説明

組織のロール型足場

キャビティを有する創傷を治療する装置及びシステムが開示されている。この装置は、足場薄層と組織薄層を具える足場を具え、足場薄層が組織薄層と流体連通して積層を形成する。この積層は二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻かれている。この装置は更に、減圧源に連結するポートを有しており、足場に流体連結して配置され、足場薄層と創傷に減圧を提供するマニフォールドを具える。この装置は更に、実質的に不浸透性材料で形成したドレープを具え、創傷内の足場とマニフォールドを覆っている。キャビティを有する創傷を治療する方法も開示されており、この方法は、組織薄層近傍に足場薄層を配置して組織薄層と流体連通する積層を形成するステップと、積層を二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻くステップと、創傷のキャビティ内に前記足場を配置して前記創傷に減圧を提供するステップと、を具える。この方法は更に、足場と流体連通するマニフォールドを配置して、足場薄層と創傷に減圧を提供するステップを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本発明は、2008年12月31日に出願した、米国暫定特許出願第61/142,053号及び第61/142,065号の優先権を主張する。この出願はまた、2009年8月18日に出願した米国暫定特許出願第61/234,692号、及び2009年9月1日に出願した米国暫定特許出願第61/238,770号の優先権を主張する。これらの各出願は、ここに、全体を引用して組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本出願は、一般的に再生医療に関するものであり、特に、創傷治療において足場として使用するのに好適な装置及びシステムに関する。
【0003】
関連技術の記載
臨床研究と診療は、組織部位近位に減圧を提供することが、その組織部位において新しい組織の成長を増進及び促進することを示している。この現象の適用は数多くあるが、減圧の適用は創傷治療に特に成功している。この治療(医学界では、頻繁に、「負圧創傷治療」、「減圧治療」、又は「真空治療」と呼ばれる)は、より早い治癒、及び肉芽組織の良好な形成を含む、多くの利点を提供する。典型的には、減圧は、多孔パッドあるいはその他のマニフォールドデバイスを介して組織に適用されている。多孔パッドは、減圧を組織に分配して、組織から取り出した流体を導くことができる孔を含んでいる。多孔パッドは、しばしば、治療を容易にするその他の部材を有するドレッシングに組み込まれている。足場も、欠陥部位に配置して、欠陥部位内への組織の成長をサポートすることができる。この足場は、通常、生体吸収性であり、新しい組織を適所に残す。
【0004】
減圧治療用の足場は、例えば、WO08/091521、WO07/092397、WO07/196590、WO07/106594に記載されている。現在の足場の適合性は、創傷治癒の知識に照らして評価することができる。身体組織の損傷は、鬱血(数秒乃至数時間)、炎症(数時間乃至数日)、修復(数日乃至数週間)及びリモデリング(数週間乃至数カ月)を含む順次の治癒ステージに応じた創傷治癒をもたらす。創傷治癒プロセスの初期段階については、高レベルの相同性がほとんどの組織タイプに亘って存在する。しかしながら、様々な組織の治癒ステージは、時間が経過するにつれて、様々なタイプの成長ファクタ、サイトカイン、及び細胞を伴って広がり始める。創傷治癒反応の後期ステージは、前のステージに依存しており、反応の一時的なパターニングや、反応の各要素間における相互関係において複雑さが増す。
【0005】
損傷を受けた組織の、正常な回復、再生、及び機能回復を容易にするための戦略は、この治癒反応、特にその後者の特徴における特定のステップをサポートし補強する方法に焦点が当てられている。この結果、成長ファクタ、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)類似体、外因性細胞および様々な足場技術が、単独であるいは互いに組み合わせて適用されている。このアプローチを用いてあるレベルでの成功は達成されたものの、重要な課題がいくつか残っている。一つの主な課題は、創傷治癒反応におけるサイトカインと成長ファクタの各々のタイミングと組織的影響が、適正な時点でかつ正しい強調パターンで、個々の外因性ファクタを加える能力を複雑なものにしている。外因性細胞の導入も、この細胞の潜在的な免疫原生、並びに細胞の生存能力を維持することの困難性により、更なる問題に直面している。
【0006】
合成足場及び生物学的足場は、外因性細胞の付着、移動、及びコロニー形成を増強する三次元フレームワークを提供するのに用いられる。これまでは、ほとんどすべての足場が、足場を生物学を用いて動作するように作ることができるという考え方に基づいて設計されていた。しかしながら、従来の足場技術は、外因性たんぱく質、サイトカイン、成長ファクタ、及び細胞の、多孔性足場の間質への受動的な流入に頼っている。このように、外因性細胞の足場内へのコロニー形成は、組織のタイプに関係なく、足場の拡散限界内で栄養分サポートを提供している脈管要素から距離が離れるほど制限を受ける。更に、足場は、修復プロセスとインプラント周囲の繊維性被膜の形成を長引かせる、免疫原生あるいは異物反応を生じさせることがある。総合すると、これらの問題はすべて、インプラント部位あるいは障害部位における機能的組織再生を低下させる。
【0007】
従って、特殊化した組織の修復及びリモデリング用の更なるシステムを提供することは有利である。本発明は、このようなシステムを提供する。
【発明の概要】
【0008】
ここに述べた実施例のシステム、装置及び方法は、インプラントした足場及びマニフォールドを介する組織修復及び再生の能動的ガイダンスを提供するものである。一の実施例では、キャビティを有する創傷を治療する装置が開示されている。この装置は、足場薄層と組織薄層を具える足場を具え、足場薄層はエッジを有しており、組織薄層と流体連通する積層を形成している。この積層は、二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻かれている。巻かれた足場は、創傷のキャビティ内に配置され、創傷に減圧を提供する。この装置は更に、足場と流体連通して配置されて、足場薄層と創傷に減圧を提供する減圧源に連結するポートを有するマニフォールドを具える。この装置は、また、実質的に不浸透性の材料で形成された足場を覆うドレープと、マニフォールドによって適用されるときに創傷内の減圧を実質的に維持する創傷内のマニフォールドを具える。同様に、創傷あるいは適用部位上の柔組織と皮膚を併合することによって、減圧を創傷内に維持することができる。
【0009】
別の実施例では、キャビティを有する創傷を治療する方法が開示されており、この方法は組織薄層の近傍に足場薄層を配置して組織薄層に流体連通する積層を形成するステップと、この薄層を巻いて二つの端面を有するほぼ円筒形状にするステップと、創傷のキャビティ内に足場を配置して創傷に減圧を提供するステップとを具える。この方法は、更に、足場と流体連通するマニフォールドを配置して足場薄層と創傷に減圧を提供するステップと、次いで、創傷内の足場とマニフォールドを実質的な不浸透性材料で覆って、マニフォールドによって提供されるときに創傷内に減圧を維持するステップを具える。同様に、創傷あるいは適用部位上の柔組織と皮膚を併合することによって、創傷内に減圧を維持することができる。
【0010】
実施例のその他の目的、特徴、及び利点は、図面と以下の詳細な説明を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aは、複合足場と横に配置したマニフォールドを具える患者の表面創傷を治療するシステムの第1の実施例を示す断面図である。図1Bは、図1Aの1B−1B線に沿った複合足場の断面図である。
【図2】図2は、複合足場と横に配置したマニフォールドを具える患者の皮下創傷を治療するシステムの第2の実施例を示す断面図である。
【図3】図3は、図1及び図2の複合足場と横に配置したマニフォールドの斜視図である。
【図4】図4は、複合足場と横に配置したマニフォールドを具える患者の表面創傷を治療するシステムの第3の実施例を示す断面図である。
【図5】図5は、複合足場と横に配置したマニフォールドを具える患者の皮下創傷を治療するシステムの第4の実施例を示す断面図である。
【図6】図6は、図4及び図5の複合足場と横に配置したマニフォールドの斜視図である。
【図7】図7は、図1Aと図4に示したシステムに用いる流体制御システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図に示す実施例の以下の詳細な説明においては、説明の一部を成す添付図面を参照する。これらの実施例は、当業者が発明を実施できるように十分詳細に記載されている。その他の実施例を用いることができ、論理構造的、機械的、電気的、化学的変更を発明の精神あるいは範囲から外れることなく行うことができると解するべきである。当業者がここに述べる実施例を実施するのに不要な詳細を省略するために、この説明は、当業者に公知の所定の情報を省くことができる。以下の詳細な説明は、従って、限定の意味ではなく、実施例の範囲は特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0013】
ここで用いられているように、「減圧」は、一般的に、治療を受ける組織部位における周囲圧より低い圧力をいう。ほとんどの場合、この減圧は、患者が位置している所の大気圧より低い。代替的に、源圧は組織部位における組織に用いる静水圧より低いものでもよい。用語「真空」及び「負圧」は、組織部位に適用する圧力を記載するのに使用することができるが、組織部位に適用する実際の圧力は、通常完全な真空に使われる圧力より高い。減圧は、初期に、組織部位の領域に流体フローを発生する。組織部位周辺の静水圧は所望の減圧に近いので、このフローがレベルを下げて、減圧が維持される。特に表示がない限り、ここで述べる圧力の値はゲージ圧である。同様に、減圧の増加への言及は、通常、絶対圧の低下を意味し、減圧の減少は、通常、絶対圧の増加を意味する。
【0014】
図1A及び図1Bを参照すると、患者の身体の組織部位に減圧を適用して欠陥を修復する減圧システム100の第1の実施例が示されている。ここで使用されているように、用語「欠陥」は、組織修復あるいはバルキングを必要とする組織部位を意味する。例えば、欠陥は、裂傷、切開、やけど、あるいは潰瘍といった創傷である。欠陥は、健康な組織に組織をバルキングする目的で(美容整形など)外科医によって作られた切開あるいは穿刺といった誘発性欠陥であっても良い。本発明の装置のインプラントによってバルキングすることができる組織部位の例には、限定するものではないが、胸部、臀部、首、顔(例えば、唇、あご、あるいは頬)が含まれる。例えば、図1Aは、上皮104が真皮106まで届き、キャビティを形成している開口を有する表面創傷102を示す。この表面創傷は、真皮106の下の皮下組織(図示せず)までを含む、様々な深さに延びている。図2を参照すると、減圧システム200が、創傷の別の例と共に示されている。図2の創傷は、真皮106を通って皮下組織208内のキャビティに延びており、上皮104の切開による開口を有する皮下創傷202である。減圧システム200は、図1の減圧システムとほぼ同様であり、同じ構成要素については、図1に示すものと同じ符号を用いている。
【0015】
図2を参照すると共に図1に戻ると、減圧システム100は、表面創傷102の上に配置したドレッシングアッセンブリ110と、ドレッシングアッセンブリ110に減圧を提供する減圧源112を具える。システム100は更に、中にフィルタ(図示せず)を収納するキャニスタ114を具えており、このキャニスタ114は、減圧源112と導管116を介して流体連通して連結されている。キャニスタ114はまた、第2の導管118と導管コネクタ119を介して減圧ドレッシング110と流体連通している。キャニスタ114は、流体リザーバあるいは回収部材であり、表面創傷102から除去した滲出液およびその他の流体をろ過する、あるいは保持する。一の実施例では、キャニスタ114と減圧源112は、単一のハウジング構造に一体化されている。
【0016】
ここで用いられているように、用語「連結」は、直接的な連結あるいは別の物体を介した間接的な連結を含む。用語「連結」はまた、同じ材料片でできている各部品によって互いに連続する二又はそれ以上の部品にも及ぶ。更に、用語「連結」には、化学的、機械的、熱的、あるいは電気的連結が含まれる。流体連結は、流体が指定した部品あるいは位置に連通していることを意味する。
【0017】
ドレッシングアッセンブリ110は、更に、表面創傷102の開口に配置されるように構成した分配マニフォールド120と、この分配マニフォールド120を覆うように構成されており、表面創傷102のキャビティ内のドレープ122の下で減圧を維持するように構成したドレープ122を具える。ドレープ122は、開口部124を具え、これを通って導管コネクタ119が延在し、第2の導管118と分配マニフォールド120との間を流体連通させている。ドレープ122はまた、表面創傷102の開口の周辺を超えて延在する周辺部位126を具える。この開口は、ドレープ122を表面創傷102の開口近傍の健康な組織に固定する接着剤あるいは結合材(図示せず)を具える。一の実施例では、ドレープ122に配置した接着剤を用いて、上皮104とドレープ122との間を密封し、表面創傷102内の減圧を維持している。別の実施例では、例えば、ヒドロゲルあるいはその他の材料などのシール層(図示せず)をドレープ122と上皮104の間に配置して、接着剤のシーリング特性を強化するあるいはこれに代えるようにしている。
【0018】
ドレープ122は、空気シールあるいは流体シールを提供するものであれば、どのような材料であっても良い。ドレープ122は、例えば、不透過性、あるいは半透過性、エラストマ性材料であっても良い。「エラストマ性」とは、エラストマの特性を有することを意味し、通常、ゴムのような特性を有するポリマ材料を意味する。より具体的には、ほとんどのエラストマは、100%を超える伸び率を有し、有意な量の弾力を有する。材料の弾力とは、材料が弾性変形から回復する能力を意味する。エラストマの例には、限定するものではないが、天然ゴム、ポリイソピレン、スチレンブタジエンゴム、クロロピレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマ、クロロスルホン酸ポリエチレン、ポリサルファイドゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、共ポリエステル、及びシリコーンが含まれる。ドレープ材料の特別な例には、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、V.A.C. Drape(商標)、Avery Dennison社から入手可能なものなどのアクリルドレープ、あるいは切りこみドレープが含まれる。
【0019】
ドレッシングアッセンブリ110はさらに、表面創傷102のキャビティ内に配置され、表面創傷102のキャビティに減圧を適用するマニフォールド120と流体連通する複合足場130を具えており、表面創傷102のキャビティ内での組織の成長を促進する構造を提供している。複合足場130は、治療を受けている表面創傷102のキャビティ壁と部分的にあるいは完全に接触している。複合足場130が表面創傷102の壁に接触すると、複合足場130が表面創傷102のボイドを部分的にあるいは完全に埋める。複合足場130は、行われている治療のタイプ、あるいは表面創傷102のキャビティの特徴及びサイズなど、様々な要素に応じて、どのようなサイズ、形状あるいは厚さであっても良い。
【0020】
一の実施例では、分配マニフォールド120は発泡体材料であり、分配マニフォールド120が複合足場130に接触するあるいは近傍にあるときに、複合足場130と表面創傷102のキャビティに減圧を分配する。発泡体材料は、疎水性でも親水性でも良い。非限定的な例では、分配マニフォールド120は、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concepts, Inc.から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングなどの、開放セル型網状ポリウレタン発泡体である。分配マニフォールド120が親水性材料でできている例では、分配マニフォールド120は、複合足場130と表面創傷102のキャビティから流体を逃がすように作用する一方で、マニフォールドとして複合足場130に減圧を提供し続ける。分配マニフォールド120の流体を逃がす特性は、毛細管流動あるいはその他の流体を逃がすメカニズムによって、表面創傷102のキャビティから流体を排出する。親水性発泡体の一例は、ポリビニルアルコール、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concepts, Inc.から入手可能なV.A.C. WhiteFoam(登録商標)ドレッシングなどの開放セル発泡体である。その他の親水性発泡体には、ポリエーテルでできたものが含まれる。親水性特性を示すその他の発泡体には、疎水性を提供するよう処理あるいはコーティングした疎水性発泡体がある。
【0021】
図2を参照すると、減圧システム200は更に、ドレープ122と上皮104との間に配置した導管コネクタ119のフランジ部分219と、このフランジ部分219によって支持されており、そこから皮下創傷202のキャビティへ延在する第3の導管218を具えている。減圧システム200は更に、第3の導管218を介して導管コネクタ119に流体連結されている分配マニフォールド220を具える。流体マニフォールド220は分配マニフォールド120(図1)と実質的に同じであるが、ドレッシングアッセンブリ210を使用した後患者の身体から取り除かなくても良い生体吸収性材料で構成されている。適当な生体吸収性材料には、限定することなく、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)のポリマーブレンドが含まれる。このポリマーブレンドには、また、限定することなく、ポリカーボネート、ポリフマル酸、カプロラクトンが含まれる。分配マニフォールド220は更に、新しい細胞成長用の足場としても作用し、あるいは、足場材料を分配マニフォールド220と共に用いて、細胞成長を促進することもできる。足場は、細胞成長のテンプレートを提供する三次元多孔構造体など、細胞の成長又は組織形成を強化又は促進するのに用いる物質あるいは構造体である。足場材料の例には、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、さんごヒドロキシアパタイト、カルボン酸、あるいは処理済み同種移植片材料が含まれる。
【0022】
図3を参照すると、複合足場130は、例えば、足場材料でできたストリップに挟まれた脂肪組織、すなわち、それぞれ積層136を形成している組織薄層134と足場薄層132など、組織のストリップを具えている。積層136は、図に示すように、ほぼ筒状に巻かれており、複合足場130の内部に巻かれる一方の端部部分、すなわち、内側端部部分138と、複合足場130の外側に巻かれる他方の端部部分、すなわち、外側端部部分137を具える。足場薄層132の表面は、組織薄層134の表面と流体連通している。一の実施例では、足場薄層132は比較的薄く、創傷102、202のキャビティに送られる前後の、組織薄層134の生存能力を維持するのに最も適している。別の実施例では、足場薄層132が比較的厚く、組織薄層134の生存能力を維持するのみならず、組織薄層134が足場薄層132内へ成長するときに組織薄層134を拡張して、創傷102、202のキャビティ内での体積及び嵩を増やす。複合体足場130又は薄層136は、患者に移送される前に、インビトロで流体で処理する、あるいは減圧を適用しても良く、及び/又は、創傷102、202のキャビティからの自然流体で、あるは図7に示すシステムと共に以下に説明するその他の流体で、インビボで処理を行っても良い。
【0023】
上述したように、複合足場130が表面創傷102のキャビティ内に配置される場合は、上述したように、また図1A及び図3に矢印139で示すように、マニフォールド120が足場薄層132のエッジと流体連通する。足場薄層132は、好ましくは生体吸収性であり、表面創傷102のキャビティ内の組織と、組織薄層134がインビボで成長して、キャビティを完全に埋めたときに吸収される。上述したように、複合足場130は、表面創傷102のキャビティと皮下創傷202を埋めるあるいは部分的に埋めるサイズと形状に巻かれる。
【0024】
本発明による組織薄層134は、脂肪組織など、インプラントに望ましいどのようなタイプの組織であっても良い。所定の実施例では、組織薄層134の組織が、欠陥(例えば、創傷)部位を囲む組織と同じタイプの組織であっても良い。組織薄層134は、同種移植片、自家移植片、異種移植片組織であっても良く、あるいはインビトロで多能性細胞の母集団から成長させた組織であってもよい。所定の形態では、組織薄層134は、足場薄層132に合致する形状の、ほぼ無傷の組織スライスを具える。所定のその他の特徴では、組織薄層134は、生の吸引脂肪細胞あるいは吸引脂肪細胞から分離した細胞でできていても良い。
【0025】
マニフォールド薄層132と脂肪組織でできた組織薄層134間の流体連通によって、脂肪組織中の細胞が生存しつづけ、一方で、導入した組織は新血管形成がなされる(移植片組織の場合は、再血管形成)。特に、組織を通る流体フローが、代謝廃棄生成物を組織から取り除き、酸素などの栄養素を周辺組織から導入した組織へ引き込む。従って、流体フローは、組織薄層134中の細胞の生存可能性を維持するのみならず、細胞の増殖と、表面創傷102などの組織欠陥のバルキングを促進する。
【0026】
図4を参照すると、患者の身体中の組織部位に減圧を適用して表面創傷102を修復する減圧システム300の第3の実施例が示されており、これは、参照符号で示すように、図1の減圧システム100と同じ構成要素を具える。図5を参照すると、皮下創傷202に減圧を適用する第4の減圧システム400が示されており、これは、参照符号で示すように、図2の減圧システム200と同じ構成要素を具える。減圧システム300と400は、マニフォールドと複合足場以外は、システム100と200と、それぞれほぼ同じである。減圧システム300と400は、ドレッシングアッセンブリ310と410をそれぞれ具えており、このアッセンブリは各々が、分配マニフォールド320と複合足場330を具える。
【0027】
複合足場330は、また、積層336を形成する足場薄層332と組織薄層334を具え、この積層も図6に示すように、ほぼ筒状に巻かれている。巻いた積層336は、また、複合足場330内に外側端部分337と内側端部部分338を具える。この実施例では、しかしながら、分配マニフォールド320が、足場薄層332の端部ではなく、複合足場330の外側端部部分337において足場薄層332に流体連結している。足場薄層332は、減圧を組織薄層334のほぼ全長に流体連通させるのに十分な空隙率を有する。足場薄層332は、複合足場330の内側に向けて増える空隙率を有しており、複合足場330内で減圧勾配を作っている。そうでなければ、足場薄層332は、足場薄層132とほぼ同様である。複合足場330が創傷102、202のいずれかのタイプに配置されている場合、マニフォールド320が第3の導管218に流体連結され、上述した通り、複合足場330に減圧を分配する。しかしながら、この実施例では、複合足場330が創傷102、202のキャビティ内を向いているため、複合足場330の長軸が、上皮104に垂直ではなく、ほぼ平行に整列される。この分配マニフォールド320と複合足場330の構造と方向性は、例えば、上皮104と真皮106を通るように切開された表面あるいは皮下創傷といった、様々なタイプの創傷により適している。
【0028】
図7を参照すると、減圧治療システム100、200、300及び400(集合的に、「システム」と呼ぶ)は更に、第2の導管118に動作可能に連結された圧力センサ140を具え、マニフォールド120、220、320及び420(集合的に、「マニフォールド」と呼ぶ)に適用されている減圧を測定する。このシステムは、更に、圧力センサ140と減圧源112に電気的に接続された制御ユニット145を具える。圧力センサ140は、創傷102、202(集合的に「創傷」と呼ぶ)のキャビティ内の圧力を測定し、第2の導管118が血液あるいはその他の液体で塞がれているかどうかを表示することもできる。圧力センサ140は、また、制御ユニット145にフィードバックを提供しており、減圧源112によって、第2の導管118を介してマニフォールドに適用されている減圧治療を調整する。減圧治療システムは、また、第4の導管152を介して第2の導管118に流体連結されており、制御ユニット145に動作可能に接続された流体サプライ150を具える。この流体サプライ150を用いて、創傷の足場130及び330(集合的に「足場」と呼ぶ)へ成長剤及び/又は治癒剤を送達することができる。これは、限定することなく、抗菌材、抗生物質、細胞成長促進剤、灌水用流体、あるいはその他の化学活性物質を含む。このシステムは更に、第4の導管152に配置されて、この導管を通る流体フローを調整する第1のバルブ154と、減圧サプライ112と、第2の導管118と第4の導管152との間の連結点との間にある第2の導管118内に配置され、減圧フローを制御する第2のバルブ156を具えている。制御ユニット145は、第1及び第2のバルブ154、156に動作可能に接続されており、減圧及び/又は流体サプライ150からの流体のマニフォールドへの送達を、患者に投与されている特定の治療に要求される制御を行う。流体サプライ150は、上述したように、液体を送達するが、また、マニフォールドに空気を送達して創傷部位において治癒を促進しドレナージを容易にすることができる。
【0029】
図7に示す実施例では、減圧源112が電気駆動式真空ポンプである。別の実装例では、減圧源112は、手動式あるいは電力を必要としない手動充電式ポンプであってもよい。減圧源112は、どのようなタイプの減圧ポンプであっても良く、代替的に、病院やその他の医療施設で用いられているような壁吸引ポートであってもよい。減圧源112は、減圧治療ユニット(図示せず)内に収納しても良く、あるいはこのユニットと共働して使用することもできる。このユニットも、所定のセンサ、処理ユニット、アラーム表示、メモリ、データベース、ソフトウエア、ディスプレイユニット、及び創傷への減圧治療の適用をより容易にするユーザインターフェースを具えていても良い。一例では、センサ又はスイッチ(図示せず)を減圧源112に、あるいはその近傍に配置して、減圧源112で発生した減圧を測定している。このセンサは、減圧源112によって送達される減圧をモニタし、制御する制御ユニット145と通信できる。
【0030】
ここで用いられているように、用語「マニフォールド」は、組織部位への減圧を方向づけ、組織部位への流体の送達、あるいは組織部位からの流体除去をアシストするべく提供された物質又は構造を意味する。マニフォールドは、マニフォールド周囲の組織領域へ提供された、及びこの領域から除去した流体の配分を改善するべく相互接続された複数のフローチャネルあるいは経路を具えていても良い。マニフォールドの例には、限定することなく、フローチャネルを形成するよう配置された構造エレメント、開放セル発泡体などのセルラー発泡体、多孔質組織コレクション、液体、ゲル、及びフローチャネルを含む又は含む傾向にある発泡体、を有するデバイスが含まれる。本発明のマニフォールド及びその使用に関する詳細は以下に記載されている。
【0031】
ここで用いられている用語「足場」は、創傷又は欠陥に適用され、細胞の成長及び/又は組織形成用の構造マトリックスを提供する物質又は構造を意味する。足場は、しばしば、3次元多孔性構造である。足場は、細胞、成長ファクタ、細胞外マトリックス成分、栄養素、インテグリン、あるいはその他の細胞の成長を促進する物質を注入した、又はこれらで被覆された、あるいはこれらから成るものでもよい。足場は、マトリックスを通してフローに方向性を持たせることによって、マニフォールドの特徴を帯びるようになる。マニフォールドは、フローを足場及び組織に送り、減圧治療のコンテキストにおいては、マニフォールドは足場と流体連通できる。本発明による足場及びその使用に関する詳細は以下に記載されている。
【0032】
このように、本発明は、細胞レベルベースの流体フローパターンを制御する方法及び装置を開示している。これによって、マイクロスコープ、ナノスコープ、あるいはメゾスコープスケールで、構造マニフォールドと、選択的に細胞移動、分化、及び細胞の機能的再形成に必要な同様の挙動に必要な足場材料を提供する、パターン化されたたんぱく質構成を制御することができる。組織修復及び再生に関する現在の技術状態の受動的な特徴に比較して、ここに開示した方法、足場、マニフォールド、フロー源、及びシステムは、タンパク質の内因性付着と、足場又は組織スペースの細胞コロニー化を方向づける生化学的及び物理的キューを用いた暫定マトリックスの組織化を促進する能動的メカニズムを提供する。このように、本発明は、方向づけられた流体フローの活性力を外挿することによって、現在のテクノロジィを強化し、流体の影響の下に、生体の必要性に基づいてマニフォールド及び足場を設計するフレームワークを提供している。フローベクトルと経路を用いて、たんぱく質の付着と細胞のコロニー化を強化している。ここに提供したシステムは、足場又は組織部位を通って健康な組織エッジからの継ぎ目のない遷移を伴う暫定マトリックスネットワークの確立を促進し、機能的な組織連続体を促進するように設計されている。
【0033】
このように、ここに開示した装置、方法及びシステムは、インプラントした足場を介してあるいは細胞部位内に組織再生の能動的ガイダンス手段を提供して、機能回復を促進する。この能動的ガイダンスは、制御された流体フローのメカニズムを介して生じ、これを用いて、身体の自己自然治癒プロセスの初期段階を開始する、あるいは増強することができる。マニフォールドは、制御された流体フローを作るのに必要な能動的ガイダンスを提供することができる。特に、マニフォールドが提供する制御されたフローベクトルを用いて、細胞とたんぱく質の足場内への方向性のある流入を容易にすることができる。組織部位あるいは足場内における特定のフロー経路の形成によって、マニフォールド、足場あるいは組織スペース内でのコラーゲンやフィブリンなどのたんぱく質のパターン化した付着を生じさせることができる。サイトカイン、成長ファクタ、あるいは暫定マトリックス内に結合した細胞からの生化学的キューは、暫定マトリックス及び細胞外マトリックスの自然物理的キューと共働して、治癒の修復ステージの間に外因性細胞の連続的な移動を案内する。これらのキューは、健康な組織から発し、足場あるいは組織空間を通過するトラックの形で作用して、組織化した組織再生のための連続的なガイダンス経路を促進する。
【0034】
これを受けて、本開示は、流体フローの原理に基づく特別な生物学的ニーズに合うように設計した独自のマニフォールド技術を提供している。所定の態様では、本発明は創傷治癒、フロー(又は勾配)で作動する再生医療への新しい取り組みである。基本的には、この取り組みは、フロー源又はフロー発生器を具え、これは続けて形成される方向性のある暫定マトリックスを用いて、タンパク質の組織的付着及び/又は、サイトカイン及び成長ファクタの空間的濃度の勾配のための組織空間内への、あるいはこの空間からの、あるいは、この空間を通る内因性あるいは外因性流体の制御された移動に関する勾配を形成するものである。ここで規定されている組織空間には、限定されるものではないが、創傷あるいは切除を含む、組織の欠損あるいはダメージ部位を囲む領域が含まれる。
【0035】
組織空間への、組織空間を通る、あるいは組織空間からの流体フローは、マニフォールド及び/又は足場を含むシステムに追加エレメントを含めることで純化して方向づけることができる。このシステムの適合したエレメントは、フローパラメータ、経路、及び、タンパク質の制御された吸収、マトリックス組織、及び、特定の細胞タイプの組織化されたコロニー形成に影響して方向づけることができるように十分に詳細なパターンを作るように設計されている。システムの個々のエレメントは以下のとおりである。
【0036】
フロー源あるいはフロー発生器
フローは、機械的、化学的、及び/又は電気的ポテンシャルを変更する方法あるいは装置によって、組織空間内へ、組織空間を通って、あるいは組織空間から誘導される。これらのフロー発生器は、組織部位、内因性あるいは外因性流体の部位又はリザーバから、フロー発生器の位置あるいはその延長エレメント(すなわち、マニフォールド又は足場)の配置位置へ、ポテンシャルに勾配あるいは変化を付ける。一の実施例では、フロー源が、減圧源を具えている。本発明のシステム及び装置は、また、アプリケーションとマニフォールドに適用する負圧量を制御するバルブあるいはバルブアレイを具える。所定の態様では、ここに述べた足場及び/又はマニフォールドが、圧力センサを具える。このように、いくつかの実施例では、源によって適用される負圧量が、マニフォールド又は足場で、あるいは組織ダメージ部位において検出される負圧量に基づいて調整される。
【0037】
マニフォールド
フロー発生器は、流体フローを刺激する駆動力である。マニフォールドは、フロー源あるいはフロー発生器と、組織空間との間のフローパターンを改善する装置である。マクロスケールレベルのフローは、単一ポイントへ、あるいは複数の選択的に配置されたポイントへ局在化するために使用される特別なマニフォールドによって改善され、マニフォールド/足場、及び、最終的には組織空間内のマイクロスケールフロー経路の開始部位を作る。マニフォールドは、また、組織空間からの流体を除去する導管及び、組織空間へ外因性流体を送達する装置としても作用する。
【0038】
マニフォールドは、一般的に、液体、気体、及びたんぱく質、細胞、その他の部分など変形可能な物質の移動として規定される流体フローにおける変化に対して、機械的、化学的、電気的、あるいは同様の変更を行い変換をアシストする物理的物質あるいは構造を意味する。従って、この物理的デバイスは、上述したように、圧力、流体、及び足場内で流体の移動を変更できる同様の物質を退出又は排出させる単一ポイントあるいは複数のポイントを具えている。これは、限定するものではないが、細胞及び/又は治療モエティなどの外因性ファクタを、マニフォールドに存在するルーメンあるいは複数のルーメンを介して足場に導入することが含まれる。更に、ここで使用しているように、マニフォールドは、フローのポイント源に向けて足場からの流体を戻して入れるあるいは導入する、単一のポイント又は複数のポイントを具える。
【0039】
マニフォールドによって分配されるフローは、外因性たんぱく質、成長ファクタ、サイトカイン、及び細胞を、宿主内におけるこれらの定住位置から、組織空間又は足場へと組織化された態様で移動させる。これらの経路に沿ったフローの確立によって、タンパク質の付着と、宿主を足場に結合するインターフェース外因性ネットワークを作る暫定マトリックスを生じさせる。足場設計を促進するフローを用いてマニフォールドフローの開始部位の選択的な位置決めを介してこのマトリックスを足場内で延長することができる。組織化されたたんぱく質の付着と、暫定マトリックスは、足場と組織空間を通る方向性のある経路に沿って、細胞の付着と移動を刺激する、生化学的及び物理的フレームワークを提供する。結果としてできる、タンパク質、成長ファクタ、及び細胞の外因性ネットワークが基礎を提供し、この基礎に基づいて自身の組織修復と再生メカニズムの連続的段階を確立することができる。
【0040】
適所にある場合、マニフォールドは、存在するのであれば源及び足場を作るフローと共働する。フロー生成源は、負圧発生器に限定されるものではないが、正圧発生器、浸透性フロー発生器を含む。マニフォールドで確立されたフロー勾配は、足場を通って更に改善され、フロー勾配を足場に送達して、特定の欠陥に必要な場合に、この足場を通るフローを最適化する。ここに開示した実施例のほとんどが、圧力変化およびそのようなものを、方向性のある組織再生の目的で、選択的に物理的な足場を通って、流体の制御された動きに伝えることができるマニフォールドである。これらの実施例は、一般的には特定の組織の再生における特定のアプリケーションにほぼ特化しているが、特定の組織に限定されるものではない。
【0041】
組織再生のためにフローを誘導するという目的を達成するために、上述した機械的、化学的、あるいは電気的機動力の変更を、唯一の勾配源から物理的物質又は足場に向けて移して、タンパク質の吸収、マトリックスの組織化、細胞移動、及びその他の組織再生に関する挙動における細胞レベルの変化を生じさせなければならない。これらの変更は、当然、多変量であり、創傷部位あるいは組織再生の所望の部位に適用されたときに足場に適用した圧力に物理的変化を生じさせる機械的変化や、タンパク質及び/又はイオン濃度に勾配を生じさせ、その結果フローを含む浸透性勾配を作る化学的変化や、ポイント源からの電気信号を伝達する電流/イオン交換の勾配を作る電気的変化を含む。しかしながら、出願人は、勾配及び流体フローが組織修復あるいは成長を生じさせる利点を誘導する特定の機構に縛られているものではないと解するべきである。これらの勾配を組織に有利に伝えるためには、源から足場又は組織部位へ、あるいはその逆に、フロー経路を導く物理的デバイスが必要である。
【0042】
いくつかの実施例では、マニフォールドは、足場の内容物に密接同格である、あるいは足場の内容物内に物理的構造を具え、ポイント源から足場材料へこれらの変化を方向づける手段として、機械的、化学的、電気的、あるいは事実上同様のものであるかどうかにかかわらず、物理的パラメータの変更を伝達するように作用する。足場の配置に関するマニフォールドの位置に対する配置は、特定タイプの組織の、制御され、方向性のある再生を容易にするのに非常に重要である。例えば、マニフォールドは、組織薄層などのインプラントした組織が、マニフォールドと組織部位における血液源との間にあるように配置して、血液源からの流体又は間質液がインプラントした組織に、あるいはこの組織を介して流れるようにする。
【0043】
マニフォールドは、生体吸収性あるいは生体不活性材料でできていても良い。例としては、医療グレードのシリコーンポリマ、金属、ポリビニルクロリド(PVC)、及びポリウレタン(例えば、GranuFoam(登録商標))などの非生体吸収性材料が挙げられる。コラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコライド(PLGA)、ポリサッカライド(例えば、アルギン酸)、ヒドロゲル、ポリエチレングリコール、又はこれらの組み合わせといった、生体吸収性ポリマを使用することもできる。所定の態様では、マニフォールドは、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、DBM、カーボネート、あるいはバイオガラスなど、機械的に剛性である材料でできている。このような機械的に剛性である材料は、特に、硬組織の欠陥を埋めるのに使用することができる。いくつかのマニフォールドは、また、非生体吸収性材料と生体吸収性材料の混合物である。足場に使用する一般的な材料は、マニフォールドにも使用することができ、この様な材料は更に以下に詳細されている。所定の態様では、マニフォールド材料は、改良された生体吸収特性を得るために、高空隙比となるように構成されている。いくつかの実施例では、マニフォールドは、足場の特徴を具体化したものである。
【0044】
足場
組織再生の分野では生物学的及び合成足場を用いて、組織修復と再生用に、タンパク質付着と細胞の内方成長をサポートしている。足場技術におけるこの分野の現状は、タンパク質吸収と、細胞の移動のための周辺組織空間の固有の特性に頼っている。本発明によって使用する足場は、マニフォールドに連結されており、組織部位における流体フローの経路を導く物理的ガイダンスを提供して、付着したタンパク質と細胞のそれぞれの動きと移動用の道を作っている。これは、組織空間内で所定の組織化パターンをつくる暫定マトリックスの設定に一体化されている。流体フロー導入型及び勾配導入型の組織生成について述べた方法と装置は、足場の設計に直接関係する。このコンテキストにおいて、足場は、流体源からマニフォールド内のフロー開始ポイントへの、組織空間内の流体フローの経路を細胞レベルパターンに改善するように働く。足場は、マニフォールドの特徴を具体化する、あるいはマニフォールドと組み合わせて、組織部位内のフロー経路の改善を行う。所定の態様では、足場は、空隙率が高い改良型生体吸収特性を有する網状構造である。
【0045】
好適な足場材料の非限定的な例には、フィブリン、コラーゲン、あるいはフィブロネクチンなどの細胞外マトリックスタンパク質や、合成あるいは天然ポリマが含まれる。このポリマは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸−コ−グリコライド(PLGA)、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトーン、ポリカルボン酸、ポリフマル酸、カプロラクトーン、ポリアミド、ポリサッカライド(アルギン酸(例えば、アルギン酸カルシウム)及びキトサンを含む)、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリホスファゼン、ポリアンハイドライド、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリアクリレート、エチレン−ビニルアセテートポリマ、及びその他のアクリル置換セルロースアセテート、及びこれらの誘導体、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン酸ポリオレフィン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)及びナイロン、などの生体吸収性又は非生体吸収性ポリマを含む。足場は、また、ヒドロキシアパタイト、コラリンアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、あるいはその他のカルボン酸、バイオガラス、同種移植片、自家移植片、異種移植片、脱細胞化組織、あるいは上述したいずれかの複合体といったセラミックを具える。特定の実施例では、足場は、コラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸−コ−グリコライド(PLGA)、ポリウレタン、ポリサッカライド、ヒドロキシアパタイト、あるいはポリエチレングリコールを含む。更に、足場は、二つ、三つ、あるいはそれ以上の材料を、足場の別の領域にあるいは非共有結合的に組合わせて、あるいは共有結合(例えば、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレングリコールブロックコポリマ、又はターポリマといったコポリマ)、あるいはこれらの組み合わせを具えていても良い。好適なマトリックス材料は、例えば、Ma and Elisseff, 2005及びSaltzman, 2004に記載されている。
【0046】
生物活性材
所定の態様では、本発明にかかる装置及び方法は、生物活性材に関する。生物活性材は、いくつかの場合は、マニフォールドあるいは足場材料に直接組み込まれていても良い(すなわち、生物活性マニフォールド及び/又は足場を作る)。例えば、コラーゲンあるいはフィブリンなど組織の成長を容易にする物質を、マニフォールド又は足場材料の上あるいは中に直接組み入れることができる。同様に、異常な免疫反応を防ぐ必要がある(例えば、組織移植)ようなアプリケーションでは、ラパミシンなどの免疫調整材をマニフォールド又は足場構造に組み込むことができる。
【0047】
更なる態様では、水溶性生物活性材を組織のダメージ部位に、その組織部位を通るフローによって、導入することができる。例えば、マニフォールドが流体源と流体連通しており、生物活性材を流体源に導入して、これによって、マニフォールドと組織薄層に導入することができる。
【0048】
様々なアプリケーションに使用できる生物活性成長ファクタの非限定的な例は、成長ホルモン(GH)、骨形態形成たんぱく質(BMP)、形質変換成長ファクタ−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞成長ファクタ(FGF)、顆粒球−コロニー刺激ファクタ(G−CSF)、顆粒球/マクロファージ−コロニー刺激ファクタ(GM−CSF)、上皮成長ファクタ(EGF)、血小板由来成長ファクタ(PDGF)、インスリン様成長ファクタ(IGF)、脈管内皮成長ファクタ(VEGF)、肝細胞成長ファクタ/散乱ファクタ(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死ファクタ−α(TNF−α)、あるいは神経成長ファクタ(NGF)である。所定のアプリケーションでは、生物活性分子が、VEGFなどの脈管形成を導く分子であっても良い。
【0049】
組織の修復及び再生
ここに開示された装置とシステムは、以下のものを含む様々なコンテキストにおいて、組織修復及び再生に使用することができる。
【0050】
欠損細胞の修復と再生
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、損傷部位又は機能障害部位において欠損組織の再生を促す。外傷、手術、やけどあるはその他の原因(例えば、炎症あるいは自己免疫障害)による組織欠損は、本発明の方法、足場、マニフォールド、フロー源及びシステムを用いて再生することができる。
【0051】
組織病変状態の進行の遅延
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、例えば、自己免疫障害や、ブドウ球菌感染症などの消耗性感染症で生じるような、病気に冒された組織の病変進行を遅らせることができる。
【0052】
組織の生存能力の維持
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、インビボでの研究、エックスビボでの足場又はインプラントの準備、あるいはインビボでの移植において、脂肪組織などの移植された組織の生存能力を維持することができる。マニフォールドと組み合わせたフロー発生器を用いて、組織に栄養素流体フローを提供し、組織からの廃棄物の除去を制御することができる。
【0053】
組織の拡張
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、既存の組織の拡張を促進することができる。本発明の方法、足場、マニフォールド、フロー源及びシステムを用いて、追加の組織量を必要とする、あるいは所望される場合に組織の成長を促すことができる。組織の拡張は、インビボでも、例えば、必要な栄養素を組織に提供する組織培養環境などのエックスビボでもできる。ここでは、栄養素が減圧の適用によって注入される。
【0054】
組織形成の促進あるいは新しい組織形成の促進
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、自然治癒反応において組織形成速度を速めることができる。本発明の方法、足場、マニフォールド、フロー源及びシステムを用いて、暫定マトリックスの形成を強化し、安定した位置決めを容易にし、組織空間への細胞の回復を助けることによって、組織の成長を早めることができる。同様に、ここに開示した装置と方法を用いて、選択した組織部位において新しい組織の形成を促進することができる。このような新しい細胞形成を用いて、組織部位をバルキング(すなわち、体積と質量を加える)することができる。このような方法を用いて、傷害によって失われた、又は成長する間の奇型による組織特徴を再生する、あるいは特徴の外観を改良することができる。
【0055】
特定経路に沿った幹細胞の分化の刺激
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、幹細胞又はその他の多能性細胞の特定の系統への分化を刺激することができる。本発明の方法、足場、マニフォールド、フロー源及びシステムを用いたフローアプリケーションは、組織空間において発育を助ける必要がある特定の細胞系統へ多能性細胞を方向づけることができる。例えば、脂肪(例えば、茶色又は白色含脂肪細胞)前駆細胞を、組織薄層の部分として提供し、インビトロで、あるいはインビボの組織部位で、マトリックス上で成長させることができる。
【0056】
たんぱく質、マトリックス、細胞、あるいは薬剤をインビボ環境へ導入
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、外因性成長ファクタ、たんぱく質、細胞、あるいは薬剤を組織空間に導入して、組織修復、再生、及び/又は、維持を強化することができる。
【0057】
インビボでの移植用のインビボでのマトリックスの生成
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、インビボでの移植に順次使用できる、インビトロでのマトリクスの形成を容易にすることができる。
【0058】
移植組織の一体化促進
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、移植した組織の宿主環境との一体化を促進することができる。これは自己移植、同種移植、あるいは異種移植に適用することができる。移植した組織は、周辺組織から、あるいは吸引脂肪などの順次分裂した組織から、切除した全組織部位であっても良い。このようなアプリケーションでは、マニフォールド材料は、免疫抑制剤を含んでおり、組織の拒絶のチャンスを低減することができる。
【0059】
インビトロでの、細胞外マトリックス(ECM)付着と方向づけを促す
フロー発生器をマニフォールド及び/又は足場と組み合わせて、細胞と組織によって発現したECMの付着とオリエンテーションを案内することができる。ECMのオリエンテーションは、続く細胞層と組織の付着及びコロニー化を組織化し、方向づける際にインパクトを有する。
【0060】
文献
米国特許番号 4,787,906
米国特許番号 6,103,255
米国特許番号 6,135,116
米国特許番号 6,365,146
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米国特許番号 6,767,334
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米国特許番号 6,936,037
米国特許番号 6,951,553
米国特許番号 6,994,702
米国特許番号 7,004,915
米国特許番号 7,070,584
米国特許番号 7,077,832
米国特許番号 7,108,683
米国特許番号 7,160,553
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米国特許番号 7,214,202
米国特許番号 7,279,612
米国特許番号 7,316,672
米国特許番号 7,346,945
米国特許番号 7,351,250
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米国暫定特許出願 61/142,053
米国暫定特許出願 61/142,065
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PCT国際出願 WO00/61206A1
PCT国際出願 WO03/018098A2
PCT国際出願 WO03/092620A2
PCT国際出願 WO04/060148A2
PCT国際出願 WO04/105576A2
PCT国際出願 WO05/009488A2
PCT国際出願 WO05/033273A2
PCT国際出願 WO06/004951
PCT国際出願 WO06/127853
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PCT国際出願 WO07/106590A2
PCT国際出願 WO07/106591A2
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【0061】
この明細書に挙げられているすべての引用例は、ここに引用として組み込まれている。これらの引用例についての議論は、単に、著者の主張をまとめるためだけのものであり、引用例が従来技術を構成するものであるとの告白をするものではない。出願人は、引用例の正確性と関連性にチャレンジする権利を留保している。
【0062】
上記の点を考慮して、本発明の利点が達成され、その他の利点が達成される。上述の方法及び組成物には、本発明の範囲から離れることなく様々な変更を行うことができるので、上述し、図面に示したたすべての事項は、限定の意味に解釈すべきではない。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有する創傷を治療するシステムにおいて:
減圧を供給する圧力源と;
足場薄層と組織薄層を具える足場であって、当該足場薄層がエッジを有し、前記組織薄層と流体連通する積層を形成しており、当該積層が二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻かれており、前記足場が前記創傷のキャビティ内で位置決めを行い、前記創傷に減圧を提供するためのものである、足場と;
前記圧力源と前記足場に流体連通して、前記足場薄層と前記創傷に減圧を提供するマニフォールドと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムが更に、実質的に不浸透性材料で形成したドレープを具え、前記創傷内の前記足場と前記マニフォールドを覆い、前記マニフォールドによって提供される場合に、前記創傷内の減圧を実質的に維持する、ドレープを具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マニフォールドが前記足場の一方の端面近傍に、前記足場薄層の一方の端面に流体連結して配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記積層が更に、巻いた積層の端部部分を、やはり端部部分を具える足場薄層と共に具え、前記マニフォールドが前記足場薄層の端部部分と流体連通していることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織薄層が脂肪組織を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記脂肪組織が吸引脂肪由来であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織薄層が同種移植片、自己移植片、あるいは異種移植片を具えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記足場薄層が生体不活性材料あるいは生体吸収性材料でできていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記足場薄層が発泡体又はゲル材料でできていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記足場薄層が、抗生物質、抗体、及び成長ファクタからなる群から選択された生物活性剤を具えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記生物活性剤が、成長ホルモン(GH)、骨形態形成たんぱく質(BMP)、形質変換成長ファクタ−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞成長ファクタ(FGF)、顆粒球−コロニー刺激ファクタ(G−CSF)、顆粒球/マクロファージ−コロニー刺激ファクタ(GM−CSF)、上皮成長ファクタ(EGF)、血小板由来成長ファクタ(PDGF)、インスリン様成長ファクタ(IGF)、脈管内皮成長ファクタ(VEGF)、肝細胞成長ファクタ/散乱ファクタ(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死ファクタ−α(TNF−α)、あるいは神経成長ファクタ(NGF)であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項8に記載のシステムにおいて、前記足場薄層がコラーゲンでできていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マニフォールドが生物不活性材料でできていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記マニフォールドが生体吸収性材料でできていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
キャビティを有する創傷を治療する装置において:
足場薄層と組織薄層を具える足場であって、当該足場薄層がエッジを有し、前記組織薄層と流体連通する積層を形成しており、当該積層が二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻かれており、前記足場が前記創傷のキャビティ内で位置決めを行い、前記創傷に減圧を提供する、足場と;
減圧源に連結しており、前記足場に流体連通して、前記足場薄層と前記創傷に減圧を提供するポートを有するマニフォールドと;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置が更に、実質的に不浸透性材料で形成したドレープを具え、前記創傷内の前記足場と前記マニフォールドを覆い、前記マニフォールドによって提供される場合に、前記創傷内の減圧を実質的に維持する、ドレープを具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、前記マニフォールドが前記足場の一方の端面近傍に、前記足場薄層の一方の端面に流体連通して配置されていることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置において、前記積層が更に、前記巻いた積層の一方の端部に端部部分を、やはり端部部分を具える前記足場薄層と共に具え、前記マニフォールドが前記足場薄層の端部部分と流体連通していることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項15に記載の装置において、前記組織薄層が、脂肪組織を具えることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置において、前記脂肪組織が吸引脂肪由来であることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項15に記載の装置において、前記組織薄層が同種移植片、自己移植片、あるいは異種移植片を具えることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項15に記載の装置において、前記足場薄層が生体不活性あるいは生体吸収性材料でできていることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項15に記載の装置において、前記足場薄層が発泡体又はゲル材料でできていることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項15に記載の装置において、前記足場薄層が、抗生物質、抗体、及び成長ファクタからなる群から選択された生物活性剤を具えることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置において、前記生物活性剤が、成長ホルモン(GH)、骨形態形成たんぱく質(BMP)、形質変換成長ファクタ−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞成長ファクタ(FGF)、顆粒球−コロニー刺激ファクタ(G−CSF)、顆粒球/マクロファージ−コロニー刺激ファクタ(GM−CSF)、上皮成長ファクタ(EGF)、血小板由来成長ファクタ(PDGF)、インスリン様成長ファクタ(IGF)、脈管内皮成長ファクタ(VEGF)、肝細胞成長ファクタ/散乱ファクタ(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死ファクタ−α(TNF−α)、あるいは神経成長ファクタ(NGF)であることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項22に記載の装置において、前記足場薄層がコラーゲンでできていることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項15に記載の装置において、前記マニフォールドが生物不活性材料でできていることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項15に記載の装置において、前記マニフォールドが生体吸収性材料でできていることを特徴とする装置。
【請求項29】
キャビティを有する創傷を治療する方法において:
組織薄層近傍に足場薄層を配置して、前記組織薄層と流体連通する積層を形成するステップと;
前記積層を二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻くステップと;
前記創傷のキャビティ内に前記足場を配置して、前記創傷に減圧を提供するステップと;
前記足場と流体連通するマニフォールドを配置して、前記足場薄層と前記創傷に減圧を提供するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法が更に、実質的に不浸透性材料で、前記創傷内の前記足場と前記マニフォールドを覆い、前記マニフォールドによって提供される場合に、前記創傷内の減圧を実質的に維持するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法が更に、前記マニフォールドを前記足場の一方の端面近傍に、前記足場薄層の端面に流体連結して配置するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法が更に、前記巻いた積層の一方の端部近傍に、前記足場薄層の端部部分と流体連通する足場薄層を配置するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法において、前記組織薄層が、脂肪組織を具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、前記脂肪組織が吸引脂肪由来であることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法において、前記組織薄層が同種移植片、自己移植片、あるいは異種移植片を具えることを特徴とする方法。
【請求項36】
組織部位をバルキングする方法において:
組織薄層近傍に足場薄層を配置して、当該組織薄層に流体連通する積層を形成するステップと;
前記積層を二つの端面を有するほぼ円筒形状に巻くステップと;
前記組織部位内に前記足場を配置して、前記組織部位に減圧を提供するステップと;
前記足場と流体連通するマニフォールドを配置して、前記足場薄層と前記組織部位に減圧を提供するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法が更に、実質的に不浸透性材料で、前記創傷内の前記足場と前記マニフォールドを覆い、前記マニフォールドによって提供される場合に、前記創傷内の減圧を実質的に維持するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法が更に、前記マニフォールドを前記足場の一方の端面近傍に、前記足場薄層の一方の端面に流体連通して配置するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法が更に、前記巻いた積層の一方の端部近傍に、前記足場薄層の端部部分と流体連通する足場薄層を配置するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項36に記載の方法において、前記組織薄層が、脂肪組織を具えることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、前記脂肪組織が吸引脂肪由来であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項36に記載の方法において、前記組織薄層が同種移植片、自己移植片、あるいは異種移植片を具えることを特徴とする方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−513848(P2012−513848A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543718(P2011−543718)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069718
【国際公開番号】WO2010/078349
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】