結晶化方法および生物学的利用能
ヒトのための薬物送達システムにおける医薬組成物に好適な、(1−ヒドロキシ−2−イミダ/オール−1−イル−1−ホスホノ−エチル)ホスホン酸の新規形態の調製のインビトロおよびインビボ特性評価。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本願は、2009年7月31日出願の米国特許出願第61/230,222号、2009年12月18日出願の米国特許出願第61/288,036号、2010年2月6日出願の米国特許出願第61/302,110号、2010年3月11日出願の米国特許出願第61/312,879号、2010年3月29日出願の米国特許出願第61/318,503号、および2010年6月29日出願の米国特許出願第61/359,544号(参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を請求するものである。
【0002】
本開示は、低浸透性および難水溶性薬物化合物の新規結晶性形態を生成することにより、そのような薬物の水溶性ならびに浸透性を改良することに関する。新規形態は、それらの共結晶、塩、水和物、溶媒和物、塩の溶媒和物、および混合物を含むが、それらに限定されない。これらの新しい形態のうちの1つ以上を含む、薬物送達システムに好適な調製および医薬組成物のための方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
多くの生物調製分類システム(BCS)クラスIIIまたはIV薬物は、消化(GI)管膜浸透性の欠如により、経口生物学的利用能が乏しい。浸透性、ひいては、そのような薬物の経口生物学的利用能を改良するための異なる戦略が実施されている。例えば、米国特許出願公開第2006/0068010号は、1つ以上のアミノ酸、少なくとも1つの粒間親水性ポリマー、および付加的即放賦形剤との薬物の物理的固体混合物の造粒によって、薬物の浸透性を改良し、ひいては、その生物学的利用能を向上させるための調合方法について説明している。別の出願である、国際公開第2006/02009 A1号は、ビスホスフォネート等の低浸透性薬物の経口生物学的利用能の向上について開示している。すなわち、それらの薬物のうちの1つとして、リセドロン酸を、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)および他の賦形剤等のキレート剤と混合し、経口投薬形態を生成するというものである。さらに別の出願である、国際公開第2007/093226 A1号は、修飾されたアミノ酸(アミノ基とフェニルまたはシクロヘキシルのアシル化あるいはスルホン化)および他の賦形剤との薬物の物理的混合物を生成することによって、イバンドロン酸の生物学的利用能を改良するための方法について説明している。別の出願である、国際公開第2003/007916 A1号は、ビタミンDと経口的に調合され、ビタミンDの即放1時間後に放出される、低浸透性薬物である、アレンドロネートの生物学的利用能を改良するための胃貯留システムについて報告している。国際公開第2006/080780号はさらに、キトサンと薬物の最大で10:1の重量比によって、それを生体適合性カチオンポリマー(すなわち、水溶性キトサン)と混合することによって、低浸透性ビスホスフォネートである、アレンドロネートの浸透性および生物学的利用能を改良するための別の方法について開示しており、結果として得られる混合物は、固体または液体経口投薬形態に調合可能である。薬物材料の浸透性を改良するためのさらなる方法は、米国特許出願公開第2007/014319 A1号に論じられており、そこでは、経口投薬形態は、不活性成分(中鎖脂肪酸のエステルまたは脂溶性ポリエチレングリコールエステルのいずれか)とビスホスホン酸(例えば、ゾレドロン酸)の粉末混合物によって調合される。類似アプローチは、米国特許出願公開第2007/0238707 A1号に開示されており、そこでは、中鎖脂肪酸またはその誘導体(6−20個の炭素原子脂肪酸鎖)が、腸溶性被覆された(enterically coated)カプセル内に、低浸透性薬物(例えば、ゾレドロン酸)と物理的に混合される。
【0004】
(1−ヒドロキシ−2−イミダゾール−1−イル−1−ホスホノ−エチル)ホスホン酸として知られる、ゾレドロン酸は、以下の化学構造によって描写される。
【化1】
ゾレドロン酸は、有効性の観点から、前の世代のものを遥かに上回るものであって、主に、骨粗しょう症、パジェット病、高カルシウム血症の適応症、および骨転移の阻害のために、使用される、第三世代ビスホスフォネートである。Novartisによって最初に開発され、Zometa(登録商標)およびReclast(登録商標)の商標名において、一水和物として市販された。ゾレドロン酸は、カナダにおいて、高カルシウム血症の治療に対して、2000年に初めて承認された。後に、米国において、2001年には、高カルシウム血症、2002年には、固形腫瘍からの多発性骨髄腫および骨転移、2007年には、骨粗しょう症およびパジェット病のための使用に対して承認された。臨床試験もまた、行われ、ネオアジュバントまたはアジュバント癌療法におけるゾレドロン酸の使用について、継続的模索が行われている(Coleman, et al., British J Cancer 2010; 102(7):1099−1105, Gnant, et al., New England J Medicine. 2009, 360(17):679−691 and Davies, et al. J Clinical Oncology, 2010, 28(7s):Abstract 8021)。ゾレドロン酸は、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、および固形腫瘍からの骨転移の高カルシウム血症の場合、15分にわたって、4mgの静脈内(IV)用量として投与される一方、骨粗しょう症およびパジェット病の場合、15分間の5mgのIV用量が使用される。
【0005】
ゾレドロン酸は、水および0.1 N HCl溶液には難溶性であるが、0.1 N NaOHには、易溶性である。ゾレドロン酸は、事実上、種々の有機溶媒には不溶性である。
【0006】
その水溶性、浸透性、およびその後の経口生物学的利用能を改良するために、結晶化および金属塩形成を通して、ゾレドロン酸の新規経口製剤を生成する、多くの努力が成されている。米国特許出願公開第2006/0178439 A1号および世界国際公開第2007/032808号では、結晶性三水和物が、開示されている。ゾレドロン酸の可変水和程度を伴う、7つの水和形態、非晶質形態、3つのモノナトリウム塩、および11個のジナトリウム塩もまた、国際公開第2005/005447 A2号に開示されている。Na+、Mg2+、Zn2+を含む、ゾレドロン酸金属塩は、学術誌Drugs of the Future(Sorbera et al, 25(3), Drugs of the Future, (2000))に報告されている。ゾレドロネート、ゾレドロン酸、またはゾレドロン酸塩は、ゾレドロン酸のイオン形態を表す。Novartisの国際公開第2008/064849 A1号は、2つのCa2+塩、2つのZn2+塩、1つのMg2+塩、ならびに一水和物、三水和物、非晶質形態、および無水形態を含む、付加的金属塩を開示している。
【0007】
ゾレドロン酸に関する米国食品医薬品局(FDA)の新医薬品承認審査概要(SBA)によると、低経口生物学的利用能(約1%)は、一部には、GI管におけるその低浸透性によるものである。また、最も一般的には、カルシウムを伴って、不溶性金属錯体が、腸上部に形成されることも注記されている。ゾレドロン酸はまた、深刻な胃および腸の炎症を引き起こすことが分かっている。
【0008】
ゾレドロン酸の経口生物学的利用能を改良するための前述の試みはすべて、新規固体形態を生成することによって、またはGI管浸透性を向上させた不活性成分と薬物を混合することのいずれかによって、水溶性を改良することに焦点が当てられていた。水溶性の改良は、不溶性ゾレドロン酸カルシウム錯体の形成が阻止される可能性が低いため、ゾレドロン酸の生物学的利用能を改良するのには失敗となっている。一方、低浸透性薬物と不活性浸透性増進剤の粉末混合物は、薬物の生物学的利用能を改良した。異なる粒子サイズおよびサイズ分布を伴う、異なる材料を混合する本アプローチは、低混合/物理的混合物均一性を与え得る。混合物の構成物もまた、輸送の際、または震盪および振動によって、分離し得る。加えて、粉末混合は、混合バッチの均一性を保証するために、厳密なバッチ間の一貫性を要求する。
【0009】
発明者らが知る限りでは、本発明に先立って、単一結晶性構造において、薬物と付加的構成要素(共形成体)の分子錯体を作り出すための意図的分子設計の試みは成されていない。そのような設計の利点は、粉末混合物が、多くの場合、被る、バッチ間混合均一性および粒子分離問題のすべての排除につながる可能性がある。加えて、本発明は、最終固体投薬形態が、一実施形態では、分子錯体の粉末となるように、固体投薬形態(薬物および賦形剤から成る)の製造を簡略化する。
【0010】
加えて、結果として得られる分子錯体は、親薬物、共形成体、またはその物理的混合物と比較して、非常に異なる物理化学的特性を呈する。これらの特性は、溶融点、熱および電気伝導性、水溶性、溶解速度、ならびにGI管膜にわたっての浸透性を含むが、それらに限定されない。浸透性改良は、BCSクラスIIIおよびIV薬物の経口生物学的利用能の向上を与え得る。設計による分子錯体の概念が、ゾレドロン酸等の低浸透性薬物の浸透性およびその後の生物学的利用を改良するために採用されたのは、これが初めてである。しかしながら、浸透性向上の背後にある機構については、完全には理解されていない。
【0011】
経口薬物の使用における増加傾向は、特に、健康管理の全体的コストを削減するという目標を踏まえて、継続している。経口投与される薬物は、癌を含む、種々の治療領域において、益々好ましくなっている。明らかに、経口投薬形態が、その低水溶性および/または低浸透性のために今まで存在しない、IV薬物の経口投薬形態を作り出し、患者のための明確な臨床的利益を提供する機会が存在する。ゾレドロン酸は、IV投与に対してのみ承認されていると事実を考慮し、ゾレドロン酸の経口投薬形態を開発する必要性が存在する。薬学的に容認可能かつ/または承認された共形成体を使用して、ゾレドロン酸と水素結合させることによって、改良された水溶性および/または浸透性を伴う、新規分子錯体(例えば、それらの共結晶、塩、溶媒和物、および混合物)を作り出すことが可能である。これらの新規分子錯体は、ゾレドロン酸のための経口投薬形態の開発において使用され得る。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、改良された水溶性、溶解速度、および/または改良された浸透性、したがって、向上された生物学的利用能を伴う、前述のゾレドロン酸の治療上の有効性を有する、ゾレドロン酸の新しい形態を生成することを対象とする。本開示の一態様は、そのような材料を含有する、共結晶、塩、および溶媒和物(例えば、水和物、および混合された溶媒和物、ならびに塩の溶媒和物)、および混合物を含む、ゾレドロン酸の新規分子錯体を含む。加えて、本開示はさらに、そのような錯体の調製のための方法を含む。
【0013】
本開示はさらに、医薬投薬形態に組み込むために好適なゾレドロン酸の分子錯体の組成物を含む。本開示に関する特異的分子錯体は、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンとのゾレドロン酸の錯体を含むが、それらに限定されない。図面および実施例によって説明されるものを含む、本開示における開示されるゾレドロン酸形態の明白な変形例は、本開示を有する当業者には容易に明白となり、そのような変形例は、本発明の一部とみなされる。
【0014】
本開示はまた、ラットおよびイヌモデルにおける、本発明の方法によって調製された、親(純)ゾレドロン酸および選択されたゾレドロン酸錯体のインビボ研究の結果を含む。ラット血漿およびイヌ血清試料中の薬物濃度とともに、薬物動態(PK)プロファイルもまた、含まれる。
【0015】
開示される技術の前述および他の特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して記載される、以下の発明を実施するための形態からより明白となるであろう。そのような説明は、本発明の例示であって、限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A=ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体)、(B=NaCl)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図2】ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水を含む、錯体のFTIRスペクトルである。
【図3】(C=ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図4】ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体のFTIRスペクトルである。
【図5】のPXRDディフラクトグラムを示す(D=ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体)、(E=L−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)。
【図6】ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図7】(F=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図8】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図9】(H=ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図10】ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図11】(I=ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体)、(J=ニコチンアミド)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図12】ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図13】(K=ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体)、(L=アデニン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図14】ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図15】(M=ゾレドロン酸およびグリシン錯体)、(N=グリシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図16】ゾレドロン酸およびグリシン錯体のFTIRスペクトルである。
【図17】(O=ゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図18】ゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体のFTIRスペクトルである。
【図19】(P=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図20】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図21】(R=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図22】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図23】(R=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図24】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図25】(Q=ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体)、(E=L−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図26】ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図27】IV、経口、および十二指腸内(ID)経路を介して送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の24時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図28】経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図29】ID送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図30】経口強制送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の24時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図31】経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図32】経口送達される、親ゾレドロン酸および選択されたゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図33】IVおよび経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体のイヌ血清PKプロファイルを示す。
【図34】IVおよび経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【図35】IVおよび経口(腸溶性および非腸溶性被覆されたカプセル)送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体のイヌ血清PKプロファイルを示す。
【図36】IVおよび経口(腸溶性および非腸溶性被覆されたカプセル)送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の6時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【図37】腸溶性および非腸溶性被覆された硬質ゼラチンカプセルのイヌPKデータを示す。
【図38】IVおよび経口送達される、ゾレドロン酸錯体の24時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【図39】IVおよび経口送達される、ゾレドロン酸錯体の4時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に、医薬組成物における活性医薬成分(API)は、プロドラッグ、非晶質形態、溶媒和物、水和物、共結晶、塩、および多形体を含む、種々の異なる形態で調製可能である。新規API形態の発見は、医薬生成物の性能特徴を改良する機会を提供し得る。加えて、薬物形態の発見は、目的とする放出プロファイルまたは他の所望の特徴を有する医薬投薬形態を設計するために利用可能な資源の範囲を広げる。
【0018】
標的化可能な特異的特徴は、APIの結晶形態を含む。所与のAPIの結晶形態の改変により、標的分子の物理的特性が変化する。例えば、所与のAPIの種々の多形体は、異なる水溶性を呈し、熱力学的に安定な多形体は、準安定多形体より水溶性が低いと思われる。加えて、医薬多形体は、溶解速度、保存期間、生物学的利用能、形態構造、蒸気圧、密度、色、および圧縮率等の特性が異なる可能性がある。故に、水溶性、溶解速度、生物学的利用能、最高血中濃度、最高血中濃度到達時間、物理化学的安定性、下流処理可能性(例えば、流動性、圧縮率、脆弱度、粒子サイズ操作)、多形体形態多様性の低減、毒性、味、生産コスト、および製造方法に関して、共結晶、塩、溶媒和物、または水和物等の分子錯体を形成することによって、APIの特性を向上させることが望ましい。
【0019】
経口送達される薬物の開発では、多くの場合、増加した水溶性および安定性を含む、改良された特性を保有する、そのような薬物の新規結晶形態を有することが有利である。多くの場合、薬物の溶解速度の加速は、その生物学的利用能を潜在的に増加させるため、望ましい。これはまた、対象に経口投与されると、用量毎ベースにおけるIVまたは他の製剤と比較して、より優れたまたは類似生物学的利用能およびPKプロファイルを達成し得る、ゾレドロン酸の新規形態の開発にも該当する。
【0020】
本発明のゾレドロン酸の共結晶、塩、溶媒和物、および水和物は、ゾレドロン酸の改良された特性を提供し得る。例えば、ゾレドロン酸の新しい形態は、経口送達されるゾレドロン酸の生物学的利用能を改良可能な場合、特に、有利である。いくつかの新規ゾレドロン酸形態が、合成され、特性評価され、および本明細書に開示されている。特に着目すべきは、他のゾレドロン酸の分子錯体と比較して、向上された浸透性を示す、ゾレドロン酸および標準的アミノ酸である。これらの錯体の向上された浸透性の機構は、未だ理解されておらず、本説明に拘束されるわけではないが、不溶性Ca2+ゾレドロン酸塩の形成を抑制し、密着結合を通して、より多くのゾレドロン酸を傍細胞的に吸収させることが可能性として考えられる。これは、向上された浸透性の可能性として考えられる機構であることを強調されたい。
【0021】
ゾレドロン酸:アミノ酸錯体(本発明の2つの実施形態である、ゾレドロン酸:リシン錯体およびゾレドロン酸:グリシン錯体)の概略図が、以下に示される。略図は、錯体の分子構造と、構成物の物理的混合物と異なる、錯体の構成物間の可能性として考えられる相互作用と、を示す。
【化2】
これらは、薬物および標準的アミノ酸共形成体の分子が、高相対湿度(RH)環境において、熱的に応力を加えられた場合でも、その元々の構成物に対して、劣化または崩壊のいかなる兆候も示さなかった、安定した錯体を形成するように相互作用し得る、配列の1つを表す。そのような安定性は、これらの分子錯体における水素結合(四角内に破線で示す)に起因する可能性がある。結晶構造に充填されると、これらの錯体は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって示されるように、その構成物またはその物理的混合物のものに対して、非常に異なる形態構造を有し、したがって、異なる予測し得ない物理化学的特性を保有するであろう。
【0022】
本発明は、約8.1、13.3、21.5、24.6、および25.6±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0023】
本発明は、約11.0、14.6、15.4、19.9、および29.4±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0024】
本発明は、約9.0、14.4、18.1、26.0、および29.6±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0025】
本発明は、約9.1、14.7、18.0、21.2、および26.0±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0026】
本発明は、約8.8、9.7、17.6、23.1、および26.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0027】
本発明は、約13.1、15.2、21.0、23.9、および26.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0028】
本発明は、約13.6、15.9、19.7、27.9、および29.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、アデニン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0029】
本発明は、約10.2、17.8、19.9、22.9、および28.1±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、およびグリシン錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0030】
本発明は、約12.2、13.0、14.1、17.1、および19.3±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0031】
本発明は、約8.3、11.8、12.3、15.8、および20.8±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0032】
本発明は、約9.6、10.7、14.3、21.4、23.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0033】
本発明は、約9.7、10.8、14.4、18.9、21.4±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0034】
本発明は、IV、経口、およびID送達されるゾレドロン酸親化合物対本発明の方法を使用して作り出されたゾレドロン酸の錯体のラット血漿またはイヌ血清濃度レベルおよびPKプロファイルを提供する。
【0035】
故に、第1の態様では、本発明は、例えば、乾燥または溶媒滴粉砕(液体支援粉砕)、単一または混合された溶媒系におけるその溶液の加熱または溶媒蒸発、スラリー懸濁液、超臨界流体、あるいは当業者に周知の他の手法を通して、固体状態において錯化可能な、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンとのゾレドロン酸の錯体を含む。
【0036】
本発明の別の態様は、水:酢酸エチル(1:1v/v)中に両方の化合物を溶解し、溶媒混合物を蒸発させ、結晶性材料を形成することによって、ゾレドロン酸およびニコチンアミド錯体を提供する。
【0037】
本発明の別の態様は、両方の化合物を水中に溶解し、溶媒を蒸発させ、結晶性材料を形成することから、ゾレドロン酸およびグリシン固体錯体を提供する。
【0038】
本発明の別の態様は、ヒトの身体に経口送達可能な医薬製剤に好適な、ゾレドロン酸と、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンの錯体を提供する。医薬製剤は、本発明によるゾレドロン酸の新規分子錯体および少なくとも1つの薬学的に許容される担体(また、当技術分野において、薬学的に許容される賦形剤としても知られる)のうちの少なくとも1つの治療上有効量を含有する。ゾレドロン酸の新規分子錯体は、前述の骨粗しょう症、高カルシウム血症(TIH)、癌誘発性骨転移、パジェット病、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント療法に関連する、疾患状態の治療および/または予防のために治療上有用である。
【0039】
本発明はまた、本発明のゾレドロン酸の新規分子錯体またはそれらを含有する医薬製剤を使用する、治療の方法に関する。本発明の医薬製剤は、本発明によるゾレドロン酸の新規分子錯体を含有する、医薬形態にあってもよい。医薬製剤は、例えば、錠剤、カプセル、液体懸濁液、注射剤、坐薬、局所薬、または経皮薬であってもよい。医薬製剤は、概して、約1%乃至約99重量%の本発明のゾレドロン酸の少なくとも1つの新規分子錯体と、99%乃至1重量%の好適な医薬賦形剤と、を含有する。
【0040】
ゾレドロン酸と、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンの錯体は、そのPXRDパターンおよびFTIRスペクトル別に観察される。
【0041】
本発明の別の態様は、経口および十二指腸内送達される、経口ゾレドロン酸の生物学的利用能に関する、ラットにおけるインビボデータを提供する。
【0042】
本発明の別の態様は、異なる経路(IV、経口、およびID)によって送達される、親化合物のPKプロファイルを提供する。
【0043】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、本発明の方法によって調製される、新規ゾレドロン酸錯体の修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0044】
本発明の別の態様は、錯体中の共形成体と同一、異なる共形成体、またはそれらの混合物であり得る、過剰な少なくとも1種の共形成体のゾレドロン酸錯体への添加を提供する。
【0045】
本発明の別の態様は、過剰共結晶形成体は、標準的アミノ酸から成る、方法を提供する。
【0046】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、過剰共結晶形成体とのゾレドロン酸錯体の修正されたPKプロファイルを提供する。
【0047】
本発明の別の態様は、親化合物と比較して、新規ゾレドロン酸錯体の改良された水溶性を提供する。
【0048】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、過剰共結晶形成体との新規ゾレドロン酸錯体の修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0049】
本発明の別の態様は、IVまたは経口投与される、経口ゾレドロン酸の生物学的利用能に関する、イヌにおけるインビボデータを提供する。
【0050】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、ゼラチンカプセル内で送達される、本発明の方法によって調製された、新規ゾレドロン酸錯体のイヌにおける修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0051】
本発明の別の態様は、親化合物と比較して、腸溶性被覆されたゲルカプセル内で送達さされる、本発明の方法によって調製された、新規ゾレドロン酸錯体のイヌにおける修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0052】
本発明の別の態様は、硬質ゼラチンカプセル内で送達される、本発明の方法によって調製された、過剰共結晶形成体との新規ゾレドロン酸錯体のイヌにおける経口生物学的利用能値の実質的改良を提供する。
【0053】
本発明の別の態様は、腸溶性被覆されたカプセルを通して経口送達される、ゾレドロン酸および新規ゾレドロン酸錯体を介した、イヌにおけるゾレドロン酸に対する経口生物学的利用能値の若干の改良を提供する。
【0054】
本発明の別の態様は、共形成体の過剰物理的混合物との新規ゾレドロン酸錯体を介した、イヌにおけるゾレドロン酸に対する低減された経口生物学的利用能値を提供する。
【0055】
本発明の別の態様は、分子錯体由来ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能が、共形成体なしでの、ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能を上回る、ビスホスホン酸またはその塩と、少なくとも1種の共形成体と、を含む、分子錯体を提供する。ビスホスホン酸は、例えば、ゾレドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸イバンドロン酸、または当技術分野において周知の他のビスホスホン酸であってもよい。
【0056】
本発明の別の態様は、それを必要とする患者に、分子錯体の形態における、治療上有効量のビスホスホン酸を投与することを含む、ビスホスホン酸の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法を提供する。
【0057】
本開示に記載の手法およびアプローチはさらに、当業者によって、その変形例を調製するために使用可能であって、該変形例は、本発明の開示の一部とみなされる。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は、発明の範囲を限定することを意図することなく、本発明を例示する。
【0059】
本開示における全実験において使用される、開示材料としてのゾレドロン酸は、Farmkemi Limited(Wuhan Pharma Chimical Co.)(中国)によって供給され、純度約98%を伴い、水からの再結晶化を介して、さらに精製された。他の純化学薬品(分析グレード)はすべて、Sigma−Aldrichによって供給され、さらなる精製を伴わずに、使用された。
【0060】
ゼラチンカプセルの腸溶性被覆は、AzoPharma(Hollywood、FL、USA)に外注された。精製された水およびアセトン中、Eudragit L100−55の10%w/w被覆溶液と、クエン酸トリエチル、それぞれ、9.09および0.91w/w%を、Vector LDCSパンコーティング機内で使用され、カプセル上に均一被覆層を達成した。十二指腸送達のための被覆均一性および機能性が、75rpmおよび37℃で撹拌された疑似胃液中、2時間溶解によって試験された。全カプセルは、本試験の持続時間の間、閉鎖されたままとした。
固相特性評価
【0061】
結晶性形態を観察するために使用された分析手法は、粉末X線回折(PXRD)およびフーリエ変換赤外分光(FTIR)を含む。そのような分析手法において使用される特定の方法論は、例示としてみなされ、データ収集の文脈に限定されるべきではない。例えば、データを収集するために使用される特定の器具が、変更されてもよく、日常的オペレータエラーまたは較正基準が、変更されてもよく、試料調製方法が、変更されてもよい(例えば、FTIR分析のためのKBrディスクまたはヌジョールマル法の使用)。
【0062】
フーリエ変換FTIR分光法(FTIR):FTIR分析は、固体状態ATR付属品を備えた、Perkin Elmer Spectrum 100 FTIR分光計上で行われた。
【0063】
粉末X線回折(PXRD):全ゾレドロン酸分子錯体生成物は、Cu Kα(λ=1.540562 A)、40kV、40mAを使用して、D−8 Bruker X−ray Powder Diffractometerによって観察された。データは、刻み幅0.05°2θおよびスキャン速度6.17°/分を使用して、室温で、連続スキャンモードにおいて、角度範囲3°乃至40°2θにわたって収集された。
【0064】
実施例1:ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体の調製。
【0065】
200mgのゾレドロン酸を、一晩かけて、1mLの1:1エタノール:水内で、180mgの塩化ナトリウムとともにスラリー状にした。材料を濾過し、漱洗した。粒子状材料を回収し、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図1および図2に対応するPXRDならびにFTIRによって、特性評価した。
【0066】
実施例2:ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体の調製。
【0067】
300mgのゾレドロン酸を、一晩かけて、メタノール中7Nアンモニア内でスラリー状にした。材料を濾過し、漱洗した。粒子状材料を、水中に溶解し、周囲条件で蒸発させ、1週間後、無色プレートを得た。材料を、それぞれ、図3および図4に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0068】
実施例3:ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の調製。
【0069】
200mgのゾレドロン酸および54mgのL−リシンを、一晩かけて、2mLのテトラヒドロフランおよび200μLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図5および図6に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0070】
実施例4:ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0071】
204mgのゾレドロン酸および59mgのDL−リシンを、一晩かけて、2mLのテトラヒドロフランおよび200μLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図7および図8に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0072】
実施例5:ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体の調製。
【0073】
103mgのゾレドロン酸および54mgのDL−リシンを、400μLの水中に溶解し、キャップし、一晩かけて、撹拌した。翌日、0.25mLのエタノールを滴下添加した。バイアルを、スクリューキャップでキャップし、1日後、結晶が表出し、濾過除去した。材料を、その後の分析のために、保存した。材料を、それぞれ、図9および図10に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0074】
実施例6:溶媒滴粉砕による、ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体の調製。
【0075】
99mgのゾレドロン酸を、44mgのニコチンアミドによって粉砕し、40μLの水を、固体混合物に添加した。粉砕後回収された固体を、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図11および図12に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0076】
実施例7:溶液結晶化からのゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体の調製。
【0077】
25mgのゾレドロン酸および138mgのニコチンアミドを、2mLの水:酢酸エチル混合物(1:1v/v)中に溶解した。次いで、数時間、溶液を放置し、溶媒をゆっくり蒸発させた。回収された固体を特性評価すると、実施例7生成物のものと非常に類似するPXRDならびにFTIRパターンが得られた。
【0078】
実施例8:溶媒滴粉砕による、ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体の調製。
【0079】
96mgのゾレドロン酸を、65mgのアデニンによって粉砕し、60μLの水を、固体混合物に添加した。粉砕後回収された固体を、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図13および図14に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0080】
実施例9:水溶液スラリーからのゾレドロン酸、アデニン、および水錯体の調製。
【0081】
99mgのゾレドロン酸および54mgのアデニンを、一晩かけて、2mLの水:エタノール混合物(1:1v/v)内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、特性評価すると、実施例8生成物のものと非常に類似するPXRDならびにFTIRパターンが得られた。
【0082】
実施例10:ゾレドロン酸およびグリシン錯体の調製。
【0083】
178mgのゾレドロン酸および45mgのグリシンを、一晩かけて、2mLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図15および図1に対応する6、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0084】
実施例11:ゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体の調製。
【0085】
1.5gのゾレドロン酸を、一晩かけて、メタノール中7Nアンモニア内でスラリー状にした。材料を濾過し、漱洗した。粒子状材料を、中温で水中に溶解し、周囲条件で蒸発させ、1日後、無色ブロックを得た。材料を、それぞれ、図17および図18に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0086】
実施例12:ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0087】
200mgのゾレドロン酸および102mgのDL−リシンを、一晩かけて、2mLのテトラヒドロフランおよび400μLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図19および図20に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0088】
実施例13:ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0089】
1gのゾレドロン酸および283mgのDL−リシンを、一晩かけて、80mLのテトラヒドロフランおよび8mLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図21および図22に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0090】
実施例14:逆溶媒法による、ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0091】
本錯体はまた、5mLのお湯に1gのゾレドロン酸および283mgのDL−リシンを溶解し、逆溶媒として、40mLのエタノールを添加し、一晩かけて、撹拌させる、逆溶媒法によって、調製可能である。類似PXRDならびにFTIRプロファイルが、それぞれ、図23および24に示されるように、得られた。
【0092】
実施例15:ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の調製。
【0093】
1gのゾレドロン酸および255mgのL−リシンを、60mLのお湯に溶解した。次いで、100mLのエタノールを、逆溶媒として添加した。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図25および図26に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0094】
実施例16:動物PK試験
【0095】
これらの試験は、ゾレドロン酸に対する好適な動物モデルとして、ラットおよびイヌにおいて行われた。これは、両動物が、歴史的に、安全評価およびPKスクリーニング試験で使用されており、適切な規制機関によって推奨されているという事実に起因し得る。加えて、ラットおよびイヌはまた、ゾレドロン酸を含む、ビスホスフォネート薬物の吸収を査定するための適切な種として確立されている。
【0096】
純ゾレドロン酸および本発明における方法によって調製されたゾレドロン酸錯体は、IVまたは経口経路を通して、ラットおよびイヌに送達された。追加の試験として、ラットにおけるID投与およびイヌにおける腸溶性被覆されたカプセルの投与を含んだ。送達された全化合物は、顕著な有害事象または物理的異常を伴うことなく、動物による良好な耐性を示した。
【0097】
試験対象:8週齢オスSprague−Dawleyラット(217−259グラム)を、Hilltop Lab Animals(Scottdale、PA USA)から入手した。外科手術用カテーテル(内頸静脈および十二指腸内)を、試験前に動物に埋め込んだ。Marshall Farms(NY、USA)から入手した、体重(9−12kg)のビーグル犬を、本試験において使用した。外科手術用カテーテル(内頸静脈)を、試験前に埋め込んだ。
【0098】
居住:ラットは、ステンレス鋼ケージ内に個別に収容され、カテーテル露出を防止した。順応(投薬前段階)は、1日間とした。イヌは、既に試験施設(Absorption Systems Inc.、USA)内におり、順応は必要なかった。
【0099】
環境:動物質の環境制御は、18乃至26℃、相対湿度30乃至70%、最低10回の換気/時間、および12時間の明/12時間の暗周期を維持するように設定された。明/暗周期は、試験関連活動のために中断され得た。
【0100】
餌食:ラットの場合、水および認定Rodent Diet #8728C(Harlan Teklad)が提供された。イヌの場合、水および標準的イヌの食餌が、1日に12回(12時間毎)与えられた。
【0101】
絶食:全試験動物は、ゾレドロン酸またはゾレドロン酸錯体のIV、経口、あるいはID投与前、一晩、絶食させた。
【0102】
ラット投薬の経路:ゾレドロン酸およびその錯体製剤は、IV、経口、およびIDを通して投与された。全試験ラットへの投与の用量は、懸濁液中に含有される錯体形態としてではなく、ゾレドロン酸として、測定された。
i.IV投与:IV投与のためのゾレドロン酸の用量は、0.5mg/kgであった。各ラットの用量は、ラット当たりベースで計算された(ロット内の全ラットの平均重量ではなく)。
ii.経口強制投与:固体懸濁液が投与された。各ラットの用量は、ラット当たりベースで計算された(ロット内の全ラットの平均重量ではなく)。固体懸濁液の場合、動物は、5mg/kgのゾレドロン酸またはPEG400の懸濁液中に含有されるゾレドロン酸錯体中5mg/kgのゾレドロン酸を投与された。
iii.十二指腸カニューレ投与:固体懸濁液が投与された。各ラットの用量は、ラット当たりベースで計算された(ロット内の全ラットの平均重量ではなく)。固体懸濁液の場合、動物は、5mg/kgのゾレドロン酸またはPEG400の懸濁液中に含有されるゾレドロン酸錯体中5mg/kgのゾレドロン酸を投与された。
【0103】
イヌ投薬の経路:ゾレドロン酸およびその錯体製剤は、IVおよび経口投与された。全被験イヌに投与された用量は、ゼラチンカプセル内の粉末またはIVのための溶液中に含有される錯体形態としてではなく、各錯体中のゾレドロン酸として測定された。
i.IV投与:各イヌの用量体積が、イヌの平均重量に基づいて調節された。
ii.経口投与:ゾレドロン酸およびそのゾレドロン酸錯体製剤の等量が、イヌの平均重量に基づいて、サイズ0ゼラチンカプセルを通して投与された。
iii.腸溶性被覆されたカプセルによる経口投与:ゾレドロン酸およびそのゾレドロン酸錯体製剤の等量が、イヌの平均重量に基づいて、サイズ0腸溶性被覆されたゼラチンカプセル投与された。
iv.付加的共形成体との分子錯体の経口投与:付加的共形成体とのゾレドロン酸錯体の物理的混合物が、サイズ0ゼラチンカプセルを通して投与された。
【0104】
群:動物の2つの主要群が、試験のために選択された。
群1:4つの亜群(I−IV)から成る、ラットであって、PKプロファイルグラフ上の各データ点の結果は、3匹のラットの血漿中の平均薬物濃度である。
群2:イヌPK試験は、亜群(A、B、C、D、E、およびF)を伴う、3つの群を含み、PKプロファイルグラフ上の各データ点の結果は、5匹のイヌの血清の平均薬物濃度である。
【0105】
群1ラット投薬の詳細
【表1】
IV比較群は、経口群に対して、MAT(平均吸収時間)およびka(吸収速度定数)を計算するために行われた。
【表2】
【表3】
【表4】
【0106】
ラット血液試料収集、取扱、および分析:血液(試料当たり約300μL)試料を、ゾレドロン酸またはその錯体の初期投与後、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、および24時間の8つの時間点において、群I(IV投与)内の3匹の動物のそれぞれからEDTA血漿管内に採取した。4℃で5分間、13,000rpmで遠心分離後、血漿を収集し、直ぐに冷凍し、分析まで-60乃至-80℃で保存した。
【0107】
試料を分析の日に解凍し、LC/MS/MS方法によって分析し、試料中のゾレドロン酸の量を定量化した。
【0108】
群2イヌ投薬の詳細:投薬に先立って、全イヌは、20mL用量のクエン酸(水中24mg/mL)を摂取し、その胃のpHを低下させた。投薬カプセルまたはIV投薬後、全イヌは、漱洗として、追加の6.25mLクエン酸溶液(水中24mg/mL)を摂取した。
【表5】
IV比較群は、経口群のためのMAT(平均吸収時間)およびka(吸収速度定数)を計算するために行われた。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0109】
ゾレドロン酸またはその錯体の初期投与後、血液(試料当たり約2.5mL)を、群A(IV投与):投薬前(0)、2、5、10、15、30、45分、1、1.5、2、4、6、8、24、および48時間の15の時間点において、群B(経口投与):投薬前(0)、5、10、15、30、45分、1、1.5、2、4、6、8、および24時間の13の時間点において、5匹の動物のそれぞれから採取した。血液試料は、抗凝血剤を使用せず載置し、約30分間、室温で放置した。次いで、試料を、4℃の温度で5分間、13,000rpmの速度で遠心分離した。血清を収集し、2つの一定分量に分割し、分析まで冷凍保存した(−80℃)。試料を分析の日に解凍し、LC/MS/MS分析方法を含む、ゾレドロン酸のための分析手順を使用して、処理した。
【0110】
動物PK試験結果
【0111】
ラット試験:第1のラット試験の結果は、表1に要約される。血漿試料中のゾレドロン酸の濃度(ng/mL)は、3匹のラットの分析結果の平均値である。加えて、IV、経口、およびID群のPKプロファイルが、図27に示される。経口およびID群のプロファイルは、図28および29に示される。いくつかのゾレドロン酸錯体は、親ゾレドロン酸と比較して、改良された経口生物学的利用能を有することを示唆する。改良された生物学的利用能を伴う錯体はさらに、過剰共形成体がゾレドロン酸錯体に添加され、次いで、経口強制によって、ラットに投与される、第2のラットPK試験において試験された。本第2の試験の結果は、表2に要約され、そのPKプロファイルは、図30、31、および32に示される。これらの図は、過剰共形成体を伴ういくつかのゾレドロン酸錯体の改良された生物学的利用能を示す。
【0112】
イヌ試験:第1のイヌ試験の結果は、表3に要約される。ゾレドロン酸の濃度(ng/mL)は、5匹のイヌの分析結果の平均値である。IVおよび経口群のPKプロファイルは、48時間PKプロファイルの最初の4時間を表す、図33および34に示される。これらの結果および図34は、全部ではないが、大部分のゾレドロン酸錯体が、経口送達される、親ゾレドロン酸のものと比較して、改良された経口生物学的利用能を達成したことを示唆する。
【0113】
第2のイヌ試験の結果は、表4に要約される。示されるゾレドロン酸の濃度(ng/mL)は、5匹のイヌの分析結果の平均値である。IVおよび経口群のPKプロファイルは、図35および36に示される。図36は、24時間PKプロファイルの最初の6時間を表す。これらの結果および図35は、全部ではないが、大部分のゾレドロン酸錯体が、経口送達される、親ゾレドロン酸のものと比較して、改良された経口生物学的利用能を達成したことを示唆する。具体的には、親薬物のものと比較して、過剰アミノ酸共形成体を伴う新規ゾレドロン酸錯体(Leg11、図37)のゾレドロン酸生物学的利用能において、有意な改良が認められる。結果はまた、非腸溶性被覆されたカプセルと比較して、腸溶性被覆されたカプセルの生物学的利用能における改良が認められたことも示す(図37、Leg7および2、Leg8および3、Leg12および4)が、驚くべきことに、生物学的利用能は、過剰アミノ酸共形成体が、腸溶性被覆されたカプセルに、物理的混合物を形成するために添加されると、有意に改変された(図37、Leg9および10)。この背後にある理由は、完全には理解されていない。
【0114】
結果は、未希釈(すなわち、過剰共形成体を含まない)ゾレドロン酸アミノ酸錯体で充填された、腸溶性被覆されたカプセルからの経口ゾレドロン酸の生物学的利用能に若干の増加が認められたこを示す。したがって、新規ゾレドロン酸錯体との過剰共形成体もまた、腸溶性被覆されたカプセル内で送達されると、生物学的利用能の増加につながることが予測される。驚くべきことに、過剰共形成体が、ゾレドロン酸に添加されると、腸溶性被覆されたカプセルの生物学的利用能は、非腸溶性被覆されたカプセルのものより低くなる。これは、分子錯体および過剰共形成体の物理的粉末混合物が、十二指腸に送達されると、生物学的利用能を低下させる場合があることを示唆する。
【0115】
第3のイヌ試験の分析結果が、5匹のイヌからの平均データを含む、表5に示される。IVおよび経口群のPKプロファイルは、図38および39に示される。図39は、24時間PKプロファイルの最初の4時間を表す。
【表11】
【表12】
【表13−1】
【表13−2】
【表14−1】
【表14−2】
【表15−1】
【表15−2】
【表15−3】
【表16−1】
【表16−2】
【表17】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本願は、2009年7月31日出願の米国特許出願第61/230,222号、2009年12月18日出願の米国特許出願第61/288,036号、2010年2月6日出願の米国特許出願第61/302,110号、2010年3月11日出願の米国特許出願第61/312,879号、2010年3月29日出願の米国特許出願第61/318,503号、および2010年6月29日出願の米国特許出願第61/359,544号(参照により本明細書に組み込まれる)の優先権を請求するものである。
【0002】
本開示は、低浸透性および難水溶性薬物化合物の新規結晶性形態を生成することにより、そのような薬物の水溶性ならびに浸透性を改良することに関する。新規形態は、それらの共結晶、塩、水和物、溶媒和物、塩の溶媒和物、および混合物を含むが、それらに限定されない。これらの新しい形態のうちの1つ以上を含む、薬物送達システムに好適な調製および医薬組成物のための方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
多くの生物調製分類システム(BCS)クラスIIIまたはIV薬物は、消化(GI)管膜浸透性の欠如により、経口生物学的利用能が乏しい。浸透性、ひいては、そのような薬物の経口生物学的利用能を改良するための異なる戦略が実施されている。例えば、米国特許出願公開第2006/0068010号は、1つ以上のアミノ酸、少なくとも1つの粒間親水性ポリマー、および付加的即放賦形剤との薬物の物理的固体混合物の造粒によって、薬物の浸透性を改良し、ひいては、その生物学的利用能を向上させるための調合方法について説明している。別の出願である、国際公開第2006/02009 A1号は、ビスホスフォネート等の低浸透性薬物の経口生物学的利用能の向上について開示している。すなわち、それらの薬物のうちの1つとして、リセドロン酸を、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)および他の賦形剤等のキレート剤と混合し、経口投薬形態を生成するというものである。さらに別の出願である、国際公開第2007/093226 A1号は、修飾されたアミノ酸(アミノ基とフェニルまたはシクロヘキシルのアシル化あるいはスルホン化)および他の賦形剤との薬物の物理的混合物を生成することによって、イバンドロン酸の生物学的利用能を改良するための方法について説明している。別の出願である、国際公開第2003/007916 A1号は、ビタミンDと経口的に調合され、ビタミンDの即放1時間後に放出される、低浸透性薬物である、アレンドロネートの生物学的利用能を改良するための胃貯留システムについて報告している。国際公開第2006/080780号はさらに、キトサンと薬物の最大で10:1の重量比によって、それを生体適合性カチオンポリマー(すなわち、水溶性キトサン)と混合することによって、低浸透性ビスホスフォネートである、アレンドロネートの浸透性および生物学的利用能を改良するための別の方法について開示しており、結果として得られる混合物は、固体または液体経口投薬形態に調合可能である。薬物材料の浸透性を改良するためのさらなる方法は、米国特許出願公開第2007/014319 A1号に論じられており、そこでは、経口投薬形態は、不活性成分(中鎖脂肪酸のエステルまたは脂溶性ポリエチレングリコールエステルのいずれか)とビスホスホン酸(例えば、ゾレドロン酸)の粉末混合物によって調合される。類似アプローチは、米国特許出願公開第2007/0238707 A1号に開示されており、そこでは、中鎖脂肪酸またはその誘導体(6−20個の炭素原子脂肪酸鎖)が、腸溶性被覆された(enterically coated)カプセル内に、低浸透性薬物(例えば、ゾレドロン酸)と物理的に混合される。
【0004】
(1−ヒドロキシ−2−イミダゾール−1−イル−1−ホスホノ−エチル)ホスホン酸として知られる、ゾレドロン酸は、以下の化学構造によって描写される。
【化1】
ゾレドロン酸は、有効性の観点から、前の世代のものを遥かに上回るものであって、主に、骨粗しょう症、パジェット病、高カルシウム血症の適応症、および骨転移の阻害のために、使用される、第三世代ビスホスフォネートである。Novartisによって最初に開発され、Zometa(登録商標)およびReclast(登録商標)の商標名において、一水和物として市販された。ゾレドロン酸は、カナダにおいて、高カルシウム血症の治療に対して、2000年に初めて承認された。後に、米国において、2001年には、高カルシウム血症、2002年には、固形腫瘍からの多発性骨髄腫および骨転移、2007年には、骨粗しょう症およびパジェット病のための使用に対して承認された。臨床試験もまた、行われ、ネオアジュバントまたはアジュバント癌療法におけるゾレドロン酸の使用について、継続的模索が行われている(Coleman, et al., British J Cancer 2010; 102(7):1099−1105, Gnant, et al., New England J Medicine. 2009, 360(17):679−691 and Davies, et al. J Clinical Oncology, 2010, 28(7s):Abstract 8021)。ゾレドロン酸は、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、および固形腫瘍からの骨転移の高カルシウム血症の場合、15分にわたって、4mgの静脈内(IV)用量として投与される一方、骨粗しょう症およびパジェット病の場合、15分間の5mgのIV用量が使用される。
【0005】
ゾレドロン酸は、水および0.1 N HCl溶液には難溶性であるが、0.1 N NaOHには、易溶性である。ゾレドロン酸は、事実上、種々の有機溶媒には不溶性である。
【0006】
その水溶性、浸透性、およびその後の経口生物学的利用能を改良するために、結晶化および金属塩形成を通して、ゾレドロン酸の新規経口製剤を生成する、多くの努力が成されている。米国特許出願公開第2006/0178439 A1号および世界国際公開第2007/032808号では、結晶性三水和物が、開示されている。ゾレドロン酸の可変水和程度を伴う、7つの水和形態、非晶質形態、3つのモノナトリウム塩、および11個のジナトリウム塩もまた、国際公開第2005/005447 A2号に開示されている。Na+、Mg2+、Zn2+を含む、ゾレドロン酸金属塩は、学術誌Drugs of the Future(Sorbera et al, 25(3), Drugs of the Future, (2000))に報告されている。ゾレドロネート、ゾレドロン酸、またはゾレドロン酸塩は、ゾレドロン酸のイオン形態を表す。Novartisの国際公開第2008/064849 A1号は、2つのCa2+塩、2つのZn2+塩、1つのMg2+塩、ならびに一水和物、三水和物、非晶質形態、および無水形態を含む、付加的金属塩を開示している。
【0007】
ゾレドロン酸に関する米国食品医薬品局(FDA)の新医薬品承認審査概要(SBA)によると、低経口生物学的利用能(約1%)は、一部には、GI管におけるその低浸透性によるものである。また、最も一般的には、カルシウムを伴って、不溶性金属錯体が、腸上部に形成されることも注記されている。ゾレドロン酸はまた、深刻な胃および腸の炎症を引き起こすことが分かっている。
【0008】
ゾレドロン酸の経口生物学的利用能を改良するための前述の試みはすべて、新規固体形態を生成することによって、またはGI管浸透性を向上させた不活性成分と薬物を混合することのいずれかによって、水溶性を改良することに焦点が当てられていた。水溶性の改良は、不溶性ゾレドロン酸カルシウム錯体の形成が阻止される可能性が低いため、ゾレドロン酸の生物学的利用能を改良するのには失敗となっている。一方、低浸透性薬物と不活性浸透性増進剤の粉末混合物は、薬物の生物学的利用能を改良した。異なる粒子サイズおよびサイズ分布を伴う、異なる材料を混合する本アプローチは、低混合/物理的混合物均一性を与え得る。混合物の構成物もまた、輸送の際、または震盪および振動によって、分離し得る。加えて、粉末混合は、混合バッチの均一性を保証するために、厳密なバッチ間の一貫性を要求する。
【0009】
発明者らが知る限りでは、本発明に先立って、単一結晶性構造において、薬物と付加的構成要素(共形成体)の分子錯体を作り出すための意図的分子設計の試みは成されていない。そのような設計の利点は、粉末混合物が、多くの場合、被る、バッチ間混合均一性および粒子分離問題のすべての排除につながる可能性がある。加えて、本発明は、最終固体投薬形態が、一実施形態では、分子錯体の粉末となるように、固体投薬形態(薬物および賦形剤から成る)の製造を簡略化する。
【0010】
加えて、結果として得られる分子錯体は、親薬物、共形成体、またはその物理的混合物と比較して、非常に異なる物理化学的特性を呈する。これらの特性は、溶融点、熱および電気伝導性、水溶性、溶解速度、ならびにGI管膜にわたっての浸透性を含むが、それらに限定されない。浸透性改良は、BCSクラスIIIおよびIV薬物の経口生物学的利用能の向上を与え得る。設計による分子錯体の概念が、ゾレドロン酸等の低浸透性薬物の浸透性およびその後の生物学的利用を改良するために採用されたのは、これが初めてである。しかしながら、浸透性向上の背後にある機構については、完全には理解されていない。
【0011】
経口薬物の使用における増加傾向は、特に、健康管理の全体的コストを削減するという目標を踏まえて、継続している。経口投与される薬物は、癌を含む、種々の治療領域において、益々好ましくなっている。明らかに、経口投薬形態が、その低水溶性および/または低浸透性のために今まで存在しない、IV薬物の経口投薬形態を作り出し、患者のための明確な臨床的利益を提供する機会が存在する。ゾレドロン酸は、IV投与に対してのみ承認されていると事実を考慮し、ゾレドロン酸の経口投薬形態を開発する必要性が存在する。薬学的に容認可能かつ/または承認された共形成体を使用して、ゾレドロン酸と水素結合させることによって、改良された水溶性および/または浸透性を伴う、新規分子錯体(例えば、それらの共結晶、塩、溶媒和物、および混合物)を作り出すことが可能である。これらの新規分子錯体は、ゾレドロン酸のための経口投薬形態の開発において使用され得る。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、改良された水溶性、溶解速度、および/または改良された浸透性、したがって、向上された生物学的利用能を伴う、前述のゾレドロン酸の治療上の有効性を有する、ゾレドロン酸の新しい形態を生成することを対象とする。本開示の一態様は、そのような材料を含有する、共結晶、塩、および溶媒和物(例えば、水和物、および混合された溶媒和物、ならびに塩の溶媒和物)、および混合物を含む、ゾレドロン酸の新規分子錯体を含む。加えて、本開示はさらに、そのような錯体の調製のための方法を含む。
【0013】
本開示はさらに、医薬投薬形態に組み込むために好適なゾレドロン酸の分子錯体の組成物を含む。本開示に関する特異的分子錯体は、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンとのゾレドロン酸の錯体を含むが、それらに限定されない。図面および実施例によって説明されるものを含む、本開示における開示されるゾレドロン酸形態の明白な変形例は、本開示を有する当業者には容易に明白となり、そのような変形例は、本発明の一部とみなされる。
【0014】
本開示はまた、ラットおよびイヌモデルにおける、本発明の方法によって調製された、親(純)ゾレドロン酸および選択されたゾレドロン酸錯体のインビボ研究の結果を含む。ラット血漿およびイヌ血清試料中の薬物濃度とともに、薬物動態(PK)プロファイルもまた、含まれる。
【0015】
開示される技術の前述および他の特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して記載される、以下の発明を実施するための形態からより明白となるであろう。そのような説明は、本発明の例示であって、限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A=ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体)、(B=NaCl)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図2】ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水を含む、錯体のFTIRスペクトルである。
【図3】(C=ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図4】ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体のFTIRスペクトルである。
【図5】のPXRDディフラクトグラムを示す(D=ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体)、(E=L−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)。
【図6】ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図7】(F=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図8】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図9】(H=ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図10】ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図11】(I=ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体)、(J=ニコチンアミド)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図12】ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図13】(K=ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体)、(L=アデニン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図14】ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図15】(M=ゾレドロン酸およびグリシン錯体)、(N=グリシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図16】ゾレドロン酸およびグリシン錯体のFTIRスペクトルである。
【図17】(O=ゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図18】ゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体のFTIRスペクトルである。
【図19】(P=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図20】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図21】(R=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図22】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図23】(R=ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体)、(G=DL−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図24】ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図25】(Q=ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体)、(E=L−リシン)、(Zl=ゾレドロン酸一水和物)、および(Z3=ゾレドロン酸三水和物)のPXRDディフラクトグラムを示す。
【図26】ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体のFTIRスペクトルである。
【図27】IV、経口、および十二指腸内(ID)経路を介して送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の24時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図28】経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図29】ID送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図30】経口強制送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の24時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図31】経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図32】経口送達される、親ゾレドロン酸および選択されたゾレドロン酸錯体の4時間ラット血漿PKプロファイルを示す。
【図33】IVおよび経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体のイヌ血清PKプロファイルを示す。
【図34】IVおよび経口送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の4時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【図35】IVおよび経口(腸溶性および非腸溶性被覆されたカプセル)送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体のイヌ血清PKプロファイルを示す。
【図36】IVおよび経口(腸溶性および非腸溶性被覆されたカプセル)送達される、親ゾレドロン酸およびゾレドロン酸錯体の6時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【図37】腸溶性および非腸溶性被覆された硬質ゼラチンカプセルのイヌPKデータを示す。
【図38】IVおよび経口送達される、ゾレドロン酸錯体の24時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【図39】IVおよび経口送達される、ゾレドロン酸錯体の4時間イヌ血清PKプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に、医薬組成物における活性医薬成分(API)は、プロドラッグ、非晶質形態、溶媒和物、水和物、共結晶、塩、および多形体を含む、種々の異なる形態で調製可能である。新規API形態の発見は、医薬生成物の性能特徴を改良する機会を提供し得る。加えて、薬物形態の発見は、目的とする放出プロファイルまたは他の所望の特徴を有する医薬投薬形態を設計するために利用可能な資源の範囲を広げる。
【0018】
標的化可能な特異的特徴は、APIの結晶形態を含む。所与のAPIの結晶形態の改変により、標的分子の物理的特性が変化する。例えば、所与のAPIの種々の多形体は、異なる水溶性を呈し、熱力学的に安定な多形体は、準安定多形体より水溶性が低いと思われる。加えて、医薬多形体は、溶解速度、保存期間、生物学的利用能、形態構造、蒸気圧、密度、色、および圧縮率等の特性が異なる可能性がある。故に、水溶性、溶解速度、生物学的利用能、最高血中濃度、最高血中濃度到達時間、物理化学的安定性、下流処理可能性(例えば、流動性、圧縮率、脆弱度、粒子サイズ操作)、多形体形態多様性の低減、毒性、味、生産コスト、および製造方法に関して、共結晶、塩、溶媒和物、または水和物等の分子錯体を形成することによって、APIの特性を向上させることが望ましい。
【0019】
経口送達される薬物の開発では、多くの場合、増加した水溶性および安定性を含む、改良された特性を保有する、そのような薬物の新規結晶形態を有することが有利である。多くの場合、薬物の溶解速度の加速は、その生物学的利用能を潜在的に増加させるため、望ましい。これはまた、対象に経口投与されると、用量毎ベースにおけるIVまたは他の製剤と比較して、より優れたまたは類似生物学的利用能およびPKプロファイルを達成し得る、ゾレドロン酸の新規形態の開発にも該当する。
【0020】
本発明のゾレドロン酸の共結晶、塩、溶媒和物、および水和物は、ゾレドロン酸の改良された特性を提供し得る。例えば、ゾレドロン酸の新しい形態は、経口送達されるゾレドロン酸の生物学的利用能を改良可能な場合、特に、有利である。いくつかの新規ゾレドロン酸形態が、合成され、特性評価され、および本明細書に開示されている。特に着目すべきは、他のゾレドロン酸の分子錯体と比較して、向上された浸透性を示す、ゾレドロン酸および標準的アミノ酸である。これらの錯体の向上された浸透性の機構は、未だ理解されておらず、本説明に拘束されるわけではないが、不溶性Ca2+ゾレドロン酸塩の形成を抑制し、密着結合を通して、より多くのゾレドロン酸を傍細胞的に吸収させることが可能性として考えられる。これは、向上された浸透性の可能性として考えられる機構であることを強調されたい。
【0021】
ゾレドロン酸:アミノ酸錯体(本発明の2つの実施形態である、ゾレドロン酸:リシン錯体およびゾレドロン酸:グリシン錯体)の概略図が、以下に示される。略図は、錯体の分子構造と、構成物の物理的混合物と異なる、錯体の構成物間の可能性として考えられる相互作用と、を示す。
【化2】
これらは、薬物および標準的アミノ酸共形成体の分子が、高相対湿度(RH)環境において、熱的に応力を加えられた場合でも、その元々の構成物に対して、劣化または崩壊のいかなる兆候も示さなかった、安定した錯体を形成するように相互作用し得る、配列の1つを表す。そのような安定性は、これらの分子錯体における水素結合(四角内に破線で示す)に起因する可能性がある。結晶構造に充填されると、これらの錯体は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって示されるように、その構成物またはその物理的混合物のものに対して、非常に異なる形態構造を有し、したがって、異なる予測し得ない物理化学的特性を保有するであろう。
【0022】
本発明は、約8.1、13.3、21.5、24.6、および25.6±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0023】
本発明は、約11.0、14.6、15.4、19.9、および29.4±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0024】
本発明は、約9.0、14.4、18.1、26.0、および29.6±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0025】
本発明は、約9.1、14.7、18.0、21.2、および26.0±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0026】
本発明は、約8.8、9.7、17.6、23.1、および26.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0027】
本発明は、約13.1、15.2、21.0、23.9、および26.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0028】
本発明は、約13.6、15.9、19.7、27.9、および29.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、アデニン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0029】
本発明は、約10.2、17.8、19.9、22.9、および28.1±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、およびグリシン錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0030】
本発明は、約12.2、13.0、14.1、17.1、および19.3±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0031】
本発明は、約8.3、11.8、12.3、15.8、および20.8±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0032】
本発明は、約9.6、10.7、14.3、21.4、23.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0033】
本発明は、約9.7、10.8、14.4、18.9、21.4±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の形態における、ゾレドロン酸の新しい結晶形態を提供する。
【0034】
本発明は、IV、経口、およびID送達されるゾレドロン酸親化合物対本発明の方法を使用して作り出されたゾレドロン酸の錯体のラット血漿またはイヌ血清濃度レベルおよびPKプロファイルを提供する。
【0035】
故に、第1の態様では、本発明は、例えば、乾燥または溶媒滴粉砕(液体支援粉砕)、単一または混合された溶媒系におけるその溶液の加熱または溶媒蒸発、スラリー懸濁液、超臨界流体、あるいは当業者に周知の他の手法を通して、固体状態において錯化可能な、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンとのゾレドロン酸の錯体を含む。
【0036】
本発明の別の態様は、水:酢酸エチル(1:1v/v)中に両方の化合物を溶解し、溶媒混合物を蒸発させ、結晶性材料を形成することによって、ゾレドロン酸およびニコチンアミド錯体を提供する。
【0037】
本発明の別の態様は、両方の化合物を水中に溶解し、溶媒を蒸発させ、結晶性材料を形成することから、ゾレドロン酸およびグリシン固体錯体を提供する。
【0038】
本発明の別の態様は、ヒトの身体に経口送達可能な医薬製剤に好適な、ゾレドロン酸と、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンの錯体を提供する。医薬製剤は、本発明によるゾレドロン酸の新規分子錯体および少なくとも1つの薬学的に許容される担体(また、当技術分野において、薬学的に許容される賦形剤としても知られる)のうちの少なくとも1つの治療上有効量を含有する。ゾレドロン酸の新規分子錯体は、前述の骨粗しょう症、高カルシウム血症(TIH)、癌誘発性骨転移、パジェット病、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント療法に関連する、疾患状態の治療および/または予防のために治療上有用である。
【0039】
本発明はまた、本発明のゾレドロン酸の新規分子錯体またはそれらを含有する医薬製剤を使用する、治療の方法に関する。本発明の医薬製剤は、本発明によるゾレドロン酸の新規分子錯体を含有する、医薬形態にあってもよい。医薬製剤は、例えば、錠剤、カプセル、液体懸濁液、注射剤、坐薬、局所薬、または経皮薬であってもよい。医薬製剤は、概して、約1%乃至約99重量%の本発明のゾレドロン酸の少なくとも1つの新規分子錯体と、99%乃至1重量%の好適な医薬賦形剤と、を含有する。
【0040】
ゾレドロン酸と、ナトリウム、アンモニウム、アンモニア、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびグリシンの錯体は、そのPXRDパターンおよびFTIRスペクトル別に観察される。
【0041】
本発明の別の態様は、経口および十二指腸内送達される、経口ゾレドロン酸の生物学的利用能に関する、ラットにおけるインビボデータを提供する。
【0042】
本発明の別の態様は、異なる経路(IV、経口、およびID)によって送達される、親化合物のPKプロファイルを提供する。
【0043】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、本発明の方法によって調製される、新規ゾレドロン酸錯体の修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0044】
本発明の別の態様は、錯体中の共形成体と同一、異なる共形成体、またはそれらの混合物であり得る、過剰な少なくとも1種の共形成体のゾレドロン酸錯体への添加を提供する。
【0045】
本発明の別の態様は、過剰共結晶形成体は、標準的アミノ酸から成る、方法を提供する。
【0046】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、過剰共結晶形成体とのゾレドロン酸錯体の修正されたPKプロファイルを提供する。
【0047】
本発明の別の態様は、親化合物と比較して、新規ゾレドロン酸錯体の改良された水溶性を提供する。
【0048】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、過剰共結晶形成体との新規ゾレドロン酸錯体の修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0049】
本発明の別の態様は、IVまたは経口投与される、経口ゾレドロン酸の生物学的利用能に関する、イヌにおけるインビボデータを提供する。
【0050】
本発明の別の態様は、経口送達される親化合物と比較して、ゼラチンカプセル内で送達される、本発明の方法によって調製された、新規ゾレドロン酸錯体のイヌにおける修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0051】
本発明の別の態様は、親化合物と比較して、腸溶性被覆されたゲルカプセル内で送達さされる、本発明の方法によって調製された、新規ゾレドロン酸錯体のイヌにおける修正された経口生物学的利用能値を提供する。
【0052】
本発明の別の態様は、硬質ゼラチンカプセル内で送達される、本発明の方法によって調製された、過剰共結晶形成体との新規ゾレドロン酸錯体のイヌにおける経口生物学的利用能値の実質的改良を提供する。
【0053】
本発明の別の態様は、腸溶性被覆されたカプセルを通して経口送達される、ゾレドロン酸および新規ゾレドロン酸錯体を介した、イヌにおけるゾレドロン酸に対する経口生物学的利用能値の若干の改良を提供する。
【0054】
本発明の別の態様は、共形成体の過剰物理的混合物との新規ゾレドロン酸錯体を介した、イヌにおけるゾレドロン酸に対する低減された経口生物学的利用能値を提供する。
【0055】
本発明の別の態様は、分子錯体由来ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能が、共形成体なしでの、ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能を上回る、ビスホスホン酸またはその塩と、少なくとも1種の共形成体と、を含む、分子錯体を提供する。ビスホスホン酸は、例えば、ゾレドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸イバンドロン酸、または当技術分野において周知の他のビスホスホン酸であってもよい。
【0056】
本発明の別の態様は、それを必要とする患者に、分子錯体の形態における、治療上有効量のビスホスホン酸を投与することを含む、ビスホスホン酸の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法を提供する。
【0057】
本開示に記載の手法およびアプローチはさらに、当業者によって、その変形例を調製するために使用可能であって、該変形例は、本発明の開示の一部とみなされる。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は、発明の範囲を限定することを意図することなく、本発明を例示する。
【0059】
本開示における全実験において使用される、開示材料としてのゾレドロン酸は、Farmkemi Limited(Wuhan Pharma Chimical Co.)(中国)によって供給され、純度約98%を伴い、水からの再結晶化を介して、さらに精製された。他の純化学薬品(分析グレード)はすべて、Sigma−Aldrichによって供給され、さらなる精製を伴わずに、使用された。
【0060】
ゼラチンカプセルの腸溶性被覆は、AzoPharma(Hollywood、FL、USA)に外注された。精製された水およびアセトン中、Eudragit L100−55の10%w/w被覆溶液と、クエン酸トリエチル、それぞれ、9.09および0.91w/w%を、Vector LDCSパンコーティング機内で使用され、カプセル上に均一被覆層を達成した。十二指腸送達のための被覆均一性および機能性が、75rpmおよび37℃で撹拌された疑似胃液中、2時間溶解によって試験された。全カプセルは、本試験の持続時間の間、閉鎖されたままとした。
固相特性評価
【0061】
結晶性形態を観察するために使用された分析手法は、粉末X線回折(PXRD)およびフーリエ変換赤外分光(FTIR)を含む。そのような分析手法において使用される特定の方法論は、例示としてみなされ、データ収集の文脈に限定されるべきではない。例えば、データを収集するために使用される特定の器具が、変更されてもよく、日常的オペレータエラーまたは較正基準が、変更されてもよく、試料調製方法が、変更されてもよい(例えば、FTIR分析のためのKBrディスクまたはヌジョールマル法の使用)。
【0062】
フーリエ変換FTIR分光法(FTIR):FTIR分析は、固体状態ATR付属品を備えた、Perkin Elmer Spectrum 100 FTIR分光計上で行われた。
【0063】
粉末X線回折(PXRD):全ゾレドロン酸分子錯体生成物は、Cu Kα(λ=1.540562 A)、40kV、40mAを使用して、D−8 Bruker X−ray Powder Diffractometerによって観察された。データは、刻み幅0.05°2θおよびスキャン速度6.17°/分を使用して、室温で、連続スキャンモードにおいて、角度範囲3°乃至40°2θにわたって収集された。
【0064】
実施例1:ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体の調製。
【0065】
200mgのゾレドロン酸を、一晩かけて、1mLの1:1エタノール:水内で、180mgの塩化ナトリウムとともにスラリー状にした。材料を濾過し、漱洗した。粒子状材料を回収し、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図1および図2に対応するPXRDならびにFTIRによって、特性評価した。
【0066】
実施例2:ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体の調製。
【0067】
300mgのゾレドロン酸を、一晩かけて、メタノール中7Nアンモニア内でスラリー状にした。材料を濾過し、漱洗した。粒子状材料を、水中に溶解し、周囲条件で蒸発させ、1週間後、無色プレートを得た。材料を、それぞれ、図3および図4に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0068】
実施例3:ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の調製。
【0069】
200mgのゾレドロン酸および54mgのL−リシンを、一晩かけて、2mLのテトラヒドロフランおよび200μLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図5および図6に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0070】
実施例4:ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0071】
204mgのゾレドロン酸および59mgのDL−リシンを、一晩かけて、2mLのテトラヒドロフランおよび200μLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図7および図8に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0072】
実施例5:ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体の調製。
【0073】
103mgのゾレドロン酸および54mgのDL−リシンを、400μLの水中に溶解し、キャップし、一晩かけて、撹拌した。翌日、0.25mLのエタノールを滴下添加した。バイアルを、スクリューキャップでキャップし、1日後、結晶が表出し、濾過除去した。材料を、その後の分析のために、保存した。材料を、それぞれ、図9および図10に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0074】
実施例6:溶媒滴粉砕による、ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体の調製。
【0075】
99mgのゾレドロン酸を、44mgのニコチンアミドによって粉砕し、40μLの水を、固体混合物に添加した。粉砕後回収された固体を、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図11および図12に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0076】
実施例7:溶液結晶化からのゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体の調製。
【0077】
25mgのゾレドロン酸および138mgのニコチンアミドを、2mLの水:酢酸エチル混合物(1:1v/v)中に溶解した。次いで、数時間、溶液を放置し、溶媒をゆっくり蒸発させた。回収された固体を特性評価すると、実施例7生成物のものと非常に類似するPXRDならびにFTIRパターンが得られた。
【0078】
実施例8:溶媒滴粉砕による、ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体の調製。
【0079】
96mgのゾレドロン酸を、65mgのアデニンによって粉砕し、60μLの水を、固体混合物に添加した。粉砕後回収された固体を、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図13および図14に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0080】
実施例9:水溶液スラリーからのゾレドロン酸、アデニン、および水錯体の調製。
【0081】
99mgのゾレドロン酸および54mgのアデニンを、一晩かけて、2mLの水:エタノール混合物(1:1v/v)内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、特性評価すると、実施例8生成物のものと非常に類似するPXRDならびにFTIRパターンが得られた。
【0082】
実施例10:ゾレドロン酸およびグリシン錯体の調製。
【0083】
178mgのゾレドロン酸および45mgのグリシンを、一晩かけて、2mLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図15および図1に対応する6、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0084】
実施例11:ゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体の調製。
【0085】
1.5gのゾレドロン酸を、一晩かけて、メタノール中7Nアンモニア内でスラリー状にした。材料を濾過し、漱洗した。粒子状材料を、中温で水中に溶解し、周囲条件で蒸発させ、1日後、無色ブロックを得た。材料を、それぞれ、図17および図18に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0086】
実施例12:ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0087】
200mgのゾレドロン酸および102mgのDL−リシンを、一晩かけて、2mLのテトラヒドロフランおよび400μLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図19および図20に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0088】
実施例13:ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0089】
1gのゾレドロン酸および283mgのDL−リシンを、一晩かけて、80mLのテトラヒドロフランおよび8mLの水内でスラリー状にした。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図21および図22に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0090】
実施例14:逆溶媒法による、ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体の調製。
【0091】
本錯体はまた、5mLのお湯に1gのゾレドロン酸および283mgのDL−リシンを溶解し、逆溶媒として、40mLのエタノールを添加し、一晩かけて、撹拌させる、逆溶媒法によって、調製可能である。類似PXRDならびにFTIRプロファイルが、それぞれ、図23および24に示されるように、得られた。
【0092】
実施例15:ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体の調製。
【0093】
1gのゾレドロン酸および255mgのL−リシンを、60mLのお湯に溶解した。次いで、100mLのエタノールを、逆溶媒として添加した。濾過後に回収された固体を乾燥させ、その後の分析のために、スクリューキャップバイアル内に保存した。材料を、それぞれ、図25および図26に対応する、PXRDならびにFTIRによって特性評価した。
【0094】
実施例16:動物PK試験
【0095】
これらの試験は、ゾレドロン酸に対する好適な動物モデルとして、ラットおよびイヌにおいて行われた。これは、両動物が、歴史的に、安全評価およびPKスクリーニング試験で使用されており、適切な規制機関によって推奨されているという事実に起因し得る。加えて、ラットおよびイヌはまた、ゾレドロン酸を含む、ビスホスフォネート薬物の吸収を査定するための適切な種として確立されている。
【0096】
純ゾレドロン酸および本発明における方法によって調製されたゾレドロン酸錯体は、IVまたは経口経路を通して、ラットおよびイヌに送達された。追加の試験として、ラットにおけるID投与およびイヌにおける腸溶性被覆されたカプセルの投与を含んだ。送達された全化合物は、顕著な有害事象または物理的異常を伴うことなく、動物による良好な耐性を示した。
【0097】
試験対象:8週齢オスSprague−Dawleyラット(217−259グラム)を、Hilltop Lab Animals(Scottdale、PA USA)から入手した。外科手術用カテーテル(内頸静脈および十二指腸内)を、試験前に動物に埋め込んだ。Marshall Farms(NY、USA)から入手した、体重(9−12kg)のビーグル犬を、本試験において使用した。外科手術用カテーテル(内頸静脈)を、試験前に埋め込んだ。
【0098】
居住:ラットは、ステンレス鋼ケージ内に個別に収容され、カテーテル露出を防止した。順応(投薬前段階)は、1日間とした。イヌは、既に試験施設(Absorption Systems Inc.、USA)内におり、順応は必要なかった。
【0099】
環境:動物質の環境制御は、18乃至26℃、相対湿度30乃至70%、最低10回の換気/時間、および12時間の明/12時間の暗周期を維持するように設定された。明/暗周期は、試験関連活動のために中断され得た。
【0100】
餌食:ラットの場合、水および認定Rodent Diet #8728C(Harlan Teklad)が提供された。イヌの場合、水および標準的イヌの食餌が、1日に12回(12時間毎)与えられた。
【0101】
絶食:全試験動物は、ゾレドロン酸またはゾレドロン酸錯体のIV、経口、あるいはID投与前、一晩、絶食させた。
【0102】
ラット投薬の経路:ゾレドロン酸およびその錯体製剤は、IV、経口、およびIDを通して投与された。全試験ラットへの投与の用量は、懸濁液中に含有される錯体形態としてではなく、ゾレドロン酸として、測定された。
i.IV投与:IV投与のためのゾレドロン酸の用量は、0.5mg/kgであった。各ラットの用量は、ラット当たりベースで計算された(ロット内の全ラットの平均重量ではなく)。
ii.経口強制投与:固体懸濁液が投与された。各ラットの用量は、ラット当たりベースで計算された(ロット内の全ラットの平均重量ではなく)。固体懸濁液の場合、動物は、5mg/kgのゾレドロン酸またはPEG400の懸濁液中に含有されるゾレドロン酸錯体中5mg/kgのゾレドロン酸を投与された。
iii.十二指腸カニューレ投与:固体懸濁液が投与された。各ラットの用量は、ラット当たりベースで計算された(ロット内の全ラットの平均重量ではなく)。固体懸濁液の場合、動物は、5mg/kgのゾレドロン酸またはPEG400の懸濁液中に含有されるゾレドロン酸錯体中5mg/kgのゾレドロン酸を投与された。
【0103】
イヌ投薬の経路:ゾレドロン酸およびその錯体製剤は、IVおよび経口投与された。全被験イヌに投与された用量は、ゼラチンカプセル内の粉末またはIVのための溶液中に含有される錯体形態としてではなく、各錯体中のゾレドロン酸として測定された。
i.IV投与:各イヌの用量体積が、イヌの平均重量に基づいて調節された。
ii.経口投与:ゾレドロン酸およびそのゾレドロン酸錯体製剤の等量が、イヌの平均重量に基づいて、サイズ0ゼラチンカプセルを通して投与された。
iii.腸溶性被覆されたカプセルによる経口投与:ゾレドロン酸およびそのゾレドロン酸錯体製剤の等量が、イヌの平均重量に基づいて、サイズ0腸溶性被覆されたゼラチンカプセル投与された。
iv.付加的共形成体との分子錯体の経口投与:付加的共形成体とのゾレドロン酸錯体の物理的混合物が、サイズ0ゼラチンカプセルを通して投与された。
【0104】
群:動物の2つの主要群が、試験のために選択された。
群1:4つの亜群(I−IV)から成る、ラットであって、PKプロファイルグラフ上の各データ点の結果は、3匹のラットの血漿中の平均薬物濃度である。
群2:イヌPK試験は、亜群(A、B、C、D、E、およびF)を伴う、3つの群を含み、PKプロファイルグラフ上の各データ点の結果は、5匹のイヌの血清の平均薬物濃度である。
【0105】
群1ラット投薬の詳細
【表1】
IV比較群は、経口群に対して、MAT(平均吸収時間)およびka(吸収速度定数)を計算するために行われた。
【表2】
【表3】
【表4】
【0106】
ラット血液試料収集、取扱、および分析:血液(試料当たり約300μL)試料を、ゾレドロン酸またはその錯体の初期投与後、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、および24時間の8つの時間点において、群I(IV投与)内の3匹の動物のそれぞれからEDTA血漿管内に採取した。4℃で5分間、13,000rpmで遠心分離後、血漿を収集し、直ぐに冷凍し、分析まで-60乃至-80℃で保存した。
【0107】
試料を分析の日に解凍し、LC/MS/MS方法によって分析し、試料中のゾレドロン酸の量を定量化した。
【0108】
群2イヌ投薬の詳細:投薬に先立って、全イヌは、20mL用量のクエン酸(水中24mg/mL)を摂取し、その胃のpHを低下させた。投薬カプセルまたはIV投薬後、全イヌは、漱洗として、追加の6.25mLクエン酸溶液(水中24mg/mL)を摂取した。
【表5】
IV比較群は、経口群のためのMAT(平均吸収時間)およびka(吸収速度定数)を計算するために行われた。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0109】
ゾレドロン酸またはその錯体の初期投与後、血液(試料当たり約2.5mL)を、群A(IV投与):投薬前(0)、2、5、10、15、30、45分、1、1.5、2、4、6、8、24、および48時間の15の時間点において、群B(経口投与):投薬前(0)、5、10、15、30、45分、1、1.5、2、4、6、8、および24時間の13の時間点において、5匹の動物のそれぞれから採取した。血液試料は、抗凝血剤を使用せず載置し、約30分間、室温で放置した。次いで、試料を、4℃の温度で5分間、13,000rpmの速度で遠心分離した。血清を収集し、2つの一定分量に分割し、分析まで冷凍保存した(−80℃)。試料を分析の日に解凍し、LC/MS/MS分析方法を含む、ゾレドロン酸のための分析手順を使用して、処理した。
【0110】
動物PK試験結果
【0111】
ラット試験:第1のラット試験の結果は、表1に要約される。血漿試料中のゾレドロン酸の濃度(ng/mL)は、3匹のラットの分析結果の平均値である。加えて、IV、経口、およびID群のPKプロファイルが、図27に示される。経口およびID群のプロファイルは、図28および29に示される。いくつかのゾレドロン酸錯体は、親ゾレドロン酸と比較して、改良された経口生物学的利用能を有することを示唆する。改良された生物学的利用能を伴う錯体はさらに、過剰共形成体がゾレドロン酸錯体に添加され、次いで、経口強制によって、ラットに投与される、第2のラットPK試験において試験された。本第2の試験の結果は、表2に要約され、そのPKプロファイルは、図30、31、および32に示される。これらの図は、過剰共形成体を伴ういくつかのゾレドロン酸錯体の改良された生物学的利用能を示す。
【0112】
イヌ試験:第1のイヌ試験の結果は、表3に要約される。ゾレドロン酸の濃度(ng/mL)は、5匹のイヌの分析結果の平均値である。IVおよび経口群のPKプロファイルは、48時間PKプロファイルの最初の4時間を表す、図33および34に示される。これらの結果および図34は、全部ではないが、大部分のゾレドロン酸錯体が、経口送達される、親ゾレドロン酸のものと比較して、改良された経口生物学的利用能を達成したことを示唆する。
【0113】
第2のイヌ試験の結果は、表4に要約される。示されるゾレドロン酸の濃度(ng/mL)は、5匹のイヌの分析結果の平均値である。IVおよび経口群のPKプロファイルは、図35および36に示される。図36は、24時間PKプロファイルの最初の6時間を表す。これらの結果および図35は、全部ではないが、大部分のゾレドロン酸錯体が、経口送達される、親ゾレドロン酸のものと比較して、改良された経口生物学的利用能を達成したことを示唆する。具体的には、親薬物のものと比較して、過剰アミノ酸共形成体を伴う新規ゾレドロン酸錯体(Leg11、図37)のゾレドロン酸生物学的利用能において、有意な改良が認められる。結果はまた、非腸溶性被覆されたカプセルと比較して、腸溶性被覆されたカプセルの生物学的利用能における改良が認められたことも示す(図37、Leg7および2、Leg8および3、Leg12および4)が、驚くべきことに、生物学的利用能は、過剰アミノ酸共形成体が、腸溶性被覆されたカプセルに、物理的混合物を形成するために添加されると、有意に改変された(図37、Leg9および10)。この背後にある理由は、完全には理解されていない。
【0114】
結果は、未希釈(すなわち、過剰共形成体を含まない)ゾレドロン酸アミノ酸錯体で充填された、腸溶性被覆されたカプセルからの経口ゾレドロン酸の生物学的利用能に若干の増加が認められたこを示す。したがって、新規ゾレドロン酸錯体との過剰共形成体もまた、腸溶性被覆されたカプセル内で送達されると、生物学的利用能の増加につながることが予測される。驚くべきことに、過剰共形成体が、ゾレドロン酸に添加されると、腸溶性被覆されたカプセルの生物学的利用能は、非腸溶性被覆されたカプセルのものより低くなる。これは、分子錯体および過剰共形成体の物理的粉末混合物が、十二指腸に送達されると、生物学的利用能を低下させる場合があることを示唆する。
【0115】
第3のイヌ試験の分析結果が、5匹のイヌからの平均データを含む、表5に示される。IVおよび経口群のPKプロファイルは、図38および39に示される。図39は、24時間PKプロファイルの最初の4時間を表す。
【表11】
【表12】
【表13−1】
【表13−2】
【表14−1】
【表14−2】
【表15−1】
【表15−2】
【表15−3】
【表16−1】
【表16−2】
【表17】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスホスホン酸またはその塩と、少なくとも1種の共形成体と、を含む、分子錯体であって、前記分子錯体由来ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能は、前記共形成体なしでの、前記ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能を上回る、分子錯体。
【請求項2】
前記ビスホスホン酸は、ゾレドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、およびイバンドロン酸から成る群から選択される、請求項1に記載の分子錯体。
【請求項3】
少なくとも1種の共形成体は、アミノ酸である、請求項1に記載の分子錯体。
【請求項4】
前記ビスホスホン酸は、ゾレドロン酸であって、少なくとも1種の共形成体は、アミノ酸である、請求項1に記載の分子錯体。
【請求項5】
少なくとも1種の共形成体は、リシンである、請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体。
【請求項6】
請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体と、過剰量の少なくとも1種の共形成体と、を含む、組成物。
【請求項7】
前記過剰共形成体は、前記分子錯体の質量の最大100倍の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項6に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物は、経口投薬形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、経口投薬形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記分子錯体は、結晶性である、請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体。
【請求項13】
ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸を請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項14】
ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸を請求項5に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項15】
ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸を請求項6に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項16】
骨粗しょう症、高カルシウム血症、癌誘発性骨転移、パジェット病の疾患状態の治療および/または予防、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント癌療法のための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸またはその塩を請求項5に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項17】
骨粗しょう症、高カルシウム血症、癌誘発性骨転移、パジェット病に関連する疾患状態の治療および/または予防、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント癌療法のための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸またはその塩を請求項6に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項18】
ゾレドロン酸と、水と、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびゾレドロン酸塩から選択される化合物と、を含む、ゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項19】
前記結晶性形態は、
約8.1、13.3、21.5、24.6、および25.6±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体、
約11.0、14.6、15.4、19.9、および29.4±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体、
約12.2、13.0、14.1、17.1、および19.3±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体、
約9.0、14.4、18.1、26.0、および29.6±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体、
約9.6、10.7、14.3、21.4、23.5±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体、
約8.3、11.8、12.3、15.8、および20.8±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
約9.1、14.7、18.0、21.2、および26.0±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
約9.7、10.8、14.4、18.9、21.4±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
約8.8、9.7、17.6、23.1、および26.5±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体、
約13.6、15.9、19.7、27.9、および29.5±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体、または
約13.1、15.2、21.0、23.9、および26.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体、
である、請求項18に記載のゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項20】
ゾレドロン酸と、グリシンと、を含む、ゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項21】
ゾレドロン酸と、グリシンと、を含む、ゾレドロン酸の分子錯体。
【請求項22】
前記結晶性形態は、約10.2、17.8、19.9、22.9、および28.1±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸およびグリシン錯体である、請求項20に記載のゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項23】
ゾレドロン酸と、水と、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびゾレドロン酸塩から選択される、化合物と、を含む、またはゾレドロン酸と、グリシンと、を含む、ゾレドロン酸の分子錯体。
【請求項24】
ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウムおよび水錯体、
ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体、
ゾレドロン酸ジアンモニア水錯体、
ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体、
ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体、
ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体、
ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体、または
ゾレドロン酸グリシン錯体、
から成る群から選択される、請求項23に記載のゾレドロン酸の分子錯体。
【請求項25】
ゾレドロン酸と、リシンと、を含む、分子錯体。
【請求項26】
ゾレドロン酸と、リシンと、を含む、結晶性形態。
【請求項27】
請求項18−26のいずれかに記載の錯体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物は、経口固体投薬形態である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
骨粗しょう症、高カルシウム血症、癌誘発性骨転移、パジェット病に関連する疾患状態の治療および/または予防、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント癌療法のための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量の請求項27に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項1】
ビスホスホン酸またはその塩と、少なくとも1種の共形成体と、を含む、分子錯体であって、前記分子錯体由来ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能は、前記共形成体なしでの、前記ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能を上回る、分子錯体。
【請求項2】
前記ビスホスホン酸は、ゾレドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、およびイバンドロン酸から成る群から選択される、請求項1に記載の分子錯体。
【請求項3】
少なくとも1種の共形成体は、アミノ酸である、請求項1に記載の分子錯体。
【請求項4】
前記ビスホスホン酸は、ゾレドロン酸であって、少なくとも1種の共形成体は、アミノ酸である、請求項1に記載の分子錯体。
【請求項5】
少なくとも1種の共形成体は、リシンである、請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体。
【請求項6】
請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体と、過剰量の少なくとも1種の共形成体と、を含む、組成物。
【請求項7】
前記過剰共形成体は、前記分子錯体の質量の最大100倍の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項6に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物は、経口投薬形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、経口投薬形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記分子錯体は、結晶性である、請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体。
【請求項13】
ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸を請求項1−4のいずれかに記載の分子錯体の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項14】
ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸を請求項5に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項15】
ビスホスホン酸またはその塩の生物学的利用能または浸透性を向上させるための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸を請求項6に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項16】
骨粗しょう症、高カルシウム血症、癌誘発性骨転移、パジェット病の疾患状態の治療および/または予防、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント癌療法のための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸またはその塩を請求項5に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項17】
骨粗しょう症、高カルシウム血症、癌誘発性骨転移、パジェット病に関連する疾患状態の治療および/または予防、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント癌療法のための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量のビスホスホン酸またはその塩を請求項6に記載の組成物の形態で投与するステップを含む、方法。
【請求項18】
ゾレドロン酸と、水と、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびゾレドロン酸塩から選択される化合物と、を含む、ゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項19】
前記結晶性形態は、
約8.1、13.3、21.5、24.6、および25.6±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウム、および水錯体、
約11.0、14.6、15.4、19.9、および29.4±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体、
約12.2、13.0、14.1、17.1、および19.3±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とするゾレドロン酸ジアンモニウム水錯体、
約9.0、14.4、18.1、26.0、および29.6±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体、
約9.6、10.7、14.3、21.4、23.5±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体、
約8.3、11.8、12.3、15.8、および20.8±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
約9.1、14.7、18.0、21.2、および26.0±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
約9.7、10.8、14.4、18.9、21.4±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
約8.8、9.7、17.6、23.1、および26.5±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体、
約13.6、15.9、19.7、27.9、および29.5±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体、または
約13.1、15.2、21.0、23.9、および26.5±0.2°2θに強いピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体、
である、請求項18に記載のゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項20】
ゾレドロン酸と、グリシンと、を含む、ゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項21】
ゾレドロン酸と、グリシンと、を含む、ゾレドロン酸の分子錯体。
【請求項22】
前記結晶性形態は、約10.2、17.8、19.9、22.9、および28.1±0.2°2θにピークを有する、X線粉末回折パターンを特徴とする結晶性ゾレドロン酸およびグリシン錯体である、請求項20に記載のゾレドロン酸の結晶性形態。
【請求項23】
ゾレドロン酸と、水と、L−リシン、DL−リシン、ニコチンアミド、アデニン、およびゾレドロン酸塩から選択される、化合物と、を含む、またはゾレドロン酸と、グリシンと、を含む、ゾレドロン酸の分子錯体。
【請求項24】
ゾレドロン酸、ゾレドロン酸ナトリウムおよび水錯体、
ゾレドロン酸アンモニウムおよび水錯体、
ゾレドロン酸ジアンモニア水錯体、
ゾレドロン酸、L−リシン、および水錯体、
ゾレドロン酸、DL−リシン、および水錯体、
ゾレドロン酸、ゾレドロン酸塩、DL−リシン、エタノール、および水錯体、
ゾレドロン酸、アデニン、および水錯体、
ゾレドロン酸、ニコチンアミド、および水錯体、または
ゾレドロン酸グリシン錯体、
から成る群から選択される、請求項23に記載のゾレドロン酸の分子錯体。
【請求項25】
ゾレドロン酸と、リシンと、を含む、分子錯体。
【請求項26】
ゾレドロン酸と、リシンと、を含む、結晶性形態。
【請求項27】
請求項18−26のいずれかに記載の錯体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物は、経口固体投薬形態である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
骨粗しょう症、高カルシウム血症、癌誘発性骨転移、パジェット病に関連する疾患状態の治療および/または予防、あるいはアジュバントまたはネオアジュバント癌療法のための方法であって、それを必要とする患者に、治療上有効量の請求項27に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公表番号】特表2013−500995(P2013−500995A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523084(P2012−523084)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043892
【国際公開番号】WO2011/014766
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511206515)タール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043892
【国際公開番号】WO2011/014766
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511206515)タール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]