説明

結像レンズ、撮像光学系、及び、顕微鏡

【課題】広い視野を有し、且つその視野範囲内で収差が良好に補正された結像レンズ、それを用いた撮影光学系及び顕微鏡の技術を提供する。
【解決手段】結像レンズ12は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズである。結像レンズ12は、対物レンズ側から順に、接合レンズCL1を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズL5と負レンズL6を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。結像レンズ12は、FLを結像レンズ12の焦点距離とし、D2を対物レンズに最も近い結像レンズ12のレンズ面から対物レンズの射出瞳位置までの距離とするとき、0.3<D2/FL<1.3を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に用いられる結像レンズ、その結像レンズを備えた撮像光学系及び顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡の結像レンズは、対物レンズからの無限遠光束を集光させるためのレンズであり、無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて使用されることにより、標本面上の物体からの光を像面に拡大して投影する。これにより、顕微鏡では、拡大像で物体を観察することができるが、良好な画質の拡大像を得るためには、像面における収差を補正する必要がある。
【0003】
像面における収差を補正する方式としては、対物レンズと結像レンズが個々に収差を補正することで像面における収差を補正するコンペンゼーションフリー方式が知られており、従来から広く用いられている。コンペンゼーションフリー方式に適合したさまざまな結像レンズは、数多く提案されていて、例えば、特許文献1、特許文献2、及び、特許文献3などで開示されている。
【0004】
コンペンゼーションフリー方式では、それぞれ良好に収差が補正された対物レンズと結像レンズを用いることで、良好な画質の拡大像で物体を観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−144932号公報
【特許文献2】特開2003−75720号公報
【特許文献3】特開平4−93911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、顕微鏡の一用途として、バーチャルスライドシステムが注目されている。バーチャルスライドシステムは、病理標本を走査しながらある程度の高倍率で撮像し、取得された病理標本の異なる領域の画像(以降、原画像と記す。)をつなぎ合わせて病理標本全体を表示する一枚の大きな画像(以降、バーチャルスライド画像)を生成するシステムであり、生成されたバーチャルスライド画像を病理診断に利用するものである。バーチャルスライドシステムによれば、ネットワークを介した遠隔地での病理診断が可能となるため、診断件数の増加や病理医の偏在といった課題に対する有効な解決策として期待されている。
【0007】
バーチャルスライド画像は、診断の際には、必要に応じて拡大縮小して表示されるため、拡大表示に耐え得る十分な解像力を備える必要がある。従って、病理標本は、ある程度の高倍率で撮像される必要がある。
【0008】
しかしながら、高倍率で撮像するほど、一枚の原画像で撮像される病理標本の領域は小さくなり、バーチャルスライド画像を生成するために必要な原画像の枚数が増加することになる。また、バーチャルスライド画像は原画像をつなぎ合わせて生成されるため、原画像の中心部分と周辺部分との間での画質の変化を抑える必要がある。
【0009】
このため、良好な画質のバーチャルスライド画像を生成する高いスループットのバーチャルスライドシステムを実現するためには、バーチャルスライドシステムに用いられる結像レンズは、広い視野を有し、且つ、その視野範囲内で像面湾曲が良好に補正されている必要がある。
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1から特許文献3に開示される結像レンズを含む従来の結像レンズの多くは、色収差の補正やディストーションの補正、中間鏡筒長の変化への対応などを課題として設計されている。このため、これまでのところ、広視野を有し、且つ、その視野範囲内で像面湾曲(フラットネス)を良好に補正する結像レンズ(例えば、像面における像面湾曲が視野数FN22から30の領域で±0.1mm程度に補正された結像レンズ)は、存在していない。
【0011】
以上のような実情を踏まえて、本発明では、広い視野を有し、且つ、その視野範囲内で収差が良好に補正された結像レンズ、それを用いた撮影光学系及び顕微鏡の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであって、物体側から順に、接合レンズを含む正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正レンズと負レンズを含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群と、を含み、FLを前記結像レンズの焦点距離とし、D2を前記対物レンズに最も近い前記結像レンズのレンズ面から前記対物レンズの射出瞳位置までの距離とするとき、以下の条件式を満たす結像レンズを提供する。
0.3 < D2/FL < 1.3
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の結像レンズにおいて、FLG1を前記第1レンズ群の焦点距離とし、FLG2を前記第2レンズ群の焦点距離とし、D0を前記対物レンズに最も近い前記結像レンズのレンズ面から像面までの距離とし、D1を前記対物レンズに最も近い前記結像レンズのレンズ面から前記像面に最も近い前記結像レンズのレンズ面までの距離とするとき、以下の条件式を満たす結像レンズを提供する。
0.3 < FLG1/FL < 3
−4 < FLG2/FL < −0.15
0.3 < D1/D0 < 0.8
【0014】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様に記載の結像レンズにおいて、前記第1レンズ群は、像側に凹面を向けたレンズを含み、前記第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズを含む結像レンズを提供する。
【0015】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の結像レンズにおいて、RG1を前記第1レンズ群内の像側に凹面を向けた前記レンズの前記凹面の曲率半径とし、RG2を前記第2レンズ群内の物体側に凹面を向けた前記レンズの前記凹面の曲率半径とし、NdG2を前記第2レンズ群内の物体側に凹面を向けた前記レンズのd線に対する屈折率とし、νdG1を前記第1レンズ群内に含まれる正のパワーを有するレンズのアッベ数のうち最も高いアッベ数とするとき、以下の条件式を満たす結像レンズを提供する。
0 < |RG2/RG1| < 3
1.5 < NdG2
70 < νdG1
【0016】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の結像レンズにおいて、NdG3pを前記第3レンズ群に含まれる前記正レンズのd線に対する屈折率とし、νdG3nを前記第3レンズ群に含まれる前記負レンズのアッベ数とするとき、以下の条件式を満たす結像レンズを提供する。
NdG3p > 1.7
νdG3n < 40
【0017】
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つに記載の結像レンズを含む撮像光学系を提供する。
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つに記載の結像レンズを含む顕微鏡を提供する。
【0018】
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載の顕微鏡において、さらに、前記結像レンズの像面に配置された撮像素子を含み、前記撮像素子は、CCDイメージセンサである
顕微鏡を提供する。
【0019】
本発明の第9の態様は、第8の態様に記載の顕微鏡において、さらに、ケーラー照明により物体を照明する照明光学系を含む顕微鏡を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、広い視野を有し、且つ、その視野範囲内で収差が良好に補正された結像レンズ、それを用いた撮影光学系及び顕微鏡の技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る顕微鏡の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例1に係る結像レンズの断面図である。
【図3】図2に例示される結像レンズの収差図である。
【図4】本発明の実施例2に係る結像レンズの断面図である。
【図5】図4に例示される結像レンズの収差図である。
【図6】本発明の実施例3に係る結像レンズの断面図である。
【図7】図6に例示される結像レンズの収差図である。
【図8】本発明の実施例4に係る結像レンズの断面図である。
【図9】図8に例示される結像レンズの収差図である。
【図10】本発明の実施例5に係る結像レンズの断面図である。
【図11】図10に例示される結像レンズの収差図である。
【図12】本発明の実施例6に係る結像レンズの断面図である。
【図13】図12に例示される結像レンズの収差図である。
【図14】本発明の実施例7に係る結像レンズの断面図である。
【図15】図14に例示される結像レンズの収差図である。
【図16】本発明の実施例8に係る結像レンズの断面図である。
【図17】図16に例示される結像レンズの収差図である。
【図18】本発明の実施例9に係る結像レンズの断面図である。
【図19】図18に例示される結像レンズの収差図である。
【図20】本発明の実施例10に係る結像レンズの断面図である。
【図21】図20に例示される結像レンズの収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の各実施例に係る結像レンズを含む顕微鏡の構成について概説する。
図1は、本発明の一実施形態に係る顕微鏡の構成を示す概略図である。図1に例示される顕微鏡100は、照明光を射出する光源1と、ケーラー照明により物体を照明する照明光学系2と、本発明の一実施例に係る結像レンズ9を含む撮像光学系7と、像面10上に配置された撮像素子11と、を含んでいる。撮像素子11としては、例えば、対角線長が30mm程度と大きく、且つ、高精細な画像に対応したピクセル数を有するCCDイメージセンサが用いられる。
【0023】
照明光学系2は、光源1側から順に、コレクタレンズ3と、視野絞りFSと、リレーレンズ4と、開口絞りASと、コンデンサレンズ5と、を含んでいる。視野絞りFSは、撮像対象となる図示しない物体(例えば、病理標本など)が配置された標本面6と光学的に共役な位置近傍に配置されている。開口絞りASは、コンデンサレンズ5の前側焦点位置近傍で、且つ、光源1と光学的に共役な位置近傍に配置されている。
【0024】
撮像光学系7は、標本面6側から順に、良好に収差が補正された無限遠補正型の対物レンズ8と、結像レンズ9と、を含んでいる。結像レンズ9は、広い視野を有し、且つ、その視野範囲内で収差が良好に補正された結像レンズである。なお、結像レンズ9については、後に詳述する。
【0025】
光源1から射出された照明光は、コレクタレンズ3により略平行光束に変換されて、視野絞りFSを通過し、リレーレンズ4に入射する。リレーレンズ4は、照明光をコンデンサレンズ5の前側焦点位置近傍にある開口絞りAS上に集光して光源1の像を形成する。コンデンサレンズ5は、前側焦点位置近傍に形成された光源1の像からの照明光を略平行光束に変換して、標本面6に照射する。
【0026】
標本面6上の物体からの光は、対物レンズ8により略平行光束に変換されて、対物レンズの射出瞳位置PLを通過して結像レンズ9に入射する。そして、結像レンズ9が入射した光を像面10に集光することで、像面10に標本面6上の物体の拡大像が形成される。
【0027】
顕微鏡100によれば、広い視野を有し、且つ、その視野範囲内で収差が良好に補正された撮像光学系7(対物レンズ8、結像レンズ9)と、対角線長が大きく、且つ、高精細な画像に対応した撮像素子11と、を含むにより、広視野を良好な画質で撮像することができる。
【0028】
また、ケーラー照明により照明された標本面6上の物体からの主光線は、光軸と略平行に対物レンズ8に入射するため、対物レンズ8の射出瞳位置PLは対物レンズ8の後側焦点位置に略一致する。本発明の一実施例に係る結像レンズ9は、対物レンズ8の後側焦点位置を通過する主光線を、像面10上の撮像素子11に向けて、光軸と略平行に射出するように設計されている。従って、顕微鏡100によれば、像側で高いテレセントリック性が実現されるため、CCDイメージセンサなどの撮像素子11が有する入射角依存性の影響を抑制することができる。このため、軸外光が入射する周辺部分が過度に暗くなることなく、中心から周辺まで明るい画像を撮像することができる。
【0029】
なお、図1では、透過照明装置(光源1、照明光学系2)を備えた顕微鏡100を例示したが、後述する各実施例に係る結像レンズを含む顕微鏡の構成は、特にこの構成に限られない。落射照明装置を備えた顕微鏡であっても同様の効果を得ることができる。なお、撮像素子の入射角依存性を考慮すると、ケーラー照明を採用した顕微鏡であることが望ましい。
【0030】
次に、本発明の各実施例に係る結像レンズに共通する構成及び作用について説明する。
各実施例に係る結像レンズは、すでに上述したように、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、対物レンズからの無限遠光束を像面に集光して物体の像を形成するように作用する。このため、結像レンズの入射瞳位置、つまり、対物レンズの射出瞳位置は、結像レンズに対して、物体側に位置する。なお、結像レンズは、一般に、結像レンズの入射瞳位置までの距離によって、その性能が大きく変化する特徴を有している。
【0031】
後述する各実施例に係る結像レンズは、いずれも、物体側から順に、接合レンズを含む正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正レンズと負レンズを含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群と、から構成されている。なお、より望ましくは、第1レンズ群は、像側に凹面を向けたレンズを含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズを含んでいる。
【0032】
第1レンズ群は、その正のパワーにより、対物レンズからの平行光束を収斂光束に変換して軸外光線高を下げる役割と、第1レンズ群に含まれる接合レンズにより、球面収差と軸上色収差を補正する役割と、を主に担っている。
【0033】
第2レンズ群は、その負のパワーにより、第1レンズ群からの収斂光束を発散方向に屈折させてその収斂度合いを弱めることで、第3レンズ群に向かって光線高を上げながら、光線を射出する。
【0034】
第3レンズ群は、正レンズと負レンズにより、第1レンズ群及び第2レンズ群で発生した倍率色収差や歪曲収差を補正して、軸上収差と軸外収差のバランスを取る役割と、全体として有する正のパワーにより、像面に光線を集光させる役割と、を主に担っている。なお、軸外主光線は、第3レンズ群で最も高くなる。
【0035】
結像レンズは、レンズ群構成を正−負−正で構成し、第2レンズ群を負のパワーを有するレンズ群とすることで、球面収差、非点収差、コマ収差、及び、ペッツバール和を良好に補正することができる。また、このような構成では、結像レンズの入射瞳位置(対物レンズの射出瞳位置)から結像レンズまでの距離を長くしても像側で高いテレセントリック性を維持することができるため、軸上収差と軸外収差を良好に補正することができる。さらに、像面湾曲と非点収差も補正されるため、中心から周辺まで均質で且つ広視野をカバーした像を像面に形成することができる。
【0036】
なお、結像レンズが第1レンズ群内に像側に凹面を向けたレンズを含む場合、第1レンズ群によって平行光束から変換された収斂光束が像側に向けた凹面へ入射するとき、その収斂光束の入射角度は小さくなる。このため、凹面が有する負のパワーが、第1レンズ群で発生する球面収差、コマ収差及び非点収差を抑えるように作用する。また、凹面が有する負のパワーは、ペッツバール和の低減にも寄与する。
【0037】
また、結像レンズが第2レンズ群内に物体側に凹面を向けたレンズを含む場合、第1レンズ群から射出されて第2レンズ群に入射する収斂光束が物体側に向けた凹面へ入射するとき、その収斂光束の入射角度が大きくなる。このため、凹面が有する負のパワーが、収斂光束に対して強く作用し、第1レンズ群で発生した球面収差、コマ収差及び非点収差と相殺する方向に収差を発生させる。
【0038】
従って、第1レンズ群内に像側に凹面を向けたレンズを含み、且つ、第2レンズ群内に物体側に凹面を向けたレンズを含む結像レンズの構成は、第1レンズ群を介して第2レンズ群から射出された光に生じている球面収差、コマ収差、非点収差量をより少なく抑えることを可能とし、像面湾曲をより良好に補正することができるという点で望ましい。
【0039】
さらに、結像レンズは、下記の条件式(1)を満たすように構成されている。
0.3 < D2/FL < 1.3 ・・・(1)
但し、FLは、結像レンズの焦点距離であり、D2は、対物レンズに最も近い結像レンズのレンズ面から対物レンズの射出瞳位置までの距離である。
【0040】
条件式(1)は、入射瞳位置(対物レンズの射出瞳位置)が結像レンズの物体側に位置する場合に、軸上球面収差と、軸外光線のコマ収差及び非点収差と、を良好に補正するための条件を示している。また、条件式(1)を満たすことで、結像レンズは、射出瞳位置に対して高いテレセントリック性を実現することができるため、結像レンズから射出される光線をCCDイメージセンサなどの撮像素子にとって好適な状態(つまり、光軸と略平行な状態)で射出することができる。
【0041】
条件式(1)で上限値を超えると、入射瞳位置(対物レンズの射出瞳位置)が第1レンズ群から遠くなりすぎる。このため、第1レンズ群に入射する際の軸外の光線高が極端に高くなり、球面収差や軸外光線のコマ収差及び非点収差が大きくなる。また、像側のテレセントリック性も低下する。さらに、結像レンズの外径も大きくなるため、製造性も低下する。一方、下限値を下回ると、入射瞳位置が第1レンズ群に近くなりすぎる。このため、第1レンズ群に入射する際の軸外の光線高が十分に高くならない。従って、軸外のコマ収差及び非点収差が良好に補正することが困難となる。また、像側のテレセントリック性も低下する。
【0042】
以上のように構成することで、結像レンズは、広い視野を有し、且つ、その視野範囲内で収差を良好に補正することができる。
【0043】
また、結像レンズは、下記の条件式を満足することが望ましい。
0.3 < FLG1/FL < 3 ・・・(2)
−4 < FLG2/FL < −0.15 ・・・(3)
0.3 < D1/D0 < 0.8 ・・・(4)
但し、FLG1は、第1レンズ群の焦点距離であり、FLG2は、第2レンズ群の焦点距離である。また、D0は、対物レンズに最も近い結像レンズのレンズ面から像面までの距離であり、D1は、対物レンズに最も近い結像レンズのレンズ面から像面に最も近い結像レンズのレンズ面までの距離である。
【0044】
条件式(2)は、第1レンズ群の焦点距離と全体の焦点距離との関係を規定する式である。条件式(3)は、第2レンズ群の焦点距離と全体の焦点距離との関係を規定する式である。条件式(2)及び条件式(3)を満たすことで、結像レンズの第1レンズ群と第2レンズ群のパワー配分が適正な状態となる。これにより、結像レンズは、結像レンズ全体で球面収差とコマ収差をより良好に補正し、且つ、第2レンズ群の負のパワーによりペッツバール和を低減して像面湾曲をより良好に補正することができる。
【0045】
条件式(2)で上限値を超えると、結像レンズ全体のパワーに対して第1レンズ群のパワーが弱くなりすぎる。このため、第2レンズ群を含む他のレンズ群のパワーも同様に、結像レンズ全体のパワーに対して弱くなる。これにより、ペッツバール和が大きくなり、像面湾曲、コマ収差が悪化する。一方、下限値を下回ると、結像レンズ全体のパワーに対して第1レンズ群のパワーが強くなりすぎる。これにより、他のレンズ群のパワーも同様に、結像レンズ全体のパワーに対して強くなるため、球面収差、コマ収差が悪化する。また、各レンズ群のパワーが強く、偏心敏感度が高いため、わずかなレンズの偏心により諸収差が悪化してしまう。
【0046】
条件式(3)で上限値を超えると、結像レンズ全体のパワーに対して第2レンズ群のパワーが強くなりすぎる。これにより、他のレンズ群のパワーも同様に、結像レンズ全体のパワーに対して強くなるため、球面収差、コマ収差が悪化する。また、各レンズ群のパワーが強く、偏心敏感度が高いため、わずかなレンズの偏心により諸収差が悪化してしまう。一方、下限値を下回ると、結像レンズ全体のパワーに対して第2レンズ群のパワーが弱くなりすぎる。これにより、ペッツバール和が大きくなり、像面湾曲、コマ収差が悪化する。
【0047】
条件式(4)は、対物レンズに最も近い結像レンズのレンズ面(以降、第1面と記す。)から結像位置である像面までの距離と、第1面から像面に最も近い結像レンズのレンズ面(以降、最終面と記す。)までの距離である結像レンズ全長との関係を規定する式である。条件式(4)を満たすことで、結像レンズは、全長を極端に長くすることなく、像面における球面収差、コマ収差及び非点収差を良好に補正し、且つ、像側で高いテレセントリック性を実現することができる。
【0048】
条件式(4)で上限値を超えると、第3レンズ群から結像位置までの距離が短くなりすぎる。このため、結像レンズの像側に配置される、撮像素子、光路分割素子、及び、同焦調整機構などの配置が困難になってしまう。一方、下限値を下回ると、第1レンズ群から第3レンズ群までの距離が短くなりすぎるため、球面収差やコマ収差の補正が困難となる。また、球面収差やコマ収差が補正された場合であっても、各レンズ群のパワーが強くなりすぎるため、レンズ群の偏心敏感度が上昇し、わずかなレンズの偏心により諸収差の悪化が生じてしまう。
【0049】
また、結像レンズは、下記の条件式を満足することが望ましい。
0 < |RG2/RG1| < 3 ・・・(5)
1.5 < NdG2 ・・・(6)
70 < νdG1 ・・・(7)
但し、RG1は、第1レンズ群内の像側に凹面を向けたレンズの凹面の曲率半径であり、RG2は、第2レンズ群内の物体側に凹面を向けたレンズの凹面の曲率半径である。NdG2は、第2レンズ群内の物体側に凹面を向けたレンズのd線に対する屈折率であり、νdG1は、第1レンズ群内に含まれる正のパワーを有するレンズのアッベ数のうち最も高いアッベ数である。なお、第1レンズ群内に像側に向けた凹面が複数ある場合には、RG1は、最も像側の凹面の曲率半径である。
【0050】
条件式(5)は、第1レンズ群内に含まれるレンズの像側に向けた凹面の曲率半径に対する第2レンズ群内に含まれるレンズの物体側に向けた凹面の曲率半径の比を規定する式である。なお、条件式(5)では、第1レンズ群内に像側に凹面を向けたレンズを含み、且つ、第2レンズ群内に物体側に凹面を向けたレンズを含むことが前提となる。条件式(5)を満たすことで、これらのレンズが収差の抑制に効果的に寄与することになるため、第1レンズ群を介して第2レンズ群から射出された光に生じている諸収差量をより少なく抑えることができる。
【0051】
条件式(5)で上限値を超えると、第1レンズ群内に含まれるレンズの像側に向けた凹面の曲率半径が小さくなりすぎるか、または、第2レンズ群内に含まれるレンズの物体側に向けた凹面の曲率半径が大きくなりすぎる。像側に向けた凹面の曲率半径が小さくなりすぎると、第1レンズ群の凹面で生じる負のパワーが強くなりすぎるため、球面収差、コマ収差及び非点収差が悪化してしまう。また、物体側に向けた凹面の曲率半径が大きくなりすぎると、第2レンズ群の負のパワーが弱くなるため、像面湾曲及びコマ収差が悪化してしまう。
【0052】
条件式(6)は、第2レンズ群に含まれる物体側に凹面を向けたレンズのd線の屈折率を規定する式である。条件式(6)を満たすことで、ペッツバール和を抑えて良好に像面湾曲を補正することができるため、結像レンズ全体として、各レンズ群での球面収差、非点収差、コマ収差の発生量を少なくすることが可能となる。条件式(6)で下限値を下回ると、必要なパワーが生じさせるためには、第2レンズ群に含まれるレンズの物体側に向けた凹面の曲率半径を非常に小さくする必要があるため、結像レンズ全体として、球面収差、コマ収差、像面湾曲を良好に補正することが困難となる。
【0053】
条件式(7)は、第1レンズ群内に含まれる正のパワーを有するレンズのアッベ数のうち最も高いアッベ数を規定する式である。条件式(7)を満たすことで、軸上光線高が最も高くなる第1レンズ群で、球面収差及び軸上色収差を良好に補正することができる。条件式(7)で下限値を下回ると、球面収差及び軸上色収差を良好に補正することができない。
【0054】
また、結像レンズは、下記の条件式を満足することが望ましい。
NdG3p > 1.7 ・・・(8)
νdG3n < 40 ・・・(9)
但し、NdG3pは、第3レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率であり、νdG3nは、第3レンズ群に含まれる負レンズのアッベ数である。
【0055】
条件式(8)は、第3レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率を規定する式である。条件式(8)を満たすことで、軸外コマ収差を良好に補正しながら、第2レンズ群の負のパワーにより発生する歪曲収差を第3レンズ群の正のパワーのレンズによって低減させることが可能となる。下限値を下回ると、第3レンズ群に含まれる正レンズのレンズ面の曲率半径が小さくなり、コマ収差または歪曲収差が悪化してしまう。
【0056】
条件式(9)は、第3レンズ群に含まれる負レンズのアッベ数を規定する式である。条件式(9)を満たすことで、最も軸外主光線が高くなる第3レンズ群で、軸外の倍率色収差を良好に補正することができる。上限値を上回ると、倍率色収差を良好に補正することが困難となる。
【0057】
なお、条件式(2)から条件式(9)の任意に組み合わせが、条件式(1)を満たす結像レンズに適用されてもよい。また、各式は、上限値及び下限値のいずれか一方のみで限定しても良い。
【0058】
以下、各実施例に係る結像レンズについて具体的に説明する。
【実施例1】
【0059】
図2は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図2に例示される結像レンズ12は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0060】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、両凸レンズL2と両凹レンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6を含んでいる。
結像レンズ12の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、両凹レンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0061】
以下、本実施例に係る結像レンズ12の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ12の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=145.28mm、FLG2=−82.98mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0062】
本実施例に係る結像レンズ12のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ12
s r d nd vd
1 INF 162
2 40.155 9.67 1.497 81.54
3 -328.499 1
4 88.849 8.63 1.48749 70.23
5 -51.485 8.02 1.51633 64.14
6 31.708 13.631
7 -29.997 4.3 1.65412 39.68
8 -70.859 35.335
9 98.904 7.2 1.741 52.64
10 -109.832 2.084
11 -57.015 5.9 1.72151 29.23
12 -91.13 109.232
13(像面) INF
【0063】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ12の入射瞳位置)の面を示し、面番号s13が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズのレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d12は、結像レンズ12の最終面から像面までの距離を示している。
【0064】
本実施例に係る結像レンズ12は、以下の式(11)から(19)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(11)から(19)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.9 ・・・(11)
FLG1/FL=0.807 ・・・(12)
FLG2/FL=−0.461 ・・・(13)
D1/D0=0.467 ・・・(14)
|RG2/RG1|=0.946 ・・・(15)
NdG2=1.65412 ・・・(16)
νdG1=81.540 ・・・(17)
NdG3p=1.741 ・・・(18)
νdG3n=29.23 ・・・(19)
【0065】
図3は、図2に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図3(a)は球面収差図であり、図3(b)は非点収差図であり、図3(c)は歪曲収差図であり、図3(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ12の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例2】
【0066】
図4は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図4に例示される結像レンズ13は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0067】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL2と像側に凹面を向けたメニスカスレンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と両凹レンズL6とからなる接合レンズCL2を含んでいる。
【0068】
結像レンズ13の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0069】
以下、本実施例に係る結像レンズ13の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ13の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=302.03mm、FLG2=−714.22mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0070】
本実施例に係る結像レンズ13のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ13
s r d nd vd
1 INF 112
2 46.801 7 1.497 81.54
3 335.831 1
4 55.814 9.32 1.48749 70.23
5 97.109 9.3 1.6134 44.27
6 29.264 17.663
7 -27.917 6.5 1.65412 39.68
8 -32.425 31.625
9 80 6.1 1.7859 44.2
10 -109.972 5 1.64769 33.79
11 103.327 106.404
12(像面) INF
【0071】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ13の入射瞳位置)の面を示し、面番号s12が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズのレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d11は、結像レンズ13の最終面から像面までの距離を示している。
【0072】
本実施例に係る結像レンズ13は、以下の式(21)から(29)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(21)から(29)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.622 ・・・(21)
FLG1/FL=1.678 ・・・(22)
FLG2/FL=−3.968 ・・・(23)
D1/D0=0.468 ・・・(24)
|RG2/RG1|=0.954 ・・・(25)
NdG2=1.65412 ・・・(26)
νdG1=81.540 ・・・(27)
NdG3p=1.7859 ・・・(28)
νdG3n=33.79 ・・・(29)
【0073】
図5は、図4に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図5(a)は球面収差図であり、図5(b)は非点収差図であり、図5(c)は歪曲収差図であり、図5(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ13の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例3】
【0074】
図6は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図6に例示される結像レンズ14は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0075】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL1と、両凸レンズL2と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、両凹レンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6とからなる接合レンズCL2を含んでいる。
【0076】
結像レンズ14の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL1を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、両凹レンズL4を含んでいる。
【0077】
以下、本実施例に係る結像レンズ14の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ14の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=64.74mm、FLG2=−34.7mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0078】
本実施例に係る結像レンズ14のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ14
s r d nd vd
1 INF 143
2 45.074 8.75 1.48749 70.23
3 434.785 1
4 121.956 8.65 1.497 81.54
5 -103.036 9.5 1.788 47.37
6 -144.577 13.007
7 -56.522 6.68 1.6134 44.27
8 35.668 41.99
9 82.23 8.86 1.7859 44.2
10 -90.131 5.95 1.74 28.3
11 -1494.184 94.47
12(像面) INF
【0079】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ14の入射瞳位置)の面を示し、面番号s12が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ14のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d11は、結像レンズ14の最終面から像面までの距離を示している。
【0080】
本実施例に係る結像レンズ14は、以下の式(31)から(39)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(31)から(39)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.794 ・・・(31)
FLG1/FL=0.360 ・・・(32)
FLG2/FL=−0.193 ・・・(33)
D1/D0=0.525 ・・・(34)
|RG2/RG1|=0.130 ・・・(35)
NdG2=1.6134 ・・・(36)
νdG1=81.540 ・・・(37)
NdG3p=1.7859 ・・・(38)
νdG3n=28.3 ・・・(39)
【0081】
図7は、図6に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図7(a)は球面収差図であり、図7(b)は非点収差図であり、図7(c)は歪曲収差図であり、図7(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ14の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例4】
【0082】
図8は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図8に例示される結像レンズ15は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0083】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、両凸レンズL2と両凹レンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6とからなる接合レンズCL2を含んでいる。
【0084】
結像レンズ15の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、両凹レンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0085】
以下、本実施例に係る結像レンズ15の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ15の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=130.92mm、FLG2=−89.66mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0086】
本実施例に係る結像レンズ15のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ15
s r d nd vd
1 INF 162
2 116.972 10 1.48749 70.23
3 -118.186 1
4 36.021 9.42 1.497 81.54
5 -192.959 8 1.51633 64.14
6 26.873 9.424
7 -56.018 4.54 1.65412 39.68
8 -1290.068 38.518
9 165.079 6.76 1.7725 49.6
10 -90.99 7.23 1.71736 29.52
11 -237.346 107.572
12(像面) INF
【0087】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ15の入射瞳位置)の面を示し、面番号s12が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ15のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d11は、結像レンズ15の最終面から像面までの距離を示している。
【0088】
本実施例に係る結像レンズ15は、以下の式(41)から(49)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(41)から(49)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.9 ・・・(41)
FLG1/FL=0.727 ・・・(42)
FLG2/FL=−0.498 ・・・(43)
D1/D0=0.469 ・・・(44)
|RG2/RG1|=2.085 ・・・(45)
NdG2=1.65412 ・・・(46)
νdG1=81.540 ・・・(47)
NdG3p=1.7725 ・・・(48)
νdG3n=29.52 ・・・(49)
【0089】
図9は、図8に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図9(a)は球面収差図であり、図9(b)は非点収差図であり、図9(c)は歪曲収差図であり、図9(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ15の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例5】
【0090】
図10は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図10に例示される結像レンズ16は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0091】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、両凸レンズL2と両凹レンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズL5と像側に凹面を向けた平凹レンズL6とからなる接合レンズCL2を含んでいる。
【0092】
結像レンズ16の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、両凹レンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0093】
以下、本実施例に係る結像レンズ16の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ16の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=272.16mm、FLG2=−580.95mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0094】
本実施例に係る結像レンズ16のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ16
s r d nd vd
1 INF 162
2 52.686 9.9 1.48749 70.23
3 -212.258 1
4 65.191 8.9 1.497 81.54
5 -215.971 9.6 1.741 52.64
6 38.465 17.03
7 -25.776 4.9 1.6134 44.27
8 -29.794 35.716
9 77.248 5.8 1.72916 54.68
10 INF 9 1.68893 31.07
11 147.437 97.453
12(像面) INF
【0095】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ16の入射瞳位置)の面を示し、面番号s12が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ16のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d11は、結像レンズ16の最終面から像面までの距離を示している。
【0096】
本実施例に係る結像レンズ16は、以下の式(51)から(59)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(51)から(59)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.9 ・・・(51)
FLG1/FL=1.512 ・・・(52)
FLG2/FL=−3.228 ・・・(53)
D1/D0=0.511 ・・・(54)
|RG2/RG1|=0.670 ・・・(55)
NdG2=1.6134 ・・・(56)
νdG1=81.540 ・・・(57)
NdG3p=1.72916 ・・・(58)
νdG3n=31.07 ・・・(59)
【0097】
図11は、図10に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図11(a)は球面収差図であり、図11(b)は非点収差図であり、図11(c)は歪曲収差図であり、図11(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ16の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例6】
【0098】
図12は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図12に例示される結像レンズ17は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0099】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL1と、両凸レンズL2と両凹レンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、両凹レンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6とからなる接合レンズCL2を含んでいる。
【0100】
結像レンズ17の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、両凹レンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、両凹レンズL4を含んでいる。
【0101】
以下、本実施例に係る結像レンズ17の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ17の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=64.75mm、FLG2=−31.83mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0102】
本実施例に係る結像レンズ17のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ17
s r d nd vd
1 49.775 62 1.497 81.54
2 609.447 8
3 58.344 1 1.497 81.54
4 -94.097 6.28 1.51633 64.14
5 266.824 4.5
6 -139.859 17.412 1.83481 42.71
7 33.611 7.5
8 115.912 53.282 1.8061 40.92
9 -60.321 7 1.78472 25.68
10 -184.927 7.5
11 INF 85.554
12(像面) INF
【0103】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ17の入射瞳位置)の面を示し、面番号s12が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ17のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d11は、結像レンズ17の最終面から像面までの距離を示している。
【0104】
本実施例に係る結像レンズ17は、以下の式(61)から(69)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(61)から(69)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.344 ・・・(61)
FLG1/FL=0.360 ・・・(62)
FLG2/FL=−0.177 ・・・(63)
D1/D0=0.568 ・・・(64)
|RG2/RG1|=0.524 ・・・(65)
NdG2=1.83481 ・・・(66)
νdG1=81.540 ・・・(67)
NdG3p=1.8061 ・・・(68)
νdG3n=25.68 ・・・(69)
【0105】
図13は、図12に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図13(a)は球面収差図であり、図13(b)は非点収差図であり、図13(c)は歪曲収差図であり、図13(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ17の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例7】
【0106】
図14は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図14に例示される結像レンズ18は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0107】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、物体側に凸面を向けた平凸レンズL2と像側に凹面を向けた平凹レンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けた平凹レンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6を含んでいる。
【0108】
結像レンズ18の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、平凹レンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、平凹レンズL4を含んでいる。
【0109】
以下、本実施例に係る結像レンズ18の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ18の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=125.24mm、FLG2=−86.26mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0110】
本実施例に係る結像レンズ18のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ18
s r d nd vd
1 INF 112
2 91.726 5.25 1.43875 94.93
3 -129.825 1
4 28.474 8.95 1.497 81.54
5 INF 6.29 1.51633 64.14
6 21.709 11.967
7 -52.914 4 1.6134 44.27
8 INF 29.782
9 88.05 5 1.741 52.64
10 -306.532 1.656
11 -65.861 4.6 1.74 28.3
12 -88.37 102.586
13(像面) INF
【0111】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ18の入射瞳位置)の面を示し、面番号s13が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ18のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d12は、結像レンズ18の最終面から像面までの距離を示している。
【0112】
本実施例に係る結像レンズ18は、以下の式(71)から(79)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(71)から(79)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.622 ・・・(71)
FLG1/FL=0.696 ・・・(72)
FLG2/FL=−0.479 ・・・(73)
D1/D0=0.434 ・・・(74)
|RG2/RG1|=2.437 ・・・(75)
NdG2=1.6134 ・・・(76)
νdG1=94.93 ・・・(77)
NdG3p=1.741 ・・・(78)
νdG3n=28.3 ・・・(79)
【0113】
図15は、図14に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図15(a)は球面収差図であり、図15(b)は非点収差図であり、図15(c)は歪曲収差図であり、図15(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ18の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例8】
【0114】
図16は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図16に例示される結像レンズ19は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0115】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、物体側に凸面を向けた平凸レンズL2と像側に凹面を向けた平凹レンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6を含んでいる。
【0116】
結像レンズ19の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、平凹レンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0117】
以下、本実施例に係る結像レンズ19の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ19の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=176.93mm、FLG2=−111.63mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0118】
本実施例に係る結像レンズ19のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ19
s r d nd vd
1 INF 212
2 51.743 11 1.56907 71.3
3 -354.9474 1
4 68.456 8.9 1.43875 94.93
5 INF 9.5 1.72916 54.68
6 40.114 15.678
7 -34.85 5 1.6134 44.27
8 -74.841 33.902
9 128.699 8.05 1.741 52.64
10 -91.221 1.275
11 -64.759 4.8 1.72151 29.23
12 -117.308 105.895
13(像面) INF
【0119】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ19の入射瞳位置)の面を示し、面番号s13が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ19のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d12は、結像レンズ19の最終面から像面までの距離を示している。
【0120】
本実施例に係る結像レンズ19は、以下の式(81)から(89)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(81)から(89)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=1.178 ・・・(81)
FLG1/FL=0.983 ・・・(82)
FLG2/FL=−0.620 ・・・(83)
D1/D0=0.483 ・・・(84)
|RG2/RG1|=0.869 ・・・(85)
NdG2=1.6134 ・・・(86)
νdG1=94.93 ・・・(87)
NdG3p=1.741 ・・・(88)
νdG3n=29.23 ・・・(89)
【0121】
図17は、図16に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図17(a)は球面収差図であり、図17(b)は非点収差図であり、図17(c)は歪曲収差図であり、図17(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ19の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例9】
【0122】
図18は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図18に例示される結像レンズ20は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0123】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL2と像側に凹面を向けたメニスカスレンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL5と物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL6を含んでいる。
【0124】
結像レンズ20の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0125】
以下、本実施例に係る結像レンズ20の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ20の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=116.35mm、FLG2=−118.01mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0126】
本実施例に係る結像レンズ20のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ20
s r d nd vd
1 INF 162
2 51.881 10.4 1.497 81.54
3 -187.924 1
4 41.824 9.3 1.497 81.54
5 291.175 10 1.788 47.37
6 33.509 16.745
7 -30.061 9.5 1.53172 48.84
8 -64.037 47.629
9 60.347 8 1.8061 40.92
10 144.524 4.082
11 -94.659 5.5 1.62004 36.26
12 -226.77 42.844
13(像面) INF
【0127】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ20の入射瞳位置)の面を示し、面番号s13が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ20のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d12は、結像レンズ20の最終面から像面までの距離を示している。
【0128】
本実施例に係る結像レンズ20は、以下の式(91)から(99)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(91)から(99)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.9 ・・・(91)
FLG1/FL=0.646 ・・・(92)
FLG2/FL=−0.656 ・・・(93)
D1/D0=0.740 ・・・(94)
|RG2/RG1|=0.897 ・・・(95)
NdG2=1.53172 ・・・(96)
νdG1=81.54 ・・・(97)
NdG3p=1.8061 ・・・(98)
νdG3n=36.26 ・・・(99)
【0129】
図19は、図18に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図19(a)は球面収差図であり、図19(b)は非点収差図であり、図19(c)は歪曲収差図であり、図19(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ20の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【実施例10】
【0130】
図20は、本実施例に係る結像レンズの断面図である。図20に例示される結像レンズ21は、物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであり、物体側から順に、接合レンズCL1(レンズL2、レンズL3)を含む正のパワーを有する第1レンズ群G1と、負のパワーを有する第2レンズ群G2と、正レンズ(レンズL5)と負レンズ(レンズ6)を含む全体で正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を含んでいる。
【0131】
より具体的には、第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸レンズL1と、像側に凹面を向けたメニスカスレンズL2と像側に凹面を向けたメニスカスレンズL3とからなる接合レンズCL1を含んでいる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズL4からなる。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL5と両凹レンズL6とからなる接合レンズCL2を含んでいる。
【0132】
結像レンズ21の第1レンズ群G1は、像側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL3を含み、第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズとして、メニスカスレンズL4を含んでいる。
【0133】
以下、本実施例に係る結像レンズ21の各種データについて記載する。なお、基準波長は、d線(587.56nm)である。
結像レンズ21の焦点距離FLと、第1レンズ群の焦点距離FLG1と、第2レンズ群の焦点距離FLG2と、像側の開口数NAIと、像高IM.Hは、それぞれ以下のとおりである。
FL=180mm、FL1G=118.45mm、FLG2=−112.19mm、
NAI=0.04、IM.H=15mm
【0134】
本実施例に係る結像レンズ21のレンズデータは、以下のとおりである。
結像レンズ21
s r d nd vd
1 INF 112
2 80.335 5.17 1.56907 71.3
3 -174.491 1
4 29.396 9.16 1.48749 70.23
5 84.019 5 1.6134 44.27
6 23.149 11.355
7 -52.159 6.65 1.6134 44.27
8 -225.924 55.132
9 107.512 8.37 1.788 47.37
10 -261.058 5.43 1.74951 35.33
11 441.095 74.96
12(像面) INF
【0135】
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、vdはアッベ数を示す。なお、面番号s1が示す面は、それぞれ対物レンズの射出瞳位置(結像レンズ21の入射瞳位置)の面を示し、面番号s12が示す面は、像面を示している。また、面間隔d1は、面番号s1が示す面から面番号s2が示す面までの距離を示していて、対物レンズに最も近い結像レンズ21のレンズ面である第1面から対物レンズの射出瞳位置までの距離D2である。面間隔d11は、結像レンズ21の最終面から像面までの距離を示している。
【0136】
本実施例に係る結像レンズ21は、以下の式(101)から(109)で示されるように、条件式(1)から(9)を満たしている。なお、式(101)から(109)はそれぞれ条件式(1)から(9)に対応している。
D2/FL=0.622 ・・・(101)
FLG1/FL=0.658 ・・・(102)
FLG2/FL=−0.623 ・・・(103)
D1/D0=0.589 ・・・(104)
|RG2/RG1|=2.253 ・・・(105)
NdG2=1.6134 ・・・(106)
νdG1=71.3 ・・・(107)
NdG3p=1.788 ・・・(108)
νdG3n=35.33 ・・・(109)
【0137】
図21は、図20に例示される結像レンズの収差図であり、物体側から平行光束が入射した場合の像面での収差を示している。図21(a)は球面収差図であり、図21(b)は非点収差図であり、図21(c)は歪曲収差図であり、図21(d)はコマ収差図である。いずれも収差も良好に補正されていることが示されている。なお、図中の “NAI”は結像レンズ21の像側の開口数、“IM.H”は像高(mm)を示している。また、“M”はメリディオナル成分、“S”はサジタル成分を示している。
【符号の説明】
【0138】
1・・・光源
2・・・照明光学系
3・・・コレクタレンズ
4・・・リレーレンズ
5・・・コンデンサレンズ
6・・・標本面
7・・・撮像光学系
8・・・対物レンズ
9、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21・・・結像レンズ
10・・・像面
11・・・撮像素子
100・・・顕微鏡
AS・・・開口絞り
FS・・・視野絞り
PL・・・射出瞳位置
G1・・・第1レンズ群
G2・・・第2レンズ群
G3・・・第3レンズ群
CL1、CL2・・・接合レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の像を拡大する無限遠補正型の対物レンズと組み合わせて用いられる結像レンズであって、物体側から順に、
接合レンズを含む正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正レンズと負レンズを含む、全体で正のパワーを有する第3レンズ群と、を含み、
FLを前記結像レンズの焦点距離とし、D2を前記対物レンズに最も近い前記結像レンズのレンズ面から前記対物レンズの射出瞳位置までの距離とするとき、以下の条件式
0.3 < D2/FL < 1.3
を満たすことを特徴とする結像レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の結像レンズにおいて、
FLG1を前記第1レンズ群の焦点距離とし、FLG2を前記第2レンズ群の焦点距離とし、D0を前記対物レンズに最も近い前記結像レンズのレンズ面から像面までの距離とし、D1を前記対物レンズに最も近い前記結像レンズのレンズ面から前記像面に最も近い前記結像レンズのレンズ面までの距離とするとき、以下の条件式
0.3 < FLG1/FL < 3
−4 < FLG2/FL < −0.15
0.3 < D1/D0 < 0.8
を満たすことを特徴とする結像レンズ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の結像レンズにおいて、
前記第1レンズ群は、像側に凹面を向けたレンズを含み、
前記第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズを含む
ことを特徴とする結像レンズ。
【請求項4】
請求項3に記載の結像レンズにおいて、
RG1を前記第1レンズ群内の像側に凹面を向けた前記レンズの前記凹面の曲率半径とし、RG2を前記第2レンズ群内の物体側に凹面を向けた前記レンズの前記凹面の曲率半径とし、NdG2を前記第2レンズ群内の物体側に凹面を向けた前記レンズのd線に対する屈折率とし、νdG1を前記第1レンズ群内に含まれる正のパワーを有するレンズのアッベ数のうち最も高いアッベ数とするとき、以下の条件式
0 < |RG2/RG1| < 3
1.5 < NdG2
70 < νdG1
を満たすことを特徴とする結像レンズ。
【請求項5】
請求項4に記載の結像レンズにおいて、
NdG3pを前記第3レンズ群に含まれる前記正レンズのd線に対する屈折率とし、νdG3nを前記第3レンズ群に含まれる前記負レンズのアッベ数とするとき、以下の条件式
NdG3p > 1.7
νdG3n < 40
を満たすことを特徴とする結像レンズ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の結像レンズを含むことを特徴とする撮像光学系。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の結像レンズを含むことを特徴とする顕微鏡。
【請求項8】
請求項7に記載の顕微鏡において、さらに、
前記結像レンズの像面に配置された撮像素子を含み、
前記撮像素子は、CCDイメージセンサである
ことを特徴とする顕微鏡。
【請求項9】
請求項8に記載の顕微鏡において、さらに、
ケーラー照明により物体を照明する照明光学系を含む
ことを特徴とする顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−234056(P2012−234056A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102738(P2011−102738)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】