説明

組電池

【課題】電池の端子形成面に直交する方向の寸法を抑制することが可能な組電池を提供すること。
【解決手段】バスバー24は、単電池13の正極端子13bに接続する第1接続部241と、単電池14の負極端子14aに接続する第2接続部242と、第1接続部241と第2接続部242とを繋ぐ連結部243とから構成されており、連結部243は、湾曲形状をなして、単電池13と単電池14との間に入り込むように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を接続して構成された組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、並設方向に直交する同じ側に端子が位置するように電池を並設し、並設された電池の端子間を接続部材で電気的に接続する組電池がある。このような組電池において、接続部材を、それぞれの端子に接続する一対の接続部と、一対の接続部を繋ぐ湾曲した連結部とで構成し、湾曲した連結部を電池から離れる方向に突出させた組電池が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−125301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の組電池では、並設された電池の端子が設けられた側で、接続部材の湾曲した連結部が電池から離れる方向に突出しているので、電池の端子形成面に直交する方向において組電池の寸法が大きくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、電池の端子形成面に直交する方向の寸法を抑制することが可能な組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
第1の端子(13b)を有する第1の電池(13)と、
第1の電池(13)に並設され、第2の端子(14a)を有する第2の電池(14)と、
第1の端子(13b)と第2の端子(14a)とを電気的に接続する接続部材(24)と、を備え、
第1の端子(13b)および第2の端子(14a)がそれぞれの電池(13、14)において電池並設方向に直交する方向の同じ側に配設されるように、第1の電池(13)および第2の電池(14)が並設されており、
接続部材(24)は、第1の端子(13b)に接続する第1接続部(241)と、第2の端子(14a)に接続する第2接続部(242)と、第1接続部(241)と第2接続部(242)とを繋ぐ連結部(243)と、を有し、
連結部(243)は、湾曲形状をなして、第1の電池(13)と第2の電池(14)との間に配設されていることを特徴としている。
【0007】
これによると、接続部材(24)の湾曲した連結部(243)は、並設された第1の電池(13)と第2の電池(14)との間に入り込むように配設される。したがって、連結部(243)が第1の電池(13)および第2の電池(14)から離れる方向に突出することはない。このようにして、電池の端子形成面に直交する方向の組電池の寸法を抑制することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、第1接続部(241)および第2接続部(242)は、第1の端子(13b)および第2の端子(14a)に、溶接もしくは接着により接続されていることを特徴としている。
【0009】
これによると、例えば螺子止め等により接続する場合よりも、接続部材(24)の第1接続部(241)と第1の端子(13b)との接続、および、接続部材(24)の第2接続部(242)と第2の端子(14a)との接続を、比較的容易に行うことが可能である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、第1の端子(13b)および第2の端子(14a)は、第1の電池(13)および第2の電池(14)のそれぞれの本体部から突出しており、第1接続部(241)および第2接続部(242)は、第1の端子(13b)および第2の端子(14a)のそれぞれの先端面(13b1、14a1)に当接した状態で接続されていることを特徴としている。
【0011】
これによると、接続部材(24)の第1接続部(241)は突出した第1の端子(13b)の先端面(13b1)に接続され、接続部材(24)の第2接続部(242)は突出した第2の端子(14a)の先端面(14a1)に接続されている。したがって、第1接続部(241)を第1の端子(13b)に接続するとともに、第2接続部(242)を第2の端子(14a)に接続する際に、各端子先端面(13b1、14a1)の延在方向における両接続部(241、242)と両端子(13b、14a)との位置関係の設定自由度が大きい。これにより、第1の端子(13b)と第2の端子(14a)との間隔にばらつきがあったり、第1接続部(241)と第2接続部(242)との間隔にばらつきがあったとしても、第1接続部(241)と第1の端子(13b)との接続、および、第2接続部(242)と第2の端子(14a)との接続を、容易に行うことができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、第1の端子(13b)および第2の端子(14a)は、第1の電池(13)および第2の電池(14)のそれぞれの本体部から突出しており、第1接続部(241)および第2接続部(242)は、第1の端子(13b)および第2の端子(14a)のそれぞれの側面(13b2、14a2)に接触した状態で接続されていることを特徴としている。
【0013】
これによると、接続部材(24)の第1接続部(241)は突出した第1の端子(13b)の側面(13b2)に接続され、接続部材(24)の第2接続部(242)は突出した第2の端子(14a)の側面(14a2)に接続されている。したがって、第1の端子(13b)の突出方向への第1接続部(241)の突出量を抑制することができる。また、第2の端子(14a)の突出方向への第2接続部(242)の突出量を抑制することができる。このようにして、電池の端子形成面に直交する方向の組電池の寸法を確実に抑制することができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、第1接続部(241)および第2接続部(242)には、それぞれ開口(24a)が形成されており、第1接続部(241)および第2接続部(242)は、それぞれの開口(24a)の周縁部が、第1の端子(13b)および第2の端子(14a)に接触した状態で接続していることを特徴としている。
【0015】
これによると、各接続部(241、242)の開口(24a)の内周に沿って溶接加工もしくは接着剤塗布加工を行うことにより、第1接続部(241)と第1の端子(13b)との接続、および、第2接続部(242)と第2の端子(14a)との接続を、一層容易に行うことが可能である。
【0016】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における組電池1の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】図3の一部をさらに拡大した断面図である。
【図5】組電池1および排煙ダクト6の構成を説明するための分解斜視図である。
【図6】組電池1の構成を説明するための分解斜視図である。
【図7】組電池1を備える電池パックについてカバー60を外した状態の平面図である。
【図8】カバー60を装着した電池パックの斜視図である。
【図9】バスバー24と電極端子13b、14aとの溶接加工の一例を示す断面図である。
【図10】第2の実施形態における組電池の要部拡大断面図である。
【図11】第3の実施形態における組電池の要部拡大断面図である。
【図12】比較例におけるバスバーと電極端子との溶接加工の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態における組電池1の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。図3は、図2の要部拡大断面図であり、図4は、図3の一部をさらに拡大した断面図である。
【0020】
また、図5は、組電池1および排煙ダクト6の構成を説明するための分解斜視図であり、図6は、組電池1の構成を説明するための分解斜視図である。また、図7は、組電池1を備える電池パックについてカバー60を外した状態の平面図であり、図8は、カバー60を装着した電池パックの斜視図である。
【0021】
図8に示す電池パックは、例えばイグニッションスイッチがオン状態であっても車両が走行状態から停止した際にはエンジンを停止するアイドルストップ機能を備えるアイドルストップ車両に搭載される。電池パック内の組電池は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池からなる単電池をバスバー等で複数個直列接続して構成され、鉛蓄電池の補助電池として使用されるものである。電池パックは、例えば車室内の前席シート下等に配設される。
【0022】
電池パックは、例えば内燃機関と電池に充電された電力によって駆動されるモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いるものであってよい。電池パックの組電池を構成する二次電池は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン電池、有機ラジカル電池であり、ケース内に収納された状態で自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置することができる。
【0023】
本実施形態の組電池1を構成する複数個の単電池は、例えばアルミ缶等の外殻を構成する外装ケースを有し、直方体状の外装ケースの一端面から突出する正極端子および負極端子からなる電極端子をそれぞれ有する。組電池1は、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバーを備える。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、組電池1は、一例として5個の単電池10、11、12、13、14で構成されている。5個の単電池10〜14のそれぞれは、電池ケース7内の所定の位置に収納されることで、一体となって組電池1を構成している。
【0025】
組電池1を構成する5個の単電池10〜14は、直方体状の外装ケースの厚み方向Xに単電池を積層してなる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3を複数形成する。第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13および単電池14を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11および単電池12を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。
【0026】
単電池10の負極端子10aは、バスバー20に通電接続されており、さらにバスバー20が螺子止め等で車両側に接続されることにより、車両のグランドに接続される。バスバー20の端部は、第1の積層電池群2下部から側方に延びており、すなわち、組電池1Cの下部側面から横方向に延びる形状である。単電池10の正極端子10bは、バスバー21によって単電池11の負極端子11aに接続されている。単電池11の正極端子11bは、バスバー22によって単電池12の負極端子12aに接続されている。単電池12の正極端子12bは、バスバー23によって単電池13の負極端子13aに接続されている。
【0027】
単電池13の正極端子13bは、バスバー24によって単電池14の負極端子14aに接続されている。単電池14の正極端子14bは、バスバー25に通電接続されており、さらにバスバー25が螺子止め、はんだ付け等でパワー基板50に接続されることにより、パワー基板50に電気的に接続される。
【0028】
これにより、組電池1のすべての単電池10〜14は、図1の破線で示したとおり、正面視で電流が蛇行状に流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続される。このようにバスバー20〜25は、隣接する電池端子間を、斜め方向に接続する構成ではなく、上下方向および左右方向にのみ接続する構成となっている。
【0029】
バスバー21〜24は、隣り合う単電池の電池端子間を接続する接続部材である。隣接する電池端子間を図示左右方向に接続するバスバー21、23と、隣接する電池端子間を図示上下方向に接続するバスバー22、24とは、各部の寸法等が若干異なるものの、実質的には同一の構成を有している。したがって、バスバーの構成およびバスバーと電池端子との接続形態等については、バスバー24を用いて以下説明する。
【0030】
図2に示すように、単電池13、14は、電池ケース7内に収容されて図示上下方向に並設されている。単電池13は、本体部から図示左方に突出した正極端子13bを有している。一方、単電池14は、本体部から図示左方に突出した負極端子14aを有している。ここでは、単電池13が本発明の第1の電池に相当し、正極端子13bが第1の端子に相当する。また、単電池14が第2の電池に相当し、負極端子14aが第2の端子に相当する。バスバー24は、第1の端子と第2の端子とを電気的に接続する接続部材に相当する。
【0031】
図3にも示すように、バスバー24は、例えば金属平板部材をプレス加工して、平板状の第1接続部241、平板状の第2接続部242、および、第1接続部241と第2接続部242とを繋ぐ連結部243が一体的に形成されている。連結部243は、図示から明らかなように、湾曲形状(断面がU字形状)をなしている。バスバー24の第1接続部241、第2接続部242には、それぞれの略中央部に矩形状の開口24aが設けられている。
【0032】
図4にも示すように、単電池13の図示左方に突出した略角柱状の正極端子13bには、先端部近傍において段部13b3が形成されている。正極端子13bの先端面13b1と段部13b3との突出方向(図示左右方向)の距離は、バスバー24の第1接続部241の厚さとほぼ同等となっている。
【0033】
単電池14の図示左方に突出した略角柱状の負極端子14aにも、先端部近傍において段部14a3が形成されている。負極端子14aの先端面14a1と段部14a3との突出方向(図示左右方向)の距離は、バスバー24の第2接続部242の厚さとほぼ同等となっている。
【0034】
バスバー24の2つの開口24aは、正極端子13bの段部13b3よりも先端側の形状および負極端子14aの段部14a3よりも先端側の形状に対応して形成されている。したがって、第1接続部241の開口24aの内周面は、正極端子13bの段部13b3よりも先端側の側面13b2に沿っており、第2接続部242の開口24aの内周面は、負極端子14aの段部14a3よりも先端側の側面14a2に沿っている。
【0035】
第1接続部241の開口24aの内周の沿った縁部は、正極端子13bの段部13b3よりも先端側の側面13b2に、例えばレーザ溶接加工により接続されている。また、第2接続部242の開口24aの内周の沿った縁部は、負極端子14aの段部14a3よりも先端側の側面14a2に、例えばレーザ溶接加工により接続されている。各接続部241、242と各端子13b、14aとの接続は、レーザ溶接に限らず、アーク溶接や、導電性接着剤等による接着によりなしてもよい。また、バスバーの各接続部と単電池の電極端子とを圧接し、当該圧接状態を維持するように各接続部を単電池に接着するものであってもよい。
【0036】
並設された単電池13および単電池14において、電池並設方向に直交する方向のうち同じ側に正極端子13bおよび負極端子14aが配設されている。
【0037】
そして、バスバー24に湾曲形状の連結部243を設けることにより、正極端子13bと負極端子14aとの間隔が組電池毎にばらついている場合であっても、第1接続部241と正極端子13bとの接続、および、第2接続部242と負極端子14aとの接続を容易に行うことができるようになっている。また、バスバー24による正極端子13bと負極端子14aとの接続後に、振動や温度変化等により正極端子13bと負極端子14aとの相対的な位置関係が変動した場合であっても、これを吸収して、接続信頼性を確保することができるようになっている。
【0038】
バスバー24の連結部243は、正極端子13bおよび負極端子14aの突出方向とは逆方向に湾入している。すなわち、バスバー24の連結部243は、単電池13と単電池14との間に配設されている。
【0039】
電池ケース7に収容された単電池13、14を図示左方から覆う絶縁カバー8には、正極端子13bおよび負極端子14aの突出方向とは逆方向に入り込むバスバー24の連結部243を受け入れる凹部8cが形成されている。また、図2に示すように、凹部8cよりも図示右方の絶縁カバー8および電池ケース7は、単電池13、14との間に若干のクリアランスが設けられるように形成されている。
【0040】
この単電池との間にクリアランスを設ける構成は、単電池13と単電池14との間に入り込む連結部243を受け入れる凹部8cを設けるために必要な図示上下寸法を利用して達成される。電池ケース7、絶縁カバー8と、単電池13、14との間に設けたクリアランスには、空気を流通することが可能であり、単電池13、14からの放熱性を向上することができる。
【0041】
なお、バスバー20、25は、車両のグランドやパワー基板50に接続される側の接続部を除いて、バスバー21〜24と同等の構成をなしている。
【0042】
各単電池における外装ケースには、安全弁が設けられている。各安全弁は、正極端子と負極端子の間に位置し、単電池の内部圧力が異常な圧力になるときに破断するように設定されている。安全弁は、例えば、単電池の外装ケースの端面に開口した孔に薄い金属膜を貼り付けて塞いで構成されている。この場合には、単電池の内部圧力が異常な圧力になったときに、当該金属膜が破断して外装ケースの孔が開放されて、単電池の内部のガスが外装ケース外部に放出されることにより、セル内圧が低下し、単電池自身の破裂を防止することができる。
【0043】
図1に示すように、正面視で、安全弁10c、安全弁13cおよび安全弁14cが厚み方向Xに並ぶように配置され、安全弁11cおよび安全弁12cが厚み方向Xに並ぶように配置されている。
【0044】
図5および図6に示すように、絶縁カバー8は、バスバー20〜25と単電池10〜14の外装ケースとを絶縁し、少なくとも安全弁10c〜14cおよび電極端子を除く外装ケースの端面部分を覆うように設けられている。すなわち、絶縁カバー8には、外装ケースの端面を覆うように絶縁カバー8を装着したときに、各安全弁の対応する位置に安全弁よりも大きい開口部が形成されるとともに、各電極端子の対応する位置に電極端子よりも大きい開口部が形成されている。したがって、各安全弁および各電極端子は、電池ケース7に収容されて一体となる組電池1に絶縁カバー8を装着した状態では、各開口部の内側にあって、絶縁カバー8に覆われることなく露出することになる。
【0045】
さらに、絶縁カバー8は、各バスバーを位置決めするための凹部8cを、組電池1が必要とするバスバーの個数分備えている。各バスバーには、単電池の電極端子を挿通する開口部が形成されている。絶縁カバー8の各凹部8cに対応する各バスバーを嵌めこむと、接続対象の電極端子が各バスバーの開口部に嵌まり、各単電池とバスバーとの位置関係が適正に決まることになる。絶縁カバー8の各凹部8cに所定の各バスバーを嵌めこむ位置決め工程により、各バスバー20の位置が規制されるので、バスバーと接続対象の電極端子との溶接等の接合工程を迅速、かつ正確に行うことに貢献し、またバスバーが接触すべきでない部品に触れることを妨げて短絡等の不適切な接続や部品の損傷等を未然に防止することができる。
【0046】
接続対象である複数個の電極端子を複数個のバスバーによって接続する工程を実施する場合には、まず、各単電池を電池ケース7の所定の位置に設置して収容する。次に、単電池10〜14が収容された電池ケース7に対して絶縁カバー8を装着する。このとき、電池ケース7および絶縁カバー8の上部および下部は、2個のクリップ33を用いて締結され、左右の側部は2個のクリップ32を用いて締結される。次に、電池ケース7および単電池10〜14と一体に組み立てられた絶縁カバー8の6個の凹部8cに対して、それぞれ対応する所定のバスバーを嵌め込む。この状態で、各バスバーの開口部には、対応する所定の電極端子が挿通されている。さらに、例えばレーザー溶接、アーク溶接等の溶接により、各バスバーと各電極端子とを接合する。
【0047】
図1に示すように、第2の積層電池群3と第1の積層電池群2は、積層個数の違いによる段差空間4を形成する。この場合、段差空間4は、単電池約1個分の厚み寸法に相当する段差をなしている。この段差空間4には、複数個の単電池10〜14の状態を検出するための制御基板5が配置されている。なお、制御基板5は、単電池を収容する電池ケース7に立てられたボスに載置されて螺子止め固定されている。
【0048】
また、図7に示すように、パワー基板50は、端子台51に接続され、ワイヤハーネス52を介して制御基板5や車両に接続されている。このようにして、組電池1を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。
【0049】
図5に示すように、組電池1は、内部の排煙用通路6aにすべての安全弁10c〜14cを露出するように設けられる排煙用ダクト6を備えている。排煙用ダクト6は、耐熱性を有する材料で形成され、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレン樹脂(PE)、難燃剤を添加した各種樹脂等で形成される。排煙用ダクト6の有する耐熱性は、単電池の内部が異常な高圧状態になって、内部のガスが安全弁の破断によって噴き出しても、ダクト部分が溶けないで破損しない耐熱能力を有することである。また、電池ケース7および絶縁カバー8は、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP樹脂)、フィラーやタルクを含有するPP樹脂等の合成樹脂で形成されている。さらに、電池ケース7および絶縁カバー8は、排煙用ダクト6と同様に耐熱性を有する樹脂で形成されていることが好ましい。
【0050】
排煙用ダクト6は、水平方向に延びる筒状体であり、絶縁カバー8に組み付けたときのすべての安全弁10c〜14cに対応する位置に安全弁よりも大きい開口部を備えている。当該開口部の周縁部は、絶縁カバー8に組み付けたときに、パッキン30、31を間に挟み込んで、安全弁10c〜14cの周囲の外装ケース表面に密着して接触する。当該開口部の周縁表面部とパッキン30およびパッキン31とは、排煙用ダクト6と外装ケースとの気密度の確保に寄与する。さらに排煙用ダクト6には、排煙用通路6aと連通し、側部から外方に延びる内部通路を形成する導出ダクト部6bを備えている。導出ダクト部6bは、排煙用通路6aに噴出したガスを組電池1から離れた外部へ排出する機能を果たす。
【0051】
パッキン30、31を備える代わりに、排煙用ダクト6において安全弁10c〜14cの周縁部を押さえる部分にエラストマー等の軟性の高い樹脂を二色成形等により設けるようにしてもよい。
【0052】
排煙用ダクト6には、電圧検知用端子40が設けられている。電圧検知用端子40は、段差空間4に上方に突出するように延びており、前述の段差空間4に配置される制御基板5に接続される。電圧検知用端子40には、組電池1の所定の電位を測定する電圧検知センサの検出信号が出力されるようになっており、当該検出信号は制御基板5に出力される。
【0053】
排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6cを備えている。さらに、排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6dを備えている。
【0054】
一方、絶縁カバー8には、2個の爪部6cのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8aが設けられ、2個の爪部6dのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8bが設けられている。排煙用ダクト6を絶縁カバー8に組み付けたときに、上下2個の各爪部6cが対応する係合片8aの内壁面に係合し、上下2個の各爪部6dが対応する係合片8bの内壁面に係合する。これにより、排煙用ダクト6の移動方向が規制されて、排煙用ダクト6が絶縁カバー8側に押し付けられるようにパッキン30、31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0055】
図7および図8に示すように、ベース9は、制御基板5が載置固定された組電池1、パワー基板50、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9は、例えば、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP)、強度向上のためのフィラーやタルク含有のPP等の合成樹脂で形成されている。ベース9は、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1等を上方から覆うカバー60を取り付けるための取付部とを備えている。このように主要部品が固定されるベース9にカバー60で蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0056】
電池監視装置は、組電池1の状態を監視する電池ECUであり、制御基板5に搭載される。電池監視装置は、組電池1の状態に関する情報を検出するために、組電池1の所定の位置に設置された検出端子から延びる複数の検出線を介して、組電池1に接続されている。検出線は、例えば、組電池1の電圧、温度等の情報を電池監視装置に送信するための通信線である。検出端子は、組電池1の状態に関わる情報を検出する電圧計測素子、温度センサ、その他の各種センサである。
【0057】
電池パックは、複数個の単電池10〜14の充電、放電、電池温度監視等を行う電子部品を有する。例えば、電子部品は、DC/DCコンバータ、インバータ、パワー基板50に搭載されるパワー素子、制御基板5に搭載される各種電子部品、各種の電子式制御装置等である。電池パックには、例えば電圧、温度等の電池の状態を監視する各種センサからの検出結果が入力される電池監視装置と、電池監視装置と通信可能に構成されDC/DCコンバータの電力授受を制御するとともに、送風装置のモータ等の駆動を制御する制御装置と、各機器を接続するワイヤハーネス等と、が含まれる。また、電池パックには、送風を提供して各単電池を冷却する送風装置を含むようにしてもよい。
【0058】
上述の構成の組電池1によれば、バスバー24は、単電池13の正極端子13bに接続する第1接続部241と、単電池14の負極端子14aに接続する第2接続部242と、第1接続部241と第2接続部242とを繋ぐ連結部243とから構成されており、連結部243は、湾曲形状をなして、単電池13と単電池14との間に入り込むように配設されている。
【0059】
これの構成によれば、バスバー24の連結部243が単電池13および単電池14から離れる方向(電極13b、14aが突出する方向)に突出することはない。したがって、電池の端子形成面に直交する方向の組電池1の寸法を抑制することができる。
【0060】
また、バスバー24の第1接続部241は突出した正極端子13bの側面13b2に接続し、第2接続部242は突出した負極端子14aの側面14a2に接続している。これによれば、バスバー24の第1接続部241が正極端子13bの先端よりも電極突出方向に飛び出すことはない。さらに、バスバー24の第2接続部242も負極端子14aの先端よりも電極突出方向に飛び出すことはない。したがって、電池の端子形成面に直交する方向の組電池1の寸法を確実に抑制することができる。
【0061】
また、バスバー24の第1接続部241および第2接続部242は、単電池の正極端子13bおよび負極端子14aに、溶接もしくは接着により接続されている。これによれば、例えば、バスバーの各接続部を単電池の端子に螺子止め等により接続する場合よりも、バスバー24の第1接続部241と単電池13と正極端子13bとの接続、および、バスバー24の第2接続部242と単電池14の負極端子14aとの接続を、比較的容易に行うことができる。また、螺子止めにより接続した際に発生し易い、螺子の緩みによる接触抵抗の増大を防止することができるとともに、単電池の端子部への過大な応力の印加を抑制することができる。
【0062】
また、バスバー24の第1接続部241および第2接続部242には、それぞれ開口24aが形成されており、第1接続部241の開口24a周縁部が正極端子13bに接続し、第2接続部242の開口24a周縁部が、負極端子14aに接続している。これによれば、各接続部241、242の開口24aの内周に沿って溶接加工もしくは接着剤塗布加工を行うことにより、第1接続部241と正極端子13bとの接続、および、第2接続部242と負極端子14aとの接続を、一層容易に行うことができる。
【0063】
例えば、図9に示すように、レーザ溶接設備90を移動させて、第2接続部242と負極端子14aとの溶接、および、第1接続部241と正極端子13bとの溶接を、容易の行うことができる。第2接続部242の開口24aの内周(開口辺)に沿ってレーザを照射して第2接続部242と負極端子14aとの溶接を行った後に、第1接続部241の開口24aの内周(開口辺)に沿ってレーザを照射して第1接続部241と正極端子13bとの溶接を行うことができる。
【0064】
2つの接続部241、242と電極との溶接を連続して行う際には、レーザ溶接設備90を、図9図示横方向に移動させるだけで容易に行うことが可能である。これは、バスバー24の連結部243が、単電池13、14間に湾入して図示上方には突出していないため、レーザ溶接設備90が連結部242と干渉しないためである。
【0065】
図12に示す比較例のように、バスバー24の連結部943が図示上方(単電池から離れる方向、電極端子の突出方向)に突出していると、レーザ溶接設備90が連結部943に干渉してしまう。これを防止するためには、レーザ溶接設備90の図示上下方向への移動も行う連結部923との干渉回避動作が必要であり、加工時間が増大してしまう。本実施形態の組電池1によれば、加工時間の増大を抑制することができる。
【0066】
以上説明した効果は、実質的に同一構造であるバスバー21〜23を用いた単電池間においても得ることができる。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図10に基づいて説明する。
【0068】
本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、バスバーの接続部の電極端子への接続構造が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、本実施形態では、バスバー24の第1接続部241の開口24aの内周の沿った縁部は、突出した正極端子13bの先端面13b1に、例えばレーザ溶接加工により接続されている。また、図示は省略しているが、第2接続部242の開口24aの内周の沿った縁部は、突出した負極端子14aの先端面14a1に、例えばレーザ溶接加工により接続されている。各接続部241、242と各端子13b、14aとの接続は、レーザ溶接に限らず、アーク溶接や、導電性接着剤等による接着によりなしてもよい。
【0070】
本実施形態の組電池によれば、第1の実施形態と同様に、電池の端子形成面に直交する方向の組電池の寸法を確実に抑制することができる。これに加えて、第1接続部241を正極端子13bの先端面13b1に接続するとともに、第2接続部242を負極端子14aの先端面14a1に接続する際に、各電極端子先端面13b1、14a1の延在方向における両接続部241、242と両電極端子13b、14aとの相対的位置関係の設定自由度を大きくすることが可能である。したがって、正極端子13bと負極端子14aとの間隔にばらつきがあったり、バスバー24の第1接続部241と第2接続部242との間隔にばらつきがあったとしても、第1接続部241と正極端子13bとの接続、および、第2接続部242と負極端子14aとの接続を、容易に行うことができる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図11に基づいて説明する。
【0072】
本第3の実施形態は、前述の第2の実施形態と比較して、バスバーの連結部の単電池間への配設構造が異なる。なお、第1、第2の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0073】
図11に示すように、本実施形態では、バスバー24の連結部243Aの図示左右方向の高さ寸法が比較的小さくなっている。連結部243Aは、並設された単電池13と単電池14の間のうち、正極端子13bと負極端子14aとの間にのみ配設されている。
【0074】
本実施形態の組電池1によれば、第1の実施形態と同様に、電池の端子形成面に直交する方向の組電池1の寸法を確実に抑制することができる。これに加えて、単電池の並設方向の組電池1の寸法も抑制することができる。これらにより、組電池1の体格を極めて小型化することができる。
【0075】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0076】
上記各実施形態では、バスバー24の第1接続部241および第2接続部242は、正極端子13bおよび負極端子14aに、溶接もしくは接着により接続されていたが、これに限定されるものではない。例えば、バスバーの第1接続部および第2接続部と、正極端子および負極端子とを、螺子止めにより接続するものであってもよい。
【0077】
また、上記各実施形態では、正極端子13bおよび負極端子14aは、それぞれの電池の本体部から突出していたが、これに限定されるものではない。例えば、電極端子は、直方体の単電池の外表面のうち一平面に設けられた平面状の電極であってもよい。すなわち、単電池の電極端子は本体部から突出していなくてもかまわない。
【0078】
また、上記各実施形態では、バスバー24の第1接続部241および第2接続部242には、それぞれ開口24aが形成されており、第1接続部241および第2接続部242は、それぞれの開口24aの周縁部が、正極端子13bおよび負極端子14aに接続していたが、これに限定されるものではない。例えば、第1接続部および第2接続部に開口を形成せず、第1接続部および第2接続部の外周縁部と電極端子の先端面または側面とを溶接や接着等により接続するものであってもよい。
【0079】
また、上記各実施形態では、単電池10〜14は蓄電池(二次電池)であったが、これに限定されるものではなく、一次電池であってもかまわない。
【符号の説明】
【0080】
1 組電池
13 単電池(第1の電池)
13b 正極端子(第1の端子)
13b1 先端面
13b2 側面
14 単電池(第2の電池)
14a 正極端子(第2の端子)
14a1 先端面
14a2 側面
24 バスバー(接続部材)
24a 開口
241 第1接続部
242 第2接続部
243、243A 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子(13b)を有する第1の電池(13)と、
前記第1の電池(13)に並設され、第2の端子(14a)を有する第2の電池(14)と、
前記第1の端子(13b)と前記第2の端子(14a)とを電気的に接続する接続部材(24)と、を備え、
前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)がそれぞれの電池(13、14)において前記並設された方向に直交する方向の同じ側に配設されるように、前記第1の電池(13)および前記第2の電池(14)が並設されており、
前記接続部材(24)は、前記第1の端子(13b)に接続する第1接続部(241)と、前記第2の端子(14a)に接続する第2接続部(242)と、前記第1接続部(241)と前記第2接続部(242)とを繋ぐ連結部(243)と、を有し、
前記連結部(243)は、湾曲形状をなして、湾曲した頂部が前記第1の電池(13)と前記第2の電池(14)との間に入り込んでいることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記第1接続部(241)および前記第2接続部(242)は、前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)に、溶接もしくは接着により接続されていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)は、前記第1の電池(13)および前記第2の電池(14)のそれぞれの本体部から突出しており、
前記第1接続部(241)および前記第2接続部(242)は、前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)のそれぞれの先端面(13b1、14a1)に当接した状態で接続されていることを特徴とする請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)は、前記第1の電池(13)および前記第2の電池(14)のそれぞれの本体部から突出しており、
前記第1接続部(241)および前記第2接続部(242)は、前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)のそれぞれの側面(13b2、14a2)に接触した状態で接続されていることを特徴とする請求項2に記載の組電池。
【請求項5】
前記第1接続部(241)および前記第2接続部(242)には、それぞれ開口(24a)が形成されており、
前記第1接続部(241)および前記第2接続部(242)は、それぞれの開口(24a)の周縁部が、前記第1の端子(13b)および前記第2の端子(14a)に接触した状態で接続していることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1つに記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−110039(P2013−110039A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255634(P2011−255634)
【出願日】平成23年11月23日(2011.11.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】