説明

給液用ノズル

【課題】簡易な構造で、成形も容易であり、液体の注ぎ出しの量を容易に調整可能とする液体携行缶の給液用ノズルを提供する。
【解決手段】給油用ノズル10は、液体を収容する容器の前記液体を注ぎ出すために設けられた開口部に取り付けられる取付部104と、取付部104に連結され液体を外部に導くための管状体である本体部とを備え、本体部の一部は、外部からの押圧に従い断面積が狭くなることによって液体の注ぎ出しにおける流量を調整するための部分であって、側面の少なくとも一部に液体の流れの方向に平行に伸びる折り目105が形成された部分である流量調整部102を構成し、流量調整部102の一方の端部に隣接する本体部の一部は、流量調整部102の剛性よりも高い剛性を有し、流量調整部102が外部からの押圧から解放された時の復元性を高めるための部分である高剛性部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン等の液体を注ぎやすくした給液用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン等の液体の運搬・保管に便利な容器として液体携行缶がある。
例えば、特許文献1には、通気具を取り付け易い吐出口を形成し、脈動を生じさせることなくスムーズな内容物の注出が行なえる携行缶が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−105479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液体携行缶の多くには、液体を注ぎ出すための給液用ノズルが付属している。使用者は給液用ノズルを取り付けた液体携行缶の傾きを加減しながら、液体携行缶から注ぎ出される液体の流量を調整する。この傾きの加減は難しく、傾け過ぎると多量の液体が流出し、液体を受ける容器からこぼれるといった問題が生じる。また、液体を受ける容器の容量上限近くに達したタイミングで液体携行缶からの液体の流出をすばやく止めることはかなりの注意力とコツを必要とする。
【0005】
そこで、本発明は、比較的簡易な構造で、成形も容易でありながら、液体の注ぎ出しの量を容易に調整可能とする液体携行缶の給液用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
液体を収容する容器の前記液体を注ぎ出すために設けられた開口部に取り付けられる取付部と、
前記取付部に連結され前記液体を外部に導くための管状体である本体部と
を備え、
前記本体部の一部は、外部からの押圧に従い断面積が狭くなることによって前記液体の注ぎ出しにおける流量を調整するための部分であって、側面の少なくとも一部に前記液体の流れの方向に平行に伸びる折り目が形成された部分である流量調整部を構成する
給液用ノズル
を提供する(第1の実施態様)。
【0007】
また、上記の第1の実施態様において、
前記流量調整部の一方の端部に隣接する前記本体部の一部は、前記流量調整部の剛性よりも高い剛性を有し、前記流量調整部が外部からの押圧から解放された時の復元性を高めるための部分である高剛性部を構成する
ようにしてもよい(第2の実施態様)。
【0008】
また、上記の第2の実施態様において、
前記流量調整部の前記一方の端部とは異なる他方の端部に隣接する前記本体部の一部は、前記高剛性部を第1の高剛性部とした場合、前記流量調整部の剛性よりも高い剛性を有し、前記流量調整部が外部からの押圧から解放された時の復元性を高めるための部分である第2の高剛性部を構成する
ようにしてもよい(第3の実施態様)。
【0009】
また、上記の第2または第3の実施態様において、
前記高剛性部は球の一部を切り出した形状の構成部を有する
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0010】
また、上記の第2乃至第4のいずれかの実施態様において、
前記高剛性部はリング形状の構成部を有する
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の実施態様にかかる給液用ノズルによれば、容器から液体を注ぎ出す際に給液用ノズルを外側から押し潰すことで容易に注ぎ出される液体の流量を調整することができる。
【0012】
本発明の第2の実施態様にかかる給液用ノズルによれば、容器から液体を注ぎ出す際に液体の流量を調整する操作を繰り返しても高剛性部により流量調整部の復元性が高められているため、給液用ノズルが押し潰された状態から復元せず十分な流量が得られなくなるという問題が低減される。
【0013】
本発明の第3の実施態様にかかる給液用ノズルによれば、高剛性部が流量調整部の両側に設けられているため、第1の実施態様にかかる給液用ノズルよりもさらに効果的に給液用ノズルが押し潰された状態から復元しなくなる問題が低減される。
【0014】
本発明の第4または第5の実施態様にかかる給液用ノズルによれば、高剛性部が球面状もしくはリング状の構成部を有するため、高剛性部が他の形状である場合と比較し、高い復元性が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる給油用ノズルを取り付けるガソリン携行缶を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる給油用ノズルの側面を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる給油用ノズルの流量調整部の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態にかかる給油用ノズルの外観全体を示した写真である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態にかかる給油用ノズルの流量調整部および高剛性部の外観を示した写真である。
【図6】図6は、本発明の変形例にかかる給油用ノズルの流量調整部および高剛性部の側面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
以下、本発明の一具体例である第1実施形態を、図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態にかかる給油用ノズル10と、それを取り付けるガソリン携行缶1を示す模式図である。図1に示されるように、給油用ノズル10はガソリン携行缶1に取り付けられ、ガソリン携行缶1に収容されるガソリンが注ぎ出される際の流路を提供する。
【0018】
図2は、給油用ノズル10の側面模式図である。給油用ノズル10は、注ぎ口部101、流量調整部102および蛇腹状部103からなる本体部と、取付部104で構成されている。給油用ノズル10は、例えば、本体部はポリエチレン製であり、取付部104はABS製である。
【0019】
注ぎ口部101、流量調整部102および蛇腹状部103はガソリンがガソリン携行缶1から注ぎ出される際の流路を形成し、取付部104は注ぎ口部101、流量調整部102および蛇腹状部103からなる本体部をガソリン携行缶1に水密に取り付ける役割を果たす。
【0020】
取付部104は、例えば内側にネジ谷が切られており、給油用ノズル10の本体部を伴った状態でガソリン携行缶1のガソリンの注ぎ出し口を形成する円筒状の突起部の外側面上に切られたネジ山に対しねじ込まれることにより、ガソリン携行缶1に取り付けられる。
【0021】
注ぎ口部101は、円形管体である。
【0022】
蛇腹状部103は中空の蛇腹形状を備えており、使用者は小さな力を加えることでその形状を柔軟に変化させることができる。そのため、使用者はその軸の方向を変えることにより、ガソリンを注ぎ出す方向の調整を行うことができる。
【0023】
図3は、流量調整部102は、注ぎ口部101と蛇腹状部103との間に配置され、それらを互いに接続している。
【0024】
図3は、流量調整部102を軸方向、すなわちガソリンの流路方向に垂直な平面で切った場合の断面図である。また、図3(a)は後述する押し潰しを行わない状態の流量調整部102の断面図であり、図3(b)は押し潰しを行った状態の流量調整部102の断面図である。
【0025】
図3(a)に示されるように、流量調整部102は、押し潰しが行われない状態において概ね正方形管体であるが、その互いに対向する1対の2側面の各々に軸方向(すなわちガソリンの流れの方向)に平行に伸びる折り目105が設けられており、折り目105に沿って壁面が管体の内側に折れ曲がり、外から見て1対の壁面がやや凹んだ形状を備えている。
【0026】
このように折り目105が設けられているため、使用者が給油時に流量調整部102の互いに対向する2対の側面のうち折り目105の設けられていない2側面を指で内側に押圧すると、それらの2側面とは異なる2側面に設けられている折り目105に沿って流量調整部102が押し潰され、その断面積が小さくなる。
【0027】
より詳しく説明すると、図3(b)に示されるように、使用者により図3(a)に示される矢印の方向に押圧が行われると、押圧された対向する2側面は寄り添うように近づき、押圧されない対向する2側面はそれらに設けられた折り目105に沿って内側に折れ曲がる。その結果、流量調整部102における給油用ノズル10の断面積が小さくなり、そこを流れるガソリンの流量が少なくなる。
【0028】
使用者は流量調整部102を押し潰す押圧の強さを調節することにより、その断面積を変化させることができる。断面積が小さくなれば、そこを流れるガソリンの流量は少なくなる。従って、使用者は、ガソリンをガソリン携行缶1から他の容器などに注ぎ出す際、流量調整部102の押し潰しの力を調整することにより、その断面積を流れるガソリンの流量を容易かつ迅速に調整することができる。
【0029】
従って、給油用ノズル10によれば、流量調整部102を使用者の指で押し潰すことにより瞬時にガソリンの流量を減らすことができるため、ガソリンの給油先の容器の容量いっぱいまでガソリンを注ぎたいような場合であっても容量オーバーによりガソリンが容器の外にこぼれ出すおそれがなく、給油終了間際まで勢いよくガソリンを注ぐことができる、といった従来技術にかかる給油用ノズルにおいては実現できなかったことも可能となる。
【0030】
ところで、上述した第1実施形態にかかる給油用ノズル10による場合、度重なる使用を経ると、流量調整部102が折り目105に沿って潰れた形状で癖付いてしまい、使用者による押し潰しが行われない状態においてもその断面積が十分に広がらない、という状態が生じ得る。その場合、ガソリンを勢いよく注ぎ出したい場合であっても十分な流量が得られない、という不都合が生じる。
【0031】
そのような問題を軽減する工夫を設けた本発明の一具体例を第2実施形態として以下に説明する。
【0032】
図4は、第2実施形態にかかる給油用ノズル20の全体を示した写真である。給油用ノズル20は、第1実施形態にかかる給油用ノズル10と比較し、注ぎ口部101と流量調整部102との間に第一高剛性部2061が、また蛇腹状部103と流量調整部102との間に第二高剛性部2062が設けられている点が異なっている。
【0033】
図5は、給油用ノズル20が備える第一高剛性部2061および第二高剛性部2062を、その周辺とともに示した写真である。なお、図5(a)〜(c)は各々、その形状が分かるように、ガソリンの流量方向を軸とする軸周りに異なる角度で回転させた同じ給油用ノズル20を示している。
【0034】
図5(a)および(b)に示されるように、第一高剛性部2061は概ね球を8分割した1つの形状を備える構成部を有し、折り目105の設けられた流量調整部102の1対の壁面と注ぎ口部101との接続部分において、当該8分の1の球の形状の構成部が外側に凸となる状態で内側に凹んだ流量調整部102の壁面に連結されている。同様に、第二高剛性部2062は概ね球を8分割した1つの形状を備える構成部を有し、折り目105の設けられた流量調整部102の1対の壁面と蛇腹状部103との接続部分において、当該8分の1の球の形状の構成部が外側に凸となる状態で内側に凹んだ流量調整部102の壁面に連結されている。これらの8分の1の球の形状を備えた構成部は、その形状により流量調整部102より高い剛性を備えるため、流量調整部102に対する使用者の押圧によりその形状があまり変化しない。
【0035】
そのため、図4(b)に示されるように使用者により流量調整部102が押し潰された後、使用者による押圧から解放された際、流量調整部102は流量調整部102自体が持つ復元力に加え、第一高剛性部2061および第二高剛性部2062の高い剛性による押し開きの力により、図4(a)の状態に戻される。
【0036】
その結果、給油用ノズル20によれば、例えば同じ回数の押し潰しの後における変形の癖の付き方が、第1実施形態にかかる給油用ノズル10に比べ小さい。従って、給油用ノズル20は給油用ノズル10と比較して、より多くの回数の使用に耐えうる。
【0037】
[変形例]
以上説明した給油用ノズル10および20は本発明にかかる給液用ノズルの一具体例であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。
【0038】
上述した実施形態においては、給油用ノズル10の本体部はポリエチレン製、取付部106はABS製としたが、本発明はそれらに限定されず、例えばPVC等のガソリン不溶性の合成樹脂のいずれがその素材として採用されてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態においては、給油用ノズル20は第一高剛性部2061を注ぎ口部101と、また第二高剛性部2062を蛇腹状部103と流量調整部102との間に配置するものとしたが、給油用ノズル20が第一高剛性部2061および第二高剛性部2062のいずれか一方のみを備える構成が採用されてもよい。図6(a)は第一高剛性部2061のみを、図6(b)は第二高剛性部2062のみを備える給油用ノズル20を示した図である。
【0040】
ところで、上述した給油用ノズル20において、第一高剛性部2061および第二高剛性部2062は8分の1の球形状の構成部を有するが、本願において高剛性部が備える形状の「球」は真球である必要はなく、概ね球形状を備える立体形状を広く含む概念である。
【0041】
給油用ノズル20において、第一高剛性部2061および第二高剛性部2062が、球形状の構成部に代えて、もしくはそれに加えて、肉厚もしくは流量調整部102と比較し高い剛性を備える素材により構成されたリング形状の構成部を備える構成が採用されてもよい。図6(c)は、球形状の構成部に加えリング形状の構成部を備える高剛性部を流量調整部102の両側に各々1つ(計2つ)設けた場合の給油用ノズル20を示した図である。なお、本願において高剛性部が備える形状の「リング」は真円の環状体である必要はなく、例えば矩形の環状体等も広く含む概念である。
【0042】
また、上述した実施形態においては、流量調整部102の断面が概ね中空の矩形であるものとしたが、本発明はそれに限定されず、例えば中空の円形、中空の三角形などの他の形状が採用されてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態においては、流量調整部102の折り目を1対(2側面)にのみ形成するものとしたが、例えば2対の向かい合う側面、すなわち4側面の全てに形成するようにしてもよい。さらに、例えば断面が中空の三角形である場合には、折り目105は3つの側面のうちのいずれかに1本のみ設けられていれば十分である。このように、折り目105の数やその配置は様々に変更可能である。
【0044】
また、上述した実施形態においては、流量調整部102の折り目105は押し潰された際、その頂が内側に向くように設けられているものとしたが、その頂が外側に向くように折り目が構成されていてもよい。
【0045】
なお、上述した実施形態にかかる給油用ノズル10はガソリン用携行缶に用いられる給液用ノズルであるが、本発明にかかる給液用ノズルの使用対象の液体はガソリンに限られないことは言うまでもない。
【0046】
なお、上述した実施形態および変形例において説明した形状、数量等は例示であって、それらにより本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかる給液用ノズルは、広く量産可能であるため、製造業において利用されるとともに、卸売業、小売業などのサービス業においても利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…ガソリン携行缶、10…給油用ノズル、101…注ぎ口部、102…流量調整部、103…蛇腹状部、104…取付部、105…折り目、20…給油用ノズル、2061…第一高剛性部、2062…第二高剛性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器の前記液体を注ぎ出すために設けられた開口部に取り付けられる取付部と、
前記取付部に連結され前記液体を外部に導くための管状体である本体部と
を備え、
前記本体部の一部は、外部からの押圧に従い断面積が狭くなることによって前記液体の注ぎ出しにおける流量を調整するための部分であって、側面の少なくとも一部に前記液体の流れの方向に平行に伸びる折り目が形成された部分である流量調整部を構成する
給液用ノズル。
【請求項2】
前記流量調整部の一方の端部に隣接する前記本体部の一部は、前記流量調整部の剛性よりも高い剛性を有し、前記流量調整部が外部からの押圧から解放された時の復元性を高めるための部分である高剛性部を構成する
請求項1に記載の給液用ノズル。
【請求項3】
前記流量調整部の前記一方の端部とは異なる他方の端部に隣接する前記本体部の一部は、前記高剛性部を第1の高剛性部とした場合、前記流量調整部の剛性よりも高い剛性を有し、前記流量調整部が外部からの押圧から解放された時の復元性を高めるための部分である第2の高剛性部を構成する
請求項2に記載の給液用ノズル。
【請求項4】
前記高剛性部は球の一部を切り出した形状の構成部を有する
請求項2または3に記載の給液用ノズル。
【請求項5】
前記高剛性部はリング形状の構成部を有する
請求項2乃至4のいずれかに記載の給液用ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−1415(P2013−1415A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133863(P2011−133863)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(595176294)岡田商事株式会社 (3)
【Fターム(参考)】