説明

組成物

シリコーンとコンディショニングゲル相とを含み、前記相が、脂肪アルコールと油とを双方が溶融するまで加熱し、別個にカチオン性界面活性剤を水中で溶解/懸濁するまで加熱し、次に残りの成分の添加に先立って脂肪アルコールと油との溶融ミックスをカチオン性界面活性剤に添加することによって得られるヘアコンディショナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良されたコンディショニング組成物に関する。
【0002】
従来技術にもかかわらず改良されたコンディショニング組成物に対する要望はいまだ存在している。
【発明の概要】
【0003】
このような要望に応じて、シリコーンとコンディショニングゲル相とを含み、脂肪アルコールと油とを双方が溶融するまで加熱し、別個にカチオン性界面活性剤を水中で溶解/懸濁するまで加熱し、次に残りの成分の添加に先立って脂肪アルコールと油との溶融ミックスをカチオン性界面活性剤に添加することによって該ゲル相が得られるようなヘアコンディショナーが提供される。
【0004】
意外にも本発明のコンディショナーはシリコーンを毛髪表面に供給しこれによって望ましいコンディショニング効果を生じることができる。
【0005】
好ましくは油が軽質鉱物油である。好ましくは軽質鉱物油が0.7から0.85g/mlの密度を有している。
【0006】
好ましくは組成物が全体として2重量%未満のアニオン性界面活性剤を含む。
【0007】
好ましくは組成物が全体としてアニオン性界面活性剤を実質的に含まない。
【0008】
このようなコンディショニングゲル相は当業界でよく知られており、毛髪をコンディショニングできる脂肪質原料とカチオン性界面活性剤との配合を意味する。処方中にシリコーンも存在しているが典型的にはコンディショニングゲル相の部分には存在しない。
【0009】
コンディショニング界面活性剤は化粧品に許容されまた毛髪への局所施用に適している。
【0010】
適切なコンディショニング界面活性剤は、カチオン性界面活性剤から選択され、単独でまたは混合して使用される。それらの例は第四級アンモニウム水酸化物またはその塩、たとえば塩化物を含む。
【0011】
本発明のヘアコンディショナーに使用するための適切なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、および、対応するそれらの水酸化物を含む。さらに別の適切なカチオン性界面活性剤は、クアテルニウム−5、クアテルニウム−31およびクアテルニウム−18というCTFA名称をもつ原料を含む。上記原料のいずれかの混合物も適切であろう。本発明のヘアコンディショナーに使用するための特に有用なカチオン性界面活性剤は、たとえばHenkelからDEHYQUARTとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0012】
本発明のコンディショナー中において、カチオン性界面活性剤の量は好ましくは組成物の0.01から10重量%、より好ましくは0.05から5重量%、最も好ましくは0.1から2重量%である。
【0013】
本発明のコンディショニングゲル相は脂肪アルコール原料を有利に組込む。コンディショニング組成物においてはカチオン性界面活性剤が分散されるラメラ相を形成するので脂肪アルコール原料とカチオン性界面活性剤との併用が特に有利であると考えられている。
【0014】
代表的な脂肪アルコールは、8から22個の炭素原子、より好ましくは16から20個の炭素原子を含む。適切な脂肪アルコールの例は、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物を含む。これらの原料の使用はまた、本発明の組成物の総合的コンディショニング特性に寄与するという観点から有利である。
【0015】
本発明のコンディショナー中の脂肪アルコール原料の量は、組成物の0.01から10重量%、好ましくは0.1から5重量%が好都合である。カチオン性界面活性剤対脂肪アルコールの重量比は適切には10:1から1:10、好ましくは4:1から1:8、最適には1:1から1;4である。
【0016】
コンディショニングゲル相を含む得られた処方はシリコーンも含む。
【0017】
シリコーンは組成物の水性マトリックスに不溶であり、したがってシリコーンを分散粒子として存在させた乳化形態で存在する。
【0018】
適切なシリコーンはポリジオルガノシロキサン、特に、ジメチコーンというCTFA名称を有しているポリジメチルシロキサンを含む。ジメチコノールというCTFA名称を有しているヒドロキシル末端基をもつポリジメチルシロキサンも本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)に使用するのに適している。たとえばWO96/31188に記載されているような軽度の架橋を有しているシリコーンゴムも本発明の組成物に使用するのに適している。これらの原料は湿った状態および乾いた状態でも毛髪に、はりこし、ボリュームおよび整髪適性を与える。
【0019】
乳化シリコーン自体(エマルジョンでもなく最終のヘアコンディショニング組成物でもない)の粘度は典型的には少なくとも10,000cstである。我々は、一般的に粘度増加に伴ってコンディショニング性能が向上することを知見した。従って、シリコーン自体の粘度は好ましくは少なくとも60,000cst、より好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも1,000,000cstである。配合しやすさから粘度が10cstを超過しないのが好ましい。
【0020】
本発明のヘアシャンプーおよびコンディショナーに使用する乳化シリコーンは組成物中で典型的には30ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満の平均シリコーン粒径を有するであろう。我々は、一般的に粒径が小さくなるほどコンディショニング性能が向上することを知見した。極めて好ましくは組成物中の乳化シリコーンの平均シリコーン粒径が2ミクロン未満であり、理想的には0.01から1ミクロンの範囲である。0.15ミクロン以下の平均シリコーン粒径を有しているシリコーンエマルジョンは一般にマイクロエマルジョンと呼ばれている。
【0021】
粒径は、Malvern Instrumentsの2600D粒径計を使用しレーザー光散乱技術を用いて測定することができる。
【0022】
本発明に使用する適切なシリコーンエマルジョンは予め乳化した形態でも市販されている。
【0023】
適切な既製エマルジョンの例は、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784ならびにマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870を含み、いずれもDow Corningから入手可能である。これらはすべてジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。架橋シリコーンゴムも予め乳化された形態で入手可能であり、この形態は配合しやすさから有利である。好ましい例はDow CorningからDC X2−1787として入手可能な原料であり、これは架橋ジメチコノールゴムのエマルジョンである。別の好ましい例は、Dow CorningからDC X2−1391として入手可能な原料であり、これは架橋ジメチコノールゴムのマイクロエマルジョンである。
【0024】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに含有させる別の好ましいシリコーンはアミノ官能性シリコーンである。“アミノ官能性シリコーン”は、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。
【0025】
適切なアミノ官能性シリコーンの例は以下を含む:
(i)“アモジメチコーン”というCTFA名称を有しており、一般式:
【0026】
【化1】

で示されるポリシロキサン。
【0027】
式中のxおよびyはポリマーの分子量に依存する数であり、通常は約5,000から500,000の間の分子量になるような数である。
(ii)一般式:
【0028】
【化2】

を有しているポリシロキサン。
【0029】
式中の、
GはH、フェニル、OHまたはC1−8アルキルたとえばメチルから選択され、
aは0または1から3の整数、好ましくは0であり、
bは0または1、好ましくは1であり、
mおよびnは、(m+n)が1から2000、好ましくは50から150の範囲になるような数であり、
mは1から2000、好ましくは1から10の数であり、
nは0から1999、好ましくは49から149の数であり、および
R’は式−C2qLの一価の基であり、ここにqは2から8の数、Lは
【0030】
【化3】

から選択されたアミノ官能基であり、
式中のR”は、H、フェニル、ベンジル、または、飽和した一価の炭化水素基たとえばC1−20アルキルから選択され、および
Aはハロゲン化物イオン、たとえば、クロリドまたはブロミドである。
【0031】
上記の式に対応する適切なアミノ官能性シリコーンは、“トリメチルシリルアモジメチコーン”と呼ばれており、本発明の組成物に使用できるほど十分に水不溶性である式:
【0032】
【化4】

で示されるようなポリシロキサンを含む。
【0033】
式中のx+yは約50から約500の数であり、Rは2から5個の炭素原子を有するアルキレン基である。好ましくは、数x+yが約100から約300までの範囲である。
(iii)一般式:
【0034】
【化5】

を有している第四級シリコーンポリマー。
【0035】
式中のRおよびR10は同じ基でも異なる基でもよく、H、飽和または不飽和の長鎖または短鎖アルキル(アルケニル)、分枝状アルキル(アルケニル)、および、C−Cの環状環系から独立に選択することができる。
【0036】
からRは同じ基でも異なる基でもよく、H、直鎖状または分枝状低級アルキル(アルケニル)、および、C−Cの環状環系から独立に選択することができる。
【0037】
nは約60から約120の範囲内の数であり、好ましくは約80である。
【0038】
は好ましくは酢酸塩であるが、その代わりにたとえばハロゲン化物、有機カルボン酸塩、有機リン酸塩などでもよい。
【0039】
このクラスの適切な第四級シリコーンポリマーはEP−A−0530974に記載されている。
【0040】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに使用するための適切なアミノ官能性シリコーンは典型的には約0.1から約8.0モル%、好ましくは約0.1から約5.0モル%、最も好ましくは約0.1から約2.0モル%の範囲のモル%アミン官能価を有するであろう。我々は、過度に高いアミン濃度が全シリコーン付着に不利になり得ること、従ってコンディショニング性能に不利になり得ることを知見したので、一般にアミン濃度は約8.0モル%を超過してはならない。
【0041】
アミノ官能性シリコーンの粘度は特に厳密には限定されないが、適切には約100から約500,000cstの範囲であろう。
【0042】
本発明に使用するための適切なアミノ官能性シリコーンの具体例は、アミノシリコーンオイルDC2−8220、DC2−8166、DC2−8466およびDC2−8950−114(すべてDow Corning製)ならびにGE1149−75(General Electric Silicones製)である。
【0043】
非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤とアミノ官能性シリコーンオイルとのエマルジョンも適切である。
【0044】
好適にはこのような既製エマルジョンのアミノ官能性シリコーンはシャンプー組成物中で30ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満の平均粒径を有するであろう。我々は、一般的に粒径が小さくなるほどコンディショニング性能が向上することも知見した。極めて好ましくは組成物中のアミノ官能性シリコーンの平均粒径は2ミクロン未満であり、理想的には0.01から1ミクロンの範囲である。0.15ミクロン以下の平均シリコーン粒径を有しているシリコーンエマルジョンは一般にマイクロエマルジョンと呼ばれている。
【0045】
アミノ官能性シリコーンの既製エマルジョンはまたDow CorningおよびGeneral Electricのようなシリコーンオイルの供給業者から入手可能である。具体例は、DC929カチオン性エマルジョン、DC939カチオン性エマルジョン、ならびに、非イオン性エマルジョンDC2−7224、DC2−8467、DC2−8177およびDC2−8154(すべてDow Corning製)を含む。
【0046】
本発明に有用な第四級シリコーンポリマーの一例はGoldschmidt社の原料K3474である。
【0047】
本発明の組成物に組込まれるシリコーンの総量は所望のコンディショニングレベルおよび使用される原料に従属する。好ましい量は全組成物の0.01から約10重量%であるが、これらの範囲は絶対的ではない。下限はコンディショニングを果たす最も低いレベルによって決定され、上限は毛髪および/または皮膚が許容できない脂性になるのを避ける最も高いレベルによって決定される。
【0048】
我々は全組成物の0.3から5重量%、好ましくは0.5から3重量%のシリコーン総量が適正レベルであることを知見した。
【0049】
鉱物油の密度は比重としても知られておりASTM D 4052に従って15.6℃で測定される。
【実施例1】
【0050】
本発明の1つの実施態様に対応する組成物。
【0051】
【表1】

【実施例2】
【0052】
本発明による組成物の製造方法。
1.鉱物油をサイドポットに入れ、50℃に加熱する。セテアリールアルコールを加えて温度を75℃に保って溶融する。
2.ミキサーに水を加えて加熱を開始し85℃にする。
3.Silversonで混練する。
4.メチルパラベンを加えて分散させ、次に乳酸を加えて分散させる。
5.60℃でステアラミドプロピルジメチルアミンを上から加えて分散させる。80℃でベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを加えて分散させる。
6.85℃で混練しながらセテアリールアルコールと鉱物油との溶融混合物をループに注入する。30分間混練する。
7.混練しないでジャケット冷却を開始し30℃にする。
8.水を加えて反応を停止させ、次いで香料などのような他の成分を添加する。
【実施例3】
【0053】
本発明の組成物が重質鉱物油を含む比較組成物よりもどれほど多い量のシリコーンを配給するかを示す証拠。
【0054】
【表2】

A:対照、油非含有
B:被験サンプル、軽質鉱物油
C:比較、重質鉱物油。
【0055】
表は、本発明の組成物が重質鉱物油を含む組成物よりも多い量のシリコーンを配給することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンとコンディショニングゲル相とを含み、前記相が、脂肪アルコールと油とを双方が溶融するまで加熱し、別個にカチオン性界面活性剤を水中で溶解/懸濁するまで加熱し、次に残りの成分の添加に先立って脂肪アルコールと油との溶融ミックスをカチオン性界面活性剤に添加することによって得られるヘアコンディショナー。
【請求項2】
油が鉱物油である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が全体として2重量%未満のアニオン性界面活性剤を含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が全体としてアニオン性界面活性剤を実質的に含まない請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
油が軽質鉱物油である請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
油が0.7から0.85g/mlの密度を有している請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−528095(P2012−528095A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512283(P2012−512283)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055590
【国際公開番号】WO2010/136285
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】