説明

組立ボックスおよび組立ボックスの製造方法

【課題】側板および水平板の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができると共に、組立作業を効率良く行うことができる組立ボックスを提供すること。
【解決手段】連結具50は、平板状の板部51と、その板部51から柱状に立設される複数のピン52とを備えており、3つのピン52のうちの1つのピン52が水平板10の第1水平板挿入穴13aに挿入され、3つのピン52のうちの1つのピン52が水平板10の第2水平板挿入穴13bに挿入され、残りの1つのピン52が側板20の側板挿入穴23に挿入される。これにより、水平板10及び側板20が連結され、水平板10及び側板20の突き合わせ部分が連結具50により補強されるので、水平板10及び側板20の突き合わせ部分におけるガタツキを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組立ボックスおよび組立ボックスの製造方法に関し、特に、側板および水平板の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができると共に、組立作業を効率良く行うことができる組立ボックスおよび組立ボックスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の組立ボックスが特許文献1に開示されている。かかる従来の組立ボックスは、左右一組の側板部材22,24、上下の天板部材21及び底板部材23、並びに、背板部材25から成り、これらを接合して製作される。このような組立ボックスの製作は、例えば、いずれか一方の側板部材22の上下端縁部それぞれに、天板部材21及び底板部材23の端面をダボで接合したのち、これら3部材の背面側にあらかじめ形成した溝部mへ背板部材25を挿入し、残りの側板部材24を同様にダボにより天板部材21及び底板部材23のもう一方の端面に接合する、という組立手順で行われる。かかる組立ボックスによれば、側板部材22と天板部材21及び底板部材23とがダボによりに連結されるので、組立ボックスを組立てる際、これらを連結する木ねじ等の締結部材を締結するための工具が不要となり、組立作業を効率良く行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−199640号公報(図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の組立ボックスでは、側板(側板部材22,24)および水平板(天板部材21、底板部材23)がダボのみによって連結されるだけなので、側板または水平板に外力が負荷されると、その外力によってダボが倒れ込み、側板および水平板の突き合わせ部分にガタツキが生じるという問題点があった。
【0005】
これに対しては、側板および水平板の突き合わせ部分を補強するための連結具で側板および水平板を連結することにより、側板および水平板の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができるが、かかる連結具は、通常木ねじ等の締結部材を用いて側板および水平板に取着されるので、木ねじ等の締結部材を側板および水平板に締結するための工具が必要となり、組立作業に手間がかかるという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、側板および水平板の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができると共に、組立作業を効率良く行うことができる組立ボックスおよびを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1の組立ボックス及び請求項8記載の組立ボックスの製造方法によれば、上下一対の板状の水平板に左右一対の板状の側板が突き合わせられることにより、組立ボックスが一対の水平板および一対の側板で箱型に形成される。組立ボックスが箱型に形成された後、平板状の板部から柱状に立設される複数のピンが、水平板の板状の側面に凹設される1又は複数の水平板挿入穴および側板の板状の側面に凹設される1又は複数の側板挿入穴に挿入されることで、水平板および側板が連結具により連結される。
【0008】
これにより、水平板および側板の突き合わせ部分が連結具により補強されるので、水平板および側板の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができる。しかも、木ねじ等を使用することなく水平板および側板を連結具により連結できるので、木ねじ等を締結するための工具が不要となり、組立作業を効率良く行うことができるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の組立ボックスによれば、3つのピンのうちの1つのピンが水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴の一方に挿入されると共に、3つのピンのうちの残りの2つのピンが水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴の他方に挿入されるので、請求項1の効果に加え、水平板および側板の突き合わせ部分のガタツキを、より一層抑えることができるという効果がある。
【0010】
即ち、複数のピンが、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴の一方に挿入される1つのピンと、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴の他方に挿入される1つのピンとで構成される場合、2つのピンの間にリンク機構が構成される。よって、水平板または側板に外力が付加されると、2つのピンのうち一方のピンが他方のピンを中心に回動し水平板および側板の突き合わせ部分にガタツキが発生する場合がある。これに対し、請求項2記載の組立ボックスによれば、これらの2つのピンとは別に水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴の他方に1つピンが挿入されるので、これら3つのピンにより3点が支持されることで、2つのピンの間にリンク機構が構成されることを規制できる。その結果、連結具により水平板および側板を強固に連結できるので、水平板および側板の突き合わせ部分のガタツキを、より一層抑えることができる。
【0011】
請求項3記載の組立ボックスによれば、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴に挿入されるピンの挿入部は、先端側が先細り状の円柱状に形成されるので、ピンの挿入部を水平板挿入穴または側板挿入穴に挿入する際に、挿入部の先端と平板挿入穴または側板挿入穴の内周面との干渉を抑制できる。その結果、請求項1又は2の効果に加え、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴にピンの挿入部を挿入する挿入作業性を向上できるので、組立作業を効率良く行うことができるという効果がある。
【0012】
また、水平板挿入穴または側板挿入穴に挿入部が挿入されたピンをさらに押し込むと、ピンの挿入部に連続し連結具の板部から立設される円柱状の嵌合部が、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴に挿入される。この場合において、水平板挿入穴または側板挿入穴が凹設される一対の水平板および一対の側板は木材で構成され、嵌合部の外周面から立設される板状のリブが嵌合部の軸心に沿って延設されると共に、水平板挿入穴または側板挿入穴の半径は、嵌合部の軸心からリブの頂部までの長さより短く設定されるので、嵌合部が水平板挿入穴または側板挿入穴に挿入されると、板状のリブが水平板挿入穴の内周面または側板挿入穴の内周面に食い込む。これにより、請求項3記載の組立ボックスによれば、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴にピンが確実に固定されるので、その結果、請求項1又は2の効果に加え、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴からピンが抜けることを抑制でき、水平板および側板から連結具が外れることを抑制できるという効果がある。
【0013】
さらに、請求項3記載の組立ボックスによれば、リブが水平板挿入穴の内周面または側板挿入穴の内周面に食い込むことにより、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴にピンが確実に固定されるので、ピンの水平板挿入穴または側板挿入穴に対する回動が抑制される。その結果、請求項1又は2の効果に加え、連結具により水平板および側板を強固に連結できるので、水平板および側板の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができるという効果がある。
【0014】
請求項4記載の組立ボックスによれば、ピンが樹脂で構成されるので、ピンの嵌合部が水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴に挿入されると、リブが水平板挿入穴または側板挿入穴の内周面に押圧され弾性変形される。その結果、請求項3の効果に加え、水平板挿入穴または側板挿入穴の半径が嵌合部の軸心からリブの頂部までの長さより短く設定される場合であっても、リブが弾性変形すると嵌合部の軸心からリブの頂部までの長さが短くなるので、水平板挿入穴または側板挿入穴にピンの嵌合部を挿入する挿入作業性を向上できる。よって、組立作業を効率良く行うことができるという効果がある。
【0015】
請求項5記載の組立ボックスによれば、ピンの嵌合部が中空の筒状に形成されるので、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴にピンの嵌合部が挿入されると、嵌合部が弾性変形される。その結果、請求項4の効果に加え、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴にピンの嵌合部を挿入する挿入作業性を向上できるので、組立作業を効率良く行うことができるという効果がある。
【0016】
加えて、挿入時に弾性変形した嵌合部が挿入後に元の状態に復帰することにより、水平板挿入穴または側板挿入穴の内周面に食い込むリブの食い込み量が増大するので、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴に確実に連結具のピンを固定できる。その結果、請求項4の効果に加え、水平板の水平板挿入穴または側板の側板挿入穴から連結具のピンが抜けることを抑制でき、水平板および側板から連結具が外れることを抑制できるという効果がある。
【0017】
請求項6記載の組立ボックス及び請求項9記載の組立ボックスの製造方法によれば、一対の側板の対向面および一対の水平板の対向面のうち、少なくともいずれか一方の対向面における背面側の部分に凹設される一対の溝に、その一対の溝の溝幅より板厚が短く設定される板状の背面板が挿入され、背面板の端面を一対の溝の底を形成する面である一対の底面に当接させることにより、側板および水平板の背面側に背面板が配置される。
【0018】
この場合、少なくとも一対の側板に一対の溝が凹設され、かつ、背面板の左右方向の板長が、一対の溝の底面間における左右方向の長さより長く設定されるか、または、少なくとも一対の水平板に一対の溝が凹設され、かつ、背面板の上下方向における板長が、一対の溝の底面間における上下方向の長さより長く設定されるので、背面板は左右方向または上下方向で反った状態で側板および水平板の背面側に配置される。
【0019】
背面板が左右方向または上下方向で反った状態で側板および水平板の背面側に配置されると、背面板が反った状態から真っ直ぐの状態に復帰しようとするので、背面板に弾性力が発生する。よって、背面板の端面が一対の溝の底面に当接されると、背面板の弾性力により水平板および側板の突き合わせ部分が互いに離間する方向に広げられる。突き合わせ部分が互いに離間する方向に広げられた水平板および側板は、連結具によって連結されることで、背面板の弾性力を利用して連結具により強固に連結される。その結果、請求項1から5又は8のいずれかに記載の効果に加え、水平板および側板の突き合わせ部分のガタツキを、より一層抑えることができるという効果がある。
【0020】
請求項7記載の組立ボックスによれば、水平板に背面側の角を面取りしてコーナ部が形成されると共に水平板および側板の背面側に連結されるコーナ板が側板に対して傾斜配置されるので、角が直角ではなく斜めに形成される部屋に組立ボックスを設置する場合であっても、部屋の角と干渉することなく部屋の角に沿って組立ボックスを設置できる。その結果、請求項1から6のいずれかに記載の効果に加え、組立ボックスの商品性の向上を図れるという効果がある。
【0021】
また、請求項7記載の組立ボックスによれば、水平板および側板の背面側に連結されるコーナ板には、水平板および側板に連結された状態で水平板と対向する端面から突起状のレール部が立設され、水平板に背面側の角を面取りして形成されるコーナ部には、コーナ板と対向する対向面の背面側から側板に向かって直線状にコーナ溝が凹設される。よって、水平板にコーナ部を形成した場合であっても、コーナ板の突起状のレール部が水平板のコーナ部におけるコーナ溝に挿入されることで、コーナ板が水平板の背面側で側板に対して傾斜配置され水平板および側板に連結される。その結果、請求項1から6のいずれかに記載の効果に加え、コーナ板の連結作業を簡易に行うことができるので、組立作業を効率良く行うことができるという効果がある。
【0022】
さらに、請求項7記載の組立ボックスによれば、コーナ板が水平板および側板に連結されると、コーナ板には水平板の側面と面一に形成される連結面にコーナ板挿入穴が凹設されるので、水平板の水平板挿入穴とコーナ板のコーナ板挿入穴とにピンを挿入し連結具の板部を水平板の側面とコーナ板の連結面とに当接させることで、コーナ板と水平板とが連結具により連結される。その結果、請求項1から6のいずれかに記載の効果に加え、コーナ板の突起状のレール部が水平板のコーナ部におけるコーナ溝に挿入されることでコーナ板が水平板および側板に連結される場合であっても、水平板のコーナ部からコーナ板が外れることを抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施の形態における組立棚を示す斜視図である。
【図2】(a)は組立棚の正面図であり、(b)は図2(a)のIIb―IIb線における組立棚の断面図である。
【図3】(a)は図2(a)におけるIIIaで示す部分を拡大した組立棚の一部拡大正面図であり、(b)は一対の側板に凹設される一対の溝に背面板を挿入した後の状態を示した組立棚の上面図である。
【図4】(a)は一対の側板に凹設される一対の溝に背面板を挿入する前の状態を示した組立棚の斜視図であり、(b)は図4(a)のIVbで示す部分を拡大した組立棚の一部拡大斜視図であり、(c)は図4(a)のIVcで示す部分を拡大した組立棚の一部拡大斜視図であり、(d)は図4(a)のIVdで示す部分を拡大した組立棚の一部拡大斜視図である。
【図5】(a)は連結具の正面図であり、(b)は図5(a)のVb方向から視た連結具の側面図であり、(c)は図5(a)のVcで示す部分を拡大したピンの拡大正面図であり、(d)は図5(a)のVd―Vd線におけるピンの拡大断面図である。
【図6】(a)は下側の水平板と一対の側板と棚板とを組立てる工程を示す組立棚の斜視図であり、(b)は背面板を組立てる工程を示す組立棚の斜視図である。
【図7】(a)は上側の水平板を連結する工程を示す組立棚の斜視図であり、(b)は一対の水平板と一対の側板とを連結具で連結する工程を示す組立棚の斜視図である。
【図8】(a)は本発明の第2実施の形態における組立棚の正面図であり、(b)は組立棚の背面図であり、(c)は図8(b)の矢印VIIIc方向から視た組立棚の側面図である。
【図9】(a)は図8(a)のIXa―IXa線における組立棚の断面図であり、(b)は図9(a)のIXbで示す部分を拡大した組立棚の一部拡大断面図であり、(c)は図8(b)のIXcで示す部分を拡大した組立棚の一部拡大背面図である。
【図10】(a)は、下側の水平板と一対の側板と棚板と上側の水平板とを組立てる工程を示す組立棚の斜視図であり、(b)は、一対の水平板のコーナ部にコーナ板を連結する工程を示す組立棚の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図5を参照して、組立棚1の構成について詳述する。図1は本発明の第1実施の形態における組立棚1の斜視図であり、図2(a)は組立棚1の正面図であり、図2(b)は図2(a)のIIb―IIb線における組立棚1の断面図である。また、図3(a)は図2(a)におけるIIIaで示す部分を拡大した組立棚1の一部拡大正面図であり、図3(b)は一対の側板20に凹設される一対の溝21aに背面板40を挿入した後の状態を示した組立棚1の上面図である。なお、図2(b)のXで示す部分および図3(b)のYで示す部分がそれぞれ拡大図示され、図3(b)において、上側の水平板10の図示が省略されると共に、下側の水平板10、一対の側板20及び棚板30の図示が一部省略されている。
【0025】
図4(a)は、一対の側板20に凹設される一対の溝21aに背面板40を挿入する状態を示した組立棚1の斜視図であり、図4(b)は図4(a)のIVbで示す部分を拡大した組立棚1の一部拡大斜視図であり、図4(c)は図4(a)のIVcで示す部分を拡大した組立棚1の一部拡大斜視図であり、図4(d)は図4(a)のIVdで示す部分を拡大した組立棚1の一部拡大斜視図である。さらに、図5(a)は連結具50の正面図であり、図5(b)は図5(a)のVb方向から視た連結具50の側面図であり、図5(c)は図5(a)のVcで示す部分を拡大したピン52の拡大正面図であり、図5(d)は図5(a)のVd―Vd線におけるピン52の拡大断面図である。
【0026】
図1に示すように、組立棚1は、上下一対の板状の水平板10と、その一対の水平板10に直交するように突き合わせられる左右一対の板状の側板20と、一対の側板20に直交するように突き合わせられる一枚の板状の棚板30と、箱型に形成された状態で一対の水平板10及び一対の側板20の背面側に配置される一枚の板状の背面板40(図2参照)と、一対の水平板10及び一対の側板20の突き合わせ部分を補強する連結具50と、を有して構成される。
【0027】
図2及び図3に示すように、一対の水平板10は、箱型に形成される組立棚1の上下面を構成し同一の矩形状に形成される一対の板材であって、木材により構成される。組立棚1が箱型に形成された状態で、水平板10の前側(図2(a)紙面手前側)及び後側(図2(a)紙面奥側)の側面10aにはそれぞれ水平板挿入穴13が凹設され、一対の水平板10の互いに対向する対向面11において側板20を突き合わせる部分には、後述する一対の側板20から突設されるダボ22(図6(a)参照)を挿入するダボ穴12(図6(a)参照)が凹設される。
【0028】
図3(a)に示すように、水平板挿入穴13は、軸心O1を有する円形の穴であって、側板20との突き合わせ部分の上側(図3(a)上側)に配置される第1水平板挿入穴13aと、その第1水平板挿入穴13aからn1の距離を空けた位置に配置される第2水平板挿入穴13bとを有して構成される。
【0029】
図2(b)に示すように、組立棚1が箱型に形成された状態で一対の水平板10の互いに対向する対向面11には、背面側(図2(b)左側)に背面板40が挿入される溝である一対の溝11aがそれぞれ凹設される。その一対の溝11aには、その一対の溝11aの底を形成する面である一対の底面11a1が平坦状に形成されている。図4に示すように、溝11aは、溝幅(溝11aの前後方向における長さ)W1に設定され、溝長(溝11aの左右方向における長さ)L1に設定される。
【0030】
図2及び図3に示すように、一対の側板20は、箱型に形成される組立棚1の両側面を構成し同一の矩形状に形成される一対の板材であって、木材により構成される。組立棚1が箱型に形成された状態で、側板20は、前側及び後側の側面20aに側板挿入穴23が凹設され、一対の側板20に突き合わせられる上側の端面及び下側の端面からそれぞれ一対の円筒状のダボ22(図6参照)が突設される。
【0031】
図3(b)に示すように、組立棚1が箱型に形成された状態で一対の側板20の互いに対向する対向面21には、背面側(図3(b)上側)に背面板40が挿入される溝である一対の溝21aがそれぞれ凹設され、後述する棚板30と対向する部分に棚板30のダボ32(図6(a)参照)が挿入されるダボ穴24(図6(a)参照)が凹設される。一対の溝21aには、その一対の溝21aの底を形成する面である一対の底面21a1が平坦状に形成される。図4に示すように、一対の溝21aの溝は、溝幅(溝21aの底面21a1の前後方向における長さ)W2に設定され、一対の溝21aの底面21a1間における左右方向の長さL1は水平板10に凹設される溝11aの溝長L1と等しく設定される。なお、側板20に凹設される溝21aの溝幅W2は水平板10に凹設される溝11aの溝幅W1と同一に設定される。
【0032】
図3(a)に示すように、側板挿入穴23は、軸心O2を有する円形の穴であって、水平板10との突き合わせ部分の下側(図3(a)下側)であって第1水平板挿入穴13aから距離n1と同じ距離である距離n2及び第2水平板挿入穴13bから距離n1より長い距離である距離n3を空けた位置に配置される。
【0033】
図2に示すように、棚板30は、箱型に形成された組立棚1の収容空間を上下方向(図2(a)上下方向)に仕切る矩形状の板材であって、木材により構成される。棚板30の左側(図2(a)左側)及び右側(図2(a)右側)の側面からそれぞれ一対の円筒状のダボ32(図6参照)が突設され、それら一対のダボ32が一対の側板20のダボ穴24に挿入されることにより、棚板30が一対の側板20に連結される。
【0034】
図2及び図3に示すように、背面板40は、一対の水平板10及び一対の側板20により形成される組立棚1の収容空間の背面側を塞ぐ矩形状の板材であって、一対の水平板10及び一対の側板20の背面側(図2(b)左側)に配置される。背面板40は、木材により構成され、図4に示すように、板厚(背面板40の前後方向における長さ)W3に設定され、板長(背面板40の左右方向における長さ)L2に設定されている。背面板40の板厚W3は側板20に凹設される溝21aの溝幅W2と比べて短く設定されており、背面板40の板長L2が一対の溝21aの底面21a1間における左右方向の長さ(溝11aの溝長)L1と比べて短く設定されている。よって、背面板40が一対の側板20に凹設された一対の溝21aに挿入されると、背面板40は左右方向で前方(図3(b)下方)に凸となる方向に反った状態で水平板10及び側板20の背面側に配置される。
【0035】
図2に示すように、連結具50は、一対の水平板10及び一対の側板20の突き合わせ部分を補強する補強部材であって、後述するピン52(図5(a)参照)が水平板挿入穴13及び側板挿入穴23(図3(a)参照)に挿入されることで、水平板10及び側板20が連結される。連結具50は組立棚1の前面および背面の各四隅に取着されている。よって、第1実施の形態における組立棚1は、合計8つの連結具50で一対の水平板10及び一対の側板20の各突き合わせ部分が補強されている。
【0036】
図5に示すように、連結具50は、一対の側辺より底辺が長い直角二等辺三角形状に形成された平板状の板部51と、その板部51から柱状に立設される3つのピン52と、で形成され、直角二等辺三角形状の板部51の各頂部にピン52が配置されている。連結具50は、板部51の一対の側辺が水平板10(図3(a)参照)の上面と側板20(図3(a)参照)の外側面とに沿うように、水平板10及び側板20の突き合わせ部分に取着される。よって、連結具50の板部51の最も長い辺である底辺が水平板10と側板20との間に跨設されるので、板部51の剛性を向上でき、連結具50の耐久性の向上を図れる。
【0037】
連結具50の板部51から3つのピン52が立設されており、各ピン52は同一形状に形成される。また、3つのピン52のうちの1つのピン52が水平板10の第1水平板挿入穴13a(図3(a)参照)に挿入され、3つのピン52のうちの1つのピン52が水平板10の第2水平板挿入穴13b(図3(a)参照)に挿入され、残りの1つのピン52が側板20の側板挿入穴23(図3(a)参照)に挿入される。
【0038】
これにより、水平板10及び側板20が連結され、水平板10及び側板20の突き合わせ部分が連結具50により補強されるので、水平板10及び側板20の突き合わせ部分におけるガタツキを抑えることができる。しかも、木ねじ等を使用することなく水平板10及び側板20を連結具50により連結できるので、木ねじ等を締結するための工具が不要となり、組立作業を効率良く行うことができる。
【0039】
また、連結具50は、3つのピン52で構成されるので、水平板10及び側板20の突き合わせ部分のガタツキを、より一層抑えることができる。即ち、連結具50の複数のピン52が、水平板10の第1水平板挿入穴13aに挿入される1つのピン52と、側板20の側板挿入穴23の他方に挿入される1つのピン52とで構成される場合、2つのピン52の間にリンク機構が構成される。よって、水平板10又は側板20に外力が付加されると、2つのピン52のうち一方のピン52が他方のピン52を中心に回動し水平板10及び側板20の突き合わせ部分にガタツキが発生する場合がある。これに対し、第1実施の形態における組立棚1では、これらの2つのピン52とは別に1つのピン52が水平板10の第2水平板挿入穴13bに挿入されるので、これら3つのピン52により3点が支持される。よって、連結具50により水平板10及び側板20を強固に連結できるので、水平板10及び側板20の突き合わせ部分のガタツキを、より一層抑えることができる。
【0040】
図5(c)及び図5(d)に示すようにピン52は、軸心O3を有し先端側が先細り状に形成される中空の筒状に形成される挿入部52aと、その挿入部52aに連続し板部51から立設されると共に挿入部52aと同一軸心O3を有する中空の筒状に形成される嵌合部52bと、その嵌合部52bの外周面から立設され嵌合部52bの軸心O3に沿って同一の高さで延設される板状のリブ52cと、を有して構成される。また、ピン52は、嵌合部52bの軸心O3からリブ52cの頂部までの長さL3が、水平板挿入穴13の半径及び側板挿入穴23の半径より長く設定される。
【0041】
水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23に挿入されるピン52の挿入部52aは、先端側が先細り形状に形成されるので、ピン52の挿入部52aを水平板挿入穴13又は側板挿入穴23に挿入する際に、ピン52の挿入部52aの先端と水平板挿入穴13又は側板挿入穴23の内周面との干渉を抑制できる。これにより、水平板挿入穴13又は側板挿入穴23にピン52の挿入部52aをスムーズに挿入でき、かかるピン52を挿入する挿入作業性を向上できるので、組立作業を効率良く行うことができる。
【0042】
ピン52は、上述したように、樹脂で構成されるので、挿入部52aと嵌合部52bとリブ52cとが樹脂で構成される。よって、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23に挿入部52aが挿入されたピン52をさらに押し込むと、ピン52の嵌合部52bが水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23に挿入され、ピン52のリブ52cが水平板挿入穴13又は側板挿入穴23の内周面に押圧され弾性変形される。リブが弾性変形すると嵌合部52bのO3からリブ52cの頂部までの長さL3軸心O3からリブ52cの頂部までの長さL3が短くなるので、嵌合部52bの軸心からリブ52cの頂部までの長さが水平板挿入穴13又は側板挿入穴23の半径より長く設定される場合であっても、水平板挿入穴13又は側板挿入穴23にピン52の嵌合部52bをスムーズに挿入できる。よって、かかるピン52を挿入する挿入作業性を向上できるので、組立作業を効率良く行うことができる。
【0043】
また、水平板挿入穴13又は側板挿入穴23が凹設される一対の水平板10及び一対の側板20は木材で構成され、嵌合部52bの外周面から立設される板状のリブ52cが嵌合部52bの軸心O3に沿って延設されると共に、水平板挿入穴13又は側板挿入穴23の半径は、嵌合部52bの軸心O3からリブ52cの頂部までの長さより短く設定されるので、嵌合部52bが水平板挿入穴13又は側板挿入穴23に挿入されると、板状のリブ52cが水平板挿入穴13の内周面または側板挿入穴23の内周面に食い込む。これにより、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23にピン52が確実に固定されるので、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23からピン52が抜けることを抑制でき、水平板10及び側板20から連結具50が外れることを抑制できる。
【0044】
さらに、ピン52の嵌合部52bが中空の筒状に形成されるので、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23にピン52の嵌合部52bが挿入されると、嵌合部52bが弾性変形される。これにより、水平板挿入穴13又は側板挿入穴23にピン52の嵌合部52bをスムーズに挿入でき、かかるピン52を挿入する挿入作業性を向上できるので、組立作業を効率良く行うことができる。また、挿入時に弾性変形した嵌合部52bは、挿入後に元の状態に復帰するので、水平板挿入穴13又は側板挿入穴23の内周面に食い込むリブ52cの食い込み量が増大する。これにより、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23にピン52を確実に固定できる。よって、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23からピン52が抜けることを抑制できるので、水平板10及び側板20から連結具50が外れることを抑制できる。
【0045】
加えて、リブ52cが水平板挿入穴13の内周面または側板挿入穴23の内周面に食い込むことにより、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23にピン52が確実に固定されるので、ピン52の水平板挿入穴13又は側板挿入穴23に対する回動が抑制される。その結果、連結具50により水平板10及び側板20を強固に連結できるので、水平板10及び側板20の突き合わせ部分のガタツキを、より一層抑えることができる。
【0046】
また、ピン52は嵌合部52bの半径方向に立設され同一形状で形成される3つのリブ52cを有しており、3つのリブ52cはピン52の嵌合部52bにおける外周面に均等な角度で分散配置されている。よって、ピン52の軸心O3が水平板10の水平板挿入穴13の軸心O1又は側板20の側板挿入穴23の軸心O2と一致しない状態で、即ちピン52の軸心O3が水平板挿入穴13の軸心O1又は側板挿入穴23の軸心O2に対して傾斜状態で挿入された場合であっても、3つのリブ52cが水平板挿入穴13又は側板挿入穴23の内周面と当接すると、ピン52の軸心01が水平板10の水平板挿入穴13の軸心O1又は側板20の側板挿入穴23の軸心O2と一致するようにピン52の挿入角度が修正される。よって、ピン52を水平板挿入穴13又は側板挿入穴23に対して位置決めする必要がないので、ピン52を水平板挿入穴13又は側板挿入穴23に挿入する挿入作業性を向上できる。これにより、連結具50を簡単に取着でき、組立作業を効率良く行うことができる。
【0047】
また、リブ52cは、ピン52の軸心O3と直交する方向から視て(図5(d)紙面垂直方向から視て)先端側(図5(d)左側)の側面が板部51に向かって上昇傾斜している。よって、リブ52cの先端側がピン52の外周面から直立する場合に比べて、水平板挿入穴13の内周面または側板挿入穴23の内周面へ食い込み易くできるので、水平板挿入穴13の内周面または側板挿入穴23の内周面へ確実にリブ52cを固定できる。これにより、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23とピン52との結合強度を向上できる。
【0048】
さらに、リブ52cは、ピン52の軸心O3と直交する方向から視て(図5(d)紙面垂直方向から視て)先端側(図5(d)左側)の側面が板部51に向かって上昇傾斜するので、リブ52cは、先端部分に比べて基端部分(連結部分)のリブ幅が長く形成される。よって、リブ52cと嵌合部52bとの連結部分の剛性を向上させることができる。従って、リブ52cの先端側が水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23の内周面に食い込んだ状態でピン52を挿入した場合であっても、リブ52cの基端部分が変形することを抑制できるので、先端部分のリブ幅を短く形成することで水平板挿入穴13の内周面または側板挿入穴23の内周面に食い込ませたリブ52cの食い込み状態を維持できる。これにより、水平板10の水平板挿入穴13又は側板20の側板挿入穴23とピン52との結合強度を向上できる。
【0049】
次に、図6及び図7を参照して、組立棚1の組立工程について説明する。図6(a)は、下側の水平板10と一対の側板20と棚板30とを組立てる工程を示す組立棚1の斜視図であり、図6(b)は背面板40を組立てる工程を示す組立棚1の斜視図である。また、図7(a)は、上側の水平板10を組立てる工程を示す組立棚1の斜視図であり、図7(b)は、箱型に形成された一対の水平板10と一対の側板20とを連結具50で連結する工程を示す組立棚1の斜視図である。
【0050】
まず、図6(a)に示すように、棚板30のダボ32を一対の側板20のダボ穴24に挿入して一対の側板20に棚板30を位置決めし連結する。棚板30が連結された一対の側板20は、下側の一対のダボ22を下側の水平板10に凹設された一対のダボ穴12に挿入することにより、下側の水平板10に対して位置決めされ連結される。次に、図6(b)に示すように、一対の側板20に凹設される一対の溝21aに、その一対の溝21aの溝幅W2(図4参照)より板厚W3(図4参照)が短く設定される板状の背面板40を挿入し、背面板40の左側及び右側端面を一対の溝21aの底を形成する一対の底面21a1(図4参照)に当接させる。かかる状態で背面板40の下側端面が下側の水平板10に凹設された溝11aの底面11a1と当接するまで背面板40を下側(図6(b)下側)に押し込む。これにより、背面板40が一対の側板20に凹設される一対の溝21aに収容され水平板10及び側板20の背面側に背面板40が配置される。この場合、背面側に配置された背面板40は、板厚W3が側板20の溝幅W2及び水平板10の溝幅W1(図4参照)と比べて短く設定されており、板長L2(図4参照)が下側の水平板10に凹設された溝11aの溝長L1、即ち一対の側板20に凹設される一対の溝21aの底面間における左右方向の長さL1と比べて短く設定されているので、背面板40の左右方向(図6(b)左右方向)で前側に凸となる方向に反った状態となっている。
【0051】
図7(a)に示すように、一対の側板20の上側(図7(a)上側)の一対のダボ22を上側(図7(a)上側)の水平板10に凹設された一対のダボ穴(図示せず)に挿入することにより、一対の側板20及び背面板40の左右方向(図6(b)左右方向)で前側に凸となる方向に反った状態の背面板40に上側の水平板10が位置決めされ連結される。これにより、収容空間が棚板30によって上下方向(図7(a)上下方向)に区切られた組立棚1が箱型に形成される。最後に、図7(d)に示すように、3つのピン52のうちの1つのピン52を水平板10の第1水平板挿入穴13aに挿入し、3つのピンのうちの1つのピン52を水平板10の第2水平板挿入穴13bに挿入し、残りの1つのピン52を側板20の側板挿入穴23に挿入する。これにより一対の水平板10と一対の側板20は連結具50で連結され各突き合わせ部分(合計8箇所)が連結具50で補強される。
【0052】
背面板40は、一対の側板20に凹設される一対の溝21aに左右方向で前側に凸となる方向に反った状態で収容されるので、左右方向に反った状態から真っ直ぐの状態に復帰しようする際に、背面板40に弾性力が発生する。よって、背面板40の下側端面が一対の側板20に凹設された一対の溝21aの底面21a1に当接されると、背面板40の弾性力により水平板10及び側板20の突き合わせ部分が互いに離間する方向に広げられる。この場合において、突き合わせ部分が互いに離間する方向に広げられた水平板10及び側板20が連結具50によって連結されることで、背面板40の弾性力を利用して連結具により水平板10及び側板20を強固に連結できる。その結果、水平板10及び側板20の突き合わせ部分のガタツキ、より一層抑えることができる。
【0053】
次に、図8から図10を参照して、本発明の第2実施の形態における組立棚100について説明する。図8(a)は本発明の第2実施の形態における組立棚100の正面図であり、図8(b)は組立棚100の背面図であり、図8(c)は図8(b)のVIIIc方向から視た組立棚100の側面図である。図9(a)は図8(b)のIXa―IXa線における組立棚100の断面図であり、図9(b)は図9(a)のIXbで示す部分を拡大した組立棚100の一部拡大断面図であり、図9(c)は図8(b)のIXcで示す部分を拡大した組立棚100の一部拡大背面図である。図10(a)は、一対の水平板110と一対の側板120と棚板130とを連結する工程を示す組立棚100の斜視図であり、図10(b)は、一対の水平板110のコーナ部114にコーナ板60を連結する工程を示す組立棚100の斜視図である。図10(b)において背面側から視た組立棚100の左側部分の図示が省略されている。また、図10(a)のZ1で示す部分および図10(a)のZ2で示す部分がそれぞれ拡大図示されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
第1実施の形態における組立棚1は、一対の水平板10が矩形状に形成されるのに対して、第2実施の形態における組立棚100は、一対の水平板110に後述するコーナ部114が形成されることにより六角形状に形成される点で相違している。また、第1実施の形態における組立棚1は、背面板40が一対の側板20に対して直交配置されていたのに対して、第2実施の形態における組立棚100は、一対のコーナ板60が一対の側板120に対して傾斜配置されている点で相違している。
【0055】
図8及び図9に示すように、組立棚100は、上下一対の板状の水平板110と、その一対の水平板110に突き合わせられる左右一対の板状の側板120と、一対の水平板110に突き合わせられる1枚の板状の棚板130と、箱型に形成された状態で一対の水平板110及び一対の側板120の背面側に配置される1枚の板状の背面板140と、箱型に形成された状態で一対の水平板110及び一対の側板120の背面側(図9(a)上側)で一対の側板120に対して傾斜配置される一対のコーナ板60と、下側(図8下側)の水平板110及び一対の側板120又は下側の水平板110及び棚板130を連結するヒンジ70と、一対の水平板110及び一対のコーナ板60の突き合わせ部分を補強する連結具50と、を有して構成される。
【0056】
コーナ板60は、木材で構成される板材であり、側板120に対して傾斜配置される矩形状の傾斜部64と、傾斜部64から折曲して形成され背面板140と平行に延設される矩形状の連結部63とで形成されている。図10に示すように、水平板110及び側板120に連結された状態で、コーナ板60の上側および下側端面61が水平板110の対向面111と対向配置されており、上側および下側端面61からそれぞれ突起状のレール部62が立設される。また、コーナ板60の背面側に配置され水平板110及び側板120に連結された状態で、連結部63の背面側の側面である連結面63aが水平板110の背面側(図10(b)左側)の側面110aと面一に形成され、その連結面63aにはコーナ板挿入穴63a1が凹設される。
【0057】
図10(b)に示すように、レール部62は、傾斜部64における上側および下側端面61の先端側から連結部63との連結部分まで延設されており、レール部62の長手方向と直交する断面形状が半円の棒状に形成される。また、コーナ板挿入穴63a1は、連結部60bの背面側に凹設される穴であり、後述する第1水平板挿入穴113aと上下方向(図10(b)上下方向)で一直線上に配置される。
【0058】
図10(b)に示すように、水平板110には、組立棚100が箱型に形成された状態で、背面側の側面110aには第1水平板挿入穴113a及び第2水平板挿入穴113bが凹設される。また、水平板110には、背面側の角を面取りしてコーナ部114が形成され、コーナ部114のコーナ板60と対向する対向面111の背面側から側板120に向かって(図8(b)紙面手前側から奥に向って)側板120と連結される正面まで直線状にコーナ溝114aが凹設される。図9(c)に示すように、コーナ溝114aは、レール部62に対応して、コーナ溝114aの長手方向と直交する断面が半円形状に凹設される。
【0059】
図9(a)に示すように、ヒンジ70は、一対の側板120並びに棚板130を下側の水平板110に対して起立又は倒伏可能に連結する蝶番であり、下側の水平板110と一対の側板120と棚板130とにそれぞれ取着されている。よって、下側の水平板110から一対の側板120及び棚板130を起立させるだけで下側の水平板110に対して一対の側板120及び棚板130が直交状態で連結される。これにより、ボルト等を用いることなく簡単に下側の水平板110と一対の側板120並びに棚板130とを連結できるので、組立作業を効率良く行うことができる。
【0060】
次に、図10を参照して、組立棚100の組立工程について説明する。まず、図10(a)に示すように、下側の水平板110から一対の側板120及び棚板130を起立させる。一対の側板120及び棚板130が直交状態で連結された下側の水平板110の背面側(図10(a)左側)には、複数のダボ穴112が凹設されており、その複数のダボ穴112に、背面板140の下側の端面から立設される複数のダボ(図示せず)を挿入する。これにより、背面板140が下側の水平板110に連結される。次に、一対の側板120の上側の側面から立設される一対のダボ122及び棚板130の上側の側面から立設される一対のダボ132を、一対の水平板110の上側の対向面111及び下側の対向面111のうち、上側の水平板110の対向面111に凹設されたダボ穴(図示せず)に挿入する。これにより、一対の水平板110と一対の側板120と背面板140とで組立棚100が箱型に形成され、一対の水平板110と一対の側板120と背面板140とで形成される収容空間が棚板130により左右方向で仕切られる。
【0061】
次に、図10(b)に示すように、コーナ板60のレール部62を水平板のコーナ部114におけるコーナ溝114aに挿入することで、コーナ板60の傾斜部64が側板120及び水平板110に連結され、コーナ板60の連結部63が背面板140及び水平板110と連結される。その後、水平板110、側板120及び背面板140に連結されたコーナ板60と背面板140とを連結具50で連結する。具体的には、まず、コーナ板60のレール部62が水平板110のコーナ溝114aに挿入された状態で、水平板110の水平板挿入穴113及びコーナ板60のコーナ板挿入穴63a1に連結具50のピン52がそれぞれ挿入される。そして、水平板110の水平板挿入穴113及びコーナ板60のコーナ板挿入穴63a1に挿入されたピン52を押し込むことにより連結具50の板部51が背面側の側面110a及び連結部63の連結面63aに当接することで、コーナ板60及び水平板110が連結具50により確実に連結される。
【0062】
第2実施の形態における組立棚100では、水平板110に背面側の角を面取りしてコーナ部114が形成されると共に水平板110及び側板120の背面側に連結されるコーナ板60が側板120に対して傾斜配置されるので、角が直角ではなく斜めに形成される部屋に組立棚100を設置する場合であっても、部屋の角と干渉することなく部屋の角に沿って組立棚100を設置できるので、組立棚100の商品性の向上を図れる。
【0063】
また、水平板110及び側板120の背面側に連結されるコーナ板60には、水平板110及び側板120に連結された状態で、水平板110と対向する上側および下側の端面61から突起状のレール部62が立設され、水平板110に背面側の角を面取りして形成されるコーナ部114には、コーナ板60と対向する一対の対向面111の背面側から側板120側に向かって(図10(b)左側から右側に向かって)直線状にコーナ溝114aが凹設される。よって、水平板110にコーナ部114を形成した場合であっても、コーナ板60の突起状のレール部62が水平板110のコーナ部114におけるコーナ溝114aに挿入されることで、コーナ板60が水平板110の背面側で側板120に対して傾斜配置され水平板110及び側板120に連結される。よって、コーナ板60の連結作業を簡易に行うことができるので、組立作業を効率良く行うことができる。
【0064】
さらに、コーナ板60が水平板110及び側板120に連結されると、コーナ板60の連結部63の水平板110の側面110aと面一に形成される連結面63aにはコーナ板挿入穴63a1が凹設されるので、水平板110の水平板挿入穴13とコーナ板60のコーナ板挿入穴63a1とに連結具50のピン52を挿入し連結具50の板部51を水平板110の側面とコーナ板60の連結面63aとに当接させることで、コーナ板60と水平板110とが連結具50により連結される。よって、コーナ板60の突起状のレール部が水平板110のコーナ部114におけるコーナ溝114aに挿入されることでコーナ板60が水平板110及び側板120に連結される場合であっても、組立棚100の組立後に水平板110のコーナ部からコーナ板60が外れることを抑制できる。
【0065】
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0066】
例えば、上記各実施の形態では、水平板10,110のダボ穴12,112及びそのダボ穴12,112に挿入される側板20,120のダボ22,122や、水平板10,110及び側板20,120に取着されるヒンジ70により、一対の側板20,120及び一対の水平板10,110を連結するが、必ずしもこれに限られるものではなく、接着剤や両面テープ等により連結してもよい。この場合は、ダボ22及びダボ穴12やヒンジ70が不要となるので、組立棚1,100の構成を簡易化でき、コスト削減を図れる。
【0067】
上記各実施の形態では、棚板30が一対の側板20に連結され、棚板130が一対の水平板110に連結されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、棚板30,130を省略してもよい。この場合は、部品点数の減少によりコスト削減を図れる。
【0068】
また、上記第1の実施の形態では、組立棚1の前面側と背面側との四隅に連結具50が取着されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、組立棚1の前面側だけ、又は組立棚1の背面側だけに連結具が取着される構成であってもよい。
【0069】
例えば、連結具50を組立棚1の前面側だけに取着する場合は、背面板40が一対の側板20の背面側に左右方向に反った状態で配置されると、背面板40の弾性力によって一対の側板20の背面板40と反対側である前面側がハの字状に開こうとするので、この一対の側板20の前面側の開きを規制するダボ22を一対の側板20の端面から立設させることが有効である。この場合は、一対の側板20から立設させたダボ22を一対の水平板10に凹設されたダボ穴12に挿入した状態で、水平板10と側板20とを連結具50で連結すると、背面板40の弾性力によってダボ22がダボ穴12に確実に係合するので、一対の水平板10及び一対の側板20の前面側を強固に連結できる。よって、水平板10及び側板20の前面側の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができる。
【0070】
上記第1の実施の形態では、背面板40は、左右方向で前側に凸となる方向に反った状態で一対の水平板10及び一対の側板20の背面側に配置されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右方向で背面側に凸となる方向に反った状態で一対の水平板10及び一対の側板20の背面側に配置されてもよい。また、背面板40が上下方向に反った状態で一対の水平板10及び一対の側板20の背面側に配置されてもよい。この場合は、背面板40の上下方向の板長が一対の水平板10に凹設される一対の溝11aの底面間における上下方向の長さより長く設定される。背面板40が上下方向に反った状態で一対の水平板10及び一対の側板20の背面側に配置されると、背面板40が左右方向に反った状態で一対の水平板10及び一対の側板20の背面側に配置されると同様に、背面板40の弾性力を利用して連結具50により水平板10及び側板20を強固に連結できるので、水平板10及び側板20の突き合わせ部分のガタツキを抑えることができる。
【0071】
さらに、上記第2の実施の形態では、上側および下側端面61から一対の突起状のレール部62が立設されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、上側および下側端面61のいずれか一方の端面61からのみレール部62が立設されてもよい。この場合は、一方のレール部62を一方のコーナ溝114aに挿入すればいいので、一対のレール部62を一対のコーナ溝114aに挿入する場合に比べて、レール部62をコーナ溝114aに挿入する作業性を向上できるので、組立作業を効率良く行うことができる。
【0072】
上記第2の実施の形態では、レール部62の軸心に直交する断面形状が、半円の棒状に形成されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、矩形状や三角形状等であってもよい。この場合は、矩形状のレール部62の角や三角形状のレール部62の角によりレール部62のコーナ溝114aに対するぐらつきを規制できるので、上側および下側端面61のいずれか一方の端面61からのみレール部62が立設される場合に特に有効である。
【符号の説明】
【0073】
1,100 組立棚(組立ボックス)
10,110 水平板
11,111 対向面
11a 溝
11a1 底面
13,113 水平板挿入穴
13a,113a 第1水平板挿入穴(水平板挿入穴)
13b,113b 第2水平板挿入穴(水平板挿入穴)
20,120 側板
21,211 対向面
21a 溝
21a1 底面
23 側板挿入穴
40,140 背面板
50 連結具
51 板部
52 ピン
52a 挿入部
52b 嵌合部
52c リブ
60 コーナ板
62 レール部
63a 連結面
63a1 コーナ板挿入穴
114 コーナ部
114a コーナ溝
L1 溝長(一対の溝の底面間における左右方向の長さ)
L2 板長(背面板の左右方向の板長)
L3 嵌合部の軸心からリブの頂部までの長さ
W2 溝幅(一対の溝の溝幅)
W3 板厚(背面板の板厚)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の板状の水平板と、前記一対の水平板に突き合わせられる左右一対の板状の側板とを備え、前記一対の水平板および一対の側板で箱型に形成される組立ボックスにおいて、
平板状の板部と、その板部から柱状に立設される複数のピンと、を有する連結具を備え、
前記水平板は、板状の側面に凹設される1又は複数の水平板挿入穴を備え、
前記側板は、板状の側面に凹設される1又は複数の側板挿入穴を備え、
前記箱型に形成された状態で、前記連結具の複数のピンを、前記水平板挿入穴および前記側板挿入穴に挿入することで、前記水平板および側板が前記連結具により連結されることを特徴とする組立ボックス。
【請求項2】
前記連結具は、前記ピンを3つ備え、
前記3つのピンのうちの1つのピンが前記水平板の水平板挿入穴または前記側板の側板挿入穴の一方に挿入されると共に、前記3つのピンのうちの残りの2つのピンが前記水平板の水平板挿入穴または前記側板の側板挿入穴の他方に挿入されることを特徴とする請求項1記載の組立ボックス。
【請求項3】
前記一対の水平板および一対の側板は木材で構成され、
前記ピンは、先端側が先細り状に形成される円柱状の挿入部と、その挿入部に連続し前記板部から立設される円柱状の嵌合部と、その嵌合部の外周面から立設され前記嵌合部の軸心に沿って延設される板状のリブと、を備え、
前記水平板挿入穴または側板挿入穴の半径は、前記嵌合部の軸心から前記リブの頂部までの長さより短く設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の組立ボックス。
【請求項4】
前記連結具に設けられる複数のピンは樹脂で構成されることを特徴とする請求項3記載の組立ボックス。
【請求項5】
前記連結具に設けられるピンは中空の筒状に形成されることを特徴とする請求項4記載の組立ボックス。
【請求項6】
箱型に形成された状態で前記一対の水平板および一対の側板の背面側に配置される背面板を備え、
前記一対の側板および一対の水平板は、前記一対の側板の対向面および一対の水平板の対向面のうち、少なくともいずれか一方の対向面における背面側の部分に凹設され前記背面板が挿入される一対の溝と、その一対の溝の底を形成する面であって前記一対の溝に前記背面板が挿入された場合に前記背面板の端面が当接する一対の底面と、を備え、
前記一対の溝の溝幅は、前記背面板の板厚より大きく設定され、
少なくとも前記一対の側板に前記一対の溝が凹設され、かつ、背面板の左右方向の板長が、前記一対の溝の底面間における左右方向の長さより長く設定されるか、または、少なくとも一対の水平板に前記一対の溝が凹設され、かつ、前記背面板の上下方向における板長が、前記一対の溝の底面間における上下方向の長さより長く設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組立ボックス。
【請求項7】
前記水平板および側板の背面側に連結され前記側板に対して傾斜配置されるコーナ板を備え、
前記コーナ板は、前記水平板および側板に連結された状態で前記水平板と対向する端面と、その端面から立設される突起状のレール部と、前記コーナ板の背面側に配置され前記水平板および側板に連結された状態で前記水平板の側面と面一に形成される連結面と、その連結面に凹設される前記コーナ板挿入穴と、を備え、
前記水平板は、背面側の角を面取りして形成され前記コーナ板が連結されるコーナ部と、そのコーナ部の前記コーナ板と対向する対向面の背面側から前記側板に向かって直線状に凹設され前記コーナ板のレール部が挿入されるコーナ溝とを備え、
前記コーナ板のレール部が前記水平板のコーナ溝に挿入された状態で、前記水平板の水平板挿入穴と前記コーナ板のコーナ板挿入穴とに前記ピンが挿入されることにより、前記コーナ板と前記水平板とが前記連結具により連結されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の組立ボックス。
【請求項8】
上下一対の板状の水平板と、左右一対の板状の側板とで組立ボックスを箱型に形成する組立工程を備え、
前記組立工程は、
前記水平板を側板に突き合わせる突き合わせ工程と、
その突き合わせ工程により突き合わせられた前記水平板および側板を、平板状の板部とその板部から柱状に立設される複数のピンとを有する連結具の前記複数のピンが、前記水平板の板状の側面に凹設される1又は複数の水平板挿入穴および前記側板の板状の側面に凹設される1又は複数の側板挿入穴に挿入されることで、前記連結具により連結する連結工程と、を備えることを特徴とする組立ボックスの製造方法。
【請求項9】
前記組立工程は、
少なくとも前記連結工程前に、前記突き合わせ工程により箱型に突き合わせられた一対の前記側板および一対の前記水平板のうち、少なくともいずれか一方に凹設された一対の溝に、その一対の溝の溝幅より板厚が短く設定される板状の背面板を挿入し前記背面板の端面を、前記一対の溝の底を形成する面である一対の底面に当接させ、前記側板および水平板の背面側に前記背面板を配置する背面板配置工程を備え、
前記背面板配置工程は、少なくとも前記一対の側板に前記一対の溝が凹設され、かつ、背面板の左右方向の板長が、前記一対の溝の底面間における左右方向の長さより長く設定されるか、または、少なくとも一対の水平板に前記一対の溝が凹設され、かつ、前記背面板の上下方向における板長が、前記一対の溝の底面間における上下方向の長さより長く設定されることにより、前記背面板配置工程において前記背面板を上下方向または左右方向に反った状態で配置することを特徴とする請求項8記載の組立ボックスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−205(P2012−205A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136633(P2010−136633)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(399032905)朝日木材加工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】