説明

細長い着座パッドを備えたツールホルダおよびツールホルダアセンブリ

【課題】細長い着座パッドを備えたツールホルダおよびツールホルダアセンブリを提供する。
【解決手段】ツールホルダアセンブリは、ワイパ面を備えた両面オンエッジ型切削インサートを受容するようになっているポケットを有する。ポケットは少なくとも2つの側部および少なくとも2つの側部のそれぞれから延びる支持パッドを有し、支持パッドは、切削インサートがポケット内に取り付けられると、切削インサートのワイパ面に接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工作業のためのツールホルダに関し、特に、ポケット内に取り付けられる切削インサートの対応する着座パッドを収容するための、細長い着座パッドを備えたポケットを有するツールホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの金属加工作業の目的は、特定の機械加工作業を最短の時間かつ早期の工具破壊を招かない方法で実施することである。特に、フライスのポケット内のオンエッジ型切削インサートを使用するフライス削り作業においては、これらのインサートをポケット内に確実に取り付ける必要がある。一般に、そのようなオンエッジ型インサートはポケット内で着座パッドに接して支える側面を備える。しかしながら、ツールホルダのポケット内に取り付けられるオンエッジ型切削インサートを示す特許文献1に示されるように、特有の問題が生じる。複数の切れ刃を有する可逆切削インサートを提供するため、個々のコーナにおいて、インサートの一方の側の切れ刃は他方の側の切れ刃に対して角度的にずれている。これにより、ずれた切れ刃を有するコーナが生成されるため、ツールホルダのポケットはこれらのコーナに隙間(間隔)を設けるよう形成されなければならない。これは切削インサートのコーナに十分な隙間を提供する一方で、ツールホルダポケット内の着座面が短くなるという犠牲のもとに実現されるため、そうでなければ利用できたであろう切削インサートに対する支持が低下することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,490,117号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ツールホルダのポケット内の着座面の長さを犠牲にすることなく、そのようなオンエッジ型インサートを収容するためのデザインが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、金属加工作業で使用するためのツールホルダに関し、このツールホルダは、深さがあり、それを通る中心軸を有し、中心面を中心として第1のセグメントおよび対向する第2のセグメントを有する、オンエッジ型切削インサートを保持するようになっている。インサートの各セグメントは、前切れ刃を画定する少なくとも3つの面と対応するコーナとを有し、各セグメントは他方に対して放射状にずれている。ツールホルダは長手方向の軸に沿って延在し、第1の端部と第1の端部内に延びるポケットとを有する本体を有し、ポケットは少なくとも2つの側部を有し、一般的な形状および深さの切削インサートをその中に保持することを意図し、少なくとも2つの側部は交差してポケットコーナを画定する。ポケットは、ポケットコーナ内にあり第1のセグメントのセグメントコーナと関連づけられる第1の深い逃げ領域を有し、第1の深い逃げ領域は、実質的に、ポケット内に保持される予定の切削インサートの深さに達する。ポケットはまた、同じポケットコーナ内に位置し、第2のセグメントのセグメントコーナと関連づけられる第1の浅い逃げ領域を有し、第1の浅い逃げ領域は第2のセグメントのセグメントコーナのみを収容するようになっており、第1の浅い逃げ領域は第2のセグメントの深さまでしか延びない。ポケットの少なくとも2つの側部のそれぞれから延びる支持パッドが第1のセグメントと第2のセグメントとの間に第3のセグメントを画定する。
【0006】
別の実施形態において、金属加工作業で使用するためのツールホルダは、長手方向の軸に延在し、かつ第1の端部を有する本体と、第1の端部内に延びるポケットであって、ポケットが少なくとも2つの側部を有する、ポケットと、ポケットの少なくとも2つの側部のそれぞれから延びて第1のセグメントと第2のセグメントとの間に第3のセグメントを画定する支持パッドを含む。支持パッドは、切削インサートがツールホルダのポケット内に取り付けられると、切削インサートの少なくとも1つのワイパ面に接する。
【0007】
さらに別の実施形態において、金属加工作業で使用するためのツールホルダは、第1の端部を有する本体であって、長手方向の軸に沿って延在する本体と、第1の端部内に延びるポケットであって、ポケットは、一般的な形状および深さのオンエッジ型切削インサートをその中に保持することを意図する。ポケットは、ポケット床ならびにポケット床から上向きに延びる少なくとも第1の内部壁および第2の内部壁を有する。第1のセグメントと第2のセグメントとの間の第3のセグメントであって、第3のセグメントは第1のセグメントと第2のセグメントの側部に対応する側部を有し、第1のセグメントと第2のセグメントはそのような第3のセグメントに対して放射状にずれている。支持パッドを画定する前記側部は切削インサート上のワイパ面からなる対応する取り付け面と係合するようになっている。
【0008】
さらにまた別の実施形態において、金属加工作業で使用するためのツールホルダアセンブリは、ワイパ面を有するオンエッジ型切削インサートと、長手方向の軸に延在し、第1の端部を有する本体と、第1の端部内に延びるポケットであって、少なくとも2つの側部を有する、ポケットと、ポケットの少なくとも2つの側部のそれぞれから延びる支持パッドであって第1のセグメントと第2のセグメント間に第3のセグメントを画定する、支持パッドを備える。支持パッドは、切削インサートがポケット内に取り付けられると、切削インサートのワイパ面に接する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】中に切削インサートが取り付けられた、本発明によるツールホルダの斜視図である。
【図2】ツールホルダのポケット内に取り付けられてもよい切削インサートの側面図である。
【図2B】図2において丸で囲まれ、60の符号を付された領域の拡大図である。
【図3】切削インサートがツールホルダポケット内に取り付けられうる様式を示す分解図である。
【図4】ポケット床に垂直な軸に沿って見たツールホルダポケットを示すツールホルダの一部である。
【図5】図4の線5に沿って見たときのツールホルダポケットの図である。
【図6】図4に示されたものと類似する図であるが、ポケット内に取り付けられる切削インサートの横断面部でインサートの下半分の逃げ角を示す。
【図7】図4に類似する図であるが、ここではポケット内のインサート全体を含み、切削インサートのコーナ周囲の逃げ角を再び示す。
【図8】ポケット内の着座パッドの表面がその長手方向に間隙を有する、本発明の別の実施形態によるフライスである。
【図9】分割された取り付け面以外は図3に示されたものと同一である切削インサートの斜視図である。
【図10】ポケット内の着座パッドの表面がその長手方向に間隙を有し、かつ切削インサートのワイパ面が着座パッドに接する、本発明の別の実施形態によるフライスである。
【図11】取り付け面が切削インサートのワイパ面を含む、切削インサートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、長手方向の軸15に沿って延在し、かつ第1の端部17を有する本体12を有するツールホルダ10を示す。複数のポケット20がツールホルダ本体12の外周に広がり、これらのポケット20それぞれの中に取り付けられるのが切削インサート25である。切削インサート25は、主切れ刃が、切削インサート25の側部30に対する端部27に位置するオンエッジ型切削インサートである。オンエッジ型切削インサートでは、各面の表面積は端部27のどの表面積よりもかなり広い。
【0011】
フライスにはそれぞれのポケット内に様々なタイプの切削インサートを有することができるものもあるが、説明目的のためおよび本明細書に示されるように、切削インサート25のすべてが同一であると共にポケット20は同一であるため、単一の切削インサート25および単一のポケット20のみが、他が同一であることの理解のもとに説明される。
【0012】
図3に注目すると、本ツールホルダ10内で使用されてもよい一般的なオンエッジ型切削インサート25は深さDを有し、それを通って延びる中心軸57を有する中央平面55の周りに第1のセグメント35および第2の対向するセグメント45を有する。特に、仮にインサート25が中央平面55に沿って半分に切断されてセグメント45が反転され、セグメント35に隣接して配置された場合、2つのセグメントは同一に見えるであろう。説明のため、共通のコーナAが図1〜3に示されている。図2および図3に示されるように、下部セグメントとして構想されてもよい第1のセグメント35は、4つの側部37a、37b、37c、37d(図2)および対応するコーナ39a、39b、39c、39dを有し、前切れ刃40a、40b、40c、40dを画定する。これらの面の特定を支援するため、各側部の参照符号は2つの場所で使用されている。同様に、上部セグメントとして構想されてもよい第2のセグメント45は4つの側部47a、47b、47c、47dおよび対応するコーナ49a、49b、49c、49dを有し、前切れ刃50a、50b、50c、50dを画定する。
【0013】
図2に見られるように、第1のセグメント35は第2のセグメント45に対して中心軸57を中心に角度Xだけ放射状にずれている。Xは1〜4度の範囲内、および本明細書中に示されるように約2.5度であってもよい。
【0014】
図2Bに60で表され拡大された、丸で囲まれた領域に注目すると、本発明の重要な特徴は、ツールホルダが、互いにずれた第1のセグメント35のコーナ39aと第2のセグメント45のコーナ49aとを収容する様式である。
【0015】
図3に示されるように、切削インサート25の第1のセグメント35は全体の深さDの半分の深さであるD/2を有する。第2のセグメント45もまた全体の深さDの半分の深さであるD/2を有する。
【0016】
インサート25はポケット20内において3つの位置で支持される。この第1の面は平面64と同様に平面であり、このインサートの反対側にあってポケット20の床70に配置される。加えて、切削インサート25上には、ポケット20の第1の側部82および第2の側部84から延在して別の2つの面を設ける支持パッド78、80への取り付けに適した4つの取り付け面75a、75b、75c、75dがある。また、支持パッド80はフライス10の長手方向の軸15に沿って荷重を支持するため、軸方向支持パッドと呼ばれてもよい。さらに、支持パッド78は長手方向の軸15に接して荷重を支持するため、接線支持パッドと呼ばれてもよい。切削インサート25の取り付け面75a、75b、75c、75dは、第1のセグメント35と第2のセグメント45との間に位置する第3のセグメント76を画定する。
【0017】
ポケット20は、一般的な形状および深さの、その中に保持されることを意図した切削インサート25を有し、2つの側部78、80は交差してポケットコーナ86を画定する。説明されたように、インサート25のためのポケット20内の支持面はポケット床70と、支持パッド78と、支持パッド80である。ツールホルダが図1に示されるフライスの場合、機械加工作業時に生成される力の大半はコーナ49cを通って支持パッド78に伝えられ、二次的な力が支持パッド80に伝えられる。
【0018】
インサート25の中心穴90を貫通する保持用インサートねじ(図示せず)を受容するためのねじ穴88(図3)がポケット20の床70内にあることに留意されたい。一般に、インサートねじはインサート25をポケット20内に配置するためのものであり、金属加工作業に起因する大きな力を吸収することを意図したものではない。結果として、切削作業時に生成された力の大部分は支持パッド78、80にかかるため、これらの支持パッド78、80のそれぞれが可能な限り広い表面積でインサート25上の対応する取り付け面75a、75bに接していることが非常に重要である。言い換えると、2つの支持パッド78、80は可能な限り長い一方で、同時に、切削インサート35のコーナ39aおよび49aなどのインサートコーナに必要な隙間(Clearance)を設けることが重要である。
【0019】
図3に注目すると、切削インサート25がポケット内に取り付けられ、かつ支持パッド78および支持パッド80が切削インサート25の適切な取り付け面75a、75bに係合するためには、ポケット20が切削インサート25のコーナ(50a)のための逃げ領域を備えている必要がある。1つのコーナ86がすでに明らかにされている。図2Bは、ポケット20のコーナ86内に配置される切削インサート25の部分を示す。
【0020】
図3に示されるように、第1のセグメント35のコーナ39aは切削インサートの下半分にのみ存在し、第2のセグメント45のコーナ49aは切削インサート25の上半分にのみ存在するため、ツールホルダ20のコーナ86は、支持パッド80の長さへの影響は最小限で、インサートのこの独特なコーナの外形に合うよう形作ることができる。特に、第1の深い逃げ領域100がポケットコーナ86内にあり、第1のセグメント35のセグメントコーナ39a(図2B)と関連づけられ、実質的に切削インサート25の深さDまで達する。これは図6にも示される。重要なことに、セグメント45のコーナ49a(図2B)を収容するために第1の深い逃げ領域100を広くするよりもむしろ、第1の浅い逃げ領域110が同じポケットコーナ86内に配置され、コーナ49aと関連づけられる。これは図7にも示される。この第1の浅い逃げ領域110は、第2のセグメント45のコーナ49aのみを収容するよう形作られ、図3に示されるように、インサート25全体の深さの半分である、コーナ49aの深さまでしか達しない。
【0021】
そのような様式で、第2の支持パッド80の長さは最大化される一方で、同時に、コーナ49aに逃げ領域110が設けられる。第1の浅い逃げ領域110の深さは、支持パッド80の長さを最大化するため支持パッド80までしか達しないことを認識すべきである。そのような収容部なくしては、第1の浅い逃げ領域110はポケット20の深さ全体に達し、支持パッドの第1の浅い逃げ領域110の真下の部分がなくなっていたであろう。
【0022】
その結果、コーナ86は、実質的にインサート25の深さ全体まで達する第1の深い逃げ領域100および第1の深い逃げ領域100に隣接してインサート25の深さの一部まで達する第1の浅い逃げ領域110を有する二重の逃げ領域を有する。
【0023】
図3に注目すると、各支持パッド78、80は長手方向に延在し、ポケット20のそのそれぞれの側部82、84から突出して、パッド78、80に隣接する凹部104a、104b、106a、106bを画定し、切削インサート25にさらなる隙間を提供する。
【0024】
図4に注目すると、第1の浅い逃げ領域110は支持パッド80と、支持パッド80の長さLの約10〜20パーセントである距離Nだけ重なる。好適な実施形態において、第1の浅い逃げ領域110は支持パッド80の長さLの約15パーセントにわたって支持パッド80と重なる。
【0025】
図4に示されるように、支持パッド80の長さLは第1の浅い逃げ領域110を超えて第1の深い逃げ領域100に達する。第1の深い逃げ領域100はツールホルダ10の本体12内に延びる略円筒状の穴102であり、ドリルを利用して簡便に製造されてもよい。その一方で、第1の浅い逃げ領域110は広がった形状を有し、エンドミルを使用して製造されてもよい。
【0026】
一時的に図2に戻ると、第1のセグメント35と第2のセグメント45は互いに対して角度をもってずれているが、さらに、対応する取り付け面75cから測ると第3のセグメント76に対して角度X/2だけずれている。
【0027】
本明細書中に示されるように、ポケット20は4つの壁を有する切削インサート25を収容するための2つの壁78、80を有する。本発明は4つの側部を有する切削インサートに限定されるものではなく、適切な変形により、少なくとも3つの面を有するインサートも収容してよいことを認識すべきである。
【0028】
ここまで論じたことはポケット20内に第1のセグメント35のコーナ37aおよび第2のセグメント45のコーナ49aを収容することであるが、本ツールホルダのデザインはまた、インサートコーナの2つのさらなる対を収容してもよい。特に図3および図4に注目すると、第2の深い逃げ領域120はポケット内20において支持パッド80に隣接してポケットコーナ86とは逆側に設けられる。第2の深い逃げ領域120はポケット20内に保持されることを意図した切削インサート25の実質的に深さD全体に達する。
【0029】
さらに、第2の浅い逃げ領域130がツールホルダ10内において支持パッド78に隣接してポケットコーナ86とは逆側に設けられる。第2の浅い逃げ領域130は第2のセグメント45の深さD/2までしか達しない。
【0030】
第2の浅い逃げ領域130は支持パッド78と、支持パッド78の長さL’の約10〜20パーセントである距離N’重なる。第2の浅い逃げ領域130は約15パーセントだけ重なることが好ましい。
【0031】
図5は、図1に示される第1の端部17からポケット20内を上向きに見たフライス10の一部の端面図である。支持パッド80は支持パッド82に対して略垂直で示され、ポケット床20はそれを通って延びるねじ穴88を有する。凹部106aおよび106bと共に凹部104aおよび凹部104bが見える。第1の浅い逃げ領域110の深さに対する第1の深い逃げ領域100の深さはこの図からよりはっきりと認識されうる。
【0032】
図6は、図4に類似するが、ポケット20内に取り付けられる切削インサート25を備える図を示す。図6はまた、切削インサート25の図3に示す面55に沿う断面を示す。結果として、切削インサート25の第1のセグメント35のみが示される。特に興味深いのは、第1の深い逃げ領域100によって切削インサート25のセグメント35のコーナ39aに適切な隙間が設けられることである。
【0033】
図7に注目すると、切削インサート25全体がポケット内20において示され、側部47aのコーナ49aは第1の深い逃げ領域100のみでは収容することができず、さらなる逃げ領域が必要であることが明らかである。第1の浅い逃げ領域110が存在し、さらに第1の浅い逃げ領域110の深さが、図3に示されるように支持パッド80の側部まで達するのはこのためである。
【0034】
ツールホルダ10はフライスに対して記載されてきたが、本明細書中に記載されるデザインは施削用途に使用される定置型のツールホルダのポケットに容易に適応させてもよいことが認識されるべきである。
【0035】
これまでのところ記載されたのは、略平坦な取り付け面75a、75b、75c、75dは支持パッド78、80それぞれに接するよう設計される一方、平面64(裏側)はポケット20の床70に接するよう設計されるということである。製造公差のため、取り付け面75a、75b、75c、75dのそれぞれと支持パッド78、80との完全接触は達成困難である。したがって、本発明の別の実施形態は、支持パッド78、80とインサート25の側部47a、47b、47c、47dのそれぞれの取り付け面75a、75b、75c、75dとの間に3点接触を設ける設計に関する。特に図8に注目すると、長手方向の軸15に垂直な支持パッド180は支持パッド180の2つの端部184、185間にくぼみ182を有する。くぼみ182の位置は2つの端部184、185間の中心にあってもよい。しかしながら、くぼみ182のおもな目的は、ここでくぼみ182によって画定される支持パッド部187、189において強制接触させることである。そうすることにより、切削インサート25の対応する取り付け面75a、75b、75c、75d(図3)は支持パッド180上の2つの所定の位置において支持される。加えて、長手方向の軸15に平行する支持パッド190は、高いままである単一のパッド部197より長い、パッド190のかなりの部分に沿って延在するくぼみ192を有する。そのような様式で、支持パッド180および支持パッド190は切削インサート25の取り付け面75a、75b、75c、75dに3点接触を設ける。
【0036】
図9は、取り付け面275a、275b、275c、275dが分割された切削インサート225の異なる実施形態を示す。特に、取り付け面275a、275b、275c、275dすべての代表例である取り付け面275cについて、取り付け面部277cと、別の取り付け面部279cと、その間のくぼみ281cとがある。取り付け面部277c、279c間にくぼみ281cを設けることにより、切削インサート225の取り付け面275cとポケット20の対応する支持パッド78、80(図3)との間の接触は取り付け面部277c、279cにおいて生じる。実際には取り付け面275aおよび275bが支持パッド78、80に接するであろうが、わかりやすいことから取り付け面275cが説明されることに留意されたい。これによりインサート225がポケット20内にロックされる原因となりうる、切削インサート225とポケット20との間の不均一な面接触の可能性を最小限にする。
【0037】
図10は、支持パッド200、210と切削インサート325(図11)のワイパ面との間に3点接触を設ける設計の別の実施形態を示す。図10に示すように、長手方向の軸15に垂直な支持パッド200は支持パッド200の2つの端部204、205間にくぼみ202を有する。くぼみ202の位置は2つの端部204、205間の中心であってもよい。しかしながら、くぼみ202の主要目的は、ここでくぼみ202により画定される支持パッド部207、209において強制接触させることである。この実施形態において、支持パッド部207、209は互いに斜めに対向する。そうすることにより、切削インサート325の対応するワイパ面は支持パッド200上の2つの所定の位置において支持される。加えて、長手方向の軸15に平行する支持パッド210は、高いままである単一のパッド部217より長い、支持パッド210のかなりの部分に沿って延在するくぼみ212を有する。そのような様式で、支持パッド200および支持パッド210は切削インサート325のワイパ面に3点接触を設ける。
【0038】
図11は、取り付け面375a、375b、375c、375dが分割された切削インサート325の異なる実施形態を示す。特に、取り付け面375a、375b、375c、375dすべての代表例である取り付け面375dについて、取り付け面部377dと、別の取り付け面部379dと、その間のくぼみ381dとがある。取り付け面部377d、379d間にくぼみ381dを設けることにより、切削インサート325の取り付け面375dとポケット20の対応する支持パッド200、210(図10)との間の接触が取り付け面部377d、379dにおいて起こる。この実施形態において、取り付け面部377d、379dは、図9に示される本発明の先の実施形態とは異なり、取り付け面375dに対して互いに斜めに対向する切削インサート325のワイパ面を含む。実際には、他の取り付け面375aと375bと375cのうちの1つは切削インサート325がポケット20内に取り付けられると支持パッド210にも接しうることを留意されたい。特に、取り付け面部377d、379dは支持パッド部207、209に接し、取り付け面375a、375b、375cの取り付け面部のうち1つは、切削インサート325がポケット20内にどう取り付けられるかによって支持パッド部217に接する。しかしながら、図11において見えやすいことから取り付け面375dが説明される。互いに斜めに対向している取り付け面部377d、379dとの3点接触は、インサート325がポケット20内にロックされる原因となりうる切削インサート325とポケット20との間の不均一な面接触の可能性を最小限にする。
【0039】
本発明の特定の実施形態が詳細に記載される一方、当業者にはそれらの詳細に対する種々の改良物および変更物が本開示の全体的な教示の観点から開発されうることが認識される。本明細書中に記載される現時点における好ましい実施形態は、説明することのみを目的とし、添付の請求の範囲の全範囲およびその均等物に対して付与される本発明の範囲について限定を加えるものではない。
【符号の説明】
【0040】
10 ツールホルダ
12 ツールホルダ本体
15 長手方向の軸
17 第1の端部
20 ポケット
25 切削インサート
27 端部
30 側部
35 第1のセグメント
37a 側部
37b 側部
37c 側部
37d 側部
39a コーナ
39b コーナ
39c コーナ
39d コーナ
40a 前切れ刃
45 第2のセグメント
47a 側部
47b 側部
47c 側部
47d 側部
49a コーナ
49b コーナ
49c コーナ
49d コーナ
50a 前切れ刃
50b 前切れ刃
50c 前切れ刃
50d 前切れ刃
55 中央平面
57 中心軸
64 平面
70 ポケット床
75a 取り付け面
75b 取り付け面
75c 取り付け面
75d 取り付け面
76 第3のセグメント
78 支持パッド
80 支持パッド
82 支持パッド
84 第2の側部
86 ポケットコーナ
88 ねじ穴
90 中心穴
100 第1の深い逃げ領域
102 略円筒状の穴
104a 凹部
104b 凹部
106a 凹部
106b 凹部
110 第1の浅い逃げ領域
120 第2の深い逃げ領域
130 第2の浅い逃げ領域
180 支持パッド
184 端部
187 支持パッド部
190 支持パッド
197 単一のパッド部
200 支持パッド
204 端部
207 支持パッド部
210 支持パッド
217 支持パッド部
225 切削インサート
275a 取り付け面
275b 取り付け面
275c 取り付け面
275d 取り付け面
277c 取り付け面
279c 取り付け面
325 切削インサート
375a 取り付け面
375b 取り付け面
375c 取り付け面
375d 取り付け面
377d 取り付け面部
379d 取り付け面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属加工作業で使用するためのツールホルダであって、前記ツールホルダは少なくとも1つのワイパ面を備えた切削インサートを保持するようになっている、ツールホルダであって、
長手方向の軸に延在し、かつ第1の端部を有する本体と、
前記第1の端部内に延びるポケットであって、前記ポケットは少なくとも2つの側部を有する、ポケットと、
前記ポケットの前記少なくとも2つの側部それぞれから延びる支持パッドであって、前記支持パッドは、前記切削インサートが前記ツールホルダの前記ポケット内に取り付けられると、前記切削インサートの前記少なくとも1つのワイパ面に接する、支持パッドと、を含む、ツールホルダ。
【請求項2】
前記切削インサートは、それを通って延びる中心軸を有する中心面を中心として対向する第1のセグメントと第2のセグメントとを有するオンエッジ型切削インサートを含む、請求項1に記載のツールホルダ。
【請求項3】
前記第1のセグメントと前記第2のセグメントは中心軸を中心に1〜4度の間の角度だけ放射状にずれている、請求項2に記載のツールホルダ。
【請求項4】
前記ポケットは4つの側部を有する切削インサートを収容するための2つの壁を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のツールホルダ。
【請求項5】
前記長手方向の軸に垂直な前記支持パッドは、2つの端部間にくぼみを有し、前記2つの端部が前記切削インサートに対する支持を与える、請求項1から4のいずれか1項に記載のツールホルダ。
【請求項6】
前記くぼみは前記2つの端部の間の中心に位置する、請求項5に記載のツールホルダ。
【請求項7】
前記長手方向の軸に平行な前記支持パッドはくぼみを有し、それによって前記切削インサートが前記ポケット内に取り付けられると3点接触を与える、請求項5または6に記載のツールホルダ。
【請求項8】
ポケット床内に延び、前記切削インサートを前記ポケット内に保持するための取り付けねじを受容するねじ穴をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のツールホルダ。
【請求項9】
前記ツールホルダはフライスである、請求項1から8のいずれか1項に記載のツールホルダ。
【請求項10】
金属加工作業で使用するためのツールホルダであって、
第1の端部を有する本体であって、長手方向の軸に沿って延在する本体と、
前記第1の端部内に延びるポケットであって、前記ポケットは、ポケット床と、前記ポケット床から上向きに延びて支持パッドを画定する第1の側部と、前記ポケット床から上向きに延びて支持パッドを画定する第2の側部と、を有し、前記長手方向の軸に垂直な前記支持パッドは2つの端部間にくぼみを有し、前記長手方向の軸に平行な前記支持パッドはポケットコーナ近傍にくぼみを有する、ポケットと、
前記ポケット内に取り付けられる切削インサートであって、前記切削インサートは前記支持パッドと係合するようになっているワイパ面を有する取り付け面を含み、それによって前記切削インサートが前記ポケット内に取り付けられると3点接触となる、切削インサートと、を含む、ツールホルダ。
【請求項11】
前記ツールホルダはフライスである、請求項10に記載のツールホルダ。
【請求項12】
金属加工作業で使用するためのツールホルダアセンブリであって、
ワイパ面を有するオンエッジ型切削インサートと、
長手方向の軸に延在し、かつ第1の端部を有する本体と、
前記第1の端部内に延びるポケットであって、前記ポケットは少なくとも2つの側部および前記少なくとも2つの側部それぞれから延びる支持パッドを有し、前記切削インサートが前記ポケット内に取り付けられると、前記支持パッドは前記切削インサートの前記ワイパ面に接する、ツールホルダアセンブリ。
【請求項13】
前記支持パッドはくぼみを有し、前記切削インサートが前記ポケット内に取り付けられると3点接触をとなる、請求項12に記載のツールホルダアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−101350(P2012−101350A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239226(P2011−239226)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(399031078)ケンナメタル インコーポレイテッド (182)
【氏名又は名称原語表記】Kennametal Inc.
【住所又は居所原語表記】1600 Technology Way Latrobe PA 15650−0231, USA
【Fターム(参考)】