説明

細骨材粒度調整機

【課題】被破砕物である砂利及び砂(海砂又は山砂)の一定粒度歩留を向上し、表面磨砕により突起の少ない山砂が得られ、破砕又は磨砕による軽い微粉を上方に飛散分離し、品質良好なセメントモルタル用細骨材を提供する。
【解決手段】機枠1に複数の外向凸円弧形直立側板2’よりなる機函2を設け、上記側板2’のそれぞれ曲率中心線c上に高速回転軸3を設け、上記各高速回転軸3のそれぞれ複数段毎に上下段互に直交しかつ原料撹拌間隔tを介して撹拌羽根4を設け、かつ隣接高速回転軸3,3の上記撹拌羽根4,4相互の干渉が無く、かつ上記機函2の上面板5中央部に原料供給口6を設け、下端に排出ホッパー7を設け、上記上面板5の上記側板2’側に複数の飛散粉体排出口8を開口してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生コンクリート等のセメントモルタルに用いる細骨材の粒度調整に用いる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメントモルタルの細骨材は粒度(粗粒率・・FM)が一定であり、かつ表面が滑らかな粒子がコンクリートの強度上好ましい。
【0003】
海砂を一定サイズに篩い、これをモルタルの細骨材とすることは自然環境保護のため好ましくない。
【0004】
従って花崗岩、安山岩、蛇紋岩又は玄武岩或はスラグ等を破砕して砕石バラスを篩別けにより採取し、篩下(アンダースクリーン)をさらに強制破砕又はインパクトクラッシャで破砕し、モルタル用細骨材即ち砂利及び砂を製造した(例えば特許文献1)。
【0005】
しかし、垂直高速回転軸上端に設けた回転函の中央部に原料供給口を設け、該回転函の誘導路から横方向に放出される原料を、上向傾斜円形反撥板に衝接破砕し、破砕物を固定機函の上面板から下向きに案内下降させるもので、原料は上記固定反撥板に1方向に1回だけ衝接破砕され、破砕率を向上させ難く、かつ被破砕物相互の衝接干渉回数が少なく被破砕物(砂利及び砂)の表面磨砕率が少なくモルタルの細骨材に適用し難い垂直軸インパクトクラッシャであった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−199259号(図1、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は被破砕物である砂利及び砂(海砂又は山砂)の下降落下途中において一定粒度歩留を向上し、表面磨砕により突起の少ない山砂が得られ、破砕又は磨砕による軽い微粉を上方に飛散分離し、品質良好なセメントモルタル用細骨材を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に機枠に複数の外向凸円弧形直立側板よりなる機函を設け、上記側板のそれぞれ曲率中心線上に高速回転軸を設け、上記各高速回転軸のそれぞれ複数段毎に上下段互に直交しかつ原料撹拌間隔を介して撹拌羽根を設け、かつ隣接高速回転軸の上記撹拌羽根相互の干渉が無く、かつ上記機函の上面板中央部に原料供給口を設け、下端に排出ホッパーを設け、上記上面板の上記側板側に複数の飛散粉体排出口を開口してなる細骨材粒度調整機、
第2に上記各高速回転軸のそれぞれ3段水準位置に上記各回転軸と直交交差する撹拌羽根を該各回転軸の両側に延長し、かつ上記3段の水準位置がそれぞれ異なり、撹拌羽根が干渉しないよう上記間隙を介在させてなる上記第1発明記載の細骨材粒度調整機、
第3に上記撹拌羽根を上記曲率中心線を含む垂直面と斜交させてなり、隣接高速回転軸を相互に逆回転させ、上中下段の撹拌羽根の傾斜方向が各段互に反対向きである上記第1又は第2発明記載の細骨材粒度調整機、
第4に支柱の上端に水平方形枠を設け、該方形枠に間隔を介して複数の水平杆を架設して機枠を形成し、上記水平杆に上記機函の下端を支持し、上記支柱の中程水準に上記排出ホッパーの下端排出口を開口してなる上記第1〜第3発明のいずれかに記載の細骨材粒度調整機、
第5に上記機函が3個の外向凸円弧形直立側板を接続し、上記上面板に上記回転軸の上端部を突出し、該突出部と上記側板の外面に設けた原動機の回動軸とを回動無端ベルトで接続した上記第1〜第4発明のいずれかに記載の細骨材粒度調整機、
によって構成される。
【0009】
従って隣接する上記高速回転軸を互に反対向に高速回転させると上下各段の撹拌羽根は互に間隙を介して互に反対向きに高速回転する。
【0010】
上記隣接する上下段の撹拌羽根は対向方向に回転し、互に対向方向又は反対方向に傾斜し、上下段の撹拌羽根によって上下各段間の上記間隙を上向及び下向即ち上下方向に撹拌し、かつ上記隣接回転軸と直交しかつ対向又は離反方向に撹拌する。
【0011】
従って機函の内部空気は上下左右に撹拌され、その状態において上面板の中央部から原料粒子を投入すると、
原料粒子は上向及び下向傾斜羽根に衝接して破砕され上向又は下向に撹拌され、上下段の傾斜羽根間の間隙では破砕粒子相互に衝接磨砕されて表面凹凸が平滑化する。
【0012】
供給粒子は機函内で破砕されて細粒化し、磨砕されて表面が平滑化し、自重で下降して排出ホッパーから落下して機外に搬出される。
【0013】
落下し得ない軽い飛散粉体は上記間隙内の撹拌空気に載せられて上面板の上記飛散粉体排出口から大気に排出され、適宜捕集される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したのでセメントモルタルに用いるサイズの海砂又は山砂を破砕するに当たり、岩石破砕採取バラス等の篩下を上記機函に投入することによりセメントモルタル用のほぼ一定の細粒子即ち砂利及び砂程度の歩留を向上し、かつ粒子の外面を比較的平滑に形成し得るばかりでなく、
破砕作業中に得られる飛散粉体を機函の上面板に設けた上向排出口から大気に放出し得て製品から不要飛散粉体を排除し得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
長方形水平枠1’の短辺に平行な複数の支持杆1”,1”を間隙Tを介して架設し、長方形水平枠1’の4隅に図示するように支柱1a,1a,1a,1aを設けて機枠1を形成する。
【0016】
上記水平枠1’の上面に3個の外向凸円弧形直立側板2’,2’,2’(図1、2)を立設し、直立接触縁を溶着し、上端を上面板5で閉鎖して平面円対称形機函2を形成する。
【0017】
上記上面板5も平面円対称形であって中央部に円筒形原料供給口6を設け、該供給口6の両側の上記側板2’,2’側に2個の方形筒による飛散粉体排出口8,8を開口する。
【0018】
上記側板2’,2’,2’の外向凸円弧形のそれぞれ曲率中心線c,c,cを中心とする高速回転軸3,3,3を設け、上端部3’,3’,3’を上面板5から突出し突出部に受動ベルトローラ9を設け、上記各側板2’の外側に駆動電動機10を設け、駆動軸11に駆動ベルトローラ9’を設け、両ローラ9,9’間に無端駆動ベルト12を掛回す(図5)。そして上記3個の電動機10,10,10は同一容量であってインバーター(図示していない)によって毎分回転数(rpm)を上記電動機10,10,10毎に変更することができ、投入する原料のサイズによって適宜調整することができる。
【0019】
上記各高速回転軸3,3,3にはそれぞれ上中下3段水準位置に各回転軸3,3,3とそれぞれ直交し、かつ上下段互に直交する撹拌羽根4,4,4を上記各回転軸3,3,3のそれぞれ両側に延長し、隣接高速回転軸3,3相互の撹拌羽根4,4が干渉すること無く設けられる。
【0020】
又上記撹拌羽根4,4,4は上記曲率中心線cを含む垂直面と斜交し、隣接高速回転軸3,3又は3,3を相互に逆回転させる。
【0021】
又上中下各段では上記撹拌羽根4の傾斜方向が各段互に反対向きであり、上中下段において空気は上下段では上昇し、中段では下降し機函2内の空気は上下に撹拌される。
【0022】
機函2の下端は上記支持杆1”に支持され高速回転軸3,3,3の下端はスラストベアリング3”,3”,3”を介して上記支持杆1”,1”,1”に支持され、機函2の下端には排出ホッパー7を設け、下端部を上記支柱1aの中程水準に開口7’する。
【0023】
3個の上記電動機10,10,10を同時に始動し、1対の高速回転軸3,3を図2、図7
に示すように矢印方向に反対向きに高速回転させ、他の高速回転軸3を上記回転軸3,3の何れか1方に反対回転させる。
【0024】
その状態において、原料供給口6の蓋6’を開き、砂利及び砂等の原料を機函内に投入すると上記原料は上中下段の対向回転撹拌羽根4,4に衝接して破砕され、かつ上記間隙tの空間において破砕粒子相互に衝接して細かく分解すると共に破砕粒子相互に接触磨砕されて角部が分離し、かつ破砕及び磨砕により生じた微粉は飛散上昇して上面板5の上記排出口8,8から大気中に放出される。
【0025】
機函2内の撹乱流によって下降する破砕粒子は排出ホッパー7を経て排出口7’から機外に排出捕集される。
【0026】
尚図7、図9(イ)図中13は高速回転軸3の耐磨耗被覆板、14はその止めネジ、(ロ)図中15は上記撹拌羽根4,4の取付用挟持板、16はその止めネジである。
【実施例】
【0027】
採取海砂及び上記排出口7’から排出捕集される砂利及び砂500gを篩別けした結果を表1,2に示す。
【0028】
表1はセメントモルタル用海砂骨材の篩別試験表(破砕前)であって、粗粒率2.81である。
【0029】
【表1】

【0030】
表2はセメントモルタル用海砂骨材の篩別試験表(破砕後)であって、粗粒率2.57である。
【0031】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0032】
海砂に限らず岩石又は溶鉱炉滓(スラグ)を破砕して得られるバラスの篩下をさらに破砕機で粉砕して砂利及び砂程度となしたセメントモルタル用細骨材を上記上面板5の中央部に設けた原料供給口6に投入することによって0.075〜2.5mm程度に粒度の揃ったモルタル用細骨材を得ることができ、粗粒率は2.50であった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の細骨材粒度調整機を示す正面図である。
【図2】図1A−A線による平面図である。
【図3】図2の機枠及び機函を正面から見たB−B線による縦断面図である。
【図4】図2の機枠及び機函を左方から見たC−C線による縦断面図である。
【図5】図2の機枠及び機函を右方から見たD−D線による縦断面図である。
【図6】機函の内部を示す斜視図である。
【図7】図4の一部拡大図である。
【図8】図5の一部拡大図である。
【図9】(イ)図は高速回転軸の横断分解図、(ロ)図は撹拌羽根の横断分解図である。
【符号の説明】
【0034】
1 機枠
2 機函
2’ 外向凸円弧形直立側板
c 曲率中心線
3 高速回転軸
t 原料撹拌間隔
4 撹拌羽根
5 上面板
6 原料供給口
7 排出ホッパー
8 飛散粉体排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に複数の外向凸円弧形直立側板よりなる機函を設け、
上記側板のそれぞれ曲率中心線上に高速回転軸を設け、
上記各高速回転軸のそれぞれ複数段毎に上下段互に直交しかつ原料撹拌間隔を介して撹拌羽根を設け、
かつ隣接高速回転軸の上記撹拌羽根相互の干渉が無く、
かつ上記機函の上面板中央部に原料供給口を設け、下端に排出ホッパーを設け、
上記上面板の上記側板側に複数の飛散粉体排出口を開口してなる細骨材粒度調整機。
【請求項2】
上記各高速回転軸のそれぞれ3段水準位置に上記各回転軸と直交交差する撹拌羽根を該各回転軸の両側に延長し、
かつ上記3段の水準位置がそれぞれ異なり、撹拌羽根が干渉しないよう上記間隙を介在させてなる請求項1記載の細骨材粒度調整機。
【請求項3】
上記撹拌羽根を上記曲率中心線を含む垂直面と斜交させてなり、隣接高速回転軸を相互に逆回転させ、上中下段の撹拌羽根の傾斜方向が各段互に反対向きである請求項1又は2記載の細骨材粒度調整機。
【請求項4】
支柱の上端に水平方形枠を設け、該方形枠に間隔を介して複数の水平杆を架設して機枠を形成し、
上記水平杆に上記機函の下端を支持し、上記支柱の中程水準に上記排出ホッパーの下端排出口を開口してなる請求項1〜3のいずれかに記載の細骨材粒度調整機。
【請求項5】
上記機函が3個の外向凸円弧形直立側板を接続し、上記上面板に上記回転軸の上端部を突出し、該突出部と上記側板の外面に設けた原動機の回動軸とを回動無端ベルトで接続した請求項1〜4のいずれかに記載の細骨材粒度調整機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−220027(P2009−220027A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67582(P2008−67582)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(592099215)株式会社冨士機 (14)
【Fターム(参考)】