説明

組電池

【課題】 溶接する端子対と端子対の間隔を広げ、溶接する端子対と端子対の間隔に挿入可能な溶接器具の種類を増やし、多様な溶接手法を採用可能とする。
【解決手段】 組電池20の各電池40の正端子61と負端子80は、外装ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部61a,80aと、突出部61a,80aの先端から外装ケースの辺に略平行する方向に延出する延出部61b,80bを有している。各電池40は、姿勢O,P,Q,Rの順に重ねられた単位が繰返して重ねられており、姿勢Oと姿勢Pの電池40の延出部61b,80b同士が重なっており、姿勢Qと姿勢Rの電池40の延出部61b,80b同士が重なっている。しかも、姿勢Oと姿勢Pの電池40の延出部61b,80bの延出方向と、姿勢Qと姿勢Rの電池40の延出部61b,80bの延出方向は逆向きである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の扁平電池を重ねるとともに重ねた電池の端子同士を接続した組電池に関する。詳しくは、重ねた扁平電池の端子同士を容易に接続することができる組電池に関する。
なお本明細書でいう電池という用語は広義に解釈するべきであり、化学反応を利用して電力を供給する狭義の電池のみならず、キャパシタやコンデンサ等のように蓄電しておいた電力を供給するデバイスをも包含する。
【背景技術】
【0002】
組電池は、複数の扁平電池を重ねて接続したものであり、正端子に負端子を接続した直列接続とすることによって高電圧の組電池を実現することができ、正端子同士を接続するとともに負端子同士を接続した並列接続とすることによって大容量の組電池を実現することができる。特許文献1に、組電池の一例が開示されている。
特許文献1の組電池2では、図6に示すように、複数の扁平電池1を、第1姿勢、第2姿勢、第1姿勢、第2姿勢の順に重ねる。第1姿勢は、紙面奥側に負端子が位置する姿勢であり、この姿勢の電池を1Xで示す。第2姿勢は、紙面奥側に正端子が位置する姿勢であり、この姿勢の電池を1Yで示す。電池の表裏を反転することによって第1姿勢で配置するか第2姿勢で配置するかを選択することができる。特許文献1の組電池2では、第1姿勢と第2姿勢に配置された2個で1組の電池単位が繰返して重ねられている。
特許文献1の組電池2では、第1姿勢の電池1Xの負端子1bと第2姿勢の電池1Yの正端子1aを重ね、第2姿勢の電池1Yの負端子1bと第1姿勢の電池IXの正端子1aを重ね合わせることによって、複数の電池を直列に接続している。
【特許文献1】特開2003−323874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
正端子1aと負端子1bを確実に接続するためには、正端子1aと負端子1bを溶接することが好ましい。特許文献1の組電池2では、正端子1aと負端子1bの組合せ(端子対)と、それに隣接する端子対との間の間隔が、電池2個分の厚みに等しい。溶接する端子対と端子対の間隔が電池2個分の厚み程度しかないと、端子対と端子対の間隔に溶接器具を挿入することができないことがある。
特許文献1の組電池2では、正端子1aには負端子1b側に向かうばね力を与え、負端子1bには正端子1a側に向かうばね力を与え、正端子1aと負端子1bがばね力で密着する接続構造を採用することによって、溶接する端子対と端子対の間隔に溶接器具を挿入できないという問題を克服している。しかしながら、正端子1aと負端子1bを溶接することによって確実に導通を確保したいとする要求が存在する。
溶接する端子対と端子対の間隔が電池2個分の厚みしかない場合、端子対と端子対の間隔に挿入できる溶接器具の種類は限られており、現状ではレーザ溶接するしかない。より安価に確実に溶接できる、例えば超音波溶接や抵抗溶接といった溶接手法を採用することができない。
【0004】
本発明は、溶接する端子対と端子対の間隔を広げることができる技術を提供する。それによって、溶接する端子対と端子対の間隔に挿入可能な溶接器具の種類を増やし、多様な溶接手法を採用可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(課題を解決するための一つの手段)
本発明の組電池は、複数の扁平電池を重ねて端子同士を接続して構成されている。組電池を構成するそれぞれの電池は、正極と負極を含む電極体と、正極に接続されている正端子と、負極に接続されている負端子と、ケースを備えている。そのケースは電極体を収容しているが、正端子と負端子はケースの外部に突出している。正端子と負端子は、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出する延出部を有している。ケースの辺に略直交するとは、扁平電池の扁平面を正面視したときに、扁平電池の辺と突出部が略直交していることをいい、扁平電池の厚み方向に傾斜していることを許容する。
組電池を構成する電池は、第1電池、第2電池、第3電池、第4電池の順に重ねられた単位が繰返して重ねられている。本発明の組電池は、第1電池と第2電池の延出部同士が重なっており、第3電池と第4電池の延出部同士が重なっており、しかも、第1電池と第2電池の延出部の延出方向と、第3電池と第4電池の延出部の延出方向が逆向きであることを特徴としている。
同一仕様の電池が異なる姿勢に配置されることによって、第1電池、第2電池、第3電池、第4電池に区分されていてもよいし、2種類の電池が異なる姿勢に配置されることによって、第1電池、第2電池、第3電池、第4電池に区分されていてもよいし、4種類の電池を用意することによって、第1電池、第2電池、第3電池、第4電池に区分されていてもよい。
接続する対端子は、正端子と負端子の組であってもいし(この結果直列に接続される)、正端子同士を接続するとともに負端子同士を接続する組であってもよい(この結果並列に接続される)。
【0006】
(その作用と効果)
本発明の組電池によると、第1電池と第2電池を接続する端子対と、第3電池と第4電池を接続する端子対は、端子が突出するケースの辺の長手方向にオフセットされた位置に存在することになる。すなわち、第1電池と第2電池を接続する端子対と、第3電池と第4電池を接続する端子対は、隣接しないことになる。この結果、第1電池と第2電池を接続する端子対に隣接する端子対は、隣接する別の単位の第1電池と第2電池を接続する端子対となり、その間には扁平電池4個分の厚みが確保される。同様に、第3電池と第4電池を接続する端子対に隣接する端子対は、隣接する別の単位の第3電池と第4電池を接続する端子対となり、その間には扁平電池4個分の厚みが確保される。
本発明の組電池によると、溶接する端子対と端子対の間に、扁平電池4個分の厚みが確保される。これは従来の組電池の2倍であり、溶接する端子対と端子対の間隔に挿入可能な溶接器具の種類が大幅に増える。例えば超音波溶接や抵抗溶接といった多種類の溶接手法から最適な溶接手法を選択することが可能となる。
【0007】
(課題を解決するための他の一つの手段)
4個で1単位を構成するそれぞれの電池が、同一仕様の電池で構成されることが好ましい。複数仕様の電池を作り分ける必要がなければ、電池の生産効率が向上する。
電池生産後に容易に後加工できるものは、完成後の電池に加工するものであって、異なる仕様の電池を生産するものではないと評価できる。例えば端子が、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出する延出部を有している場合、その延出部を折り曲げることによって延出方向を逆向きとすることができるが、これは延出方向が逆向きの2種類の電池を作り分けるというよりも、同一仕様の電池を生産するといった方が実情に即している。延出部を折り曲げることによって延出方向を逆向きとする行為は、完成後の電池に後加工する行為であると評価したほうが実情に即しているからである。
正端子と負端子が、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出するとともに折り曲げることによって延出方向が逆向きとなる延出部を有している同一仕様の電池を利用すると、同一仕様の電池を、第1姿勢、第2姿勢、第3姿勢、第4姿勢の順に重ねられた単位を繰返して重ねることによって、第1姿勢と第2姿勢の電池の延出部同士が重なっており、第3姿勢と第4姿勢の電池の延出部同士が重なっており、しかも、第1姿勢と第2姿勢の電池の延出部の延出方向と、第3姿勢と第4姿勢の電池の延出部の延出方向が逆向きである関係をえることができる。
【0008】
(その作用と効果)
上記の組電池によると、溶接する端子対と端子対の間に、扁平電池4個分の厚みが確保される。しかも、同一仕様の電池で組電池を構成することができる。
【0009】
(課題を解決するためのさらに他の一つの手段)
本発明の組電池は、下記のように定義することもできる。
組電池を構成するそれぞれの電池は、正極と負極を含む電極体と、前記正極に接続されている正端子と、前記負極に接続されている負端子と、ケースを備えている。そのケースは電極体を収容しているが、正端子と負端子はケースの異なる辺から外部に突出している。
正端子と負端子は、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出するとともに折り曲げることによって延出方向が逆向きとなる延出部を有している。
組電池を構成する電池はすべて同一仕様であり、組電池の一つの面から正端子が突出して右方に延出する第1姿勢、同一面から負端子が突出して右方に延出する第2姿勢、同一面から正端子が突出して左方に延出する第3姿勢、同一面から負端子が突出して左方に延出する第4姿勢の順に重ねられた4個で1組の電池単位が繰返して重ねられている。
【0010】
(その作用と効果)
上記定義を満たす組電池は、溶接する端子対と端子対の間に、扁平電池4個分の厚みを確保している。しかも、同一仕様の電池で組電池を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に発明を実施するための最良の形態を列記する。
(形態1)正端子はケースの一辺から外部に突出し、負端子はそれに対向する反対側の辺から外部に突出している。
(形態2)正端子の延出部と負端子の延出部は同一方向に延出している。折り曲げることによって、逆向きに延出する。
(形態3)の正端子の延出部と負端子の延出部は逆向きに延出している。折り曲げることによって、同一方向に延出する。
【実施例】
【0012】
図面を参照して本発明を具現化した実施例を説明する。図1は組電池20の斜視図であり、図2は組電池20の側面図であり、図3は組電池20の平面図である。図1、図2及び図3に示すように、組電池20は、複数の電池40を重ね合せるように配列して構成されている。組電池20を構成する各電池40は、同一仕様で生産されている。
各電池40は、外装ケースとして二枚のラミネートフィルムを使用し、その間に扁平状の電極体(図示省略)を挟んで密閉して収容している。ラミネートフィルムは、アルミニウム等の金属シートの片面に、接着材層を介して熱溶着性の樹脂層を重ね合せた薄いフィルムである。電極体は、金属シート状箔材の表面に正極活物質が形成された正極と、樹脂製の多孔質膜シートであるセパレータと、金属シート状箔材の表面に負極活物質が形成された負極と、前記と同様のセパレータの組を積層して扁平状としたものである。各電池40は、二枚のラミネートフィルムの間に電極体を挟み、電極体の周囲のラミネートフィルム(以下、周縁部10という)を熱溶着することで、電極体を密閉している。
【0013】
電極体の正極には正端子61又は62が接続され、負極には負端子80が接続されている(なお正端子61,62は同一のものであるが、型付けした後の延出方向が異なる(後述する)ため便宜的に二つに区別している)。電池40の正端子61又は62は、外装ケースの一辺から外部に突出し、負端子80は、それに対向する反対側の外装ケースの辺から外部に突出している。
図1及び図3に示すように、正端子61は、突出部61aと延出部61bを有しており、負端子80は、突出部80aと延出部80bを有している。正端子61の突出部61aと負端子80の突出部80aはそれぞれ、電池40の扁平面を正面視したときに、外装ケースの辺に略直交する方向に周縁部10から外部に突出している。正端子61の延出部61bと負端子80の延出部80bはそれぞれ、電池40の扁平面を正面視したときに、突出部61a又は突出部80aの先端から外装ケースの辺に略平行する方向に延出している。また図示していないが、正端子62も同様に、突出部62aと延出部62bを有しており、突出部62aは、電池40の扁平面を正面視したときに、外装ケースの辺に略直交する方向に周縁部10から外部に突出しており、延出部62bは、電池40の扁平面を正面視したときに、突出部62aの先端から外装ケースの辺に略平行する方向に延出している。一つの電池40では、正端子61の延出部61bと負端子80の延出部80bの延出方向は同じとされている。あるいは、正端子62の延出部62bと負端子80の延出部80bの延出方向は同じとされている。
【0014】
組電池20を組付けるために、各電池40の正端子61,62及び負端子80は、次のように型付けされている。
正端子61は、図4(1)に示す逆L字型の薄板を、(2)のように折線hと折線iで折り曲げることによって、型付けされている。負端子80も同様に型付されている。
一方、正端子62は、図5(1)に示す逆L字型の薄板を、まず(2)のように折線hと折線iで折り曲げ、さらに(3)のように折線gで反対側に折り返すことによって、型付けされている。
【0015】
以上のように構成される各電池40は、図1及び図2に示すように、O,P,Q,Rの姿勢の順で配列され、この配列順を繰り返すことで組電池20が構成される。
姿勢O:正端子61の延出部61b及び負端子80の延出部80bを右方向(図1の紙面右奥方向。以下同じ)に延出するようにして、正端子61を上方に、負端子80を下方にした姿勢。
姿勢P:負端子80の延出部80bを右方向に延出するようにし、正端子62の延出部62bを左方向(図1の紙面左手前方向。以下同じ)に延出するようにして、負端子80を上方にして、正端子62を下方にした姿勢。
姿勢Q:正端子61の延出部61b及び負端子80の延出部80bを左方向に延出するようにして、正端子61を上方、負端子80を下方にした姿勢。
姿勢R:負端子80の延出部80bを左方向に延出するようにし、正端子62の延出部62bを右方向に延出するようにして、負端子80を上方、正端子62を下方にした姿勢。
【0016】
正端子61又は正端子62と負端子80の型付けと、O,P,Q,Rの姿勢の配列順によって、図1、図2及び図3に示すように、姿勢Oの電池40の正端子61の延出部61bが、姿勢Pの電池40の負端子80の延出部80bと重なり、姿勢Pの正端子62の延出部62bが、姿勢Qの電池40の負端子80の延出部80bと重なり、姿勢Qの電池40の正端子61の延出部61bが、姿勢Rの電池40の負端子80の延出部80bと重なり、姿勢Rの正端子62の延出部62bが、次の姿勢Oの電池40の負端子80の延出部80bと重なる。
これにより、複数の電池40が直列に接続されることとなる。
【0017】
また、図1及び図3によく示されるように、重なり合う正端子61と負端子80の延出部61b,80bの組合せ(以下、延出部対Aという)が、同一方向に延出することとなる。また、隣合う延出部対Aと延出部対Aでは互いに反対方向に延出することとなる。例えば、延出部対A1は右方向に延出しており、延出部対A2は左方向に延出しており、延出部対A3は右方向に延出しており、延出部対A4は左方向に延出しており、延出部対A5は右方向に延出している。
また図示していないが、同様に、重なり合う正端子62と負端子80の延出部62b,80bの組合せ(以下、延出部対Bという)も、同一方向に延出することとなる。また、隣合う延出部対Bと延出部対Bでは互いに反対方向に延出することとなる。例えば、延出部対B1は右方向に延出しており、延出部対B2は左方向に延出しており、延出部対B3は右方向に延出しており、延出部対B4は左方向に延出しており、延出部対B5は右方向に延出している(なおB1は負端子80の延出部80bのみであり、B6は正端子62の延出部62bのみで構成されている)。
【0018】
以上の組電池20では、図3によく示されているように、同じ延出方向の延出部対Aと延出部対Aの間(延出部対A1−延出部対A3間、延出部対A2−延出部対A4間、延出部対A3−延出部対A5間)に、1つの延出部対A分のスペース(電池40×4個分の厚みのスペース)が確保される。
なお図示していないが、同様に、同じ延出方向の延出部対Bと延出部対Bの間(延出部対B1−延出部対B3間、延出部対B2−延出部対B4間、延出部対B3−延出部対B5間、延出部対B4−延出部対B6間)にも、1つの延出部対B分のスペース(電池40×4個分の厚みのスペース)が確保される。
【0019】
同じ延出方向の延出部対Aと延出部対Aの間に、図示しない溶接器具を挿入して、延出部対Aを溶接接合する。また、同じ延出方向の延出部対Bと延出部対Bの間に、溶接器具を挿入して、延出部対Bを溶接接合する。これにより、複数の電池40を組付けた組電池20が作製される。
【0020】
以上のように、本実施例では、扁平状の電池を重ねて接合した組電池において、重なり合う正端子と負端子の延出部対を同一方向に延出させ、隣合う延出部対と延出部対では互いに反対方向に延出させる。これにより、同じ延出方向の延出部対と延出部対の間に、1つの延出部対分のスペース(電池×4個分の厚みのスペース)を確保することができ、挿入可能な溶接器具の種類が大幅に増え、組電池の組付作業が容易となる。
また、必要に応じて、正端子又は負端子の延出部を元の延出方向と反対側に折り返す型付けを行うことにより、組電池を構成する全ての電池を同一仕様で生産することができ、高い生産効率を維持することができる。
【0021】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本実施例では、外装材として二枚のラミネートフィルムを使用していたが、これに限られるものではない。1枚のラミネートフィルムを折り曲げて3辺を溶着することにより、電極体を密閉収容してもよい。あるいは、外装材としてアルミ等の金属板に絶縁シートを貼付したものを使用してもよい。
本実施例では、電極体を、正極とセパレータと負極とセパレータの組を積層して扁平状に形成していたが、これに限られるものではない。例えば正極とセパレータと負極とセパレータの組を捲回して扁平状に形成してもよい。また、複数のセパレータを用いずに、一つのセパレータのみを用いてもよい。
本実施例では、各電池において正端子は外装ケースの一辺から外部に突出し、負端子はそれに対向する反対側の外装ケース辺から外部に突出するようにしていたが、これに限られるものではない。図6に示す特許文献1の電池のように、正端子と負端子が外装ケースの同一の辺から外部に突出するようにしてもよい。
本実施例では、各電池において正端子の延出部の延出方向と負端子の延出部の延出方向を同一方向としていたが、これに限られるものではない。各電池において正端子の延出部の延出方向と負端子の延出部の延出方向を反対としてもよい。この場合も、一部の電池の正端子又は負端子の延出部を、元の延出方向と反対側に折り返すことで、重なり合う正端子と負端子の延出部対を同一方向に延出し、隣合う延出部対と延出部対では互いに反対方向に延出することができる。
本実施例では、複数の電池を直列に接続していたが、並列に接続してもよい。あるいは、直列に接続したもの同士を並列に接続してもよい。
本実施例では、姿勢O,P,Q,Rの配列順で1組としていたが、これに限られるものではない。1組の単位の区切りは任意であり、姿勢P,Q,R,Oの配列順で1組としてもよいし、姿勢Q,R,O,Pの配列順で1組としてもよいし、姿勢R,O,P,Qの配列順で1組としてもよい。いずれかを1組として請求項の要件を満たすときに、本発明を実施したことになる。
本実施例では、各電池を同一仕様で生産していたが、これに限られるものではない。延出方向が反対である二仕様の電池を用意してもよいし、さらには四仕様の電池を用意してもよい。重要なことは、4個の電池で1組とし、隣合う延出部対と延出部対とでは延出方向を反対にすることにある。これによって、挿入可能な溶接器具の種類が大幅に増え、組電池の組付作業が容易となる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】組電池の斜視図。
【図2】組電池の側面図。
【図3】組電池の上面図。
【図4】端子の型付け方法を説明する図。
【図5】端子の型付け方法を説明する図。
【図6】従来技術に係る組電池の斜視図。
【符号の説明】
【0023】
10:周縁部、
20:組電池、
40:電池、
61,61a,61b:正端子、正端子の突出部、正端子の延出部、
62,62a,62b:正端子、正端子の突出部、正端子の延出部、
80,80a,80b:負端子、負端子の突出部、負端子の延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扁平電池を重ねて接続した組電池であり、
各電池は、正極と負極を含む電極体と、前記正極に接続されている正端子と、前記負極に接続されている負端子と、正端子と負端子が外部に突出した状態で電極体を収容しているケースを備えており、
正端子と負端子は、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出する延出部を有しており、
組電池を構成する電池は、第1電池、第2電池、第3電池、第4電池の順に重ねられた単位が繰返して重ねられており、
第1電池と第2電池の延出部同士が重なっており、
第3電池と第4電池の延出部同士が重なっており、しかも、
第1電池と第2電池の延出部の延出方向と、第3電池と第4電池の延出部の延出方向が逆向きであることを特徴とする組電池。
【請求項2】
複数の扁平電池を重ねて接続した組電池であり、
各電池は、正極と負極を含む電極体と、前記正極に接続されている正端子と、前記負極に接続されている負端子と、正端子と負端子が外部に突出した状態で電極体を収容しているケースを備えており、
正端子と負端子は、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出するとともに折り曲げることによって延出方向が逆向きとなる延出部を有しており、
組電池を構成する電池はすべて同一仕様であり、第1姿勢、第2姿勢、第3姿勢、第4姿勢の順に重ねられた単位が繰返して重ねられており、
第1姿勢と第2姿勢の電池の延出部同士が重なっており、
第3姿勢と第4姿勢の電池の延出部同士が重なっており、しかも、
第1姿勢と第2姿勢の電池の延出部の延出方向と、第3姿勢と第4姿勢の電池の延出部の延出方向が逆向きであることを特徴とする組電池。
【請求項3】
複数の扁平電池を重ねて接続した組電池であり、
各電池は、正極と負極を含む電極体と、前記正極に接続されている正端子と、前記負極に接続されている負端子と、正端子と負端子が異なる辺から外部に突出した状態で電極体を収容しているケースを備えており、
正端子と負端子は、ケースの辺に略直交する方向に突出する突出部と、その突出部の先端からケースの辺に略平行する方向に延出するとともに折り曲げることによって延出方向が逆向きとなる延出部を有しており、
組電池を構成する電池はすべて同一仕様であり、組電池の一つの面から正端子が突出して右方に延出する第1姿勢、同一面から負端子が突出して右方に延出する第2姿勢、同一面から正端子が突出して左方に延出する第3姿勢、同一面から負端子が突出して左方に延出する第4姿勢の順に重ねられた4個で1組の電池単位が繰返して重ねられていることを特徴とする組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−179411(P2006−179411A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373738(P2004−373738)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】