記接続板は、横に開口し、容器内の変形可能な反応器を固定するために反応器接続部上に横に押される。この場合、上記接続板は、再利用されうると共に容器の一部である。
【0076】
さらに本発明は、本発明に係る反応器と駆動装置とを少なくとも備える装置に関する。もし、反応器が、変形可能な態様で設計され、それゆえに反応器の壁を支持するための容器を必要とするならば、本発明に係る装置は、さらに、本発明に係る容器を備える。
【0077】
好適な実施形態において、上記装置は、運転中に振動する態様で回転する反応器を囲むフレーム(容器)を有する。好適な実施形態において、上記フレームは、反応器の運転中に、コード化された耐偽物のキーシステムを使用してロックされるドアを有する。後者は、好ましくは、電流の供給なしで使用され、一方で運転中の保護に関しては最大限の安全要求を維持し、したがって、上記フレームおよび制御システム内のセンサによってお金をかけて電気的にモニタリングすることなく使用される。上記フレームの組み立ては、結果としてかなり単純化される。上記フレームは、安全運転シャットダウンの間だけ、運転スタッフが上記反応器にアクセスするのを許容するドアを有している。上記ドアと駆動装置とは、ドアが閉まっているときに反応器が運転状態にされうるだけの態様で、上記ロッキングシステムによって保護されている。好ましくは、フォルティスシステム(Fortis system)として当業者にも知られている無電流の安全システムの目的のために使用される。単一の利用可能な専用の設置キー、ドアをロックすると共に駆動装置を制御するのに役立つ。ドアが閉じられるときに限り、駆動装置は始動できる。キーが駆動装置の制御装置から取り除かれるとき、駆動装置のスイッチが切られる。上記コード化された単一のキーロックの利点は、電子モニタリングのない固有の機械的な安全性にある。上記フレームの窪んだパイプを通ってケーブルを配置する必要はない。これは清掃、密閉、組立およびコストの点から有利な立場をもたらす。
【0078】
また、本発明は、反応器と、選択的に容器と、細胞および/または微生物を培養するための駆動装置とを備える装置の使用に関する。
【0079】
好適な実施形態において、本発明に係る変形可能な反応器は、まず第一に、上記反応器と調和した本発明に係る容器内に設置される。上記変形可能な反応器は、好ましくはガスによって広げられ、充填状態に準ずる状態で、容器内の開口を通って容器内に導入される。上記反応器が置かれ、開口によって適当な位置に固定された後、ガスが置き換えられて、媒体でいっぱいになる。
【0080】
上記反応器は、好ましくは、上述の接続板を介して、例えば栄養、選択的に散布、排出、他のカップリングのためのガス供給、例えば温度センサ、pHセンサおよび同種のもののためのホースラインと結合される。ヘッドスペースからのガス除去と表面ガスの導入のためのガス供給とは、好ましくは、反応器頭部で起こる。
【0081】
使い捨ての反応器において、反応器の幅に対する液体レベルの比は、好ましくは0.2から2まで、特に好ましくは0.5から1までである。さらに、好ましい流体力学的およびプロセスエンジニアリング的特性が維持され、反応器ヘッドと、液体高さの少なくとも5%から50%まで、好ましくは液体高さの少なくとも25%の液体レベルとの間の十分なヘッドスペースを有して、上記反応器は運転される。
【0082】
上記反応器または容器につながれた駆動装置は、回転振動運動によって、反応器内容物の完全な混合を確実にする。
【0083】
驚くべきことに、回転振動運動ための比較的小さな角度振幅が、完全な混合および/または輸送プロセスの十分な強化を達成するのに十分であるということが判明した。特に、反応器の3600°回転(10回転に相当)を実現する必要はほとんどない。したがって、振動回転反応器を動いていない環境につなぐための構造的な複雑な解決策(例えば媒体およびガスを送り込んだり除去するためのもの、電力および電気信号)は必要ではない。
【0084】
本発明に係る使用では、上記反応器は、角度振幅αで回転振動する態様で動かされる。ここでαは、2°≦|α|≦3600°、好ましくは20°≦|α|≦180°、特に好ましくは45°≦|α|≦90°の範囲内であり、±5°の偏差があるかもしれない。特に、|α|=60°は、表面ガス導入を伴う低せん断バイオリアクターの使用に非常に好適である。したがって、合計では、振動運動は2|α|の角度を通過する。
【0085】
投入動力が増加されるとき、運動状態を反応器内にセットすることができ、その中で気泡が反応器媒体へ導入されることをテストが示した。散布によってはダメージを受けない細胞および/または微生物のため、それによってガスの非常に単純な供給を実現できる。
【0086】
予想されるように、望ましくない泡の生成が最初に上昇するが、反応器運動が正常に増加するにつれて最大の泡高さを通り抜けた後は、数センチメートルの容易に制御可能な泡高さに再び落ちることが示された。上記泡破壊の上記非常に驚くべき現象の原因は、液体の上記運動状態において、ヘッドスペースにあるガスだけでなく、泡自体が表面から中へ吸収されるという事実の中に存在する。泡は優しく、つまり、せん断力が適用されない液体の表面の下で再び中に吸収されることにより、気泡の破裂を徹底的に回避することで、再び溶かされる。特に、軸流を生成することは可能で、これによって、表面上の反応器内容物のうちのいくらかは、反応器内容物の内部へ運ばれる。この好適なタイプの反応器では、したがって、泡の形成を実質的に抑えることができると同時に、特に優しくて効果的な表面ガス導入を実現できる。しかしながら、振動する泡破壊の使用は、表面ガス導入を備えた反応器に全く限定されないが、まき散らされた反応器内で通常、有利に使用されうる。
【0087】
上記反応器容量が増加するにつれ、表面ガス導入を介してガス状物質とともに/から、細胞および/または微生物を十分に供給すると共に除去することは、ますます困難になる。特に好適な実施形態では、ガスは、床部に横に固定された1台以上のガス分配器を介して反応器に導入される。単純さのために、もし1つのガス分配器を介して点状のガス供給がなされると、気泡は、反応器の回転振動運動および反応器媒体の運動(反応器の外部運動より遅れる)の結果として、ジグザグ形のラインの形で上昇する。したがって、点状の導入でも上記回転振動によって、気泡は、ガス分配器が固定されている壁に沿って分配される。同時に、気泡が上昇する反応器媒体領域とガス分配器ポイントから離れた領域との間の密度における違いの結果として、循環流は、反応器内容物が循環することを確保する。
【0088】
上記回転振動運動の混合動作は、一方では反応器/容器の角状形状により、他方では内部に曲がった床により、さらに支援される。
【0089】
1台以上のガス分配器が、好ましくは接続板を介して床部の使い捨て反応器内に配置される。ガス分配器は、0.5mmから10mmの直径を有する開口として、または平均0.5mmから1mmの細孔径を備えた短い多孔ホースか管材として、粗い気泡の導入のために設計されうる。細かい気泡の導入は、好ましくは、例えば0.2μmから50μmまでの焼結粒の大きさ備えた焼結ろうそくによってなされる。ガス導入装置は、容器壁に対して直角の短管部、または容器壁と平行なより長い管部として設計されうる。ここで、上記管部は、一端でガス供給されなければならず、長さによって、さらなるポイントで固定されなければならない。
【0090】
本発明は、添付の図面を参照して、より詳細に以下で説明されるが、上記発明は、図示した実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】(a),(b)は、本発明に係る容器の斜視図である。
【図2】(a)は、本発明に係る容器を上から見た断面を示す概略図である。(b)は、図2(a)のA−B線断面を示す概略図である。
【図3】(a),(b)は、接続板が取り付けられた本発明に係る容器の斜視図である。
【図4】(a),(b)は、接続板の様々な実施形態を示す図である。
【図5】(a),(b)は、回転振動使い捨て反応器内の気泡の分布を示す概略図である。
【図6】容器とガスが導入された使い捨て反応器との組み合わせを示す斜視図である。
【図7】(a),(b)は、容器と駆動装置との組み合わせを示す概略図である。
【図8】容器と表面ガスが導入された反応器との組み合わせを示す斜視図である。
【図9】(a),(b)は、本発明に係る反応器の概略図である。
【図10】(a),(b),(c)は、本発明に係る反応器を製造する方法を示す概略図である。
【0092】
図1は、本発明に係る容器1の好適な実施形態を前方からの斜視図(a)と斜め上方からの斜視図(b)とで概略的に示している。上記容器は内部空間40内にピラミッド形に曲がった床20を有している。上記容器は、反応器を収容する内部空間40と、接続配線をガイドするための側方溝30とを有している。
【0093】
図2(a)は、図1の容器1について上から見た断面を示している。図2(b)は、図2(a)に示している点Aと点Bとの間の破線に沿った容器1の断面を示している。
【0094】
図3(a)は、本発明に係る容器1の好適な実施形態についての斜視図を示している。接続板50は、上記容器の床部に取り付けられている。上記接続板50を含む容器1の床部は、図3(b)に拡大された縮尺で示されている。この実施形態に示されているように、上記接続板50は、一方が反応器につながる接続点52を含んでいる。上記反応器から見て他方の側に、例えば、媒体を供給するためのホースラインを取り付けることができる。上記接続板は、また、プローブのための接続部(例えばphプローブ、温度プローブ)を有していてもよい。上記実施形態に示されているように、ガス分配器55は、上記接続板に組み込まれている。
【0095】
図4(a)および(b)は、容器1の上記床部に取り付けられている接続板50の様々な実施形態を示している。上記接続板50は、図4(a)で横に開口すると共に、容器内に反応器を取り付けるために反応器の接続部52上に横に押される。上記接続板は再使用されうるし、上記容器の一部である。図4(b)の接続板50は、接続配線のガイドのための通路を有している。上記接続板50は、組立中に反応器に接続される。この実施形態において、上記接続板自体は、また、使い捨て要素である。
【0096】
図5(a)および(b)は、接続板50を介して反応器へのガスの導入を概略図で示している。図5(a)において、上記接続板は、観測者の方を向いており、図5(b)において、側面から見た上記接続板50が示されている。ガス90は、接続部を介して、点状の態様で上記反応器内へガイドされる。純度の高い気泡の導入を確実にするために、ここで、短い焼結キャンドル(sintering candle)95を利用するのが好ましい。小さな気泡を生成するために、回転振動運動(両矢印によって示されている)は、ガス導入装置の表面で気泡が合体することを妨げ、その結果として、不活性流体によって後者がアプローチされる(approached)結果として、気泡がジグザグの態様で分布するようになり、つまり、気泡80は、ジグザグ線状に上昇して、上記反応器の全幅にわたって分散される。また、上記反応器の壁を介したガスの導入は、循環流をもたらす(破線矢印によって図示されている)。
【0097】
図6は、斜視図において、振動容器1内の反応器100へのガスの導入を示している。この実施形態において、ガスは、2つのガス分配器55を介して、上記反応器内に注入される。上記振動回転運動(両矢印によって示されている)は、気泡80を分散させる。上記循環流(太矢印によって図示されている)は、上記気泡が、反応器内へのガスエントリーポイントから離れて配置された反応器領域さえも通過するのを確実にする。細胞または微生物を培養する場合、上記循環流は、細胞または微生物が反応器内で懸濁された状態で保たれるようにする。内側に曲がった床20(この実施例ではピラミッド形の設計(pyramidal design))によって、渦巻くと共に滴下細胞および微生物を再懸濁する渦が生成される。
【0098】
また、図6は、サイドチャンネル30の好適な実施形態を示している。サイドチャンネル30は、間隔をおいた2つの壁34,35(好ましくは透明な設計)の間に延在し、反応器の床部に達している。上記反応器に面した内壁34bは、好ましくは、変形可能な反応器を支持するのに役立つ。外壁35は、外側に対して容器を密閉するのに役立つ。両方の壁は、上記容器内へ反応器を正面から導入するために取り外されうる。
【0099】
図7は、例として、共通の床板3上に駆動装置2と一緒に固定されている、本発明に係る容器1を示している。容器1は、鉛直軸に関して回転自在に取り付けられる方法で、床板3に固定されている。この例において、上記駆動装置は、歯付きベルトを介して容器に接続される振動機構を有し、後者を回転振動運動させることができる。
【0100】
好適な実施形態では、回転する容器は、フレーム210によって囲まれており、このフレーム210は、正確に使用されるとき、運転中における運転スタッフへのアクセスを確実に防いでいる。上記フレーム210は、運用上のシャットダウンが保証される場合に限り、運転スタッフが容器および反応器へアクセスするのを許可する少なくとも1枚のドア205を有している。ドア205および駆動装置は、ドア205が閉じられているときだけ容器を始動できるようになっている適切なロッキングシステムによって、保護されている。好ましくは、フォルティスシステムとして当業者にも知られている、無電流の安全システムが利用されている。単一の利用可能な専用の設置キーは、切替ハウジング201から外されたとき、ドア205が閉じた状態でのみ始動されうるロック装置200をロックするために使用されうる前に、駆動装置への電流供給のスイッチを切る。コード化された単一キーロックの利点は、電子モニタリングのない固有の機械的な安全性にある。ケーブルをフレームの中空管に通す必要はない。これは、清掃、密閉、組立およびコストの点から有利な立場をもたらす。
【0101】
図8は、例として、表面ガス導入を備えた反応器内へのガスの供給を示している。ガス供給口300とガス排気口320との間の短絡する流れを防ぐために、上記ガス流は、1台以上のガス分配器によって水平方向に曲げられ、圧力損失を受けることで、より速い速度に対応する開口を通って加速される。好適な圧力損失は、1mbarと5000mbarとの間である。特に好適な圧力損失は、10mbarと500mbarとの間である。このように生成された水平のガスジェット301によって、全てのガスの単純で、コスト効率が良く、効率的な混合は、反応器のヘッドスペース305において可能になる。
【0102】
図9は、本発明に係る反応器100の2つの多面体の典型的な実施形態を概略的に示している。上記反応器は、好ましくは柔軟に設計された(変形可能な)壁によって画定されている空間を備えている。上記床20は、上記空間の内部へ突出している。図9(a)は、内部にピラミッド形であると共に先が尖っている作り付けられた/曲がった床を示している。図9(b)では、ピラミッドの上側部分が縁として設計されている。
【0103】
通過部および/または終端部(terminations)60は、反応器の内部空間と外側世界との間を結合するために壁内に固定されている。
【0104】
図10は、ポリマーフィルムからなる本発明に係る反応器が、米国特許6,186,932B1号公報に記載されていた方法にどのように相似して生産することができるか概略的に示している。実施例において、反応器は、4つのフィルム部品(401,402、403、404)が結合されている。この目的のため、上記フィルムは、図5(a)で示される方法にともに置かれる。上記フィルム部品401は、最下部に置かれ、上記フィルム部品402は、最上部に置かれ、上記フィルム部品403および404は、上記フィルム部品401と402との間に折り畳まれた形で配置される。フィルム部品は、境界(矢印によって示されている)の周りで溶接され、それにより、閉じたバッグを作成する。図5(b)は、上からみた図5(a)におけるフィルム配置を示している。溶接継ぎ目405は、フィルム配置のまわりで見ることができる。加えて、フィルム組立は、角部に延在する溶接継ぎ目406を有している。反応器の床および天井の形状、特に床の場合、床の湾曲の大きさは、角度αおよびβの大きさによって決定される。
【0105】
図5(b)からのフィルム配置の角部は、角の溶接継ぎ目406が生成された後、適当な大きさに整えられる。
【符号の説明】
【0106】
1 容器
2 駆動装置
3 床板
5 容器壁
20 内側に曲がった床
30 側部チャンネル
34 チャンネル壁
35 チャンネル壁
40 内部空間
50 接続板
52 接続部
55 ガス分配器
60 通路/接続
80 気泡
90 ガス噴流
100 反応器
200 閉鎖装置
201 制御ユニット
205 ドア
210 フレーム
300 ガス供給口
301 ガス噴流
305 ヘッドスペース
310 液体レベル
320 ガス除去
401 フィルム部品
402 フィルム部品
401 フィルム部品
402 フィルム部品
405 長手側の溶接継ぎ目
406 角部の溶接継ぎ目
【図1(a)】

【図1(b)】

【図2(a)】

【図2(b)】

【図3(a)】

【図3(b)】

【図4(a)】

【図4(b)】

【図5(a)】

【図5(b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を囲む壁と、この壁における通過部および/または接続部とを備え、上記内部空間を外部環境につなぐのを許容する反応器であって、
液体で満たされたとき、上記液体の表面と平行な角断面と、上記内部空間内に曲がった、または曲げられうる床とを有することを特徴とする反応器。
【請求項2】
請求項1に記載の反応器において、
上記内側に曲がった、または曲げられうる床は、上記反応器の上記内部空間内に突出する縁を有することを特徴とする反応器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反応器において、
上記内側に曲がった、または曲げられうる床は、多面体、好ましくはピラミッド形の設計であることを特徴とする反応器。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の反応器において、
上記床の円相当直径dに対する上記床の湾曲の高さhの比は、3%から100%までの範囲内、特に好ましくは5%から30%までの範囲内、さらに特に好ましくは10%から20%までの範囲内にあることを特徴とする反応器。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の反応器において、
上記通過部および/または接続部は、好ましくは、上記床縁に近接した上記反応器の側部に設けられていることを特徴とする反応器。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1つに記載の反応器において、
上記壁は柔軟で、したがって、上記反応器が変形可能に設計されていることを特徴とする反応器。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の反応器を収容する容器であって、少なくとも、
上記反応器を収容する内部空間と、
上記容器内へ上記反応器を正面から導入するための開口とを備え、
上記開口は、閉じられうると共に、上記閉状態で液密であるように設計されており、
上記容器の上記内部空間内へ内側に曲がった床と、
側部チャンネルとを備え、
この側部チャンネルを介して、ホースとチャンネルとが、上記反応器につながれうることを特徴とする容器。
【請求項8】
請求項7に記載の容器において、
上記内側に曲がった床は、多面体であり、好ましくはピラミッド形の設計であることを特徴とする容器。
【請求項9】
請求項7または8に記載の容器において、
上記側部チャンネルは、2つの間隔をおいた壁の間に延在し、
上記壁は、上記使い捨ての反応器の床部に達し、上記壁は、上記容器内へ上記反応器を正面から導入するために取り外し可能となっていることを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか1つに記載の容器において、
さらに接続板を備え、この接続板は、上記曲がった床部内に横に配置され、上記反応器につながれうるカップリングおよび/またはホースを固定および/またはガイドするのに役立つことを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項10に記載の容器において、
上記接続板は、横に穴があいており、上記容器内の上記使い捨ての反応器を固定するために、上記使い捨ての反応器の上記接続部が横に押されうることを特徴とする容器。
【請求項12】
請求項7から11までのいずれか1つに記載の容器において、
さらに加熱および/または冷却要素を備え、この要素は、上記容器の壁の中および/または壁の上に取り付けられることを特徴とする容器。
【請求項13】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の反応器と、
上記反応器に回転振動運動をさせる駆動装置と
を少なくとも備え、
上記反応器が変形可能に設計されているとき、請求項7から12までのいずれか1つに記載の容器を追加で備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
さらに、フレームと、運転シャットダウンの間だけ、運転スタッフが上記反応器にアクセスするのを許可するロッキングシステムとを備えていることを特徴とする装置。
【請求項15】
細胞および/または微生物を培養するための請求項13または14のいずれかに記載の装置の使用。

【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【公表番号】特表2012−525822(P2012−525822A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508899(P2012−508899)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008616
【国際公開番号】WO2010/127689
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】