説明

細胞解析方法、細胞解析プログラムおよび細胞解析装置

【課題】 検査者の負担および検査ミスを低減し、細胞数を正確にカウントすることを可能とする。
【解決手段】 細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力工程と、該画像情報入力工程で得られた複数の画像中の輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算工程と、該輝度値演算工程で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算工程とを含む細胞解析方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生細胞を使ったガン等の病理診断および薬剤スクリーニング等に使用される細胞解析方法、細胞解析プログラムおよび細胞解析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガン細胞を使った様々な実験系は、多くの場合、対象となるガン細胞を遺伝子導入などによって性質を変化させた後行われる。このように未知な操作を細胞に対して行う場合、細胞の基本的な性質が変化してしまう場合が多い。特にガン細胞を対象とした実験では、ガン細胞としての特徴的な性質が失われる場合が多いので、これら細胞がガン細胞としての性質をもっているかをはじめに確認しなくてはならない。
【0003】
細胞を培養して、一定時間後に培養前と培養後の細胞増殖数の違いによりガン細胞かどうかを判断することがある。つまり、一定時間後に細胞数が増えているとガンと判断する。バイオプシーなどにより人体から採取した組織がガン細胞であるかどうかを診断する、ガンの病理診断もそれにあたる。この細胞数の変化に対しては、一般的に検査者が手計測て培養前後の細胞数を顕微鏡などで目視観察によりカウントしている。また、様々な薬剤の効果を評価し、特に有効な化合物を探索することを一般に薬剤スクリーニングと称する。抗ガン剤の薬剤スクリーニングにおいては、例えば、増殖するガン細胞に対して薬剤を投与し、一定時間経過後にガン細胞の細胞数をカウントすることで増殖を抑える事ができるかどうかの薬効を測る。この細胞カウントおよび培養前後の細胞数の比較作業は検査者の手によって行なわれる。
【0004】
一方、細胞画像情報(例えば、蛍光発光する細胞)をカメラ等で撮像して画像処理により細胞の輪郭を抽出する技術などが紹介されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−269195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検査者が顕微鏡等で観察される、例えば、蛍光発光している細胞の数を目視でカウントしてゆく場合には、多大な労力を費やすだけでなくカウントミス等も発生し、正しい作業を行なうことができないという問題がある。また、創薬分野などでは大量の検体(例えば、1日1000検体)を使用して解析する必要があり、ミスの増加、効率の低下を招く可能性が高い。
【0006】
また、画像処理により細胞の輪郭を抽出する場合、細胞数のカウントのためにはさらに細胞を認識するなどの処理が必要であり、これらの既存の技術では細胞数のカウントに用いるまでに至っていない場合が多いため、細胞数の結局のところ最終的には検査者が目視でカウントしなければならないという不都合がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、検査者の負担および検査ミスを低減し、細胞数を正確にカウントすることを可能とする細胞解析方法、細胞解析プログラムおよび細胞解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力工程と、該画像情報入力工程で得られた複数の画像中の輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算工程と、該輝度値演算工程で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算工程とを含む細胞解析方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力工程と、該画像情報入力工程で得られた画像情報に対して画像中に存在する細胞の個数を計数する個数計数工程と、該個数計数工程で得られた結果を元に複数の画像中の細胞の個数を比較演算する比較演算工程と含む細胞解析方法を提供する。
【0010】
上記発明においては、前記個数計数工程が、細胞核よりも小さい第1の円と、細胞核よりも大きい第2の円と、第2の円よりも大きい第3の円とからなる3重の同心円と、各画像中の規定値以上の輝度値を有する領域とを対比し、第1の円内の全てのピクセルが規定値以上の輝度値を有し、第1の円と第2の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在し、かつ、第2の円と第3の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在しないことを条件として、細胞の存在を認定し、計数することが好ましい。
【0011】
また、上記発明においては、前記比較演算工程で得られた演算結果に基づいて細胞の活性または増殖度を判定する判定工程を含むこととしてもよい。
また、上記発明においては、前記判定工程において判定された細胞の活性または増殖度に基づいて細胞を分類することとしてもよい。
また、上記発明においては、前記判定工程において判定された細胞の活性または増殖度に基づいて薬剤の細胞への影響を定量化することとしてもよい。
【0012】
また、本発明は、所定の時間間隔をあけて細胞から発せられた光を撮影して得られた複数の画像情報に対して、輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算工程と、該輝度値演算工程で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算工程とをコンピュータに実行させる細胞解析プログラムを提供する。
【0013】
また、本発明は、所定の時間間隔をあけて細胞から発せられた光を撮影して得られた複数の画像情報に対して、画像中に存在する細胞の個数を計数する個数計数工程と、該個数計数工程で得られた結果を元に複数の画像中の細胞の個数を比較演算する比較演算工程とをコンピュータに実行させる細胞解析プログラムを提供する。
【0014】
上記発明においては、前記個数計数工程が、細胞核よりも小さい第1の円と、細胞核よりも大きい第2の円と、第2の円よりも大きい第3の円とからなる3重の同心円と、各画像中の規定値以上の輝度値を有する領域とを対比し、第1の円内の全てのピクセルが規定値以上の輝度値を有し、第1の円と第2の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在し、かつ、第2の円と第3の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在しないことを条件として、細胞の存在を認定し、計数することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力手段と、該画像情報入力手段で得られた複数の画像中の輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算手段と、該輝度値演算手段で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算手段とを含む細胞解析装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力手段と、該画像情報入力手段で得られた画像中に存在する細胞の個数を計数する個数計数手段と、該個数計数手段で得られた結果を元に複数の画像中の細胞の個数を比較演算する比較演算手段とを備える細胞解析装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検査者の負担および検査ミスを低減し、細胞数を正確にカウントすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施形態に係る細胞解析方法、細胞解析プログラムおよび細胞解析装置について、図1〜図5,図9〜図11を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る細胞解析装置の構成を示す図である。
【0019】
本実施形態に係る細胞解析装置は、図1に示されるように、サンプルプレート1を搭載するステージ101と、励起光源102と、該励起光源102に接続された電源ユニット103と、励起光源102からの光をオンオフするシャッタユニット104と、光を平行光に変換するレンズ105と、サンプルに入射させる励起光の波長を選択するフィルタユニット106と、励起光を反射してサンプルに入射させ、蛍光を透過するミラーセット107と、励起光を標本に集光する対物レンズ108と、対物レンズ108により集光されミラーセット107を透過した蛍光を集光する結像レンズ109と、結像された蛍光を撮像するCCDカメラ110と、シャッタユニット104、フィルタユニット106およびミラーセット107を制御するユニバーサルコントロールボックス111と、ステージ101を制御するステージコントローラ115と、CCDカメラ110により撮像された蛍光を処理するとともに、ユニバーサルコントロールボックス111およびステージコントローラ115を制御するコンピュータ112とを備えている。
【0020】
サンプルプレート1としては、図2に示されるように、例えば、直径20mm、深さ15mmのウェル1aが15個、3行5列に配置されたものが使用される。各ウェル1aの中に検査対象となる蛍光色素で染色された細胞が播種されるようになっている。本実施形態で使用する蛍光色素は、例えば、GFPのような、細胞を生かしたままで蛍光を発する事ができる色素であり、細胞質に染まるものである。また、サンプルプレート1にはバーコード1bが貼り付けられている。バーコード1bは、不図示のバーコードリーダによって読み取られることにより、データベースとの照合が行なわれ、サンプルプレートとデータベース内のデータの整合性が保たれるようになっている。
【0021】
ステージ101は、サンプルプレート1を搭載して、電動で水平方向に2次元的に駆動し、任意の位置にサンプルプレート1を位置決めすることができるようになっている。
励起光源102には、水銀光源等が用いられる。
シャッタユニット104は、励起光源102から出射される励起光の光路上に配置され、開閉可能なシャッタ板104aを内蔵している。
【0022】
フィルタユニット106は、2枚の励起フィルタ106aを内蔵しており、波長の異なる2種類の励起光をサンプルに向けて照射することができるようになっている。
ミラーセット107は、励起光を反射し、蛍光を透過するダイクロイックミラー107Aとそれに取り付けられた励起フィルタ107Dおよび吸収フィルタ107Cとにより構成されている。
【0023】
ミラーセット107は、必要な励起波長分だけ不図示のミラーホルダに格納されており、不図示の電動ユニットにより任意に光路入れ替え可能となっている。このミラーセット107の反射光路上には、対物レンズ108およびサンプルプレート1が配置されている。また、ミラーセット107の透過光路上には、結像レンズ109およびCCDカメラ110が配置されている。
CCDカメラ110は、例えば、12ビットで1000×1000ピクセルの100万画素カメラである。
コンピュータ112には、キーボード113、モニタ114およびマウス116が接続されている。
【0024】
以上のように構成された本実施形態に係る細胞解析装置を用いた細胞解析方法について、抗ガン剤創薬スクリーニングを例に挙げて以下に詳細を述べる。
本実施形態に係る細胞解析方法のフローチャートを図10および図11に示す。
まず、サンプルプレート1のウェル1aの1行目には薬剤候補となる化合物を投与しないで細胞を植え付け、2行目には細胞を植え付けると共に薬剤候補となる化合物Aを投与する。さらに3行目には細胞を植え付けると共に薬剤候補となる化合物Bを投与する。
【0025】
そして、サンプルプレート1をステージ101にセットし、コンピュータ112上で不図示の制御プログラムを起動してサンプルプレート1のバーコード(ID:10001)を読み取り、観察・撮影をスタートさせる。これにより、図3に示される細胞の画像が取得される。これを必要なサンプルプレート1の枚数だけ繰り返す。
【0026】
そして、2時間後に再度サンプルプレート1をステージ101にセットし、サンプルプレート1のバーコード(ID:10001)を読み取り、コンピュータ112上で不図示の制御プログラムを起動して観察・撮影をスタートさせる。これにより、図4に示される細胞の画像が取得される。これを必要なサンプルプレート1の枚数だけ繰り返す。
【0027】
撮影が終了したら、検査者は撮影した細胞画像の検証に入る。検査者はコンピュータ112上で細胞解析プログラムを起動する。次に検査者はサンプルプレート1のバーコードIDを細胞解析プログラムに入力し、診断するウェルNo.を入力する。ここでは、全ウェルを指示するものとする。
【0028】
そして、解析開始を指示すると、細胞解析プログラムは既にコンピュータ112のハードディスク内に格納されている撮影時刻の違う2つの蛍光画像データをバーコードIDとウェルNo.から不図示のメモリにロードする。バーコード(ID:10001)の1行目のウェル最右端を例にとると、メモリにロードされたそれぞれの蛍光画像データは図5の5−Aおよび5−Cである。
【0029】
細胞解析プログラムは、図5の5−Aの画像を5−Bのように、5−Cの画像を5−Dのように2値化する。このときの2値化レベルは5−B,5−D両者に対して同値(十進数で800)である。続いて、5−B,5−Dの画像中の白レベル(輝度レベルは十進数で4095)になっているピクセルの個数をそれぞれカウントする。
【0030】
その結果、例えば、画像5−Bの白レベルピクセルの個数を19000個、画像5−Dの白レベルピクセルの個数が74000個であった場合には、細胞解析プログラムはウェルナンバー1の細胞の増殖度を(74000/19000)=3.89と比較演算し表示する。これを必要回数繰り返しウェル毎に細胞の増殖度を表示する。
【0031】
検査者は、例えば、サンプルプレート1のウェル最右端の1,2,3行目の細胞の増殖度を確認する。例えば、図9に示されるように、1行目は3.89、2行目は1.85、3行目は1.12と表示されていれば、薬剤候補となる化合物Bが細胞増殖作用を抑制する効果が最も大きいことがわかる。
【0032】
この作業を全ウェルに対して行い、最後に行毎にデータを平均化するなどして行別に増殖度を比較することにより、薬剤候補となる化合物の薬効性を評価することができる。
この原理を利用して、ガン細胞の増殖度を検査することにより、ガンの病理検査を行なうこともできる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態に係る細胞解析方法について、図面を参照して以下に説明する。
なお、本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態と構成を共通とする箇所には、同一の符号を付してその説明を割愛する。
【0034】
本実施形態で使用するサンプルプレート1は、第1の実施形態で説明されたものと同一のものであり、直径が20mm、深さ15mmのウェル1aが15個、3行5列に配列されているものである。この各ウェル1aの中に検査対象となる蛍光色素で染色された細胞が植えられている。本実施の形態で使用する蛍光色素は、例えば、GFPのような細胞を生かしたままで蛍光を発する事ができる色素であり、細胞核に染まるものである。
【0035】
抗ガン剤薬剤スクリーニングを例に挙げて説明する。
本実施形態に係る細胞解析方法のフローチャートを図10および図12に示す。
検査者はサンプルプレート1のウェル1aの1行目には薬剤候補となる化合物を投与しないで細胞を植え付け、2行目には細胞を植え付けると共に薬剤候補となる化合物Aを投与する。さらに3行目には細胞を植え付けると共に薬剤候補となる化合物Bを投与する。
【0036】
サンプルの準備ができたら、サンプルプレート1をステージ101にセットし、コンピュータ112上で不図示の制御プログラムを起動してサンプルプレート1のバーコード(ID:00001)を読み取り、観察・撮影をスタートさせる。このスタート指示により、ユニバーサルコントロールボックス111およびステージコントローラー115が動作を開始し、指定したウェルの細胞の蛍光画像を撮影する。
【0037】
撮影するウェルは、制御プログラム上で任意に指定することができる。本実施形態では15個全てのウェルを撮影するように設定されている。図6は検査開始直後に撮影されたバーコード(ID:00001)の、1行目のウェル最右端の蛍光画像である。蛍光色素により、細胞の核が発光しているのがわかる。細胞核は、どれも形状はほぼ円形をしており、核の大きさも一定の範囲に収まっている。細胞はいくつか(このウェルの場合は4つ)の密集した群をなしている。これを15回繰り返し、全ウェルの細胞の蛍光画像を撮影する。
【0038】
撮影画像はサンプルプレート1のバーコードID、ウェルNo.と撮影時刻、露光時間のデータとともにコンビュータ112のハードディスクに記録される。ハードディスクの代わりにコンピュータ112に外付けすることができる半導体メモリ等を使用しても良い。同時にモニタ114にも撮影画像やサンプルプレート1のバーコードID、ウェルNo.と撮影時刻、露光時間のデータが表示される。検査者は今撮影が終わったサンプルプレート1をステージ101から取外し、別のサンプルプレート1をステージ101にセットしサンプルプレート1のバーコードを読み取る。そして、必要なウェルの蛍光画像を撮影する。
【0039】
一定時間経過後、再び先ほど蛍光画像を撮影したサンプルプレート1(ID:00001)をステージ101にセットし、全ウェルの撮影を行なう。図7は、2時間経過後のバーコード(ID:00001)の、1行目のウェル最右端の蛍光画像である。4つの細胞群のセル(細胞核)が増えていることが判る。これを必要な数だけのサンプルプレート1に対して行う。撮影が終了したら、検査者は撮影した細胞画像の検証に入る。
【0040】
検査者は、コンピュータ112上で細胞解析プログラムを起動する。次に検査者はサンプルプレート1のバーコードIDを細胞解析プログラムに入力し、解析するウェルNo.を入力する。ここでは全ウェルを指示するものとする。
【0041】
そして、解析開始を指示すると、画像解析プログラムは、既にコンピュータ112のハードディスク内に格納されている撮影時刻の違う2つの蛍光画像データをバーコードIDとウェルNo.から不図示のメモリにロードする。続いて、画像解析プログラムはそれぞれの画像から核の部分を抽出する。
【0042】
画像解析プログラムは、図8に示すように半径の違う3つの同心円8a,8b,8cで画像全体をスキャンしながら、規定の輝度値以上で8bと8cの円の間にあり、かつ8aの領域にない円形のピクセル群を核と識別するようになっている。8dが核である。この作業により蛍光画像中の核の数をカウントする。その結果、図6の蛍光画像中の核の数が19個、図7の核の数が74個とカウントされ、画像解析プログラムは(74/19)=3.89と比較演算し表示する。
【0043】
検査者は、例えば、サンプルプレート1のウェル最右端の1,2,3行目の細胞の増殖度を確認する。その結果、図9のグラフに示すように、1行目は3.89、2行目は1.85、3行目は1.12と表示されていれば、薬剤候補となる化合物Bが細胞増殖作用を抑制する効果が最も大きいことがわかる。この作業を全ウェルに対して行い、最後に行毎にデータを平均化するなどして行別に増殖度を比較することにより、薬剤候補となる化合物の薬効性を評価することができる。この原理を利用して、ガン細胞(例えば乳ガン)の増殖度を検査することで、ガンの病理検査を行なうこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る細胞解析装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の細胞解析装置に用いるサンプルプレートの一例を示す斜視図である。
【図3】図1の細胞解析装置により撮影したサンプルプレートの1つのウェル内の細胞の画像例を示す図である。
【図4】図3と同一のウェル内の細胞を所定時間後に撮影した画像例を示す図である。
【図5】図3および図4の画像例を本発明の第1の実施形態に係る細胞解析方法により、それぞれ2値化処理した画像例とともに示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る細胞解析方法により撮影したサンプルプレートの1つのウェル内の細胞核の画像例を示す図である。
【図7】図6と同一のウェル内を所定時間後に撮影した細胞核の画像例を示す図である。
【図8】本実施形態の細胞解析方法による細胞核の特定方法を説明する図である。
【図9】本発明の細胞解析方法による細胞の増殖度による薬剤の効果を示すグラフである。
【図10】本発明の第1、第2の実施形態に係る細胞解析方法に共通する部分のフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る細胞解析方法のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る細胞解析方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
8a 第3の円
8b 第2の円
8c 第1の円
8d 細胞核
110 CCDカメラ(画像情報入力手段)
112 コンピュータ(輝度値演算手段、比較演算手段、個数係数手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力工程と、該画像情報入力工程で得られた複数の画像中の輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算工程と、該輝度値演算工程で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算工程とを含む細胞解析方法。
【請求項2】
細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力工程と、該画像情報入力工程で得られた画像情報に対して画像中に存在する細胞の個数を計数する個数計数工程と、該個数計数工程で得られた結果を元に複数の画像中の細胞の個数を比較演算する比較演算工程と含む細胞解析方法。
【請求項3】
前記個数計数工程が、細胞核よりも小さい第1の円と、細胞核よりも大きい第2の円と、第2の円よりも大きい第3の円とからなる3重の同心円と、各画像中の規定値以上の輝度値を有する領域とを対比し、第1の円内の全てのピクセルが規定値以上の輝度値を有し、第1の円と第2の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在し、かつ、第2の円と第3の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在しないことを条件として、細胞の存在を認定し、計数する請求項6に記載の細胞解析方法。
【請求項4】
前記比較演算工程で得られた演算結果に基づいて細胞の活性または増殖度を判定する判定工程を含む請求項1から請求項3のいずれかに記載の細胞解析方法。
【請求項5】
前記判定工程において判定された細胞の活性または増殖度に基づいて細胞を分類する請求項4に記載の細胞解析方法。
【請求項6】
前記判定工程において判定された細胞の活性または増殖度に基づいて薬剤の細胞への影響を定量化する請求項4に記載の細胞解析方法。
【請求項7】
前記細胞から発せられる光が蛍光である請求項1から請求項6のいずれかに記載の細胞解析方法。
【請求項8】
所定の時間間隔をあけて細胞から発せられた光を撮影して得られた複数の画像情報に対して、輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算工程と、該輝度値演算工程で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算工程とをコンピュータに実行させる細胞解析プログラム。
【請求項9】
所定の時間間隔をあけて細胞から発せられた光を撮影して得られた複数の画像情報に対して、画像中に存在する細胞の個数を計数する個数計数工程と、該個数計数工程で得られた結果を元に複数の画像中の細胞の個数を比較演算する比較演算工程とをコンピュータに実行させる細胞解析プログラム。
【請求項10】
前記個数計数工程が、細胞核よりも小さい第1の円と、細胞核よりも大きい第2の円と、第2の円よりも大きい第3の円とからなる3重の同心円と、各画像中の規定値以上の輝度値を有する領域とを対比し、第1の円内の全てのピクセルが規定値以上の輝度値を有し、第1の円と第2の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在し、かつ、第2の円と第3の円との間の環状領域に規定値以上の輝度値を有するピクセルが存在しないことを条件として、細胞の存在を認定し、計数する請求項9に記載の細胞解析プログラム。
【請求項11】
細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力手段と、該画像情報入力手段で得られた複数の画像中の輝度値が規定値以上のピクセルの存在割合を算出する輝度値演算手段と、該輝度値演算手段で得られた複数の画像における規定値以上の輝度値を有するピクセルの存在割合を比較演算する比較演算手段とを含む細胞解析装置。
【請求項12】
細胞から発せられる光を所定の時間間隔をあけて複数の画像として受けとる画像情報入力手段と、該画像情報入力手段で得られた画像中に存在する細胞の個数を計数する個数計数手段と、該個数計数手段で得られた結果を元に複数の画像中の細胞の個数を比較演算する比較演算手段とを備える細胞解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−340686(P2006−340686A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171208(P2005−171208)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】