説明

結束集合体の隙間位置測定方法

【課題】結束集合体の外周部と結束線材との間に形成された隙間を適切に測定して、識別標識が取付けられた識別標識用線材の掛止部を正確に隙間へ差込むようにする。
【解決手段】結束集合体125の周方向の所定範囲に亘って測定手段62で外面形状を測定する。測定手段62が測定した結束集合体125の外面形状において、該結束集合体125の外周部125Aから突出した第1頂点P1と、この第1頂点P1から該結束集合体125の周方向に隣接して外周部から突出する第2頂点P2とを抽出する。第1頂点P1が現れる結束対象物126と第2頂点P2が現れる結束対象物126の接線106を算出する。そして、接線10の外周部125A側を、隙間Hの形成位置として算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の結束対象物から構成された結束集合体の外周部と該結束対象物を結束する結束線材との間に形成され、識別標識が取付けられた識別標識用線材の掛止部を差込み可能な隙間の位置を測定する結束集合体の隙間位置測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばL型鋼、H型鋼および鉄筋棒鋼等の金属製またはABS等の合成樹脂製の長尺の棒状体や、金属パイプや合成樹脂パイプ等の管状体(以降「結束対象物」という)は、鋼製の線素材等からなる結束線材で所定の本数を結束して結束集合体とした後、当該結束集合体に係る各種情報(結束対象物の材質や本数等)が記載された識別標識(荷札等)を取付けて出荷することが行われている。前記結束集合体は、前記結束対象物を生産する生産工場からの出荷前、搬送車両による搬送時、倉庫での保管時等に、一時的に積み重ねられることが多い。このため結束集合体は、段積みされた状態であっても当該結束集合体の各種情報が適切かつ迅速に把握できるように、該結束集合体の長手方向の端部外方に、識別標識用線材を利用して前記識別標識を設けることが望ましい。そこで前記識別標識用線材は、該識別標識用線材の長手方向の一端部に前記識別標識を取付けると共に、長手方向の他端部を前記結束線材に巻き付けて掛止させることで、該識別標識を結束集合体の端部外方に臨むようにしている。
【0003】
前記結束集合体の結束線材に対する識別標識用線材の掛止作業は、従前では作業員による手作業によって行なわれていたが、近年に至っては、前記結束線材に対する識別標識用線材の掛止作業を自動で行なうようにした専用機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−309317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された荷札自動取付装置では、識別標識である荷札を取付けた識別標識用線材(ワイヤー)を、各結束対象物を結束する前の結束線材(結束線)に掛止させ、該識別標識用線材が掛止された結束線材を各結束対象物に巻付けて該結束対象物を結束することで結束集合体を構成するようになっている。すなわち、結束対象物を結束した状態の結束線材に、識別標識用線材を掛止するものではない。従って、多数の結束対象物を結束した状態の結束線材に識別標識用線材を掛止する際に、該結束線材と結束対象物との間の隙間の位置を測定し、この測定結果から識別標識用線材の先端を差込み可能な隙間の位置を計算するという技術的思想は、今まで提案されていなかった。
【0006】
従って本発明では、結束集合体の外周部と結束線材との間に形成された隙間を適切に測定して、識別標識が取付けられた識別標識用線材の掛止部を正確に隙間へ差込んで該結束線材に掛止させ得るようにした結束集合体の隙間位置測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、
複数の結束対象物から構成された結束集合体の外周部と該結束対象物を結束する結束線材との間に形成され、識別標識が取付けられた識別標識用線材の掛止部を差込み可能な隙間の位置を測定する結束集合体の隙間位置測定方法であって、
前記結束集合体の周方向の所定範囲に亘って測定手段で外面形状を測定し、
前記測定手段が測定した外面形状に基づいて、前記結束集合体の外周に位置して周方向に隣接する前記結束対象物と前記結束線材との間の隙間位置を算出することを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、結束集合体が測定した結束集合体の周方向の外面形状に基づいて、周方向に隣接する結束対象物と結束対象物を結束する結束線材との間の隙間位置を算出するので、該隙間位置を正確に把握することができる。従って、識別標識用線材の掛止部の先端を該隙間へ正確に差込むことができ、該識別標識用線材を結束集合体を構成する結束線材へ正確かつ確実に掛止させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
前記測定手段が測定した外面形状において、前記結束集合体の外周部から突出した頂点を抽出し、
前記頂点から前記結束対象物の最大幅の1/2だけ前記結束集合体の周方向へ離間した位置を、前記隙間の形成位置として算出することを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、結束集合体の外周部から突出した頂点を抽出して、この頂点から結束対象物の最大幅の1/2だけ周方向へ離間した位置に隙間が形成されていると見なすので、識別標識用線材の掛止部の先端が差込み可能な隙間の位置を正確に測定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
前記測定手段が測定した外面形状において、前記結束集合体の外周部から突出した第1頂点と、この第1頂点から該結束集合体の周方向に隣接して外周部から突出する第2頂点とを抽出し、
前記第1頂点が現れる結束対象物と前記第2頂点が現れる結束対象物の接線を算出し、
前記接線の前記外周部側を、前記隙間の形成位置として算出することを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、結束集合体の外周部から突出した第1頂点が現れる結束対象物と、この第1頂点から周方向に隣接した外周部から突出した第2頂点が現れる結束対象物とを結ぶ接線を算出して、該接線の外周部側に隙間が形成されていると見なすので、識別標識用線材の掛止部の先端が差込み可能な隙間の位置を正確に測定することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
前記測定手段は、前記結束集合体の外周部と接触せずに該外周部の外面形状を測定可能な非接触式のセンサであることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、結束集合体における結束対象物の外周面に接触することなく該結束集合体の外周部の形状を測定手段で認識することができ、該結束対象物の外周面に傷が付くことを防止し得る。また、測定手段の寿命が長い利点もある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、結束集合体の外周部と結束線材との間に形成された隙間を適切に測定でき、識別標識が取付けられた識別標識用線材の掛止部を正確に隙間へ差込んで該結束線材に掛止させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例の識別標識取付システムの概略構成図である。
【図2】複数の結束対象物を結束線材で結束して構成される結束集合体に、識別標識取付システムにより取付けられた識別標識用線材を示す斜視図である。
【図3】実施例の識別標識用線材成形装置により成形された識別標識用線材を、識別標識取付部に識別標識を取付けた状態で示す説明図である。
【図4】識別標識用線材成形装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図5】識別標識用線材成形装置により、識別標識用線材の識別標識取付部を成形する工程を経時的に示す説明図であり、(a)は、矯正した線素材を、識別標識セット部にセットした識別標識の掛止孔に挿通させる状態を示し、(b)〜(d)は、線素材を折曲げて識別標識取付部の成形を行なっている状態を示している。
【図6】識別標識用線材成形装置により、識別標識用線材の掛止部を成形する工程を経時的に示す説明図であり、(a)は、線素材を切断する状態を示し、(b)および(c)は、線素材を折曲げて掛止部の成形を行なっている状態を示している。
【図7】識別標識用取付装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図8】識別標識用線材取付装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図9】識別標識用線材取付装置の構成を概略的に示す右側面図である。
【図10】識別標識用線材取付装置の係止手段により、識別標識用線材の掛止部を折曲げる工程を示す説明図であって、(a)は、係止手段の係止部に識別標識用線材の係止部を挿通させる状態を示し、(b)は、係止手段を作動させて掛止部を折曲げた状態を示している。
【図11】識別標識用線材取付装置の変形手段により、識別標識用線材の本体部を折曲げる工程を示す説明図であって、(a)は、変形手段の変形部が識別標識用線材の本体部に接触した状態を示し、(b)は、変形手段の変形部により本体部が折曲げられた状態を示している。
【図12】測定手段の基本原理を概略的に示す説明図である。
【図13】(a)は、測定手段により結束集合体の長手方向における端部から結束線材までの距離を測定する状態を示し、(b)は、(a)のA部拡大図であり、(c)は、測定手段による測定結果を示すグラフである。
【図14】隙間を認識する方法を示す説明図であって、(a)は、測定手段により結束集合体の外周部における周方向の外面形状を測定する状態を示し、(b)は、測定手段による外面形状の測定結果を示すグラフであり、(c)は、外周部から突出した第1頂点および第2頂点を抽出して、第1頂点が現れる結束対象物と第2頂点が現れる結束頂点との接線を算出して、該接線の外周部側に隙間があると見なす方法を示している。
【図15】識別標識用線材掛止工程を示す説明図であって、(a)は、識別標識用線材取付装置に把持した識別標識用線材の掛止部を隙間に位置決めして挿通させる状態を示し、(b)は、識別標識用線材取付装置を傾斜させて、係止手段の係止部に掛止部の第2掛止部を挿通させる状態を示している。
【図16】識別標識用線材掛止工程を示す説明図であって、(a)は、係止手段を把持手段と反対に移動させて掛止部を結束線材に巻付けて掛止させる状態を示し、(b)は、(a)の状態を上方から見た状態を示している。
【図17】識別標識用線材取付成形工程を示す説明図であって、(a)は、係止手段を掛止部から離間させると共に、変形手段の変形部を識別標識用線材の本体部に当接させる状態を示し、(b)は、変形部により本体部を折曲げて、識別標識取付部を結束集合体の端部外方に変位させた状態を示している。
【図18】識別標識用線材取付成形工程を示す説明図であって、押圧手段の押圧部を掛止部に押付けて、該掛止部を結束集合体の外周部に沿わせる状態を示している。
【図19】別の隙間位置測定方法を示す説明図であって、外周部における突出する頂点を抽出して、該頂点から結束対象物の最大幅の1/2以上に離間した位置に隙間があると見なす方法を示している。
【図20】別形態の識別標識用線材を、複数の結束対象物を結束線材で結束して構成される結束集合体に取付けた状態を示す斜視図である。
【図21】(a)は、図20に示した別形態の識別標識用線材を成形するために識別標識用線材取付装置に配設された第2の変形手段を示す正面図であり、(b)は、第2の変形手段を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る結束集合体の隙間位置測定方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本発明に係る結束集合体の隙間位置測定方法は、後述する識別標識取付システムSにおいて実施される。なお、前記識別標識取付システムSが対象とする結束対象物は、L型鋼、H型鋼および鉄筋棒鋼等の長尺鋼材を始めとする各種断面形状および材質の長尺部材が対象とされるが、実施例では、断面が略円形の長尺丸棒を例示する。
【実施例】
【0015】
(識別標識取付システムの概要)
実施例の識別標識取付システムSは、図1に示すように、荷札等の識別標識Tが取付けられる識別標識用線材120を成形する識別標識用線材成形装置10と、この識別標識用線材成形装置10で成形された識別標識用線材120を把持して受取る「受取り位置」および結束集合体125に該識別標識用線材120を取付ける「取付け位置」の間を移動可能に配設された識別標識用線材取付装置12とを備えている。前記識別標識用線材取付装置12は、前記取付け位置において、予め別工程で結束対象物126を結束線材127で結束して構成されてセット部11の上面にセットされた結束集合体125の上方へ到来して、前記識別標識用線材120を該結束集合体125に取付けるように構成されている。そして、前記識別標識用線材成形装置10、前記識別標識用線材取付装置12、前記セット部11を構成する搬送手段は、制御手段14により一括制御されるようになっている。なお前記セット部11は、結束集合体125を搬送する搬送手段の途中または終端に設けられている。
【0016】
(識別標識用線材)
前記識別標識用線材120は、図3に示すように、折曲げ加工が可能な金属製(例えば、なまし鉄製)の外径が2〜4mm程度の線素材Wを、所要長に切断すると共に折曲げ加工して成形されたものである。この識別標識用線材120は、細長い線状本体部121の長手方向における一方の端部側を順次折り曲げて環状に成形され、前記識別標識Tを脱落不能に保持する識別標識取付部122と、前記線状本体部121の長手方向における他方の端部側を順次折り曲げて鉤状に成形され、前記結束線材127に掛止される掛止部123とを備えている。前記掛止部123は、前記線状本体部121に対して鈍角に折曲された第1掛止部123Aと、この第1掛止部123Aに対して鋭角に折り返され、前記線状本体部121と略平行に延在して前記識別標識取付部122の側を向いた第2掛止部123Bとを備えている。そして識別標識用線材120は、図16に示すように、前記第1掛止部123Aと第2掛止部123Bとの間に位置する折曲げ部123Cの内周面側に前記結束線材127を位置させ、該第2掛止部123Bを該結束線材127に巻付けるように折曲げることで、前記掛止部123が該結束線材127に掛止されるようになっている。なお前記折曲げ部123Cは、その内周面側が円弧状に成形されて、該内周面の半径が前記結束線材127の半径と同じか若干大きくなるように設定されている。
【0017】
(識別標識用線材成形装置)
前記識別標識用線材成形装置10は、コイル状に巻回された線素材Wを伸線すると共に所要長に切断して、発行された前記識別標識Tを取付けると共に図3に示す前記識別標識用線材120を全自動で成形するようになっている。この識別標識用線材成形装置10は、図4〜図6に示すように、線素材Wを直線状に矯正する供給部20と、所要長に切断した線素材Wから前記識別標識用線材120を成形する成形部21とを備えている。また前記識別標識用線材成形装置10には、前記成形部21の下流側に隣接した位置に、前記識別標識Tを発行して該成形部21に設けた識別標識セット部32へ供給する識別標識発行部22が設置されている。
【0018】
(供給部)
前記供給部20は、図4、図5(a)および図6(a)に示すように、線素材Wが巻回されたロールW1がセットされるロールセット部23と、このロールセット部23にセットしたロールW1から引き出された線素材Wを矯正する矯正部24と、この矯正部24で矯正された線素材Wを成形部21へ供給する送り装置25とを備えている。矯正部24は、線素材Wの供給ラインを挟んで供給方向へ互い違いに配設される複数(実施例では5個)の矯正ローラ26からなり、ロールW1から引き出された線素材Wに付いた巻癖を除去して直線状に矯正する。送り装置25は、線素材Wの供給ラインを挟んで対向配置された一対の送りローラ27,27を備え、両送りローラ27,27は図示省略したモータ等の駆動手段により同期的に回転制御され、線素材Wを成形部21へ連続供給または間欠供給し得るようになっている。
【0019】
(成形部)
前記成形部21は、図4〜図6に示すように、線素材Wを切断する切断部30と、前記掛止部123を成形する第1成形部31と、前記識別標識Tがセットされる識別標識セット部32と、前記識別標識取付部122を成形する第2成形部33とが、供給ラインに沿って上流側から下流側へ直列に配置されている。前記切断部30は、図4および図6(a)に示すように、供給ラインを挟んで対向する一対の切断刃34,34を備え、一方の切断刃34は識別標識用線材成形装置10のフレームに固定された固定刃であり、他方の切断刃34は、該フレームに固定された切断シリンダ35のロッド35Aに固定された移動刃である。従って、前記切断シリンダ35をロッド35Aが前進するように制御することで他方の切断刃34が一方の切断刃34へ移動して交差することで、両切断刃34,34により線素材Wを切断する。
【0020】
(第1成形部)
前記第1成形部31は、図6(b)および図6(c)に示すように、識別標識用線材120における前記掛止部123を成形する機構部であり、該掛止部123の前記第1掛止部123Aを成形する第1折曲げ機(第1折曲げ手段)37と、該掛止部123の前記第2掛止部123Bを成形する第2折曲げ機(第2折曲げ手段)38とを備えている。第1折曲げ機37は、供給ラインに沿って配設された第1型ブロック39と、供給ラインを挟んで該第1型ブロック39に対向配置された第1押圧体40と、この第1押圧体40にロッド41Aの先端が連結された第1シリンダ41と、線素材Wを把持する第1把持体42(図4参照)とを備えている。前記第1押圧体40は、支軸を中心として旋回移動が可能となっており、側方へL字形に延出して先端にローラを備えた押圧部40Aを備えている。そして第1押圧体40は、第1シリンダ41をロッド41Aが後退するよう作動させると押圧部40Aが供給ラインから退避する退避位置に移動し(図6(b)に2点鎖線で表示)、第1シリンダ41をロッド41Aが前進するよう作動させると、押圧部40Aが供給ラインを越えて第1型ブロック39における供給ラインと斜めに交差する壁面39Aに近接する押圧位置に移動するように構成されている。従って第1折曲げ機37は、第1押圧体40を押圧位置まで姿勢変位させることで、線素材Wを第1型ブロック39の角部に対応する部分を中心として鈍角(実施例では130〜140度程度)に折曲げて、掛止部123の第1掛止部123Aを成形することが可能となっている。
【0021】
第2折曲げ機38は、図6(c)に示すように、図示省略した駆動手段により回転可能な回転体43と、この回転体43の回転中心に立設された第1ピン44と、この第1ピン44から離間した位置に配設された第2ピン45とを備えており、回転体43が回転することで、第1ピン44を中心として第2ピン45が円弧状に移動するよう構成されている。すなわち第2折曲げ機38は、前記第1折曲げ機37により折曲げられた線素材Wを挟んだ両側に第1ピン44および第2ピン45が位置するようにして、回転体43を図6(c)において時計方向へ回転させることで、第2ピン45の円弧移動に伴って該線素材Wを第1ピン44を中心として鋭角(実施例では40〜50度程度)に折曲げて、掛止部123の第2掛止部123Bを成形するように構成されている。
【0022】
(識別標識セット部)
前記識別標識セット部32は、図4および図5(a)に示すように、前記識別標識発行部22で発行された識別標識Tを、供給ラインと直交する向きで、かつ該識別標識Tに設けられた掛止孔T1(図5(a)参照)を該供給ラインに整合した状態で保持するように構成されている。そして識別標識セット部32は、供給ラインに沿って供給される線素材Wが前記掛止孔T1を貫通する際に、該識別標識Tがずれ動くのを規制する保持部(図示せず)を備えている。従って、識別標識Tを供給ラインと直交する向きで保持したもとで、掛止孔T1に対して線素材Wをスムーズに挿通させることができる。
【0023】
(第2成形部)
第2成形部33は、図5(b)〜図5(d)に示すように、識別標識用線材120における前記識別標識取付部122を成形する機構部であり、供給ラインに沿って配設された第2型ブロック47と、供給ラインを挟んで該第2型ブロック47に対向配置された第2押圧体(折曲げ手段)48と、この第2押圧体48にロッド49Aの先端が連結された第2シリンダ49と、線素材Wを把持する第2把持体50(図4参照)とを備えている。前記第2押圧体48は、支軸を中心として旋回移動が可能となっており、側方へL字形に延出して先端にローラを備えた押圧部48Aを備えている。そして第2押圧体48は、第2シリンダ49をロッド49Aが後退するよう作動させると押圧部48Aが供給ラインから退避する退避位置に移動し(図5(b)に2点鎖線で表示)、第2シリンダ49をロッド49Aが前進するよう作動させると、押圧部48Aが供給ラインを越えて第2型ブロック47における供給ラインと直交する壁面47Aに近接する押圧位置に移動するように構成されている。従って第2成形部33は、供給ラインに沿って供給された線素材Wが退避位置に停止している第2押圧体48より下流側まで移動した状態で、該第2押圧体48を押圧位置まで回転させることで、線素材Wを第2型ブロック47の角部に対応する部分を中心として曲げ角が該角部の角度(実施例では90度程度)に折曲げることが可能となっている。
【0024】
(識別標識発行部)
識別標識発行部22は、図4に示すように、パソコンやプリンタ等を備えた発行ユニット22Aと、発行された識別標識Tを前記識別標識セット部32へ送出する送出部22Bとを備えている。識別標識Tは、紙製またはビニール製等のシート材であり、前述したように線素材Wの挿通が許容される掛止孔T1が設けられていると共に、前記結束集合体125を構成する結束対象物126の製品情報や発送先等の各種情報が記載される。そして、発行ユニット22Aで発行された識別標識Tは、前記送出部22Bを介して前記識別標識セット部32へ送出される。
【0025】
前述のように構成された識別標識用線材成形装置10では、前記第2成形部33による前記識別標識取付部122の成形工程(以降「第1識別標識用線材成形工程」という)(図5)と、前記第1成形部31による前記掛止部123の成形工程(以降「第2識別標識用線材成形工程」)(図6)とを実行することで、図3に示す形状をなす前記識別標識用線材120の成形を行なう。前記第1識別標識用線材成形工程の実行に先立ち、前記供給部20における送り装置25を作動させ、ロールW1から引き出した線素材Wを、矯正部24で矯正しながら成形部21へ送り出す。なお、図5および図6では、識別標識用線材120の各部寸法比率や形状はデフォルメして示している。
【0026】
前記第1識別標識用線材成形工程では、先ず、前記識別標識発行部22により識別標識Tを発行して、発行された該識別標識Tを前記識別標識セット部32にセットする。そして、図5(a)に示すように、成形部21へ送り出された線素材Wを、識別標識セット部32にセットした識別標識Tの掛止孔T1を貫通させ、第2成形部33より下流側の所定位置に先端が位置するまで移動させる。線素材Wの先端を識別標識Tを貫通して所定の位置まで進ませると、図5(b)に示すように、前記送り装置25を一時停止させた後、前記第2成形部33を作動させて第2押圧体48を退避位置から押圧位置へ移動させることで、線素材Wを第2型ブロック47の角部によって折曲げる(第1折曲げ加工)。第1折曲げ加工が完了したら、第2成形部33を逆作動させて第2押圧体48を退避位置まで戻した後、前記送り装置25を再起動させて線素材Wを更に所定長だけ前進させ、再び送り装置25を一時停止させて線素材Wを停止させる(図5(c)の2点鎖線状態)。そして、図5(c)に示すように、前記第2成形部33を作動させて第2押圧体48を退避位置から押圧位置へ移動させることで、線素材Wを第2型ブロック47の角部によって折曲げる(第2折曲げ加工)。第2折曲げ加工が完了したら、第2成形部33を逆作動させて第2押圧体48を退避位置まで戻した後、前記送り装置25を再起動させて線素材Wを更に所定長だけ前進させ、再び送り装置25を一時停止させて線素材Wを停止させる(図5(d)の2点鎖線状態)。そして、図5(d)に示すように、前記第2成形部33を作動させて第2押圧体48を退避位置から押圧位置へ移動させることで、線素材Wを第2型ブロック47の角部によって折曲げる(第3折曲げ加工)。このように第1識別標識用線材成形工程では、前記第1折曲げ加工〜第3折曲げ加工を実行して線素材Wにおける長手方向の一方の端部側を順次折曲げることで、線素材Wにおける長手方向の一端側に略矩形をなす環状の識別標識取付部122が成形される。なお、第1折曲げ加工〜第3折曲げ加工を行なうことで、線素材Wの先端は識別標識Tより上流側において線状本体部121と交差するようになり、識別標識取付部122に識別標識Tが脱落不能に保持される。
【0027】
前記第2識別標識用線材成形工程では、先ず図6(a)に示すように、識別標識取付部122を成形した線素材Wを、前記切断部30により識別標識用線材120に適した長さに切断する。次いで、図6(b)に示すように、前記第1成形部31の第1折曲げ機37を作動させて第1押圧体40を退避位置から押圧位置へ移動させることで、切断した線素材Wを第1型ブロック39の角部により折曲げて、掛止部123における第1掛止部123Aを成形する(第4折曲げ加工)。第4折曲げ加工が完了したら、図6(c)に示すように、第1成形部31の前記第2折曲げ機38を作動させて、切断した線素材Wの後端側を該第2折曲げ機38の第1ピン44を中心として折曲げて、掛止部123における第2掛止部123Bを成形する。
【0028】
前記識別標識用線材成形装置10による第1識別標識用線材成形工程および第2識別標識用線材成形工程を実行して成形された識別標識用線材120は、図3に示すように、直線の線状本体部121の長手方向における一方の端部側に成形された識別標識取付部122が、線素材Wの先端部分が線状本体部121と交差すると共に接触して閉じた矩形の環状となっており、取付けた識別標識Tの脱落を防止するように構成されている。また、線状本体部121の長手方向における他方の端部側に形成された掛止部123は、線状本体部121の長手方向に対する第1掛止部123Aの角度(第1角度)θ1が130〜140度程度に設定されている。そして、第1掛止部123Aの延在方向に対する第2掛止部123Bの角度(第2角度)θ2が40〜50度程度に設定されており、該第2掛止部123Bは線状本体部121から所要距離離間した位置で該線状本体部121と略平行となっている。また、第1掛止部123Aと第2掛止部123Bとの間に成形された折曲げ部123Cは、その内周面が前記結束線材127の外周面と略同じ曲率で湾曲しており、例えば結束線材127の外径が10mm(半径5mm)であれば、折曲げ部123Cの内周面は半径5mmの曲面となっている。
【0029】
前記第2掛止部123Bは、前記線状本体部121と平行となる必要はなく、折曲げ部123Cから先端に向かうにつれて線状本体部121から徐々に離れるよう斜めに成形したり、折曲げ部123Cから先端に向かうにつれて線状本体部121に徐々に近づくよう斜めに成形してもよい。すなわち、前記線状本体部121に対する第1掛止部123Aの角度θ1と第1掛止部123Aに対する第2掛止部の角度θ2との和は、180度以上であってもよいし180度以下であってもよく、望ましくは、θ1+θ2が170〜190度程度の範囲となるように設定される。
【0030】
(識別標識用線材取付装置)
前記識別標識用線材取付装置12は、前記識別標識用線材成形装置10で成形されて所定の姿勢に位置決めされて待機している識別標識用線材120を、前記受取り位置において把持すると共に、該識別標識用線材120を把持しながら前記取付け位置まで移動した後に、前記セット部11に停止して位置決めされた前記結束集合体125に対し、結束線材127に引掛けて掛止すると共に該結束集合体125に取付けるように構成されている。この識別標識用線材取付装置12は、図1、図7〜図9に示すように、多関節タイプのアーム13Aを備えたロボット(移動手段)13と、前記アーム13Aの先端に取付けられた取付支持体65に取付けられた把持手段60、係止手段61、測定手段62、変形手段63および押圧手段64を備えている。前記ロボット13は、アーム13Aの屈伸運動および旋回運動の複合動作による多軸制御(実施例では6軸制御)が可能で、前記取付支持体65を様々な方向へ平行移動させたり旋回移動させ得るようになっており、これにより前記把持手段60、係止手段61、測定手段62、変形手段63および押圧手段64は様々な姿勢へ変位することが可能となっている。なお、以下の説明では、特別な指示がなければ、図1における2点鎖線の取付け位置において、図1における左右方向を識別標識用線材取付装置12の「左右方向」、図1における上下方向を識別標識用線材取付装置12の「前後方向」、図7における上下方向を識別標識用線材取付装置12の「上下方向」とする。また結束集合体125は、セット部11に停止している状態において、その長手方向が左右方向に一致している。
【0031】
(取付支持体)
前記取付支持体65は、図7〜図9に示すように、前記アーム13Aの先端に取付けられる横板部と、この横板部の後端から下方へ延出して横長に成形された縦板部とを備え、前記横板部の上面には、前記アーム13Aの先端に連結される円形の取付板66が配設されている。前記取付支持体65には、その左右略中央に前記把持手段60が配設され、この把持手段60の左方に前記係止手段61が配設されると共に、前記把持手段60の右方に前記変形手段63が配設されている。また取付支持体65には、前記変形手段63の右後方に前記測定手段62が配設され、前記把持手段60の後側に前記押圧手段64が配設されている。
【0032】
(把持手段)
前記把持手段60は、図7および図9に示すように、前記取付支持体65の横板部から垂下したシリンダ等からなる作動機構68の下端に、前後方向へ延在するよう配設されたガイドレール69と、このガイドレール69に摺動可能に配設された一対の把持部70,70とを備えている。ガイドレール69は、下方に開口すると共にこの開口した部分より上方が幅広に形成され、前記把持部70,70を垂下状態でスライド可能に支持することが可能となっている。前記各把持部70,70は、図7および図9に示すように、前記ガイドレール69に摺動可能に係合する基部70Aと、この基部70Aに取付けられると共に左右へ分岐して下方へ平行に垂下する把持片70B,70Bとを備えている。また各把持部70,70は、両把持片70B,70Bにおける他方の把持部70の把持片70B,70Bに対向する部位に、前記識別標識用線材120の線状本体部121に接触する当接凹部70Cが設けられている。従って把持手段60は、前記作動機構68を作動させることにより、各把持部70,70がガイドレール69に沿って前後方向に移動し、各把持片70B,70Bが互いに近接移動して前記識別標識用線材120を把持する「把持位置」と、各把持部70,70が離間移動して各把持片70B,70Bによる識別標識用線材120の把持を解除する「解除位置」とに変位可能となっている。なお各把持部70,70は、前述したように2つに分岐して左右方向に離間した2つずつの当接凹部70C,70Cを備えているので、識別標識用線材120を左右方向に離間した2カ所で安定的に保持し得る。
【0033】
また把持手段60は、図7および図8に示すように、前記各把持部70,70を前後方向から挟むように当接して、両把持部70,70の離間方向の移動を規制する規制機構71を備えている。この規制機構71は、シリンダ72と、該シリンダ72のロッドに配設されて把持部70に当接する規制体73とからなる。前記規制体73は、図7に示すように、前後に長くかつ前端部および後端部が右方へ突出したブロック体であり、シリンダ72をロッドが前進するよう作動することで(図7に2点鎖線で示す)、該規制体73の前端突部および後端突部が各把持部70,70における把持片70B,70Bに前後から当接可能な「規制位置」となり、該シリンダ72をロッドが後退するよう作動することで(図7に実線で示す)、該規制体73が把持部70に当接不能な「非規制位置」となるように構成されている。このような規制機構71は、後述するように、各把持部70,70が前記把持位置にある際に前記規制位置とすることで、前記把持位置と解除位置との間の状態である「準把持位置」に各把持部70,70を停止させるために機能する。この準把持位置とは、識別標識用線材120が各把持部70,70からずれ落ちることが規制されるが、識別標識用線材120が線状本体部121の長手方向へ移動することは許容されるように各把持部70,70が識別標識用線材120を把持する状態を意味する。すなわち、規制機構71を規制位置として把持手段60を前記準把持位置とした場合には、後述するように、結束集合体125における結束線材127に取付けた識別標識用線材120に対して、把持部70,70が線状本体部121の長手方向へ移動して線状本体部121を把持する位置が変更可能となる。
【0034】
(係止手段)
前記係止手段61は、図7、図8および図10に示すように、前記取付支持体65の前側において左右方向へスライド移動可能に配設された第1スライド体75と、この第1スライド体75の前側において上下方向へスライド移動可能に配設された第2スライド体76と、この第2スライド体76の前側下部に配設された前記係止部77とを備えている。前記第1スライド体75は、前記取付支持体65の前側において上下に離間して左右へ平行に延在するよう配設されたガイドバー78,78に摺動可能に配設されており、図示省略したシリンダ等の作動機構により各ガイドバー78,78に沿って左右方向へスライド移動する。前記第2スライド体76は、前記第1スライド体75の前側において左右に離間して上下へ平行に延在するよう配設されたガイドレール79,79に摺動可能に配設されており、図示省略してエアシリンダ等の作動機構により各ガイドレール79,79に沿って上下方向へスライド移動する。前記係止部77は、矩形のブロック体であり、前記識別標識用線材120の掛止部123における第2掛止部123Bが挿通可能な係止孔80が、対向する壁面に開口するよう貫通成形されている。また係止部77は、前記第2スライド体76の下部に前方へ突出した支軸81に取付けられ、該支軸81を中心とした回転が自在となっている。なお係止部77は、該係止部77の重心からずれた位置において前記支軸81に取付けられており、掛止部123の第2掛止部123Bが係止孔80に挿通していない状態では、該係止孔80が水平となって左右に開口した姿勢(図7の状態)になるように設定されている。
【0035】
前記係止手段61は、図10(a)に示すように、第1スライド体75を右方に移動させると共に、第2スライド体76を下方へ移動させた状態で、該第1スライド体75を左方へ移動させると、前記把持部70,70で把持した前記識別標識用線材120における掛止部123の第2掛止部123Bが、前記係止部77の係止孔80に挿通し得るように構成されている。更に係止手段61は、図10(b)に示すように、前記把持部70,70が識別標識用線材120を把持している条件のもとで、図10(a)の状態から、第1スライド体75を右方(把持部70から離間する方向)へ移動させると共に、第2スライド体76を必要に応じて適宜昇降移動させることで、第2掛止部123Bを、折曲げ部123Cを中心として第1掛止部123Aと交差するように(前記角度θ2が小さくなる方向に)折曲げ得るようになっている。なお、前述したように、係止部77が第2スライド体76に回転自在に配設されているから、第2掛止部123Bの姿勢変位に応じて該係止部77が追従回転するようになり、該第2掛止部123Bの折曲げが規制されないようになっている。
【0036】
(変形手段)
前記変形手段63は、図7〜図9および図11に示すように、前記取付支持体65の前側において上下方向へスライド移動可能に配設された昇降体85と、この昇降体85の下方において水平軸周りに左右方向へ回転可能に配設された変形部86とを備えている。前記昇降体85は、前記取付支持体65の右側上面に固定されたブラケット87の前側に配設されたガイド部88に、上下に延在して左右に平行に離間するように配設されて昇降移動が可能なスライドバー89,89の下端に固定されており、図示省略したエアシリンダ等の作動手段により各スライドバー89,89の上下移動に追従して昇降移動する。前記変形部86は、前記昇降体85に対して前後方向に延在するよう配設した回転支軸90に対して回転可能に支持された回転支持部91と、この回転支持部91に一体に成形されて左斜め下方へ延出した第1押圧レバー(第1押圧部)92と、該回転支持部91に一体に成形されて右斜め下方へ延出した第2押圧レバー(第2押圧部)93とを備えている。前記第1押圧レバー92および第2押圧レバー93は、両部間の角度が約90度に設定されており、各押圧レバー92,92の下端には、押圧ローラ92A,93Aが水平軸周りに回転可能に配設されている。なお、図7中の符号94は、昇降体85が上昇した位置において、前記変形部86の押圧ローラ92Aが当接して、該変形部86の回転支軸90を中心とした回転を規制する保持部材であり、押圧ローラ92Aが該保持部材94に当接することで変形部86のがたつきが防止される。
【0037】
そして前記変形手段63は、図11(a)に示すように、前記セット部11に位置決めして停止している前記結束集合体125に対し、該結束集合体125の端部125Bより右方に変形部86の回転支持部91が位置する一方、変形部86の第1押圧レバー92が該結束集合体125の外周部125Aの上方に位置すると共に、該変形部86の第2押圧レバー93が該結束集合体125より右方の上方に位置するように構成されている。従って変形手段63は、図11(a)に示すように、昇降体85を下方へ移動させる途中で、第1押圧レバー92の押圧ローラ92Aが結束集合体125の外周部125Aに近接するようになり、更に昇降体85を下方へ移動させると、図11(b)に示すように、第1押圧レバー92が外周部125Aに引掛かった状態となるため、変形部86は回転支軸90を中心として同図において時計方向へ回転するようになり、第2押圧レバー93の押圧ローラ93Aが結束集合体125の端部125Bに近接移動するようになっている。
【0038】
従って、前記把持部70で把持した前記識別標識用線材120を結束集合体125の上方にセットした状態で前記変形手段63の昇降体85を下方へ移動させた際には、図11(a)に示すように、該識別標識用線材120の線状本体部121における結束集合体125の外周部125Aに相対する第1部分121Aを第1押圧レバー92が押圧すると共に、線状本体部121における外周部125Aからはみ出た第2部分121Bを第2押圧レバー93が押圧するようになる。従って変形部86は、線状本体部121の第1部分121Aを結束集合体125の外周部125Aへ押すと共に第2部分121Bを下方へ押すことで、該線状本体部121を第1部分121Aと第2部分121Bとの間で折曲がるようにして該識別標識取付部122を結束集合体125の端部125Bに近接させ、該線状本体部121を結束集合体125の外周部125Aから端部125Bに亘って延在する屈曲した形状に変形させるように構成されている。
【0039】
(測定手段)
前記測定手段62は、結束集合体125に配設されている前記結束線材127に対して、前記識別標識用線材取付装置12により前記識別標識用線材120の掛止部123を引掛けるに際し、該掛止部123における第2掛止部123Bの先端を到来させて差込む差込み位置を決めるために使用される。すなわち測定手段62は、(1)結束集合体125の長手方向において、該結束集合体125の端部125Bから結束線材127の結束位置までの距離L(図13(a)参照)を測定することと、(2)結束集合体125の周方向において、該結束集合体125を構成する結束対象物126の外面と結束線材127との間に形成された隙間H(図14(b)参照)の位置を認識することに使用される。
【0040】
前記測定手段62は、結束集合体125の各結束対象物126や結束線材127に接触しない非接触式のセンサ装置であり、実施例ではレーザスキャナ方式の非接触センサが採用されている。この測定手段62は、図12に示すように、レーザ光を照射するレーザ照射部100と、該レーザ照射部100から照射されて測定対象物(実施例では、結束集合体125および結束線材127)により反射したレーザ光を受光する多数の受光素子を備えた受光部101と、レーザ照射部100から照射されたレーザ光を集光する集光レンズ102と、測定対象物で反射したレーザ光を受光部101に案内するレンズ103等を備えている。このような測定手段62は、レーザ照射部100と測定対象物との距離が異なるとレーザ光の反射角度が異なり、反射した該レーザ光を受光する受光素子が異なることを利用して、反射したレーザ光を受光部101におけるどの受光素子が受光するかで距離を測定するようになっている。
【0041】
前記(1)に係る距離Lの測定については、図13(a)に示すように、結束集合体125の端部125B側から外周部125Aに沿って該結束集合体125の長手方向に沿って前記測定手段62を移動させながら、レーザ照射部100から該外周部125Aまでの距離を連続的に測定することで、該外周部125Aの長手方向における外面形状が取得され、この測定データにより結束集合体125の外周部125Aの外面形状が測定される。このとき、図13(b)に示すように、結束線材127が結束集合体125の外周部125Aより外方へ突出しているから、図13(c)に示すように、測定された外形形状は結束線材127の部分において突出した形状となり、これにより端部125Bから結束線材127までの前記距離Lを測定することができる。そして、前記距離Lが測定されたことで、前記識別標識用線材取付装置12で把持した識別標識用線材120の掛止部123をセット部11に位置決めされた結束集合体125の結束線材127に引掛ける際に、該掛止部123における第2掛止部123Bの先端を到来させる左右方向(長手方向)の位置を、制御手段14で認識することができる。
【0042】
前記(2)に係る隙間Hの位置認識については、図14(a)に示すように、前記結束部材127の結束位置から適宜離間した位置において、セット部11にセットした結束集合体125の周方向に沿って前記測定手段62を移動させながら、レーザ照射部100から該外周部125Aまでの距離を連続的に測定する。このように距離を測定することで、結束集合体125の外周部125Aにおける周方向の所要範囲の外面形状が取得され、各結束対象物126による結束集合体125の外周部125Aの外形形状が測定される。このとき、結束集合体125の外周部125Aは、結束された各結束対象物126が周方向へ並んでいるため、図14(b)に示すように、測定された外形形状は、各結束対象物126の部分では凸となると共に、周方向に隣接する結束対象物126,126の間の部分では凹となっている。
【0043】
従って、前記結束集合体125の外周部125Aの測定された外形形状に基づいて、前記結束集合体125の外周に位置して周方向に隣接する結束対象物126と前記結束線材127との間にある前記隙間Hの形成位置を算出することができる。すなわち実施例では、図14(c)に示すように、前記測定手段62が測定した外周部125Aの外面形状において、前記結束集合体125の外周部125Aから突出した第1頂点P1と、この第1頂点P1から該結束集合体125の周方向に隣接して外周部125Aから突出する第2頂点P2とを抽出する。そして、前記第1頂点P1が現れる結束対象物126および前記第2頂点P2が現れる結束対象物126とを結ぶ接線106を算出して、前記接線106の前記外周部125A側を、前記隙間Hの形成位置として算出するようになっている。
【0044】
なお、図14(c)に示すように、前記結束対象物126が長尺丸棒の場合では、前記隙間Hは、前記第1頂点P1が現れる結束対象物126および前記第2頂点P2が現れる結束対象物126を結ぶ接線106において、両結束対象物126,126の接点位置の中間位置で該接線106に直交する垂線107の延長線上において結束線材127との距離が最大となる略三角形状をなしている。従って、前記接線106の中間位置から、該接線106と直交する垂線107の方向において、かつ該接線106から前記第2掛止部123Bの半径に相当する寸法以上で離間する位置に、該識別標識用線材120の第2掛止部123Bを差込むように設定するのが望ましい。これにより、前記識別標識用線材取付装置12で把持した識別標識用線材120の掛止部123を、セット部11に位置決めされた結束集合体125の結束線材127を引掛ける際において、該掛止部123における第2掛止部123Bの先端を到来させる前後方向(周方向)および上下方向の位置を、制御手段14で正確に認識することができる。
【0045】
従って実施例では、前記測定手段62で結束集合体125の長手方向および周方向における外周部125Aの各々の形状を認識することで、前記識別標識用線材取付装置12で把持した識別標識用線材120の掛止部123を、セット部11に位置決めされた結束集合体125の結束線材127を引掛ける際において、該掛止部123における第2掛止部123Bの先端を到来させる隙間Hの位置を正確に把握できる。
【0046】
(押圧手段)
前記押圧手段64は、図7および図9に示すように、前記取付支持体65の後側において上下方向へスライド移動可能に配設された昇降体110と、この昇降体110の下方において水平軸周りに前後方向へ回転可能に配設された押圧部111とを備えている。前記昇降体85は、前記取付支持体65の後面に固定されたガイド部112に、上下に延在して左右に平行に離間するように配設されて昇降移動が可能なスライドバー113,113の下端に固定されており、図示省略したエアシリンダ等の作動機構により各スライドバー113,113の上下移動に追従して昇降移動する。前記押圧部111は、前記昇降体110に対して左右方向に延在するよう配設した支軸114に対し、後部側が回転可能に支持され、前方へ延出して前記把持部70,70の左右両側に臨んでいる。また前記押圧部111は、前記支軸114の前側において、上下方向で圧縮変形が可能な圧縮バネ115により前記昇降体110に支持されており、該押圧部111は、下方から押されない場合には水平状態に保持されている。そして押圧部111は、前側部分が下方から強く押されると、前記圧縮バネ115が圧縮変形して、前記支軸114を中心として前上がり姿勢へ変位可能となっている。前記押圧手段64は、図18に示すように、前記変形手段63による識別標識用線材120の変形工程が終了した後に、前記昇降体85を下方へ移動させて、識別標識用線材120における掛止部123の第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bに対して押圧部111を上方から押付け、該第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bを結束集合体125の外周部125Aに近づけるように整形する。
【0047】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の識別標識取付システムの作用について説明する。実施例の識別標識取付システムSでは、前記識別標識用線材成形装置10による識別標識用線材120の成形工程と、前記測定手段62による結束集合体125の外周部125Aの外面形状の測定による隙間Hの位置測定工程と、前記識別標識用線材取付装置12による識別標識用線材120の結束線材127への掛止工程と、識別標識用線材120を結束集合体125に対して沿う形状に成形する識別標識用線材成形工程とを実行する。
【0048】
(識別標識用線材成形工程)
識別標識用線材成形工程では、前述すると共に図5および図6に示すように、識別標識用線材成形装置10により、ロールW1から引出した線素材Wを折曲変形することで、長手方向の一端側に、識別標識Tを取付けた識別標識取付部122が設けられると共に、長手方向の他端側に、第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bからなる掛止部123を設けた識別標識用線材120を成形する。なお、識別標識用線材成形工程により成形された識別標識用線材120は、図4に示すように、識別標識用線材成形装置10の成形部21における待機位置に、線状本体部121が前後方向に水平に延在すると共に、識別標識取付部122が水平左側に延出すると共に掛止部123が水平右側に延出した姿勢で保持され、前記識別標識用線材取付装置12における把持部70,70が、水平左方向から把持可能な姿勢で待機保持される。
【0049】
(隙間位置測定工程)
隙間位置測定工程では、他工程において、結束線材127により結束対象物126を結束して構成された結束集合体125が、セット部11に搬送されて該セット部11に位置決めされて停止したら、図13および図14に示すように、前記測定手段62により該結束集合体125の外周部125Aの外面形状の測定を行ない、前記隙間Hの位置を測定する。なお、この隙間位置測定工程は、前記識別標識用線材成形工程と並行して行なうことが可能である。また、前記セット部11に対する前記結束集合体125の搬送および位置決めも、前記識別標識用線材成形工程と並行して行なうことが可能である。
【0050】
(識別標識用線材掛止工程)
前記識別標識用線材成形工程において前記識別標識用線材120の成形が完了すると共に、前記隙間位置測定工程において第2掛止部123Bの先端の差込まれる隙間Hが測定されたら、識別標識用線材掛止工程を実行する。この識別標識用線材掛止工程では、先ず識別標識用線材取付装置12の取付支持体65を識別標識用線材成形装置10の左側方へ移動させ、成形部21に前述した規定の姿勢で待機している識別標識用線材120に対して把持手段60の各把持部70,70を左方から水平に接近させ、該識別標識用線材120の線状本体部121の所定位置を、把持位置に移動させた各把持部70,70で上下方向から把持する。なお、前記識別標識用線材120は、識別標識用線材成形装置10において正確な形状に成形されると共に、前述した規定の姿勢で正確に位置決めされて保持されており、また把持手段60の各把持部70,70により把持する位置も正確に規定されているため、識別標識用線材取付装置12は、把持した識別標識用線材120の掛止部123における第2掛止部123Bの先端の位置を正確に認識している。
【0051】
そして、把持部70,70による線状本体部121の把持が完了したら、ロボット13の動作により、把持手段60の各把持部70,70が垂直となるように姿勢変位させながら識別標識用線材取付装置12をセット部11の上方へ移動させ、図15(a)に2点鎖線で示すように、把持している識別標識用線材120の掛止部123における第2掛止部123Bの先端を、前記隙間位置測定工程で決定された隙間Hに位置決めさせる。このとき識別標識用線材取付装置12は、前述したように、第2掛止部123Bの先端の位置を正確に認識しているので、該第2掛止部123Bの先端を前記隙間Hに対して正確に位置決めすることができる。前記掛止部123における第2掛止部123Bの先端の位置決めが完了したら、ロボット13の動作により前記把持手段60を右方向へ水平に移動させて該第2掛止部123Bを隙間Hへ差込み、掛止部123の折曲げ部123Cが結束線材127に接触するようにする。
【0052】
前記隙間Hに対する第2掛止部123Bの差込みが完了したら、図15(b)に示すように、前記ロボット13の動作により前記取付支持体65を右上がりの傾斜状に姿勢変位させる。これにより、掛止部123の第2掛止部123Bは、先端側が結束集合体125の外周部125Aから上方へ移動するので、前記係止手段61を作動させて、第2スライド体76が下方に移動している状態で第1スライド体75を左方へ移動させ、係止部77の係止孔80に第2掛止部123Bを挿通させる。
【0053】
係止部77の係止孔80に対する第2掛止部123Bの挿通が完了したら、図16(a)に示すように、ロボット13を作動させて前記取付支持体65を元の水平状態に姿勢変位させ、係止手段61の第1スライド体75を更に左方へ移動させると共に、第2スライド体76を適宜上下に移動させることで、第1掛止部123Aに対して第2掛止部123Bが折曲げ部123Cを中心として左方へ折曲げられ、該第2掛止部123Bが結束線材127に巻付けられる。また、この際に、識別標識用線材取付装置12を全体的に右方へ適宜移動させることで、掛止部123の第1掛止部123Aが右方へ引張られるため、該第1掛止部123Aと第2掛止部123Bとが結束線材127を締め付けるように該結束線材127に巻付けられる。また、第2掛止部123Bを折曲げる際に、図16(b)に示すように、識別標識用線材取付装置12を、前記折曲げ部123Cを中心として平面視において時計方向へ所要角度だけ回転させることで、第1掛止部123Aと第2掛止部123Bが水平方向で捻られるようになるから、両掛止部123A,123B間に隙間が形成されないようにすることができる。
【0054】
(識別標識用線材取付成形工程)
回転させた前記識別標識用線材取付装置12を元の姿勢に戻して前記識別標識用線材掛止工程が完了したら、識別標識用線材取付成形工程を実行する。この識別標識用線材取付成形工程では、先ず図17(a)に示すように、前記測定手段62により測定された前記結束集合体125の端部125Bから結束線材127の結束位置までの距離Lに基づき、変形手段63の左右方向の位置決めを行なう。すなわち、識別標識用線材120に対する把持手段60の把持部70,70による把持位置は一定であるが、前記結束部材127の結束位置が各結束集合体125毎に異なるため、前記把持手段60の前記規制機構71を規制位置として、各把持部70,70を前記準把持位置に変更して識別標識用線材120を把持する位置を変更可能な状態とし、測定された前記距離Lに基づいて、識別標識用線材120に対する把持手段60の把持部70,70が把持する位置を調整して、前記変形手段63が結束集合体125の端部125Bに対して適切な位置となるようにする。
【0055】
前記結束集合体125に対する前記変形手段63の位置合わせが完了したら、把持手段60の把持部70,70は前記準把持位置に保持すると共に、係止手段61の第1スライド体75を左方へ移動させて第2掛止部123Bと係止部77との係止を解除させる。そして、図17(a)に示すように、前記変形手段63を作動させて昇降体85を下方へ移動させ、変形部86の第1押圧レバー92および第2押圧レバー93で、識別標識用線材120の線状本体部121に上方から押下げる。これにより、図17(b)に示すように、第1押圧レバー92が線状本体部121の第1部分121Aを結束集合体125の外周部125Aに押付けるので、変形部86は回転支軸90を中心として同図において時計方向へ回転するようになる。そして、第2押圧レバー93が線状本体部121の第2部分121Bを押下げるため、該第2部分121Bは結束集合体125の端部125Bに近接し、該線状本体部121は第1部分121Aと第2部分121Bとの間に折曲がる。従って識別標識用線材120は、線状本体部121が略L字形に変形して、結束集合体125の外周部125Aから端部125Bに沿う形状に成形される。
【0056】
前記変形手段63による識別標識用線材120の成形が完了したら、図18に示すように、前記把持手段60の各把持部70,70を解除位置として識別標識用線材120の把持を解除した後、前記押圧手段64を作動させて押圧部111を下方へ移動させ、結束集合体125の外周部125Aから浮き上がっている掛止部123の第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bを、該押圧部111で上方から押圧する。これにより、掛止部123の第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bは、結束集合体125の外周部125Aに押付けられて該外周部125Aに沿うように成形される。
【0057】
前記識別標識用線材成形装置10で成形された実施例の識別標識用線材120は、識別標識取付部122が環状に成形されているので、該識別標識取付部122に取付けた識別標識Tが当該識別標識用線材120から脱落するのを防止し得る。また掛止部123が、第1掛止部123Aおよび該第1掛止部123Aに対して鋭角に折り返された第2掛止部123Bから鉤状に成形されているので、第1掛止部123Aと第2掛止部123Bとの間に位置する折曲げ部123Cの内周面側に、結束集合体125を構成する結束線材127を位置させ、該第2掛止部123Bを識別標識取付部122と反対側へ折曲げることで、掛止部123を該結束線材127に適切に巻付けて掛止することができる。これにより識別標識用線材120を、結束集合体125から脱落することなく保持し得る。また、前記折曲げ部123Cは、前記結束線材127の外周面に整合する内周面形状に曲げて成形されているので、第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bが折曲げ部123Cで折曲げられる際に、掛止部123を該結束線材127に密着した状態で巻付け易くなり、掛止部123と結束線材127とのがたつきを最小限にし得る。
【0058】
実施例の識別標識取付システムSにより、結束線材127に掛止して結束集合体125に取付けられた識別標識用線材120は、図2に示すように、線状本体部121が該結束集合体125の外周部125Aから端部125Bに亘って折曲げられており、該結束集合体125に対して安定的に取付けられる。そして、識別標識取付部122が結束集合体125の端部125Bに隣接して位置しているので、結束集合体125が積み重ねられた場合でも識別標識Tを容易に確認することができる。また、結束線材127に巻付けて掛止された掛止部123が、結束集合体125の外周部125Aから浮き上がった状態となっていないので、結束集合体125を積み重ねた際に上側の結束集合体125に該掛止部123が引掛かったり、別のものが引掛かることを防止し得る。
【0059】
そして、実施例の識別標識取付システムSによれば、識別標識用線材成形装置10により、識別標識Tを取付けた識別標識用線材120を自動的に成形することができると共に、識別標識用線材取付装置12により、前記識別標識用線材成形装置10で成形された識別標識用線材120を、結束集合体125に対して結束線材127を利用して取付けることができる。すなわち、識別標識用線材120の成形作業、セット部11に対する結束集合体125の搬入・搬出作業、セット部11にセットした結束集合体125に対する前記識別標識用線材120の取付作業を、一連の連続した工程として全自動で行なうことができるから、該識別標識用線材120の結束集合体125への取付けを正確かつ効率よく行なうことができる。また、識別標識用線材120の成形作業および該識別標識用線材120の結束集合体125への取付作業に際して人手を必要としないので、作業環境が非常に悪い中で作業員が作業するのを回避できる。
【0060】
前記識別標識用線材取付装置12は、非接触センサタイプの測定手段62により結束集合体125の外周部125Aの外面形状が把握され、これにより得られた外面形状のデータから、結束集合体125の外周部125Aにおいて突出した第1頂点P1と、周方向において該第1頂点P1に隣接して突出した第2頂点P2とを抽出するようにしたので、該外周部125Aと結束線材127との間に形成された隙間Hの位置を正確に測定することができる。従って、識別標識用線材120の掛止部123における第2係止部123Bの先端を該隙間Hへ正確に位置決めして差込むことができ、該識別標識用線材120を結束集合体125を構成する結束線材127へ正確かつ確実に掛止させることができる。また前記測定手段62は、結束集合体125における結束対象物126の外周面に接触することなく該結束集合体125の外周部125Aの形状を認識することができ、該結束対象物126の外周面に傷が付くことを防止し得る。
【0061】
また、前記識別標識用線材取付装置12は、結束集合体125の外周部125Aと結束線材127との間に画成された隙間Hに差込んだ識別標識用線材120の掛止部123の先端側を係止手段61の係止部77で係止すると共に、該識別標識用線材120の線状本体部121を把持手段60の把持部70,70で把持したもとで、把持部70,70と係止部77とを互いに離間する方向へ移動させて第2掛止部123Bを結束線材127に巻付けるので、該掛止部123を結束線材127に確実に掛止することができる。従って、結束線材127に対する掛止部123の掛止状態が適切に維持され、結束集合体125の保管中や移送中に、識別標識用線材120が結束線材127から離脱して結束集合体125から脱落することを好適に防止し得る。
【0062】
また、前記識別標識用線材取付装置12は、変形手段63の第1押圧レバー92および第2押圧レバー93で識別標識用線材120の線状本体部121を押圧することで、該線状本体部121を結束集合体125の外周部125Aから端部125Bに亘って折曲がった形状に変形させることができる。従って、前記識別標識用線材取付装置12は、識別標識用線材120の識別標識取付部122に取付けた識別標識Tを結束集合体125の端部125Bの外方に位置させることができると共に、識別標識用線材120を結束集合体125に対してがたつくことなく安定的に保持させることができる。
【0063】
更に、前記識別標識用線材取付装置12は、押圧手段64の押圧部111により、結束線材127に巻付けて掛止した掛止部123の第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bを結束集合体125の外周部125Aに押付けるようになっているので、該第1掛止部123Aおよび第2掛止部123Bが、該結束集合体125の外周部125Aから浮上がった状態となることを防止できる。従って前記識別標識用線材取付装置12は、結束集合体125の移送途中や保管中に、該掛止部123が他の結束集合体125や他部材に引掛かることを防止し得る。
【0064】
更に、前記識別標識用線材成形装置10は、第1成形部31および第2成形部33を備えたことにより、識別標識取付部122および掛止部123を備えた識別標識用線材120を、正確な寸法で成形し得ると共に、効率よく低コストで成形することができる。
【0065】
(変更例)
本発明に係る結束集合体の隙間位置測定方法および本発明に係る結束集合体の隙間位置測定方法が実施される識別標識取付システムは、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)前記測定手段62による結束集合体125における外周部125Aの外面形状の測定に基づく前記隙間Hの位置測定方法については、実施例に示す方法の他に、次のような方法によっても該隙間Hの算出が可能である。すなわち、実施例と同様に、前記測定手段62により結束集合体125の外周部125Aの周方向における外面形状の測定データを取得して、前記測定手段62により得られた外面形状の測定データから、図19に示すように、結束集合体125の外周部125Aから突出した部分(以降「頂点」という))P1を抽出する。そして、結束対象物126の最大幅Dが予め把握されているから、該結束対象物126の最大幅Dの1/2(0.5D)分だけ周方向へ離間した位置を、前記隙間Hの形成位置と算出する。なお実施例では、結束対象物126が丸棒であるから、最大幅Dは該結束対象物126の直径であり、頂点P1から半径(0.5D)分だけ周方向へ離間した位置において、該頂点P1より外周部125A側に凹むように隙間Hが形成されている。従って、変更例の隙間位置測定方法においても、結束集合体125の外周部125Aと結束線材127との間に形成された隙間Hの位置が正確に算出され、識別標識用線材120の掛止部123における第2掛止部123Bの先端を該隙間Hへ正確に位置決めして差込むことができ、該識別標識用線材120を結束線材127へ正確かつ確実に掛止させることを可能とする。
【0066】
(2)図20は、別形態の識別標識用線材120を、結束集合体125を構成する結束線材127に取付けた状態を示す斜視図である。この別形態の識別標識用線材120は、線状本体部121における結束集合体125の端部125Bに沿う部分の中途部分を更に折曲げ、該中途部分から識別標識取付部122側を、結束集合体125の端部125Bから離間する方向に延出する第3部分121Cとしたものである。このような別形態の識別標識用線材120では、識別標識取付部122が結束集合体125の端部125Bから離間しているので、該識別標識取付部122に取付けられた識別標識Tも該端部125Bから離れて取付けられており、該識別標識Tが結束集合体125の結束対象物126に直接に接触することが防止される。従って、例えば結束集合体125の各結束対象物126が高温になっていた場合でも、識別標識Tが該結束対象物126に接触しないので、該識別標識Tが熱により変形したり変色することを回避できる利点がある。
【0067】
図20に示す別形態の識別標識用線材120を成形するための識別標識用線材取付装置12は、図21(a)および図21(b)に示すように、前記実施例の識別標識用線材取付装置12を基本として、更に第2の変形手段130が追加装備されている。なお、前記把持手段60、係止手段61、測定手段62、変形手段63および押圧手段64は変更がないので、ここでは説明は省略する。第2の変形手段130は、取付支持体65の右端部に設けた支持部131に垂直に支持されて昇降移動が可能な2本のガイドバー132,132の下端に配設された昇降体133と、この昇降体133の下側に垂下状態で配設された係止把持部134とを備えている。また、前記支持部131には、該支持部131を上下に貫通すると共に圧縮コイルバネ136が外装された作動バー135が配設され、該作動バー135の下端が前記昇降体133の上面に連結されており、前記圧縮コイルバネ136の伸び方向の付勢力により、該昇降体133は常に上昇方向へ付勢されている。なお圧縮コイルバネ136は、識別標識用線材120の線状本体部121が下方へ折曲げられる際に圧縮方向へ変形し、変形手段63の第2押圧レバー93の押圧ローラ93Aの下方への移動に合わせて昇降体133が下方へ移動することを許容するように構成されている。また前記係止把持部134は、作動機構137と、該作動機構137により作動されて、前記識別標識用線材120の線状本体部121における前記第2部分121Bに係脱可能に係止する一対の係止把持体138,138とを備えている。なお、係止把持体138,138は、識別標識用線材120の線状本体部121を遊嵌状態で係止し、該識別標識用線材120が線状本体部121の長手方向へ移動を許容しながら係止するようになっている。
【0068】
前述のように構成された第2の変形手段130は、図21(a)および図21(b)に実線で示すように、前記識別標識用線材取付成形工程において、識別標識用線材120に対する把持手段60の把持部70,70が把持する位置の調整を行なう際に、該識別標識用線材120の線状本体部121における第2部分121Bに、前記作動機構137を作動させて係止把持体138,138を係止させる。そして、第2の変形手段130が識別標識用線材120の線状本体部121に係止した状態で、前記変形手段63を作動させて昇降体85を下方へ移動させ、変形部86の第1押圧レバー92および第2押圧レバー93で該識別標識用線材120の線状本体部121に上方から押下げる。そして、線状本体部121が第1部分121Aと第2部分121Bとの間で折曲がる際に、該第2の変形手段130の係止把持部134が該第2部分121Bに係止されているので、該第2の変形手段130の係止把持部134は、下方へ押下げられる第2部分121Bにより、前記圧縮コイルバネ136の付勢力に抗して下方へ移動する。この際に、第2部分121Bが、第2押圧レバー93の押圧ローラ93Aに接触する部分において折曲げられる。すなわち、識別標識用線材120の線状本体部121は、前記変形手段63の変形部86における第1押圧レバー92および第2押圧レバー93により第1部分121Aと第2部分121Bとの間で折曲げられ、該第2押圧レバー93および第2の変形手段130の係止把持体138,138により該第2部分121Bが更に反対に折曲げられ、該線状本体部121をクランク形状に成形することができる。なお、前記第2の変形手段130における前記圧縮コイルバネ136を、特性(ばね定数等)が異なるものを選択して使用することで、線状本体部121における第2部分121Bと第3部分121Cの折曲角度を、直角だけでなく鈍角または鋭角に成形することもできる。
【0069】
(3)識別標識取付システムSの前記識別標識用線材成形装置10および前記識別標識用線材取付装置12の配置位置は、図1に示す配置位置に限定されず、前記識別標識用線材成形装置10および前記識別標識用線材取付装置12は、直列に配置したり、ロボット13を挟んで対向するように配置してもよい。特に、識別標識用線材取付装置12の把持手段60、係止手段61、測定手段62、変形手段63および押圧手段64等がロボット13により移動制御されるので、識別標識取付システムSを構成する各装置や部材の配置は、前記ロボット13の可動範囲において自由に設定し得る。
(4)識別標識用線材120の識別標識取付部122は、矩形の環状に限らず、円形や楕円形、三角形や五角形等であってもよい。また識別標識取付部122は、環状でなくてもよい。
(5)測定手段62は、非接触式のセンサ装置の場合には、レーザスキャナ方式には限定されず、CCDカメラ方式、超音波方式、赤外線方式のものであってもよい。また測定手段62は、タッチブローブ等の接触式のセンサ装置であってもよい。
(6)識別標識Tは、紙製またはビニール製のシート材から構成されたものに限定されず、合成樹脂製や金属製等のプレート材に様々な情報が記載されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
62 測定手段,106 接線,120 識別標識用線材,123 掛止部,
125 結束集合体,125A 外周部,126 結束対象物,127 結束線材,
D 最大幅,H 隙間,P1 頂点(第1頂点),P2 第2頂点,T識別標識,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の結束対象物(126)から構成された結束集合体(125)の外周部(125A)と該結束対象物(126)を結束する結束線材(127)との間に形成され、識別標識(T)が取付けられた識別標識用線材(120)の掛止部(123)を差込み可能な隙間(H)の位置を測定する結束集合体の隙間位置測定方法であって、
前記結束集合体(125)の周方向の所定範囲に亘って測定手段(62)で外面形状を測定し、
前記測定手段(62)が測定した外面形状に基づいて、前記結束集合体(125)の外周に位置して周方向に隣接する前記結束対象物(126)と前記結束線材(127)との間の隙間位置を算出する
ことを特徴とする結束集合体の隙間位置測定方法。
【請求項2】
前記測定手段(62)が測定した外面形状において、前記結束集合体(125)の外周部(125A)から突出した頂点(P1)を抽出し、
前記頂点(P1)から前記結束対象物(126)の最大幅(D)の1/2だけ前記結束集合体(125)の周方向へ離間した位置を、前記隙間(H)の形成位置として算出する請求項1記載の結束集合体の隙間位置測定方法。
【請求項3】
前記測定手段(62)が測定した外面形状において、前記結束集合体(125)の外周部(125A)から突出した第1頂点(P1)と、この第1頂点(P1)から該結束集合体(125)の周方向に隣接して外周部(125A)から突出する第2頂点(P2)とを抽出し、
前記第1頂点(P1)が現れる結束対象物(126)と前記第2頂点(P2)が現れる結束対象物(126)の接線(106)を算出し、
前記接線(106)の前記外周部(125A)側を、前記隙間(H)の形成位置として算出する請求項1記載の結束集合体の隙間位置測定方法。
【請求項4】
前記測定手段(62)は、前記結束集合体(125)の外周部(125A)と接触せずに該外周部(125A)の外面形状を測定可能な非接触式のセンサである請求項1〜3の何れか一項に記載の結束集合体の隙間位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−86819(P2013−86819A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227466(P2011−227466)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000149505)大同マシナリー株式会社 (27)
【Fターム(参考)】