説明

結腸直腸癌を治療するためのピコプラチンおよびベバシツマブの使用

本発明は、様々な治療レジメンにおける、ベバシツマブ(Avastin(登録商標))、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンと併せた抗癌白金薬ピコプラチンの投与により転移性結腸直腸癌を治療する方法を提供する。本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用も提供する。本発明はまた、水、張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形でピコプラチンを投与することをさらに含む方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2008年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/027,387号、2008年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/027,382号、および2008年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/027,360号の優先権を主張し、これらの特許出願の開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。本願はまた、米国仮特許出願第60/857,066号(2006年11月6日に出願)、60/857,725号(2006年11月8日に出願)、60/877,495号(2006年12月28日に出願)、60/889,191号(2007年2月9日に出願)、60/931,589号(2007年5月24日に出願)、および60/983,852号(2007年10月30日に出願)、ならびに2007年11月5日に出願された米国特許出願第11/982,841号の優先権を主張し、これらの特許出願の開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
結腸直腸癌は、依然として米国における癌関連死の2番目に多い原因および他の国における癌関連死の重要な原因である。数十年間にわたり、転移性結腸直腸癌(MCRC)を治療するための唯一の認可された化学療法薬は、5−フルオロウラシル(5−FU)であった。そして、5−フルオロウラシルは、進行した疾患を有する患者のための大部分の一次化学療法レジメンの主力であり続けている。しかしながら、過去10年間に結腸直腸癌の治療においてかなりの進展が見られ、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、ごく最近には、セツキシマブおよびベバシツマブを包含するいくつかの新たな治療剤が認可されている2、3。重要なことに、これらの薬剤を利用する様々な新化学療法レジメンが考案され、奏効率の増加ならびに進行した疾患を有する患者についての増悪までの時間および生存期間中央値の漸進的増加につながった2、3。単剤療法としての5−FU/ロイコボリン、イリノテカン、およびオキサリプラチンについての奏効率は低く(それぞれ、23%、18%、および12%)、無増悪生存期間は短く(それぞれ中央値4.0、4.3、および4.0カ月)、生存期間中央値も低かった(それぞれおおよそ12、12、および14.5カ月)。イリノテカンおよびオキサリプラチンを使用する5−FUベースの併用化学療法レジメン、「FOLFOXレジメン」の導入により、奏効率が実質的に増加し、64%という高い奏効率が報告されており(FOLFOX7)、増悪までの時間は、8.9から12.3カ月に及び、生存期間中央値は、今や、一部の報告においておおよそ20カ月に近づいている2〜4
【0003】
Avastin(登録商標)(ベバシツマブ)は、インビトロおよびインビボアッセイ系により示されるように、ヒト血管内皮成長因子(VEGF)と結合してその生物学的活性を阻害する組み換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。ベバシツマブは、VEGFと結合し、内皮細胞の表面上でVEGFとその受容体(Flt−1およびKDR)との相互作用を妨げる。VEGFとその受容体との相互作用は、血管新生のインビトロモデルにおける内皮細胞増殖および新生血管形成につながる。ヌード(胸腺欠損)マウスにおける結腸癌の異種移植モデルへのベバシツマブの投与は、微小血管成長の低下および転移性増悪の阻害を引き起こした。
【0004】
ベバシツマブは、ヒトフレームワーク領域およびVEGFと結合するマウス抗体の相補性決定領域を含有する(Presta LG、Chen H、O’Connor SJ、Chisholm V、Meng YG、Krummen L、ら Humanization of an anti−vascular endothelial growth factor monoclonal antibody for the therapy of solid tumors and other disorders. Cancer Res 1997年;57巻:4593〜9頁)。ベバシツマブは、抗生物質ゲンタマイシンを含有する栄養培地中のChinese Hamster Ovary哺乳類細胞発現系で産生され、おおよそ149キロダルトンの分子量を有する。
【0005】
最初の白金類似体であるシスプラチンは、おおよそ20年前に導入され、依然として広く使用されている。シスプラチンの認可にカルボプラチンの認可、ごく最近、オキサリプラチンの認可が続いた。
【0006】
白金類似体による治療は、それらの毒性により制限される。神経毒性および腎毒性は、シスプラチン治療後に観察される主な用量制限毒性(DLT)であるが、骨髄抑制は、カルボプラチン治療後に最も著しい。カルボプラチンが、ゆっくりとした骨髄回復をもたらす蓄積性の用量関連毒性を引き起こすことは公知である。末梢神経毒性は、オキサリプラチンで治療された患者において十分に裏付けられている。
【0007】
イリノテカンを含有するレジメンは、著しい下痢および他の胃腸毒性を伴い、一方、オキサリプラチンを含有するレジメンは、神経毒性を伴う2〜10。観察される神経毒性には2つのタイプがあり、第一に、機能を妨害することがある知覚異常を伴う蓄積性および用量制限であることが多い感覚喪失、第二に、FOLFOXレジメンの患者承諾を制限する攪乱性低温感受性である7〜10
【0008】
白金類似体の有効性は、細胞取り込み障害、チオール[例えば、還元グルタチオン]による細胞内不活性化、およびDNA修復の増強および/または白金−DNAアダクトに対する耐容性の増加を包含する抵抗性のいくつかの(内因性または獲得性)機構によっても制限される23。前臨床試験は、ピコプラチンが、抵抗性のこれら3つの機構を克服することができることを示している。このことは、インビトロで、およびシスプラチンに対して抵抗性を示すヒト卵巣異種移植片腫瘍モデルを使用することにより証明されている13〜17
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ピコプラチン、ベバシツマブ(Avastin(登録商標))、ならびに場合により5−フルオロウラシルおよび/またはロイコボリンで結腸直腸癌を治療する方法と、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、ならびに場合により5−フルオロウラシルおよび/またはロイコボリンと併せたピコプラチンの使用とに関する。
【0010】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ベバシツマブが、1週間隔で少なくとも2回投与される方法を提供する。例えば、ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与することができる。例えば、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよく、ピコプラチンの投与の間隔は、約4週であってよい。
【0011】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、結腸直腸癌を患っている患者に、有効量のピコプラチン、ベバシツマブ、5−FUおよびロイコボリンの組合せを投与することを含み、ピコプラチン、ならびに5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ベバシツマブが、1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量が、ピコプラチンの最大耐容用量未満である方法を提供する。例えば、ピコプラチンは、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与することができる。例えば、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよい。
【0012】
本発明の別の実施形態は、結腸直腸癌を治療する方法であって、転移性結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、ベバシツマブ、5−FU、およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが、約2週の間隔で静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ピコプラチンが、約45〜120mg/mの用量で投与され、ベバシツマブが、2週間隔で、約5〜25mg/kg、好ましくは、10mg/kgの用量で静脈内に投与される方法を提供する。
【0013】
本発明の別の実施形態において、ピコプラチンは、ロイコボリンと実質的に同時に投与され、ピコプラチンは、5−FUおよびロイコボリンによる患者の1回おきの治療毎に、例えば、4週毎に投与される。ベバシツマブは、ピコプラチンと同時に、その後、隔週で投与される。ロイコボリンは、約200〜500mg/m、好ましくは、約400mg/mの用量で投与することができる。ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で投与される。上に記載されている溶液Avastin(登録商標)として製剤化されているベバシツマブは、14日毎に10mg/kgの用量で注入により投与される。5−FUは、約1000〜3000mg/mの総用量で投与される。ロイコボリンおよび5−FUにとって好ましい治療サイクルは、2週毎であり、ピコプラチンは、例えば、約60〜75mg/m、例えば、60mg/mの低用量で、または約120〜180mg/m、好ましくは、約120〜150mg/m、例えば、約150mg/mの高用量で、4週毎に投与される。
【0014】
本発明は、水、張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形でピコプラチンを投与することをさらに含む方法も提供する。剤形は、本明細書に開示されている用量に従って、有効量の溶存または分散5−FUおよび/またはロイコボリンを含むこともできる。剤形は、保存剤も静菌剤も含有しない。剤形の適切な容量を投与し、望ましい治療用量を得ることができる。
【0015】
剤形は、ピコプラチン溶液を含む第一の容器およびベバシツマブの溶液を含む第二の容器を含むこともできる。2つの容器は、患者に内容物を同時に投与するための手段をさらに含むことができ、例えば、容器は、各容器の内容物を、例えば、Yリンクを介して患者へ同時に投与することができるように、単一の静脈内管へ独立して連結することができるプラスチックの静脈内バッグであってよい。これらの容器は、例えば、キットで、それらの最終用途に関する説明書と一緒に包装することができる。別個に包装したロイコボリン溶液、および/または別個に包装した5−FU溶液も、このキットに包含させることができる。ピコプラチン溶液は、場合により、NaClなどの張度調整剤を含む、約0.5mg/mLの濃度のピコプラチンの剤形であってよく、静菌剤または保存剤は、剤形中に存在しない。
【0016】
ある実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、ならびに5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ベバシツマブが、2週間隔で少なくとも2回投与される使用を提供する。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、ならびに5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンが、約2週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ベバシツマブが、2週間隔で少なくとも2回投与され、ピコプラチンの量が、前記組合せで投与される場合に、ピコプラチンの最大耐容用量未満である使用を提供する。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが、約2週の間隔で静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ピコプラチンが、約45〜120mg/mの用量で投与され、ベバシツマブが、2週間隔で、5〜25mg/kgの用量で静脈内に投与される使用を提供する。
【0019】
ある実施形態において、本発明は、イリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった、結腸直腸癌を患っている患者において転移性結腸直腸癌を治療するための、約1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と併せた、約21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用を提供する。
【0020】
ある実施形態において、本発明は、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するか、または併用しない、再発を防ぐための、イリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者において転移性結腸直腸癌を治療するための、約1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と併せた、約21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ある実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、転移性結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ベバシツマブが、2週間隔で少なくとも2回投与される方法を提供する。
【0022】
本発明の別の実施形態は、結腸直腸癌を治療する方法であって、転移性結腸直腸癌を患っている患者に、有効量のピコプラチン、ベバシツマブ、5−FUおよびロイコボリンの組合せを投与することを含み、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンが、約2週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ベバシツマブが、2週間隔で(隔週で)少なくとも2回投与され、ピコプラチンの量が、前記組合せで投与される場合に、ピコプラチンの最大耐容用量未満である方法を提供する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、結腸直腸癌を治療する方法であって、転移性結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、ベバシツマブ、5−FU、およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが、約2週の間隔で静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ピコプラチンが、約45〜120mg/mの用量で投与され、ベバシツマブが、2週間隔で、約5〜25mg/kg、好ましくは、10mg/kgの用量で静脈内に投与される方法を提供する。
【0024】
本発明の別の実施形態において、ピコプラチンは、ロイコボリンと実質的に同時に投与され、ピコプラチンは、5−FUおよびロイコボリンによる患者の1回おきの治療毎に、例えば、4週毎に投与される。ベバシツマブは、ピコプラチンと同時に、その後、隔週で投与される。ロイコボリンは、約200〜500mg/m、好ましくは、約400mg/mの用量で投与することができる。ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で投与される。上に記載されている溶液Avastin(登録商標)として製剤化されているベバシツマブは、14日毎に10mg/kgの用量で注入により投与される。5−FUは、約1000〜3000mg/mの総用量で投与される。ロイコボリンおよび5−FUにとって好ましい治療サイクルは、2週毎であり、ピコプラチンは、例えば、約60〜75mg/m、例えば、60mg/mの低用量で、または約120〜180mg/m、好ましくは、約120〜150mg/m、例えば、約150mg/mの高用量で、4週毎に投与される。
【0025】
したがって、本発明の一実施形態において、ロイコボリンは、200〜500mg/mの用量で、ピコプラチンと同時に約2時間注入として投与され、与えられる場合、ピコプラチン用量は、120〜180mg/m、例えば、約150mg/mであり;ロイコボリンおよびピコプラチンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUがボーラスとして投与され;5−FU用量に続いて、600mg/mまたは2,400mg/mの用量の5−FUが、好ましくはそれぞれ22時間または46時間の連続注入として投与され、ロイコボリンおよび5−FUは2週の間隔で患者に提供され、ロイコボリン、ピコプラチン、および5−FUは4週の交互間隔で患者に提供される。
【0026】
ベバシツマブは、10mg/kgの初期用量と、後続の10mg/kgの隔週用量で、上に記載されているように投与される。別の実施形態において、約45〜75mg/m、例えば、約60〜75mg/m、例えば、約60mg/mのピコプラチンの低用量が投与される。そのような5−FU/ロイコボリン/ピコプラチンレジメンは、FOLPIレジメンと広く呼ばれることがあり、本発明ではベバシツマブ注入が追加される。
【0027】
本発明の別の実施形態において、ロイコボリンは、400mg/mの用量で、2時間注入として投与され;ロイコボリンの投与に続いて、400mg/mの用量で5−FUボーラス投与され;5−FUボーラス用量に続いて、400mg/mまたは2,400mg/mの用量の非経口5−FUが、好ましくはそれぞれ22時間または46時間の連続注入として投与され;ロイコボリンおよび5−FUの投与は、2週毎に行われ;2週毎のピコプラチンは、約50mg/mまでの用量、例えば、約40〜50mg/m、例えば、45mg/mで、ロイコボリンと同時に(concurrently)、好ましくは、同時に(simultaneously)投与される。約45〜105mg/mのピコプラチン用量も投与することができる。ベバシツマブは、上に記載されているように毎週与えられる。
【0028】
一部の場合に、治療サイクル毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与されるピコプラチンの低用量の組合せが、反応を生じさせるのに、同じ間隔で与えられる、より高い用量、例えば、最大耐容用量(MTD)と同じように有効か、より有効であることが予想外に判明した。2週および4週ピコプラチン投与スケジュールについてのMTDは、下で議論される。初期治療におけるそのような用量は、MTDよりも低いか実質的に低いことが好ましい。そのような用量は、下で議論されるように、ロイコボリンおよびベバシツマブと、後続の、5−FUと一緒に与えられる2週毎のピコプラチン約40〜60mg/mの範囲であってよい。
【0029】
驚いたことに、約900mg/mを超える累積ピコプラチン総投与量が、グレード2以上の神経障害が観察されることなく、患者により耐容され得ることが判明した。
【0030】
この方法の一実施形態において、患者は、これまでに転移性疾患のために化学療法などの全身治療を受けたことがないことが好ましい。しかしながら、患者は、このピコプラチン−ベバシツマブ治療の少なくとも6カ月前に、原発腫瘍治療時に早期のアジュバント療法を受けていてもよい。
【0031】
ある実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ベバシツマブが2週間隔で少なくとも2回投与される使用を提供する。
【0032】
ある実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンが約2週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ベバシツマブが2週間隔で少なくとも2回投与され、ピコプラチンの量が、前記組合せで投与される場合に、ピコプラチンの最大耐容用量未満である使用を提供する。
【0033】
ある実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが約2週の間隔で静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ピコプラチンが約45〜120mg/mの用量で投与され、ベバシツマブが、隔週間隔で5〜25mg/kgの用量で静脈内に投与される使用を提供する。
【0034】
前記使用は、転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでに転移性疾患について治療されたことがない使用であってよい。
【0035】
または、前記使用は、転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでにイリノテカンレジメン、FOLFOXレジメン、またはFOLPIレジメンで治療されたことがあり、癌が不応性であるか、癌が、レジメンの終了から6カ月以内に増悪する使用であってよい。
【0036】
または、前記使用は、転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでにイリノテカンレジメン、FOLFOXレジメンおよびFOLPIレジメンからなる群のうちの少なくとも2つで順に治療されたことがあり、癌が不応性であるか、癌が、レジメンの終了から6カ月以内に増悪する使用であってよい。イリノテカンレジメンもしくはFOLFOXレジメンまたはそれらの両方は、ベバシツマブ投与を伴っていてもよい。
【0037】
この方法の様々な実施形態において、患者は、これまでに転移性疾患について治療されたことがないか、患者は、これまでに局在性または転移性疾患について、化学療法などの全身治療を受けたことがない。例えば、患者は、原発腫瘍を摘出または減量するための手術を受け、次いで、転移の発生を防止するか遅らせることを包含する癌の増悪を防止するか遅らせるために本発明のピコプラチン、5−FU、ロイコボリンレジメン(例えば、FOLPI)のうちの1つで治療されたことがあってもよい。患者は、本ピコプラチン治療の少なくとも6カ月前に、原発腫瘍治療時の早期化学療法を受けたことがあってもよい。
【0038】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、寛解なしに単に疾患を止めようとすることでなく、治癒的意図で投与することができる。ピコプラチンの用量は、疾患静止をもたらす用量を超えて増加させ、患者において治癒を得ることができる。
【0039】
様々な実施形態において、ピコプラチンおよびロイコボリンは、同時に投与することができる。
【0040】
様々な実施形態において、5−FUは、ピコプラチン、ロイコボリンおよびベバシツマブの投与に続いて投与することができる。
【0041】
様々な実施形態において、ロイコボリンおよび5−FUは、約2週毎に投与することができ、ピコプラチンは、約4週毎にロイコボリンと一緒に投与することができ、ベバシツマブは、隔週で投与することができる。
【0042】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、ロイコボリンと実質的に同時に投与することができ、続いて、患者の治療毎に5−FUを投与し、ベバシツマブは、2週間隔で投与される。
【0043】
様々な実施形態において、ロイコボリンは、約200〜400mg/mの初期用量で投与することができる。
【0044】
様々な実施形態において、5−FUは、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与することができる。
【0045】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で投与することができ、またはピコプラチンは、約120〜180mg/mの用量で投与される。
【0046】
様々な実施形態において、ピコプラチンの後続の用量は、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与することができる。
【0047】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与することができ、またはピコプラチンは、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与することができ、またはピコプラチンは、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。
【0048】
様々な実施形態において、ピコプラチンの約900mg/mを超える累積投与量を、患者に送達することができる。
【0049】
様々な実施形態において、ベバシツマブは、約10mg/kgの初回用量、次いで、約10mg/kgの用量で1週おきに静脈内に投与することができる。
【0050】
様々な実施形態において、ロイコボリンは、約400mg/mの用量で、約2時間注入として投与することができ、ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;ロイコボリンおよび5−FUが2週毎に患者に投与され、ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎にロイコボリンと一緒に患者に投与され、ピコプラチンの少なくとも初期用量が約150mg/mであり、ベバシツマブが、約10mg/kgの初期用量で、次いで、約10mg/kgの用量で1週おきに1回投与される。
【0051】
様々な実施形態において、本発明は、イリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった、結腸直腸癌を患っている患者において転移性結腸直腸癌を治療するための、約1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と併せた、約21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用を提供する。5−FUもしくはロイコボリンまたはそれらの両方は、1週おきに投与することができる。様々な実施形態において、本発明の使用は、5−HT受容体アンタゴニストの使用をさらに含むことができる。
【0052】
様々な実施形態において、本発明は、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用してまたは併用しない、再発を防ぐためのイリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者において転移性結腸直腸癌を治療するための、約1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と併せた、約21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用を提供する。5−FUもしくはロイコボリンまたはそれらの両方は、1週おきに投与することができる。様々な実施形態において、本発明の使用は、5−HT受容体アンタゴニストの使用をさらに含むことができる。
【0053】
ピコプラチンは、前臨床試験においてインビトロで5−FUとの相乗作用を示している、様々な癌において広範な第1相および第2相試験を受けた第三世代白金類似体である11〜22。他の白金類似体のように、ピコプラチンは、DNA複製および転写を妨害し細胞死につながる、DNAにおける共有結合架橋の形成により細胞死を引き起こす。初期の白金類似体に伴う許容できない腎毒性、耳毒性、および神経毒性は、動物試験か臨床治験のどちらかでピコプラチンについて報告されたことがない11、19〜22。オキサリプラチンに対する誘導抵抗性を有するいくつかのヒト卵巣および結腸細胞系は、ピコプラチンに対する感受性を保持している16〜18
【0054】
ピコプラチンを使った第1相試験において、耐容性の副作用および活性の徴候は、卵巣癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、結腸直腸癌、頭頸部癌、腎細胞癌、胸腺癌、膵臓癌、胃癌、平滑筋肉腫、肝癌、中皮腫、および前立腺癌を有する被験者において見られた24、25。第2相試験において、有効性の徴候は、卵巣癌、NSCLC、SCLC、中皮腫、前立腺癌、および乳癌を有する被験者において見られた。
【0055】
ピコプラチン(SP−4−3)(シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)Pt(II))、および有用なプロドラッグならびにそれらの類似体は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,665,771号、第6,518,428号、第6,413,953号、2007年11月5日出願の米国特許出願第11/982,891号、およびPCT/GB/01/02060に開示されている。本明細書に開示されている用量は、薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせた有効量のピコプラチンの経口投与により、ならびに静脈内注入により提供することができる。
【0056】
Avastin(登録商標)(ベバシツマブ)は、インビトロおよびインビボアッセイ系においてヒト血管内皮成長因子(VEGF)と結合してその生物学的活性を阻害する組み換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。ベバシツマブは、抗生物質ゲンタマイシンを含有する栄養培地中のChinese Hamster Ovary哺乳類細胞発現系で産生され、おおよそ149キロダルトンの分子量を有する。
【0057】
Avastin(登録商標)は、静脈内(IV)注入用の透明から僅かに乳白色の、無色から淡褐色の、無菌のpH6.2溶液である。Avastin(登録商標)は、Avastin(登録商標)(25mg/mL)4mLまたは16mLを送達するために100mgおよび400mgの保存剤の入っていない単回使用バイアルで供給される。100mgの製品は、α,α−トレハロース2水和物240mg、リン酸ナトリウム(一塩基性、1水和物)23.2mg、リン酸ナトリウム(二塩基性、無水)4.8mg、ポリソルベート20 1.6mg、および注射用水、USP中で製剤化される。400mgの製品は、α,α−トレハロース2水和物960mg、リン酸ナトリウム(一塩基性、1水和物)92.8mg、リン酸ナトリウム(二塩基性、無水)19.2mg、ポリソルベート20 6.4mg、および注射用水(USP)中で製剤化される。推奨用量レジメンは、FOLFOXレジメン(オキサリプラチン、ロイコボリン(LV)、および5−フルオロウラシル(5−FU)と組み合わせて2週毎に投与される10mg/kgである。
【0058】
ベバシツマブは、静脈内の5−フルオロウラシルベースの化学療法と組み合わせて、現在、結腸または直腸の転移性癌(MCRC)を有する患者の一次または二次治療に適応される。MCRCの治療において、静脈内の5−フルオロウラシルベースの化学療法と組み合わせて使用されるベバシツマブの推奨用量は、14日毎に静脈内注入(5mg/kgまたは10mg/kg)として投与される。ベバシツマブの推奨用量は、転移性結腸直腸癌(MCRC)を治療するためのFOLFOX4と組み合わせて使用される場合、隔週で(14日)10mg/kgである(http://www.gene.com/gene/products/information/oncology/avastin/insert.jsp#administration)。
【0059】
ベバシツマブは、有機白金薬オキサリプラチンおよび多環式アルカロイド誘導体イリノテカンと組合せたMCRCの治療について評価されている(http://www.gene.com/gene/products/information/oncology/avastin/insert.jspを参照)。オキサリプラチンを使った1臨床治験において、患者は、イリノテカン/5−FU一次療法の後に、二次治療としてオキサリプラチン(85mg/m)と組み合わせた5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリン(LV)と組み合わせたベバシツマブ(FOLFOX4レジメン)対FOLFOX4単独を受けた。ベバシツマブ治療群において、全生存期間(OS)は、FOLFOX4単独を受けた患者と比較して、FOLFOX4と組み合わせたAvastin(登録商標)を受けた患者において有意に長かった(OS中央値13.0カ月対10.8カ月;危険率0.75[95%CI 0.63、0.89]、p=0.001層別ログランク検定)。さらに、FOLFOX4と組み合わせたAvastin(登録商標)で治療された患者は、有意に長い無増悪生存期間および治験責任医師評価に基づく高い全奏効率を有することが報告された。
【0060】
FOLFOX4、FOLFOX6、およびFOLFOX7で一般的に使用されるFOLFOXレジメンはすべて、表1に示されるように、異なる用量ではあるが、同じ生物活性剤を組み合わせている。
【0061】
【表1−1】

転移性結腸直腸癌を治療するための、FOLPIレジメンと呼ばれるFOLFOXレジメンにおけるオキサリプラチンを置き換えるピコプラチンの使用、次いで、ベバシツマブの同時投与を伴うFOLPIレジメン、および伴わないFOLPIレジメンを評価する試験は、3つの部分で行われるであろう。第1相は、これまでに転移性疾患について治療されたことがない転移性結腸直腸癌を有する被験者のための初期治療として、2週毎に投与される5−FUおよびロイコボリン(LV)と一緒に、2週毎か4週毎のどちらかで投与することができるピコプラチンの最大耐容用量(MTD)を特定するための用量増加試験である。第2相は、無作為化試験である。試験の一方の群において、ピコプラチンは、2週毎に投与される5−FUおよびロイコボリンと組み合わせて、4週毎に150mg/mで投与される(FOLPI)。もう一方の群において、2つの薬剤を広く使用されるレジメンとの関連において比較することができるように、FOLFOX6におけるオキサリプラチン用量100mg/mが、85mg/mに低減され、2週毎に投与される修正FOLFOX6レジメンが用いられる。癌患者を、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンの代わりにピコプラチンを用いる本発明のレジメンでより効果的に治療することができると考えられるのは、癌患者が、好ましくはより高用量の白金薬を受けながら、神経障害などの副作用を経験することが少ないためである。第3相は、隔週のAvastin(登録商標)注入を伴うFOLPIレジメン、および伴わないFOLPIレジメンを比較する試験になるであろう。
【0062】
第1相試験の資格がある被験者は、IV期結腸直腸癌を有し、転移性癌のための全身療法を受けたことがないものとする。少なくとも6カ月の無治療間隔があった場合、オキサリプラチンもイリノテカンも含有しない5−FUベースの治療レジメンによる先行アジュバント化学療法は許容できる。
【0063】
第1相
被験者は、2週毎か4週毎かのどちらかで投与されるピコプラチンによる治療へ中心的に割り当てられ、今までの試験結果に応じて与えられるべきピコプラチンの用量を割り当てられる。各患者は、2週毎に5−FUおよびロイコボリン療法も受ける。3例の被験者のコホートは、下記のスケジュールに従ってピコプラチンおよびロイコボリンおよび5−FUのそれらの割当用量を受ける。
【0064】
1日目:割当用量のピコプラチンは、2時間注入として、5−FUおよびロイコボリンのサイクル毎(2週毎、スケジュールA)か5−FUおよびロイコボリンの1サイクルおき(4週毎、スケジュールB)のどちらかで与えられる。ロイコボリン、D5W(水−5%ブドウ糖)中400mg/mは、単独か、患者がピコプラチンを受けることになっている場合、Yラインを使用する別のバッグ中のピコプラチンと同時にかのどちらかで、2時間注入として投与されるであろう。ロイコボリン(±ピコプラチン)に、5−FUボーラス=400mg/mと、次いで、46時間連続注入として投与されるD5W中の5−FU、2,400mg/mが続くであろう。
【0065】
第1相における被験者は、ピコプラチンの2つのスケジュールのうちの1つへ中心的に割り当てられる。2週毎(スケジュールA)被験者の第一コホートは、サイクル毎、2週毎に、45mg/mの用量のピコプラチンで治療される。このスケジュールに割り当てられた被験者のその後に連続するコホートは、治療が良好な耐容性を示す場合に、許容できない用量制限毒性(DLT)がMTDを確立するまで、15mg/mずつ増加する投与レベルでピコプラチンを受ける。
【0066】
MTDは、少なくとも6例の被験者のうちの少なくとも3分の1がDLTを経験する用量未満のピコプラチンの用量と定義される。治療の最初の4週のみからの耐容性データを使用し、MTDを決定する。したがって、2週毎(スケジュールA)被験者におけるピコプラチンの最初の2回の投与の後、および4週毎(スケジュールB)被験者におけるピコプラチンの初回投与のみの後のデータが考慮される。4週毎(スケジュールB)被験者の第一コホートは、1サイクルおき、4週毎に、60mg/mの用量のピコプラチンで治療されるであろう。このスケジュールに割り当てられた被験者のその後に連続するコホートは、治療が良好な耐容性を示す場合に、許容できない用量制限毒性(DLT)がMTDを確立するまで、30mg/mずつ増加する投与レベルでピコプラチンを受けるであろう。観察される毒性のパターンおよび重症度に応じて、ピコプラチン投与のどちらかのスケジュールの追加中間用量レベルが検討されることがある。
【0067】
各スケジュール内で、コホートサイズは、3例の被験者であり、DLTが観察される場合には6例の被験者まで拡大される。各スケジュールの各コホート内で、1例の患者が初めに治療され、後続の4週(2回の薬物サイクル)以内にDLTが観察されない場合に、残りの2例の被験者を治療することができる。DLTが、あるコホート内の最初の患者で観察される場合、そのコホートへの追加被験者の組み入れを進めるか否かは、ケースバイケースの原則で決定されるであろう。2週毎(スケジュールA)コホート内の全被験者は、次の被験者のコホートにおいて用量を増加するのに先立って、2サイクル(サイクル=2日治療レジメンおよび追加の12日追跡期間)を終了しているであろう。4週毎(スケジュールB)コホート内の全被験者は、スケジュールB被験者の次のコホートにおいて用量を増加するのに先立って、1サイクルの2日治療レジメン(5FU/ロイコボリンを包含するべきである)および追加の26日追跡期間を終了しているであろう。
【0068】
あるコホート内の3例の被験者の中でDLTが観察されない場合、ピコプラチン用量増加を、ピコプラチンのそのスケジュールの次のコホートにおいて進めることができる。1つのDLTが観察される場合、ピコプラチンの指定された用量およびスケジュールにおけるコホートサイズは、6例の被験者まで拡大される。追加の被験者は、6例のうちの2例がDLTを有する用量未満の任意の用量レベルおよびスケジュールに参加し、追加の安全性または有効性データを得ることができる。
【0069】
第2相
この試験の第2相コンポーネントの用量は、第1相を踏まえて、各用量およびスケジュールで得られるピコプラチンの用量強度、各用量およびスケジュールの耐容されたサイクル数ならびに耐容性および安全性プロファイルの主観的評価ならびに奏効率の予備的評価に基づいて選択される。第2相のためのスケジュールは、スケジュールB、4週毎スケジュールとして選択される。被験者(約25の臨床施設で、転移性CRCを有するおおよそ100例)は、修正FOLFOX6またはFOLPI−150に無作為化される。
【0070】
FOLPIレジメンは以下の通りである:
ピコプラチン150mg/mは、2時間注入として、交互サイクル(4週毎、スケジュールB)毎の5−FUおよびロイコボリンと一緒に投与される。ロイコボリン(D5W中400mg/m)は、単独か、Yラインを使用する別のバッグ中のピコプラチンと同時に与えられるかのどちらかで、2時間注入として2週毎に投与される。ロイコボリン±ピコプラチンの投与に、400mg/mの5−FUボーラス、次いで、46時間連続注入として投与されるD5W中の5−FU、2,400mg/mが続く。
【0071】
修正FOLFOX6レジメンは以下の通りである:
オキサリプラチン85mg/mは、2時間注入として、2週毎に投与される。ロイコボリン(D5W中400mg/m)は、2時間注入として2週毎に投与される。オキサリプラチンは、Yラインを使用する別のバッグ中のロイコボリンと同時に与えられる。ロイコボリン+オキサリプラチンの投与に、400mg/mの5−FUボーラス、次いで、46時間連続注入として投与されるD5W中の5−FU、2,400mg/mが続く。
【0072】
神経障害評価は、独立した神経学者によりベースラインで、および2サイクルの療法後毎(おおよそ1月毎に)行われる。被験者および神経学者は、注入される白金がオキサリプラチンであるかピコプラチンであるかを知らされない。神経学者によるこの評価は、グレード2以上の末梢神経障害の発生率を決定するために使用される。第2相において、用量低減または試験薬中止のために毒性を決定する目的で、治療医は、NCI CTCAEを使用して神経学的評価を行う。これらのCTCAE基準は、各サイクルに先立って用量低減の必要性を決定するために使用される。神経学者の評価は、安全性エンドポイント、神経障害の発生率の決定のために使用され、プロトコル特異的神経障害スケールを使用して1サイクルおきに独立して行われるが、用量変更のためには使用されない。全被験者について、血液学的および血清化学的実験室研究が、各治療サイクルに先立って得られる。治療サイクル(スケジュールに応じて5−FUおよびロイコボリン±ピコプラチンまたはオキサリプラチン)は、2週毎に繰り返されるが、臨床的または実験室的異常の回復を待ちながら2週まで遅らせることができる。全治療サイクルからのデータおよび累積毒性は、安全性解析のために評価される。
【0073】
腫瘍評価は、試験中に、ベースラインで、および5−FU/ロイコボリンの4回目の治療後毎(投与が延期されていない限り8週毎)に行われるであろう。有効性エンドポイントは、RECIST基準による客観的奏効率を包含するであろう26。反応の持続時間、増悪までの時間、無増悪生存期間、および全生存期間も評価される。
【0074】
試験治療法を、下の表1に要約する:
【0075】
【表1−2】

【0076】
【表1−3】

ピコプラチン:2時間かけて150mg/m;オキサリプラチン:2時間かけて、85mg/m;LV:2時間かけて400mg/m(与えられる場合にピコプラチンとまたはオキサリプラチンと同時に)、続いて、5−FU:400mg/mボーラス、次いで46時間かけて2400mg/m。全被験者は、進行または毒性に起因する試験薬の中止まで2週毎にサイクルを続ける。
【0077】
ピコプラチン用量の選択
ピコプラチンは、3週毎に投与される120〜150mg/mの用量、すなわち、2週毎の80〜100mg/mまたは4週毎に投与される160〜200mg/mに等しい用量で、これまでの第1相試験において他の骨髄抑制化学療法剤との組み合わせで一般的に耐容性であった。しかしながら、これらの試験のどれも、5−FUおよびロイコボリンとの組み合わせでピコプラチンを研究しなかった。5−FU/ロイコボリンは、一般的に骨髄毒性ではないため、今試験の用量増加部分で初期開始用量として選択されるピコプラチンの用量、すなわち、2週毎の45mg/mおよび4週毎の60mg/mは、これらのスケジュールで投与されるピコプラチンの予想MTDをはるかに下回っていた。
【0078】
ピコプラチンの投与
治験実施施設スタッフは、投与用のピコプラチンを調製する場合に、標準的な細胞傷害性取扱手順を使用しなければならない。ピコプラチンは、すぐに使える製剤として供給される。バイアルの内容物は、投与に適したバッグに移されなければならない。製剤と典型的な注入装置との適合性が評価されており、結果は、材料が光から守られている場合に、EVA注入バッグ、PVC注入管、およびポリプロピレン注射器との適合性を確立した。PVC注入バッグは、ピコプラチンの投与には推奨されない。
【0079】
製剤と典型的な投与セットとの適合性が評価されており、許容性の限界は、被覆された注入バッグで8時間に設定されている。製品は、光に極めて敏感であり、光防御なしに1時間を超えて周辺光に暴露されるべきではない。バッグは、使用時の調製および投与中に光から守られなければならない。
【0080】
ピコプラチン製剤中に保存剤も静菌剤も存在しない。したがって、ピコプラチンは、無菌条件下で移されなければならない。溶液は、注入バッグへの導入から8時間以内に完全に使用されるか廃棄されなければならない。すべての白金錯体と同様に、アルミニウムとの接触は回避されるべきである。
【0081】
ピコプラチンは、末梢静脈または正中線により投与されるべきであり、筋肉内または皮下経路により与えられてはいけない。開始用量は、患者の身長および体重からの体表面積に基づいて計算されるであろう。患者の体重が10%を超えて変化する場合、治療医は、体表面積を再計算し、用量を修正しなければならない。
【0082】
ピコプラチンは、2時間かけて投与されるべきである。2つの薬物が同じ日に与えられる場合、Yラインを使用する別のバッグで、ロイコボリンと同時に投与されるべきである。これら2つの薬物は、試験されており、このように投与される場合に適合性であることが明らかにされている。
【0083】
被験者は、ピコプラチンの投与の30分前に5−HT受容体アンタゴニスト+デキサメタゾンからなる抗嘔吐療法も受けた。被験者は、治療の後の数日にわたって抗嘔吐療法を受けることもでき、これには、抑えきれない悪心および/または嘔吐に臨床的に適応するように、7日までにわたる、経口ロラゼパム、プロクロルペラジン、または等価物が含まれ得る。
【0084】
投与についてのガイダンス
5−FUおよびロイコボリンの投与についての詳細なガイダンスは、製品ラベルで提供される。手短に言うと、D5W中のロイコボリン400mg/mIV注入液は、Yラインを使用する別個のバッグで、ピコプラチンと同時に(ピコプラチンがその日に与えられることになっている場合)2時間かけて投与され、5−FU=400mg/mのボーラス、次いで、46時間連続IV注入として投与されるD5W中(推奨)の5−FU 2,400mg/mが続くであろう。
【0085】
用量変更
ピコプラチンの用量変更
用量低減は、下記の血液学的事象、すなわち、少なくとも5日にわたって絶対好中球数(ANC)<0.5×10/L;グレード≧2の発熱(>38.5℃)を伴う絶対好中球数<1.0×10/L;血小板数<25×10/L;15日目までに血小板数≧100×10/LおよびANC≧1.5×10/Lに達しないことが前サイクル中に観察された場合に必須である。
【0086】
用量低減は、任意の治療関連グレード3毒性、任意のグレード4毒性、または下に記載されている任意の腎毒性もしくは神経毒性を含む任意の治療事象についても必要とされる。
【0087】
2週毎にピコプラチンを受ける被験者について、用量低減は、15mg/mであるべきであり、4週毎にピコプラチンを受ける被験者について、用量低減は、30mg/mであるべきである。
【0088】
血清クレアチニン変化の事象における用量低減
血清クレアチニンは、ピコプラチンの投与前毎に測定されなければならない。異常な血清クレアチニンを有する被験者について、ピコプラチン(しかし、5−FUでもロイコボリンでもない)の用量は、第1相において下記の表に従って変更されるべきである。
【0089】
【表2】

第2相において、下記の用量低減が、血清クレアチニン上昇について必要とされるであろう。
【0090】
【表3】

神経毒性の事象における用量変更
ピコプラチンの用量は、以下の通り毒性およびその持続時間のCTCAEグレードに従って変更されるべきである。
【0091】
【表4】

30mg/mの3回までの用量低減が、毒性が以後のサイクルで改善も悪化もしない限り生じ得る。
【0092】
5−FUの用量変更
初めてピコプラチンの用量が低減される時は、5−FUのボーラス投与は省略されるべきである。ピコプラチンの用量が低減される2回目は、注入用量は600mg/m低減されるべきである。いったん減らされたら、5−FUの低減用量は、継続されるべきであり、すなわち、5−FUの用量は、その後に増やされるべきではない。
【0093】
血小板数またはANCカウントが、ピコプラチンを使用するサイクルにおける15日目にグレード1または2であり、被験者が、交互の、すなわち、ピコプラチンを包含しない偶数サイクルを受けている場合、5−FUの用量は、このサイクルで低減されるべきではない。次の治療サイクルで、ピコプラチンおよび5−FUの用量は、1レベル低減されるべきである。グレード3または4の非血液学的事象についての用量変更が行われなければならない。毒性がグレード3未満まで解決した場合にのみ治療を続ける。
【0094】
ロイコボリンの用量変更
ロイコボリン投与時との時間的関係のため、薬物過敏性が疑われない限り、ロイコボリンについての用量変更はない。
【0095】
結果
59例の患者が、今までに第1相において治療されている。2週毎スケジュールにおいて、6例の患者のうちの1例が、グレード4血小板減少のDLTを示し、6例の患者のうちの3例が、105mg/mのピコプラチン用量レベルでグレード4好中球減少を示した。2週毎スケジュールは、現在、120mg/mで評価されている。4週毎スケジュールにおいて、DLTは、6例の患者のうちの2例で180mg/mにて観察された。したがって、MTDは、4週毎スケジュールにおいて150mg/mに設定された。患者は、24までのサイクルを受け、療法は、良好な耐容性を示した。
【0096】
両スケジュールについて、投与遅延は、主に好中球減少または血小板減少由来であり、より高い用量で血液学的毒性の増加が観察された。治療に関連するグレード3の非血液学的毒性は、1例のFU注入後の冠動脈攣縮、1例のピコプラチン注入アレルギー反応、1例の口内炎、2例の下痢、1例の高窒素血症を包含する。心臓および口内炎事象は、5−FUコンポーネントが原因であった。約900mg/mを超える累積ピコプラチン投与量を受けた4例の患者についてさえグレード2以上の神経毒性は報告されておらず、特に、オキサリプラチンの匹敵する用量で観察される中等度から重度の神経毒性の高発生率に鑑みて驚くべき予想外の結果である。このことは、ピコプラチンを、FOLFOXレジメンに伴う用量制限神経毒性なしにFUおよびLVと一緒に安全に投与することができることを示している。
【0097】
スケジュールA(ピコプラチン2週毎)において、好ましい用量範囲は、約45〜120mg/m、例えば、45〜105mg/mの用量、例えば、45mg/mである。
【0098】
スケジュールB(ピコプラチン4週毎)において、好ましい用量は、より高く、例えば、約120〜210mg/m、例えば、120〜180mg/m、例えば、150mg/mであってよい。より低い用量を、例えば、45〜90mg/m、例えば、60mg/mで投与することもできる。
【0099】
CTスキャンにより評価された44例の評価被験者のうち、6例の確認された部分奏効および1例の完全奏効(未確認)(16%)があった。2週毎スケジュールの32例の被験者のうち26例が評価され、2例の部分奏効が観察された。驚いたことに、コホートA1(45mg/m)における2/3の患者が部分奏効を示した。4週毎スケジュールにおける18例の被験者のうちの18例が評価され、5例の部分奏効が観察された(28%)。
【0100】
第3相
第3相試験は、FOLPIレジメンをFOLPI+ベバシツマブと比較するもので、ベバシツマブは、MCRCの治療においてFOLFOXレジメンと一緒に使用するためのGenentechにより提供される投与勧告に従って投与される。腫瘍評価は、試験中に、ベースラインで、および5−FU/ロイコボリンの4回目の治療後毎(投与が遅延されない限り、8週毎)に行われる。有効性エンドポイントは、RECIST基準による客観的奏効率を包含するであろう26。反応の持続時間、増悪までの時間、無増悪生存期間、および全生存期間も評価されるであろう。
【0101】
参考文献
下記の参考文献、ならびに本明細書で引用されている他の刊行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0102】
【数1】

【0103】
【数2】

ピコプラチンと一緒に投与するのに有用な薬剤および治療の方法も開示されており、2003年9月4日出願の米国特許出願第10/276,503号、2007年11月5日出願の第11/982,841号、2007年11月6日出願の第11/935,979号、2007年11月5日出願の第11/982,839号に、米国特許第7,060,808号および第4,673,668号に、ならびにPCT WO/98/45331およびWO/96/40210に開示されている白金および非白金抗癌薬を包含する。
【0104】
下記の特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする:
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,387号、代理人整理番号295.114prv
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,382号、代理人整理番号295.115prv
2009年2月6日出願の米国特許出願第_号、代理人整理番号295.115wol
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,360号、代理人整理番号295.116prv
2009年2月6日出願の米国特許出願第_号、代理人整理番号295.116wol
2007年11月5日出願の米国特許出願第11/982,841号、代理人整理番号295.093usl
2009年2月6日出願の米国特許出願第_号、代理人整理番号295.131usl

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記ピコプラチンが、前記フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきに前記ロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、前記ベバシツマブが、1週間隔で少なくとも2回投与される方法。
【請求項2】
前記ピコプラチンが、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が、約2週であり、前記ピコプラチンの投与の間隔が、約4週である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
結腸直腸癌を患っている患者に、有効量のピコプラチン、ベバシツマブ、5−FUおよびロイコボリンの組合せを投与することを含み、前記ピコプラチン、ならびに前記5−FUおよび前記ロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記ベバシツマブが、1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量が、ピコプラチンの最大耐容用量未満である方法。
【請求項5】
前記ピコプラチンが、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ピコプラチン、5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が、約2週である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでに転移性疾患について治療されたことがない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでにイリノテカンレジメン、FOLFOXレジメン、またはFOLPIレジメンで治療されたことがあり、前記癌が、不応性であるか、前記癌が、前記レジメンの終了から6カ月以内に増悪する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでにイリノテカンレジメン、FOLFOXレジメンおよびFOLPIレジメンからなる群のうちの少なくとも2つで順に治療されたことがあり、前記癌が、不応性であるか、前記癌が、前記レジメンの終了から6カ月以内に増悪する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ピコプラチンが、水、張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形で投与され、前記剤形が、保存剤も静菌剤も含有しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記イリノテカンレジメンもしくは前記FOLFOXレジメンまたはそれらの両方が、ベバシツマブ投与を伴う、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ピコプラチンおよび前記ロイコボリンが、同時に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イリノテカンレジメンもしくは前記FOLFOXレジメンまたはそれらの両方が、ベバシツマブ投与を伴う、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ピコプラチンおよび前記ロイコボリンが、同時に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記5−FUが、前記ピコプラチン、ロイコボリンおよびベバシツマブの投与後に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ロイコボリンおよび前記5−FUが、約2週毎に投与され、前記ピコプラチンが、約4週毎に前記ロイコボリンと一緒に投与され、前記ベバシツマブが、隔週で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ピコプラチンが、前記ロイコボリンと実質的に同時に投与され、続いて、前記患者の治療毎に前記5−FUが投与され、前記ベバシツマブが、2週間隔で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記ロイコボリンが、約200〜400mg/mの初期用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記5−FUが、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ピコプラチンが、約120〜150mg/mの用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ピコプラチンの後続の用量が、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ピコプラチンが、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ピコプラチンが、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ピコプラチンが、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項25】
ピコプラチンの約900mg/mを超える累積投与量が、前記患者に送達される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ベバシツマブが、約10mg/kgの初回用量で、次いで、約10mg/kgの用量で1週おきに静脈内に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ロイコボリンが約400mg/mの用量で約2時間注入として投与され、前記ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;前記5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;前記ロイコボリンおよび前記5−FUが2週毎に前記患者に投与され、前記ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎に前記ロイコボリンと一緒に前記患者に投与され、少なくとも前記ピコプラチン初期用量が約150mg/mであり、前記ベバシツマブが、約10mg/kgの初期用量で、次いで約10mg/kgの用量で1週おきに1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった、結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および
(b)1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを前記患者に投与すること
を含む方法。
【請求項29】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)ベバシツマブまたはセツキシマブを併用したまたは併用しない、イリノテカン、FOLFOX、またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および
(b)5−FUもしくはロイコボリンまたはそれらの両方を併用して、または併用せずに、再発を防ぐためのアジュバント療法として1週おきに投与される、ベバシツマブ約10mg/kgの用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを前記患者に投与することを含む方法。
【請求項30】
5−HT受容体アンタゴニストの投与をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
結腸直腸癌を治療するための、ベバシツマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと組み合わせたピコプラチンの使用であって、前記5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記ピコプラチンが、前記フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきに前記ロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、前記セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与される使用。
【請求項32】
前記ピコプラチンが、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が約2週であり、前記ピコプラチンの投与の間隔が約4週である、請求項31に記載の使用。
【請求項34】
ベバシツマブ、5−FU、およびロイコボリンと組み合わせたピコプラチンの使用であって、前記ピコプラチン、ならびに前記5−FUおよび前記ロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量がピコプラチンの最大耐容用量未満である使用。
【請求項35】
前記ピコプラチンが、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記ピコプラチン、5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が約2週である、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでに転移性疾患について治療されたことがない、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでにイリノテカンレジメン、FOLFOXレジメン、またはFOLPIレジメンで治療されたことがあり、前記癌が不応性であるか、前記癌が、レジメンの終了から6カ月以内に増悪する、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
転移性結腸直腸癌を有する患者が、これまでにイリノテカンレジメン、FOLFOXレジメンおよびFOLPIレジメンからなる群のうちの少なくとも2つで順に治療されたことがあり、前記癌が不応性であるか、前記癌がレジメンの終了から6カ月以内に増悪する、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記イリノテカンレジメンもしくは前記FOLFOXレジメンまたはそれらの両方が、ベバシツマブ投与を伴う、請求項38に記載の使用。
【請求項41】
前記ピコプラチンおよび前記ロイコボリンが、同時に投与される、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記イリノテカンレジメンもしくは前記FOLFOXレジメンまたはそれらの両方が、ベバシツマブ投与を伴う、請求項39に記載の使用。
【請求項43】
前記ピコプラチンおよび前記ロイコボリンが、同時に投与される、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記5−FUが、前記ピコプラチン、ロイコボリンおよびベバシツマブの投与後に投与される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
前記ロイコボリンおよび前記5−FUが約2週毎に投与され、前記ピコプラチンが約4週毎に前記ロイコボリンと一緒に投与され、前記ベバシツマブが隔週で投与される、請求項31に記載の使用。
【請求項46】
前記ピコプラチンが前記ロイコボリンと実質的に同時に投与され、続いて、前記患者の治療毎に前記5−FUが投与され、前記ベバシツマブが2週間隔で投与される、請求項34に記載の使用。
【請求項47】
前記ロイコボリンが、約200〜400mg/mの初期用量で投与される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記5−FUが、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記ピコプラチンが、約60〜180mg/mの用量で投与される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記ピコプラチンが、約120〜150mg/mの用量で投与される、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
ピコプラチンの後続の用量が、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記ピコプラチンが、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記ピコプラチンが、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項31に記載の使用。
【請求項54】
前記ピコプラチンが、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項34に記載の使用。
【請求項55】
ピコプラチンの約900mg/mを超える累積投与量が、前記患者に送達される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
前記ベバシツマブが、約10mg/kgの初回用量で、次いで、約10mg/kgの用量で1週おきに静脈内に投与される、請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記ロイコボリンが約400mg/mの用量で約2時間注入として投与され、前記ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;前記5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;前記ロイコボリンおよび前記5−FUが2週毎に前記患者に投与され、前記ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎に前記ロイコボリンと一緒に前記患者に投与され、少なくとも前記ピコプラチン初期用量が約150mg/mであり、前記ベバシツマブが、約10mg/kgの初期用量で、次いで、約10mg/kgの用量で1週おきに1回投与される、請求項31に記載の使用。
【請求項58】
イリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった、結腸直腸癌を患っている患者において転移性結腸直腸癌を治療するための、約1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と併せた約21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用。
【請求項59】
1週おきに投与される5−FUもしくはロイコボリンまたはそれらの両方の使用をさらに含む、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
5−HT受容体アンタゴニストの使用をさらに含む、請求項58に記載の使用。
【請求項61】
ベバシツマブまたはセツキシマブを併用したまたは併用しない、再発を防ぐための、イリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者において転移性結腸直腸癌を治療するための、約1週おきに投与されるベバシツマブ約10mg/kgの用量と併せた、約21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用。
【請求項62】
1週おきに投与される5−FUもしくはロイコボリンまたはそれらの両方の使用をさらに含む、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
5−HT受容体アンタゴニストの使用をさらに含む、請求項61に記載の使用。
【請求項64】
患者へのFOLPI+ベバシツマブレジメンの静脈内投与に適合されたキットであって、ピコプラチンの溶液を含む第一の容器およびベバシツマブ(Avastin(登録商標))の溶液を含む第二の容器を含み;前記第一の容器および前記第二の容器の内容物を前記患者へ同時に投与することができるように前記第一の容器、前記第二の容器、および単体の静脈内管へ独立して連結されるように適合された連結器をさらに含み;前記患者への静脈内投与に適合された、ロイコボリンの溶液を含む容器および/または5−FUの溶液を含む容器をさらに含み;場合により、使用説明書をさらに含むキット。
【請求項65】
前記第一の容器が、水、張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形を含み、前記剤形が、保存剤も静菌剤も含有しない、請求項64に記載のキット。

【公表番号】特表2011−511072(P2011−511072A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545883(P2010−545883)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/000770
【国際公開番号】WO2009/099649
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(398003681)ポニアード ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】