説明

結露センサ及びその製造方法

【課題】 結露センサ及びその製造方法の提供。
【解決手段】 結露センサは、少なくとも二つの電極を具えた基板、少なくとも二つの櫛状電極、及び検出層を包含し、そのうち少なくとも二つの櫛状電極は基板上の二つの電極と一部接触し、検出層はセルロース誘導体を含有し且つ少なくとも二つの櫛状電極上に形成される。結露センサの製造方法は、(a)少なくとも二つの電極を具えた基板、導電ペースト、及び検出ペーストを提供する工程、(b)導電ペーストを基板の上にコーティングして少なくとも二つの相互に離間し相互に不接触の櫛状電極を形成し、且つ櫛状電極の一部を基板上の二つの電極と接触させる工程、(c)検出ペーストを櫛状電極上にコーティングして検出層を形成する工程、を包含し、そのうち検出ペーストはセルロース誘導体及びカーボン粉を含有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の結露センサに係り、特にセルロース誘導体を検出層とした結露センサに関する。
【背景技術】
【0002】
時代の発展に伴い、科学技術、農業、紡織、マシンルーム、航空、電力等の工業部門はますます湿度センサの採用が必要となり、製品質量に対する要求がますます高くなり、環境温度、湿度の制御及び工業材料水分値に対するモニタリング及び分析はすでに標準技術条件の一つとなっている。工業工程に関しては、好ましい湿度は約0−20%RHの間に制御され、湿度が20%RHの時は、薬物、食品、電子半導体等の物品は変質開始し、35%RHの時、金属と電子製品等に酸化或いは部品老化の厳重な状況が出現開始し、60%RHの高湿度の時、撮影、情報光学等の器材及び紙類や紡織品にカビが発生し使用不能となり、このため湿度の測定は非常に重要な一環である。
【0003】
湿度センサの基本形式は、基片上に感湿材料がコーティングされ感湿膜が形成され、空気中の水蒸気を感湿材料に吸着した後に、装置の抵抗、媒体定数に非常に大きな変化が発生するため、湿度センシティブ装置が形成される。この水分が導電性に影響を与える原理を利用し、更に結露センサの製造に用いて、室内の空気が飽和結露状態に達したかを検出できる。
【0004】
一般に、電気製品のケース内の水冷式放熱装置がケース内の温度変換をもたらして結露を形成して電気製品の短絡或いは損壊を引き起こすのを防止するため、ケース内に結露センサが取り付けられ、結露前に反応し並びに制御信号をフィードバックし、除湿装置を起動して電気製品の保全を図るようにしている。しかし、一般に周知の湿度センサの反応特性曲線は緩やかであり、このため湿度が80%から90%RHに達していない時に結露を発生する可能性がある時に、適時に反応することができない。このほか、周知の金属酸化物タイプのセンサの多くはICウエア工程に類似の工程を使用して製造され、その製造工程は複雑で、且つ材料及び工程費用は高く、このため一般の低価格の消費製品への使用は普及していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セルロースの誘導体であるヒドロキシエチルセルロース(HEC)は良好な増稠、懸濁、分散、水分保持、微生物侵食に対する抵抗力、強力な保湿等の性能を有し、セルロース高分子型非イオン界面活性剤とされ、本発明はこのヒドロキシエチルセルロース(HEC)の特性を利用し、簡単な工程を結合し、電器ケース内に適用される結露センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、
少なくとも二つの電極を具えた基板と、
少なくとも二つの櫛状電極と、
検出層と、
を包含し、そのうち少なくとも二つの櫛状電極は基板上の二つの電極と一部接触し、検出層はセルロース誘導体を含有し且つ少なくとも二つの櫛状電極上に形成されることを特徴とする、結露センサとしている。
請求項2の発明は、請求項1記載の結露センサにおいて、基板がセラミック基板とされたことを特徴とする、結露センサとしている。
請求項3の発明は、請求項1記載の結露センサにおいて、少なくとも二つの櫛状電極がカーボン粉を含有することを特徴とする、結露センサとしている。
請求項4の発明は、請求項1記載の結露センサにおいて、検出層のセルロース誘導体がヒドロキシエチルセルロース(HEC)とされたことを特徴とする、結露センサとしている。
請求項5の発明は、請求項4記載の結露センサにおいて、検出層中のヒドロキシエチルセルロース(HEC)の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサとしている。
請求項6の発明は、請求項1記載の結露センサにおいて、検出層が更にカーボン粉成分を含有することを特徴とする、結露センサとしている。
請求項7の発明は、請求項6記載の結露センサにおいて、検出層中のカーボン粉成分の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサとしている。
請求項8の発明は、結露センサの製造方法において、
(a)少なくとも二つの電極を具えた基板、導電ペースト、及び検出ペーストを提供する工程、
(b)導電ペーストを基板の上にコーティングして少なくとも二つの相互に離間し相互に不接触の櫛状電極を形成し、櫛状電極の一部を基板上の二つの電極と接触させる工程、
(c)検出ペーストを櫛状電極上にコーティングして検出層を形成する工程、
を包含し、そのうち検出ペーストはセルロース誘導体及びカーボン粉を含有するものとすることを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
請求項9の発明は、請求項8記載の結露センサの製造方法において、(a)の工程中の基板がセラミック基板とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
請求項10の発明は、請求項8記載の結露センサの製造方法において、セルロース誘導体がヒドロキシエチルセルロース(HEC)とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
請求項11の発明は、請求項10記載の結露センサの製造方法において、検出ペースト中のヒドロキシエチルセルロース(HEC)の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
請求項12の発明は、請求項8記載の結露センサの製造方法において、検出ペースト中のカーボン粉の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
請求項13の発明は、請求項8記載の結露センサの製造方法において、(b)のコーティングの方式がスクリーン印刷とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
請求項14の発明は、請求項8記載の結露センサの製造方法において、(b)の工程完成後に、(c)の工程を実行する前に、(b1)基板を加熱乾燥する工程、を包含することを特徴とする、結露センサの製造方法としている。としている。 請求項15の発明は、請求項8記載の結露センサの製造方法において、(c)の工程完成後に、(c1)基板を加熱乾燥する工程、を包含することを特徴とする、結露センサの製造方法としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明はヒドロキシエチルセルロース(HEC)の特性を利用し、簡単な工程を結合し、電器ケース内に適用される結露センサを提供している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の結露センサは、少なくとも二つの電極を具えた基板、少なくとも二つの櫛状電極、及び検出層を包含し、そのうち少なくとも二つの櫛状電極は基板上の二つの電極と一部接触し、検出層はセルロース誘導体を含有し且つ少なくとも二つの櫛状電極上に形成される。
【0009】
本発明の結露センサの製造方法は、(a)少なくとも二つの電極を具えた基板、導電ペースト、及び検出ペーストを提供する工程、(b)導電ペーストを基板の上にコーティングして少なくとも二つの相互に離間し相互に不接触の櫛状電極を形成し、且つ櫛状電極の一部を基板上の二つの電極と接触させる工程、(c)検出ペーストを櫛状電極上にコーティングして検出層を形成する工程、を包含し、そのうち検出ペーストはセルロース誘導体及びカーボン粉を含有するものとする。
【0010】
本発明に適用される基板は周知の任意の基板、例えばセラミック、ベークライト或いはガラス繊維板とされ、好ましくは、一対の電極を具えたセラミック基板とされる。基板上に形成される櫛状電極材料は周知の任意の電極用の導電材料とさ、例えば金ペースト、銀ペースト、カーボンペーストとされ、好ましくはカーボン粉を含有するカーボンペーストとされる。本発明の検出ペーストが含有するセルロース誘導体は好ましくはヒドロキシエチルセルロース(HEC)とされる。その含有量は使用状態により定められるが、好ましくは総重量の5−15%とされる。本発明の検出ペーストは更にカーボン粉成分を含有し、その含有量は使用状態により定められるが、好ましくは総重量の5−15%とされる。
【0011】
本発明の製造方法中、(b)の工程中のコーティングの方式は周知の任意のコーティング方式とされうるが、好ましくはスクリーン印刷により形成する。(b)の工程完成後に、(c)の工程を実行する前に、更に(b1)基板を加熱乾燥する工程を包含しうる。(b1)の工程により、(b)の工程でコーティングした導電ペーストを完全に基板上に付着させる。最後に(c)の工程完成後に、更に(c1)基板を加熱乾燥する工程を包含しうる。
【実施例1】
【0012】
ヒドロキシエチルセルロース(HEC)製造の工程は以下のとおりである。セルロースを原料とし、水酸化ナトリウムを加えてアルカリ化したセルロースとなした後、更に酸化エチルを加えて反応させ、ヒドロキシエチルセルロース高分子界面活性剤を得る。
【0013】
カーボンブラック材料の製造:カーボンブラック顆粒サイズ及びHECと均一に混合されることを考慮し、SFG−75シリーズ(スイス)を採用し、添加比重はセンサの吸湿膨張の動作抵抗値に応じて弾性的に調整する。
【0014】
カーボンペーストの製造: 可変抵抗器の厚膜印刷工程を使用し、カーボンブラックSFG−75シリーズ(スイス)を採用し、プリント回路板と相容するベークライト材料を添加し、並びにそれにトルエン等の溶剤を加え、均一に拡販し濃縮して形成する。
【0015】
湿度検出ペーストの製造: ヒドロキシエチルセルロース(HEC)(約5−15重量%)を純水(約70−80重量%)、及び必要なカーボンブラック(約5−15重量%)を加えて、均一に拡販しそれを分離濃縮し混合する。
【実施例2】
【0016】
本発明の結露センサの製造方法については図1〜図3を参照されたい。
【0017】
まず、図1のように、両端に銀電極20、21を具えたセラミック基板10(主成分Al23 )を提供し、基板10上に実施例1で製造完成したカーボンペーストをスクリーン印刷(#100〜#250メッシュのものを選択)する。印刷のパターンは二つの対向する櫛状とされ、これにより櫛状電極31、32を形成し、この櫛状電極31、32は一端が相互に交叉するが不接触とされ、別端はそれぞれセラミック基板上の電極20、21に接続され、これは図2に示されるとおりである。続いて、加熱炉で摂氏180度で3分間加熱乾燥し、更に湿度検出ペースト40で完全に櫛状電極31、32を被覆する方式で、カーボンペースト面積上を被覆し、更に加熱炉で摂氏200度で5分間加熱乾燥し、最後に図3に示される結露センサの構造を完成する。
【0018】
本実施例では全体のカーボンペーストパターンの印刷方式は、接触面積を増加し湿度検出ペーストと基板間の付着性を増す。
【0019】
スクリーン印刷の関係パラメータは以下のとおりである。(A)50枚印刷後に一度スクリーンを擦拭(B)スクリーン張力は34Kg/cm2 (C)印刷速度三十cm/秒、(D)印刷間隙0.6mm。
【実施例3】
【0020】
測定部分では、まず標準恒湿恒温機を使用して測定し、クランプを使用して結露センサの二つの電極を挟持し、導線で電力メーターに接続し、標準恒湿恒温機の湿度及び温度を設定し、安定後に結露センサの二つの電極間の抵抗値を測定する。このほか、簡易型湿度発生方法である飽和食塩水法で測定することもでき、それは日本工業標準JIS B7920湿度計−性能試験方法に基づき、異なる塩類の飽和水溶液に定温下で異なる相対湿度を発生させる。測定結果については図4を参照されたい。
【0021】
図4は摂氏25度で測定した結果を示す。そのうち、MIN、AVG、MAXは結露センサの二つの電極間の抵抗値を示す。標準恒湿恒温機を使用して試験し、温度設定は摂氏25度、クランプを使用して結露センサの二つの電極を挟持し、導線で電力メータに接続し、同時に10個の結露センサに対して、湿度60%、75%、80%、85%、90%、93%、95%の時の、結露センサの二つの電極間の抵抗値を測定し、並びに10個の結露センサ中のMIN、AVG、MAX抵抗値を取り、その結果は図4のようである。
【0022】
湿度80%〜90%RH時の抵抗値は指数型上昇を示し、これは結露検出材の動作点とされる。主要な原理は乾燥後の湿度検出ペーストが吸湿後に膨張し、抵抗値の増加を形成し、全体の抵抗曲線を上向きの指数型曲線となす、というものである。
【0023】
以上の実施例は本発明の実施範囲を限定するものではなく、本発明に基づきなしうる細部の修飾或いは改変は、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1で製造する構造の製造工程を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例1で製造する構造の製造工程を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1で製造する構造の製造工程を示す平面図である。
【図4】本発明の結露センサの相対湿度に対する出力電圧測定結果図である。
【符号の説明】
【0025】
10 基板
20 電極
21 電極
31 櫛状電極
32 櫛状電極
40 湿度検出ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの電極を具えた基板と、
少なくとも二つの櫛状電極と、
検出層と、
を包含し、そのうち少なくとも二つの櫛状電極は基板上の二つの電極と一部接触し、検出層はセルロース誘導体を含有し且つ少なくとも二つの櫛状電極上に形成されることを特徴とする、結露センサ。
【請求項2】
請求項1記載の結露センサにおいて、基板がセラミック基板とされたことを特徴とする、結露センサ。
【請求項3】
請求項1記載の結露センサにおいて、少なくとも二つの櫛状電極がカーボン粉を含有することを特徴とする、結露センサ。
【請求項4】
請求項1記載の結露センサにおいて、検出層のセルロース誘導体がヒドロキシエチルセルロース(HEC)とされたことを特徴とする、結露センサ。
【請求項5】
請求項4記載の結露センサにおいて、検出層中のヒドロキシエチルセルロース(HEC)の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサ。
【請求項6】
請求項1記載の結露センサにおいて、検出層が更にカーボン粉成分を含有することを特徴とする、結露センサ。
【請求項7】
請求項6記載の結露センサにおいて、検出層中のカーボン粉成分の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサ。
【請求項8】
結露センサの製造方法において、
(a)少なくとも二つの電極を具えた基板、導電ペースト、及び検出ペーストを提供する工程、
(b)導電ペーストを基板の上にコーティングして少なくとも二つの相互に離間し相互に不接触の櫛状電極を形成し、櫛状電極の一部を基板上の二つの電極と接触させる工程、
(c)検出ペーストを櫛状電極上にコーティングして検出層を形成する工程、
を包含し、そのうち検出ペーストはセルロース誘導体及びカーボン粉を含有するものとすることを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の結露センサの製造方法において、(a)の工程中の基板がセラミック基板とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の結露センサの製造方法において、セルロース誘導体がヒドロキシエチルセルロース(HEC)とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の結露センサの製造方法において、検出ペースト中のヒドロキシエチルセルロース(HEC)の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項12】
請求項8記載の結露センサの製造方法において、検出ペースト中のカーボン粉の含有量が総重量の5−15%とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項13】
請求項8記載の結露センサの製造方法において、(b)のコーティングの方式がスクリーン印刷とされたことを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項14】
請求項8記載の結露センサの製造方法において、(b)の工程完成後に、(c)の工程を実行する前に、(b1)基板を加熱乾燥する工程、を包含することを特徴とする、結露センサの製造方法。
【請求項15】
請求項8記載の結露センサの製造方法において、(c)の工程完成後に、(c1)基板を加熱乾燥する工程、を包含することを特徴とする、結露センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−275997(P2006−275997A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155777(P2005−155777)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(504214936)福華電子股▲ふん▼有限公司 (20)
【Fターム(参考)】