経肺投与によって心疾患を治療するための単位用量、エアロゾル、キット、および方法
心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含み、この少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通って心臓に侵入し、左心房に到達するようにする。心房性不整脈を治療する他の方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む。その少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、投与の開始から10秒〜30分の範囲の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達し得る。単位用量、エアロゾル、およびキットも考慮される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経肺投与によって特定の心臓病を治療するための組成物、単位用量、エアロゾル、およびキット、ならびにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心不整脈(律動不整とも呼ばれる)は、心臓に異常な電気活動がある、一連の大規模かつ不均一な症状のうちのいずれかに対する用語である。心拍が速過ぎるか、または遅過ぎる場合があり、規則的であるかまたは不規則であり得る。
【0003】
心房性不整脈は、高レベルのまだ満たされていない臨床ニーズを有する分野である。使用される多くの薬物は、1980年代初めおよび1990年代以降、今日も市販されているが、有用性の欠如または主に心臓に関連する副作用プロファイルのいずれかに起因して、大部分が不適切であり、広範な患者のモニタリングを必要とする。
【0004】
高速かつ安全な除細動に必要とされるもの(不整脈の解決策)は、以下のような治療である。
【0005】
1. 除細動前に心拍を加速させるリスクがほとんどないか、全くない。
【0006】
2. 心房−心室(AV)伝導を減速させて、心拍制御および除細動が同時になるようにする。
【0007】
3. QRS間隔を延長することにおいてほとんど効果がないか、全くなく、心室性不整脈のリスクが低いはずである。
【0008】
4. 負の変力効果をほとんど有しないか、または全くなく、軽度の負の変時効果のみを有するはずであり、患者が洞律動に戻る場合に、深刻な徐脈のリスクがない。
【0009】
現在承認されている薬物製品は、いずれもこれらの特徴を呈しない。吸収、代謝、および希釈を補うために必要とされる高い経口および静脈(IV)用量は、長期間にわたって高い血中濃度をもたらし、催不整脈作用、QT延長、心室性不整脈等の危険な有害心事象をもたらす。非特許文献1、および非特許文献2。併発状態も、一部の患者、例えば、静脈アデノシンを用いる場合において、理想的な薬物の使用を制限する。非特許文献3。ベラパミルおよびジルチアゼム注射等の薬物は、患者を注意深くモニタリングする必要がある、第2選択の治療である。非特許文献4、および非特許文献5。
【0010】
発作性心房細動(PAF)は、全体心房細動(AF)集団のサブセットであり、全体AF集団の25〜30%であると推定される。約250万人の患者が、米国においてAFに罹患している。PAF患者の集団は、世界中で900,000〜150万人であると推定される。
【0011】
発作性上室性頻拍症(PSVT)は、活動的な若年および健康な集団(例えば、アスリート)に影響する不整脈である。米国では、約500,000〜600,000人の患者が、PSVTを有している。
【0012】
不整脈を治療するために、アブレーション技術、例えば、RFアブレーションが使用される場合が多い。しかし、アブレーションは、通常、1手順当り約$25,000〜$36,000の範囲の費用を伴い、高価である。高価であるにもかかわらず、アブレーションは、不整脈を完全に修正し得ない。多くの場合、満足できる結果を達成するために、複数のアブレーション手順が必要とされる。
【0013】
経口薬剤、例えば、ピルは、作用の発現に高用量および時間を要する傾向がある。心薬剤の経口用量は、一般に、1mgを大きく上回る傾向がある。これらの患者は、通常、複数の薬剤を摂取するため、高用量は、副作用および薬物−薬物相互作用の可能性を高める。経口心血管系薬剤が発現する時間は、約60分となる傾向がある。経口抗不整脈薬剤は、静脈内投与される治療により、主に予防のために開発されている。
【0014】
静脈内注射は、通常、薬剤を投与するために、病院環境を必要とし、通常、緊急治療室(ER)の訪問を伴う。これらの諸経費は、患者がそれらの薬剤を自己投与することができる治療と比較して、この治療を高価にする。静脈内注射は、希釈および代謝を補償するために、実際に心臓内で必要とされる量よりも高い用量を必要とする。IVにより注射される薬物は、心臓の右側を通過し、次に、心臓の左側に到達する前に肺を通過する。図1を参照されたい。薬物は、高濃度で血流に滞留し、薬物が、腎臓または他の代謝経路(例えば、肝臓)を通して分泌されるまで、すべての器官および組織にこの薬物を高濃度で浴びさせる。結果として、IV薬物は、望ましくない副作用をもたらし得る。IV経路を介して投与される薬物は、心循環に到達する前に、静脈血および肺において著しく希釈される。
【0015】
心臓に直接注射することは、通常、緊急時の救命措置として、心臓専門医が取る最終手段である。この方法で心臓に直接注射される薬物の用量は、通常、IVおよび/または経口投与よりも低い。
【0016】
いくつかの例において、患者の生命を救うために、計画外の手術が必要とされる。当然のことながら、計画外の手術は、患者にとって高価であり危険である。
【0017】
心不整脈は、胸部周囲の締付け、動悸、疲労感、および場合によっては胸痛等の障害を引き起こす症状と関連付けられる。
【0018】
上記を考慮して、不整脈は、緊急治療室(ER)の訪問を頻繁にもたらし、静脈内薬物が投与され、場合によっては、長期入院を必要とし、計画外の侵襲的な手順に至る場合もある。非特許文献6、および非特許文献7。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】FELDMANら,「Analysis of Coronary Response to Various Doses of Intracoronary Nitroglycerin,」Circulation,66:321−327(1982)
【非特許文献2】BARBATOら,「Adrenergic Receptors in Human Atherosclerotic Coronary Arteries,」Circulation,111:288−294(2005)
【非特許文献3】GAGLlONEら,「Is There Coronary Vasoconstriction after Intracoronary Beta−adrenergic Blockade in Patients with Coronary Artery Disease,」 J Am Coll Cardiol,10:299−310(1987)
【非特許文献4】NOGUCHIら,「Effects of Intracoronary Propranolol on Coronary Blood Flow and Regional Myocardial Function in Dogs,」Eur J Pharmacol.,144(2):201−10(1987)
【非特許文献5】ZALEWSKIら,「Myocardial Protection during Transient Coronary Artery Occlusion in Man:Beneficial Effects of Regional Beta−adrenergic Blockade,」Circulation,73:734−73(1986)
【非特許文献6】Pipeline Insights:Antiarrhythmics,Datamonitor(06/2006)
【非特許文献7】TWISSら,「Efficacy of Calcium Channel Blockers as Maintenance Therapy for Asthma,」British J of Clinical Pharmacology(Nov 2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、依然として心疾患を治療するための組成物および方法を改善する必要性がある。したがって、これらの組成物を形成する方法の必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、特定の心臓病を治療するための組成物、単位用量、エアロゾル、キット、および方法を提供する。本発明の他の特徴および利点は、以下の発明の説明に記載され、一部は、説明から明らかとなるか、または本発明の実践によって学習され得る。本発明は、特に本明細書および請求項において指摘される組成物および方法によって認識および達成される。
【0022】
本発明の第1の実施形態は、心房性不整脈を治療する方法を対象とする。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含み、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通って心臓に入り、左心房に到達するようにする。
【0023】
別の態様において、本発明は、心房性不整脈、例えば、頻拍を治療する方法を対象とする。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、投与の開始から10秒〜30分の範囲で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法を対象とする。方法は、息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することを含む。方法は、自己診断の2時間以内に、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、吸入によって自己投与することも含む。
【0025】
別の態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む、心房性不整脈を治療する方法を対象とし、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で観察される。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む、心房性不整脈を治療する方法を対象とし、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、患者において、投与の開始から10秒〜30分の時点で、不整脈状態から正常な洞律動への移行を示す。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む、心房性不整脈を治療する方法を対象とし、患者のSF36クオリティオブライフのスコアは、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で改善する。
【0028】
別の態様において、本発明は、単位用量レセプタクルおよび単位用量レセプタクル内の組成物を対象とする。組成物は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0029】
さらに別の態様において、本発明は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む、エアロゾルを対象とする。粒子は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含有する容器、およびエアロゾル化デバイスを含む、キットを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、以下の本発明の説明において、顕著な複数の非限定図を参照して、さらに説明される。
【図1】冠状動脈に到達する前に、先行技術の静注薬物が、どのように心臓および肺を通過するかを示す。
【図2A】本発明の吸入薬物が、直接肺を通過して冠状動脈に至る様子を示す。
【図2B】本発明の吸入薬物が、肺静脈を通過して左心房に至る様子を示す。
【図3】高いログP値を有する分子、および高い溶脂性を有する分子は、肺全体で速い吸収を呈する可能性が高いことを示す。
【図4】静脈内および肺送達を比較するために、6コンパートメントPK−PDモデルを示す。
【図5】ベラパミルの静脈内および肺送達を比較するシミュレーションの結果を示す。
【図6】リドカインの静脈内および肺送達を比較するシミュレーションの結果を示す。
【図7】代表的な研究の概略:フレカイニド(FLE、n=2)、ジルチアゼム(DIL、n=2)、およびドフェチリド(DOF、n=2)の効果を示す。NSR:正常洞律動。
【図8】代表的な研究の概略:誘発上室性頻拍症(SVT)に対する気管内(IT)エスモロールHCL(ESM、n<=2)またはアデノシン(ADN、n<=2)の用量応答を示す。NSR:正常洞律動。IV:静脈内。
【図9】媒体または被検物質のいずれかの投与に先立って、Afib内のDogを示す、ECG出力を示す。
【図10】媒体の経肺投与後も引き続きDogがAfib内にあることを示す、ECG出力を示す(水、3mL)。
【図11】体重1kg当り4mgの酢酸フレカイニドを投与した場合に、正常洞律動に転向するAfibを示す、ECG出力を示す。
【図12】体重1kg当り2mgの酢酸フレカイニドで発生した、投与すると即時に転向するAfibを示す、ECG出力を示す。
【図13】体重1kg当り0.25mg/kgのジルチアゼムHClの投与後に転向するAfibを示す、ECG出力を示す。
【図14】PR間隔および平均動脈圧(MAP)が、肺ジルチアゼム0.25mg/kgの経肺投与後に変化する、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図15】PR間隔および平均動脈圧(MAP)が、体重1kg当り0.25mg/kgの肺ジルチアゼムの静脈内投与後に変化する、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図16】PR間隔に対して体重1kg当り0.5mgの肺を介して投与される(IT)エスモロールHClが経時的に及ぼす影響を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図17】肺を介して投与される、エスモロール0.5mg/kgによって誘発されるAVブロックの期間を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図18】肺を介して投与される、エスモロール0.5mg/kgによって誘発されるAVブロックの期間を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図19】PR間隔に対して体重1kg当り0.5mgの肺を介して投与される(IT)エスモロールHClが経時的に及ぼす影響を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図20】肺を介して投与される、エスモロール0.75mg/kgによって誘発されるAVブロックの期間を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特に明記しない限り、本発明は、特定の製剤成分、薬物送達システム、製造技術、投与ステップ等に限定されず、そのようなものとして異なり得ることを理解されたい。この点において、特に明記しない限り、化合物または成分に対する言及は、化合物または成分自体、ならびに化合物または成分と、他の化合物または成分との組み合わせ、たとえば、化合物の混合物を含む。
【0033】
さらなる考察の前に、以下の用語の定義が、本発明の理解を助けるであろう。
【0034】
本明細書で使用する、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの薬学的抗不整脈薬」に対する言及は、単一の活性剤のみでなく、2つ以上の異なる活性剤の組み合わせまたは混合を含む。
【0035】
本明細書において、「一実施形態」、「一バージョン」、または「一態様」に対する言及は、文脈から明らかでない限り、1つまたは複数のそのような実施形態、バージョン、または態様を含む。
【0036】
本明細書で使用する、用語「溶媒和化合物」は、薬学的に許容される溶媒和化合物を含むことが意図されるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用する、用語「薬学的に許容される溶媒和化合物」は、薬学的抗不整脈薬の生物活性および/または特性のうちの1つまたは複数を保持し、生物学的またはそれ以外に望ましくないことはない溶媒和化合物を意味することが意図される。薬学的に許容される溶媒和化合物の実施例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、またはそれらの組み合わせとの併用で薬学的抗不整脈薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用する、用語「塩」は、薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用する、用語「薬学的に許容される塩」は、遊離酸および塩基の生物活性および特性のうちの1つまたは複数を保持し、生物学的またはそれ以外に望ましくないことはない塩を意味することが意図される。薬学的に許容される塩の例示的な実施例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸、ピロリン酸、塩素、臭素、ヨウ素、酢酸、プロピオン酸、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソブチル酸、カプリル酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、オキサル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベル酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、ベンゾエート、クロロベンゾエート、メチルベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニルブチル酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシブチル酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
薬学的抗不整脈薬が塩基である場合、所望される塩は、当該技術分野において知られている、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、オキサル酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えば、グルクロン酸およびガラクツロン酸、α−ヒドロキシ酸、例えば、クエン酸および酒石酸、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸、芳香族酸、例えば、安息香酸および桂皮酸、スルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸およびエタンスルホン酸等の有機酸による遊離塩基の処理を含む、任意の適切な方法で調製されてもよい。
【0041】
薬学的抗不整脈薬が酸である場合、所望される塩は、無機または有機塩基、例えば、アミン(一次、二次、または三次)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物等による遊離塩基の処理を含む、当該技術分野において知られている任意の適切な方法によって調製されてもよい。適切な塩の例示的な実施例には、アミノ酸に由来する有機塩、例えば、グリシンならびにアルギニン、アンモニア、一次、二次、三次アミン、ならびに環状アミン、例えば、ピペリジン、モルホリンならびにピペラジン、およびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガネーゼ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、ならびにリチウムに由来する無機塩が挙げられる。
【0042】
本明細書で使用する、用語「心房性不整脈」は、少なくとも1つの心房に影響する不整脈を意味し、徐脈を含まない。例えば、心房性不整脈は、少なくとも1つの心房に起因し、少なくとも1つの心房に影響し得る。
【0043】
本明細書で使用する、用語「頻拍」は、心拍が速過ぎる不整脈を意味する。例えば、頻拍は、1分間に100を超える、例えば、1分間に110、120、または130を超える、安静時心拍数を伴い得る。
【0044】
本明細書で使用する、表現「心臓リズム不整脈」は、心拍が不規則である不整脈を意味する。
【0045】
本明細書で使用する、「心臓の冠状静脈洞内の血液中の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量」は、カニューレを使用して、心臓の冠状静脈洞から試料を抽出することによって測定されてもよい。次に、試料中の薬学的抗不整脈薬の量は、周知の手段、例えば、LC−MS/MS等の分析機器を用いる生物分析技術によって決定されてもよい。したがって、心臓内の血中の薬学的抗不整脈薬の量は、任意の特定の時間に測定されてもよい。
【0046】
本明細書で使用する、用語「治療すること」および「治療」は、症状の重度および/または頻度の低減、症状および/または根本原因の排除、症状および/または根本原因の発生の可能性の低減、および/または損傷の改善を指す。したがって、本明細書において提供されるような活性剤により患者を「治療すること」は、影響を受けやすい個人における特定状態、疾患、または障害の回避、ならびに臨床的に症状を示す個人の治療を含む。
【0047】
本明細書で使用する、用語「名目量」は、投与される単位用量レセプタクル内に含有される量を指す。
【0048】
本明細書で使用する、用語「有効量」は、治療上有効な量および予防上有効な量の両方を網羅する量を指す。
【0049】
本明細書で使用する、用語「治療上有効量」の活性剤は、所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。治療上有効量の指定活性剤は、通常、治療される障害または疾患の種類ならびに重度、および患者の年齢、性別ならびに体重等の要素に関して異なる。
【0050】
特に指定のない限り、用語「治療上有効量」は、「予防上有効量」、すなわち、影響を受けやすい個人において、特定状態、疾患、または障害の発生または再発を回避するために有効な活性剤の量を含む。
【0051】
本明細書で使用する、表現「最小有効量」は、有効量を達成するために必要な最小量を意味する。
【0052】
本明細書で使用する、「質量中央径」または「MMD」は、通常、多分散粒子集団、すなわち一連の粒子径から成る集団における複数の粒子の中央径を指す。本明細書において報告されるようなMMD値は、文脈上特に指示のない限り、レーザー回折によって決定される(Sympatec Helos,Clausthal−Zellerfeld,Germany)。例えば、粉末の場合、試料は、Sympatec RODOS乾燥粉末分散装置のフィーダー漏斗に直接添加される。これは、手動で達成されるか、またはVIBRI振動フィーダー素子の末端から機械的に扇動することによって達成され得る。試料は、圧縮空気(2〜3バール)の印加を介して、指定の分散圧用に最大化された真空減弱(吸引)によって一次粒子に分散される。分散された粒子は、分散された粒子の軌道と直角に交差する、632.8nmレーザービームでプローブされる。粒子の連携から散乱されたレーザー光は、逆フーリエレンズアセンブリを使用する、同心配列の光電子増倍管検出器素子上に映し出される。散乱された光は、5msのタイムスライスで取得される。粒径の分布は、専用のアルゴリズムを使用する、散乱光空間/強度分布から逆算される。
【0053】
本明細書で使用する、「幾何学的直径」は、文脈上特に指示のない限り、顕微鏡によって決定されるような単一粒子の直径を指す。
【0054】
本明細書で使用する、「空気動力学的中央粒子径」または「MMAD」は、通常、多重分散集団における、複数の粒子または粒子の空気動力学的中央粒子径を指す。「空気動力学的直径」は、一般に空気中で、粉末として、同一の沈降速度を有する単位用量球体の直径であり、したがって、その沈降動作に関して、エアロゾル化粉末または他の分散粒子あるいは粒子製剤を特徴化するための有用な方法である。空気動力学的直径は、粒子または粒子形状、密度、および粒子または粒子の物理的サイズを包含する。本明細書で使用される、MMADは、文脈上特に指定のない限り、空気動力学的粒子またはカスケード栓塞によって決定される空気動力学的粒子の粒径分布の中央値を指す。
【0055】
本明細書で使用する、用語「放出用量」または「ED」は、単位用量レセプタクルまたは容器からの作動または分散事象後のエアロゾル化デバイスからの粒子の送達の表示を指す。EDは、名目量に対する吸入デバイスによって送達される用量の比として定義される(すなわち、噴霧前に適切な吸入デバイスに配置される単位用量当りの粉末または液体の質量)。EDは、実験的に決定される量であり、患者の投与を模倣するインビトロ系を使用して決定されてもよい。例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,069,819号および第4,995,385号に記載される、乾燥粉末のED値を決定するため、乾燥粉末の名目量を、Turbospin(登録商標)DPIデバイス(PH&T,Italy)に入れる。Turbospin(登録商標)DPIが作動し、粉末を分散させる。次に、得られるエアロゾル煙は、作動後2.5秒間、真空によってデバイスから引き込まれ(30L/分)、この時点で、デバイスマウスピースに取り付けられた風袋ガラスファイバーフィルタ(Gelman,47mm径)上で捕捉される。フィルタに到達する粉末の量は、送達される用量を構成する。例えば、5mgの乾燥粉末を含有するカプセルの場合、風袋フィルタ上で4mgの粉末が捕捉されることは、80%のEDを示す(=4mg(送達される用量)/5mg(名目量))。
【0056】
本明細書で使用される、「受動乾燥粉末吸入器」は、容器または単位用量形態で、デバイスないに含有される薬学的組成物を分散およびエアロゾル化するために、患者の呼吸努力に依存する吸入デバイスを指し、加圧ガス等のエネルギーを提供して薬物組成物を分散およびエアロゾル化し、素子を振動または回転させるための手段を備える、吸入デバイスを含まない。
【0057】
本明細書で使用される、「能動乾燥粉末吸入器」は、容器または単位用量形態で、デバイスないに含有される薬学的組成物を分散およびエアロゾル化するために、単に患者の呼吸努力に依存しない吸入デバイスを指し、加圧ガス等のエネルギーを提供して薬物組成物を分散およびエアロゾル化し、素子を振動または回転させるための手段を備える、吸入デバイスを含まない。
【0058】
「薬学的に許容される」成分は、生物学的またはそれ以外に望ましくないことはない成分を意味し、すなわち、成分は、本発明の薬学的製剤に統合され、任意の著しい望ましくない生物学的作用をもたらすか、またはそれが含有される製剤の他の成分のうちのいずれかと有害な方法で相互作用することなく、本明細書に記載されるように、患者に投与されてもよい。用語「薬学的に許容される」は、賦形剤を指すように使用される場合、一般に、化合物が、毒性学的および製造試験に必要とされる基準を満たすこと、または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)に含まれることを暗示する。
【0059】
本明細書で使用される、「P波」は、SAノードから心房全体に拡散する脱分極の波を表し、通常、0.08〜0.1秒(80〜100ms)の期間である。
【0060】
本明細書で使用される、「SF−36クオリティオブライフ」は、患者の健康に関する省略型36(SF−36)調査を意味する(2005年8月に更新)。SF−36は、8つのスケーリングスコアで構成され、それらのセクションにおける質問の合計である。各スケールは、各質問が等しい重みを持つという仮定で、0〜100スケールに直接変換される。8つのセクションは、(1)バイタリティ、(2)身体的機能、(3)肉体的苦痛、(4)一般的な健康認識、(5)肉体的役割機能、(6)感情的役割機能、(7)社会的役割機能、および(8)精神的健康である。
【0061】
本明細書に記載される、「保存剤」は、クレゾールおよび安息香酸を意味する。したがって、「実質的に保存剤を含まない」は、組成物が、著しい量の任意のクレゾールおよび/または安息香酸を含まないことを意味する。例えば、「実質的に保存剤を含まない」組成物は、1重量%未満、例えば、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、または0.1重量%未満の保存剤を含む。当然のことながら、「保存剤を含まない」は、保存剤が存在しないことを意味する。
【0062】
本明細書で使用される、「実質的に無味」は、初期消化時に、実質的に味がほとんどないか、または全くない組成物を意味する。
【0063】
概要として、本発明は、心房性不整脈を治療する方法に関する。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含んでもよく、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通して心臓に入り、左心房に至るようにする。
【0064】
一態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入により投与することを含み、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、投与の開始から10秒〜30分の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する。
【0065】
さらに別の態様において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法を対象とする。方法は、息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することを含む。方法は、自己診断の2時間以内に、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、吸入によって自己診断することも含む。
【0066】
別の態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で観察される。
【0067】
さらに別の態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、患者において、投与の開始から10秒〜30分の範囲の時点で、不整脈状態から正常洞律動への転向を示す。
【0068】
さらに別の態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、患者のSF−36クオリティオブライフのスコアは、投与の開始から10秒〜30分の範囲の時点で向上する。
【0069】
別の態様において、単位用量は、単位用量レセプタクルおよび単位用量レセプタクル内に組成物を含む。組成物は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0070】
さらに別の態様において、エアロゾルは、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む。粒子は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0071】
さらに別の態様において、キットは、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含有する容器およびエアロゾル化デバイスを備える。
【0072】
特定の実施形態において、本発明は、「薬物−救援治療」は、発作性心室頻拍症(PSVT)および発作性心房細動(PAF)等の心房性不整脈を有する患者に高速除細動を提供することである。薬物−救援治療は、通常、吸入による薬剤の自己投与のために意図される。
【0073】
吸入は、図2Aおよび2Bに示されるように、心臓内注射の次に薬物が心臓に到達するための最短経路である。吸入により送達される薬物は、一般に、一時的高薬物濃度の「脈動薬物動態」に続いて、治療レベル以下の希釈を呈する。この特徴は、経口およびIV治療の両方で見られる、用量依存性催不整脈およびQT延長の多くを低減することが予想される。FELDMANら,「Analysis of Coronary Response to Various Doses of lntracoronary Nitroglycerin,」Circulation,66:321−327(1982)、およびBARBATOら,「Adrenergic Receptors in Human Atherosclerotic Coronary Arteries,」Circulation,111:288−294(2005)を参照されたい。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、経口薬剤と比較して、作用が高速発現する、急速作用吸入生成物を伴う。生成物は、少なくとも静脈内薬剤と同程度に高速であることが予想される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、心臓の冠状静脈洞内で、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点でピークに達する。特定の実施形態において、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点で観察される。いくつかの実施形態において、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点で、患者の体内の不整脈状態から正常洞律動への移行を示す。いくつかの実施形態において、患者のSF−36クオリティオブライフスコアは、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点で改善する。特定の実施形態において、患者は、投与の開始から30分以内、例えば、10分以内に正常洞律動を有する。
【0075】
いくつかの態様において、本発明は、安全かつ有効な低用量を伴う。他の態様は、通常、低い早期代謝および低い薬物−薬物相互作用を伴う。
【0076】
本発明は、心臓への非侵襲性薬物の送達を含む。肺は、心臓内注射に次いで、最小希釈で心臓に薬物を送達する最短経路である。肺を介して送達される薬物は、経口経路を介して送達されるものと比較して、高速発現作用を有する。Pipeline Insights:Antiarrhythmics,Datamonitor(06/2006)。心臓への肺薬物送達は、少なくとも携帯静脈内注射に等しい。吸入薬物(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム、リドカイン、イブチリド、プロカインアミド、およびプロパフェノン)は、一時的高薬物濃度の「脈動薬物動態」に続いて、治療レベル以下の希釈を呈することが予想される。
【0077】
既存の心血管薬物は、高い容脂性を有する小分子である傾向がある。これらの脂質溶解性分子(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、イブチリド、プロパフェノン)は、高い肺バイオアベイラビリティおよび高速肺吸収を有することが予想される。これは、それらが肺静脈を通して心臓に到達することを保証する。
【0078】
薬物の脈動薬物動態動作は、薬物が、有効濃度が心臓に到達して数秒以内に希釈され、血液量中で治療レベル以下に希釈されることを示す。この特徴は、薬物−薬物相互作用を最小化し、通常、安定状態で見られる著しい毒素性反応をもたらす。
【0079】
したがって、特定の実施形態において、本発明は、心臓内で一時的高薬物濃度を達成することに関し、短期間、で心拍および律動の変化をもたらし、発作性心房性不整脈等の発作性不整脈の治療を可能にする。
【0080】
本発明の結果は、驚くほどであり予想外であった。この点で、薬学的抗不整脈薬は、肺を速やかに通過する。例えば、ベラパミルおよびジルチアゼムは、塩形態であれば、イオン化し、塩基が肺を速やかに通過するようにする。いくつかの態様において、本発明の方法は、作用の高速発現、高い薬物バイオアベイラビリティ、および肺への高速吸収を利用する。大部分の心血管薬物は、高い溶脂性を有する小分子であるため、高い肺バイオアベイラビリティおよび高速吸収を有することが予想される。図3は、それらの予想される高い肺バイオアベイラビリティとともに、典型的な心血管分子のログ−p値および溶脂性を示す。
【0081】
本発明の結果が驚くほどであり予想外である別の理由は、薬学的抗不整脈薬が心臓を通過する速度に関する。熟練者は、速度が速くなり過ぎることを予想するかもしれないが、モデルは、薬物の心臓通過は速くなり過ぎないことを示す。したがって、高速通過であり、治療レベルで1回通過させるだけで治療効果が達成される。
【0082】
上記を考慮して、本発明の1つまたは複数の実施形態において、組成物は、薬学的抗不整脈薬を含む。薬学的抗不整脈薬の例には、クラスIa(ナトリウムチャネル遮断剤、中間会合/解離)、クラスIb(ナトリウムチャネル遮断剤、高速会合/解離)、クラスIc(ナトリウムチャネル遮断剤)、クラスIV(未知の機序)抗不整脈薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
クラスIa抗不整脈薬には、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIb抗不整脈薬には、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIc抗不整脈薬には、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリチジンが挙げられるが、これらに限定されない。クラスII抗不整脈薬には、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIII抗不整脈薬には、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、E−4031(メタンスルホンアミド)、ベルナカラント、およびドフェチリドが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIV抗不整脈薬には、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムが挙げられるが、これらに限定されない。クラスV抗不整脈薬には、ジゴキシンおよびアデノシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明は、上記薬学的抗不整脈薬の誘導体、例えば、溶媒和化合物、塩、溶媒和化合物塩、エステル、アミド、ヒドラジド、N−アルキル、および/またはN−アミノアシルも含む。エステル誘導体の例には、メチルエステル、コリンエステル、およびジメチルアミノプロピルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。アミド誘導体の例には、一次、二次、および三次アミドが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドラジド誘導体の例には、N−メチルピペラジンヒドラジドが挙げられるが、これに限定されない。N−アルキル誘導体の例には、薬学的抗不整脈薬メチルエステルのN′,N′,N′−トリメチルおよびN′,N′−ジメチルアミノプロピルスクシニイミジル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。N−アミノアシル誘導体の例には、N−オルニチル−、N−ジアミノプロピオニル−、N−リシル−、N−ヘキサメチルリシル−、およびN−ピペラジン−プロピオニル−またはN′,N′−メチル−1−ピペラジン−プロピオニル−薬学的抗不整脈薬メチルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
薬学的抗不整脈薬は、単一の立体異性体、ラセミ化合物、および/またはエナンチオマーの混合物、および/またはジアステレオマーとして存在し得る。そのような単一の立体異性体、ラセミ化合物、およびそれらの混合物は、本発明の範囲内であることが意図される。化合物のこれらの様々な形態は、当該技術分野において知られている方法によって単離/調製されてもよい。
【0086】
本発明の薬学的抗不整脈薬は、所望の異性体の50%より多く、好ましくは、少なくとも75%、およびより好ましくは、少なくとも90%を含有する、ラセミ混合物(すなわち、異性体の混合物)中で調製されてもよい(すなわち、80%エナンチオマーまたはジアステレオマー過剰)。特定の好適な実施形態に従って、本発明の化合物は、所望の異性体の少なくとも95%(90% e.e.またはd.e.)、さらにより好ましくは、少なくとも97.5%(95% e.e.またはd.e.)、および最も好ましくは、少なくとも99%(98% e.e.またはd.e.)を含有する形態で調製される。本明細書において単一の立体異性体として識別される化合物は、単一の異性体の50%より多くを含有する形態で使用される化合物を説明することを意味する。周知の技術を使用することによって、これらの化合物は、そのような化合物の合成調製に使用される溶媒から精製および/または単離する方法をわずかに変えることによって、そのような形態のうちのいずれかで単離され得る。
【0087】
本発明の1つまたは複数の実施形態に従う薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的抗不整脈薬、および任意選択で、1つまたは複数の他の活性剤、ならびに任意選択で1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。例えば、薬学的組成物は、薬学的抗不整脈薬の純粒子を含み得、他の粒子とともに、薬学的抗不整脈薬の純粒子を含み得、および/または薬学的抗不整脈薬および1つまたは複数の活性剤を含む粒子ならびに/あるいは1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0088】
したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態に従う薬学的組成物は、必要に応じて、薬学的抗不整脈薬と1つまたは複数の追加の活性剤の組み合わせを含む。追加の活性剤の例には、肺を通して送達され得る薬剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0089】
追加の活性剤は、例えば、睡眠薬および弛緩剤、精神賦活剤、鎮静薬、呼吸器薬、抗けいれん剤、筋弛緩剤、抗パーキンソン剤(ドーパミンアンタゴニスト)、鎮痛剤、抗炎症薬、抗不安薬(精神安定剤)、空腹抑制剤、抗片頭痛薬、筋収縮薬、追加の抗感染薬(抗ウイルス剤、抗真菌剤、ワクチン)、抗関節炎、抗マラリア剤、制吐薬、抗てんかん薬、サイトカイン、成長因子、抗癌剤、抗血栓剤、降圧剤、心血管薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息薬、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経様作用薬、利尿薬、脂質調節薬、抗アンドロゲン剤、駆虫薬、抗凝固剤、腫瘍薬、抗腫瘍薬、血糖降下薬、栄養剤およびサプリメント、成長補給剤、ワクチン、抗体、診断薬、および造影剤を含み得る。追加の活性剤は、吸入により投与される場合、局所的または全身的に作用し得る。
【0090】
追加の活性剤は、多数の構造クラスのうちの1つに分類されてもよく、小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ステロイド、生理的効果を引き出すことができるタンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本発明における使用に適した追加の活性剤の例は、カルシトニン、アンフォテリシンB、エリスロポエチン(EPO)、因子VIII、因子IX、セレダーゼ、セレザイム、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、α−1プロティナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMVVH)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1レセプター、インターロイキン−2、インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、因子IX、インスリン、プロインスリン、インスリン類似体(例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,675号に記載されるようなモノアクリル化インスリン)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチドチモシンα1、llb/lla阻害剤、α−1抗トリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4阻害剤、ビスホスホネート、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFFR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)、殺菌性/透過性増加タンパク質(BPI)、抗CMV抗体、13−シスレチノイン酸、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン、およびスウィノリドA、フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イロロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、およびシタフロキサシン、テイコプラニン、ランポラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチンメタン、ポリミキシン、例えば、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム、ペニシリンG、ペニシリンV等のペニシリナーゼ感受性薬を含むペニシリン、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン等のペニシリナーゼ耐性薬、アンピリシン、アモキシリン、およびヘタシリン等のグラム陰性菌活性剤、シリンおよびタランピシリン、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、およびピペラシリン等の抗緑膿菌性ペニシリン、セフポドキシム等のセファロスポリン、セフプロジル、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セファラドリン、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフィネタゾール、セフタジジム、ロラカルベフ、およびモキサラクタム、アズトレオナム等のモノバクタム、およびカルバペネム、例えば、イミペネム、メロペネム、ペンタミジンイセチオネート、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニドアセトニド、フルチカゾン、イプラトロピウムブロミド、フルニソリド、クロモリンナトリウム、酒石酸エルゴタミン、および適応可能であれば、上記の類似体、アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤、および薬学的に許容される塩形態のうちの1つまたは複数を含む。ペプチドおよびタンパク質に関連して、発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、ペギル化形態、およびそれらの生物学的に活性なフラグメント、誘導体、ならびに類似体を包含することが意図される。
【0092】
本発明で使用するための追加の活性剤は、核酸、例えば、裸核酸分子、ベクター、関連ウイルス粒子、プラスミドDNAあるいはRNA、または細胞のトランスフェクションまたは形質転換に適切な、すなわち、アンチセンスを含む遺伝子治療に適切な種類の他の核酸組成物をさらに含む。さらに、活性剤は、ワクチンとして使用するために適切な生きた弱毒化または死滅ウイルスを含んでもよい。他の有用な薬物は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、医師用卓上参考書内に列挙されるものを含む。
【0093】
活性剤の組み合わせが使用される場合、薬剤は、単一種の薬学的組成物中で組み合わせて、または個別種の薬学的組成物中で個別に提供されてもよい。
【0094】
薬学的組成物中の薬学的抗不整脈薬の量は、異なり得る。薬学的抗不整脈薬の量は、通常、薬学的組成物の総量の少なくとも約5重量%、例えば、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%である。薬学的抗不整脈薬の量は、一般に、約0.1重量%〜100重量%、例えば、約5重量%〜約95重量%、約10重量%〜約90重量%、約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約70重量%、または約50重量%〜約60重量%の間で変化し得る。
【0095】
上記のとおり、薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤の例には、脂質、金属イオン、界面活性剤、アミノ酸、炭水化物、緩衝剤、塩、重合体等、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0096】
脂質の例には、リン脂質、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、脂質含有重合鎖、例えば、ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドン、脂質含有スルホン酸化単糖類、二糖類、および多糖類、脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸、コレステロール、コレステロールエステル、およびコレステロール半コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
1つまたは複数の実施形態において、リン脂質は、飽和リン脂質、例えば、1つまたは複数のホスファチジルコリンを含む。典型的なアシル鎖長は、16:0および18:0(すなわち、パルミトイルおよびステアロイル)である。リン脂質含有量は、活性剤の活性、送達モード、および他の因子によって決定されてもよい。
【0098】
天然源および合成源の両方からのリン脂質は、様々な量で使用されてもよい。リン脂質が存在する場合、量は、通常、少なくとも単一のリン脂質分子層で活性剤をコーティングするために十分である。一般に、リン脂質含有量は、約5重量%〜約99.9重量%、例えば、約20重量%〜約80重量%の範囲である。
【0099】
一般に、適合性リン脂質は、約40℃より高い、例えば、約60℃より高い、または約80℃より高い液晶相移行に対するゲルを有するものを含む。統合されたリン脂質は、比較的長鎖(例えば、C16−C22)の飽和脂質であり得る。本発明において典型的なリン脂質には、ホスホグリセリド、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラチドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、水素化ホスファチジルコリン、E−100−3(Lipoind KG(Ludwigshafen,Germany)から入手可能)、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール、長鎖飽和ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴミエリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
金属イオンの例には、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等を含む二価カチオンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、リン脂質が使用される場合、薬学的組成物は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開公報第WO01/85136号および第WO01/85137号に開示されるように、多価カチオンも含み得る。多価カチオンは、リン脂質の溶解温度(Tm)を高めるために有効量で存在し得、薬学的組成物は、その保管温度(Tm)よりも少なくとも約20℃、例えば、少なくとも約40℃高いTmを呈する。多価カチオン対リン脂質のモル比は、少なくとも約0.05:1、例えば、約0.05:1〜約2.0:1、または約0.25:1〜約1.0:1であり得る。多価カチオン:リン脂質のモル比の例は、約0.50:1である。多価カチオンがカルシウムである場合、塩酸カルシウムの形態であってもよい。金属イオン、例えば、カルシウムは、リン脂質とともに含まれる場合が多いが、いずれも必要でない。
【0101】
上記のとおり、薬学的組成物は、1つまたは複数の界面活性剤を含んでもよい。例えば、1つまたは複数の界面活性剤は、組成物の固形粒子または粒子と関連付けられている1つまたは複数を有する液相中に存在し得る。「関連付けられる」とは、薬学的組成物が、海面活性剤を統合、吸収し、それで被覆されるか、または形成され得ることを意味する。界面活性剤には、フッ素化および非フッ素か化合物、例えば、飽和および非飽和脂質、非イオン性洗剤、非イオン性ブロック共重合体、イオン性界面活性剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。前述の界面活性剤に加えて、適切なフッ素化界面活性剤は、本明細書の教示と適合し、所望の製剤を提供するための使用され得ることを強調すべきである。
【0102】
非イオン性洗剤の例には、三オレイン酸ソルビタンを含むソルビタンエステル(Span(商標)85)、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン、およびポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、およびスクロースエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な非イオン性洗剤は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、McCutcheon‘s Co.,Glen Rock,N.J.)を使用して容易に識別することができる。
【0103】
ブロック共重合体の例には、ポロキサマー188(Pluronic(商標)F−68)、ポロキサマー407(Pluronic(商標)F−127)、およびポロキサマー338を含む、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンの二ブロックおよび三ブロック共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
イオン性界面活性剤の例には、スルホコハク酸ナトリウム、および脂肪酸石鹸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
アミノ酸の例には、疎水性アミノ酸が挙げられるが、これに限定されない。薬学的に許容される賦形剤としてアミノ酸の使用は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO95/31479号、第WO96/32096号、および第WO96/32149号において開示されるように、当該技術分野において知られている。
【0106】
炭水化物の例には、単糖類、二糖類、および多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、単糖類、例えば、デキストロース(無水および一水和物)、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルビトール、ソルボース等、二糖類、例えば、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース等、三糖類、例えば、ラフィノース等、および他の炭水化物、例えば、スターチ(ヒドロキシエチルスターチ)、シクロデキストリン、およびマルトデキストリン。
【0107】
緩衝剤の例には、トリスまたはクエン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
酸の例には、カルボン酸が挙げられるが、これに限定されない。
【0109】
塩の例には、塩化ナトリウム、カルボン酸の塩(例えば、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、塩酸トロメタミン等)、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
有機固体の例には、カンフル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、生体適合性、例えば、生分解性共重合体、あるいは混合体、またはそれらの他の組み合わせも含み得る。この点において、有用な重合体は、ポリラクチド、ポリラクチド−グリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリル酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、多糖類(デキストラン、スターチ、キチン、キトサン等)、ヒアルロン酸、タンパク質(アルブミン、コラーゲン、ゼラチン等)を含む。当業者は、適切な重合体を選択することによって、組成物の送達効率および/または分散の安定性は、薬学的抗不整脈薬の有効性を最適化するように調整され得ることを理解されたい。
【0112】
溶液の場合、組成物は、1つまたは複数の浸透圧調整剤、例えば、塩化ナトリウムを含み得る。例えば、塩化ナトリウムを溶液に添加して、溶液の浸透圧を調整してもよい。1つまたは複数の実施形態において、水性組成物は、本質的に、薬学的抗不整脈薬、浸透圧調整剤、および水で構成される。
【0113】
溶液は、緩衝剤またはpH調整剤、通常、有機酸または塩基から調製される塩も含み得る。代表的な緩衝剤は、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の有機酸塩、トリス、塩酸トロメタミン、またはリン酸緩衝剤を含む。したがって、緩衝剤は、クエン酸、リン酸、フタル酸、および乳酸を含む。
【0114】
上述される薬学的に許容される賦形剤の他に、他の薬学的に許容される賦形剤を、薬学的組成物に添加して、粒子剛性、生産収率、放出用量、および沈着、保持期間、および患者の受容を向上させることが望ましい場合がある。そのような任意選択の薬学的に許容される賦形剤には、着色剤、味マスキング剤、緩衝剤、吸湿剤、抗酸化剤、および化学安定剤が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、様々な薬学的に許容される賦形剤を使用して、粒子組成物(例えば、ラテックス粒子)に対して構造および形態を提供してもよい。この点において、理解されたい。硬直化成分は、選択的溶媒抽出等のポストプロダクション技術を使用して除去することができる。
【0115】
本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、味がない場合が多い。この点において、味マスキング剤は、任意選択で、組成物内に含まれるが、組成物は、味マスキング剤を含まず、味マスキング剤がなくても味がない。
【0116】
薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤の混合物を含み得る。例えば、炭水化物およびアミノ酸の混合物は、本発明の範囲内である。
【0117】
本発明の1つまたは複数の実施形態の組成物は、様々な形態、例えば、推進剤(例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロアルカン)等の非水性相を含む、溶液、乾燥粉末、最構成粉末、懸濁液、または分散液の形態を取り得る。
【0118】
本発明の溶液は、通常、透明である。この点において、本発明の薬学的抗不整脈薬の多くは、水溶性である。
【0119】
いくつかの実施形態において、溶液の等張性は、等張から生理的等張性の範囲である。生理的等張性は、生理液の等張性である。
【0120】
組成物は、通常、3.5〜8.0、例えば、4.0〜7.5、あるいは4.5〜7.0、または5.0〜6.5の範囲のpHを有する。
【0121】
乾燥粉末の場合、含水量は、通常、約15重量%未満、例えば、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満である。そのような粉末は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開公報第WO95/24183号、第WO96/32149号、第WO99/16419号、第WO99/16420号、および第WO99/16422号に記載される。
【0122】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、リン脂質マトリクスに統合される薬学的抗不整脈薬を含む。薬学的組成物は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、前述の国際公開公報第WO99/16419号、第WO99/16420号、第WO99/16422号、第WO01/85136号、および第WO01/85137号に記載されるように、活性剤を統合し、空洞および/または多孔微細構造である、粒子の形態である、リン脂質マトリクスを含み得る。空洞および/または多孔微細構造は、空洞および/または多孔微細構造の密度、サイズ、および空気動力学的質が、ユーザの吸入中に、肺の深部への輸送を促進するため、薬学的抗不整脈薬を肺に送達する際に有用である。さらに、リン脂質系空洞および/または多孔微細構造は、粒子間の引力を減少させて、エアロゾル化中に、薬学的組成物をより容易に脱凝集し、薬学的組成物の流動特性を改善して、処理をより簡易にする。
【0123】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、約1.0g/cm3未満、約0.5g/cm3未満、約0.3g/cm3未満、約0.2g/cm3未満、または約0.1g/cm3未満のバルク密度を有する空洞および/または多孔微細構造で構成される。低バルク密度粒子または粒子を提供することによって、単位用量容器に充填され得る最小粉末質量が低減され、担体粒子の必要性を排除する。つまり、本発明の1つまたは複数の実施形態の比較的低密度の粉末は、比較的低用量の薬学的化合物の再現性のある投与に対して提供される。さらに、大きい担体粒子、例えば、ラクトース粒子は、それらのサイズに起因して、喉および上部気道に影響を与えるため、担体粒子の排除は、潜在的に、喉沈着および任意の「嗚咽」作用または咳を低減する。
【0124】
いくつかの態様において、本発明は、しわ性の高い粒子を伴う。例えば、粒子は、2より大きい、例えば、3より大きいか、または4より大きいしわ性を有してもよく、しわ性は、2〜15、例えば、3〜10の範囲であり得る。
【0125】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、乾燥粉末形態であり、エアロゾル化装置の中または付近に挿入されて、薬学的組成物の単位用量をエアロゾル化し得る、単位用量レセプタクル内に含有される。このバージョンは、乾燥粉末形態が、長期間その単位用量レセプタクルに安定して保管され得る点において有用である。いくつかの実施例において、本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、少なくとも2年間安定し得る。いくつかのバージョンにおいて、安定性を得るために冷蔵する必要はない。他のバージョンにおいて、低温、例えば、2〜8℃を使用して、安定した保管を延長し得る。多くのバージョンにおいて、保管安定性は、外部電源によるエアロゾル化を可能にする。
【0126】
本明細書に開示される薬学的組成物は、間隙、孔、くぼみ、空洞、空間、間質腔、開口、穿孔、または孔を呈示するか、定義するか、または含む、構造マトリクスを含み得ることを理解されたい。穿孔微細構造の絶対形状(形態論とは対照的)は、一般に重要ではなく、所望の特徴を提供する任意の全体構成は、本発明の範囲内であると見なされる。したがって、いくつかの実施形態は、略球形状を含む。しかしながら、崩壊、変形、または破裂した粒子も適合可能である。
【0127】
一バージョンにおいて、薬学的抗不整脈薬は、個別の粒子を形成するマトリクスに組み込まれ、薬学的組成物は、複数の個別の粒子を含む。個別の粒子は、それらが効果的に投与され、および/またはそれらが必要とされる場合に使用可能であるようなサイズであり得る。例えば、エアロゾル化可能な薬学的組成物の場合、粒子は、ユーザの吸入中に粒子がエアロゾル化され、ユーザの気管に送達されることを可能にするサイズである。
【0128】
マトリクス材は、疎水性または部分的に疎水性の材料を含み得る。例えば、マトリクス材は、脂質、例えば、リン脂質、および/または疎水性アミノ酸、例えば、ロイシンまたはトリロイシンを含み得る。リン脂質マトリクスの例は、国際公開公報第WO99/16419号、第WO99/16420号、第WO99/16422号、第WO01/85136号、ならびに第WO01/85137号、および米国特許第5,874,064号、第5,855,913号、第5,985,309号、第6,503,480号、ならびに第7,473,433号、および米国公開特許出願第20040156792号に記載され、それらすべては、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。疎水性アミノ酸マトリクスの例は、米国特許第6,372,258号、第6,358,530号、および第7,473,433号に記載され、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
リン脂質がマトリクス材として利用される場合、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO01/85136号および第WO01/85137号に開示されるように、薬学的組成物は、多価カチオンも含み得る。
【0130】
別の実施形態に従って、薬学的抗不整脈薬を含有する組成物の放出動態が制御される。1つまたは複数の実施形態に従って、本発明の組成物は、薬学的抗不整脈薬の即時放出を提供する。代替的に、本発明の他の実施形態の組成物は、薬学的抗不整脈薬の所望の放出率を提供するために、マトリクス材に統合された活性材と非統合活性材の非均質混合物として提供されてもよい。本実施形態に従って、本発明の1つまたは複数の実施形態のエマルション系製造プロセスを使用して製剤化される薬学的抗不整脈薬は、気道に投与される場合、即時放出適応において実用性を有する。急速放出は、(a)低密度の多孔粉末の高特異性表面、(b)そこに統合される小さい薬物結晶、および(c)粒子の低表面エネルギーによって促進される。
【0131】
代替的に、活性剤の長時間放出が達成されるように、粒子マトリクスを設計することが望ましい場合がある。これは、活性剤が急速に肺から一掃される場合、または持続放出が望ましい場合に特に所望され得る。例えば、リン脂質分子の相動作の性質は、スプレー乾燥原料におけるそれらの化学構造および/または調製方法、ならびに乾燥条件、および利用される他の組成物成分によって影響される。小単層ベシクル(SUV)または多層ベシクル(MLV)内で溶解される活性剤のスプレー乾燥の場合に、活性剤は、複数の二層内でカプセル化され、長時間に渡って放出される。
【0132】
対照的に、本明細書の教示に従って、エマルション滴で構成される原料および分散または溶解された活性剤のスプレー乾燥することは、長距離秩序を有するリン脂質マトリクスをもたらし、それによって、急速な放出を促す。いかなる特定理論にも制限されないが、これは、活性剤が決してリン脂質内で正式にカプセル化されないという事実、および最初にリン脂質がエマルション滴の表面上に単層として(リポソームの場合のような二層ではなく)存在するという事実に一部起因すると考えられる。本発明の1つまたは複数の実施形態のエマルション系製造プロセスによって調製されるスプレー乾燥粒子は、高度の障害を有する場合が多い。またスプレー乾燥粒子は、通常、低表面エネルギーを有し、スプレー乾燥DSPC粒子に対して、20mN/mという低い値が観察された(逆ガスクロマトグラフィによって決定)。スプレー乾燥されたリン脂質粒子を用いて行った小角X線散乱(SAXS)研究も、脂質に対する高度の障害を示し、散乱ピークはこすり取られ、長さスケールは、いくつかの例において、いくつかの最も近い隣接を超えて伸長するに過ぎない。
【0133】
注目すべきは、液晶相移行温度に対して高ゲルを有するマトリクスが、活性剤の持続放出を達成するために、それ自体では十分でないことである。二層構造に対して十分な秩序を有することも、持続放出を達成するために重要である。急速放出を促すために、高空隙率(高表面領域)のエマルション系、および薬物物質とリン脂質との間の最小相互作用が使用されてもよい。他の組成物成分の添加を含み(例えば、Pluronic F−68、炭水化物、塩、ハイドロトロープ等の小分子)、二層構造を破壊し得る薬学的組成物の形成プロセスも検討される。
【0134】
持続放出を達成するために、特に活性剤がそこにカプセル化される場合、二層形態へのリン脂質の統合を使用してもよい。この場合、リン脂質のTmを増加させることは、二価対イオンまたはコレステロールの統合を介して、利益を提供し得る。同様に、イオン対(負電荷活性+ステアリルアミン、正電荷活性+ホスファチジルグリセロール)の形成を介するリン脂質と薬物物質との間の相互作用を増加させることは、溶解率を減少させる傾向がある。活性が両親媒性である場合、界面活性剤/界面活性剤の相互作用は、活性溶解も減速させ得る。
【0135】
長鎖飽和ホスファチジルコリンに対する二価対イオン(例えば、カルシウムまたはマグネシウムイオン)の添加は、双性イオン頭部基の負電荷リン酸部分と正電荷金属イオンとの間の相互作用をもたらす。これは、水和の水の移動と、リン脂質の脂質頭部基およびアシル鎖のパッキングの凝縮をもたらす。さらに、これは、リン脂質のTmの増加をもたらす。頭部基水和の減少は、水との接触時に、スプレー乾燥リン脂質粒子の拡散特性に深刻な影響を有し得る。完全に水和されたホスファチジルコリン分子は、水相を通る分子拡散を介して、極めてゆっくり分散結晶に拡散する。水中のリン脂質の溶解性は、非常に低いため(DPPCに対して約10−10mol/L)、プロセスは、非常に遅い。この現象を克服するための先行技術による試みは、リン脂質の存在下で結晶を均質にすることを含む。この場合、均質化した結晶の高度のせん断および曲線半径は、結晶上のリン脂質の被服を促進する。対照的に、本発明の1つまたは複数の実施形態に従う「乾燥」リン脂質粉末は、水性相と接触すると、即時に拡散し得、それによって、高いエネルギーを適用する必要なく分散した結晶を被覆する。
【0136】
例えば、再構成時に、空気/水の界面におけるスプレー乾燥DSPC/Ca混合物の表面張力は、測定値が取られ得るとすぐに平衡値(約20mN/m)に減少する。対照的に、DSPCのリポソームは、数時間かけて表面張力(約50mN/m)をわずかに減少させ、この減少は、加水分解の分解生成物の存在、例えば、リン脂質中の遊離脂肪酸に起因する可能性が高い。単尾脂肪酸は、疎水性親化合物よりもはるかに速く空気/水の界面に対して分散することができる。したがって、ホスファチジルコリンへのカルシウムイオンの添加は、結晶性薬物の急速なカプセル化をさらに早め、印加エネルギーを低下させることができる。
【0137】
別のバージョンにおいて、薬学的組成物は、水エマルション中のペルフルオロカーボンを用いて、ナノ結晶を共スプレー乾燥することによって達成される低密度粒子を含む。ナノ結晶は、沈殿によって形成されてもよく、例えば、約45μm〜約80μmの範囲のサイズであり得る。ペルフルオロカーボンの例には、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書の教示に従って、粒子は、「乾燥」状態で提供されてもよい。つまり、1つまたは複数の実施形態において、粒子は、大気温度または低温での保存中に、粉末を化学的および物理的に安定した状態で維持し、分散可能に維持し得る、含水量を有する。この点において、主な粒径、含有物、純度、および空気動力学的粒径の分布に変化はほとんどないか、または全くない。
【0139】
そのようにして、粒子の含水量は、通常、約10重量%未満、例えば、約6重量%未満、約3重量%未満、または約1重量%未満である。含水量は、少なくとも部分的に、組成物によって決定され、用いられるプロセス条件、例えば、入口温度、フィード濃度、ポンプ速度、および発泡剤の種類、濃度、ならびにポスト乾燥によって制御される。結合水の減少は、リン脂質系粉末の分散性および流動性の著しい向上をもたらし、粉末肺界面活性剤またはリン脂質中に分散された活性剤を含む粒子組成物の極めて効果的な送達能力をもたらす。向上した分散性は、簡素な受動DPIデバイスを使用して、これらの粉末を効果的に送達できるようにする。
【0140】
薬学的組成物のさらに別のバージョンは、接触の時点で滞留時間を長くするか、または粘膜の通過を強化する荷電種含み得るか、または部分的あるいは完全にそれで被覆され得る、粒子組成物を含む。例えば、アニオン電荷は、粘膜接着を促すが、カチオン電荷は、形成された粒子を遺伝物質等の負電荷生物活性剤と関連付けるために使用され得る。電荷は、ポリアニオンまたはポリカチオン性物質、例えば、ポリアクリル酸、ポリリシン、ポリ乳酸、およびキトサンの関連付けまたは統合を通して付与されてもよい。
【0141】
いくつかのバージョンにおいて、薬学的組成物は、約20μm未満、例えば、約10μm未満、約7μm未満、または約5μm未満の質量中央径を有する粒子を含む。粒子は、約1μm〜約6μm、例えば、約1.5μm〜約5μm、または約2μm〜約4μmの範囲の質量中央空気動力学的直径を有してもよい。粒子が大きすぎる場合、より多くのパーセンテージの粒子が肺に到達しない。粒子が小さすぎる場合、より多くのパーセンテージの粒子が吐き出され得る。
【0142】
薬学的組成物の単位用量は、容器に含有されてもよい。容器の実施例には、シリンジ、カプセル、ブロー充填シール、ブリスター、バイアル、アンプル、または金属、重合体(例えば、樹脂、エラストマー)、ガラス等で形成された容器閉鎖システムが挙げられる。例えば、バイアルは、クロロブチルゴムシリコン処理ストッパを備える無色の型Iホウケイ酸ガラスISO6R 10mLバイアル、およびカラー樹脂カバーを備えるリップオフ型のアルミニウムカップであってもよい。
【0143】
容器は、エアロゾル化デバイスに挿入されてもよい。容器は、適切な形状、サイズ、および材質であり、薬学的組成物を含有し、薬学的組成物を使用可能な状態で提供し得る。例えば、カプセルまたはブリスターは、薬学的組成物と逆に反応しない物質を含む壁を含み得る。さらに、壁は、カプセルを開いて、薬学的組成物をエアロゾル化させることができる物質を含んでもよい。一バージョンにおいて、壁は、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール化合HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、アガー、アルミニウムホイル等のうちの1つまたは複数を含む。一バージョンにおいて、カプセルは、例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,247,066号に記載されるように、伸縮自在に接合する部分を含んでもよい。カプセルのサイズは、薬学的組成物の用量を適切に含有するように選択され得る。サイズは、一般に、サイズ5〜サイズ000の範囲であり、それぞれ外径は約4.91mm〜9.97mmの範囲、高さは約11.10mm〜約26.14mmの範囲、および容量は約0.13mL〜約1.37mLの範囲である。適切なカプセルは、例えば、Shionogi Qualicaps Co.(奈良県、日本)およびCapsugel(Greenwood,SC)から商業的に入手可能である。参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,846,876号および第6,357,490号、および国際公開番号第WO00/07572号に記載されるように、充填後、上部は下部に配置されて、カプセル形状を形成し、カプセル内に粉末を含有し得る。上部を下部に配置した後、カプセルは任意選択でバンドを付けることができる。
【0144】
解決策として、単位用量中の組成物の量は、通常、約2mL〜約15mL、例えば、約3mL〜約10mL、約4mL〜約8mL、または約5mL〜約6mLの範囲である。
【0145】
本発明の組成物は、当該技術分野における熟練者に周知かつ使用可能な種々の方法および技術のうちのいずれかによって形成されてもよい。
【0146】
例えば、薬学的抗不整脈薬の溶液は、以下の手順を使用して形成されてもよい。通常、製造装置は、使用前に滅菌される。最終容量の一部分、例えば、溶媒の70%、例えば、注射水を適切な容器に添加してもよい。次に、薬学的抗不整脈薬が添加され得る。抗不整脈薬は、溶解するまで混合されてもよい。追加の溶媒を添加して、最終バッチ容量を形成してもよい。バッチは、例えば、0.2μmフィルタを通して、滅菌された受容容器にろ過されてもよい。充填成分は、バッチをバイアル、例えば、10mLバイアルに充填する際に、使用前に滅菌され得る。
【0147】
実施例として、上述の滅菌は、以下を含み得る。5リットル型の1つのガラス瓶および蓋は、オートクレーブバッグ内に配置され、昇温温度、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌され得る。同様に、バイアルは、適切なラックに配置され、オートクレーブバッグに挿入され、昇温温度、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌され得る。また同様に、ストッパは、オートクレーブバッグ内に配置され、昇温温度、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌され得る。滅菌前に、滅菌フィルタは、管、例えば、2mm長の7mmX13mmシリコン管に取り付けられてもよい。充填ラインは、オートクレーブバッグ内に配置し、昇温、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌することによって製造され得る。
【0148】
上述のろ過は、層流作業域へのろ過を伴ってもよい。受容ボトルおよびフィルタは、掃流作業域内に設置されてもよい。
【0149】
上述の充填も、層流保護下で行われ得る。充填ラインは、包装を解いて、受容ボトルの中に配置されてもよい。滅菌バイアルおよびストッパは、層流保護下で、包装を解いてもよい。各バイアルは、目標充填の5gまで充填され、ストッパで塞がれ得る。フリップオフカラーが各バイアルに適用されてもよい。密閉されたバイアルは、バイアル漏出、適切なオーバーシール、および亀裂について検査され得る。
【0150】
別の実施例として、抗不整脈薬は、抗不整脈薬を凍結乾燥させて保管用の粉末に形成することによって調製されてもよい。次に、粉末は、使用に先立って再構成される。この技術は、抗不整脈薬が溶液中で不安定な場合に使用されてもよい。
【0151】
凍結乾燥される溶液の溶媒は、水を含んでもよい。溶液は、賦形剤を含まなくてもよい。例えば、溶液は、抗凍結剤を含まなくてもよい。
【0152】
1つまたは複数の実施形態において、適切な量(例えば、120g/lの最終溶液)の薬物物質が、窒素発泡下で、例えば、理論的総量の約75%の水中に溶解されてもよい。溶解時間が記録され、外観が評価され得る。
【0153】
次に、WFIによる最終容量への希釈が行われてもよい。最終容量が確認され得る。密度、pH、内毒素、生物負荷、およびUV含有量が、滅菌ろ過の前後両方で測定されてもよい。
【0154】
溶液は、凍結乾燥前にろ過されてもよい。例えば、二重の0.22μmろ過を充填前に行ってもよい。フィルタは、ろ過前後の完全性および泡立ち点について試験され得る。
【0155】
事前洗浄およびオートクレーブされたバイアルは、自動充填ラインを使用して、バイアル当りの目標5mLまで無菌で充填された後、部分的にストッパで塞がれ得る。プロセス中に、充填重量を15分毎にチェックすることによって、充填容量のチェックを行ってもよい。
【0156】
凍結乾燥は、一般に、溶解の約72時間、例えば、約8時間、または約4時間以内に行われる。
【0157】
1つまたは複数の実施形態において、凍結乾燥は、溶液を凍結させて凍結溶液を形成することを含む。凍結溶液は、通常、約−40℃〜約−50℃の範囲、例えば、約−45℃の初期温度で保持される。初期温度期間中に、凍結溶液周囲の圧力は、通常、大気圧である。初期温度期間は、通常、約1時間〜約4時間の範囲、例えば、約1.5時間〜約3時間、または約2時間である。
【0158】
凍結乾燥は、凍結溶液の温度を第1の事前設定温度に上昇させることをさらに含み得、約10℃〜約20℃の範囲、例えば、約15℃であり得る。初期温度から第1の事前設定温度への熱傾斜にかかる時間は、通常、約6時間〜約10時間の範囲、例えば、約7時間〜約9時間である。
【0159】
第1の事前設定温度期間中、溶液周囲の圧力は、通常、約100μバール〜約250μバール、例えば、約150μバール〜約225μバールの範囲である。溶液は、第1の事前設定温度で、約20時間〜約30時間の範囲、例えば、約24時間維持されてもよい。
【0160】
凍結乾燥は、溶液の温度を第2の事前設定温度に上昇させることをなおもさらに含み得、約25℃〜約35℃の範囲、例えば、約30℃であり得る。第2の事前設定温度期間中、凍結溶液周囲の圧力は、通常、約100μバール〜約250μバール、例えば、約150μバール〜約225μバールの範囲であり得る。溶液は、第2の事前設定温度で、約10時間〜約20時間の範囲の期間保持されてもよい。
【0161】
上記を考慮して、凍結乾燥周期は、例えば、20℃〜−45℃で65分の凍結ランプに、続いて、例えば、−45℃で2時間の凍結ソークを含み得る。一次乾燥は、例えば、−45℃から15℃で8時間の加熱ランプに続いて、200μバールの圧力下、15℃で24時間の温度保持により達成され得る。二次乾燥は、例えば、15℃から30℃で15時間の加熱ランプに続いて、200μバールの圧力下、30℃で15時間の温度保持により達成され得る。凍結乾燥周期の最後に、滅菌窒素により真空が断絶されてもよく、バイアルは、自動的にストッパで塞がれ得る。
【0162】
凍結乾燥粉末の含水量は、通常、約7重量%未満、例えば、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満である。
【0163】
粉末は、水を用いて、25℃で1.0大気下、手動攪拌により約60秒未満で、例えば、約30秒未満、約15秒未満、または約10秒未満で最構成することができる。
【0164】
粉末は、通常、再構成を促進する大きい特定表面領域を有する。特定表面領域は、通常、約5m2/g〜約20m2/g、例えば、約8m2/g〜15m2/g、または約10m2/g〜12m2/gの範囲である。
【0165】
水による再構成時に、薬学的抗不整脈薬溶液は、通常、約2.5〜約7、例えば、約3〜約6の範囲のpHを有する。
【0166】
乾燥粉末の場合、組成物は、スプレー乾燥、凍結乾燥、粉砕(例えば、湿式粉砕、乾燥粉砕)等によって形成されてもよい、
【0167】
スプレー乾燥において、スプレー乾燥される調製物または原料は、任意の溶液、粗懸濁液、スラリー、コロイド分散、または選択されたスプレー乾燥装置を使用して粉末化され得るペーストであってもよい。不溶性薬剤の場合、原料は、上述されるような懸濁液を含み得る。代替的に、希釈液および/または1つもしくは複数の溶媒が原料に利用されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、原料は、エマルション、逆エマルション、マイクロエマルション、多重エマルション、粒子分散、またはスラリー等のコロイド系を含む。
【0168】
一バージョンにおいて、薬学的抗不整脈薬およびマトリクス材が水性原料に添加して、原料溶液、懸濁液、またはエマルションを形成する。次に、原料をスプレー乾燥して、マトリクス材および薬学的抗不整脈薬を含む乾燥粉末を産生する。適切なスプレー乾燥プロセスは、例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16419号および米国特許第6,077,543号、第6,051,256号、第6,001,336号、第5,985,248号、および第5,976,574号に開示されるように、当該技術分野において知られている。
【0169】
いかなる成分が選択されるとしても、粒子産生の第1のステップは、通常、原料の調製を含む。リン脂質系粒子が薬学的抗不整脈薬の担体として作用することが意図される場合、選択された活性剤は、水等の液体中に導入され、濃縮懸濁液を産生し得る。薬学的抗不整脈薬および任意選択の活性剤の濃度は、通常、最終粉末中に必要とされる薬剤の量および用いられる送達デバイスの性能に依存する(例えば、定量吸入器(MDI)または乾燥粉末吸入器(DPI)の微粒子用量)。
【0170】
任意の追加の活性剤を単一の原料調製に統合し、スプレー乾燥して、複数の活性財を含む単一の薬学的組成物種を産生してもよい。逆に、個別の活性剤を添加して、原料を分離し、個別にスプレー乾燥して、異なる組成物を有する複数の薬学的組成物を提供することができる。これらの個別種を、任意の所望の比率で、懸濁媒体または乾燥粉末分散コンパートメントに添加し、下記のようにエアロゾル送達系に配置することができる。
【0171】
多価カチオンは、薬学的抗不整脈薬懸濁液と組み合わされるか、リン脂質エマルションと組み合わされるか、または個別の容器内で形成される水中油型エマルションと組み合わされてもよい。薬学的抗不整脈薬は、直接エマルション中に分散されてもよい。
【0172】
例えば、多価カチオンおよびリン脂質は、熱い蒸留水(例えば、70℃)中、適切な高せん断機械ミキサー(例えば、Ultra−TurraxモデルT−25ミキサー)を使用して、8000rpmで2〜5分間均質化され得る。通常、5〜25gのフルオロカーボンが、分散界面活性剤溶液に混合しながら滴下添加される。次に、得られる水エマルション中の多価カチオン含有ペルフルオロカーボンを、高圧ホモゲナイザを使用して処理し、粒径を減少させてもよい。通常、エマルションは、5つの個別のパスに対して12,000〜18,000PSIで処理され、約50℃〜約80℃で維持される。
【0173】
多価カチオンが水中油型エマルションと組み合わされる場合、スプレー乾燥された薬学低組成物の分散安定性および分散性は、参照することによりその全体が本明細書に組み合わされる、国際公開番号第WO99/16419号に記載されるように、発泡剤を使用することによって改善することができる。このプロセスは、エマルションを形成し、統合される界面活性剤によって任意選択で安定化され、通常、水性連続相に分散される水非混和性発泡剤のサブミクロン滴を含む。発泡剤は、スプレー乾燥プロセス中に蒸発し、一般に、空洞、多孔の空気力学的に軽い粒子を残す、フッ素化化合物(例えば、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタン)であってもよい。他の適切な液体発泡剤は、非フッ素化油、クロロホルム、Freon(登録商標)フルオロカーボン、酢酸エチル、アルコール、炭化水素、窒素、および二酸化炭素ガスを含む。発泡剤は、リン脂質でエマルション化されてもよい。
【0174】
薬学的組成物は、上記のように、発泡剤を使用して形成されてもよいが、いくつかの例において、追加の発泡剤は不要であり、薬学的抗不整脈薬の水分散液および/または薬学的に許容される賦形剤および界面活性剤は、直接スプレー乾燥されることを理解されたい。そのような場合、薬学的組成物は、そのような技術における使用を特に適切にする、特定の物理化学的特性(例えば、高結晶性、高溶解温度、表面活性等)を有し得る。
【0175】
必要に応じて、共界面活性剤、例えば、ポロキサマー188またはスパン80は、この付属溶液中に分散されてもよい。追加的に、薬学的に許容される賦形剤、例えば、糖およびスターチを添加することもできる。
【0176】
次に、原料がスプレー乾燥器に供給され得る。通常、原料は、溶媒を蒸発させる温かいろ過空気流にスプレーされ、乾燥産生物を収集器に運ぶ。次に、消費された空気は、溶媒とともに排出される。Buchi Ltd.またはNiro Corp.製の商業用スプレー乾燥器を修正して、薬学的組成物を産生するために使用してもよい。本発明の1つまたは複数の実施形態の乾燥粉末を形成するために適切なスプレー乾燥方法およびシステムの実施例は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,077,543号、第6,051,256号、第6,001,336号、第5,985,248号、および第5,976,574号に開示される。
【0177】
スプレー乾燥の操作条件、例えば、入口および出口温度、供給速度、噴霧圧力、乾燥空気の流速、およびノズル構成は、必要な粒径、および得られる乾燥粉末の生産収率をもたらすために調製することができる。適切な装置および処理条件の選択は、本明細書の教示を考慮して、熟練者の理解の範囲内であり、不要な実験なしに達成され得る。典型的な設定は、以下のとおりである。空気入口温度:約60℃〜約170℃、空気出口温度:約40℃〜約120℃、供給速度:約3mL/分〜約15mL/分、吐出空気流:約300L/分、および噴霧空気流速:約25L分〜約50L/分。当然のことながら、設定は、使用される装置の種類に応じて異なる。あらゆる事象において、これらおよび同様の方法の使用は、肺へのエアロゾル沈着に適した直径を有する空気力学的に軽い粒子の形成を可能にする。
【0178】
空洞および/または多孔微細構造は、参照することにより本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16419号に開示されるように、スプレー乾燥によって形成されてもよい。スプレー乾燥プロセスは、大きい内部空洞を定義する、比較的薄い多孔壁を有する粒子を含む、薬学的組成物の形成をもたらし得る。スプレー乾燥プロセスは、形成される粒子が、処理中または脱凝集中に、破裂する可能性が少ない他のプロセスよりも有利である場合が多い。
【0179】
本発明の1つまたは複数の実施形態に有用な薬学的組成物は、代替的に、凍結乾燥によって形成されてもよい。凍結乾燥は、それが凍結した後、水が組成物から昇華される、凍結乾燥プロセスである。水性溶液中で比較的不安定な生物学および調剤が、昇温に曝露されることなく乾燥された後、安定性の問題が少ない乾燥状態で保管され得るため、凍結乾燥プロセスが使用される場合が多い。本発明の1つまたは複数の実施形態に関して、そのような技術は、特に、生理活性を低下させることなく、薬学的組成物中のペプチド、タンパク質、遺伝物質、および他の天然ならびに合成マクロ分子の統合と適合する。微泡様構造を含有する凍結乾燥ケーキは、所望のサイズの粒子を提供するために当該技術分野において知られている技術を使用して、微粒化することができる。
【0180】
本発明の1つまたは複数の実施形態の組成物は、吸入によって投与され得る。
【0181】
さらに、吸入される組成物の用量は、吸入される組成物の心臓への効率的な標的に起因して、通常、他の経路によって投与され、同様の効果を得るために必要とされる用量よりもはるかに少ない。
【0182】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、薬学的抗不整脈薬を含む薬学的組成物は、それを必要とする患者の肺に投与される。例えば、患者は、不整脈を診断されていてもよい。不整脈の例には、頻拍、上室性頻拍症(SVT)、発作性上室性頻拍(PSVT)、心房細動(AF)、発作性心房細動(PAF)、永久的心房細動、持続性心房細動、心房粗動、発作性心房粗動、および単独心房粗動が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物を使用して、広範な患者を治療および/または予防提供することができる。本明細書に記載されるような治療および/または予防を受けるために適した患者は、それを必要とする任意の哺乳類患者であり、好ましくは、そのような哺乳類は、ヒトである。患者の例には、小児患者、成人患者、および老人患者が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、組成物は、単なる症状の急速な解消のための治療として意図され、予防として見なされない。すなわち、患者が健康な場合は薬物の必要がなく、これは、散発性または断続的投与に起因して、治療をより有効かつ安全にし、傷害を引き起こす症状を低減する。
【0184】
薬学的抗不整脈薬の必要量および投与頻度は、組成物内の薬学的抗不整脈薬の組成物および濃度に依存する。いくつかの例において、用量は、その通常静脈内用量未満である。肺用量は、心臓内容量に類似する。吸入は、静脈内または経口投与と比較して、体内の薬物の希釈を回避する。
【0185】
吸入は、肝代謝等の代謝も回避する。例えば、ジルチアゼム等のカルシウムチャネル遮断薬は、経口摂取されると、著しい肝代謝を経る。吸入は、親ジルチアゼム化合物をボーラスとして心臓に急速に送達することを可能にする。驚くことに、本発明に従う吸入経路を介するジルチアゼムの吸入による投与は、心房粗動を正常洞律動に転向し、心拍を低減した。したがって、ジルチアゼムの吸入による投与は、心房粗動および上室性頻拍症(SVT)の両方を治療するために有用である。対照的に、ジルチアゼムのIVによる投与は、通常、SVTから正常洞律動に転向するため、および心房粗動においては、心拍を減少させるために使用されるに過ぎない(正常洞律動に転向するためではない)。
【0186】
吸入は、赤血球の代謝も回避する。例えば、吸入と関連付けられる還元希釈および短経路は、エスモロールの赤血球代謝を減少させる。
【0187】
吸入は、血圧の低下および失神も回避し得る。例えば、β遮断薬、例えば、エスモロールのIV投与は、平均動脈血圧(MAP)を低下させ得る。吸入は、MAPを低下させることなく、エスモロールの急速送達を可能にする。結果として、β遮断薬の吸入は、同一のβ遮断薬のIV投与に起因するMAPよりもはるかに多い、10mmHg〜20mmHgのMAPをもたらし得る。
【0188】
吸入心治療の場合、薬物は、ボーラスとして、肺から心臓に配向される。そのため、心臓は、高濃度で見られる。薬物は、心臓を通過するにつれて急速に希釈されが、曝露時間は、所望の薬物作用に十分である。一旦、薬物が心臓を通過すると、血液全体の薬物濃度は、治療濃度を下回り、効果的でないと考えられる。治療ウィンドウは、安全かつ有効な治療を提供する体系における、薬物の用量またはその濃度の範囲である。最小量以下の量は、いずれも治療量以下であり、したがって、その濃度において有効でない。希釈を考慮して、望ましくない副作用が最小化される。
【0189】
一バージョンにおいて、抗不整脈薬は、毎日投与されてもよい。このバージョンにおいて、薬学的抗不整脈薬の日用量は、約0.1mg〜約600mg、例えば、約0.5mg〜約500mg、約1mg〜約400mg、約2mg〜約300mg、および約3mg〜約200mgの範囲である。
【0190】
用量は、単回吸入中に投与され得るか、または複数吸入中に投与されてもよい。薬学的抗不整脈薬濃度の変動は、薬学的組成物をより頻繁に投与することによって低減され得るか、または薬学的組成物を少ない頻度で投与することによって増加され得る。そのため、本発明の1つまたは複数の薬学的組成物は、1日約4回〜1ヶ月に約1回、例えば、1日約1回〜2週間に約1回、2日に約1回〜1週間に約1回、および1週間に約1回投与されてもよい。
【0191】
不整脈を患う患者を治療するために、投与される薬学的抗不整脈薬の用量当りの量は、不整脈を治療するために有効な量であり得る。不整脈の治療のための薬学的抗不整脈薬の量は、一般に、予防に使用される量よりも高く、通常、約0.001mg/kg〜6mg/kg、例えば、約0.002mg/kg〜約5mg/kg、または約0.005mg/kg〜約4mg/kgの範囲である。典型的な一治療レジメンにおいて、本発明の1つまたは複数の実施形態に従う製剤は、1日に約1〜約4回、例えば、1日に約2〜約3回投与されてもよい。一般に、患者に投与される薬学的抗不整脈薬の用量は、治療されている上体、患者の年齢および体重等に応じて、約0.1mg〜約600mg、例えば、1日約0.2mg〜500mgの範囲である。
【0192】
例えば、本発明は、初期吸入後に除細動が起こらない場合、フォローアップ吸入を伴ってもよい。通常、初期吸入から30分以内に除細動が起こらない場合、フォローアップ用量は、初期用量と同一またはそれ以上である。
【0193】
用量は、患者の気分によって導かれ得る。同様に、または代替的に、用量は、携帯ECGによって導かれてもよい。例えば、用量は、ホルターモニタによって導かれてもよい。
【0194】
別のバージョンにおいて、薬学的組成物は、不整脈を進行させる可能性がある患者に対して、予防的に投与される。例えば、不整脈の履歴のある患者は、薬学的抗不整脈薬を含む薬学的組成物によって予防的に治療され、不整脈を進行させる可能性を減少させることができる。
【0195】
薬学的組成物は、不整脈を予防するために有効な任意のレジメンにおいて、患者に投与されてもよい。例示的な予防レジームは、本明細書に記載されるように、薬学的抗不整脈薬を1週間に1〜21回投与することを含む。
【0196】
理論に制限されることは望まないが、本発明の1つまたは複数の実施形態に従って薬学的抗不整脈薬を提供することによって、薬学的抗不整脈薬の全身曝露は、初期希釈を回避することによって低下させることができる。上述されるように、薬学的抗不整脈薬は、心臓を通過した時およびその後に希釈を経る。そのため、薬学的抗不整脈薬の吸入による投与は、静脈内送達よりも安全であると考えられる。
【0197】
別の態様において、投与方法は、参照することにより開示の全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20050235987号、第20050211253号、第20050211245号、第20040035413号、および第20040011358号に開示されるもの等のエアロゾル化薬剤の投与のためのエアロゾル生成デバイスおよび/またはシステムによって自由に呼吸している患者に投与することを含む。
【0198】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、乾燥粉末の形態で患者に送達されてもよい。したがって、薬学的組成物は、肺の深部または別の標的部位に効果的に送達され得る乾燥粉末を含む。この薬学的組成物は、肺胞への貫通を許可するように選択されたサイズの粒子を含む乾燥粉末の形態である。
【0199】
いくつかの例において、単位用量、例えば、0.1mgまたは100mg以上の薬学的抗不整脈薬を、単回吸入で肺に送達することが望ましい。上述のリン脂質空洞および/または多孔乾燥粉末粒子は、約5mg以上、しばしば約10mgより多い、および場合によって約15mgより多い用量が、単回吸入および有利な方法で送達されるのを可能にする。代替的に、用量は、2回以上の吸入、例えば、1〜6回、1〜5回、または1〜4回の吸入で送達されてもよい。例えば、10mg用量は、それぞれ5mgの2単位用量を提供することによって送達されてもよく、2つの単位用量は、個別に吸入されてもよい。特定の実施形態において、薬学的抗不整脈薬の全体用量は、0.1mg〜200mg、例えば、0.5mg〜150mg、または1mg〜100mgの範囲である。
【0200】
投与するための時間は、通常短い。噴霧器の場合、投与時間は、通常、1分〜20分、例えば、2分〜15分、または3分〜10分の範囲である。乾燥粉末に関して、単一カプセルの場合、総投与時間は、通常、約1分未満である。そのため、投与時間は、約5分未満、例えば、約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満であり得る。
【0201】
特定の実施形態において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法を対象とする。方法は、息切れ、動悸、および正常値を超える心拍のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することを含む。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、自己診断から2時間以内、例えば、1時間、30分または15分以内に吸入により自己投与することも含む。
【0202】
特定の実施形態において、患者は、自己滴定することができる。例えば、患者は、障害を引き起こす症状が消えるまで、例えば、噴霧器を使用することによって、自己投与することができる。いくつかの例において、自己投与は、患者が動悸を感じなくなるまで継続する。
【0203】
作用の発現時間も通常短い。例えば、患者は、投与の開始から20分以内、例えば、15分以内、10分以内、または5分以内に正常律動を有する。患者が長期間不整脈を罹患しているほど、通常、患者が正常律動に転向するまでに長い時間がかかるため、作用の急速な発現は有利である。
【0204】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、患者が、他の治療、例えば、アブレーションおよび/または電気的除細動を回避することを可能にする。他の実施形態において、本発明の方法は、他の治療と併せて、例えば、電気的除細動および/またはアブレーション治療の前または後に使用される。
【0205】
分散または粉末薬学的組成物は、エアロゾル化デバイスを使用して投与されてもよい。エアロゾル化デバイスは、噴霧器、定量吸入器、液体用量点滴デバイス、または乾燥粉末吸入器であってもよい。薬学的組成物は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16420号に記載されるように、噴霧器によって、国際公開番号第WO99/16422号に記載されるように、定量吸入器によって、国際公開番号第WO99/16421号に記載されるように、液体用量点滴装置によって、米国公開出願第20020017295号および第20040105820号、国際公開番号第WO99/16419号、第WO02/83220号、および米国特許第6,546,929号に記載されるように、乾燥粉末吸入器によって送達されてもよい。そのようにして、吸入器は、粒子または粒子および推進剤を含有する容器を含んでもよく、吸入器は、容器の内部と連通する絞り弁を含む。推進剤は、ヒドロフルオロアルカンであり得る。
【0206】
本発明の製剤は、それを必要とする患者の肺気道に投与され得るエアロゾル化薬剤を提供するために、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第PCT WO99/16420号に開示されるもの等の噴霧器で投与されてもよい。噴霧器は、当該技術分野において知られており、不要な実験なしに請求される製剤の投与に用いることができる。息で作動する噴霧器、ならびに既に行われた、または今後行われる他の種類の改善を含むものも、本発明の製剤と適合し、その範囲内にあるものとして見なされる。
【0207】
噴霧器は、液体をエアロゾル化し、肺系、例えば、患者の肺への送達を可能にする、液体薬学的製剤にエネルギーを付与する。噴霧器は、例えば、液体薬学的製剤を含有する容器を有するコンテナ等の液体送達系を含む。液体薬学的製剤は、概して、溶液中または液体媒体内に懸濁されるかのいずれかである、活性剤を含む。
【0208】
一般にジェット噴霧器と称される、ある種類の噴霧器において、圧縮ガスは、コンテナの開口部を通して押し出される。圧縮ガスは、液体がノズルを通して吸引されるようにし、吸引された液体を流動期待と混合して、エアロゾル滴を形成する。次に、滴煙を患者の気道に投与する。
【0209】
一般に振動メッシュ噴霧器と称される、別の種類の噴霧器において、機械エネルギー等のエネルギーは、メッシュを振動させる。このメッシュの振動が、液体薬学的製剤をエアロゾル化し、患者の肺に投与されるエアロゾル煙を形成する。
【0210】
代替または追加的に、薬学的製剤は、液体形態であってもよく、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO2004/071368号、ならびにいずれも参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国公開出願第2004/0011358号および第2004/0035413号に記載されるように、噴霧器を使用してエアロゾル化され得る。噴霧器の他の実施例には、Aerogen Ltd.(Galway,Ireland)から入手可能なAeroneb(登録商標)GoまたはAeroneb(登録商標)Pro噴霧器、PARI Respiratory Equipment,Inc.(Midlothian,Va)から入手可能なPARI eFlowおよび他のPARI噴霧器、Lumiscope Company,Inc.(East Brunswick,N.J.)から入手可能なLumiscope(登録商標)噴霧器6600または6610、およびOmron Healthcare,Inc.(Kyoto,Japan)から入手可能なOmron NE−U22が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
振動するメッシュ型の噴霧器、例えば、圧縮ガスを使用せずに滴を形成するもの、例えば、Aeroneb(登録商標)Proは、投与効率および一貫性において予期せぬ改善をもたらすことが分かった。圧縮空気を導入することではなく、振動する穿孔または非穿孔膜を使用することによって、微細滴を生成することにより、エアロゾル化薬学的製剤を流量特性に著しく左右することなく、導入することができる。さらに、生成された滴は、この型の噴霧器を使用する場合、低速で導入され、それによって、滴が望ましくない領域に運ばれる可能性を減少させる。
【0212】
さらに別の型の噴霧器において、超音波が生成され、薬学的製剤を直接振動およびエアロゾル化する。
【0213】
上記のように、本発明は、乾燥粉末吸入器も伴い得る。特定のバージョンの乾燥粉末エアロゾル化装置は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,069,819号および第4,995,385号に記載される。カプセルが吸入方向に直交するように、カプセルを受容するサイズおよび形状のチャンバを有する、別の有用なデバイスは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第3,991,761号に記載される。米国特許第3,991,761号にも記載されるように、穿孔機序は、カプセルの両端を穿孔し得る。別のバージョンにおいて、チャンバは、例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,338,931号および第5,619,985号に記載されるように、空気がカプセルを通って流れるように、カプセルを受容し得る。別のバージョンにおいて、例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,458,135号、第5,785,049号、および第6,257,233号に記載されるように、入口を通って流れる圧縮ガス、または国際公開番号第WO00/72904号および米国特許第4,114,615号に記載されるように、推進剤によって、薬学的組成物のエアロゾル化が達成され得る。これらの型の乾燥粉末吸入器は、一般に、能動乾燥粉末吸入器と称される。
【0214】
他の乾燥粉末吸入器は、Boehringer lngelheim(例えば、Respimat吸入器)、Hovione(例えば、FlowCaps吸入器)、Plastiape(例えば、Osmohaler吸入器)、およびMicroDoseから入手可能なものを含む。本発明は、Alexza,Mountain View,CAから入手可能な凝縮エアロゾルデバイスを利用してもよい。さらに別の有用な吸入器は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO2008/051621号に開示される。
【0215】
本明細書に開示される薬学的製剤は、定量吸入器等のエアロゾル化を介して、患者の肺に投与されてもよい。そのような製剤の使用は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16422号に開示されるように、優れた用量再現性および改善された肺沈着を提供しする。MDIは、当該技術分野において知られており、不要な実験なしに、請求される分散の投与に容易に用いられ得る。息で作動するMDIおよび加圧MDI(pMDI)、ならびに既に行われた、または今後行われる他の種類の改善を含むものも、本発明の製剤と適合し、そのようにして、その範囲内であるものと見なされる。
【0216】
DPI、MDI、および噴霧器とともに、本発明の1つまたは複数の実施形態の製剤は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば、国際公開番号第WO99/16421号に開示されるように、液体用量点滴またはLDI技術と併用されてもよいことを理解されたい。液体用量点滴は、肺への直接製剤投与を伴う。LDIに関して、製剤は、好ましくは、部分液体換気または総液体換気と併せて使用される。さらに、本発明の1つまたは複数の実施形態は、治療上有効量の生理学的に許容されるガス(例えば、酸化窒素または酸素)を、投与前、投与中、または投与後に薬学的微粒分散に導入することをさらに含んでもよい。
【0217】
本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、通常、向上した放出用量効率を有する。したがって、高容量の薬学的組成物は、多様なエアロゾル化デバイスおよび技術を使用して送達されてもよい。
【0218】
本発明の粒子の放出用量(ED)は、約30%より、例えば、約40%、約50%、約60%、または約70%より多くてもよい。
【0219】
1つまたは複数の実施形態は、キットを対象とする。例えば、キットは、エアロゾル化デバイスおよび容器、例えば、エアロゾル化薬学的抗不整脈薬、例えば、液体または乾燥粉末を含有する単位用量レセプタクルを含み得る。
【0220】
キットは、エアロゾル化デバイスおよびコンテナを含む、バッグ等のパッケージをさらに含んでもよい。
【0221】
上記を考慮して、本発明は、不整脈の急性発作および/または慢性不整脈を治療する方法を伴う。特定の実施形態において、治療は、心房性不整脈の検出後の急性治療を含む。
【0222】
この治療方法は、IVの効果を模倣する脈動薬物動態プロファイルおよび一時薬物動態効果をもたらす。この方法は、心臓に安全かつ有効な高薬物濃度を送達する一方で、体の残りの部分への分布は、治療量以下のレベルに希釈される薬物をもたらす。この方法は、心内注射の次に最短の心臓への送達経路である。これは、「頓服」アプローチ等の自己投与の便宜性を提供するが、IVの有効性および作用の高速発現は提供しない。全身作用のために肺を通して薬物を送達することは新しいことではないが、薬物が心臓を高速で通過するため、心臓に有効ではないと考えられた。本発明に起因するPK/PDモデリングは、薬物曝露が、他の投与経路と比較してはるかに低い用量で、治療効果を得るために十分であることを示す。この方法は、血漿全体の薬物濃度が、経口/IVによって達成される濃度よりもはるかに低いため、薬物−薬物相互作用および副作用を最小限にすることを保証する。
【0223】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証される。これらの実施例は非限定的であり、本発明の範囲を制限しない。特に指定されない限り、実施例に提示されるすべてのパーセンテージ、分数等は、重量別である。
【実施例】
【0224】
実施例1
ベラパミルおよびリドカインを伴う予言的分析モデル
公開された薬物動態および薬力学的モデル(図4)は、冠血中の薬物濃度と所望の冠動脈作用との関係を示す。IV薬物情報は、公開された文献から使用した。HARRISON et al.,「Effect of Single Doses of Inhaled Lignocaine on FEV1 and Bronchial Reactivity in Asthma,」Respir Med.,12:1359−635(Dec 1992)。吸入薬物情報は、肺小分子吸収に関する周知の特性に基づいてシミュレートした。
【0225】
図5は、IVおよび吸入経路を介して投与された薬物の異なる時間の濃度プロファイルを示す。心拍およびリズム制御特性の両方を有し、急性不整脈発作を救済するために使用される場合が多いため、ベラパミルを例示的心臓薬物として選択した(例えば、発作性心室頻拍および発作性心房細動)。
【0226】
図6も、IVおよび吸入経路を介して投与された薬物の異なる時間の濃度プロファイルを示す。リドカインを例示的心臓薬物として選択した。リドカインを用いるこのPK/PDモデリングは、同様の高い実現可能性を示す。
実施例2
誘発型心房細動および上室性心室頻拍症(SVT)を有するイヌの心室応答に対する抗不整脈化合物の気管内(IT)投与の効果
【0227】
目的:
【0228】
誘発型心房細動および上室性心室頻拍症を有する麻酔下のイヌの電気生理学的応答に対する、肺経路を介して投与された場合の一般的な抗不整脈薬物の効果/有効性を評価する。
【0229】
使用される動物モデル
【0230】
心房細動モデル:
【0231】
麻酔/手術調製:麻酔薬を投与するため、静脈カテーテルを末梢血管(すなわち、頭部)に配置した。麻酔導入のために、すべての動物に硫酸モルヒネ(約2mg/kg)およびαクロラロースのボーラス(約100mg/kg)を、静脈カテーテルを通して静脈内投与した。麻酔は、研究が完了するまで(2時間未満)αクロラロース(35〜75mg/kg/時間IV)で維持した。誘導後、動物を気管内挿管し、機械的に呼吸させた(1回換気量200〜300mLで約12呼吸/分)。続いて、頸静脈上の切開によって、ペーシングリードを右心房に導入可能にした。ECGリードIIを形成する経胸腔的電極を配置した。被験/媒体物質送達の場合、気管を通して4Fカテーテルを導入し、小気道に押し込み、静脈カテーテルを末梢血管に配置した(すなわち、頭部)。
【0232】
実験:器具および血行動態安定化に続いて(少なくとも15分間)、フェニルエフリンを連続的に注入して(2μg/kg/分IV)、研究の期間中に全身動脈圧を上昇させ、迷走神経(副交感神経)遠心性活動を高める。この副交感神経作用薬の投与が開始された約5分後に、以下の実験を行った。
【0233】
最初に、右心房を15分間ペーシングし(20V、40Hz、4mgパルス)、続いてペーシングを中断すると、心房細動を引き起こした。ペーシングを停止し、心房細動が観察されてから約3分後に、動物に媒体(約3mL)を気管内(IT)投与し、投与から(観察された場合は)洞律動への回帰までの期間、および/または心拍数を記録した。観察は、最大10分間行った。
【0234】
続いて、上述されるように、15分のペーシング周期を介して、心房細動を再確立した。ペーシングが中断され、心房細動が観察されて3分間安定すると、ボーラス(約3mL)として、気管内カテーテルを通して小気道に直接送達される、媒体または被験物質のうちの1つを動物に投与した。媒体は、単なる水であった。フレカイニドを被験物質として使用する場合、濃度は、フレカイニド15mg/水3mLであった。投与に続いて、投与の中断と、観察された場合は、洞律動への回帰までの期間、および/または心拍数を記録した。観察は、最大10分間行った。全体として、3つの群/被験物質を研究し、最大2匹の動物が各群に割り当てられ(n=2/群)、1つの群には、酢酸フレカイニドを投与し(2〜4mg/kg、FLE)、もう1つの群には、ジルチアゼム(0.25〜0.50mg/kg、DIL)またはドフェチリド(20〜60μg/kg、DOF)を投与し、1匹の動物当り1つの被験物質のみを投与した。実験プロトコルは、図7に要約される。
【0235】
上室性頻拍症モデル:
【0236】
麻酔/手術調製:麻酔薬を投与するため、静脈カテーテルを末梢血管(すなわち、頭部)に配置した。麻酔導入のために、すべての動物にジアゼパム(約0.5mg/kg)およびケタミン(約10mg/kg)の組み合わせを、静脈カテーテルを通して静脈内投与した。麻酔は、研究が完了するまで、ペントバルビタル(5〜15mg/kg/時間)の静脈内注射で維持した。誘導後、動物を気管内挿管し、機械的に呼吸させた(1回換気量200〜300mLで約12呼吸/分)。
【0237】
続いて、頸静脈上の切開によって、ペーシングリードを右心房に導入可能にした。同様に、心房圧モニタリングの場合、固体微圧計(Millar Instruments)を前進させて、動脈(大腿動脈、頸動脈)上の切開を介して、大動脈基部に入れた。ECGリードIIを形成する経胸腔的電極を配置した。被験/媒体物質送達の場合、気管を通して4Fカテーテルを導入し、小気道に押し込み、静脈カテーテルを末梢血管に配置した(すなわち、頭部)。
【0238】
実験:器具/血行動態安定化に続いて(少なくとも15分間)、上質性頻拍症(SVT)を誘発するために、右心房ペーシング(5〜10V、40Hz、2msパルス)を確立し、実験期間を通してSVTを維持した。SVTの発症から約5分後、ECG/動脈圧を継続的に監視しながら、動物に3つの漸増用量(1回に1つ)の被験物質を投与し、各用量は、ボーラス(約3mL)として、気道内カテーテル(IT)を通して、小気道に直接送達された。投与に続いて、心拍数(HR)および心房圧を15分間監視した。
【0239】
続いて(3つのIT用量に対する応答が記録されると)、血行動態が約30分間可能になり、最高被験物質用量に対する心電図/血行動態応答を再評価したが、比較目的で、この用量は、静脈内(IV)送達した。
【0240】
全体として、2つの群/被験物質を研究し、最大2匹の動物が各群に割り当てられ(n=2/群)、1つの群には、エスモロールHCLを投与し(0.5〜1.0mg/kg、ESM)、もう1つの群には、アデノシン(0.25〜1.0mg/kg、ADN)を投与し、1匹の動物当り1つの被験物質のみを投与した。実験プロトコルは、図8に要約される。
【0241】
観察:
【0242】
心房細動:
【0243】
研究した3つの被験物質(フレカイニド、ジルチアゼム、およびドフェチリド)の中で、フレカイニドおよびジルチアゼムは、いずれも心房細動から正常洞律動に急速に転向したが、ドフェチリドは、心拍をわずかに減速させた。
【0244】
媒体:図9は、媒体または被験物質のいずれかの投与に先立って心房細動を起こしているイヌを示す。図10は、不整脈に対する影響を有しない媒体の例を示す。被験物質として同一容量で投与される媒体は、不整脈に対する影響を有しない。
【0245】
フレカイニド:体重1kg当り2〜4mgの間の肺用量で、フレカイニドは、誘発性心房細動を正常洞律動に転向した。大用量の薬物も、心拍数を減速させた。平均心房圧における最小の降下については何も認められなかった。いずれのイヌも、催不整脈等の任意の知られている有害事象を呈しなかった。図11および12を参照されたい。
【0246】
ジルチアゼム:体重1kg当り0.25mgの間の肺用量で、ジルチアゼムは、誘発性心房細動を正常洞律動に転向し、PQを延長させた。心拍数もわずかに減速した。しかしながら、平均心房血圧(MAP)の顕著な降下は見られなかった。図13を参照されたい。
【0247】
ドフェチリド:体重1kg当り10〜40mcgの急騰する肺用量で、ドフェチリドは、心拍数のわずかな減少をもたらした。
【0248】
上室性心室頻拍症(SVT):
【0249】
ジルチアゼム:ジルチアゼムは、肺を介して送達され、IV経路は、すべての態様において比較可能であった。平均心房圧(MAP)は、両症例において、著しく降下し、薬物の用量に直接起因すると考えられた。ジルチアゼムは、PR間隔も延長し、IVまたは肺経路のいずれかによって送達される薬物が、SVTを正常洞律動に訂正する能力を有することを示す。電気生理学的変化のタイミングは、IVと肺との間で比較可能であった。図14および15を参照されたい。
【0250】
エスモロール:高用量のエスモロールは、低用量で第2級AVブロックを産生し、ECG出力においてPR間隔にも作用することが示された。図16〜20を参照されたい。
【0251】
しかしながら、1.0mg/kgの高用量のエスモロールは、同様の電気生理学的作用を生じなかった。肺を介して投与されたエスモロールは、用量のいずれにおいてもMAPの降下をもたらさなかったことは注目に値する。
【0252】
アデノシン:肺を介して投与されたアデノシンは、心臓に対して全く作用しなかった。アデノシンは、異なる種において異なって代謝することが知られ、作用が局所アデノシン投与に起因するか、または感受性が十分でないモデルに起因するかは明らかでない。
【0253】
要約:
【0254】
気管内投与された場合、ジルチアゼム、フレカイニドの明らかな心血管作用、およびエスモロールおよびドフェチリドの推定作用が見られた。これらの薬物は、4つの異なるクラスの化学物質および薬剤を含む。明らかな応答は、アデノシンで認められたが、依然として、より特定の動物モデルにおいて評価する価値があると考えられる。応答は、ジルチアゼム、フレカイニド、およびエスモロールに対する、IV経路の応答、およびすべての被検物質の周知の生理的効果を定量的に模倣した。この動物モデルにおいて、気管経路からの吸収を排除する、アデノシンのいくつかの物理的または物理化学的特性が存在し得る。追加として、単一の小気道への投与は、分散のための表面が何桁も大きい、吸入によって投与される場合と同じ曝露を産生することが期待されない。
【0255】
これらの研究は、心血管機能に対する異なる化学物質の生理的効果を確認する。気管内投与経路は、3つの潜在的な利点を有する。(1)投与点から標的器官である心臓への距離が最短である。(2)希釈が少ないため、高い濃度で標的器官に達することが期待される。(3)投与部位と標的器官との間に代謝するための器官(例えば、肝臓)が存在しないため、代謝(すなわち、第1の通過作用)が減少する。
実施例3
エアロゾルとして投与した場合の抗不整脈薬剤の溶解性および味の事前評価
【0256】
目的:
【0257】
水中の酢酸フレカイニドおよび塩酸ジルチアゼムの溶解性を評価すること、および液体エアロゾルとして投与するためのこれら2つの薬物の味および後味の許容性を評価すること。
【0258】
実験および観察:
【0259】
前製剤研究:
【0260】
ジルチアゼムの溶解性は、室温で90mg/mLより高かった。3.5mg/mLのジルチアゼム水溶液のpHは、6.7であった。50mg/mLで、水溶液中のジルチアゼムは、等張まで約80%であった。
【0261】
フレカイニドの溶解性は、室温で約30mg/mLであった。水中のフレカイニドの2.6mg/mL溶液のpHは、5.0であった。30mg/mLで、水溶液中のフレカイニドは、等張まで約50%であった。
【0262】
以下の溶液強度は、味を評価するために調製した:(1)塩酸ジルチアゼム−50mg/mL蒸留水溶液、および(2)酢酸フレカイニド−30mg/mL蒸留水溶液。溶液は透明であり、目に見える粒子物質はなかった。
【0263】
吸入デバイス:
【0264】
特に自宅および自宅から離れて呼吸治療を必要とする患者のために開発された使いやすいデバイスであるため、Aeroneb(登録商標)GOデバイスを使用した。デバイスは、あらゆる年齢(幼児から成人まで)の患者によって使用することができ、吸入用に意図される溶液をエアロゾル化する。Aeroneb(登録商標)Goは、AC壁コントローラまたはバッテリパックのいずれかで作動し、石鹸および水で洗浄することができる。このデバイスに関するさらなる詳細は、www.aerogen.comで入手することができる。
【0265】
吸入手順:
【0266】
ボランティア:
【0267】
対象の数:2名の健康な男性ボランティア
【0268】
ボランティア−1:年齢48
【0269】
ボランティア−2:年齢63
【0270】
噴霧器試験:
【0271】
噴霧器カップに水を入れ、噴霧器の電源を入れた。噴霧器の電源を入れたときに生成された目に見えるエアロゾル煙は、定質的エアロゾル基準として扱った。
【0272】
酢酸フレカイニド:
【0273】
約1mLの30mg/mL溶液を噴霧器のカップに入れた。噴霧器の電源を入れ、得られるエアロゾルは、水単独で形成されるエアロゾルと同様であるが、密度が低かった。
【0274】
次に、噴霧器を口に入れ、スイッチを入れた。噴霧器を通して深い肺呼吸を行った。約40μl(約1.2mgの酢酸フレカイニド)の試験溶液を吸入した。吸入用量は、錠剤として投与される通常の100mgよりもはるかに少ないため、実際は治療レベル以下であった。酢酸フレカイニドも、15mLアンプル中10mg/mL強度として、欧州においてIV注射として使用可能である。
【0275】
塩酸ジルチアゼム:
【0276】
約1mLの50mg/mL溶液を、噴霧器のカップに注いだ。噴霧器の電源を入れ、得られるエアロゾルは、水単独で形成されるエアロゾルと同様であるが、密度が低かった。
【0277】
次に、噴霧器を口に入れ、スイッチを入れた。噴霧器を通して深い肺呼吸を行った。約40μl(約2mgの塩酸ジルチアゼム)の試験溶液を吸入した。吸入用量は、5mLバイアル中5mg/mLとして米国で市販されているIV注射よりもはるかに少ないため、実際は治療レベル以下であった。
【0278】
結論および観察:
1.可視的エアロゾル特性の試験溶液は、相互に類似するが、水よりも密度が低かった。
2.酢酸フレカイニド:両ボランティアからの味フィードバックは極めて類似していた。
a.味:下の奥でわずかな苦味が感じられた。
b.後味:吸入操作から5分後、後味はほとんどなかった。
3.塩酸ジルチアゼム:水を吸入して、フレカイニド残渣をすべて洗浄した。両ボランティアからの味フィードバックは極めて類似していた。
a.味:下の奥でわずかな苦味が感じられた。
b.後味:吸入操作から5分後、後味はほとんどなかった。
4.他の観察:
a.口、喉、または肺に焼けるような感覚は感じられなかった。
b.目に見える有害事象は観察されなかった。両ボランティアは、投与後60分間安静にした。
【0279】
前述の実施形態および利点は、単なる典型例であり、本発明を限定するものと見なされない。本発明の記述は、例示的であることが意図され、請求項の範囲を限定しない。多くの代替、修正、および変型は、当業者に明らかとなるであろう。
【0280】
ここで本発明について完全に説明したが、当業者であれば、本発明の方法が、広く等しい範囲の条件、製剤、および他のパラメータを用いて、本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱することなく、実行され得ることを理解するであろう。
【0281】
本明細書に引用されるすべての特許および公開は、参照することによりそれら全体が本明細書に完全に組み込まれる。任意の公開の引用は、出願日に先立つその開示に対してであり、そのような公開が先行技術であること、または本発明が、先の発明によってそのような公開に先立つ権利を付与されないことの承認として見なされるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、経肺投与によって特定の心臓病を治療するための組成物、単位用量、エアロゾル、およびキット、ならびにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心不整脈(律動不整とも呼ばれる)は、心臓に異常な電気活動がある、一連の大規模かつ不均一な症状のうちのいずれかに対する用語である。心拍が速過ぎるか、または遅過ぎる場合があり、規則的であるかまたは不規則であり得る。
【0003】
心房性不整脈は、高レベルのまだ満たされていない臨床ニーズを有する分野である。使用される多くの薬物は、1980年代初めおよび1990年代以降、今日も市販されているが、有用性の欠如または主に心臓に関連する副作用プロファイルのいずれかに起因して、大部分が不適切であり、広範な患者のモニタリングを必要とする。
【0004】
高速かつ安全な除細動に必要とされるもの(不整脈の解決策)は、以下のような治療である。
【0005】
1. 除細動前に心拍を加速させるリスクがほとんどないか、全くない。
【0006】
2. 心房−心室(AV)伝導を減速させて、心拍制御および除細動が同時になるようにする。
【0007】
3. QRS間隔を延長することにおいてほとんど効果がないか、全くなく、心室性不整脈のリスクが低いはずである。
【0008】
4. 負の変力効果をほとんど有しないか、または全くなく、軽度の負の変時効果のみを有するはずであり、患者が洞律動に戻る場合に、深刻な徐脈のリスクがない。
【0009】
現在承認されている薬物製品は、いずれもこれらの特徴を呈しない。吸収、代謝、および希釈を補うために必要とされる高い経口および静脈(IV)用量は、長期間にわたって高い血中濃度をもたらし、催不整脈作用、QT延長、心室性不整脈等の危険な有害心事象をもたらす。非特許文献1、および非特許文献2。併発状態も、一部の患者、例えば、静脈アデノシンを用いる場合において、理想的な薬物の使用を制限する。非特許文献3。ベラパミルおよびジルチアゼム注射等の薬物は、患者を注意深くモニタリングする必要がある、第2選択の治療である。非特許文献4、および非特許文献5。
【0010】
発作性心房細動(PAF)は、全体心房細動(AF)集団のサブセットであり、全体AF集団の25〜30%であると推定される。約250万人の患者が、米国においてAFに罹患している。PAF患者の集団は、世界中で900,000〜150万人であると推定される。
【0011】
発作性上室性頻拍症(PSVT)は、活動的な若年および健康な集団(例えば、アスリート)に影響する不整脈である。米国では、約500,000〜600,000人の患者が、PSVTを有している。
【0012】
不整脈を治療するために、アブレーション技術、例えば、RFアブレーションが使用される場合が多い。しかし、アブレーションは、通常、1手順当り約$25,000〜$36,000の範囲の費用を伴い、高価である。高価であるにもかかわらず、アブレーションは、不整脈を完全に修正し得ない。多くの場合、満足できる結果を達成するために、複数のアブレーション手順が必要とされる。
【0013】
経口薬剤、例えば、ピルは、作用の発現に高用量および時間を要する傾向がある。心薬剤の経口用量は、一般に、1mgを大きく上回る傾向がある。これらの患者は、通常、複数の薬剤を摂取するため、高用量は、副作用および薬物−薬物相互作用の可能性を高める。経口心血管系薬剤が発現する時間は、約60分となる傾向がある。経口抗不整脈薬剤は、静脈内投与される治療により、主に予防のために開発されている。
【0014】
静脈内注射は、通常、薬剤を投与するために、病院環境を必要とし、通常、緊急治療室(ER)の訪問を伴う。これらの諸経費は、患者がそれらの薬剤を自己投与することができる治療と比較して、この治療を高価にする。静脈内注射は、希釈および代謝を補償するために、実際に心臓内で必要とされる量よりも高い用量を必要とする。IVにより注射される薬物は、心臓の右側を通過し、次に、心臓の左側に到達する前に肺を通過する。図1を参照されたい。薬物は、高濃度で血流に滞留し、薬物が、腎臓または他の代謝経路(例えば、肝臓)を通して分泌されるまで、すべての器官および組織にこの薬物を高濃度で浴びさせる。結果として、IV薬物は、望ましくない副作用をもたらし得る。IV経路を介して投与される薬物は、心循環に到達する前に、静脈血および肺において著しく希釈される。
【0015】
心臓に直接注射することは、通常、緊急時の救命措置として、心臓専門医が取る最終手段である。この方法で心臓に直接注射される薬物の用量は、通常、IVおよび/または経口投与よりも低い。
【0016】
いくつかの例において、患者の生命を救うために、計画外の手術が必要とされる。当然のことながら、計画外の手術は、患者にとって高価であり危険である。
【0017】
心不整脈は、胸部周囲の締付け、動悸、疲労感、および場合によっては胸痛等の障害を引き起こす症状と関連付けられる。
【0018】
上記を考慮して、不整脈は、緊急治療室(ER)の訪問を頻繁にもたらし、静脈内薬物が投与され、場合によっては、長期入院を必要とし、計画外の侵襲的な手順に至る場合もある。非特許文献6、および非特許文献7。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】FELDMANら,「Analysis of Coronary Response to Various Doses of Intracoronary Nitroglycerin,」Circulation,66:321−327(1982)
【非特許文献2】BARBATOら,「Adrenergic Receptors in Human Atherosclerotic Coronary Arteries,」Circulation,111:288−294(2005)
【非特許文献3】GAGLlONEら,「Is There Coronary Vasoconstriction after Intracoronary Beta−adrenergic Blockade in Patients with Coronary Artery Disease,」 J Am Coll Cardiol,10:299−310(1987)
【非特許文献4】NOGUCHIら,「Effects of Intracoronary Propranolol on Coronary Blood Flow and Regional Myocardial Function in Dogs,」Eur J Pharmacol.,144(2):201−10(1987)
【非特許文献5】ZALEWSKIら,「Myocardial Protection during Transient Coronary Artery Occlusion in Man:Beneficial Effects of Regional Beta−adrenergic Blockade,」Circulation,73:734−73(1986)
【非特許文献6】Pipeline Insights:Antiarrhythmics,Datamonitor(06/2006)
【非特許文献7】TWISSら,「Efficacy of Calcium Channel Blockers as Maintenance Therapy for Asthma,」British J of Clinical Pharmacology(Nov 2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、依然として心疾患を治療するための組成物および方法を改善する必要性がある。したがって、これらの組成物を形成する方法の必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、特定の心臓病を治療するための組成物、単位用量、エアロゾル、キット、および方法を提供する。本発明の他の特徴および利点は、以下の発明の説明に記載され、一部は、説明から明らかとなるか、または本発明の実践によって学習され得る。本発明は、特に本明細書および請求項において指摘される組成物および方法によって認識および達成される。
【0022】
本発明の第1の実施形態は、心房性不整脈を治療する方法を対象とする。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含み、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通って心臓に入り、左心房に到達するようにする。
【0023】
別の態様において、本発明は、心房性不整脈、例えば、頻拍を治療する方法を対象とする。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、投与の開始から10秒〜30分の範囲で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法を対象とする。方法は、息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することを含む。方法は、自己診断の2時間以内に、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、吸入によって自己投与することも含む。
【0025】
別の態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む、心房性不整脈を治療する方法を対象とし、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で観察される。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む、心房性不整脈を治療する方法を対象とし、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、患者において、投与の開始から10秒〜30分の時点で、不整脈状態から正常な洞律動への移行を示す。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含む、心房性不整脈を治療する方法を対象とし、患者のSF36クオリティオブライフのスコアは、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で改善する。
【0028】
別の態様において、本発明は、単位用量レセプタクルおよび単位用量レセプタクル内の組成物を対象とする。組成物は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0029】
さらに別の態様において、本発明は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む、エアロゾルを対象とする。粒子は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含有する容器、およびエアロゾル化デバイスを含む、キットを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、以下の本発明の説明において、顕著な複数の非限定図を参照して、さらに説明される。
【図1】冠状動脈に到達する前に、先行技術の静注薬物が、どのように心臓および肺を通過するかを示す。
【図2A】本発明の吸入薬物が、直接肺を通過して冠状動脈に至る様子を示す。
【図2B】本発明の吸入薬物が、肺静脈を通過して左心房に至る様子を示す。
【図3】高いログP値を有する分子、および高い溶脂性を有する分子は、肺全体で速い吸収を呈する可能性が高いことを示す。
【図4】静脈内および肺送達を比較するために、6コンパートメントPK−PDモデルを示す。
【図5】ベラパミルの静脈内および肺送達を比較するシミュレーションの結果を示す。
【図6】リドカインの静脈内および肺送達を比較するシミュレーションの結果を示す。
【図7】代表的な研究の概略:フレカイニド(FLE、n=2)、ジルチアゼム(DIL、n=2)、およびドフェチリド(DOF、n=2)の効果を示す。NSR:正常洞律動。
【図8】代表的な研究の概略:誘発上室性頻拍症(SVT)に対する気管内(IT)エスモロールHCL(ESM、n<=2)またはアデノシン(ADN、n<=2)の用量応答を示す。NSR:正常洞律動。IV:静脈内。
【図9】媒体または被検物質のいずれかの投与に先立って、Afib内のDogを示す、ECG出力を示す。
【図10】媒体の経肺投与後も引き続きDogがAfib内にあることを示す、ECG出力を示す(水、3mL)。
【図11】体重1kg当り4mgの酢酸フレカイニドを投与した場合に、正常洞律動に転向するAfibを示す、ECG出力を示す。
【図12】体重1kg当り2mgの酢酸フレカイニドで発生した、投与すると即時に転向するAfibを示す、ECG出力を示す。
【図13】体重1kg当り0.25mg/kgのジルチアゼムHClの投与後に転向するAfibを示す、ECG出力を示す。
【図14】PR間隔および平均動脈圧(MAP)が、肺ジルチアゼム0.25mg/kgの経肺投与後に変化する、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図15】PR間隔および平均動脈圧(MAP)が、体重1kg当り0.25mg/kgの肺ジルチアゼムの静脈内投与後に変化する、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図16】PR間隔に対して体重1kg当り0.5mgの肺を介して投与される(IT)エスモロールHClが経時的に及ぼす影響を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図17】肺を介して投与される、エスモロール0.5mg/kgによって誘発されるAVブロックの期間を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図18】肺を介して投与される、エスモロール0.5mg/kgによって誘発されるAVブロックの期間を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図19】PR間隔に対して体重1kg当り0.5mgの肺を介して投与される(IT)エスモロールHClが経時的に及ぼす影響を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【図20】肺を介して投与される、エスモロール0.75mg/kgによって誘発されるAVブロックの期間を示す、上室性頻拍症モデルからの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特に明記しない限り、本発明は、特定の製剤成分、薬物送達システム、製造技術、投与ステップ等に限定されず、そのようなものとして異なり得ることを理解されたい。この点において、特に明記しない限り、化合物または成分に対する言及は、化合物または成分自体、ならびに化合物または成分と、他の化合物または成分との組み合わせ、たとえば、化合物の混合物を含む。
【0033】
さらなる考察の前に、以下の用語の定義が、本発明の理解を助けるであろう。
【0034】
本明細書で使用する、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの薬学的抗不整脈薬」に対する言及は、単一の活性剤のみでなく、2つ以上の異なる活性剤の組み合わせまたは混合を含む。
【0035】
本明細書において、「一実施形態」、「一バージョン」、または「一態様」に対する言及は、文脈から明らかでない限り、1つまたは複数のそのような実施形態、バージョン、または態様を含む。
【0036】
本明細書で使用する、用語「溶媒和化合物」は、薬学的に許容される溶媒和化合物を含むことが意図されるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用する、用語「薬学的に許容される溶媒和化合物」は、薬学的抗不整脈薬の生物活性および/または特性のうちの1つまたは複数を保持し、生物学的またはそれ以外に望ましくないことはない溶媒和化合物を意味することが意図される。薬学的に許容される溶媒和化合物の実施例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、またはそれらの組み合わせとの併用で薬学的抗不整脈薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用する、用語「塩」は、薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用する、用語「薬学的に許容される塩」は、遊離酸および塩基の生物活性および特性のうちの1つまたは複数を保持し、生物学的またはそれ以外に望ましくないことはない塩を意味することが意図される。薬学的に許容される塩の例示的な実施例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸、ピロリン酸、塩素、臭素、ヨウ素、酢酸、プロピオン酸、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソブチル酸、カプリル酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、オキサル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベル酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、ベンゾエート、クロロベンゾエート、メチルベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニルブチル酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシブチル酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
薬学的抗不整脈薬が塩基である場合、所望される塩は、当該技術分野において知られている、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、オキサル酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えば、グルクロン酸およびガラクツロン酸、α−ヒドロキシ酸、例えば、クエン酸および酒石酸、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸、芳香族酸、例えば、安息香酸および桂皮酸、スルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸およびエタンスルホン酸等の有機酸による遊離塩基の処理を含む、任意の適切な方法で調製されてもよい。
【0041】
薬学的抗不整脈薬が酸である場合、所望される塩は、無機または有機塩基、例えば、アミン(一次、二次、または三次)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物等による遊離塩基の処理を含む、当該技術分野において知られている任意の適切な方法によって調製されてもよい。適切な塩の例示的な実施例には、アミノ酸に由来する有機塩、例えば、グリシンならびにアルギニン、アンモニア、一次、二次、三次アミン、ならびに環状アミン、例えば、ピペリジン、モルホリンならびにピペラジン、およびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガネーゼ、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、ならびにリチウムに由来する無機塩が挙げられる。
【0042】
本明細書で使用する、用語「心房性不整脈」は、少なくとも1つの心房に影響する不整脈を意味し、徐脈を含まない。例えば、心房性不整脈は、少なくとも1つの心房に起因し、少なくとも1つの心房に影響し得る。
【0043】
本明細書で使用する、用語「頻拍」は、心拍が速過ぎる不整脈を意味する。例えば、頻拍は、1分間に100を超える、例えば、1分間に110、120、または130を超える、安静時心拍数を伴い得る。
【0044】
本明細書で使用する、表現「心臓リズム不整脈」は、心拍が不規則である不整脈を意味する。
【0045】
本明細書で使用する、「心臓の冠状静脈洞内の血液中の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量」は、カニューレを使用して、心臓の冠状静脈洞から試料を抽出することによって測定されてもよい。次に、試料中の薬学的抗不整脈薬の量は、周知の手段、例えば、LC−MS/MS等の分析機器を用いる生物分析技術によって決定されてもよい。したがって、心臓内の血中の薬学的抗不整脈薬の量は、任意の特定の時間に測定されてもよい。
【0046】
本明細書で使用する、用語「治療すること」および「治療」は、症状の重度および/または頻度の低減、症状および/または根本原因の排除、症状および/または根本原因の発生の可能性の低減、および/または損傷の改善を指す。したがって、本明細書において提供されるような活性剤により患者を「治療すること」は、影響を受けやすい個人における特定状態、疾患、または障害の回避、ならびに臨床的に症状を示す個人の治療を含む。
【0047】
本明細書で使用する、用語「名目量」は、投与される単位用量レセプタクル内に含有される量を指す。
【0048】
本明細書で使用する、用語「有効量」は、治療上有効な量および予防上有効な量の両方を網羅する量を指す。
【0049】
本明細書で使用する、用語「治療上有効量」の活性剤は、所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。治療上有効量の指定活性剤は、通常、治療される障害または疾患の種類ならびに重度、および患者の年齢、性別ならびに体重等の要素に関して異なる。
【0050】
特に指定のない限り、用語「治療上有効量」は、「予防上有効量」、すなわち、影響を受けやすい個人において、特定状態、疾患、または障害の発生または再発を回避するために有効な活性剤の量を含む。
【0051】
本明細書で使用する、表現「最小有効量」は、有効量を達成するために必要な最小量を意味する。
【0052】
本明細書で使用する、「質量中央径」または「MMD」は、通常、多分散粒子集団、すなわち一連の粒子径から成る集団における複数の粒子の中央径を指す。本明細書において報告されるようなMMD値は、文脈上特に指示のない限り、レーザー回折によって決定される(Sympatec Helos,Clausthal−Zellerfeld,Germany)。例えば、粉末の場合、試料は、Sympatec RODOS乾燥粉末分散装置のフィーダー漏斗に直接添加される。これは、手動で達成されるか、またはVIBRI振動フィーダー素子の末端から機械的に扇動することによって達成され得る。試料は、圧縮空気(2〜3バール)の印加を介して、指定の分散圧用に最大化された真空減弱(吸引)によって一次粒子に分散される。分散された粒子は、分散された粒子の軌道と直角に交差する、632.8nmレーザービームでプローブされる。粒子の連携から散乱されたレーザー光は、逆フーリエレンズアセンブリを使用する、同心配列の光電子増倍管検出器素子上に映し出される。散乱された光は、5msのタイムスライスで取得される。粒径の分布は、専用のアルゴリズムを使用する、散乱光空間/強度分布から逆算される。
【0053】
本明細書で使用する、「幾何学的直径」は、文脈上特に指示のない限り、顕微鏡によって決定されるような単一粒子の直径を指す。
【0054】
本明細書で使用する、「空気動力学的中央粒子径」または「MMAD」は、通常、多重分散集団における、複数の粒子または粒子の空気動力学的中央粒子径を指す。「空気動力学的直径」は、一般に空気中で、粉末として、同一の沈降速度を有する単位用量球体の直径であり、したがって、その沈降動作に関して、エアロゾル化粉末または他の分散粒子あるいは粒子製剤を特徴化するための有用な方法である。空気動力学的直径は、粒子または粒子形状、密度、および粒子または粒子の物理的サイズを包含する。本明細書で使用される、MMADは、文脈上特に指定のない限り、空気動力学的粒子またはカスケード栓塞によって決定される空気動力学的粒子の粒径分布の中央値を指す。
【0055】
本明細書で使用する、用語「放出用量」または「ED」は、単位用量レセプタクルまたは容器からの作動または分散事象後のエアロゾル化デバイスからの粒子の送達の表示を指す。EDは、名目量に対する吸入デバイスによって送達される用量の比として定義される(すなわち、噴霧前に適切な吸入デバイスに配置される単位用量当りの粉末または液体の質量)。EDは、実験的に決定される量であり、患者の投与を模倣するインビトロ系を使用して決定されてもよい。例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,069,819号および第4,995,385号に記載される、乾燥粉末のED値を決定するため、乾燥粉末の名目量を、Turbospin(登録商標)DPIデバイス(PH&T,Italy)に入れる。Turbospin(登録商標)DPIが作動し、粉末を分散させる。次に、得られるエアロゾル煙は、作動後2.5秒間、真空によってデバイスから引き込まれ(30L/分)、この時点で、デバイスマウスピースに取り付けられた風袋ガラスファイバーフィルタ(Gelman,47mm径)上で捕捉される。フィルタに到達する粉末の量は、送達される用量を構成する。例えば、5mgの乾燥粉末を含有するカプセルの場合、風袋フィルタ上で4mgの粉末が捕捉されることは、80%のEDを示す(=4mg(送達される用量)/5mg(名目量))。
【0056】
本明細書で使用される、「受動乾燥粉末吸入器」は、容器または単位用量形態で、デバイスないに含有される薬学的組成物を分散およびエアロゾル化するために、患者の呼吸努力に依存する吸入デバイスを指し、加圧ガス等のエネルギーを提供して薬物組成物を分散およびエアロゾル化し、素子を振動または回転させるための手段を備える、吸入デバイスを含まない。
【0057】
本明細書で使用される、「能動乾燥粉末吸入器」は、容器または単位用量形態で、デバイスないに含有される薬学的組成物を分散およびエアロゾル化するために、単に患者の呼吸努力に依存しない吸入デバイスを指し、加圧ガス等のエネルギーを提供して薬物組成物を分散およびエアロゾル化し、素子を振動または回転させるための手段を備える、吸入デバイスを含まない。
【0058】
「薬学的に許容される」成分は、生物学的またはそれ以外に望ましくないことはない成分を意味し、すなわち、成分は、本発明の薬学的製剤に統合され、任意の著しい望ましくない生物学的作用をもたらすか、またはそれが含有される製剤の他の成分のうちのいずれかと有害な方法で相互作用することなく、本明細書に記載されるように、患者に投与されてもよい。用語「薬学的に許容される」は、賦形剤を指すように使用される場合、一般に、化合物が、毒性学的および製造試験に必要とされる基準を満たすこと、または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)に含まれることを暗示する。
【0059】
本明細書で使用される、「P波」は、SAノードから心房全体に拡散する脱分極の波を表し、通常、0.08〜0.1秒(80〜100ms)の期間である。
【0060】
本明細書で使用される、「SF−36クオリティオブライフ」は、患者の健康に関する省略型36(SF−36)調査を意味する(2005年8月に更新)。SF−36は、8つのスケーリングスコアで構成され、それらのセクションにおける質問の合計である。各スケールは、各質問が等しい重みを持つという仮定で、0〜100スケールに直接変換される。8つのセクションは、(1)バイタリティ、(2)身体的機能、(3)肉体的苦痛、(4)一般的な健康認識、(5)肉体的役割機能、(6)感情的役割機能、(7)社会的役割機能、および(8)精神的健康である。
【0061】
本明細書に記載される、「保存剤」は、クレゾールおよび安息香酸を意味する。したがって、「実質的に保存剤を含まない」は、組成物が、著しい量の任意のクレゾールおよび/または安息香酸を含まないことを意味する。例えば、「実質的に保存剤を含まない」組成物は、1重量%未満、例えば、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、または0.1重量%未満の保存剤を含む。当然のことながら、「保存剤を含まない」は、保存剤が存在しないことを意味する。
【0062】
本明細書で使用される、「実質的に無味」は、初期消化時に、実質的に味がほとんどないか、または全くない組成物を意味する。
【0063】
概要として、本発明は、心房性不整脈を治療する方法に関する。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含んでもよく、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通して心臓に入り、左心房に至るようにする。
【0064】
一態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入により投与することを含み、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、投与の開始から10秒〜30分の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する。
【0065】
さらに別の態様において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法を対象とする。方法は、息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することを含む。方法は、自己診断の2時間以内に、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、吸入によって自己診断することも含む。
【0066】
別の態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で観察される。
【0067】
さらに別の態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、患者において、投与の開始から10秒〜30分の範囲の時点で、不整脈状態から正常洞律動への転向を示す。
【0068】
さらに別の態様において、心房性不整脈を治療する方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、患者のSF−36クオリティオブライフのスコアは、投与の開始から10秒〜30分の範囲の時点で向上する。
【0069】
別の態様において、単位用量は、単位用量レセプタクルおよび単位用量レセプタクル内に組成物を含む。組成物は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0070】
さらに別の態様において、エアロゾルは、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む。粒子は、冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0071】
さらに別の態様において、キットは、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含有する容器およびエアロゾル化デバイスを備える。
【0072】
特定の実施形態において、本発明は、「薬物−救援治療」は、発作性心室頻拍症(PSVT)および発作性心房細動(PAF)等の心房性不整脈を有する患者に高速除細動を提供することである。薬物−救援治療は、通常、吸入による薬剤の自己投与のために意図される。
【0073】
吸入は、図2Aおよび2Bに示されるように、心臓内注射の次に薬物が心臓に到達するための最短経路である。吸入により送達される薬物は、一般に、一時的高薬物濃度の「脈動薬物動態」に続いて、治療レベル以下の希釈を呈する。この特徴は、経口およびIV治療の両方で見られる、用量依存性催不整脈およびQT延長の多くを低減することが予想される。FELDMANら,「Analysis of Coronary Response to Various Doses of lntracoronary Nitroglycerin,」Circulation,66:321−327(1982)、およびBARBATOら,「Adrenergic Receptors in Human Atherosclerotic Coronary Arteries,」Circulation,111:288−294(2005)を参照されたい。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、経口薬剤と比較して、作用が高速発現する、急速作用吸入生成物を伴う。生成物は、少なくとも静脈内薬剤と同程度に高速であることが予想される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、心臓の冠状静脈洞内で、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点でピークに達する。特定の実施形態において、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点で観察される。いくつかの実施形態において、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点で、患者の体内の不整脈状態から正常洞律動への移行を示す。いくつかの実施形態において、患者のSF−36クオリティオブライフスコアは、投与の開始から10秒〜30分、例えば、30秒〜20分、1分〜10分、2分〜8分、または2.5分〜5分の範囲の時点で改善する。特定の実施形態において、患者は、投与の開始から30分以内、例えば、10分以内に正常洞律動を有する。
【0075】
いくつかの態様において、本発明は、安全かつ有効な低用量を伴う。他の態様は、通常、低い早期代謝および低い薬物−薬物相互作用を伴う。
【0076】
本発明は、心臓への非侵襲性薬物の送達を含む。肺は、心臓内注射に次いで、最小希釈で心臓に薬物を送達する最短経路である。肺を介して送達される薬物は、経口経路を介して送達されるものと比較して、高速発現作用を有する。Pipeline Insights:Antiarrhythmics,Datamonitor(06/2006)。心臓への肺薬物送達は、少なくとも携帯静脈内注射に等しい。吸入薬物(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム、リドカイン、イブチリド、プロカインアミド、およびプロパフェノン)は、一時的高薬物濃度の「脈動薬物動態」に続いて、治療レベル以下の希釈を呈することが予想される。
【0077】
既存の心血管薬物は、高い容脂性を有する小分子である傾向がある。これらの脂質溶解性分子(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、イブチリド、プロパフェノン)は、高い肺バイオアベイラビリティおよび高速肺吸収を有することが予想される。これは、それらが肺静脈を通して心臓に到達することを保証する。
【0078】
薬物の脈動薬物動態動作は、薬物が、有効濃度が心臓に到達して数秒以内に希釈され、血液量中で治療レベル以下に希釈されることを示す。この特徴は、薬物−薬物相互作用を最小化し、通常、安定状態で見られる著しい毒素性反応をもたらす。
【0079】
したがって、特定の実施形態において、本発明は、心臓内で一時的高薬物濃度を達成することに関し、短期間、で心拍および律動の変化をもたらし、発作性心房性不整脈等の発作性不整脈の治療を可能にする。
【0080】
本発明の結果は、驚くほどであり予想外であった。この点で、薬学的抗不整脈薬は、肺を速やかに通過する。例えば、ベラパミルおよびジルチアゼムは、塩形態であれば、イオン化し、塩基が肺を速やかに通過するようにする。いくつかの態様において、本発明の方法は、作用の高速発現、高い薬物バイオアベイラビリティ、および肺への高速吸収を利用する。大部分の心血管薬物は、高い溶脂性を有する小分子であるため、高い肺バイオアベイラビリティおよび高速吸収を有することが予想される。図3は、それらの予想される高い肺バイオアベイラビリティとともに、典型的な心血管分子のログ−p値および溶脂性を示す。
【0081】
本発明の結果が驚くほどであり予想外である別の理由は、薬学的抗不整脈薬が心臓を通過する速度に関する。熟練者は、速度が速くなり過ぎることを予想するかもしれないが、モデルは、薬物の心臓通過は速くなり過ぎないことを示す。したがって、高速通過であり、治療レベルで1回通過させるだけで治療効果が達成される。
【0082】
上記を考慮して、本発明の1つまたは複数の実施形態において、組成物は、薬学的抗不整脈薬を含む。薬学的抗不整脈薬の例には、クラスIa(ナトリウムチャネル遮断剤、中間会合/解離)、クラスIb(ナトリウムチャネル遮断剤、高速会合/解離)、クラスIc(ナトリウムチャネル遮断剤)、クラスIV(未知の機序)抗不整脈薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
クラスIa抗不整脈薬には、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIb抗不整脈薬には、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIc抗不整脈薬には、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリチジンが挙げられるが、これらに限定されない。クラスII抗不整脈薬には、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIII抗不整脈薬には、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、E−4031(メタンスルホンアミド)、ベルナカラント、およびドフェチリドが挙げられるが、これらに限定されない。クラスIV抗不整脈薬には、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムが挙げられるが、これらに限定されない。クラスV抗不整脈薬には、ジゴキシンおよびアデノシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明は、上記薬学的抗不整脈薬の誘導体、例えば、溶媒和化合物、塩、溶媒和化合物塩、エステル、アミド、ヒドラジド、N−アルキル、および/またはN−アミノアシルも含む。エステル誘導体の例には、メチルエステル、コリンエステル、およびジメチルアミノプロピルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。アミド誘導体の例には、一次、二次、および三次アミドが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドラジド誘導体の例には、N−メチルピペラジンヒドラジドが挙げられるが、これに限定されない。N−アルキル誘導体の例には、薬学的抗不整脈薬メチルエステルのN′,N′,N′−トリメチルおよびN′,N′−ジメチルアミノプロピルスクシニイミジル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。N−アミノアシル誘導体の例には、N−オルニチル−、N−ジアミノプロピオニル−、N−リシル−、N−ヘキサメチルリシル−、およびN−ピペラジン−プロピオニル−またはN′,N′−メチル−1−ピペラジン−プロピオニル−薬学的抗不整脈薬メチルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
薬学的抗不整脈薬は、単一の立体異性体、ラセミ化合物、および/またはエナンチオマーの混合物、および/またはジアステレオマーとして存在し得る。そのような単一の立体異性体、ラセミ化合物、およびそれらの混合物は、本発明の範囲内であることが意図される。化合物のこれらの様々な形態は、当該技術分野において知られている方法によって単離/調製されてもよい。
【0086】
本発明の薬学的抗不整脈薬は、所望の異性体の50%より多く、好ましくは、少なくとも75%、およびより好ましくは、少なくとも90%を含有する、ラセミ混合物(すなわち、異性体の混合物)中で調製されてもよい(すなわち、80%エナンチオマーまたはジアステレオマー過剰)。特定の好適な実施形態に従って、本発明の化合物は、所望の異性体の少なくとも95%(90% e.e.またはd.e.)、さらにより好ましくは、少なくとも97.5%(95% e.e.またはd.e.)、および最も好ましくは、少なくとも99%(98% e.e.またはd.e.)を含有する形態で調製される。本明細書において単一の立体異性体として識別される化合物は、単一の異性体の50%より多くを含有する形態で使用される化合物を説明することを意味する。周知の技術を使用することによって、これらの化合物は、そのような化合物の合成調製に使用される溶媒から精製および/または単離する方法をわずかに変えることによって、そのような形態のうちのいずれかで単離され得る。
【0087】
本発明の1つまたは複数の実施形態に従う薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的抗不整脈薬、および任意選択で、1つまたは複数の他の活性剤、ならびに任意選択で1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。例えば、薬学的組成物は、薬学的抗不整脈薬の純粒子を含み得、他の粒子とともに、薬学的抗不整脈薬の純粒子を含み得、および/または薬学的抗不整脈薬および1つまたは複数の活性剤を含む粒子ならびに/あるいは1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0088】
したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態に従う薬学的組成物は、必要に応じて、薬学的抗不整脈薬と1つまたは複数の追加の活性剤の組み合わせを含む。追加の活性剤の例には、肺を通して送達され得る薬剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0089】
追加の活性剤は、例えば、睡眠薬および弛緩剤、精神賦活剤、鎮静薬、呼吸器薬、抗けいれん剤、筋弛緩剤、抗パーキンソン剤(ドーパミンアンタゴニスト)、鎮痛剤、抗炎症薬、抗不安薬(精神安定剤)、空腹抑制剤、抗片頭痛薬、筋収縮薬、追加の抗感染薬(抗ウイルス剤、抗真菌剤、ワクチン)、抗関節炎、抗マラリア剤、制吐薬、抗てんかん薬、サイトカイン、成長因子、抗癌剤、抗血栓剤、降圧剤、心血管薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息薬、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経様作用薬、利尿薬、脂質調節薬、抗アンドロゲン剤、駆虫薬、抗凝固剤、腫瘍薬、抗腫瘍薬、血糖降下薬、栄養剤およびサプリメント、成長補給剤、ワクチン、抗体、診断薬、および造影剤を含み得る。追加の活性剤は、吸入により投与される場合、局所的または全身的に作用し得る。
【0090】
追加の活性剤は、多数の構造クラスのうちの1つに分類されてもよく、小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、ステロイド、生理的効果を引き出すことができるタンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本発明における使用に適した追加の活性剤の例は、カルシトニン、アンフォテリシンB、エリスロポエチン(EPO)、因子VIII、因子IX、セレダーゼ、セレザイム、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、α−1プロティナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMVVH)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1レセプター、インターロイキン−2、インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、因子IX、インスリン、プロインスリン、インスリン類似体(例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,675号に記載されるようなモノアクリル化インスリン)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチドチモシンα1、llb/lla阻害剤、α−1抗トリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4阻害剤、ビスホスホネート、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFFR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)、殺菌性/透過性増加タンパク質(BPI)、抗CMV抗体、13−シスレチノイン酸、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン、およびスウィノリドA、フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イロロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、およびシタフロキサシン、テイコプラニン、ランポラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチンメタン、ポリミキシン、例えば、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム、ペニシリンG、ペニシリンV等のペニシリナーゼ感受性薬を含むペニシリン、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン等のペニシリナーゼ耐性薬、アンピリシン、アモキシリン、およびヘタシリン等のグラム陰性菌活性剤、シリンおよびタランピシリン、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、およびピペラシリン等の抗緑膿菌性ペニシリン、セフポドキシム等のセファロスポリン、セフプロジル、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セファラドリン、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフィネタゾール、セフタジジム、ロラカルベフ、およびモキサラクタム、アズトレオナム等のモノバクタム、およびカルバペネム、例えば、イミペネム、メロペネム、ペンタミジンイセチオネート、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニドアセトニド、フルチカゾン、イプラトロピウムブロミド、フルニソリド、クロモリンナトリウム、酒石酸エルゴタミン、および適応可能であれば、上記の類似体、アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤、および薬学的に許容される塩形態のうちの1つまたは複数を含む。ペプチドおよびタンパク質に関連して、発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、ペギル化形態、およびそれらの生物学的に活性なフラグメント、誘導体、ならびに類似体を包含することが意図される。
【0092】
本発明で使用するための追加の活性剤は、核酸、例えば、裸核酸分子、ベクター、関連ウイルス粒子、プラスミドDNAあるいはRNA、または細胞のトランスフェクションまたは形質転換に適切な、すなわち、アンチセンスを含む遺伝子治療に適切な種類の他の核酸組成物をさらに含む。さらに、活性剤は、ワクチンとして使用するために適切な生きた弱毒化または死滅ウイルスを含んでもよい。他の有用な薬物は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、医師用卓上参考書内に列挙されるものを含む。
【0093】
活性剤の組み合わせが使用される場合、薬剤は、単一種の薬学的組成物中で組み合わせて、または個別種の薬学的組成物中で個別に提供されてもよい。
【0094】
薬学的組成物中の薬学的抗不整脈薬の量は、異なり得る。薬学的抗不整脈薬の量は、通常、薬学的組成物の総量の少なくとも約5重量%、例えば、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%である。薬学的抗不整脈薬の量は、一般に、約0.1重量%〜100重量%、例えば、約5重量%〜約95重量%、約10重量%〜約90重量%、約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約70重量%、または約50重量%〜約60重量%の間で変化し得る。
【0095】
上記のとおり、薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤の例には、脂質、金属イオン、界面活性剤、アミノ酸、炭水化物、緩衝剤、塩、重合体等、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0096】
脂質の例には、リン脂質、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、脂質含有重合鎖、例えば、ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドン、脂質含有スルホン酸化単糖類、二糖類、および多糖類、脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸、コレステロール、コレステロールエステル、およびコレステロール半コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
1つまたは複数の実施形態において、リン脂質は、飽和リン脂質、例えば、1つまたは複数のホスファチジルコリンを含む。典型的なアシル鎖長は、16:0および18:0(すなわち、パルミトイルおよびステアロイル)である。リン脂質含有量は、活性剤の活性、送達モード、および他の因子によって決定されてもよい。
【0098】
天然源および合成源の両方からのリン脂質は、様々な量で使用されてもよい。リン脂質が存在する場合、量は、通常、少なくとも単一のリン脂質分子層で活性剤をコーティングするために十分である。一般に、リン脂質含有量は、約5重量%〜約99.9重量%、例えば、約20重量%〜約80重量%の範囲である。
【0099】
一般に、適合性リン脂質は、約40℃より高い、例えば、約60℃より高い、または約80℃より高い液晶相移行に対するゲルを有するものを含む。統合されたリン脂質は、比較的長鎖(例えば、C16−C22)の飽和脂質であり得る。本発明において典型的なリン脂質には、ホスホグリセリド、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラチドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、水素化ホスファチジルコリン、E−100−3(Lipoind KG(Ludwigshafen,Germany)から入手可能)、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール、長鎖飽和ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴミエリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
金属イオンの例には、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等を含む二価カチオンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、リン脂質が使用される場合、薬学的組成物は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開公報第WO01/85136号および第WO01/85137号に開示されるように、多価カチオンも含み得る。多価カチオンは、リン脂質の溶解温度(Tm)を高めるために有効量で存在し得、薬学的組成物は、その保管温度(Tm)よりも少なくとも約20℃、例えば、少なくとも約40℃高いTmを呈する。多価カチオン対リン脂質のモル比は、少なくとも約0.05:1、例えば、約0.05:1〜約2.0:1、または約0.25:1〜約1.0:1であり得る。多価カチオン:リン脂質のモル比の例は、約0.50:1である。多価カチオンがカルシウムである場合、塩酸カルシウムの形態であってもよい。金属イオン、例えば、カルシウムは、リン脂質とともに含まれる場合が多いが、いずれも必要でない。
【0101】
上記のとおり、薬学的組成物は、1つまたは複数の界面活性剤を含んでもよい。例えば、1つまたは複数の界面活性剤は、組成物の固形粒子または粒子と関連付けられている1つまたは複数を有する液相中に存在し得る。「関連付けられる」とは、薬学的組成物が、海面活性剤を統合、吸収し、それで被覆されるか、または形成され得ることを意味する。界面活性剤には、フッ素化および非フッ素か化合物、例えば、飽和および非飽和脂質、非イオン性洗剤、非イオン性ブロック共重合体、イオン性界面活性剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。前述の界面活性剤に加えて、適切なフッ素化界面活性剤は、本明細書の教示と適合し、所望の製剤を提供するための使用され得ることを強調すべきである。
【0102】
非イオン性洗剤の例には、三オレイン酸ソルビタンを含むソルビタンエステル(Span(商標)85)、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン、およびポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、およびスクロースエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な非イオン性洗剤は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、McCutcheon‘s Co.,Glen Rock,N.J.)を使用して容易に識別することができる。
【0103】
ブロック共重合体の例には、ポロキサマー188(Pluronic(商標)F−68)、ポロキサマー407(Pluronic(商標)F−127)、およびポロキサマー338を含む、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンの二ブロックおよび三ブロック共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
イオン性界面活性剤の例には、スルホコハク酸ナトリウム、および脂肪酸石鹸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
アミノ酸の例には、疎水性アミノ酸が挙げられるが、これに限定されない。薬学的に許容される賦形剤としてアミノ酸の使用は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO95/31479号、第WO96/32096号、および第WO96/32149号において開示されるように、当該技術分野において知られている。
【0106】
炭水化物の例には、単糖類、二糖類、および多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、単糖類、例えば、デキストロース(無水および一水和物)、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルビトール、ソルボース等、二糖類、例えば、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース等、三糖類、例えば、ラフィノース等、および他の炭水化物、例えば、スターチ(ヒドロキシエチルスターチ)、シクロデキストリン、およびマルトデキストリン。
【0107】
緩衝剤の例には、トリスまたはクエン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
酸の例には、カルボン酸が挙げられるが、これに限定されない。
【0109】
塩の例には、塩化ナトリウム、カルボン酸の塩(例えば、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、塩酸トロメタミン等)、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
有機固体の例には、カンフル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、生体適合性、例えば、生分解性共重合体、あるいは混合体、またはそれらの他の組み合わせも含み得る。この点において、有用な重合体は、ポリラクチド、ポリラクチド−グリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリル酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、多糖類(デキストラン、スターチ、キチン、キトサン等)、ヒアルロン酸、タンパク質(アルブミン、コラーゲン、ゼラチン等)を含む。当業者は、適切な重合体を選択することによって、組成物の送達効率および/または分散の安定性は、薬学的抗不整脈薬の有効性を最適化するように調整され得ることを理解されたい。
【0112】
溶液の場合、組成物は、1つまたは複数の浸透圧調整剤、例えば、塩化ナトリウムを含み得る。例えば、塩化ナトリウムを溶液に添加して、溶液の浸透圧を調整してもよい。1つまたは複数の実施形態において、水性組成物は、本質的に、薬学的抗不整脈薬、浸透圧調整剤、および水で構成される。
【0113】
溶液は、緩衝剤またはpH調整剤、通常、有機酸または塩基から調製される塩も含み得る。代表的な緩衝剤は、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の有機酸塩、トリス、塩酸トロメタミン、またはリン酸緩衝剤を含む。したがって、緩衝剤は、クエン酸、リン酸、フタル酸、および乳酸を含む。
【0114】
上述される薬学的に許容される賦形剤の他に、他の薬学的に許容される賦形剤を、薬学的組成物に添加して、粒子剛性、生産収率、放出用量、および沈着、保持期間、および患者の受容を向上させることが望ましい場合がある。そのような任意選択の薬学的に許容される賦形剤には、着色剤、味マスキング剤、緩衝剤、吸湿剤、抗酸化剤、および化学安定剤が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、様々な薬学的に許容される賦形剤を使用して、粒子組成物(例えば、ラテックス粒子)に対して構造および形態を提供してもよい。この点において、理解されたい。硬直化成分は、選択的溶媒抽出等のポストプロダクション技術を使用して除去することができる。
【0115】
本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、味がない場合が多い。この点において、味マスキング剤は、任意選択で、組成物内に含まれるが、組成物は、味マスキング剤を含まず、味マスキング剤がなくても味がない。
【0116】
薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤の混合物を含み得る。例えば、炭水化物およびアミノ酸の混合物は、本発明の範囲内である。
【0117】
本発明の1つまたは複数の実施形態の組成物は、様々な形態、例えば、推進剤(例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロアルカン)等の非水性相を含む、溶液、乾燥粉末、最構成粉末、懸濁液、または分散液の形態を取り得る。
【0118】
本発明の溶液は、通常、透明である。この点において、本発明の薬学的抗不整脈薬の多くは、水溶性である。
【0119】
いくつかの実施形態において、溶液の等張性は、等張から生理的等張性の範囲である。生理的等張性は、生理液の等張性である。
【0120】
組成物は、通常、3.5〜8.0、例えば、4.0〜7.5、あるいは4.5〜7.0、または5.0〜6.5の範囲のpHを有する。
【0121】
乾燥粉末の場合、含水量は、通常、約15重量%未満、例えば、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満である。そのような粉末は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開公報第WO95/24183号、第WO96/32149号、第WO99/16419号、第WO99/16420号、および第WO99/16422号に記載される。
【0122】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、リン脂質マトリクスに統合される薬学的抗不整脈薬を含む。薬学的組成物は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、前述の国際公開公報第WO99/16419号、第WO99/16420号、第WO99/16422号、第WO01/85136号、および第WO01/85137号に記載されるように、活性剤を統合し、空洞および/または多孔微細構造である、粒子の形態である、リン脂質マトリクスを含み得る。空洞および/または多孔微細構造は、空洞および/または多孔微細構造の密度、サイズ、および空気動力学的質が、ユーザの吸入中に、肺の深部への輸送を促進するため、薬学的抗不整脈薬を肺に送達する際に有用である。さらに、リン脂質系空洞および/または多孔微細構造は、粒子間の引力を減少させて、エアロゾル化中に、薬学的組成物をより容易に脱凝集し、薬学的組成物の流動特性を改善して、処理をより簡易にする。
【0123】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、約1.0g/cm3未満、約0.5g/cm3未満、約0.3g/cm3未満、約0.2g/cm3未満、または約0.1g/cm3未満のバルク密度を有する空洞および/または多孔微細構造で構成される。低バルク密度粒子または粒子を提供することによって、単位用量容器に充填され得る最小粉末質量が低減され、担体粒子の必要性を排除する。つまり、本発明の1つまたは複数の実施形態の比較的低密度の粉末は、比較的低用量の薬学的化合物の再現性のある投与に対して提供される。さらに、大きい担体粒子、例えば、ラクトース粒子は、それらのサイズに起因して、喉および上部気道に影響を与えるため、担体粒子の排除は、潜在的に、喉沈着および任意の「嗚咽」作用または咳を低減する。
【0124】
いくつかの態様において、本発明は、しわ性の高い粒子を伴う。例えば、粒子は、2より大きい、例えば、3より大きいか、または4より大きいしわ性を有してもよく、しわ性は、2〜15、例えば、3〜10の範囲であり得る。
【0125】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、乾燥粉末形態であり、エアロゾル化装置の中または付近に挿入されて、薬学的組成物の単位用量をエアロゾル化し得る、単位用量レセプタクル内に含有される。このバージョンは、乾燥粉末形態が、長期間その単位用量レセプタクルに安定して保管され得る点において有用である。いくつかの実施例において、本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、少なくとも2年間安定し得る。いくつかのバージョンにおいて、安定性を得るために冷蔵する必要はない。他のバージョンにおいて、低温、例えば、2〜8℃を使用して、安定した保管を延長し得る。多くのバージョンにおいて、保管安定性は、外部電源によるエアロゾル化を可能にする。
【0126】
本明細書に開示される薬学的組成物は、間隙、孔、くぼみ、空洞、空間、間質腔、開口、穿孔、または孔を呈示するか、定義するか、または含む、構造マトリクスを含み得ることを理解されたい。穿孔微細構造の絶対形状(形態論とは対照的)は、一般に重要ではなく、所望の特徴を提供する任意の全体構成は、本発明の範囲内であると見なされる。したがって、いくつかの実施形態は、略球形状を含む。しかしながら、崩壊、変形、または破裂した粒子も適合可能である。
【0127】
一バージョンにおいて、薬学的抗不整脈薬は、個別の粒子を形成するマトリクスに組み込まれ、薬学的組成物は、複数の個別の粒子を含む。個別の粒子は、それらが効果的に投与され、および/またはそれらが必要とされる場合に使用可能であるようなサイズであり得る。例えば、エアロゾル化可能な薬学的組成物の場合、粒子は、ユーザの吸入中に粒子がエアロゾル化され、ユーザの気管に送達されることを可能にするサイズである。
【0128】
マトリクス材は、疎水性または部分的に疎水性の材料を含み得る。例えば、マトリクス材は、脂質、例えば、リン脂質、および/または疎水性アミノ酸、例えば、ロイシンまたはトリロイシンを含み得る。リン脂質マトリクスの例は、国際公開公報第WO99/16419号、第WO99/16420号、第WO99/16422号、第WO01/85136号、ならびに第WO01/85137号、および米国特許第5,874,064号、第5,855,913号、第5,985,309号、第6,503,480号、ならびに第7,473,433号、および米国公開特許出願第20040156792号に記載され、それらすべては、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。疎水性アミノ酸マトリクスの例は、米国特許第6,372,258号、第6,358,530号、および第7,473,433号に記載され、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
リン脂質がマトリクス材として利用される場合、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号WO01/85136号および第WO01/85137号に開示されるように、薬学的組成物は、多価カチオンも含み得る。
【0130】
別の実施形態に従って、薬学的抗不整脈薬を含有する組成物の放出動態が制御される。1つまたは複数の実施形態に従って、本発明の組成物は、薬学的抗不整脈薬の即時放出を提供する。代替的に、本発明の他の実施形態の組成物は、薬学的抗不整脈薬の所望の放出率を提供するために、マトリクス材に統合された活性材と非統合活性材の非均質混合物として提供されてもよい。本実施形態に従って、本発明の1つまたは複数の実施形態のエマルション系製造プロセスを使用して製剤化される薬学的抗不整脈薬は、気道に投与される場合、即時放出適応において実用性を有する。急速放出は、(a)低密度の多孔粉末の高特異性表面、(b)そこに統合される小さい薬物結晶、および(c)粒子の低表面エネルギーによって促進される。
【0131】
代替的に、活性剤の長時間放出が達成されるように、粒子マトリクスを設計することが望ましい場合がある。これは、活性剤が急速に肺から一掃される場合、または持続放出が望ましい場合に特に所望され得る。例えば、リン脂質分子の相動作の性質は、スプレー乾燥原料におけるそれらの化学構造および/または調製方法、ならびに乾燥条件、および利用される他の組成物成分によって影響される。小単層ベシクル(SUV)または多層ベシクル(MLV)内で溶解される活性剤のスプレー乾燥の場合に、活性剤は、複数の二層内でカプセル化され、長時間に渡って放出される。
【0132】
対照的に、本明細書の教示に従って、エマルション滴で構成される原料および分散または溶解された活性剤のスプレー乾燥することは、長距離秩序を有するリン脂質マトリクスをもたらし、それによって、急速な放出を促す。いかなる特定理論にも制限されないが、これは、活性剤が決してリン脂質内で正式にカプセル化されないという事実、および最初にリン脂質がエマルション滴の表面上に単層として(リポソームの場合のような二層ではなく)存在するという事実に一部起因すると考えられる。本発明の1つまたは複数の実施形態のエマルション系製造プロセスによって調製されるスプレー乾燥粒子は、高度の障害を有する場合が多い。またスプレー乾燥粒子は、通常、低表面エネルギーを有し、スプレー乾燥DSPC粒子に対して、20mN/mという低い値が観察された(逆ガスクロマトグラフィによって決定)。スプレー乾燥されたリン脂質粒子を用いて行った小角X線散乱(SAXS)研究も、脂質に対する高度の障害を示し、散乱ピークはこすり取られ、長さスケールは、いくつかの例において、いくつかの最も近い隣接を超えて伸長するに過ぎない。
【0133】
注目すべきは、液晶相移行温度に対して高ゲルを有するマトリクスが、活性剤の持続放出を達成するために、それ自体では十分でないことである。二層構造に対して十分な秩序を有することも、持続放出を達成するために重要である。急速放出を促すために、高空隙率(高表面領域)のエマルション系、および薬物物質とリン脂質との間の最小相互作用が使用されてもよい。他の組成物成分の添加を含み(例えば、Pluronic F−68、炭水化物、塩、ハイドロトロープ等の小分子)、二層構造を破壊し得る薬学的組成物の形成プロセスも検討される。
【0134】
持続放出を達成するために、特に活性剤がそこにカプセル化される場合、二層形態へのリン脂質の統合を使用してもよい。この場合、リン脂質のTmを増加させることは、二価対イオンまたはコレステロールの統合を介して、利益を提供し得る。同様に、イオン対(負電荷活性+ステアリルアミン、正電荷活性+ホスファチジルグリセロール)の形成を介するリン脂質と薬物物質との間の相互作用を増加させることは、溶解率を減少させる傾向がある。活性が両親媒性である場合、界面活性剤/界面活性剤の相互作用は、活性溶解も減速させ得る。
【0135】
長鎖飽和ホスファチジルコリンに対する二価対イオン(例えば、カルシウムまたはマグネシウムイオン)の添加は、双性イオン頭部基の負電荷リン酸部分と正電荷金属イオンとの間の相互作用をもたらす。これは、水和の水の移動と、リン脂質の脂質頭部基およびアシル鎖のパッキングの凝縮をもたらす。さらに、これは、リン脂質のTmの増加をもたらす。頭部基水和の減少は、水との接触時に、スプレー乾燥リン脂質粒子の拡散特性に深刻な影響を有し得る。完全に水和されたホスファチジルコリン分子は、水相を通る分子拡散を介して、極めてゆっくり分散結晶に拡散する。水中のリン脂質の溶解性は、非常に低いため(DPPCに対して約10−10mol/L)、プロセスは、非常に遅い。この現象を克服するための先行技術による試みは、リン脂質の存在下で結晶を均質にすることを含む。この場合、均質化した結晶の高度のせん断および曲線半径は、結晶上のリン脂質の被服を促進する。対照的に、本発明の1つまたは複数の実施形態に従う「乾燥」リン脂質粉末は、水性相と接触すると、即時に拡散し得、それによって、高いエネルギーを適用する必要なく分散した結晶を被覆する。
【0136】
例えば、再構成時に、空気/水の界面におけるスプレー乾燥DSPC/Ca混合物の表面張力は、測定値が取られ得るとすぐに平衡値(約20mN/m)に減少する。対照的に、DSPCのリポソームは、数時間かけて表面張力(約50mN/m)をわずかに減少させ、この減少は、加水分解の分解生成物の存在、例えば、リン脂質中の遊離脂肪酸に起因する可能性が高い。単尾脂肪酸は、疎水性親化合物よりもはるかに速く空気/水の界面に対して分散することができる。したがって、ホスファチジルコリンへのカルシウムイオンの添加は、結晶性薬物の急速なカプセル化をさらに早め、印加エネルギーを低下させることができる。
【0137】
別のバージョンにおいて、薬学的組成物は、水エマルション中のペルフルオロカーボンを用いて、ナノ結晶を共スプレー乾燥することによって達成される低密度粒子を含む。ナノ結晶は、沈殿によって形成されてもよく、例えば、約45μm〜約80μmの範囲のサイズであり得る。ペルフルオロカーボンの例には、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書の教示に従って、粒子は、「乾燥」状態で提供されてもよい。つまり、1つまたは複数の実施形態において、粒子は、大気温度または低温での保存中に、粉末を化学的および物理的に安定した状態で維持し、分散可能に維持し得る、含水量を有する。この点において、主な粒径、含有物、純度、および空気動力学的粒径の分布に変化はほとんどないか、または全くない。
【0139】
そのようにして、粒子の含水量は、通常、約10重量%未満、例えば、約6重量%未満、約3重量%未満、または約1重量%未満である。含水量は、少なくとも部分的に、組成物によって決定され、用いられるプロセス条件、例えば、入口温度、フィード濃度、ポンプ速度、および発泡剤の種類、濃度、ならびにポスト乾燥によって制御される。結合水の減少は、リン脂質系粉末の分散性および流動性の著しい向上をもたらし、粉末肺界面活性剤またはリン脂質中に分散された活性剤を含む粒子組成物の極めて効果的な送達能力をもたらす。向上した分散性は、簡素な受動DPIデバイスを使用して、これらの粉末を効果的に送達できるようにする。
【0140】
薬学的組成物のさらに別のバージョンは、接触の時点で滞留時間を長くするか、または粘膜の通過を強化する荷電種含み得るか、または部分的あるいは完全にそれで被覆され得る、粒子組成物を含む。例えば、アニオン電荷は、粘膜接着を促すが、カチオン電荷は、形成された粒子を遺伝物質等の負電荷生物活性剤と関連付けるために使用され得る。電荷は、ポリアニオンまたはポリカチオン性物質、例えば、ポリアクリル酸、ポリリシン、ポリ乳酸、およびキトサンの関連付けまたは統合を通して付与されてもよい。
【0141】
いくつかのバージョンにおいて、薬学的組成物は、約20μm未満、例えば、約10μm未満、約7μm未満、または約5μm未満の質量中央径を有する粒子を含む。粒子は、約1μm〜約6μm、例えば、約1.5μm〜約5μm、または約2μm〜約4μmの範囲の質量中央空気動力学的直径を有してもよい。粒子が大きすぎる場合、より多くのパーセンテージの粒子が肺に到達しない。粒子が小さすぎる場合、より多くのパーセンテージの粒子が吐き出され得る。
【0142】
薬学的組成物の単位用量は、容器に含有されてもよい。容器の実施例には、シリンジ、カプセル、ブロー充填シール、ブリスター、バイアル、アンプル、または金属、重合体(例えば、樹脂、エラストマー)、ガラス等で形成された容器閉鎖システムが挙げられる。例えば、バイアルは、クロロブチルゴムシリコン処理ストッパを備える無色の型Iホウケイ酸ガラスISO6R 10mLバイアル、およびカラー樹脂カバーを備えるリップオフ型のアルミニウムカップであってもよい。
【0143】
容器は、エアロゾル化デバイスに挿入されてもよい。容器は、適切な形状、サイズ、および材質であり、薬学的組成物を含有し、薬学的組成物を使用可能な状態で提供し得る。例えば、カプセルまたはブリスターは、薬学的組成物と逆に反応しない物質を含む壁を含み得る。さらに、壁は、カプセルを開いて、薬学的組成物をエアロゾル化させることができる物質を含んでもよい。一バージョンにおいて、壁は、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール化合HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、アガー、アルミニウムホイル等のうちの1つまたは複数を含む。一バージョンにおいて、カプセルは、例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,247,066号に記載されるように、伸縮自在に接合する部分を含んでもよい。カプセルのサイズは、薬学的組成物の用量を適切に含有するように選択され得る。サイズは、一般に、サイズ5〜サイズ000の範囲であり、それぞれ外径は約4.91mm〜9.97mmの範囲、高さは約11.10mm〜約26.14mmの範囲、および容量は約0.13mL〜約1.37mLの範囲である。適切なカプセルは、例えば、Shionogi Qualicaps Co.(奈良県、日本)およびCapsugel(Greenwood,SC)から商業的に入手可能である。参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,846,876号および第6,357,490号、および国際公開番号第WO00/07572号に記載されるように、充填後、上部は下部に配置されて、カプセル形状を形成し、カプセル内に粉末を含有し得る。上部を下部に配置した後、カプセルは任意選択でバンドを付けることができる。
【0144】
解決策として、単位用量中の組成物の量は、通常、約2mL〜約15mL、例えば、約3mL〜約10mL、約4mL〜約8mL、または約5mL〜約6mLの範囲である。
【0145】
本発明の組成物は、当該技術分野における熟練者に周知かつ使用可能な種々の方法および技術のうちのいずれかによって形成されてもよい。
【0146】
例えば、薬学的抗不整脈薬の溶液は、以下の手順を使用して形成されてもよい。通常、製造装置は、使用前に滅菌される。最終容量の一部分、例えば、溶媒の70%、例えば、注射水を適切な容器に添加してもよい。次に、薬学的抗不整脈薬が添加され得る。抗不整脈薬は、溶解するまで混合されてもよい。追加の溶媒を添加して、最終バッチ容量を形成してもよい。バッチは、例えば、0.2μmフィルタを通して、滅菌された受容容器にろ過されてもよい。充填成分は、バッチをバイアル、例えば、10mLバイアルに充填する際に、使用前に滅菌され得る。
【0147】
実施例として、上述の滅菌は、以下を含み得る。5リットル型の1つのガラス瓶および蓋は、オートクレーブバッグ内に配置され、昇温温度、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌され得る。同様に、バイアルは、適切なラックに配置され、オートクレーブバッグに挿入され、昇温温度、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌され得る。また同様に、ストッパは、オートクレーブバッグ内に配置され、昇温温度、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌され得る。滅菌前に、滅菌フィルタは、管、例えば、2mm長の7mmX13mmシリコン管に取り付けられてもよい。充填ラインは、オートクレーブバッグ内に配置し、昇温、例えば、121℃で15分間、オートクレーブを使用して滅菌することによって製造され得る。
【0148】
上述のろ過は、層流作業域へのろ過を伴ってもよい。受容ボトルおよびフィルタは、掃流作業域内に設置されてもよい。
【0149】
上述の充填も、層流保護下で行われ得る。充填ラインは、包装を解いて、受容ボトルの中に配置されてもよい。滅菌バイアルおよびストッパは、層流保護下で、包装を解いてもよい。各バイアルは、目標充填の5gまで充填され、ストッパで塞がれ得る。フリップオフカラーが各バイアルに適用されてもよい。密閉されたバイアルは、バイアル漏出、適切なオーバーシール、および亀裂について検査され得る。
【0150】
別の実施例として、抗不整脈薬は、抗不整脈薬を凍結乾燥させて保管用の粉末に形成することによって調製されてもよい。次に、粉末は、使用に先立って再構成される。この技術は、抗不整脈薬が溶液中で不安定な場合に使用されてもよい。
【0151】
凍結乾燥される溶液の溶媒は、水を含んでもよい。溶液は、賦形剤を含まなくてもよい。例えば、溶液は、抗凍結剤を含まなくてもよい。
【0152】
1つまたは複数の実施形態において、適切な量(例えば、120g/lの最終溶液)の薬物物質が、窒素発泡下で、例えば、理論的総量の約75%の水中に溶解されてもよい。溶解時間が記録され、外観が評価され得る。
【0153】
次に、WFIによる最終容量への希釈が行われてもよい。最終容量が確認され得る。密度、pH、内毒素、生物負荷、およびUV含有量が、滅菌ろ過の前後両方で測定されてもよい。
【0154】
溶液は、凍結乾燥前にろ過されてもよい。例えば、二重の0.22μmろ過を充填前に行ってもよい。フィルタは、ろ過前後の完全性および泡立ち点について試験され得る。
【0155】
事前洗浄およびオートクレーブされたバイアルは、自動充填ラインを使用して、バイアル当りの目標5mLまで無菌で充填された後、部分的にストッパで塞がれ得る。プロセス中に、充填重量を15分毎にチェックすることによって、充填容量のチェックを行ってもよい。
【0156】
凍結乾燥は、一般に、溶解の約72時間、例えば、約8時間、または約4時間以内に行われる。
【0157】
1つまたは複数の実施形態において、凍結乾燥は、溶液を凍結させて凍結溶液を形成することを含む。凍結溶液は、通常、約−40℃〜約−50℃の範囲、例えば、約−45℃の初期温度で保持される。初期温度期間中に、凍結溶液周囲の圧力は、通常、大気圧である。初期温度期間は、通常、約1時間〜約4時間の範囲、例えば、約1.5時間〜約3時間、または約2時間である。
【0158】
凍結乾燥は、凍結溶液の温度を第1の事前設定温度に上昇させることをさらに含み得、約10℃〜約20℃の範囲、例えば、約15℃であり得る。初期温度から第1の事前設定温度への熱傾斜にかかる時間は、通常、約6時間〜約10時間の範囲、例えば、約7時間〜約9時間である。
【0159】
第1の事前設定温度期間中、溶液周囲の圧力は、通常、約100μバール〜約250μバール、例えば、約150μバール〜約225μバールの範囲である。溶液は、第1の事前設定温度で、約20時間〜約30時間の範囲、例えば、約24時間維持されてもよい。
【0160】
凍結乾燥は、溶液の温度を第2の事前設定温度に上昇させることをなおもさらに含み得、約25℃〜約35℃の範囲、例えば、約30℃であり得る。第2の事前設定温度期間中、凍結溶液周囲の圧力は、通常、約100μバール〜約250μバール、例えば、約150μバール〜約225μバールの範囲であり得る。溶液は、第2の事前設定温度で、約10時間〜約20時間の範囲の期間保持されてもよい。
【0161】
上記を考慮して、凍結乾燥周期は、例えば、20℃〜−45℃で65分の凍結ランプに、続いて、例えば、−45℃で2時間の凍結ソークを含み得る。一次乾燥は、例えば、−45℃から15℃で8時間の加熱ランプに続いて、200μバールの圧力下、15℃で24時間の温度保持により達成され得る。二次乾燥は、例えば、15℃から30℃で15時間の加熱ランプに続いて、200μバールの圧力下、30℃で15時間の温度保持により達成され得る。凍結乾燥周期の最後に、滅菌窒素により真空が断絶されてもよく、バイアルは、自動的にストッパで塞がれ得る。
【0162】
凍結乾燥粉末の含水量は、通常、約7重量%未満、例えば、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満である。
【0163】
粉末は、水を用いて、25℃で1.0大気下、手動攪拌により約60秒未満で、例えば、約30秒未満、約15秒未満、または約10秒未満で最構成することができる。
【0164】
粉末は、通常、再構成を促進する大きい特定表面領域を有する。特定表面領域は、通常、約5m2/g〜約20m2/g、例えば、約8m2/g〜15m2/g、または約10m2/g〜12m2/gの範囲である。
【0165】
水による再構成時に、薬学的抗不整脈薬溶液は、通常、約2.5〜約7、例えば、約3〜約6の範囲のpHを有する。
【0166】
乾燥粉末の場合、組成物は、スプレー乾燥、凍結乾燥、粉砕(例えば、湿式粉砕、乾燥粉砕)等によって形成されてもよい、
【0167】
スプレー乾燥において、スプレー乾燥される調製物または原料は、任意の溶液、粗懸濁液、スラリー、コロイド分散、または選択されたスプレー乾燥装置を使用して粉末化され得るペーストであってもよい。不溶性薬剤の場合、原料は、上述されるような懸濁液を含み得る。代替的に、希釈液および/または1つもしくは複数の溶媒が原料に利用されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、原料は、エマルション、逆エマルション、マイクロエマルション、多重エマルション、粒子分散、またはスラリー等のコロイド系を含む。
【0168】
一バージョンにおいて、薬学的抗不整脈薬およびマトリクス材が水性原料に添加して、原料溶液、懸濁液、またはエマルションを形成する。次に、原料をスプレー乾燥して、マトリクス材および薬学的抗不整脈薬を含む乾燥粉末を産生する。適切なスプレー乾燥プロセスは、例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16419号および米国特許第6,077,543号、第6,051,256号、第6,001,336号、第5,985,248号、および第5,976,574号に開示されるように、当該技術分野において知られている。
【0169】
いかなる成分が選択されるとしても、粒子産生の第1のステップは、通常、原料の調製を含む。リン脂質系粒子が薬学的抗不整脈薬の担体として作用することが意図される場合、選択された活性剤は、水等の液体中に導入され、濃縮懸濁液を産生し得る。薬学的抗不整脈薬および任意選択の活性剤の濃度は、通常、最終粉末中に必要とされる薬剤の量および用いられる送達デバイスの性能に依存する(例えば、定量吸入器(MDI)または乾燥粉末吸入器(DPI)の微粒子用量)。
【0170】
任意の追加の活性剤を単一の原料調製に統合し、スプレー乾燥して、複数の活性財を含む単一の薬学的組成物種を産生してもよい。逆に、個別の活性剤を添加して、原料を分離し、個別にスプレー乾燥して、異なる組成物を有する複数の薬学的組成物を提供することができる。これらの個別種を、任意の所望の比率で、懸濁媒体または乾燥粉末分散コンパートメントに添加し、下記のようにエアロゾル送達系に配置することができる。
【0171】
多価カチオンは、薬学的抗不整脈薬懸濁液と組み合わされるか、リン脂質エマルションと組み合わされるか、または個別の容器内で形成される水中油型エマルションと組み合わされてもよい。薬学的抗不整脈薬は、直接エマルション中に分散されてもよい。
【0172】
例えば、多価カチオンおよびリン脂質は、熱い蒸留水(例えば、70℃)中、適切な高せん断機械ミキサー(例えば、Ultra−TurraxモデルT−25ミキサー)を使用して、8000rpmで2〜5分間均質化され得る。通常、5〜25gのフルオロカーボンが、分散界面活性剤溶液に混合しながら滴下添加される。次に、得られる水エマルション中の多価カチオン含有ペルフルオロカーボンを、高圧ホモゲナイザを使用して処理し、粒径を減少させてもよい。通常、エマルションは、5つの個別のパスに対して12,000〜18,000PSIで処理され、約50℃〜約80℃で維持される。
【0173】
多価カチオンが水中油型エマルションと組み合わされる場合、スプレー乾燥された薬学低組成物の分散安定性および分散性は、参照することによりその全体が本明細書に組み合わされる、国際公開番号第WO99/16419号に記載されるように、発泡剤を使用することによって改善することができる。このプロセスは、エマルションを形成し、統合される界面活性剤によって任意選択で安定化され、通常、水性連続相に分散される水非混和性発泡剤のサブミクロン滴を含む。発泡剤は、スプレー乾燥プロセス中に蒸発し、一般に、空洞、多孔の空気力学的に軽い粒子を残す、フッ素化化合物(例えば、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタン)であってもよい。他の適切な液体発泡剤は、非フッ素化油、クロロホルム、Freon(登録商標)フルオロカーボン、酢酸エチル、アルコール、炭化水素、窒素、および二酸化炭素ガスを含む。発泡剤は、リン脂質でエマルション化されてもよい。
【0174】
薬学的組成物は、上記のように、発泡剤を使用して形成されてもよいが、いくつかの例において、追加の発泡剤は不要であり、薬学的抗不整脈薬の水分散液および/または薬学的に許容される賦形剤および界面活性剤は、直接スプレー乾燥されることを理解されたい。そのような場合、薬学的組成物は、そのような技術における使用を特に適切にする、特定の物理化学的特性(例えば、高結晶性、高溶解温度、表面活性等)を有し得る。
【0175】
必要に応じて、共界面活性剤、例えば、ポロキサマー188またはスパン80は、この付属溶液中に分散されてもよい。追加的に、薬学的に許容される賦形剤、例えば、糖およびスターチを添加することもできる。
【0176】
次に、原料がスプレー乾燥器に供給され得る。通常、原料は、溶媒を蒸発させる温かいろ過空気流にスプレーされ、乾燥産生物を収集器に運ぶ。次に、消費された空気は、溶媒とともに排出される。Buchi Ltd.またはNiro Corp.製の商業用スプレー乾燥器を修正して、薬学的組成物を産生するために使用してもよい。本発明の1つまたは複数の実施形態の乾燥粉末を形成するために適切なスプレー乾燥方法およびシステムの実施例は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,077,543号、第6,051,256号、第6,001,336号、第5,985,248号、および第5,976,574号に開示される。
【0177】
スプレー乾燥の操作条件、例えば、入口および出口温度、供給速度、噴霧圧力、乾燥空気の流速、およびノズル構成は、必要な粒径、および得られる乾燥粉末の生産収率をもたらすために調製することができる。適切な装置および処理条件の選択は、本明細書の教示を考慮して、熟練者の理解の範囲内であり、不要な実験なしに達成され得る。典型的な設定は、以下のとおりである。空気入口温度:約60℃〜約170℃、空気出口温度:約40℃〜約120℃、供給速度:約3mL/分〜約15mL/分、吐出空気流:約300L/分、および噴霧空気流速:約25L分〜約50L/分。当然のことながら、設定は、使用される装置の種類に応じて異なる。あらゆる事象において、これらおよび同様の方法の使用は、肺へのエアロゾル沈着に適した直径を有する空気力学的に軽い粒子の形成を可能にする。
【0178】
空洞および/または多孔微細構造は、参照することにより本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16419号に開示されるように、スプレー乾燥によって形成されてもよい。スプレー乾燥プロセスは、大きい内部空洞を定義する、比較的薄い多孔壁を有する粒子を含む、薬学的組成物の形成をもたらし得る。スプレー乾燥プロセスは、形成される粒子が、処理中または脱凝集中に、破裂する可能性が少ない他のプロセスよりも有利である場合が多い。
【0179】
本発明の1つまたは複数の実施形態に有用な薬学的組成物は、代替的に、凍結乾燥によって形成されてもよい。凍結乾燥は、それが凍結した後、水が組成物から昇華される、凍結乾燥プロセスである。水性溶液中で比較的不安定な生物学および調剤が、昇温に曝露されることなく乾燥された後、安定性の問題が少ない乾燥状態で保管され得るため、凍結乾燥プロセスが使用される場合が多い。本発明の1つまたは複数の実施形態に関して、そのような技術は、特に、生理活性を低下させることなく、薬学的組成物中のペプチド、タンパク質、遺伝物質、および他の天然ならびに合成マクロ分子の統合と適合する。微泡様構造を含有する凍結乾燥ケーキは、所望のサイズの粒子を提供するために当該技術分野において知られている技術を使用して、微粒化することができる。
【0180】
本発明の1つまたは複数の実施形態の組成物は、吸入によって投与され得る。
【0181】
さらに、吸入される組成物の用量は、吸入される組成物の心臓への効率的な標的に起因して、通常、他の経路によって投与され、同様の効果を得るために必要とされる用量よりもはるかに少ない。
【0182】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、薬学的抗不整脈薬を含む薬学的組成物は、それを必要とする患者の肺に投与される。例えば、患者は、不整脈を診断されていてもよい。不整脈の例には、頻拍、上室性頻拍症(SVT)、発作性上室性頻拍(PSVT)、心房細動(AF)、発作性心房細動(PAF)、永久的心房細動、持続性心房細動、心房粗動、発作性心房粗動、および単独心房粗動が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物を使用して、広範な患者を治療および/または予防提供することができる。本明細書に記載されるような治療および/または予防を受けるために適した患者は、それを必要とする任意の哺乳類患者であり、好ましくは、そのような哺乳類は、ヒトである。患者の例には、小児患者、成人患者、および老人患者が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、組成物は、単なる症状の急速な解消のための治療として意図され、予防として見なされない。すなわち、患者が健康な場合は薬物の必要がなく、これは、散発性または断続的投与に起因して、治療をより有効かつ安全にし、傷害を引き起こす症状を低減する。
【0184】
薬学的抗不整脈薬の必要量および投与頻度は、組成物内の薬学的抗不整脈薬の組成物および濃度に依存する。いくつかの例において、用量は、その通常静脈内用量未満である。肺用量は、心臓内容量に類似する。吸入は、静脈内または経口投与と比較して、体内の薬物の希釈を回避する。
【0185】
吸入は、肝代謝等の代謝も回避する。例えば、ジルチアゼム等のカルシウムチャネル遮断薬は、経口摂取されると、著しい肝代謝を経る。吸入は、親ジルチアゼム化合物をボーラスとして心臓に急速に送達することを可能にする。驚くことに、本発明に従う吸入経路を介するジルチアゼムの吸入による投与は、心房粗動を正常洞律動に転向し、心拍を低減した。したがって、ジルチアゼムの吸入による投与は、心房粗動および上室性頻拍症(SVT)の両方を治療するために有用である。対照的に、ジルチアゼムのIVによる投与は、通常、SVTから正常洞律動に転向するため、および心房粗動においては、心拍を減少させるために使用されるに過ぎない(正常洞律動に転向するためではない)。
【0186】
吸入は、赤血球の代謝も回避する。例えば、吸入と関連付けられる還元希釈および短経路は、エスモロールの赤血球代謝を減少させる。
【0187】
吸入は、血圧の低下および失神も回避し得る。例えば、β遮断薬、例えば、エスモロールのIV投与は、平均動脈血圧(MAP)を低下させ得る。吸入は、MAPを低下させることなく、エスモロールの急速送達を可能にする。結果として、β遮断薬の吸入は、同一のβ遮断薬のIV投与に起因するMAPよりもはるかに多い、10mmHg〜20mmHgのMAPをもたらし得る。
【0188】
吸入心治療の場合、薬物は、ボーラスとして、肺から心臓に配向される。そのため、心臓は、高濃度で見られる。薬物は、心臓を通過するにつれて急速に希釈されが、曝露時間は、所望の薬物作用に十分である。一旦、薬物が心臓を通過すると、血液全体の薬物濃度は、治療濃度を下回り、効果的でないと考えられる。治療ウィンドウは、安全かつ有効な治療を提供する体系における、薬物の用量またはその濃度の範囲である。最小量以下の量は、いずれも治療量以下であり、したがって、その濃度において有効でない。希釈を考慮して、望ましくない副作用が最小化される。
【0189】
一バージョンにおいて、抗不整脈薬は、毎日投与されてもよい。このバージョンにおいて、薬学的抗不整脈薬の日用量は、約0.1mg〜約600mg、例えば、約0.5mg〜約500mg、約1mg〜約400mg、約2mg〜約300mg、および約3mg〜約200mgの範囲である。
【0190】
用量は、単回吸入中に投与され得るか、または複数吸入中に投与されてもよい。薬学的抗不整脈薬濃度の変動は、薬学的組成物をより頻繁に投与することによって低減され得るか、または薬学的組成物を少ない頻度で投与することによって増加され得る。そのため、本発明の1つまたは複数の薬学的組成物は、1日約4回〜1ヶ月に約1回、例えば、1日約1回〜2週間に約1回、2日に約1回〜1週間に約1回、および1週間に約1回投与されてもよい。
【0191】
不整脈を患う患者を治療するために、投与される薬学的抗不整脈薬の用量当りの量は、不整脈を治療するために有効な量であり得る。不整脈の治療のための薬学的抗不整脈薬の量は、一般に、予防に使用される量よりも高く、通常、約0.001mg/kg〜6mg/kg、例えば、約0.002mg/kg〜約5mg/kg、または約0.005mg/kg〜約4mg/kgの範囲である。典型的な一治療レジメンにおいて、本発明の1つまたは複数の実施形態に従う製剤は、1日に約1〜約4回、例えば、1日に約2〜約3回投与されてもよい。一般に、患者に投与される薬学的抗不整脈薬の用量は、治療されている上体、患者の年齢および体重等に応じて、約0.1mg〜約600mg、例えば、1日約0.2mg〜500mgの範囲である。
【0192】
例えば、本発明は、初期吸入後に除細動が起こらない場合、フォローアップ吸入を伴ってもよい。通常、初期吸入から30分以内に除細動が起こらない場合、フォローアップ用量は、初期用量と同一またはそれ以上である。
【0193】
用量は、患者の気分によって導かれ得る。同様に、または代替的に、用量は、携帯ECGによって導かれてもよい。例えば、用量は、ホルターモニタによって導かれてもよい。
【0194】
別のバージョンにおいて、薬学的組成物は、不整脈を進行させる可能性がある患者に対して、予防的に投与される。例えば、不整脈の履歴のある患者は、薬学的抗不整脈薬を含む薬学的組成物によって予防的に治療され、不整脈を進行させる可能性を減少させることができる。
【0195】
薬学的組成物は、不整脈を予防するために有効な任意のレジメンにおいて、患者に投与されてもよい。例示的な予防レジームは、本明細書に記載されるように、薬学的抗不整脈薬を1週間に1〜21回投与することを含む。
【0196】
理論に制限されることは望まないが、本発明の1つまたは複数の実施形態に従って薬学的抗不整脈薬を提供することによって、薬学的抗不整脈薬の全身曝露は、初期希釈を回避することによって低下させることができる。上述されるように、薬学的抗不整脈薬は、心臓を通過した時およびその後に希釈を経る。そのため、薬学的抗不整脈薬の吸入による投与は、静脈内送達よりも安全であると考えられる。
【0197】
別の態様において、投与方法は、参照することにより開示の全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20050235987号、第20050211253号、第20050211245号、第20040035413号、および第20040011358号に開示されるもの等のエアロゾル化薬剤の投与のためのエアロゾル生成デバイスおよび/またはシステムによって自由に呼吸している患者に投与することを含む。
【0198】
一バージョンにおいて、薬学的組成物は、乾燥粉末の形態で患者に送達されてもよい。したがって、薬学的組成物は、肺の深部または別の標的部位に効果的に送達され得る乾燥粉末を含む。この薬学的組成物は、肺胞への貫通を許可するように選択されたサイズの粒子を含む乾燥粉末の形態である。
【0199】
いくつかの例において、単位用量、例えば、0.1mgまたは100mg以上の薬学的抗不整脈薬を、単回吸入で肺に送達することが望ましい。上述のリン脂質空洞および/または多孔乾燥粉末粒子は、約5mg以上、しばしば約10mgより多い、および場合によって約15mgより多い用量が、単回吸入および有利な方法で送達されるのを可能にする。代替的に、用量は、2回以上の吸入、例えば、1〜6回、1〜5回、または1〜4回の吸入で送達されてもよい。例えば、10mg用量は、それぞれ5mgの2単位用量を提供することによって送達されてもよく、2つの単位用量は、個別に吸入されてもよい。特定の実施形態において、薬学的抗不整脈薬の全体用量は、0.1mg〜200mg、例えば、0.5mg〜150mg、または1mg〜100mgの範囲である。
【0200】
投与するための時間は、通常短い。噴霧器の場合、投与時間は、通常、1分〜20分、例えば、2分〜15分、または3分〜10分の範囲である。乾燥粉末に関して、単一カプセルの場合、総投与時間は、通常、約1分未満である。そのため、投与時間は、約5分未満、例えば、約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満であり得る。
【0201】
特定の実施形態において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法を対象とする。方法は、息切れ、動悸、および正常値を超える心拍のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することを含む。方法は、有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、自己診断から2時間以内、例えば、1時間、30分または15分以内に吸入により自己投与することも含む。
【0202】
特定の実施形態において、患者は、自己滴定することができる。例えば、患者は、障害を引き起こす症状が消えるまで、例えば、噴霧器を使用することによって、自己投与することができる。いくつかの例において、自己投与は、患者が動悸を感じなくなるまで継続する。
【0203】
作用の発現時間も通常短い。例えば、患者は、投与の開始から20分以内、例えば、15分以内、10分以内、または5分以内に正常律動を有する。患者が長期間不整脈を罹患しているほど、通常、患者が正常律動に転向するまでに長い時間がかかるため、作用の急速な発現は有利である。
【0204】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、患者が、他の治療、例えば、アブレーションおよび/または電気的除細動を回避することを可能にする。他の実施形態において、本発明の方法は、他の治療と併せて、例えば、電気的除細動および/またはアブレーション治療の前または後に使用される。
【0205】
分散または粉末薬学的組成物は、エアロゾル化デバイスを使用して投与されてもよい。エアロゾル化デバイスは、噴霧器、定量吸入器、液体用量点滴デバイス、または乾燥粉末吸入器であってもよい。薬学的組成物は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16420号に記載されるように、噴霧器によって、国際公開番号第WO99/16422号に記載されるように、定量吸入器によって、国際公開番号第WO99/16421号に記載されるように、液体用量点滴装置によって、米国公開出願第20020017295号および第20040105820号、国際公開番号第WO99/16419号、第WO02/83220号、および米国特許第6,546,929号に記載されるように、乾燥粉末吸入器によって送達されてもよい。そのようにして、吸入器は、粒子または粒子および推進剤を含有する容器を含んでもよく、吸入器は、容器の内部と連通する絞り弁を含む。推進剤は、ヒドロフルオロアルカンであり得る。
【0206】
本発明の製剤は、それを必要とする患者の肺気道に投与され得るエアロゾル化薬剤を提供するために、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第PCT WO99/16420号に開示されるもの等の噴霧器で投与されてもよい。噴霧器は、当該技術分野において知られており、不要な実験なしに請求される製剤の投与に用いることができる。息で作動する噴霧器、ならびに既に行われた、または今後行われる他の種類の改善を含むものも、本発明の製剤と適合し、その範囲内にあるものとして見なされる。
【0207】
噴霧器は、液体をエアロゾル化し、肺系、例えば、患者の肺への送達を可能にする、液体薬学的製剤にエネルギーを付与する。噴霧器は、例えば、液体薬学的製剤を含有する容器を有するコンテナ等の液体送達系を含む。液体薬学的製剤は、概して、溶液中または液体媒体内に懸濁されるかのいずれかである、活性剤を含む。
【0208】
一般にジェット噴霧器と称される、ある種類の噴霧器において、圧縮ガスは、コンテナの開口部を通して押し出される。圧縮ガスは、液体がノズルを通して吸引されるようにし、吸引された液体を流動期待と混合して、エアロゾル滴を形成する。次に、滴煙を患者の気道に投与する。
【0209】
一般に振動メッシュ噴霧器と称される、別の種類の噴霧器において、機械エネルギー等のエネルギーは、メッシュを振動させる。このメッシュの振動が、液体薬学的製剤をエアロゾル化し、患者の肺に投与されるエアロゾル煙を形成する。
【0210】
代替または追加的に、薬学的製剤は、液体形態であってもよく、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO2004/071368号、ならびにいずれも参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国公開出願第2004/0011358号および第2004/0035413号に記載されるように、噴霧器を使用してエアロゾル化され得る。噴霧器の他の実施例には、Aerogen Ltd.(Galway,Ireland)から入手可能なAeroneb(登録商標)GoまたはAeroneb(登録商標)Pro噴霧器、PARI Respiratory Equipment,Inc.(Midlothian,Va)から入手可能なPARI eFlowおよび他のPARI噴霧器、Lumiscope Company,Inc.(East Brunswick,N.J.)から入手可能なLumiscope(登録商標)噴霧器6600または6610、およびOmron Healthcare,Inc.(Kyoto,Japan)から入手可能なOmron NE−U22が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
振動するメッシュ型の噴霧器、例えば、圧縮ガスを使用せずに滴を形成するもの、例えば、Aeroneb(登録商標)Proは、投与効率および一貫性において予期せぬ改善をもたらすことが分かった。圧縮空気を導入することではなく、振動する穿孔または非穿孔膜を使用することによって、微細滴を生成することにより、エアロゾル化薬学的製剤を流量特性に著しく左右することなく、導入することができる。さらに、生成された滴は、この型の噴霧器を使用する場合、低速で導入され、それによって、滴が望ましくない領域に運ばれる可能性を減少させる。
【0212】
さらに別の型の噴霧器において、超音波が生成され、薬学的製剤を直接振動およびエアロゾル化する。
【0213】
上記のように、本発明は、乾燥粉末吸入器も伴い得る。特定のバージョンの乾燥粉末エアロゾル化装置は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,069,819号および第4,995,385号に記載される。カプセルが吸入方向に直交するように、カプセルを受容するサイズおよび形状のチャンバを有する、別の有用なデバイスは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第3,991,761号に記載される。米国特許第3,991,761号にも記載されるように、穿孔機序は、カプセルの両端を穿孔し得る。別のバージョンにおいて、チャンバは、例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,338,931号および第5,619,985号に記載されるように、空気がカプセルを通って流れるように、カプセルを受容し得る。別のバージョンにおいて、例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,458,135号、第5,785,049号、および第6,257,233号に記載されるように、入口を通って流れる圧縮ガス、または国際公開番号第WO00/72904号および米国特許第4,114,615号に記載されるように、推進剤によって、薬学的組成物のエアロゾル化が達成され得る。これらの型の乾燥粉末吸入器は、一般に、能動乾燥粉末吸入器と称される。
【0214】
他の乾燥粉末吸入器は、Boehringer lngelheim(例えば、Respimat吸入器)、Hovione(例えば、FlowCaps吸入器)、Plastiape(例えば、Osmohaler吸入器)、およびMicroDoseから入手可能なものを含む。本発明は、Alexza,Mountain View,CAから入手可能な凝縮エアロゾルデバイスを利用してもよい。さらに別の有用な吸入器は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO2008/051621号に開示される。
【0215】
本明細書に開示される薬学的製剤は、定量吸入器等のエアロゾル化を介して、患者の肺に投与されてもよい。そのような製剤の使用は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開番号第WO99/16422号に開示されるように、優れた用量再現性および改善された肺沈着を提供しする。MDIは、当該技術分野において知られており、不要な実験なしに、請求される分散の投与に容易に用いられ得る。息で作動するMDIおよび加圧MDI(pMDI)、ならびに既に行われた、または今後行われる他の種類の改善を含むものも、本発明の製剤と適合し、そのようにして、その範囲内であるものと見なされる。
【0216】
DPI、MDI、および噴霧器とともに、本発明の1つまたは複数の実施形態の製剤は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば、国際公開番号第WO99/16421号に開示されるように、液体用量点滴またはLDI技術と併用されてもよいことを理解されたい。液体用量点滴は、肺への直接製剤投与を伴う。LDIに関して、製剤は、好ましくは、部分液体換気または総液体換気と併せて使用される。さらに、本発明の1つまたは複数の実施形態は、治療上有効量の生理学的に許容されるガス(例えば、酸化窒素または酸素)を、投与前、投与中、または投与後に薬学的微粒分散に導入することをさらに含んでもよい。
【0217】
本発明の1つまたは複数の実施形態の薬学的組成物は、通常、向上した放出用量効率を有する。したがって、高容量の薬学的組成物は、多様なエアロゾル化デバイスおよび技術を使用して送達されてもよい。
【0218】
本発明の粒子の放出用量(ED)は、約30%より、例えば、約40%、約50%、約60%、または約70%より多くてもよい。
【0219】
1つまたは複数の実施形態は、キットを対象とする。例えば、キットは、エアロゾル化デバイスおよび容器、例えば、エアロゾル化薬学的抗不整脈薬、例えば、液体または乾燥粉末を含有する単位用量レセプタクルを含み得る。
【0220】
キットは、エアロゾル化デバイスおよびコンテナを含む、バッグ等のパッケージをさらに含んでもよい。
【0221】
上記を考慮して、本発明は、不整脈の急性発作および/または慢性不整脈を治療する方法を伴う。特定の実施形態において、治療は、心房性不整脈の検出後の急性治療を含む。
【0222】
この治療方法は、IVの効果を模倣する脈動薬物動態プロファイルおよび一時薬物動態効果をもたらす。この方法は、心臓に安全かつ有効な高薬物濃度を送達する一方で、体の残りの部分への分布は、治療量以下のレベルに希釈される薬物をもたらす。この方法は、心内注射の次に最短の心臓への送達経路である。これは、「頓服」アプローチ等の自己投与の便宜性を提供するが、IVの有効性および作用の高速発現は提供しない。全身作用のために肺を通して薬物を送達することは新しいことではないが、薬物が心臓を高速で通過するため、心臓に有効ではないと考えられた。本発明に起因するPK/PDモデリングは、薬物曝露が、他の投与経路と比較してはるかに低い用量で、治療効果を得るために十分であることを示す。この方法は、血漿全体の薬物濃度が、経口/IVによって達成される濃度よりもはるかに低いため、薬物−薬物相互作用および副作用を最小限にすることを保証する。
【0223】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証される。これらの実施例は非限定的であり、本発明の範囲を制限しない。特に指定されない限り、実施例に提示されるすべてのパーセンテージ、分数等は、重量別である。
【実施例】
【0224】
実施例1
ベラパミルおよびリドカインを伴う予言的分析モデル
公開された薬物動態および薬力学的モデル(図4)は、冠血中の薬物濃度と所望の冠動脈作用との関係を示す。IV薬物情報は、公開された文献から使用した。HARRISON et al.,「Effect of Single Doses of Inhaled Lignocaine on FEV1 and Bronchial Reactivity in Asthma,」Respir Med.,12:1359−635(Dec 1992)。吸入薬物情報は、肺小分子吸収に関する周知の特性に基づいてシミュレートした。
【0225】
図5は、IVおよび吸入経路を介して投与された薬物の異なる時間の濃度プロファイルを示す。心拍およびリズム制御特性の両方を有し、急性不整脈発作を救済するために使用される場合が多いため、ベラパミルを例示的心臓薬物として選択した(例えば、発作性心室頻拍および発作性心房細動)。
【0226】
図6も、IVおよび吸入経路を介して投与された薬物の異なる時間の濃度プロファイルを示す。リドカインを例示的心臓薬物として選択した。リドカインを用いるこのPK/PDモデリングは、同様の高い実現可能性を示す。
実施例2
誘発型心房細動および上室性心室頻拍症(SVT)を有するイヌの心室応答に対する抗不整脈化合物の気管内(IT)投与の効果
【0227】
目的:
【0228】
誘発型心房細動および上室性心室頻拍症を有する麻酔下のイヌの電気生理学的応答に対する、肺経路を介して投与された場合の一般的な抗不整脈薬物の効果/有効性を評価する。
【0229】
使用される動物モデル
【0230】
心房細動モデル:
【0231】
麻酔/手術調製:麻酔薬を投与するため、静脈カテーテルを末梢血管(すなわち、頭部)に配置した。麻酔導入のために、すべての動物に硫酸モルヒネ(約2mg/kg)およびαクロラロースのボーラス(約100mg/kg)を、静脈カテーテルを通して静脈内投与した。麻酔は、研究が完了するまで(2時間未満)αクロラロース(35〜75mg/kg/時間IV)で維持した。誘導後、動物を気管内挿管し、機械的に呼吸させた(1回換気量200〜300mLで約12呼吸/分)。続いて、頸静脈上の切開によって、ペーシングリードを右心房に導入可能にした。ECGリードIIを形成する経胸腔的電極を配置した。被験/媒体物質送達の場合、気管を通して4Fカテーテルを導入し、小気道に押し込み、静脈カテーテルを末梢血管に配置した(すなわち、頭部)。
【0232】
実験:器具および血行動態安定化に続いて(少なくとも15分間)、フェニルエフリンを連続的に注入して(2μg/kg/分IV)、研究の期間中に全身動脈圧を上昇させ、迷走神経(副交感神経)遠心性活動を高める。この副交感神経作用薬の投与が開始された約5分後に、以下の実験を行った。
【0233】
最初に、右心房を15分間ペーシングし(20V、40Hz、4mgパルス)、続いてペーシングを中断すると、心房細動を引き起こした。ペーシングを停止し、心房細動が観察されてから約3分後に、動物に媒体(約3mL)を気管内(IT)投与し、投与から(観察された場合は)洞律動への回帰までの期間、および/または心拍数を記録した。観察は、最大10分間行った。
【0234】
続いて、上述されるように、15分のペーシング周期を介して、心房細動を再確立した。ペーシングが中断され、心房細動が観察されて3分間安定すると、ボーラス(約3mL)として、気管内カテーテルを通して小気道に直接送達される、媒体または被験物質のうちの1つを動物に投与した。媒体は、単なる水であった。フレカイニドを被験物質として使用する場合、濃度は、フレカイニド15mg/水3mLであった。投与に続いて、投与の中断と、観察された場合は、洞律動への回帰までの期間、および/または心拍数を記録した。観察は、最大10分間行った。全体として、3つの群/被験物質を研究し、最大2匹の動物が各群に割り当てられ(n=2/群)、1つの群には、酢酸フレカイニドを投与し(2〜4mg/kg、FLE)、もう1つの群には、ジルチアゼム(0.25〜0.50mg/kg、DIL)またはドフェチリド(20〜60μg/kg、DOF)を投与し、1匹の動物当り1つの被験物質のみを投与した。実験プロトコルは、図7に要約される。
【0235】
上室性頻拍症モデル:
【0236】
麻酔/手術調製:麻酔薬を投与するため、静脈カテーテルを末梢血管(すなわち、頭部)に配置した。麻酔導入のために、すべての動物にジアゼパム(約0.5mg/kg)およびケタミン(約10mg/kg)の組み合わせを、静脈カテーテルを通して静脈内投与した。麻酔は、研究が完了するまで、ペントバルビタル(5〜15mg/kg/時間)の静脈内注射で維持した。誘導後、動物を気管内挿管し、機械的に呼吸させた(1回換気量200〜300mLで約12呼吸/分)。
【0237】
続いて、頸静脈上の切開によって、ペーシングリードを右心房に導入可能にした。同様に、心房圧モニタリングの場合、固体微圧計(Millar Instruments)を前進させて、動脈(大腿動脈、頸動脈)上の切開を介して、大動脈基部に入れた。ECGリードIIを形成する経胸腔的電極を配置した。被験/媒体物質送達の場合、気管を通して4Fカテーテルを導入し、小気道に押し込み、静脈カテーテルを末梢血管に配置した(すなわち、頭部)。
【0238】
実験:器具/血行動態安定化に続いて(少なくとも15分間)、上質性頻拍症(SVT)を誘発するために、右心房ペーシング(5〜10V、40Hz、2msパルス)を確立し、実験期間を通してSVTを維持した。SVTの発症から約5分後、ECG/動脈圧を継続的に監視しながら、動物に3つの漸増用量(1回に1つ)の被験物質を投与し、各用量は、ボーラス(約3mL)として、気道内カテーテル(IT)を通して、小気道に直接送達された。投与に続いて、心拍数(HR)および心房圧を15分間監視した。
【0239】
続いて(3つのIT用量に対する応答が記録されると)、血行動態が約30分間可能になり、最高被験物質用量に対する心電図/血行動態応答を再評価したが、比較目的で、この用量は、静脈内(IV)送達した。
【0240】
全体として、2つの群/被験物質を研究し、最大2匹の動物が各群に割り当てられ(n=2/群)、1つの群には、エスモロールHCLを投与し(0.5〜1.0mg/kg、ESM)、もう1つの群には、アデノシン(0.25〜1.0mg/kg、ADN)を投与し、1匹の動物当り1つの被験物質のみを投与した。実験プロトコルは、図8に要約される。
【0241】
観察:
【0242】
心房細動:
【0243】
研究した3つの被験物質(フレカイニド、ジルチアゼム、およびドフェチリド)の中で、フレカイニドおよびジルチアゼムは、いずれも心房細動から正常洞律動に急速に転向したが、ドフェチリドは、心拍をわずかに減速させた。
【0244】
媒体:図9は、媒体または被験物質のいずれかの投与に先立って心房細動を起こしているイヌを示す。図10は、不整脈に対する影響を有しない媒体の例を示す。被験物質として同一容量で投与される媒体は、不整脈に対する影響を有しない。
【0245】
フレカイニド:体重1kg当り2〜4mgの間の肺用量で、フレカイニドは、誘発性心房細動を正常洞律動に転向した。大用量の薬物も、心拍数を減速させた。平均心房圧における最小の降下については何も認められなかった。いずれのイヌも、催不整脈等の任意の知られている有害事象を呈しなかった。図11および12を参照されたい。
【0246】
ジルチアゼム:体重1kg当り0.25mgの間の肺用量で、ジルチアゼムは、誘発性心房細動を正常洞律動に転向し、PQを延長させた。心拍数もわずかに減速した。しかしながら、平均心房血圧(MAP)の顕著な降下は見られなかった。図13を参照されたい。
【0247】
ドフェチリド:体重1kg当り10〜40mcgの急騰する肺用量で、ドフェチリドは、心拍数のわずかな減少をもたらした。
【0248】
上室性心室頻拍症(SVT):
【0249】
ジルチアゼム:ジルチアゼムは、肺を介して送達され、IV経路は、すべての態様において比較可能であった。平均心房圧(MAP)は、両症例において、著しく降下し、薬物の用量に直接起因すると考えられた。ジルチアゼムは、PR間隔も延長し、IVまたは肺経路のいずれかによって送達される薬物が、SVTを正常洞律動に訂正する能力を有することを示す。電気生理学的変化のタイミングは、IVと肺との間で比較可能であった。図14および15を参照されたい。
【0250】
エスモロール:高用量のエスモロールは、低用量で第2級AVブロックを産生し、ECG出力においてPR間隔にも作用することが示された。図16〜20を参照されたい。
【0251】
しかしながら、1.0mg/kgの高用量のエスモロールは、同様の電気生理学的作用を生じなかった。肺を介して投与されたエスモロールは、用量のいずれにおいてもMAPの降下をもたらさなかったことは注目に値する。
【0252】
アデノシン:肺を介して投与されたアデノシンは、心臓に対して全く作用しなかった。アデノシンは、異なる種において異なって代謝することが知られ、作用が局所アデノシン投与に起因するか、または感受性が十分でないモデルに起因するかは明らかでない。
【0253】
要約:
【0254】
気管内投与された場合、ジルチアゼム、フレカイニドの明らかな心血管作用、およびエスモロールおよびドフェチリドの推定作用が見られた。これらの薬物は、4つの異なるクラスの化学物質および薬剤を含む。明らかな応答は、アデノシンで認められたが、依然として、より特定の動物モデルにおいて評価する価値があると考えられる。応答は、ジルチアゼム、フレカイニド、およびエスモロールに対する、IV経路の応答、およびすべての被検物質の周知の生理的効果を定量的に模倣した。この動物モデルにおいて、気管経路からの吸収を排除する、アデノシンのいくつかの物理的または物理化学的特性が存在し得る。追加として、単一の小気道への投与は、分散のための表面が何桁も大きい、吸入によって投与される場合と同じ曝露を産生することが期待されない。
【0255】
これらの研究は、心血管機能に対する異なる化学物質の生理的効果を確認する。気管内投与経路は、3つの潜在的な利点を有する。(1)投与点から標的器官である心臓への距離が最短である。(2)希釈が少ないため、高い濃度で標的器官に達することが期待される。(3)投与部位と標的器官との間に代謝するための器官(例えば、肝臓)が存在しないため、代謝(すなわち、第1の通過作用)が減少する。
実施例3
エアロゾルとして投与した場合の抗不整脈薬剤の溶解性および味の事前評価
【0256】
目的:
【0257】
水中の酢酸フレカイニドおよび塩酸ジルチアゼムの溶解性を評価すること、および液体エアロゾルとして投与するためのこれら2つの薬物の味および後味の許容性を評価すること。
【0258】
実験および観察:
【0259】
前製剤研究:
【0260】
ジルチアゼムの溶解性は、室温で90mg/mLより高かった。3.5mg/mLのジルチアゼム水溶液のpHは、6.7であった。50mg/mLで、水溶液中のジルチアゼムは、等張まで約80%であった。
【0261】
フレカイニドの溶解性は、室温で約30mg/mLであった。水中のフレカイニドの2.6mg/mL溶液のpHは、5.0であった。30mg/mLで、水溶液中のフレカイニドは、等張まで約50%であった。
【0262】
以下の溶液強度は、味を評価するために調製した:(1)塩酸ジルチアゼム−50mg/mL蒸留水溶液、および(2)酢酸フレカイニド−30mg/mL蒸留水溶液。溶液は透明であり、目に見える粒子物質はなかった。
【0263】
吸入デバイス:
【0264】
特に自宅および自宅から離れて呼吸治療を必要とする患者のために開発された使いやすいデバイスであるため、Aeroneb(登録商標)GOデバイスを使用した。デバイスは、あらゆる年齢(幼児から成人まで)の患者によって使用することができ、吸入用に意図される溶液をエアロゾル化する。Aeroneb(登録商標)Goは、AC壁コントローラまたはバッテリパックのいずれかで作動し、石鹸および水で洗浄することができる。このデバイスに関するさらなる詳細は、www.aerogen.comで入手することができる。
【0265】
吸入手順:
【0266】
ボランティア:
【0267】
対象の数:2名の健康な男性ボランティア
【0268】
ボランティア−1:年齢48
【0269】
ボランティア−2:年齢63
【0270】
噴霧器試験:
【0271】
噴霧器カップに水を入れ、噴霧器の電源を入れた。噴霧器の電源を入れたときに生成された目に見えるエアロゾル煙は、定質的エアロゾル基準として扱った。
【0272】
酢酸フレカイニド:
【0273】
約1mLの30mg/mL溶液を噴霧器のカップに入れた。噴霧器の電源を入れ、得られるエアロゾルは、水単独で形成されるエアロゾルと同様であるが、密度が低かった。
【0274】
次に、噴霧器を口に入れ、スイッチを入れた。噴霧器を通して深い肺呼吸を行った。約40μl(約1.2mgの酢酸フレカイニド)の試験溶液を吸入した。吸入用量は、錠剤として投与される通常の100mgよりもはるかに少ないため、実際は治療レベル以下であった。酢酸フレカイニドも、15mLアンプル中10mg/mL強度として、欧州においてIV注射として使用可能である。
【0275】
塩酸ジルチアゼム:
【0276】
約1mLの50mg/mL溶液を、噴霧器のカップに注いだ。噴霧器の電源を入れ、得られるエアロゾルは、水単独で形成されるエアロゾルと同様であるが、密度が低かった。
【0277】
次に、噴霧器を口に入れ、スイッチを入れた。噴霧器を通して深い肺呼吸を行った。約40μl(約2mgの塩酸ジルチアゼム)の試験溶液を吸入した。吸入用量は、5mLバイアル中5mg/mLとして米国で市販されているIV注射よりもはるかに少ないため、実際は治療レベル以下であった。
【0278】
結論および観察:
1.可視的エアロゾル特性の試験溶液は、相互に類似するが、水よりも密度が低かった。
2.酢酸フレカイニド:両ボランティアからの味フィードバックは極めて類似していた。
a.味:下の奥でわずかな苦味が感じられた。
b.後味:吸入操作から5分後、後味はほとんどなかった。
3.塩酸ジルチアゼム:水を吸入して、フレカイニド残渣をすべて洗浄した。両ボランティアからの味フィードバックは極めて類似していた。
a.味:下の奥でわずかな苦味が感じられた。
b.後味:吸入操作から5分後、後味はほとんどなかった。
4.他の観察:
a.口、喉、または肺に焼けるような感覚は感じられなかった。
b.目に見える有害事象は観察されなかった。両ボランティアは、投与後60分間安静にした。
【0279】
前述の実施形態および利点は、単なる典型例であり、本発明を限定するものと見なされない。本発明の記述は、例示的であることが意図され、請求項の範囲を限定しない。多くの代替、修正、および変型は、当業者に明らかとなるであろう。
【0280】
ここで本発明について完全に説明したが、当業者であれば、本発明の方法が、広く等しい範囲の条件、製剤、および他のパラメータを用いて、本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱することなく、実行され得ることを理解するであろう。
【0281】
本明細書に引用されるすべての特許および公開は、参照することによりそれら全体が本明細書に完全に組み込まれる。任意の公開の引用は、出願日に先立つその開示に対してであり、そのような公開が先行技術であること、または本発明が、先の発明によってそのような公開に先立つ権利を付与されないことの承認として見なされるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含み、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通って心臓に侵入し、左心房に到達するようにする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、前記投与の開始から2分〜8分の時点でピークに達する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後2.5分で、0.1mg/L〜60mg/Lの範囲である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後30分で、0.1mg/L未満である、請求項2〜4のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記有効量は、心臓の1回のみの通過に対する有効量である、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記投与された少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目投与量の10%〜60%が、冠状静脈洞に到達する、請求項1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
投与された薬学的抗不整脈薬が前記患者の体内に侵入する量は、0.1mg〜200mgの範囲である、請求項1〜7のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
吸入を介して投与された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目量は、腕に静脈内投与された同一の薬学的抗不整脈薬の量以下であり、冠状静脈洞内で同一量を達成する、請求項1〜8のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記投与は、1〜6回の吸入を含む、請求項1〜9のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項1〜10のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項1〜11のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項1〜12のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項1〜13のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項1〜14のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項1〜15のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項1〜16のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項1〜17のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項1〜18のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項1〜19のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、1〜20請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項1〜21のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項1〜22のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項1〜23のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項1〜24のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記心房性不整脈は、頻拍を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記心房性不整脈は、上室性頻拍症を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記心房性不整脈は、発作性上室性頻拍を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記心房性不整脈は、心房細動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記心房性不整脈は、発作性心房細動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記心房性不整脈は、持続性および永久的な心房細動における急性発作を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記心房性不整脈は、心房粗動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記心房性不整脈は、発作性心房粗動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記心房性不整脈は、孤立性心房細動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む液体を投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む粉末を投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む凝縮エアロゾルを投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む組成物を投与することを含み、前記組成物は、凝縮エアロゾルではない、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む溶液を噴霧することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記噴霧は、振動メッシュ噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記噴霧は、ジェット噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記噴霧は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する液滴を形成することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む乾燥粉末を投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記乾燥粉末は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記乾燥粉末は、能動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記乾燥粉末は、受動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、定量吸入器を介して投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記定量吸入器は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を形成する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記定量吸入器は、ヒドロフルオロアルカンおよびクロロフルオロカーボンから選択される担体中に製剤化された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記治療は、心房性不整脈の検出後の急性治療を含む、請求項1〜49のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記患者は、前記投与の開始から10分以内に正常洞律動を有する、請求項1〜50のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項52】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する、方法。
【請求項53】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、前記投与の開始から2分〜8分の時点でピークに達する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後2.5分で、0.1mg/L〜60mg/Lの範囲である、請求項52および53のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項55】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後30分で、0.1mg/L未満である、請求項52〜54のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記有効量は、心臓の1回のみの通過に対する有効量である、請求項52〜55のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記投与された少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目投与量の10%〜60%が冠状静脈洞に到達する、請求項52〜56のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項58】
投与された薬学的抗不整脈薬が前記患者の体内に侵入する量は、0.1mg〜200mgの範囲である、請求項52〜57のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項59】
吸入を介して投与された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目量は、腕に静脈内投与された同一薬学的抗不整脈薬の量以下であり、冠状静脈洞内で同一量を達成する、請求項52〜58のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記投与は、1〜6回の吸入を含む、請求項52〜59のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項52〜60のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項52〜61のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項52〜62のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項52〜63のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項52〜64のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項52〜65のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項52〜66のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項52〜67のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項52〜68のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項52〜69のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項52〜70のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項52〜71のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項52〜72のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項52〜73のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項52〜74のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記心房性不整脈は、頻拍を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記心房性不整脈は、上室性頻拍症を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記心房性不整脈は、発作性上室性頻拍を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記心房性不整脈は、心房細動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記心房性不整脈は、発作性心房細動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記心房性不整脈は、持続性および永久的な心房細動における急性発作を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記心房性不整脈は、心房粗動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記心房性不整脈は、発作性心房粗動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記心房性不整脈は、孤立性心房細動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む液体を投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む粉末を投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む凝縮エアロゾルを投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む組成物を投与することを含み、前記組成物は、凝縮エアロゾルではない、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項89】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む溶液を噴霧することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記噴霧は、振動メッシュ噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記噴霧は、ジェット噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記噴霧は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する液滴を形成することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む乾燥粉末を投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記乾燥粉末は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記乾燥粉末は、能動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記乾燥粉末は、受動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、定量吸入器を介して投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記定量吸入器は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を形成する、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記定量吸入器は、ヒドロフルオロアルカンおよびクロロフルオロカーボンから選択される担体中に製剤化された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記治療は、心房性不整脈の検出後の急性治療を含む、請求項52〜99のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記患者は、前記投与の開始から30分以内に正常洞律動を有する、請求項52〜100のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項102】
前記患者は、前記投与の開始から10分以内に正常洞律動を有する、請求項52〜100のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項103】
心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法であって、
息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することと、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、前記自己診断の2時間以内に吸入によって自己投与することと、を含む、方法。
【請求項104】
前記自己投与は、前記自己診断の1時間以内に起こる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記自己投与は、前記自己診断の30分以内に起こる、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記自己投与は、前記自己診断の15分以内に起こる、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
前記自己投与は、前記患者が、息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの前記少なくとも1つを検出しなくなるまで継続する、請求項103に記載の方法。
【請求項108】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で観察される、方法。
【請求項109】
前記電気生理学的効果は、不整脈から正常洞律動への移行を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記電気生理学的効果は、P波の非存在からP波の存在への移行を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で、前記患者内の不整脈状態から正常洞律動への移行を示す、方法。
【請求項112】
前記モニタは、ホルターモニタを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、前記患者のSF36クオリティオブライフのスコアは、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で改善する、方法。
【請求項114】
単位用量レセプタクルと、
前記単位用量レセプタクル内の組成物であって、
前記冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、組成物と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、単位用量。
【請求項115】
前記組成物は、溶液を含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項116】
前記組成物は、等張から生理学的等張性までの張性を有する溶液を含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項117】
前記組成物は、水溶液を含む、請求項114〜116のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項118】
前記組成物は、非水溶液を含む、請求項114〜116のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項119】
前記組成物は、pH緩衝剤をさらに含む、請求項114〜118のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項120】
前記組成物は、クエン酸、リン酸、フタル酸、および乳酸から選択される、pH緩衝剤をさらに含む、請求項114〜119のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項121】
前記組成物は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬および水で構成される、請求項114に記載の単位用量。
【請求項122】
前記組成物は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、水、およびpH緩衝剤で構成される、請求項114に記載の単位用量。
【請求項123】
前記組成物は、3.5〜8.0のpHを有する、請求項114に記載の単位用量。
【請求項124】
前記薬学的に許容される賦形剤は、ヒドロフルオロアルカンを含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項125】
前記薬学的に許容される賦形剤は、クロロフルオロアルカンを含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項126】
前記組成物は、実質的に保存剤を含まない、請求項114〜125のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項127】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項114〜126のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項128】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項114〜127のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項129】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項114〜128のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項130】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項114〜129のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項131】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項114〜130のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項132】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項114〜131のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項133】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項114〜132のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項134】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項114〜133のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項135】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項114〜134のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項136】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項114〜135のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項137】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項114〜136のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項138】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項114〜137のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項139】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項114〜138のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項140】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項114〜139のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項141】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項114〜140のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項142】
前記レセプタクルは、0.1mg〜200mgの前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、請求項114〜141のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項143】
前記単位用量は、実質的に無味である、請求項114〜142のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項144】
10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含むエアロゾルであって、前記粒子は、
冠状静脈洞内で最小有効量を達成する、腕に静脈内投与される同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、エアロゾル。
【請求項145】
前記粒子は、噴霧される溶液を含む、請求項144に記載のエアロゾル。
【請求項146】
前記粒子は、噴霧される水溶液を含む、請求項144に記載のエアロゾル。
【請求項147】
前記粒子は、pH緩衝剤をさらに含む、請求項144〜146のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項148】
前記粒子は、クエン酸、リン酸、フタル酸、および乳酸から選択されるpH緩衝剤をさらに含む、請求項144〜146のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項149】
前記粒子は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬および水で構成される、請求項144〜146のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項150】
前記粒子は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、水、およびpH緩衝剤で構成される、請求項144〜147のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項151】
前記粒子は、3.5〜8.0の範囲のpHを有する、請求項144に記載のエアロゾル。
【請求項152】
前記粒子は、実質的に保存剤を含まない、請求項144〜151のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項153】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項144〜152のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項154】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項144〜153のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項155】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項144〜154のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項156】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項144〜155のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項157】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項144〜156のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項158】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項144〜157のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項159】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項144〜158のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項160】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項144〜159のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項161】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項144〜160のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項162】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項144〜161のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項163】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項144〜162のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項164】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項144〜163のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項165】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項144〜164のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項166】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項144〜165のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項167】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項144〜166のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項168】
前記エアロゾルは、実質的に無味である、請求項144〜167のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項169】
少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含有する容器と、
エアロゾル化デバイスと、を含む、キット。
【請求項170】
前記エアロゾル化デバイスは、噴霧器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項171】
前記エアロゾル化デバイスは、振動メッシュ噴霧器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項172】
前記エアロゾル化デバイスは、ジェット噴霧器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項173】
前記エアロゾル化デバイスは、乾燥粉末吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項174】
前記エアロゾル化デバイスは、能動乾燥粉末吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項175】
前記エアロゾル化デバイスは、受動乾燥粉末吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項176】
前記エアロゾル化デバイスは、定量吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項177】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、心臓を最小で1回通過するだけで、電気生理学的効果をもたらすのに十分である、請求項1〜113のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項178】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記有効量は、全体血液量によって希釈される場合、治療量以下である、請求項1〜113のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項1】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に投与することを含み、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬が、最初に肺静脈を通って心臓に侵入し、左心房に到達するようにする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、前記投与の開始から2分〜8分の時点でピークに達する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後2.5分で、0.1mg/L〜60mg/Lの範囲である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後30分で、0.1mg/L未満である、請求項2〜4のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記有効量は、心臓の1回のみの通過に対する有効量である、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記投与された少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目投与量の10%〜60%が、冠状静脈洞に到達する、請求項1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
投与された薬学的抗不整脈薬が前記患者の体内に侵入する量は、0.1mg〜200mgの範囲である、請求項1〜7のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
吸入を介して投与された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目量は、腕に静脈内投与された同一の薬学的抗不整脈薬の量以下であり、冠状静脈洞内で同一量を達成する、請求項1〜8のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記投与は、1〜6回の吸入を含む、請求項1〜9のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項1〜10のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項1〜11のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項1〜12のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項1〜13のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項1〜14のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項1〜15のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項1〜16のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項1〜17のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項1〜18のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項1〜19のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、1〜20請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項1〜21のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項1〜22のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項1〜23のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項1〜24のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記心房性不整脈は、頻拍を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記心房性不整脈は、上室性頻拍症を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記心房性不整脈は、発作性上室性頻拍を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記心房性不整脈は、心房細動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記心房性不整脈は、発作性心房細動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記心房性不整脈は、持続性および永久的な心房細動における急性発作を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記心房性不整脈は、心房粗動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記心房性不整脈は、発作性心房粗動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記心房性不整脈は、孤立性心房細動を含む、請求項1〜25のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む液体を投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む粉末を投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む凝縮エアロゾルを投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む組成物を投与することを含み、前記組成物は、凝縮エアロゾルではない、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む溶液を噴霧することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記噴霧は、振動メッシュ噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記噴霧は、ジェット噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記噴霧は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する液滴を形成することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む乾燥粉末を投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記乾燥粉末は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記乾燥粉末は、能動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記乾燥粉末は、受動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、定量吸入器を介して投与することを含む、請求項1〜34のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記定量吸入器は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を形成する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記定量吸入器は、ヒドロフルオロアルカンおよびクロロフルオロカーボンから選択される担体中に製剤化された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記治療は、心房性不整脈の検出後の急性治療を含む、請求項1〜49のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記患者は、前記投与の開始から10分以内に正常洞律動を有する、請求項1〜50のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項52】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で、心臓の冠状静脈洞内でピークに達する、方法。
【請求項53】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、前記投与の開始から2分〜8分の時点でピークに達する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後2.5分で、0.1mg/L〜60mg/Lの範囲である、請求項52および53のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項55】
心臓の冠状静脈洞内の前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記量は、投与の開始後30分で、0.1mg/L未満である、請求項52〜54のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記有効量は、心臓の1回のみの通過に対する有効量である、請求項52〜55のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記投与された少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目投与量の10%〜60%が冠状静脈洞に到達する、請求項52〜56のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項58】
投与された薬学的抗不整脈薬が前記患者の体内に侵入する量は、0.1mg〜200mgの範囲である、請求項52〜57のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項59】
吸入を介して投与された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の名目量は、腕に静脈内投与された同一薬学的抗不整脈薬の量以下であり、冠状静脈洞内で同一量を達成する、請求項52〜58のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記投与は、1〜6回の吸入を含む、請求項52〜59のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項52〜60のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項52〜61のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項52〜62のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項52〜63のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項52〜64のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項52〜65のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項52〜66のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項52〜67のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項52〜68のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項52〜69のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項52〜70のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項52〜71のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項52〜72のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項52〜73のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項52〜74のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記心房性不整脈は、頻拍を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記心房性不整脈は、上室性頻拍症を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記心房性不整脈は、発作性上室性頻拍を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記心房性不整脈は、心房細動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記心房性不整脈は、発作性心房細動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記心房性不整脈は、持続性および永久的な心房細動における急性発作を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記心房性不整脈は、心房粗動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記心房性不整脈は、発作性心房粗動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記心房性不整脈は、孤立性心房細動を含む、請求項52〜75のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む液体を投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む粉末を投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む凝縮エアロゾルを投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む組成物を投与することを含み、前記組成物は、凝縮エアロゾルではない、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項89】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む溶液を噴霧することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記噴霧は、振動メッシュ噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記噴霧は、ジェット噴霧器を用いて噴霧することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記噴霧は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する液滴を形成することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む乾燥粉末を投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記乾燥粉末は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記乾燥粉末は、能動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記乾燥粉末は、受動乾燥粉末吸入器を介して投与される、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記経肺投与は、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、定量吸入器を介して投与することを含む、請求項52〜84のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記定量吸入器は、10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を形成する、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記定量吸入器は、ヒドロフルオロアルカンおよびクロロフルオロカーボンから選択される担体中に製剤化された前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記治療は、心房性不整脈の検出後の急性治療を含む、請求項52〜99のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記患者は、前記投与の開始から30分以内に正常洞律動を有する、請求項52〜100のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項102】
前記患者は、前記投与の開始から10分以内に正常洞律動を有する、請求項52〜100のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項103】
心房性不整脈を自己診断および自己治療する方法であって、
息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの少なくとも1つを検出することによって、心房性不整脈を自己診断することと、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、前記自己診断の2時間以内に吸入によって自己投与することと、を含む、方法。
【請求項104】
前記自己投与は、前記自己診断の1時間以内に起こる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記自己投与は、前記自己診断の30分以内に起こる、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記自己投与は、前記自己診断の15分以内に起こる、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
前記自己投与は、前記患者が、息切れ、心臓動悸、および正常値を超える心拍数のうちの前記少なくとも1つを検出しなくなるまで継続する、請求項103に記載の方法。
【請求項108】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、電気生理学的効果は、心電図検査法を介して、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で観察される、方法。
【請求項109】
前記電気生理学的効果は、不整脈から正常洞律動への移行を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記電気生理学的効果は、P波の非存在からP波の存在への移行を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、不整脈検出アルゴリズムを実装しているモニタからの心臓スコアは、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で、前記患者内の不整脈状態から正常洞律動への移行を示す、方法。
【請求項112】
前記モニタは、ホルターモニタを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
心房性不整脈を治療する方法であって、
有効量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を、それを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、前記患者のSF36クオリティオブライフのスコアは、前記投与の開始から10秒〜30分の時点で改善する、方法。
【請求項114】
単位用量レセプタクルと、
前記単位用量レセプタクル内の組成物であって、
前記冠状静脈洞内で最小有効量を達成するように、腕に静脈内投与された同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬以下の量で、少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、組成物と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、単位用量。
【請求項115】
前記組成物は、溶液を含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項116】
前記組成物は、等張から生理学的等張性までの張性を有する溶液を含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項117】
前記組成物は、水溶液を含む、請求項114〜116のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項118】
前記組成物は、非水溶液を含む、請求項114〜116のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項119】
前記組成物は、pH緩衝剤をさらに含む、請求項114〜118のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項120】
前記組成物は、クエン酸、リン酸、フタル酸、および乳酸から選択される、pH緩衝剤をさらに含む、請求項114〜119のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項121】
前記組成物は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬および水で構成される、請求項114に記載の単位用量。
【請求項122】
前記組成物は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、水、およびpH緩衝剤で構成される、請求項114に記載の単位用量。
【請求項123】
前記組成物は、3.5〜8.0のpHを有する、請求項114に記載の単位用量。
【請求項124】
前記薬学的に許容される賦形剤は、ヒドロフルオロアルカンを含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項125】
前記薬学的に許容される賦形剤は、クロロフルオロアルカンを含む、請求項114に記載の単位用量。
【請求項126】
前記組成物は、実質的に保存剤を含まない、請求項114〜125のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項127】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項114〜126のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項128】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項114〜127のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項129】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項114〜128のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項130】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項114〜129のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項131】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項114〜130のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項132】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項114〜131のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項133】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項114〜132のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項134】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項114〜133のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項135】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項114〜134のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項136】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項114〜135のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項137】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項114〜136のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項138】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項114〜137のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項139】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項114〜138のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項140】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項114〜139のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項141】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項114〜140のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項142】
前記レセプタクルは、0.1mg〜200mgの前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含む、請求項114〜141のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項143】
前記単位用量は、実質的に無味である、請求項114〜142のうちのいずれかに記載の単位用量。
【請求項144】
10μm未満の空気動力学的中央粒子径を有する粒子を含むエアロゾルであって、前記粒子は、
冠状静脈洞内で最小有効量を達成する、腕に静脈内投与される同一の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量以下の量の少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、エアロゾル。
【請求項145】
前記粒子は、噴霧される溶液を含む、請求項144に記載のエアロゾル。
【請求項146】
前記粒子は、噴霧される水溶液を含む、請求項144に記載のエアロゾル。
【請求項147】
前記粒子は、pH緩衝剤をさらに含む、請求項144〜146のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項148】
前記粒子は、クエン酸、リン酸、フタル酸、および乳酸から選択されるpH緩衝剤をさらに含む、請求項144〜146のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項149】
前記粒子は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬および水で構成される、請求項144〜146のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項150】
前記粒子は、本質的に、前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬、水、およびpH緩衝剤で構成される、請求項144〜147のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項151】
前記粒子は、3.5〜8.0の範囲のpHを有する、請求項144に記載のエアロゾル。
【請求項152】
前記粒子は、実質的に保存剤を含まない、請求項144〜151のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項153】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIV、およびクラスV抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項144〜152のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項154】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項144〜153のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項155】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミド、およびジソピラミドから選択される、少なくとも1つのクラスIa抗不整脈薬を含む、請求項144〜154のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項156】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項144〜155のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項157】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジン、およびメキシレチンから選択される、少なくとも1つのクラスIb抗不整脈薬を含む、請求項144〜156のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項158】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項144〜157のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項159】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノン、およびモリシジンから選択される、少なくとも1つのクラスIc抗不整脈薬を含む、請求項144〜158のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項160】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項144〜159のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項161】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、プロパノロール、アセブトロール、ソルタロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、およびアテノロールから選択される、少なくとも1つのクラスII抗不整脈薬を含む、請求項144〜160のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項162】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項144〜161のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項163】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチジド、メタンスルホンアミド、ベルナカラント、およびドフェチリドから選択される、少なくとも1つのクラスIII抗不整脈薬を含む、請求項144〜162のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項164】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項144〜163のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項165】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムから選択される、少なくとも1つのクラスIV抗不整脈薬を含む、請求項144〜164のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項166】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項144〜165のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項167】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される、少なくとも1つのクラスV抗不整脈薬を含む、請求項144〜166のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項168】
前記エアロゾルは、実質的に無味である、請求項144〜167のうちのいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項169】
少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬を含有する容器と、
エアロゾル化デバイスと、を含む、キット。
【請求項170】
前記エアロゾル化デバイスは、噴霧器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項171】
前記エアロゾル化デバイスは、振動メッシュ噴霧器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項172】
前記エアロゾル化デバイスは、ジェット噴霧器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項173】
前記エアロゾル化デバイスは、乾燥粉末吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項174】
前記エアロゾル化デバイスは、能動乾燥粉末吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項175】
前記エアロゾル化デバイスは、受動乾燥粉末吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項176】
前記エアロゾル化デバイスは、定量吸入器を備える、請求項169に記載のキット。
【請求項177】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の量は、心臓を最小で1回通過するだけで、電気生理学的効果をもたらすのに十分である、請求項1〜113のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項178】
前記少なくとも1つの薬学的抗不整脈薬の前記有効量は、全体血液量によって希釈される場合、治療量以下である、請求項1〜113のうちのいずれかに記載の方法。
【図17】
【図18】
【図20】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図18】
【図20】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【公表番号】特表2012−520890(P2012−520890A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500945(P2012−500945)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027740
【国際公開番号】WO2010/107964
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511227266)インカーダ セラピューティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027740
【国際公開番号】WO2010/107964
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511227266)インカーダ セラピューティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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