説明

組成物

本発明は、微粒子固形物、有機媒体および/または水および式(1)の化合物およびそれらの塩を含有する組成物を提供する:


ここで、Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;Tは、C2〜4−アルキレンである;Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である;Wは、オキシド、尿素または二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;xは、2〜60である;そしてvは、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の利用可能な最大数を表わす。本発明は、さらに、有機媒体用の分散剤としてのこの組成物を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年7月18日に出願されたGB 0316857.2および2003年11月1日に出願されたGB 0325537.9から優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、微粒子固形物、有機媒体および分散剤を含有する組成物に関し、そしてインク、ミルベース、プラスチックおよび塗料でのそれらの使用に関する。これらの分散剤のいくつかは、新規である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
インク、塗料、ミルベースおよびプラスチック材料のような多くの調合物は、有機媒体中に微粒子固形物を均一に分布させるために、有効な分散剤が必要である。この有機媒体は、極性有機媒体から非極性有機媒体へと変わり得る。結果的に、極性有機媒体および非極性有機媒体の両方で微粒子固形物を分散できる分散剤が求められている。
【0004】
米国特許第4,865,621号は、二塩基酸無水物、ポリオキシアルキレンモノアミンおよびヒドロカルビルポリアミン(これは、1343までの数平均分子量を有する)の反応生成物を含有する自動車用燃料組成物を開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
ある範囲の有機媒体(特に、極性有機媒体(水を含めて))において、ある種の分散剤が特定の微粒子固形物を分散させる優れた性能を示すことが発見された。それゆえ、本発明によれば、微粒子固形物、有機媒体および/または水および式(1)の化合物およびそれらの塩を含有する組成物が提供される:
【0006】
【化9】

ここで、
Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;
Tは、C2〜4−アルキレンである;
Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である;
Wは、オキシド、尿素または二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
xは、2〜60である;そして
vは、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の利用可能な最大数を表わす。
【0007】
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であるので、好ましくは、Zに結合した2個より多いRO−(Y)−T−NH−A−基が存在しており、これらは、同一または異なり得る。
【0008】
Wが二塩基酸の残基である特定の場合、微粒子固形物、有機媒体および式1aの化合物を含有する組成物が提供される。
【0009】
【化10】

ここで、
R、Y、T、Zおよびxは、先に定義したとおりである;
AおよびAは、別個に、二塩基酸の残基であり、これは、同一または異なり得る;そして
pは、0〜200である。
【0010】
Rは、好ましくは、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキルまたはアルキルであり、これは、直鎖または分枝であり得る。
【0011】
Rは、アリールであるとき、好ましくは、ナフチルまたぱフェニルである。
【0012】
Rは、アラルキルであるとき、好ましくは、2−フェニルエチル、または好ましくは、ベンジルである。
【0013】
Rは、アルカリールであるとき、好ましくは、オクチルフェニルまたはノニルフェニルである。
【0014】
Rは、シクロアルキルであるとき、好ましくは、C3〜8−シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、特に、シクロヘキシル)である。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、上記組成物を提供する。
【0016】
Rが、必要に応じて分枝したアルキル、特に、C1〜36の必要に応じて分枝したアルキルであることは、特に好ましい。それゆえ、RO−基は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、イソプロパノール、イソブタノール、第三級ブタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘプタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、3,7−ジメチルオクタノールおよびいわゆるGuerbetアルコール(例えば、Isofol(ex Condea GmbH)の商品名で市販されているもの)(それらの混合物を含めて)の残基であり得る。Guerbetアルコールの具体的な例には、Isofol 12、14T、16、18T、18E、20、24、28、32、32Tおよび36がある。
【0017】
Rが、C1〜6−アルキル、特に、C1〜4−アルキル(例えば、メチル)であることは、特に好ましい
Rが置換ヒドロカルビルであるとき、その置換基は、C1〜10−アルコキシ、カルボニル、スルホニル、カルバモイル、スルファモイル、ハロゲン、ニトリル、ウレイド、ウレタンまたはエステル(すなわち、−COO−または−OCO−)であり得る。しかしながら、Rは、非置換であることが好ましい。
【0018】
(Y)で表わされる鎖は、1形式のC2〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位だけを含有し得るか、または2種またはそれ以上の異なるC2〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含有し得る。(Y)で表わされる鎖が2種またはそれ以上の異なるC2〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含有するとき、(Y)の構造は、ランダムであり得るが、好ましくは、ブロックである。
【0019】
Yは、好ましくは、C3〜4−アルキレンオキシ、さらに好ましくは、−CHCHCHCHO−または−CHCH(CH)CHO−、特に、−CHCH(CH)O−であり、または他の実施態様では、−CHCHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である。
【0020】
YがC3〜4−アルキレンオキシであるとき、(Y)で表わされる鎖は、95%まで、さらに好ましくは、75%まで、特に、50%までのエチレンオキシ繰り返し単位を含有し得る。(Y)が50%より多い、特に、75%より多いエチレンオキシ繰り返し単位を含有する分散剤は、水性媒体(これは、必要に応じて、極性有機液体を含有する)に、より適している。
【0021】
YがC3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)で表わされる鎖がエチレンオキシ(−CHCHO−)を含有するとき、(Y)xの構造は、ランダムであり得るが、好ましくは、ブロックである。
【0022】
式(1)の好ましいが化合物では、Yは、−CHCH(CH)O−であり、そして(Y)で表わされる鎖は、75%までのエチレンオキシ繰り返し単位を含有し得る。
【0023】
Tは、好ましくは、C3〜4−アルキレン、さらに好ましくは、−CHCH(CH)−であるか、または他の実施態様では、−CHCHCH−である。
【0024】
好ましくは、Tは、Yが−CHCH(CH)O−であるとき、−CHCH(CH)−である。
【0025】
RO−(Y)−T−NH−基は、好ましくは、ポリアルキレンオキシド
モノアルキルエーテルモノアミンの残基である。この種の化合物は、Jeffamine M−シリーズのモノアミノとして、Huntsman Corporationから市販されている。Jeffamine aminesの具体的な例には、M−600(9、0、600)、M−1000(3、18、1000)、M−2005(32、2、2000)およびM−2070(10、31、2000)がある。括弧内の数字は、それぞれ、プロピレンオキシド、エチレンオキシドの概算の繰り返し単位、および数平均分子量である。
【0026】
Zは、ポリアミンの残基であるとき、好ましくは、ポリビニルアミンまたはポリアリルアミンである。異なる分子量のポリアリルアミンおよびポリ(N−アルキル)アリルアミンは、Nitto Bosekiから市販されている。異なる分子量のポリビニルアミンは、Mitsubishi Kaseiから市販されている。
【0027】
Zは、ポリイミンの残基であるとき、好ましくは、ポリ(C2〜6−アルキレンイミン)、特に、ポリエチレンイミン(PEI)である。このポリイミンは、直鎖、または特に、分枝であり得る。直鎖ポリエチレンイミンは、例えば、Takeo Saegusaらより、Macromolecules,1972,Vol 5,page 4470で記述されているように、ポリ(N−アシル)アルキレンイミンの加水分解により、調製され得る。異なる分子量の分枝ポリエチレンイミンは、BASFおよびNippon Shokubaiから市販されている。ポリプロピレンイミンデンドリマーは、DSM Fine Chemicalsから市販されており、そしてポリ(アミドアミン)デンドリマーは、「Starburst」デンドリマーとして、Aldrich Chemical Companyから市販されている。
【0028】
このポリアミンまたはポリイミンの数平均分子量は、好ましくは、500〜600,000、さらに好ましくは、1,500〜200,000、さらにより好ましくは、1,500〜100,000、特に、1500〜50,000である。ポリエチレンイミンの場合、その数平均分子量は、好ましくは、1500以上、さらに好ましくは、3,000以上、特に、5,000以上である。
【0029】
AおよびAで表わされる二塩基酸の残基は、式HOOC−B−COOHの二塩基酸またはそれらの無水物から誘導され、ここで、Bは、1個〜20個の炭素原子を含有する直接結合または二価有機部分である。好ましくは、もし、Aが所定式の脂肪族二塩基酸または無水物であるなら、Bは、完全に飽和されている(すなわち、それは、炭素−炭素二重結合を含まない)。必要に応じて、Aは、脂肪族二塩基酸またはそれらの無水物から誘導され、そのとき、Aに使用されるBは、完全に飽和されている。Bは、芳香族、ヘテロ芳香族、脂環族または脂肪族であり得、これは、必要に応じて、置換され得る。Bは、2個またはそれ以上の炭素原子を含有する脂肪族であるとき、直鎖または分枝、飽和(先に述べたように、特に、Aに入るB単位について、飽和されていることが好ましい)または不飽和であり得る。好ましくは、Bは、非置換である。また、Bは、12個以下、特に、8個以下の炭素原子を含有することが好ましい。不飽和脂肪族B単位(例えば、無水マレイン酸を製造するのに使用されるもの)は、いくつかの反応条件下にて、非常にゲル化した反応生成物と会合している。
【0030】
Bは、芳香族であるとき、好ましくは、フェニレンであり、Bは、脂環族であるとき、好ましくは、シクロヘキシレンであり、Bは、脂肪族であるとき、好ましくは、アルキレンである。好ましい二塩基酸は、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸、C1〜20−アルケニルまたはアルキルコハク酸、特に、マレイン酸、マロン酸、コハク酸およびフタル酸である。好ましい無水物には、無水グルタル酸、無水コハク酸および無水フタル酸である。
【0031】
二塩基酸またはそれらの無水物の混合物は、使用され得る。それゆえ、Aは、1種またはそれ以上の異なる二塩基酸または無水物の残基であり得る。しかしながら、Aは、単一の二塩基酸または無水物の残基であることが好ましい。同様に、Aは、1種またはそれ以上の異なる二塩基酸または無水物の残基であり得る。この場合もやはり、Aは、単一の二塩基酸または無水物の残基であることが好ましい。また、AおよびAの両方は、同じ二塩基酸または無水物であることが好ましい。Aおよび/またはAは、無水コハク酸の残基であることがずっと好ましい。
【0032】
Wがオキシドの残基であるとき、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノまたはイミノ基のいずれかは、酸素(空気を含めて)または過酸化物(例えば、過酸化水素または過硫酸アンモニウム)との反応により、N−オキシドに変換され得る。
【0033】
同様に、Wが尿素の残基であるとき、尿素と反応されるZ中の遊離のアミノおよび/またはイミノ基は、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないアミノまたはイミノ基の最大数までで、広い範囲にわたって、変わり得る。
【0034】
二塩基酸または無水物の残基である特定の場合、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中の遊離アミノまたはイミノ基の大部分は、Aで表わされる二塩基酸または無水物と反応されることがずっと好ましい。
【0035】
それゆえ、pが式1aでは0以外であるとき、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノまたはイミノ基の大部分は、残基−A−OHを備えている。
【0036】
好ましい1実施態様では、Zで表わされるポリアミンまたはポリイミンは、好ましくは、2個またはそれ以上のRO−(Y)−T−NH−A−基を備えており、これらは、同一または異なり得る。この種の分散剤は、好都合には、式(2)で表わされ得る:
【0037】
【化11】

ここで、
X−*−*−Xは、ポリアミンおよび/またはポリイミンを表わす;
Qは、RO−(Y)x−T−NH−A−鎖である;そして
qは、2〜2000である。
【0038】
さらに好ましい実施態様では、Zで表わされるポリアミンまたはポリイミンは、好ましくは、2個またはそれ以上の異なる重合体鎖を備えており、そして式2aで表わされる。
【0039】
【化12】

ここで、
X−*−*−XおよびQは、上で定義したとおりである;そして
は、式R’−G−(B)−のポリエステルおよび/またはポリアミド鎖を表わす;
は、水素またはC1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Gは、二価結合またはカルボニルである;
Bは、1個またはそれ以上のアミノカルボン酸および/または1個またはそれ以上のヒドロキシカルボン酸、1個またはそれ以上のヒドロキシカルボン酸のラクトンまたはそれらの混合物の残基である;
qおよびsは、0より大きい整数である;そして
q+sは、2〜2000である。
【0040】
好ましくは、Gは、カルボニルであり、そしてR−G−は、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルカルボン酸、特に、C1〜50−必要に応じて置換した脂肪族酸の残基であり、この場合、その脂肪族基は、飽和または不飽和、直鎖または分枝であり得る。
【0041】
好ましくは、Rは、Rについて先に開示したように、36個より多い炭素原子を含有しない。
【0042】
−CO−はまた、直鎖または分枝、飽和または不飽和の必要に応じて置換したカルボン酸(例えば、メトキシ酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−オクチルデカン酸および2−デシルテトラデカン酸)の残基であり得る。この種の分枝アルキルカルボン酸もまた、Isocarb(ex Condea GmbH)の商品名で入手でき、具体的な例には、Isocarb 12、16、20、28、32、34Tおよび36がある。
【0043】
が置換されているとき、その置換基は、1個またはそれ以上のエーテル基、特に、2個またはそれ以上のエーテル基であり得る。それゆえ、R−CO−は、Akypoカルボン酸(ex Kao Chem GmbH)の残基であり得る。具体的な例には、Akypo LF1、Akypo LF2、Akypo RLM 25、Akypo RLM 45 CA、Akypo RO 20 VGおよびAkypo RO 50 VGがある。
【0044】
Bが得られるアミノカルボン酸は、好ましくは、アミノ−C2〜20−アルケニレンカルボン酸、特に、アミノ−C1〜20−アルキレンカルボン酸である。好ましくは、そのアルキ(ケニ)レン基は、12個より多い炭素原子を含有する。具体的な例には、11−アミノウンデカン酸、特に、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンおよびサルコシンがある。
【0045】
Bが誘導されるヒドロキシカルボン酸は、好ましくは、ヒドロキシ−C2〜20−アルケニレンカルボン酸、特に、ヒドロキシ−C1〜20アルキレンカルボン酸である。適当なヒドロキシカルボン酸の具体的な例には、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシ吉草酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸、4−ヒドロキシデカン酸、10−ヒドロキシウンデカン酸、乳酸およびグリコール酸がある。
【0046】
Bはまた、ラクトン(例えば、β−プロピオラクトン、必要に応じてC1〜6−アルキルで置換したε−カプロラクトンおよび必要に応じてC1〜6−アルキルで置換したδ−バレロラクトン)から誘導される。具体的な例には、ε−カプロラクトン、および7−メチル−、3−メチル−、5−メチル−、6−メチル−、4−メチル−、5−テトラ−ブチル−、4,4,6−トリメチル−および4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンがある。
【0047】
qとsとの比は、好ましくは、6:1〜1:6である。
【0048】
上で述べたように、この分散剤は、塩の形状で存在し得る。この分散剤がカルボン酸基を含有する場合、この塩は、アルカリ金属(例えば、リチウム、カリウムまたはナトリウム)の塩であり得る。あるいは、この塩は、アンモニア、アミンまたは四級アンモニウムカチオンを使って、形成され得る。アミンの例には、メチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミンおよびオクタデシルアミンがある。この四級アンモニウムカチオンは、四級アンモニウムカチオンまたはベンザルコニウムカチオンであり得る。この四級アンモニウムカチオンは、好ましくは、6個〜20個の炭素原子を含有する1個または2個のアルキル基を含有する。四級アンモニウムカチオンの例には、テトラエチルアンモニウム、N−オクタデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム;N,N−ジドデシル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムおよびN−ベンジル−N−オクタデシル−N,N−ジメチルアンモニウムカチオンがある。
【0049】
カルボン酸基を含有する分散剤は、遊離酸の形状であることがずっと好ましい。
【0050】
vが0である式1の分散剤は、着色した酸の塩の形状であり得る。この着色した酸は、任意のアニオン染料(例えば、スルホン化フタロシアニン、特に、銅またはニッケルフタロシアニン)、またはスルホン酸基および/またはカルボン酸基を含有するジアゾ染料であり得る。
【0051】
vが0であるとき、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基のいくつかは、四級化され得る。好ましい四級化剤には、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、ハロゲン(特に、塩素、臭素およびヨウ素)化メチル、p−トルエンスルホン酸メチルおよびプロパンスルトンがある。
【0052】
式(1)の化合物は、当該技術分野で公知の任意の方法により、製造され得る。それは、好ましくは、式(3)の化合物と、二塩基酸、またはさらに好ましくは、それらの無水物と、ポリアミンおよび/またはポリイミンと、必要に応じて、第二の二塩基酸、または好ましくは、それらの無水物とを反応させることにより、調製される。
【0053】
【化13】

ここで、R、Y、Tおよびxは、先に記述したとおりである。
【0054】
好ましくは、式(3)の化合物は、40〜150℃、さらに好ましくは、60〜100℃の温度で、第一の二塩基酸または無水物と反応される。この反応は、好ましくは、不活性雰囲気で実行される。この不活性雰囲気は、周期表の任意の不活性ガスから提供され得るが、好ましくは、窒素である。
【0055】
このポリアミンおよび/またはポリイミンとの反応は、好ましくは、100〜200℃の温度で、実行される。このような条件下にて、この反応により、塩形状単独よりもむしろアミドおよび塩形状の混合物が得られる。
【0056】
任意の第二の二塩基酸、または好ましくは、それらの無水物が関与している反応は、好ましくは、第一の二塩基酸またはそれらの無水物を使って使用される条件と類似の条件を使用して、実行される。第一および第二の二塩基酸またはそれらの無水物が関与している反応は、それらの反応物に不活性である有機希釈剤の存在下にて、実行され得る。同様に、式3の化合物と二塩基酸またはそれらの無水物とポリアミンおよび/またはポリイミンとの間の反応もまた、有機希釈剤の存在下にて、実行され得る。好ましくは、この有機希釈剤は、芳香族または脂肪族(ハロゲン化誘導体を含めて)であり得る。例には、トルエン、クロロベンゼン、ヘプタンおよび石油エーテル留出物がある。好ましくは、この反応は、有機希釈剤の非存在下にて、実行される。
【0057】
Wがオキシドの残基であるとき、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の数は、広い範囲にわたって、変わり得る。このような分散剤は、遊離アミノおよび/またはイミノ基を含有する分散剤と酸化性化合物(例えば、酸素(または空気)または過酸化物(例えば、過酸化水素または過硫酸アンモニウム)とを反応させることにより、容易に調製される。同様に、Wが尿素の残基であるとき、このような分散剤はまた、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中の遊離アミノおよび/またはイミノ基と尿素とを反応させることにより、容易に調製され得る。この反応は、好ましくは、不活性雰囲気にて、80℃と140℃の間の温度で、実行される。
【0058】
Wが二塩基酸またはそれらの無水物の残基である特定の場合、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の大部分は、この二塩基酸または無水物と反応されることがずっと好ましい。
【0059】
この組成物中で存在している微粒子固形物は、この有機媒体に実質的に不溶である任意の無機または有機固形材料であり得る。好ましくは、この微粒子固形物は、顔料である。
【0060】
適当な固形物の例には、溶媒インク用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、増量剤および充填剤;分散染料;溶媒染浴、インクおよび他の溶媒適用系用の光学光沢剤および織物助剤;オイルベースおよび逆乳化穿孔泥用の固形物;ドライクリーラング液中のゴミ例えば、このポリウレタンおよび固形粒子;微粒子セラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体;繊維(例えば、複合材料用のガラス、鋼鉄、カーボンおよびホウ素)、および殺生物剤、農薬および医薬品があり、これらは、有機媒体中にて、分散剤として適用される。
【0061】
好ましい固形物は、例えば、the Third Edition of the Colour Index(1971)およびその改訂版および付録において、「Pigments」の表題の章にて記述されているよく知られた種類の顔料のいずれかに由来の有機顔料である。有機顔料の例には、アゾ、ジアゾ、縮合アゾ、チオインジゴ、インダンスロン、イソインダンスロン、アンタンスロン、アントラキノン、イソジベンザンスロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドンおよびフタロシアニン系列(特に、銅フタロシアニンおよびその核水素化誘導体)、また、酸、塩基および媒染染料のレーキからに誘導されたものがある。カーボンブラックは、厳密に言えば無機であるが、その分散特性の点で、有機顔料のように挙動する。好ましい有機顔料は、フタロシアニン(特に、銅フタロシアニン)、モノアゾ、ジアゾ、インダンスロン、アンタンスロン、キナクリドンおよびカーボンブラックである。
【0062】
好ましい無機固形物には、以下が挙げられる:増量剤および充填剤(滑石、カオリン、シリカ、バライトおよびチョーク);微粒子セラミック材料(アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合窒化ケイ素−窒化アルミニウム、および金属チタネート);微粒子磁性材料(例えば、遷移金属(特に、鉄およびクロム)の磁性酸化物(例えば、γ−Fe、Fe、およびコバルトをドープした酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト(特に、バリウムフェライト));および金属粒子(特に、金属鉄、ニッケル、コバルト、銅およびそれらの合金)。
【0063】
他の有用な固形材料には、農薬(例えば、殺真菌剤であるフルトリアフェン(flutriafen)、カルベンダジム、クロロタロニルおよびマンコゼブ)が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物中で存在している有機媒体は、好ましくは、プラスチック材料、さらに好ましくは、有機液体である。この有機液体は、非極性有機液体、またはさらに好ましくは、極性有機液体であり得る。この有機液体に関連した「極性」との用語は、Journal of Paint Technology,Vol.38,1966,269ページにあるCrowleyらによる「A Three Dimensional Approach to Solubility」の表題の文献で記述されているように、有機液体が中程度から強力な結合を形成できることを意味する。このような有機液体は、一般に、上述の文献で定義されているように、5個またはそれ以上の水素結合数を有する。
【0065】
適当な極性有機液体の例には、アミン、エーテル(特に、低級アルキルエーテル)、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、アルコールおよびアミドがある。このような中程度に強力な水素結合液体の多数の具体的な例は、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」の表題の教本(Development Corporationにより1968年に出版された)の39〜40ページの表2.14で示されており、これらの液体は、全て、本明細書中で使用される極性有機液体との用語の範囲内に入る。
【0066】
好ましい極性有機液体には、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸とアルカノールとのアルキルエステル(特に、全体で6個まで(6個を含めて)の炭素原子を含有するような液体)がある。好ましい液体および特に好ましい液体の例として、ジアルキルおよびシクロアルキルケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジ−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−イソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノン);アルキルエステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メトキシプロピルおよび酪酸エチル);グリコールおよびおよびグリコールエステルおよびエーテル(例えば、エチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシプロピル、酢酸3−エトキシプロピルおよび酢酸2−エトキシエチル);アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノール)およびジアルキルおよび環状エーテル(例えば、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフラン)が言及され得る。特に好ましい溶媒には、アルカノール、アルカンカルボン酸、およびアルカンカルボン酸のエステルがある。
【0067】
極性有機液体として使用できる有機液体の例には、塗膜形成樹脂(例えば、塗料およびインクのような種々の用途で使用するためのインク、塗料およびチップに適当なもの)がある。このような樹脂の例には、ポリアミド(例えば、Versamid(商標)およびWolfamid(商標)、およびセルロースエーテル(例えば、エチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースおよび酢酸酪酸セルロース樹脂)(それらの混合物を含めて)が挙げられる。塗料樹脂の例には、ショートオイルアルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル酸/メラミン−ホルムアルデヒド、ロングオイルアルキド、ポリエーテルポリオールおよびマルチメディア樹脂(例えば、アクリル酸および尿素/アルデヒド)が挙げられる。
【0068】
この有機液体は、ポリオール、すなわち、2個またはそれ以上の水酸基を有する有機液体であり得る。好ましいポリオールには、アルファ−オメガジオール(特に、アルファ−オメガジオールエトキシレート)が挙げられる。
【0069】
好ましい非極性有機液体には、脂肪族基、芳香族基またはそれらの混合物を含有する化合物がある。
【0070】
好ましい非極性有機液体には、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、6個またはそれ以上の炭素原子を含有する完全飽和および部分飽和の両方の直鎖および分枝脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)および天然の非極性有機物(例えば、植物油、ひまわり油、あまに油、テルペンおよびグリセリド)がある。
【0071】
好ましくは、この有機液体は、全有機液体に基づいて、少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは、1重量%の極性有機液体を含有する。
【0072】
この有機液体は、さらに、水を含有し得る。
【0073】
この有機液体は、水を含有するとき、有機液体の量を基準にして、好ましくは、70重量%以下、さらに好ましくは、50重量%以下、特に、40重量%以下である。
【0074】
このプラスチック材料は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であり得る。本発明で有用な熱硬化性樹脂には、加熱、触媒または紫外線に晒したときに化学反応を受けて比較的に不溶解性となる樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂での典型的な反応には、酸化または不飽和二重結合、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシル、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分が関与した反応、遊離ラジカル反応またはポリアクリレート、カチオン重合またはエポキシ樹脂およびビニルエーテル、縮合またはシラノールなどが挙げられる。
【0075】
ヒドロキシ官能性を有する重合体(頻繁には、ポリオール)は、熱硬化系において、アミノ樹脂またはポリイソシアネートと架橋するのに広く使用されている。これらのポリオールには、アクリルポリオール、アルキドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリウレタンポリオールが挙げられる。典型的なアミノ樹脂には、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂およびグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。ポリイソシアネートには、2個またはそれ以上のイソシアネート基を有する樹脂(単量体状脂肪族ジイソシアネート、単量体状芳香族ジイソシアネートおよびそれらの重合体を含めて)がある。典型的な脂肪族ジイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。典型的な芳香族イソシアネートには、トルエンジイソシアネートおよびビフェニルジイソシアネートが挙げられる。
【0076】
特に好ましい熱可塑性樹脂には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースおよびセルロース誘導体が挙げられる。該組成物は、多数の方法で調調製できるが、溶融混合および乾式固体ブレンドが典型的な方法である。
【0077】
もし望ましいなら、これらの組成物は、他の成分(例えば、樹脂(この場合、それらは、この有機媒体を既に構成しているものではない)、結合剤、流動化剤、沈降防止剤、レオロジー調節剤、レベリング剤、光沢改良剤および防腐剤)を含有し得る。
【0078】
これらの組成物は、典型的には、1〜95重量%の微粒子固形物を含有し、その正確なの量は、その固形物の性質に依存しており、この量は、その固形物の性質および固形物および極性有機液体の相対密度に依存している。例えば、この固形物が有機材料(例えば、有機顔料)である組成物は、その組成物の全重量を基準にして、好ましくは、15〜60重量%の固形物を含有するのに対して、この固形物が無機材料(例えば、無機顔料、充填剤または増量剤)である組成物は、好ましくは、40〜90重量%の固形物を含有する。
【0079】
この組成物は、分散体を調製するのに公知である通常の方法のいずれかによりれ、調製され得る。それゆえ、この固形物、有機媒体および分散剤は、その分散体が形成されるまで、例えば、ボールミリング、ビードミリング、グラベルミリングまたはプラスチックミリングにより、この固形物の粒子を適当な粒径に小さくするために、任意の順序で混合され得る。あるいは、この固形物は、別個にまたは他の媒体または分散剤のいずれかと混合して、その粒径を小さくするために処理され得、次いで、他の成分が加えられ、その混合物がかき混ぜられて、この組成物が得られる。
【0080】
本発明の組成物は、液状分散体に特に適している。このような分散体に好ましい組成物は、以下を含有する:
a)0.5〜30部の微粒子固形物;
b)0.5〜30部の式(1)の化合物;および
c)40〜99部の有機液体;
ここで、全ての部は、重量基準であり、そしてa)+b)+c)の量=100である。
【0081】
さらに好ましくは、成分a)は、0.5〜30部の顔料を含有し、このような分散体は、液状インク、塗料およびミルベースとして、有用である。
【0082】
もし、微粒子固形物および式(1)の分散剤を乾燥形状で含有する組成物が必要なら、この有機液体は、好ましくは、蒸発のような簡単な分離手段により容易に除去され得るように、揮発性である。しかしながら、この組成物は、この有機液体を含有していることが好ましい。
【0083】
もし、この乾燥組成物が式(1)の分散剤および微粒子固形物から本質的になるなら、それは、この微粒子固形物の重量を基準にして、好ましくは、少なくとも0.2%、さらに好ましくは、少なくとも0.5%、特に、少なくとも1.0%の分散剤を含有する。好ましくは、この乾燥組成物は、この微粒子固形物の重量を基準にして、100%以下、好ましくは、50%以下、さらに好ましくは、20%以下、特に、10重量%以下の式(1)の分散剤を含有する。
【0084】
先に開示したように、本発明の組成物は、ミルベースを調製するのに特に適当であり、ここで、その微粒子固形物は、有機液体中で、式(1)の化合物およびそれらの塩の存在下にて、粉砕される。
【0085】
それゆえ、本発明のさらに他の局面によれば、微粒子固形物、有機液体および式(1)の化合物およびそれらの塩を含有するミルベースが提供される。
【0086】
典型的には、このミルベースは、そのミルベースの全重量を基準にして、20〜70重量%の微粒子固形物を含有する。好ましくは、この微粒子固形物は、このミルベースの10重量%以下、特に、20重量%以下である。このようなミルベースは、必要に応じて、結合剤を含有し得、これは、ミリングの前または後のいずれかで、加えられる。
【0087】
この結合剤は、この有機媒体が揮発すると、この組成物に結合できる高分子材料である。
【0088】
結合剤は、天然材料および合成材料を含めた高分子材料である。好ましい結合剤には、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、多糖類(例えば、セルロース)、および天然タンパク質(例えば、カゼイン)が挙げられる。好ましくは、この結合剤は、この組成物中にて、この微粒子固形物の量を基準にして、100%より多い量、さらに好ましくは、200%、特に好ましくは、300%より多い量、最も好ましくは、400%より多い量で、存在している。
【0089】
このミルベース中での任意の結合剤の量は、広い範囲にわたって変えることができるが、好ましくは、このミルベースの連続/液相の10%以上、特に、20重量%以上である。好ましくは、この結合剤の量は、このミルベースの連続/液相の50%以下、特に、40重量%以下である。
【0090】
このミルベース中での分散剤の量は、この微粒子固形物の量に依存しているが、好ましくは、このミルベースの0.5〜5重量%である。
【0091】
本発明の組成物から製造される分散体およびミルベースは、被覆剤および塗料(特に、高固形分塗料);インク(特に、フレキソインク、グラビアインクおよびスクリーンインク);非水性セラミック加工(特に、テープコーティング、ドクターブレード、押出および射出成形型の加工);複合材料、化粧品、接着剤およびプラスチック材料で使用するのに、特に適当である。
【0092】
それゆえ、本発明のさらに他の局面によれば、微粒子固形物、有機液体、結合剤および式(1)の化合物およびそれらの塩を含有する塗料またはインクが提供される。
【0093】
先に述べたように、式(1)の分散剤の多くは、新規である。
【0094】
それゆえ、本発明のさらに他の局面によれば、式(4)の化合物およびそれらの塩が提供される。
【0095】
【化14】

ここで、R、Y、T、A、Z、A、x、(Y)およびそれらの塩は、先に定義したとおりであり、そしてrは、1〜200である。
【0096】
式(4)のさらにより好ましい化合物およびそれらの塩が提供され、ここで、R、T、A、Z、A、x、これらの塩およびrは、先に定義したとおりであり、Yは、C3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)で表わされる鎖は、75%までの数のエチレンオキシ繰り返し単位を含有し得る。
【0097】
本発明のさらに他の局面によれば、式(1)の化合物およびそれらの塩が提供され、ここで、Zは、1500以上の数平均分子量を有するポリアミンおよび/またはポリイミンであり、ここで、vは、0である。
【0098】
さらに好ましい式(1)の化合物およびそれらの塩が提供され、ここで、Yは、C3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)で表わされる鎖は、75%までの数のエチレンオキシ繰り返し単位を含有し得、そしてZは、1500以上の数平均分子量を有するポリアミンおよび/またはポリイミンである。
【0099】
本発明のさらに他の局面によれば、式1の化合物が提供される。
【0100】
【化15】

ここで、R、Y、T、A、Z、xおよびvは、先に定義したとおりであり、そしてWは、オキシドまたは尿素の残基である。
【0101】
本発明は、以下の実施例によりさらに例示され、ここで、量に関する全ての言及は、特に明記しない限り、重量部である。
【実施例】
【0102】
(実施例1 M2005 SA(1:1)PEI(13:1))
撹拌したJeffamine (商標)M2005(50部、25mmols、Huntsmanから調達した)に、窒素ガス雰囲気下にて、無水コハク酸(2.5部、25mmols、A1drichから調達した)を加えた。その温度を80℃まで上げ、この混合物を、8時間連続して撹拌した。この混合物の赤外スペクトルにより、一部の無水物基が残留していることが明らかとなった。次いで、この撹拌混合物に、Jeffamine(商標)M2005(1.7部)を加え、これを、80℃で、1時間にわたって、さらに反応させた。この混合物の赤外スペクトルにより、全ての無水物基がうまく反応したことが明らかとなった。その生成物は、淡黄色の粘稠な油状物(53.5g)として、得られた。これは、中間体1である。
【0103】
中間体1(53.5部)を、80℃で、ポリエチレンイミンSP200(4.1g、ex Nippon Shokubia)と共に撹拌し、そして6時間にわたって、窒素雰囲気下にて、120℃の温度まで加熱した。25℃まで冷却した後、その生成物は、琥珀色の粘稠な液体(55部)として得られ、ここで、そのポリエーテル鎖とPEIとの重量比は、13:1である。これは、分散体1である。
【0104】
(実施例2 M2005 SA(1:1)PEI(17:1))
ポリエチレンイミンの量を3.15部に減らしたこと以外は、実施例1を繰り返した。その生成物は、琥珀色の粘稠な液体(55部)として得られ、ここで、そのポリエーテル鎖とPEIとの重量比は、17:1である。これは、分散体2である。
【0105】
(実施例3 M600 SA(1:1)PEI(6:1))
撹拌したJeffamine(商標)M600(50部、83.3mmols、Huntsmanから調達した)に、窒素ガス雰囲気下にて、無水コハク酸(8.34部、83.3mmols)を加えた。その温度を80℃まで上げ、この混合物を、6時間連続して撹拌した。この混合物の赤外スペクトルにより、全ての無水物基がうまく反応したことが明らかとなった。これは、中間体2である。
【0106】
中間体2(24部)を、80℃の温度で、窒素雰囲気下にて、ポリエチレンイミンSP200(4.0部)と共に撹拌した。その混合物を120℃まで加熱し、依然として窒素雰囲気下にて、6時間撹拌した。25℃まで冷却した後、その生成物は、褐色の粘稠な液体/粘性物質(26部)として得、ここで、ポリエーテル鎖とPEIとの重量比は、6:1である。これは、分散体3である。
【0107】
(実施例4 M2005 M600 SA(8.5:3.5:1)PEI(10:1))
Jeffamine(商標)M600(10.2部、17mmols)およびJeffamine(商標)M2005(25部、12.5mmols)の撹拌した混合物に、窒素雰囲気下にて、無水コハク酸(2.95部、29.5mmols)を加えた。その温度を80℃まで上げ、この混合物を、6時間撹拌した。赤外スペクトルにより、全ての無水物基がうまく反応したことが明らかとなった。25℃まで冷却した後、その生成物は、黄色の粘稠な液体として、得られた。これは、中間体3である。
【0108】
中間体3(30.0部)に、80℃の温度で、ポリエチレンイミンSP200(3.0部)を加えた。その温度を120℃まで上げ、この混合物を、窒素雰囲気下にて、6時間撹拌した。25℃まで冷却した後、その生成物は、琥珀色の粘稠な油状物(40部)として得られ、ここで、M2005とM600とコハク酸との重量比は、8.5:3.5:1であり、このポリエーテル鎖とPEIとの重量比は、10:1である。これは、分散体4である。
【0109】
(実施例5 M2005 M600 SA(14.3:1.75:1)PEI(13:1))
Jeffamine(商標)M600(6.13部、10.2mmols)、Jeffamine(商標)M2005(50部、25mmols)および無水コハク酸(3.5部、35mmols)を、80℃で、窒素下にて、6時間撹拌した。25℃まで冷却した後、その生成物は、黄色の粘稠な液体として、得られた。これは、中間体4である。
【0110】
中間体4(39部)に、80℃で、ポリエチレンイミンSP200(3.0部)を加えた。これらの反応物を、窒素下にて、120℃で、6時間撹拌した。25℃まで冷却した後、その生成物は、琥珀色の粘稠な液体(40部)として得られ、ここで、ポリエーテル鎖とPEIとの重量比は、13:1である。これは、分散体5である。
【0111】
(中間体5〜19)
表1で示した違い以外は、実施例1で記述した方法と同じ方法を使用して、中間体5〜15を調製した。
【0112】
【表1】

Jeffamine(商標)M2005に代えて、50gのPAG24Aを使用した;そして3gの無水コハク酸を使用したこと以外は、実施例1で記述した方法と同じ方法を使用して、中間体16を調製した。PAG24Aは、プロピレンオキシドに由来の平均して24個の繰り返し単位を有するC12〜15アルコールに由来のポリエーテルをシアノエチル化し水素化することにより調製したポリエーテルアミンである。
【0113】
Jeffamine(商標)M2005に代えて、60gのPAG20Aを使用した;そして4gの無水グルタル酸を使用したこと以外は、実施例1で記述した方法と同じ方法を使用して、中間体17を調製した。PAG20Aは、ブチレンオキシドに由来の平均して20個の繰り返し単位を有するC13アルコールに由来のポリエーテルをシアノエチル化し水素化することにより調製したポリエーテルアミンである。
【0114】
中間体18および19は、それぞれ、米国特許第6,197,877号の実施例19の生成物およびヨーロッパ特許出願第1,224,028号の実施例11のポリエステルである。
【0115】
(分散体6〜35)
表2で示した違い以外は、実施例1で記述した方法と同じ方法を使用して、分散体6〜35を調製した。
【0116】
【表2】

(分散体29)
分散体1(59g)および無水コハク酸(1.86g)を、80℃で、窒素雰囲気下にて、4時間撹拌した。その混合物のIRにより、無水物が存在していないことが明らかとなった。琥珀色の粘稠な液体(58g)が得られた。
【0117】
(分散体30)
分散体7(20g)および無水コハク酸(0.73g)を、80℃で、窒素雰囲気下にて、4時間撹拌した。その混合物のIRにより、無水物が存在していないことが明らかとなった。琥珀色の粘稠な液体(19g)が得られた。
【0118】
(分散体31)
分散体8(20g)および尿素(0.71g)を、120℃で、窒素雰囲気下にて、18時間撹拌した。褐色の粘稠な液体(18g)が得られた。
【0119】
(分散体32)
分散体12(16.5g)および35%過酸化水素水溶液(1.1g)を、80℃で、窒素雰囲気下にて、6時間撹拌した。淡黄色の粘稠な液体(58g)が得られた。
【0120】
(分散体33)
分散体18(20g)および硫酸ジメチル(0.26g)を、全てのDMSが反応してブロモクレゾールグリーンによって検出できなくなるまで、90℃で、窒素雰囲気下にて、4時間撹拌した。淡黄色の粘稠な液体(18g)が得られた。
【0121】
(分散体34)
分散体22(31g)および無水コハク酸(1.92g)を、80℃で、窒素雰囲気下にて、4時間撹拌した。その混合物のIRにより、無水物が存在していないことが明らかとなった。琥珀色の粘稠な液体(30g)が得られた。
【0122】
(分散体35)
分散体23(55g)および無水コハク酸(1.77g)を、80℃で、窒素雰囲気下にて、4時間撹拌した。その混合物のIRにより、無水物が存在していないことが明らかとなった。琥珀色の粘稠な液体(54g)が得られた。
【0123】
それぞれ、中間体12を、10:1の重量比で、65,000のMwを有するポリアリルアミンと反応させたこと、また、中間体13を、5:1の重量比で、17,000のMwを有するポリアリルアミンと反応させたこと以外は、実施例1で記述した方法と同じ方法を使用して、分散体36および37を調製した。
【0124】
(ミルベースの調製)
分散剤1〜5を使用して、一連のマゼンタミルベースを調製した。これらのミルベースは、この分散剤(0.40部)を表1で示した溶媒に溶解することにより、調製した。ガラスビーズ(3mm、17部)およびMonolite Rubine 3B(ex Heubach 2.0部)を加え、その混合物を、水平振盪機にて、16時間振盪した。次いで、得られた分散体を、任意評点A〜E(良好から不良)を使用して、流動性について評価した。これらの結果を、表3〜4で示す。
【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

表3〜4は、本発明の分散剤が非常に異なる特性の有機媒体を使って良好な流動性を与えることを示している。
【0127】
表4の注記:対照1は、表3で使用したものと同じ対照であり、そして対照2は、そのミリング調合物にて分散剤を使用せずに分散剤の重量を溶媒で置き換え得た場合である。
【0128】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、他に明らかに指示がなければ、物質の量を特定している本記述の全ての数値量、反応条件、分子量、炭素原子数などは、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と併用され得る。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に著しく影響を与えない物質が含まれていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子固形物、有機媒体および/または水および式1の化合物をそれらの塩を含めて含有する、組成物:
【化1】

ここで、
Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;
Tは、C2〜4−アルキレンである;
Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基であり、ここで、Aは、脂肪族炭素−炭素二重結合を有することを特徴とする二塩基酸または無水物の残基ではない;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である;
Wは、オキシド、尿素または二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
xは、2〜60である;そして
vは、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の利用可能な最大数を表わす、
組成物。
【請求項2】
微粒子固形物、有機媒体および式(1a)の化合物およびそれらの塩を含有する、請求項1に記載の組成物:
【化2】

ここで:
AおよびAは、別個に、二塩基酸の残基であり、これは、同一または異なる;そして
pは、0〜200である、
組成物。
【請求項3】
Yが、C3〜4−アルキレンオキシであり、そして(Y)で表わされる鎖が、75%までの数のエチレンオキシ繰り返し単位を含有し得る、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
AおよびAが、マロン酸、コハク酸およびフタル酸からなる群から別個に誘導される残基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記Zで表わされる基が、ポリエチレンイミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機媒体が、有機液体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機媒体が、プラスチック材料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機液体が、全有機液体を基準にして、少なくとも0.1重量%の極性有機液体を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記微粒子固形物が、顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
微粒子固形物、有機液体および式(1)の化合物をそれらの塩を含めて含有する、ミルベース:
【化3】

ここで、
Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;
Tは、C2〜4−アルキレンである;
Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である;
Wは、オキシド、尿素または二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
xは、2〜60である;そして
vは、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の利用可能な最大数を表わす、
ミルベース。
【請求項11】
微粒子固形物、有機液体、結合剤および式(1)の化合物をそれらの塩を含めて含有する、塗料またはインク:
【化4】

ここで、
Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;
Tは、C2〜4−アルキレンである;
Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である;
Wは、オキシド、尿素または二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
xは、2〜60である;そして
vは、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の利用可能な最大数を表わす、
塗料またはインク。
【請求項12】
式1の化合物、およびそれらの塩:
【化5】

ここで、
Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;
Tは、C2〜4−アルキレンである;
Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基であり、ここで、Aは、脂肪族炭素−炭素二重結合を有することを特徴とする二塩基酸または無水物の残基ではない;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である;
Wは、オキシド、尿素または二塩基酸またはそれらの無水物の残基である;
xは、2〜60である;そして
vは、RO−(Y)−T−NH−A−基を持っていないZ中のアミノおよび/またはイミノ基の利用可能な最大数を表わす、
化合物。
【請求項13】
式1の化合物、およびそれらの塩:
【化6】

ここで、
Rは、C1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシである;
Tは、C2〜4−アルキレンである;
Aは、二塩基酸またはそれらの無水物の残基であり、ここで、Aは、脂肪族炭素−炭素二重結合を有することを特徴とする二塩基酸または無水物の残基ではない;
Zは、ポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であり、該残基は、1,500以上の数平均分子量を有する;そして
xは、2〜60である、
化合物。
【請求項14】
微粒子固形物、有機媒体および/または水および式1の化合物をそれらの塩を含めて含有する、組成物
【化7】

ここで、
X−*−*−Xは、ポリアミンおよび/またはポリイミンを表わす;
Qは、RO−(Y)−T−NH−A−鎖である;そして
qは、2〜2000である、
組成物。
【請求項15】
微粒子固形物、有機媒体および/または水および式1の化合物をそれらの塩を含めて含有する、組成物
【化8】

ここで、
X−*−*−Xは、ポリアミンおよび/またはポリイミンを表わす;
Qは、RO−(Y)−T−NH−A−鎖である;そして
qは、2〜2000である;
は、式R’−G−(B)−のポリエステルおよび/またはポリアミド鎖を表わす;
は、水素またはC1〜50−必要に応じて置換したヒドロカルビルである;
Gは、二価結合またはカルボニルである;
Bは、1個またはそれ以上のアミノカルボン酸および/または1個またはそれ以上のヒドロキシカルボン酸またはそれらのラクトンの残基である;
qおよびsは、0より大きい正の整数である;そして
q+sは、2〜2000である、
組成物。

【公表番号】特表2007−523966(P2007−523966A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520336(P2006−520336)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022763
【国際公開番号】WO2005/010109
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】