説明

結像ユニット。露光ヘッド及びその製造方法、カートリッジ、並びに画像形成装置

【課題】発光基板を実装したとき発光部からの光量の変動が抑制された結像ユニットを提供すること。
【解決手段】発光部60Aを有する発光素子アレイ60の発光部60Aからの発光を光入射面71Aから入射すると共に光出射面71Bから出射して予め定められた位置に結像させる結像部71と、発光素子アレイ60と接触し、発光素子アレイ60と結像部71との間に設けられる遮光板であって、発光部60Aからの発光を通過させて結像部71の光入射面71Aに到達させるスリット73Aを有すると共に、発光部60Aと結像部71の光入射面71Aとの光学距離が結像部71の作動距離となる距離で結像部71と離間して保持された遮光板73と、を備える結像ユニット70である。そして、結像ユニット70に発光素子アレイ60を実装した露光ヘッド34である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結像ユニット。露光ヘッド及びその製造方法、カートリッジ、並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真装置等の露光装置において、発光素子を光源とする露光ヘッドが検討されている。
例えば、特許文献1には、「複数の発光素子を実装した基板と、該基板を配設したベースと、該ベースに固定されたカバーと、前記発光素子に対向した位置で、前記カバーに固定されたレンズアレイとを有するLEDプリントヘッドにおいて、ベースは、多角形の金属棒と、前記基板とを樹脂により一体的に成形したものであり、前記金属棒のいずれかの稜線が、前記基板の裏面と対向していることを特徴とするLEDプリントヘッド」が開示されている。
また、特許文献2には、セルフォクスレンズと呼ばれるレンズアレイ屈折率分布型レンズを介して露光を行う露光ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−289843号公報
【特許文献2】特開平11−1018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、遮光板を備えない場合に比べ、発光基板を実装したとき発光部からの光量の変動が抑制された結像ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
発光部を有する発光基板の前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定められた位置に結像させる結像部と、
前記発光基板と接触し、前記発光基板と前記結像部との間に設けるための遮光板であって、前記発光部からの発光を通過させて前記結像部の光入射面に到達させる開口部を有すると共に、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる距離で前記結像部と離間して保持された遮光板と、
を備える結像ユニット。
【0006】
請求項2に係る発明は、
前記結像部と前記遮光板との間に、互いに接触して設けられた透明な層を備える請求項1に記載の結像ユニット。
【0007】
請求項3に係る発明は、
請求項1又は2に記載の結像ユニットと、
発光素子で構成された発光部を有する発光基板であって、前記遮光板と接触して設けられた発光基板と、
を備える露光ヘッド。
【0008】
請求項4に係る発明は、
前記発光素子が、有機電界発光素子である請求項3に記載の露光ヘッド。
【0009】
請求項5に係る発明は、
前記発光素子の発光面積の幅が、前記遮光板の開口部の幅よりも大きい請求項3又は4に記載も露光ヘッド。
【0010】
請求項6に係る発明は、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の露光ヘッドを備え、
画像形成装置に着脱するカートリッジ。
【0011】
請求項7に係る発明は、
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する露光ヘッドであって、請求項3〜5のいずれか1項に記載の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、遮光板を有さない場合に比べ、発光基板を実装したとき発光部からの光量の変動が抑制される結像ユニットを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、結像部の光入射面と遮光板との間に空気層が介在する場合に比べ、発光部からの光量が増加する結像ユニットを提供することである。
請求項3に係る発明によれば、遮光板を有さない結像ユニットを適用した場合に比べ、発光部からの光量の変動が抑制される露光ヘッドを提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、発光素子が有機電界発光素子でない場合に比べ、光量ムラが抑制される露光ヘッドが提供できる。
請求項5に係る発明によれば、発光素子の発光面積の幅が、遮光板の開口部の幅よりも小さい場合に比べ、発光基板の位置ズレによる光量低下が抑制される露光ヘッドを提供することができる。
請求項6、7に係る発明によれば、遮光板を有さない結像ユニットが備えられた露光ヘッドを提供した場合に比べ、発光部からの光量の変動に起因する画像欠陥が抑制されるカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略斜視図である。
【図3】図2のA−A概略断面図である。
【図4】露光ヘッドからの発光が感光体に結像される状態を模式的に示した模式図である。
【図5】第2実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略斜視図である。
【図6】図5のA−A概略断面図である。
【図7】第2実施形態に係る結像ユニットの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0016】
第1実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、各構成部品を収容する筐体11と、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成部14によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置18と、定着装置18によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部(図示省略)と、を備えている。
【0017】
記録媒体収容部12、画像形成部14、搬送部16及び定着装置18は、筐体11に収容されている。
【0018】
画像形成部14は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kと、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト24と、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写する一次転写部材の一例としての一次転写ロール26と、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写部材の一例としての二次転写ロール28と、を備えている。
【0019】
画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、潜像を保持する像保持体の一例として、一方向(図1において時計回り方向)へ回転する感光体30をそれぞれ有している。
【0020】
各感光体30の周囲には、感光体30の回転方向上流側から順に、感光体30の表面を帯電させる帯電装置32と、帯電した感光体30の表面を露光して感光体30の表面に静電潜像を形成する露光装置としての露光ヘッド34と、感光体30の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置36と、トナー画像が中間転写ベルト24に転写された後の感光体30の表面に残留しているトナーを除去する除去装置40と、が設けられている。
【0021】
感光体30、帯電装置32、露光ヘッド34、現像装置36及び除去装置40は、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kに収容されてユニット化されている。画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、筐体11に着脱可能に設けられたプロセスカートリッジとされており、交換可能となっている。
【0022】
なお、感光体30、帯電装置32、露光ヘッド34、現像装置36及び除去装置40の全てがユニット化される必要は無い。例えば、露光ヘッド34を少なくとも備え、これと、その他、例えば感光体30、帯電装置32及び現像装置36の少なくとも1つと、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kに収容されてユニット化されていればよい。
【0023】
中間転写ベルト24は、二次転写ロール28に対向する対向ロール42、駆動ロール44及び支持ロール46によって支持され、感光体30と接触しながら一方向(図1において反時計回り方向)へ循環して移動するようになっている。
【0024】
一次転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで、感光体30に対向している。一次転写ロール26と感光体30との間には、感光体30上のトナー画像が中間転写ベルト24に一次転写される一次転写位置が形成される。この一次転写位置において、一次転写ロール26が感光体30の表面のトナー画像を圧接力と静電力により中間転写ベルト24に転写するようになっている。
【0025】
二次転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで対向ロール42と対向している。二次転写ロール28と対向ロール42との間には、中間転写ベルト24上のトナー画像が記録媒体Pに二次転写される二次転写位置が形成される。この二次転写位置において、二次転写ロール28が中間転写ベルト24の表面のトナー画像を圧接力と静電力により記録媒体Pに転写するようになっている。
【0026】
搬送部16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール50と、送出ロール50によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール対52と、を備えている。
【0027】
定着装置18は、二次転写位置より搬送方向下流側に配置されており、二次転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0028】
二次転写位置より搬送方向下流側であって、定着装置18よりも搬送方向上流側には、定着装置18に記録媒体Pを搬送する搬送部材の一例としての搬送ベルト54が配置されている。
【0029】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置10では、まず記録媒体収容部12から送り出された記録媒体Pが、搬送ロール対52によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0030】
一方、中間転写ベルト24には、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成された各色のトナー画像が重ねられて、カラー画像が形成される。二次転写位置へ送り込まれた記録媒体Pは、中間転写ベルト24上に形成されたカラー画像が転写される。
【0031】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置18へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置18により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、記録媒体排出部(図示省略)へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0032】
なお、画像形成装置の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像形成装置でもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0033】
次に、露光ヘッド34について説明する。
図2は、第1実施形態に係る露光ヘッドを示す斜視図である。図3は、図2のA−A断面図である。
【0034】
各露光ヘッド34は、図2及び図5に示すように、例えば、発光素子アレイ60(発光基板の一例)と、結像ユニット70と、を備えている。
発光素子アレイ60は、例えば、発光素子60Bで構成される発光部60Aと発光素子60Bが実装される実装基板61と、を備える。
一方、結像ユニット70は、結像部71と、発光部60Aからの発光を通過させて結像部71の光入射面71Aに到達させるスリット73A(開口部)を有する遮光板73と、を備える。
【0035】
発光素子アレイ60は、結像ユニット70の遮光板73と接触すると共に、当該遮光板を介して結像部71の光入射面71Aと離間して設けられている。
具体的には、例えば、発光素子アレイ60と結像部71とは、発光部60A(発光素子60B)と結像部71の光入射面71Aとの光学距離が結像部71の作動距離となるように、離間した状態で遮光板73に突き当てられて保持されている。
つまり、遮光板73は、発光素子アレイ60が設けられたとき、発光部60Aと結像部71の光入射面71Aとの光学距離が結像部の作動距離となる距離で結像部と離間して保持されている。
ここで、結像部71の作動距離とは、結像部71に用いるレンズの焦点から結像部の入射面までの距離である。
そして、結像部71では、遮光板73のスリット73Aと通過した発光部60Aからの発光を光入射面71Aから入射すると共に光出射面71Bから出射して予め定められた位置に結像させる、つまり、発光素子60Bからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図4参照)。
【0036】
発光素子アレイ60について説明する。
発光素子アレイ60は、例えば、発光部60A(発光素子60B)から照射される光を実装基板61側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。無論、トップエミッション方式であってもよい。
【0037】
実装基板61は、ボトムエミッション方式の場合、例えば、光透過率50%以上(望ましくは80%)の透明な基板で構成させる。
実装基板61としては、具体的には、例えば、絶縁性基板であって、ガラス基板や樹脂基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート基板(PET基板)、ポリエチレンナフタレート基板(PEN基板)等で構成される。
【0038】
発光部60Aは、例えば、単一の発光素子60Bの群で構成されている。発光素子60Bは、図示しないが、実装基板61の長手方向に沿って線状(直列)又は千鳥状に配置して、発光部60Aを構成している。発光素子60Bの群で構成された発光部60Aは、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
【0039】
発光素子60Bとしては、例えば、有機電界発光素子、LED(Light Emitting Diode)素子等の他の発光素子が挙げられるが、有機電界発光素子が好適である。
有機電界発光素子は、複数の各素子間で高さ方向にバラツキが生じ難いことから、露光ヘッドの光量ムラが抑制される。また、有機電界発光素子は、発光面積の制御が行い易く、例えば後述する発光面積の幅が調整し易いという利点もある。
【0040】
ここで、有機電界発光素子の構成としては、図示しないが、例えば、陽極及び陰極と、陽極及び陰極の間に発光層と、を有する周知の構成が適用され、必要に応じて、電荷輸送層や、電荷注入層等の各機能層を有していてもよい。
なお、発光層を構成する発光材料としては、例えば、キレート型有機金属錯体、多核又は縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、又はオキサジアゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又はポリアセチレン誘導体等が挙げられる。
【0041】
結像ユニット70について説明する。
結像ユニット70は、例えば、結像部71と、遮光板73と、結像部71及び遮光板73を予め定められた距離で離間した状態で保持する保持部材74と、を備える。保持部材74は、例えば、結像部71及び遮光板73の長手方向両端部をそれぞれ保持している。
【0042】
結像部71は、例えば、ロッドレンズ72が複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することがよい。
【0043】
一方、遮光板73は、スリット73Aにより発光部60Aからの発光を通過させて結像部71の光入射面71Aに到達させ、それ以外の領域では発光部60Aからの発光を遮光し、結像部71の光入射面71Aへ到達させない機能を有する。
【0044】
遮光板73として具体的に、例えば、結像ユニット70及び発光素子アレイ60と同様に平面形状(厚み方向から見た形状)が長方形状の板状体からなり、その幅方向(短手方向)の中央部に、長手方向に沿って延びたスリット73Aが設けられて構成されている。
遮光板73を構成する板状体は、光非透過性を持つ部材であれば、特に制限はなく、例えば、黒色着色剤を分散・含有した樹脂板、表面に遮光膜を設けた透明板(例えばガラス板)等が挙げられる。
【0045】
遮光板73には、例えば、発光素子アレイ60の発光部60A(長手方向に直線状に設けられた発光部60A:発光素子60B)がスリット73Aと対向するように発光素子アレイ60(その光照射面)が突き当てられた状態で設けられる。
そして、遮光板73は、例えば、発光素子アレイ60が突き当てられた状態で、その発光部60Aと結像部71の光入射面71Aとの光学距離が結像部71の作動距離となる距離で結像部71と離間するようにして保持部材74により保持されている。
具体的には、例えば、遮光板73(その結像部71との対向面)と結像部71の光入射面71Aとの距離は、遮光板73の厚みと、発光素子アレイ60において発光部60A(厳密には発光点)及び遮光板73の間に介在する層[例えば、実装基板61や、実装基板61と発光部60A(厳密には発光点)との間に介在する層:発光層以外の機能層(例えば電極等)等]の厚みと、の合計で、発光部60Aと結像部71の光入射面71Aとの光学距離が結像部71の作動距離となる距離となるように調整される。
言い換えれば、例えば、遮光板73(その結像部71との対向面)と結像部71の光入射面71Aとの距離は、結像部71の作動距離から、遮光板73の厚みと、発光素子アレイ60において発光部60A(厳密には発光点)及び遮光板73の間に介在する層の厚みと、を差し引いた距離に調整されている。
【0046】
ここで、遮光板73に設けられるスリット73Aは、その幅(遮光板73の短手方向に沿った長さ)が、発光部60Aを構成する発光素子の発光面積の幅(発光素子アレイ60の短手方向に沿った長さ)よりも小さいことがよい。言い換えれば、発光部60Aを構成する発光素子の発光面積の幅は、遮光板73に設けられるスリット73Aの幅よりも大きいことがよい。
【0047】
これにより、結像部71の光入射面71Aに到達する発光部60Aからの発光は、スリット73Aの幅により規定されることから、発光素子アレイ60の位置ズレによる光量低下が抑制される。つまり、発光素子アレイ60を遮光板73に突き当てて、結像ユニット70に実装する際、発光素子アレイ60の実装精度が要求されず、発光素子アレイ60が幅方向に位置ズレを生じたとしても、結像部71の光入射面71Aに到達する光はスリット73Aの幅に規定されるので、実質的にスリット73Aを通過する光量は変動し難くなると考えられ、結果、発光素子アレイ60の位置ズレによる光量低下が抑制される。
なお、発光部60A(発光素子60B)の発光面積とは、発光部60A(発光素子60B)を発光素子アレイ60の厚み方向から見たとき、発光している領域の面積を言う。
【0048】
以上説明した本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光素子アレイ60と、結像ユニット70と、で構成されている。
そして、この結像ユニット70は、結像部71と、遮光板73と、で構成されている。
遮光板73は、発光素子アレイ60(発光基板の一例)と接触し、発光素子アレイ60と結像部71との間に設けられる遮光板であって、発光部60Aからの発光を通過させて結像部71の光入射面に到達させるスリット73A(開口部の一例)を有すると共に、発光部60Aと結像部71の光入射面71Aとの光学距離が結像部71の作動距離となる距離で結像部前記と離間して保持されている。
【0049】
したがって、結像ユニット70は、遮光板73により結像部71の作動距離が保持された状態となっていることから、これに発光素子アレイ60を遮光板73に接触して実装(例えば、突き当てて実装)すれば、発光素子アレイ60の発光部60Aと結像部71の光入射面71Aとの光学距離も遮光板73により結像部71の作動距離に保たれた状態となるため、発光素子アレイ60を実装したとき発光部60Aからの光量の変動が抑制される。
【0050】
また、発光素子アレイ60を結像ユニット70に実装する際に、遮光板73が実装時の案内部材として利用されることから(つまり例えば結像部71を遮光板73に突き当てて実装させられることから)、高い実装精度を必要とせず、実装の手間が低減され、実装工程での低コスト化も実現される。
また、得られた露光ヘッド34自体を実装する際にも、結像部71の作動距離が変動し難いので、その実装の手間が低減され、実装工程での低コスト化も実現される。
これは、特に、結像部71として、セルフォックレンズアレイ(SLA)を適用した場合、このSLAは焦点深度が浅く、高い実装精度が要求されることから有効である。
【0051】
加えて、露光ヘッド34を駆動し、その発光素子アレイ60(発光素子60B)が劣化した場合でも、発光素子アレイ60のみの交換で、再び、露光ヘッド34が再生され得る。
【0052】
そして、この結像ユニット70に発光素子アレイ60を実装した露光ヘッド34は、発光部60Aからの光量の変動が抑制され、この露光ヘッド34を備えた画像形成装置(又はカートリッジ)は、発光部からの光量の変動に起因する画像欠陥(例えば、濃度ムラ等)が実現される。
【0053】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る露光ヘッドを示す斜視図である。図6は、図5のB−B断面図である。
【0054】
第2実施形態に係る露光ヘッドは、図5及び図6に示すように、結像ユニット70において、結像部71と遮光板73との間に、互いに接触して設けられた透明な層75(以下、透明層と略記する。)を備えた形態である。
なお、本実施形態では、結像ユニット70は、保持部材74を設けず、透明層75により、結像部71と遮光板73とを離間して保持している。
【0055】
透明層75は、例えば、結像部71と遮光板73との間に、充填されるように、互いに接触して設けられているが、具体的には、具体的には、例えば、遮光板73に対して、その結像部71の対向面に直接積層されると共にスリット73A内部に埋め込まれて設けられる一方で、結像部71に対して、その光入射面71A側の端部を埋め込んで設けられている。
つまり、結像部71と遮光板73との間には、空気層が介在することなく、透明層75が介在した状態(即ち、発光部60Aから結像部71の光入射面71Aまでの間に、空気層が介在することなく、透明層75(本実施形態では透明層75と共に実装基板61)が介在した状態)となっている。
ここで、透明層75が結像部71(その光入射面71A)や遮光板73(その結像部71光入射面71Aの対向面)に接して設けられるとは、接着剤等により設けられることも意味する。
なお、結像部71は透明層75に埋め込まれていなくてもよく、透明層75は遮光板73のスリット内部に埋め込まれていなくてもよい。つまり。透明層75は、単に、結像部71と遮光板73との間に、互いに接触するように介在して設けられていてもよい。
【0056】
透明層75は、光透過率50%以上(望ましくは80%以上)の層で構成されることがよい。透明層75は、例えば、ガラスや、樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、その他光又は熱硬化性樹脂等)で構成されるが、特に、透明層75は、光又は熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等)で構成されることがよい。
【0057】
透明層75は、実装基板61との屈折率が同じ又は近いことがよく、例えば、実装基板61の屈折率差が±0.1以下(望ましくは±0.05以下)となるようにすることがよい。これは、反射による光量損失は界面の屈折率差によって起きるためである。
【0058】
透明層75は、一層に限られず、2層以上の複数設けてもよい。この場合には、隣接する各透明層75同士の屈折率も上記如く同じ又は近いことがよい。
【0059】
次に、第2実施形態に係る結像ユニット70の製造方法について説明する。
図7は、第2実施形態に係る結像ユニットの製造方法を示す工程図である。
【0060】
まず、図7(A)に示すように、遮光板73、結像部71を準備する。
そして、例えば、撮像装置81(例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等)により撮像し、結像部71を観察しながら、結像部71(その光入射面71A)を、遮光板73と間隔を持って対向させる。
この際、遮光板73側上方(結像部71の光入射面71Aとの対向面と結像部71の光入社面との間の領域)を遮光板73の側面側から取り囲む枠体80により、遮光板73を保持する。この枠体80の高さは、想定される結像部71の作動距離よりも高くなるように設ける。
【0061】
次に、図7(B)に示すように、結像部71(その光入射面71A)を遮光板73に対向させた状態で、透明な硬化性樹脂75A(液状の硬化性樹脂)を遮光板73と枠体80とで囲まれる領域に流し入れる。つまり、透明な硬化性樹脂75A(液状の硬化性樹脂)を結像部71(その光入射面71A)と遮光板73(その結像部71の光入射面71Aとの対向面)との間に充填する。但し、遮光板73のスリット73Aは、シート部材(不図示)により、その結像部71の光入射面71Aに対する対向面とは反対側の面における開口縁を覆うようにして塞いでおく。
なお、硬化性樹脂75Aを流し入れる際、気泡が発生しないように行うことがよい。
【0062】
そして、発光部60Aと結像部71(その光入射面71A)との距離を結像部71の作動距離となるように調整する。
具体的には、例えば、撮像装置81により撮像し、その結像部71を通じた結像(結像面)を観察しながら、結像部71を移動させ、結像部71(その光入射面71A)と遮光板73(その結像部71の光入射面71Aとの対向面)との距離を、発光素子アレイ60が実装されたとき、想定される発光部60Aと結像部71(その光入射面71A)との距離が結像部71の作動距離となるように位置決めする。
【0063】
次に、図7(C)に示すように、結像部71を位置決めした状態で、硬化性樹脂75Aを硬化させ、透明層75を形成する。この硬化性樹脂75Aの硬化は、当該樹脂種に応じて熱処理や光処理により行う。
【0064】
ここで、硬化性樹脂75Aの硬化の際に行う熱処理や光処理による遮光板73や結像部71への損傷を考慮することがよい。具体的には、例えば、熱処理であれば130℃以下(望ましくは100℃以下)で、光処理であれば200mJ/cm以下(望ましくは150mJ/cm以下)で、硬化性樹脂75Aの硬化を行うことがよい。
また、硬化性樹脂75Aの硬化処理によって透明層75の屈折率変化することを考慮することがよい。透明層75に屈折率変化があると、結像部71の結像位置が移動して実装精度が悪化することがあるためである。具体的には、例えば、硬化処理時における透明層75の屈折率変化による結像位置の移動量に応じて、硬化性樹脂の硬化前において、結像部71の位置決めを差し引きして行うことがよい。また、屈折率は硬化性樹脂の硬化度合いによって従量的に変化するため、実装精度が最もよいと思われる段階で、硬化性樹脂75Aの硬化処理を止めることも有効である。
【0065】
上記工程を経て、結像部71の光入射面71A側の端部が透明層75に埋め込まれると共に、透明層75の一部が遮光板73のスリット73A内部に埋め込まれ、且つ結像部71の光入射面71Aと遮光板73との間に透明層75が介在した結像ユニット70が得られる。
なお、本実施形態に係る結像ユニット70は、予め形成された透明層75に結像部71を突き当てた状態で周囲を接着剤等で接着して保持したり、接触面を直接接着剤により接着したりして実装して、得てもよい。
【0066】
そして、得られた結像ユニット70に対して、例えば、発光素子アレイ60を遮光板73に突き当てて(密着して)実装することで、簡易に結像部71の作動距離が精度良く調整された露光ヘッド34が得られる。つまり、発光素子アレイ60及び結像部71の実装位置ズレが抑制され、正確に実装された露光ヘッド34が得られる。
【0067】
上記以外の構成は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0068】
以上説明した本実施形態に係る露光ヘッド34では、その結像ユニットにおいて、結像部71(その光入射面71A)と遮光板73(その結像部71の光入射面71Aとの対向面)との間に、互いに接触して透明層75が、空気層を介在することなく、結像部71と発光部60Aとの間に設けられている。
このため、発光部60Aからの光は、空気層を介在することなく、透明層75(本実施形態では透明層75と共に実装基板61)を透過し、結像部71の光入射面71Aに入射する。そして、発光部60Aからの光は、空気層との屈性率差(例えば実装基板61と空気層との屈折率差、及び空気層と結像部71との屈折率差)に起因して生じる反射による光量損失が低減され、光利用効率が向上すると考えられる。その結果、本実施形態に係る露光ヘッド34では、光量が増加する。
これは、特に、結像部71として、セルフォックレンズアレイ(SLA)を適用した場合、このSLAが他のレンズに比べ光量損失が大きく光利用効率が低い特性を持つことから有効である。
なお、透明層75の一部を遮光板73のスリット73A内部に埋め込ませず、透明層75を単に遮光板73と結像部71との間に積層した形態の場合、発光部60Aからの光は、厳密にはスリット73A内部における空気層を介在することになるが、透明層75を設けない場合に比べ、光利用効率が向上すると考えられる。
【符号の説明】
【0069】
10 画像形成装置
11 筐体
12 記録媒体収容部
14 画像形成部
16 搬送部
18 定着装置
22k、22Y、22M、22C 画像形成ユニット
24 中間転写ベルト
26 一次転写ロール
28 二次転写ロール
30 感光体
32 帯電装置
34 露光ヘッド
36 現像装置
40 除去装置
42 対向ロール
44 駆動ロール
46 支持ロール
50 送出ロール
52 搬送ロール対
54 搬送ベルト
60 発光素子アレイ
60A 発光部
60B 発光素子
61 実装基板
70 結像ユニット
71 結像部
71A 光入射面
71B 光出射面
72 ロッドレンズ
73 遮光板
73A スリット
74 保持部材
75 透明層
75A 硬化性樹脂
80 枠体
81 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する発光基板の前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定められた位置に結像させる結像部と、
前記発光基板と接触し、前記発光基板と前記結像部との間に設けるための遮光板であって、前記発光部からの発光を通過させて前記結像部の光入射面に到達させる開口部を有すると共に、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる距離で前記結像部と離間して保持された遮光板と、
を備える結像ユニット。
【請求項2】
前記結像部と前記遮光板との間に、互いに接触して設けられた透明な層を備える請求項1に記載の結像ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の結像ユニットと、
発光素子で構成された発光部を有する発光基板であって、前記遮光板と接触して設けられた発光基板と、
を備える露光ヘッド。
【請求項4】
前記発光素子が、有機電界発光素子である請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記発光素子の発光面積の幅が、前記遮光板の開口部の幅よりも大きい請求項3又は4に記載も露光ヘッド。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の露光ヘッドを備え、
画像形成装置に着脱するカートリッジ。
【請求項7】
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する露光ヘッドであって、請求項3〜5のいずれか1項に記載の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−6205(P2012−6205A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143035(P2010−143035)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】