説明

細菌判別装置および細菌判別方法

【課題】細菌の形状が「く」の字の縦方向につぶれたような形状の場合でも太さを計測することが可能な細菌判別装置を提供する。
【解決手段】
光を照射して検体を蛍光させ、検体からの蛍光を含む画像を撮像し、画像から蛍光された領域を抽出し、領域における面積が所定面積未満となるまで、領域の分割を反復し、領域を分割するための各分割線分の長さに基づいて、検体の太さを算出し、太さに基づいて、検体が細菌であるか否かを判定する。この分割処理では、領域の重心の位置を算出し、領域の輪郭を算出しと、輪郭を形成する輪郭点のうち、重心の位置からの距離が所定距離以下となる対象輪郭点を算出し、重心の位置と対象輪郭点とを通る直線を算出し、直線上において、2つの輪郭点を結ぶ線分のうちの1つを分割線分として算出し、分割線分で領域を分割し、分割された領域における面積が所定面積未満であるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌判別装置および細菌判別方法に係り、特に抗酸菌の蛍光検出において太さから形状を判定し細菌を検出するために好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
細菌を分類する方法としては、寒天培養法が最も一般的な方法である。これは試料を寒天培地に塗り、所定時間培養して形成したコロニーを、染色又は無染色にて、顕微鏡を用いて観察者が分類する検査方法である。しかし、この寒天培養法は、基本的に手作業で行うため処理が煩わしく、また培養するため細菌の種類を判定するまでに時間がかかる。
【0003】
そこで、抗酸菌の検出において、培養せずに観察する蛍光観察法がある。これは細菌だけが蛍光するように検体に蛍光染色処理を施し、その蛍光を落斜蛍光顕微鏡などの光学手段を用いて観察者が観察する検査方法である。近年では、喀痰中に抗酸菌が均一に分布していない場合でも検査の精度を保つようにするため、直接スライドガラスに塗抹するのではなく、喀痰を遠心分離機で均等化した遠心集菌材料をスライドガラスに塗抹して観察する集菌法が主に用いられている。
【0004】
また、光学手段で観察者が観察する代わりに、カメラなど撮影手段を用いて自動で各視野を撮影し、撮影した画像から細菌を自動で検出する方法がある。検出方法としては、抗酸菌の蛍光は背景色と比較して特徴があり、また、抗酸菌は桿菌であるためカプセル状の形状をしていることから、細菌の色と形状の特徴を判定することにより細菌を識別する。細菌の形状は太さが一定であるという特徴があるので、太さの分散度を算出することで形状を判定する。
【0005】
しかし、集菌法の遠心処理した場合に細菌が曲がることがあり、曲がりを考慮する必要がある。このような曲がりを考慮して太さを計測する方法としては、次のような方法が知られている。
【0006】
例えば、長尺状の対象物の画像を撮影し、対象の輪郭と外接長方形の長手方向を算出する。長手方向の片側部分で外接長方形を等分する直線と輪郭が交わる点において、距離が最小となる輪郭上の点を算出し、距離の平均を太さとして算出する。(例えば、特許文献1参照。)
【0007】
【特許文献1】特開平11−194014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構成では、細菌の形状が「く」の字の縦方向につぶれたような形状の場合、長手方向に領域の重なりができてしまい、長手方向の片側部分の算出ができず、太さの計測ができない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、細菌の形状が「く」の字の縦方向につぶれたような形状の場合でも太さを計測することが可能な細菌判別装置および細菌判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の細菌判別装置は、光を照射して検体を蛍光
させる光学部と、前記検体からの蛍光を含む画像を撮像する撮像部と、前記画像から蛍光された領域を抽出する領域抽出部と、前記領域における面積が所定面積未満となるまで、前記領域の分割を反復する分割部と、前記領域を分割するための各分割線分の長さに基づいて、前記検体の太さを算出する太さ算出部と、前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する細菌判定部とを有し、前記分割部は、前記領域の重心の位置を算出する重心位置算出部と、前記領域の輪郭を算出する輪郭算出部と、前記輪郭を形成する輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる対象輪郭点を算出する対象輪郭点算出部と、前記重心の位置と前記対象輪郭点とを通る直線を算出する直線算出部と、前記直線上において、2つの前記輪郭点を結ぶ線分のうちの1つを前記分割線分として算出する線分算出部と、前記分割線分で領域を分割する領域分割部と、分割された領域における面積が前記所定面積未満であるか否かを判定する面積判定部を有する構成としている。
【0011】
また、本発明の第2の細菌判別装置は、前記分割部が、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割の反復を終了する構成としている。
【0012】
また、本発明の第3の細菌判別装置は、前記分割部が、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記分割の反復を終了する構成としている。
【0013】
また、本発明の第4の細菌判別装置は、前記対象輪郭点算出部は、前記輪郭点のうち、前記重心の位置から最も近い最短輪郭点を前記対象輪郭点として算出する構成としている。
【0014】
また、本発明の第5の細菌判別装置は、前記対象輪郭点算出部が、前記輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる複数の輪郭点を算出し、前記分割線分の長さが最短となる輪郭点を前記対象輪郭点として算出する構成としている。
【0015】
また、本発明の第6の細菌判別装置は、前記線分算出部が、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割線分を算出した領域の重心の位置を通り前記分割線分に垂直な線分を、前記分割線分として代用する構成としている。
【0016】
また、本発明の第7の細菌判別装置は、前記細菌判定部が、前記太さ算出部によって算出された前記検体の太さの最大値と最小値を除外して、前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する構成としている。
【0017】
また、本発明の第8の細菌判別装置は、前記細菌判定部が、前記太さの分散度合いが所定値以下である場合、前記検体が細菌であると判定する構成としている。
【0018】
また、本発明の第9の細菌判別装置は、前記細菌判定部が、前記太さの分散度合いが所定値より大きい場合、前記検体が細菌以外であると判定する構成としている。
【0019】
また、本発明の第10の細菌判別装置は、前記細菌判定部が、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記検体が細菌であると判定する構成としている。
【0020】
また、本発明の第11の細菌判別装置は、前記細菌判定部が、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数以下である場合、前記検体が細菌以外であると判定する構成としている。
【0021】
また、本発明の第1の細菌判別方法は、光を照射して検体を蛍光させる光学工程と、
前記検体からの蛍光を含む画像を撮像する撮像工程と、前記画像から蛍光された領域を抽出する領域抽出工程と、前記領域における面積が所定面積未満となるまで、前記領域の分割を反復する分割工程と、前記領域を分割するための各分割線分の長さに基づいて、前記検体の太さを算出する太さ算出工程と、前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する細菌判定工程とを有し、前記分割工程は、前記領域の重心の位置を算出する重心位置算出工程と、前記領域の輪郭を算出する輪郭算出工程と、前記輪郭を形成する輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる対象輪郭点を算出する対象輪郭点算出工程と、前記重心の位置と前記対象輪郭点とを通る直線を算出する直線算出工程と、前記直線上において、2つの前記輪郭点を結ぶ線分のうちの1つを前記分割線分として算出する線分算出工程と、前記分割線分で領域を分割する領域分割工程と、分割された領域における面積が前記所定面積未満であるか否かを判定する面積判定工程を有する方法としている。
【0022】
また、本発明の第2の細菌判別方法は、前記分割工程において、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割の反復を終了する方法としている。
【0023】
また、本発明の第3の細菌判別方法は、前記分割工程において、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記分割の反復を終了する方法としている。
【0024】
また、本発明の第4の細菌判別方法は、前記対象輪郭点算出工程において、前記輪郭点のうち、前記重心の位置から最も近い最短輪郭点を前記対象輪郭点として算出する方法としている。
【0025】
また、本発明の第5の細菌判別方法は、前記対象輪郭点算出工程において、前記輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる複数の輪郭点を算出し、前記分割線分の長さが最短となる輪郭点を前記対象輪郭点として算出する方法としている。
【0026】
また、本発明の第6の細菌判別方法は、前記線分算出工程において、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割線分を算出した領域の重心の位置を通り前記分割線分に垂直な線分を、前記分割線分として代用する方法としている。
【0027】
また、本発明の第7の細菌判別方法は、前記細菌判定工程において、前記太さ算出部によって算出された前記検体の太さの最大値と最小値を除外して、前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する方法としている。
【0028】
また、本発明の第8の細菌判別方法は、前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値以下である場合、前記検体が細菌であると判定する方法としている。
【0029】
また、本発明の第9の細菌判別方法は、前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値より大きい場合、前記検体が細菌以外であると判定する方法としている。
【0030】
また、本発明の第10の細菌判別方法は、前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記検体が細菌であると判定する方法としている。
【0031】
また、本発明の第11の細菌判別方法は、前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数以下である場合、前記検体が細菌以外であると判定する方法としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、細菌の形状が「く」の字の縦方向につぶれたような形状の場合でも太さを計測し、太さから細菌を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態における細菌判別装置および細菌判別方法について、図面とともに詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施形態における細菌検出装置100の構成の一例を示すブロック図である。細菌検出装置100は、光学手段101、撮像手段102、画像処理手段103、表示手段104を有して構成される。細菌検出装置100により、細菌判別方法を実現可能である。
【0035】
尚、細菌検出装置100は「細菌判別装置」の一例である。また、光学手段101は「光学部」としての機能を有する。また、撮像手段102は「撮像部」としての機能を有する。また、画像処理手段103は「領域抽出部」、「分割部」、「太さ算出部」、「細菌判定部」としての機能を有する。
【0036】
図1において、プレート1は検査対象物である。光学手段101は、プレート1に励起光を照射し、プレート1上の細菌が励起され発した蛍光を撮像手段102へ導く。撮像手段102は、蛍光観察している領域を撮影して画像を生成し、画像を画像処理手段103へ出力する。画像処理手段103は、撮影した画像の輝度と形状から細菌を検出し、その検出結果を表示手段104へ出力する。表示手段104は、検出結果を表示する。
【0037】
次に、プレート1について詳細に説明する。
【0038】
プレート1は、スライドガラスを用いており、細菌が励起光により励起され蛍光を発するように調整された検体が塗られている。また、必要であれば熱処理などの処理を施す。検体としては例えば人の痰や便などである。なお、プレート1として、シャーレなどの任意のプレート1を採用してもよい。
【0039】
次に、光学手段101の一例について、図2を用いて詳細に説明する。図2は蛍光観察において光学手段101の処理の一例を示す説明図である。
【0040】
光学手段101は、蛍光顕微鏡を用いて蛍光観察を行う。まず、プレート1に紫外線を含む光202を照射するために光源201として水銀ランプなどを使用する。光源201からの光202は、励起フィルタ203を通る。励起フィルタ203は、細菌が蛍光するのに必要な波長の光(以下、励起光204という)を透過し、不要な光を遮光する。そして、ダイクロイックミラー205にて励起光204を対物レンズ206に導き、対物レンズ206を経由してプレート1に照射される。ダイクロイックミラー205は、光源201からの光202に対して45度の角度で設置され、特定の波長のみ反射する。照射された励起光204で検体中の細菌が励起され、蛍光207を発する。その蛍光207は、対物レンズ206とダイクロイックミラー205を経由して、吸収フィルタ208を通り、撮像手段102へ導かれる。吸収フィルタ208は、蛍光207を透過し、反射した励起光204や外光などの蛍光207以外の光209を遮光する。なお、光学手段101として蛍光観察が可能なマイクロメータなど任意の光学手段101を採用してもよい。
【0041】
次に、撮像手段102の一例について詳細に説明する。
【0042】
撮像手段102は、モノクロCCDカメラを用いており、光学手段101である蛍光顕微鏡にCマウントで接合している。光学手段101により導かれた検体からの蛍光207
を、CCDカメラで撮影し、撮影した画像を画像処理手段103へ出力する。なお、撮像手段102として、カラーCCDカメラなど任意の撮像手段102を採用してもよい。
【0043】
次に、画像処理手段103の構成の一例について、図3〜図16を用いて詳細に説明する。
【0044】
図3は、画像の画素の位置を、二次元座標上の点の座標として取扱うことを示す説明図である。図3(a)は、横方向をX軸、縦方向をY軸、左下の画素を原点として、画像の各画素の位置を二次元座標上の点の座標として取扱うことを示す説明図である。図3(b)は、注目画素の中心位置301が、二次元座標のXY軸において整数の座標位置(Xn,Yn)であることを示す説明図である。画像処理手段103で取扱う画像については、図3のように画素の位置を二次元座標上の点の座標として取扱う。
【0045】
図4は、画像処理手段103が行う細菌判別方法における各ステップの一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、ステップS101において、画像処理手段103が、撮影した画像の輝度情報から細菌が抽出できるように二値化を行う。二値化の方法としては、例えば以下の処理を画像の全画素について行う。撮影した画像において、蛍光を発している部分の画素の輝度値は背景部分の画素の輝度値より高くなる。そこで、注目している画素の輝度値が閾値よりも高ければ1とし、それ以外を0とすることで二値化を行う。閾値の決め方としては、例えば観察者が細菌と背景を識別した領域について、細菌の輝度値の平均値と背景の輝度値の平均値を予め測定しておき、その中間値を閾値とする。画素の値が1の場合は細菌の領域の一部の可能性が高い画素であり、0の場合は背景である。
【0047】
ステップS102は領域抽出工程であり、画像処理手段103が、ステップS101で算出した0と1に二値化した画像を用いて領域を抽出する。領域の抽出はニ値化した画像の全画素について、以下の処理を行う。注目画素の値が1の場合に周囲8近傍に1の値があればその画素も注目画素の領域と同じ領域であると識別する。領域を抽出する一般的な方法としては、領域毎に別々のラベル値を与えることで各領域を識別するラベリングなどがある。
【0048】
以下のステップでは、算出した領域の内一つの領域を対象とする。
【0049】
ステップS103は重心位置算出工程であり、画像処理手段103が、ステップS102で算出した領域について重心の算出を行う。
【0050】
領域における重心の算出方法の一例について、図5を用いて説明する。図5は抽出した領域501と領域501の重心502の一例を示す説明図である。領域501の各画素の座標位置の平均値を重心502として算出する。具体的には、まず各画素のX座標とY座標それぞれについて加算する。そして、加算した値を画素数で割り平均値を算出する。そのX座標の平均値とY座標の平均値で表される座標位置を重心502として算出する。
【0051】
ステップS104は輪郭算出工程であり、画像処理手段103が、ステップS102で算出した領域501について輪郭の算出を行う。
【0052】
輪郭の算出方法の一例について、図6を用いて説明する。図6は抽出した領域501における輪郭601と、輪郭601上の輪郭点602の一例を示す説明図である。例えば、領域501中の注目する画素について、注目する画素の8近傍に背景の画素がある場合に、輪郭601上の画素として算出する。また、輪郭601上の画素を輪郭点602とする

【0053】
ステップS105は最短輪郭点算出工程であり、画像処理手段103が、重心502とステップS104の輪郭算出工程で算出した輪郭点602の間の距離を算出し、距離が最短となる輪郭点を算出する。距離の算出では、二次元での二点間の距離を求める。
【0054】
二点間の距離を求める方法の一例について説明する。二次元のXY座標系において、重心502の座標(X1,Y1)、輪郭点602の座標(X2,Y2)とするときの二点間の距離Lを求める関係式は、以下のようになる。XとYについてそれぞれ差の二乗を算出し、それを加算し平方根を求めることで二点間の距離Lとして算出する。
【0055】
【数1】

【0056】
距離が最短となる輪郭点の一例について、図7を用いて説明する。図7は、重心502からの距離が最短となる輪郭点701の一例を示す説明図である。全ての輪郭点602について重心502からの距離を算出し、図7のような距離が最短となる輪郭点701を算出する。
【0057】
ステップS106は直線算出工程であり、画像処理手段103が、重心502と距離が最短となる輪郭点701のニ点を通る直線を算出する。
【0058】
二点を通る直線の算出方法の一例について、図8を用いて説明する。図8は重心502と距離が最短となる輪郭点701を通る直線801の一例を示す図である。XY座標系において、重心502の座標(X1,Y1)、距離が最短となる輪郭点701の座標(X2,Y2)とするときの二点を通る直線801の関係式は、以下のようになる。
Y−Y1=((Y2−Y1)/(X2−X1))*(X−X1)・・・(数式2)
また、数式2において、X1とX2が等しいときの直線801の関係式は、以下のようになる。
X=X1・・・(数式3)
数式2または数式3を用いて、直線801を算出する。
【0059】
ステップS107は交点数算出工程であり、画像処理手段107が、交点数を算出する。
【0060】
交点の算出方法の一例について、図9を用いて説明する。図9は図8における直線801と輪郭601の交点の一例を示す説明図である。図9の場合、距離が最短となる輪郭点701は交点でもあるので、交点は交点901a、距離が最短となる輪郭点701、交点901b、交点901cであり、交点数は四点である。
【0061】
ステップS108では、画像処理手段103が、交点数を確認する。交点が一点の場合、つまり距離が最短となる輪郭点701の一点だけが交点である場合は、ステップS112の連続分割判定工程へ遷移する。交点が二点以上の場合は、ステップS109の線分算出工程へ遷移する。
【0062】
ステップS109は線分算出工程であり、画像処理手段103が、領域501を分割する線分を算出する。
【0063】
線分の算出方法の一例を、図9と図10を用いて説明する。図10は図9において領域
501を分割する直線801上の線分1001の一例を示す説明図である。交点が二点の場合は、二点間を線分1001として抽出する。交点が二点より多く、分割する線分1001が複数ある場合に、領域501を分割する線分1001を一本に絞り込む。絞り込む条件としては、例えば距離が最短となる輪郭点701を含む線分1001を選択する。図9の場合、領域501を分割する線分1001は、交点901aから距離が最短となる輪郭点701までと、交点901bから交点901cまでの二箇所が考えられる。このような場合、図10のように距離が最短となる輪郭点701を含む方の線分1001について、領域501を分割する線分1001として算出する。
【0064】
ステップS110では、画像処理手段103が、線分同士の交わりを判断する。判断する方法の一例としては、ステップS109で算出した線分1001が、以前算出した線分1001と交わるかどうか確認し、交わらない場合はステップS111の領域分割工程へ遷移し、交わる場合はステップS112の連続分割判定工程へ遷移する。以前算出した線分1001がない場合、つまり一度も分割していない場合はステップS111へ遷移する。
【0065】
線分1001が交わる場合の一例について、図11を用いて説明する。図11は領域501または分割した領域において、ステップS109の線分算出工程で新たに算出した線分1101と、以前算出した線分1102、1103が交わることを示す説明図である。図11のように新たに算出した線分1101が以前算出した線分1102と線分1103の両方または一方と交わる場合にステップS112へ遷移する。
【0066】
ここで、分割について簡単に説明する。
【0067】
細菌検出装置100は、まず、領域で線分を算出し、領域を2つに分割する。続いて、2つに分割した領域それぞれについて線分を算出し、更に2つに分割することを繰り返す。各領域について線分を算出するときは1つだけ選択されるが、基となる領域から見たときは複数の線分が算出されることになる。また、細菌検出装置100は、分割した領域毎に重心、最短輪郭点の位置についても算出する。分割毎に得られる線分、重心、最短輪郭点の位置は、それぞれ異なるものとなる。
【0068】
ステップS110では、上記の複数の線分が交わらないことを判定している。尚、例えば、3回分割を行う場合には、上記の新たに算出した線分とは3回目に算出した線分を指し、以前に算出した線分とは2回目以前に算出した線分を指す。
【0069】
ステップS111は領域分割工程であり、画像処理手段103が、ステップS109で算出した線分1001で領域501を分割する。
【0070】
分割の一例について、図12を用いて説明する。図12は領域501を線分1001で分割した一例を示す説明図である。図12のように、領域501を線分1001で分割領域1201aと分割領域1201bに分割する。
【0071】
ステップS112は連続分割判定工程であり、画像処理手段103が、分割領域1201に対して分割ができる場合に分割を繰返す。ステップS112の連続分割判定工程の一例について、図13を用いて説明する。図13は、ステップS112の連続分割判定工程における詳細なステップの一例を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS111から遷移してきた場合はステップS201へ遷移し、ステップS108またはステップS110から遷移してきた場合はステップS204へ遷移する。
【0073】
まず、ステップS201において、ステップ111から遷移してきた場合、画像処理手段103が、分割領域1201の分割の優先順位を決定し、ステップS202へ遷移する分割領域1201と、順番待ちで一時保管しておく分割領域1201を決定する。決定する方法としては、例えば、第一優先として先に一時保管していた分割領域1201、つまり以前に一時保管していた分割領域1201を第一優先とする。そして、第二優先として分割領域1201の重心位置が左または上にある方を優先するとする。優先順位を決定したあと、最も優先順位が高い分割領域1201について、ステップS202へ遷移する。また、ステップS205から遷移してきた場合は、一時保管している分割領域1201の内、最も優先順位が高いものについてステップS202へ遷移する。
【0074】
ステップS202において、画像処理手段103が、分割数を判断する。判断する方法の一例としては、予め分割する最大の所定数を決めておき、次の分割数つまり現在の分割数に1を加算した数が所定数以下であればステップS203へ遷移し、所定数より多くなる場合にステップS204へ遷移する。所定数の決め方としては、例えば予め対象物の短い方を1としたときの折れ曲がっていない細菌の縦横比が1:Nと分かっていれば、領域501をN等分でき、このとき各分割領域1201の縦横比は1:1となる。それぞれの分割領域1201が更に分割できる可能性があるので、最大で2N等分できる。このときの分割数は2N−1であることから、所定数を2N−1の小数点以下切り上げの整数とする。
【0075】
ステップS203において、画像処理手段103が、分割領域1201の面積を判断して遷移先を決定する。判断する方法の一例として、分割領域1201の面積が所定値A以上であればステップS103へ遷移し、所定値Aより小さければステップS204へ遷移する。所定値Aの決め方としては、例えば予め分割する最大の所定数が決まっているのであれば、領域501の面積を所定数で割った値を所定値Aとする。
【0076】
ステップS204において、画像処理手段103が、対象の分割領域1201の分割を終了し、ステップS205へ遷移する。
【0077】
ステップS205において、画像処理手段103が、全ての分割領域1201の分割が終了したか確認する。確認する方法の一例として、ステップS201において一時保管している分割領域1201があるかどうか確認し、一時保管されている分割領域1201がなければステップS113へ遷移し、一時保管されている分割領域1201があればステップS201へ遷移する。
【0078】
このようなステップS112の連続分割判定工程で、画像処理手段103が、分割領域1201に対して分割ができる場合に分割を繰返す。
【0079】
ステップS113は太さ算出工程であり、画像処理手段103が、領域501を繰り返し分割した際に算出した線分1001の長さを各個所における太さとして抽出する。この各個所とは、分割前の領域を想定すると、分割により複数の線分が算出されることになるが、この複数の線分が算出された個所を示している。
【0080】
ステップS114は細菌判定工程であり、画像処理手段103が、ステップS113の太さ算出工程で算出した太さの分布を分析し、細菌を判定する。ここで、太さの分散度合いを数値化するために、例えば算出した太さの平均を100として正規化した太さの分散を用いる。
【0081】
細菌の判定方法の一例について、図14を用いて説明する。図14は縦軸が正規化した太さの分散、横軸はステップS102の領域抽出工程で算出した複数の領域を識別するた
めの領域番号とする棒グラフで、各領域について正規化した太さの分散をそれぞれ算出した値の一例を示す図である。各領域について正規化した太さの分散は、細菌は先端を除き一定の太さであるという特徴から小さい値となる。そのため、正規化した太さの分散と予め用意しておいた所定値Bを比較し、所定値B以下である場合に細菌と判定する。所定値Bより大きい場合には細菌ではないと判定する。
【0082】
所定値Bの決め方としては、例えば、予め細菌と細菌以外について、ステップS101からステップS113までを行い正規化した太さの分散を計測し、細菌と細菌以外について正規化した太さの分散の平均値を算出し、各平均値の中間値を所定値Bとする。
【0083】
また、分散については例えば標本分散を用いる。n個のデータX1,X2,・・・,Xnがあるとき、Xaがデータの平均、データ中のあるデータをXi(iは1からnまで)とすると、(Xa−Xi)の二乗の平均が標本分散であり、この関係式は以下のようになる。数式4を用いてデータを太さとすることで、太さの分散が算出できる。
【0084】
【数2】

【0085】
次に、表示手段104の一例について詳細に説明する。
【0086】
表示手段104としては、例えばCRTモニタを用いる。表示手段104は画像処理手段103から出力された検出結果を表示する。なお、表示手段104として、タッチパネルなど任意の表示手段104を採用してもよい。
【0087】
次に、細菌検出装置100の動作の一例について説明する。
【0088】
プレート1に塗られた検体を光学手段101が蛍光観察し、蛍光している様子を撮像手段102が撮影する。撮影された画像を画像処理手段103が出力し、太さの分散度合いから細菌を判定する。そして、その結果を表示手段104が表示する。
【0089】
このような細菌検出装置100によれば、領域の重心502と距離が最短となる輪郭点701を通る直線で領域を分割することを繰返すことで、形状が「く」の字の縦方向につぶれたような形状の場合でも、太さを計測でき、太さの分散度合いを分析することで細菌を識別することができる。
【0090】
尚、ステップS105の最短輪郭点算出工程において、重心502への距離が最短となる輪郭点701を算出する代わりに、画像処理手段103が、距離が所定範囲内にある輪郭点602を複数算出しておき、ステップS109の線分算出工程において算出する線分1001の長さが最短となる輪郭点602を算出してもよい。
【0091】
所定範囲の決め方としては、例えば各輪郭点602と重心502との距離を算出し、最短の距離と距離の平均との中間値以下の距離を所定範囲として算出する。
【0092】
次に、線分1001の長さが最短となる輪郭点602を算出する方法の一例について、図15を用いて説明する。図15(a)はステップS106の直線算出工程において、距離が所定範囲内にある各輪郭点602と重心502を通る直線801の一例を示す説明図である。図15(b)はステップS109の線分算出工程により、図15(a)のように
算出した直線801について領域501を分割する線分1001の一例を示す説明図である。図15(b)のように、距離が所定範囲内にある各輪郭点602について線分1001を算出し、その中で線分1001の長さが最短となる輪郭点602を距離が最短となる輪郭点701の代わりに算出する。
【0093】
このように、ステップS109の線分算出工程において、算出する線分1001の長さが最短になるように調整することにより、太さについて分割によるばらつきを少なくすることとなり、正確に判断することができるため、線分1001の長さが最短になるように調整することがより好ましい。
【0094】
また、ステップS109の線分算出工程において、図11のように新たに算出した線分1101が、以前算出した線分1102と線分1103の両方または一方と交わる場合に終了する代わりに、画像処理手段103が、垂直な線分を算出し、新たに算出した線分1101の代わりに用いて分割してもよい。垂直な線分を算出する方法の一例としては、まず分割領域1201の重心を通り、線分1101に垂直な線分を算出する。
【0095】
垂直な線分の一例について、図16を用いて説明する。図16(a)は図11の線分1101が交わっている個所の領域501の一部である分割領域1201の一例を示す説明図である。図16(b)は分割領域1201の重心1601を通り、線分1101に垂直な線分1602の一例を示す説明図である。図16(a)のように線分1101が以前算出した線分1102と線分1103の両方または一方と交わる場合に分割を終了する代わりに、図16(b)のように、分割領域1201の重心1601を通り線分1101に垂直な線分1602を算出し、ステップS110へ遷移する。図16の場合、分割領域1201において分割が終了していた箇所を、線分1101の代わりに垂直な線分1602を算出することで、分割を終了せずに垂直な線分1602の長さを太さとして算出できる。

【0096】
このように、垂直な線分1602を新たに算出した線分1101の代わりに用いることにより、領域501の太さを計測する数が多くなることで正確に判断することができるため、垂直な線分1602について考慮することがより好ましい。
【0097】
また、ステップS114の細菌判定工程において、ステップS113で算出した全ての太さを対象として分布を分析しているが、太さの最大値と最小値を除くことで、太さ計測における誤差の影響を少なくすることとなり、正確に判断することができるため、算出した太さの最大値と最小値を除くことがより好ましい。
【0098】
また、太さの分散度合いから細菌を判定しているが、算出した分割数を考慮してもよい。分割数は主に折れ曲がっていないときの細菌の縦横比に依存するため、例えば分割数が1の場合は縦横比が1対1から1対2の形状である。この場合、例えば、予め計測する形状の縦横比が1対4と分かっている場合に、所定値Cを1とすると分割数が所定値C以下の場合は細菌ではないと判定できる。逆に所定値Cより大きければ細菌であると判定する。
【0099】
このように、ステップS114の細菌判定工程において、細菌と判断されたものについて、予め計測する形状の縦横比が分かっている場合に分割数を考慮することで、形状の縦横比を考慮することとなり正確に判断することができるため、算出した分割数も考慮することがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、形状が「く」の字の縦方向につぶれたような形状の場合でも太さを計測する
機能を有し、領域の太さを計測する画像認識技術、細菌判別装置、細菌判別方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態における細菌検出装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における光学手段における蛍光観察を説明するための図
【図3】本発明の実施形態における画像と座標系の説明図の一例であり、(a)は画像の各画素の位置を二次元の座標系へ拡張する一例を説明するための図、(b)は注目画素の中心位置と二次元座標の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態における細菌検出方法の一例を示すフローチャート
【図5】本発明の実施形態における領域と重心の一例を説明するための図
【図6】本発明の実施形態における輪郭と輪郭点の一例の説明するための図
【図7】本発明の実施形態における重心からの距離が最短となる輪郭点の一例を説明するための図
【図8】本発明の実施形態における輪郭点と重心を通る直線の一例を説明するための図
【図9】本発明の実施形態における直線と輪郭の交点の一例を説明するための図
【図10】本発明の実施形態における領域を分割する線分の一例を説明するための図
【図11】本発明の実施形態における線分が交わることの一例を説明するための図
【図12】本発明の実施形態における線分で領域を分割する一例を説明するための図
【図13】本発明の実施形態における連続分割判定工程の一例を示すフローチャート
【図14】本発明の実施形態における細菌判定方法の一例を説明するための図
【図15】本発明の実施形態における線分の距離が最短となる方法の一例を説明するための図
【図16】本発明の実施形態における線分に対する垂直な線分の一例を説明するための図
【符号の説明】
【0102】
1 プレート
100 細菌検出装置
101 光学手段
102 撮像手段
103 画像処理手段
104 表示手段
201 光源
202 光源201からの光
203 励起フィルタ
204 励起光
205 ダイクロイックミラー
206 対物レンズ
207 蛍光
208 吸収フィルタ
209 蛍光以外の光
301 中心
501 領域
502 重心
601 輪郭
602 輪郭点
701 距離が最短となる輪郭点
801 直線
901 交点
1001 線分
1101 線分
1102 線分
1103 線分
1201 分割領域
1601 分割領域1201の重心
1602 垂直な線分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射して検体を蛍光させる光学部と、
前記検体からの蛍光を含む画像を撮像する撮像部と、
前記画像から蛍光された領域を抽出する領域抽出部と、
前記領域における面積が所定面積未満となるまで、前記領域の分割を反復する分割部と、
前記領域を分割するための各分割線分の長さに基づいて、前記検体の太さを算出する太さ算出部と、
前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する細菌判定部と
を有し、
前記分割部は、
前記領域の重心の位置を算出する重心位置算出部と、
前記領域の輪郭を算出する輪郭算出部と、
前記輪郭を形成する輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる対象輪郭点を算出する対象輪郭点算出部と、
前記重心の位置と前記対象輪郭点とを通る直線を算出する直線算出部と、
前記直線上において、2つの前記輪郭点を結ぶ線分のうちの1つを前記分割線分として算出する線分算出部と、
前記分割線分で領域を分割する領域分割部と、
分割された領域における面積が前記所定面積未満であるか否かを判定する面積判定部を有する細菌判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の細菌判別装置であって、
前記分割部は、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割の反復を終了する細菌判別装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の細菌判別装置であって、
前記分割部は、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記分割の反復を終了する細菌判別装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記対象輪郭点算出部は、前記輪郭点のうち、前記重心の位置から最も近い最短輪郭点を前記対象輪郭点として算出する細菌判別装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記対象輪郭点算出部は、前記輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる複数の輪郭点を算出し、前記分割線分の長さが最短となる輪郭点を前記対象輪郭点として算出する細菌判別装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記線分算出部は、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割線分を算出した領域の重心の位置を通り前記分割線分に垂直な線分を、前記分割線分として代用する細菌判別装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記細菌判定部は、前記太さ算出部によって算出された前記検体の太さの最大値と最小値を除外して、前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する細菌判別装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記細菌判定部は、前記太さの分散度合いが所定値以下である場合、前記検体が細菌であると判定する細菌判別装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記細菌判定部は、前記太さの分散度合いが所定値より大きい場合、前記検体が細菌以外であると判定する細菌判別装置。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記細菌判定部は、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記検体が細菌であると判定する細菌判別装置。
【請求項11】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の細菌判別装置であって、
前記細菌判定部は、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数以下である場合、前記検体が細菌以外であると判定する細菌判別装置。
【請求項12】
光を照射して検体を蛍光させる光学工程と、
前記検体からの蛍光を含む画像を撮像する撮像工程と、
前記画像から蛍光された領域を抽出する領域抽出工程と、
前記領域における面積が所定面積未満となるまで、前記領域の分割を反復する分割工程と、
前記領域を分割するための各分割線分の長さに基づいて、前記検体の太さを算出する太さ算出工程と、
前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する細菌判定工程と
を有し、
前記分割工程は、
前記領域の重心の位置を算出する重心位置算出工程と、
前記領域の輪郭を算出する輪郭算出工程と、
前記輪郭を形成する輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる対象輪郭点を算出する対象輪郭点算出工程と、
前記重心の位置と前記対象輪郭点とを通る直線を算出する直線算出工程と、
前記直線上において、2つの前記輪郭点を結ぶ線分のうちの1つを前記分割線分として算出する線分算出工程と、
前記分割線分で領域を分割する領域分割工程と、
分割された領域における面積が前記所定面積未満であるか否かを判定する面積判定工程を有する細菌判別方法。
【請求項13】
請求項12に記載の細菌判別方法であって、
前記分割工程において、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割の反復を終了する細菌判別方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の細菌判別方法であって、
前記分割工程において、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記分割の反復を終了する細菌判別方法。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記対象輪郭点算出工程において、前記輪郭点のうち、前記重心の位置から最も近い最短輪郭点を前記対象輪郭点として算出する細菌判別方法。
【請求項16】
請求項12ないし14のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記対象輪郭点算出工程において、前記輪郭点のうち、前記重心の位置からの距離が所定距離以下となる複数の輪郭点を算出し、前記分割線分の長さが最短となる輪郭点を前記対象輪郭点として算出する細菌判別方法。
【請求項17】
請求項12ないし16のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記線分算出工程において、反復して算出された分割線分が他の分割線分と交わる場合、前記分割線分を算出した領域の重心の位置を通り前記分割線分に垂直な線分を、前記分割線分として代用する細菌判別方法。
【請求項18】
請求項12ないし17のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記細菌判定工程において、前記太さ算出部によって算出された前記検体の太さの最大値と最小値を除外して、前記太さに基づいて、前記検体が細菌であるか否かを判定する細菌判別方法。
【請求項19】
請求項12ないし18のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値以下である場合、前記検体が細菌であると判定する細菌判別方法。
【請求項20】
請求項12ないし18のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値より大きい場合、前記検体が細菌以外であると判定する細菌判別方法。
【請求項21】
請求項12ないし18のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数より大きい場合、前記検体が細菌であると判定する細菌判別方法。
【請求項22】
請求項12ないし18のいずれか1項に記載の細菌判別方法であって、
前記細菌判定工程において、前記太さの分散度合いが所定値以下であり、かつ、前記分割を反復する回数を示す分割数が所定回数以下である場合、前記検体が細菌以外であると判定する細菌判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−304298(P2008−304298A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151239(P2007−151239)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】