給湯システム及びコージェネレーションシステム
【課題】比較的短い時間で配管内を水で満たすことができるコージェネレーションシステム及びコージェネレーションシステムに採用される給湯システムを提供する。
【解決手段】燃料電池を内蔵する発電装置2と、給湯システム装置3とを組み合わせて構成されたコージェネレーションシステム1であり、加熱された湯を貯留タンク10に貯留するタンク循環流路20aと、タンク循環流路20aに接続され貯留タンク10を迂回するタンクバイパス流路23を備えている。タンクバイパス流路23への切替えに三方弁28が設けられている。配管系に対して注水する配管内注水モードを備え、注水モードの動作中においては、三方弁28を発電装置2と貯留タンク10とタンクバイパス流路23の三者を連通する状態にする。
【解決手段】燃料電池を内蔵する発電装置2と、給湯システム装置3とを組み合わせて構成されたコージェネレーションシステム1であり、加熱された湯を貯留タンク10に貯留するタンク循環流路20aと、タンク循環流路20aに接続され貯留タンク10を迂回するタンクバイパス流路23を備えている。タンクバイパス流路23への切替えに三方弁28が設けられている。配管系に対して注水する配管内注水モードを備え、注水モードの動作中においては、三方弁28を発電装置2と貯留タンク10とタンクバイパス流路23の三者を連通する状態にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池等の電気と熱とを共に発生させることができる熱・電気発生装置に接続されてコージェネレーションシステムを構成する給湯システムに関するものである。また本発明は、コージェネレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されている様に、燃料電池等の発電装置において発生した排熱が持つ熱エネルギーを湯水を介して回収し、貯留タンクに貯留可能な熱回収装置を備えたコージェネレーションシステムがある。かかる構成のコージェネレーションシステムは、発電装置と貯留タンクとの間で湯水が循環可能なタンク循環流路を有し、当該タンク循環流路を介して循環する湯水によって発電装置を冷却し、これに伴って加熱された湯水を貯留タンクに貯留する構成となっている。
【0003】
また特許文献1に記載のコージェネレーションシステムでは、循環流路の一部にタンクを迂回するタンクバイパス流路が設けられている。このタンクバイパス流路は、コージェネレーションシステムが運転を開始した直後の様に、機器全体の温度が低い場合に湯水を通過させる流路である。
【0004】
即ちコージェネレーションシステムは、燃料電池が発電作用をするのに伴って発生する熱を回収して有効利用するものであり、燃料電池側から見れば熱回収によって燃料電池の温度を適切な運転温度に維持するものである。そのため運転初期の様に燃料電池の温度が低い場合は、燃料電池をさらに冷却することは好ましくない。また運転初期は、燃料電池側から戻ってきた湯水の温度も低いので、この様な低温の湯水を貯留タンクに貯留するのも適切ではない。そこでコージェネレーションシステムが運転を開始した直後は、湯を貯留タンクに溜めることをせず、貯留タンクを迂回して燃料電池側に戻す。
【特許文献1】特開2007−64526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで現実的問題として、コージェネレーションシステムは、工場内や設置現場で試運転を行う必要がある。ここで特許文献1に開示されたコージェネレーションシステムは、燃料電池等の排熱を湯水を介して回収し、貯留タンクに湯を貯留するものであるから、貯留タンクや配管内の空気を水で完全に置換し、配管やタンク内を水で満たした状態でなければ正常な運転を行うことはできない。そのためコージェネレーションシステムでは、工場から出荷し、使用場所に設置した後、貯留タンクや配管を水で満たした状態で試運転を行い、その後に使用者に引き渡さなければならない。
【0006】
ところが特許文献1に開示されたコージェネレーションシステムは、配管内の空気が抜けにくく、配管内の空気を水で置換し、配管内を水で満たすのに要する時間が長いという問題があった。具体的には、前記したタンクバイパス流路内の空気が抜けにくく、タンクバイパス流路内の空気を水で置換するのに多くの時間を要していた。
【0007】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、比較的短い時間で配管内を水で満たすことができるコージェネレーションシステム及びコージェネレーションシステムに採用される給湯システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして本発明者らは、タンクバイパス流路内の空気が抜けない原因を検討した。
図14,15は、従来技術のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
図14,15に示すコージェネレーションシステム100は、熱・電気発生装置たる燃料電池装置101と、給湯システムたる貯湯装置によって構成されている。燃料電池装置101は、燃料電池102と循環ポンプ103によって構成されている。なお燃料電池102は、熱交換器を有しており、内部に通水可能であり、内部に通水することにより燃料電池102の排熱を奪うことができる。
【0009】
貯湯装置は、貯留タンク105を中心とするものであり、タンク循環流路110を備えている。タンク循環流路110は、燃料電池装置101と貯留タンク105を含んで環状に循環する流路である。
タンク循環流路110は、具体的には、貯留タンク105の下部と燃料電池装置101の入水側を結ぶ加熱往き側流路112と、燃料電池装置101の湯水吐出口と貯留タンク105の上部を結ぶ加熱戻り側流路113とによって構成されている。
また前記した加熱戻り側流路113と加熱往き側流路112とを結合し、貯留タンク105を迂回するタンクバイパス流路106がある。
【0010】
タンクバイパス流路106と加熱戻り側流路113との接続部分には、三方弁115が設けられている。
三方弁115は、図16の様に3つのポートa,b,cを持つが、一般にa−b間を開いた状態で使用されるか、a−c間を開いた状態で使用されるかのいずれかであり、中途半端な開口位置で使用されることは無い。
即ち図16は、三方弁の構造を示す説明図である。
【0011】
従来技術においては、系内に注水する場合においても同様であり、三方弁115は、a−b間を開いた状態で使用されるか、a−c間を開いた状態で使用されるかのいずれかであり、中途半端な開口位置で使用されることは無い。
ここで図14,15において、三方弁115の図で黒く塗ったポートは閉じているポートを示している。また白抜きのポートは開いたポートを示している。また太線及び矢印は水の流れを示している。
【0012】
図14の様に、三方弁115が、燃料電池装置101と貯留タンク105の間を開いてタンクバイパス流路106側が閉じられた状態であると考えると、注水は給水流路120から導入され、燃料電池装置101を経由して貯留タンク105に流れ込む。また注水を停止して循環ポンプ103を駆動すると、燃料電池装置101と貯留タンク105を含むタンク循環流路110に通水され、当該経路内の空気は水と置換される。
ただしこの場合、三方弁115のタンクバイパス流路106側のポートcが閉じているので、タンクバイパス流路106内に通水は生じず、タンクバイパス流路106内の空気は排出されずに残る。
【0013】
一方、図15の様に、三方弁115が、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106の間を開いて貯留タンク105側が閉じられた状態であることを想定すると、給水流路120から導入された水の排出路が三方弁115のbポートによって塞がれているので、タンク循環流路110に通水は生じない。また三方弁115のbポートが塞がれているので、タンクバイパス流路106に入った水の排出路が無く、タンクバイパス流路106にも通水は生じない。従ってタンクバイパス流路106内の空気は排出されずに残る。
【0014】
またこの状態で注水を停止して循環ポンプ103を駆動すると、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路に通水が生じるが、この水は単に循環するだけであって外部に排出されない。そのためタンクバイパス流路106内の空気は、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路を巡ることとなるが、空気はこの系の外部に出ることはない。そのためタンクバイパス流路106内の空気は、他の部位に分散するが、依然としてタンクバイパス流路106内に空気が残留する。
【0015】
従って、結局タンクバイパス流路106内の空気は、三方弁115の連通方向がいずれであっても抜けない。そのため従来技術においては、配管内の空気が抜けにくく、配管内の空気を水で置換し、配管内を水で満たすのに要する時間が長くかかっていた。また注水作業においては、多くの水を捨てることとなり、水資源を無駄にするという問題があった。
【0016】
また本発明者らの経験によると、貯留タンクや配管内に水を注入する際に、異音を感じる場合があった。この異音は、タンクバイパス流路106内の空気が、三方弁115の空隙等の狭い隙間から抜ける際の音であると予想される。
【0017】
そこで本発明では、注水作業の際に、三方弁を中途の開度状態とし、ポートa,b.cがわずかずつ連通する状態として注水作業を行うこととした。
即ち請求項1に記載の発明は、熱・電気発生装置に接続される給湯システムであって、貯留タンクと、これらに連通する配管系を有し、熱・電気発生装置によって加熱された湯を貯留タンクに貯留し、必要に応じて貯留タンクの湯を前記配管系外に排出して消費する給湯システムにおいて、前記熱・電気発生装置と貯留タンクとの間を循環するタンク循環流路と、タンク循環流路に接続され貯留タンクを迂回するタンクバイパス流路と、前記タンクバイパス流路を経て循環する流路とタンクを経て循環する流路とを切り換える流路切り換え手段とを有し、さらに動作モードとして配管系に対して注水する配管内注水モードを備え、配管内注水モードの動作中においては、一時的にあるいは常時、流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする給湯システムである。
【0018】
図17、18は、本発明のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
本発明の給湯システムでは、三方弁等の流路切り換え手段が、熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態にして注水作業を行うので、タンクバイパス流路に排水経路ができ、タンクバイパス流路に通水が生じると共に、この通水が外部に排出される。
即ち図17の様に、給水流路120から導入された水の一部は、燃料電池装置101を経由して貯留タンク105に流れ込む。また給水流路120から導入された水の残部は、タンクバイパス流路106を経由して貯留タンク105に流れ込む。そのためタンクバイパス流路106内の空気は、貯留タンク105に抜け、タンクバイパス流路106内の空気は、水と置換される。
【0019】
また注水を停止して循環ポンプ103を駆動すると、図18の様に燃料電池装置101と貯留タンク105を含むタンク循環流路110に通水されると共に、水の一部はタンクバイパス流路106にも入り、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路を巡る。ただし、前記した様に水の一部は、貯留タンク105にも流れ込むので、タンクバイパス流路106内の空気は、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路を巡る内に、貯留タンク105側に抜ける。
【0020】
請求項2に記載の発明は、流路切り換え手段は、3個の開口を有するハウジング内で弁体が回動する三方切り換え弁であり、弁の一つの開口は熱・電気発生装置に連通し、他の一つの開口はタンクバイパス流路と連通し、残る一つの開口は貯留タンクと連通し、配管内注水モードの動作中においては、三方切り換え弁は前記弁体が中途位置に停止して流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする請求項1に記載の給湯システムである。
【0021】
また請求項3に記載の発明は、貯留タンクは、内部に温度成層を形成させて湯を貯留するものであり、貯留タンクの下部側にタンク循環流路に接続される循環流路用開口と、タンク内に水を導入するための給水用開口とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システムである。
【0022】
本発明の給湯システムは、熱・電気発生装置として燃料電池を採用する場合に好適なものである。即ち燃料電池を良好に動作させるためには、動作時の温度を一定に保つ必要があり、燃料電池と熱交換される水の温度が急激に変化することは望ましくない。
これに対して本発明の給湯システムでは、貯留タンクの下部側には2個以上の開口があり、その内の一つは、貯留タンク内に給水するための開口である。また他の一つは、タンク循環流路に接続される循環流路用開口である。
本発明の給湯システムでは、外部からの給水は、一旦給水用開口から貯留タンク内に入り、タンク循環流路には、貯留タンク内の水が吸い出され、あるいは押し出されて流れ込む。そのため外部からの冷たい給水が、直接燃料電池側に流れ込んで流量が大きく変化する現象が緩和され、燃料電池と熱交換される水の温度変化が小さい。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯システムに、燃料電池を主要部とする熱・電気発生装置が接続されてなるコージェネレーションシステムである。
【0024】
本発明のコージェネレーションシステムは、電気と湯を作ることができ、エネルギー効率が高い。
【発明の効果】
【0025】
本発明の給湯システム及びコージェネレーションシステムは、試運転や現場設置時の注水を円滑に行うことができ、試運転等を短時間で完了することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
続いて、本発明の一実施形態である給湯システム、並びに、コージェネレーションシステムについて図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるコージェネレーションシステムおよび給湯システムを示す作動原理図である。
図1において、1は本実施形態のコージェネレーションシステムである。コージェネレーションシステム1は、大別して発電装置(熱・電気発生装置)2と給湯システム装置3とを組み合わせて構成されている。発電装置(熱・電気発生装置)2と給湯システム装置3は、個別に製作され、設置現場で配管接続されてコージェネレーションシステム1が完成する。
【0027】
発電装置2は、燃料電池によって構成されており、発電に伴って熱を発生する発熱部5と、発熱部5を冷却し、発電の際に発生した排熱を回収するための熱交換器6とを備えている。即ち、発電装置2は、外部に設けられた電力負荷Eに対して電力を供給するための発電デバイスとしての機能と、湯水を加熱するための熱エネルギー発生デバイスとしての機能とを兼ね備えている。
また発電装置2内には、熱交換器6への通水を可能とするための循環ポンプ25が内蔵されている。
【0028】
一方、給湯システム装置3は、湯水を貯留するための貯留タンク10を中心として構成されている。貯留タンク10の頂部には、湯水導入側頂部接続部11と湯水排出側頂部接続部14が設けられている。また貯留タンク10の下部には、循環流路用底部開口12と、給水用底部開口15とが設けられている。
そしてこれら湯水導入側頂部接続部11、湯水排出側頂部接続部14、循環流路用底部開口12及び給水用底部開口15に対してエネルギー回収系統Cおよび給湯・給水系統Hを構成する配管を接続した構成とされている。
【0029】
貯留タンク10は、高さ方向、即ち内部に貯留される湯水の水位上昇方向に複数(本実施形態では4つ)の温度センサ13a〜13dを取り付けた構成とされている。温度センサ13a〜13dは、それぞれ貯留タンク10内の湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、貯留タンク10内に所定温度あるいは温度範囲の湯水の残留量を検知するための残量検知手段としての役割も果たす。
【0030】
さらに具体的には、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、貯留タンク10の底部から取り出された湯水がエネルギー回収系統Cに排出され、発電装置2の熱交換部6を通過することによって熱交換加熱され、貯留タンク10の頂部側にゆっくりと戻される構成とされている。
【0031】
ここで、一般的にタンク内に液体を貯留する場合、その液体の温度差が所定の閾値以上であると、液体が温度毎に層状に分かれる。即ち内部に温度成層を形成する。例えば湯水ではその閾値は、摂氏10度(℃)程度である。
そのため、エネルギー回収系統Cを通過する湯水が、貯留タンク10内の湯水の温度に対して前記閾温度以上高温に加熱され、貯留タンク10内の湯水を掻き乱さない程度にゆっくりと戻されると、貯留タンク10内に貯留されている湯水が温度毎に層状に分かれる。従って、貯留タンク10に設置された温度センサ13a〜13dの検知温度を調べることにより、貯留タンク10内に所望の温度範囲に加熱された湯水がどれだけ貯留されているかを検知することができる。
【0032】
エネルギー回収系統Cは、複数の配管を組み合わせて形成され、発電装置(記熱・電気発生装置)2と貯留タンク10との間を循環するタンク循環流路20aと、貯留タンク10を迂回してタンクバイパス流路23を通過する迂回循環流路20bとを構成可能なものである。さらに詳細に説明すると、エネルギー回収系統Cは、貯留タンク10の循環流路用底部開口12と発熱部5内の熱交換器6とを繋ぐ加熱往き側流路21と、湯水導入側頂部接続部11と熱交換器6とを繋ぐ加熱戻り側流路22とを有する。なお加熱往き側流路21と、加熱戻り側流路22とは図1の様に発電装置2と配管接続されて一連の環状流路を構成するものであるが、メンテナンス等の場合に発電装置2と給湯システム装置3の切り離しを行える様に、加熱往き側流路21と、加熱戻り側流路22の端部には手動弁16,17が設けられている。
また、エネルギー回収系統Cは、加熱往き側流路21および加熱戻り側流路22の中間部分において両流路をバイパスするタンクバイパス流路23を有する。タンクバイパス流路23と加熱戻り側流路22とは、三方弁(流路切り換え手段)28を介して接続されている。またタンクバイパス流路23と加熱往き側流路21とは、ティ18を介して接続されている。
【0033】
図面の下部側に示された加熱往き側流路21は、貯留タンク10下部の循環流路用底部開口12を基端とする流路であり、貯留タンク10の底部側から排出される湯水を発熱部5の熱交換器6に供給する流路である。加熱往き側流路21の中途には、上記したタンクバイパス流路23を分岐するティ18が設けられている。
【0034】
加熱往き側流路21の中途であって、ティ18に対して湯水の流れ方向下流側、即ち発電装置2側の位置には、温度センサ26が設けられている。温度センサ26は、エネルギー回収系統C内を流れる湯水の温度を検知するために設けられている。
【0035】
一方、図面の上部側に示された加熱戻り側流路22は、熱交換器6を通過した湯水を貯留タンク10の頂部側(湯水導入側頂部接続部11)に戻す流路である。加熱戻り側流路22は、中途で2系統に分岐され、その下流側で再度合流する構成とされている。具体的には、加熱戻り側流路22は、中途で主流たる暖房分岐流路60とバイパス流路たる迂回分岐流路61とに分岐されており、湯水の流れ方向下流側であって三方弁(流路切り換え手段)28と貯留タンク10との間において再度合流する構成とされている。
また暖房分岐流路60は、三方弁(流路切り換え手段)28を介してタンクバイパス流路23に接続されている。暖房分岐流路60には、温度センサ27が設けられている。
【0036】
暖房分岐流路60は、暖房側循環回路70によって構成される暖房系統Dと熱交換器71を介して接続されている。
また、迂回分岐流路61は、発熱部5側から湯水を熱交換器71を通過させずに貯留タンク10側に戻す流路である。迂回分岐流路61には開閉弁24が設けられている。
そのため、開閉弁24を閉じた状態にすることにより、発電装置2において加熱された湯水を熱交換器71側に送り込むことができる。
また開閉弁24を開くと、発電装置2において加熱された湯水の多くが熱交換器71を経ることなく貯留タンク10に供給される。
【0037】
図2は、三方弁の構造を示す断面図であり、図(a)(b)(c)は、それぞれ弁体の姿勢が異なる場合を示している。
前記した三方弁(流路切り換え手段)28は、図2の様に3個の開口(ポート)a,b,cを有するハウジング59内で弁体62が回動する三方切り換え弁である。三方弁28を構成する3つのポートa,b,cのうちの2つのポートa,cは加熱戻り側流路22に接続されており、残りのポートbにはタンクバイパス流路23が接続されている。即ち、三方弁28は、加熱戻り側流路22のうち三方弁28よりも貯留タンク10側の流路(以下、必要に応じて加熱戻り下流側流路22aと称す)と、三方弁28よりも発電装置2側の流路(以下、必要に応じて加熱戻り上流側流路22bと称す)と、タンクバイパス流路23とに接続されている。
三方弁(流路切り換え手段)28は、図示しないステッピングモータを搭載しており、ステッピングモータによって弁体62を回動させ、任意の位置で弁体62を停止させることができる。
【0038】
エネルギー回収系統Cは、加熱戻り側流路22の中途に設けられた三方弁28を調整することにより、タンク循環流路20aや迂回循環流路20bを構成することができる。さらに詳細に説明すると、三方弁28を構成する3つのポートのうち加熱戻り側流路22に接続された2つのポートを開状態とすると、図3にハッチングで示すように貯留タンク10と発電装置2との間で湯水が循環可能なタンク循環流路20aを構成することができる。また、三方弁28を構成する3つのポートのうち加熱戻り側流路22の燃料電池側ポートと、タンクバイパス流路23に接続されたポートとを開くと、図6にハッチングで示すように貯留タンク10を迂回して湯水が循環可能な迂回循環流路20bを形成できる。
【0039】
暖房系統Dは、コージェネレーションシステム1の外部に設置された暖房端末65との間で不凍液等の液体を循環させるための暖房側循環回路70を有する。
【0040】
給湯・給水系統Hは、貯留タンク10の湯水導入側頂部接続部14に接続された給湯流路30と、外部から給湯流路30側やエネルギー回収系統C側に湯水を供給するための給水流路50を備えている。
【0041】
給湯流路30は、貯留タンク10から燃焼装置31を経てカラン34又は風呂落とし込み流路66に至る一連の流路を形成するものであり、中途に燃焼装置(補助熱源)31が設けられた構成とされている。
なお本実施形態では、貯留タンク10から燃焼装置31に至る流路を補助加熱往き流路73と称し、燃焼装置31の下流側を補助加熱排出流路75と称して両者を区別する。
給湯流路30は、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14を基端とし、貯留タンク10から燃焼装置(補助熱源)31に至る流路の中途に貯留タンク10側に向けて湯水が逆流するのを阻止すべく、逆止弁52が設けられた構成とされている。即ち補助加熱往き流路73に逆止弁52が設けられている。なお本実施形態では、貯留タンク10から燃焼装置(補助熱源)31に至る流路の中途に逆止弁52を設けた。即ち本実施形態では、貯留タンク10の下流側に逆止弁52を設けたが、これに代わって貯留タンク10の上流側に逆止弁52を設けてもよい。即ち後記する貯留用給水流路50aに逆止弁52の位置を変更してもよい。
また、逆止弁52よりも湯水の流れ方向下流側(燃焼装置31側)には、入口側温度センサ33と補助加熱往き水量センサー63が設けられている。
即ち補助加熱往き流路73に補助加熱往き水量センサー63が設けられている。
給湯流路30の中途には、後述する先混合用バイパス流路50bの本流部53および支流部55が接続されている。
即ち補助加熱往き流路73に先混合用バイパス流路50bの本流部53および支流部55が接続されている。
【0042】
入口側温度センサ33は、給湯流路30と先混合用バイパス流路50bとの接続部分よりも下流側であって、燃焼装置(補助熱源)31よりも上流側の位置に設置されている。そのため、入口側温度センサ33は、貯留タンク10から排出された湯水と、先混合用バイパス流路50bの本流部53や支流部55を介して供給される湯水とが混合された後の湯水の温度を検知できる。
【0043】
また補助加熱往き水量センサー63についても補助加熱往き流路73の同様の位置に設けられているので、先混合用バイパス流路50bの本流部53や支流部55を介して供給される湯水とが混合された後の湯水の総量を検知できる。即ち燃焼装置(補助熱源)31に供給される総水量が検知される。
【0044】
給湯流路30のうち、燃焼装置(補助熱源)31よりも下流側に接続された部分(補助加熱排出流路75)には、比例弁37と、出口側温度センサ38と流水検知センサ40とが設けられている。なお本実施形態では、流水検知センサ40を設けたが、これを省略することも可能である。
さらに流水検知センサ40の下流側には、三方弁67を介して二流路に分かれている。その内の一つは、カラン等の一般給湯に利用される一般給湯流路68であり、他方は、風呂落とし込み流路66である。風呂落とし込み流路66には、浴槽72への落とし込み量を検知するための落とし込み水量センサー74が設けられている。
【0045】
燃焼装置(補助熱源)31は、従来公知の給湯器と同様にガスや灯油等の燃料を燃焼するためのバーナー41と熱交換器43とを内蔵しており、燃料の燃焼により発生した熱エネルギーを利用して湯水を加熱するものである。燃焼装置(補助熱源)31のバーナ41は、図示しない比例弁を介して燃料が供給され、燃焼装置(補助熱源)31に供給される水量や水温に応じて燃焼量が増減される。
燃焼装置(補助熱源)31は、発熱部5よりも湯水の加熱能力が高い。燃焼装置(補助熱源)31は、貯留タンク10から排出される湯水の温度が低い等のような特別な場合に限って燃焼動作を行い、給湯流路30内を流れる湯水を加熱するものであり、補助的な熱源として機能する。燃焼装置(補助熱源)31は、流水検知センサ40により通水が検知されることを作動条件の一つとしている。
【0046】
給水流路50は、外部の給水源から湯水を供給するための流路である。給水流路50は、中途に減圧弁49と給水側水量センサー48を有し、これよりも湯水の流れ方向下流側において貯留用給水流路50aと先混合用バイパス流路50bとに分岐されている。
【0047】
貯留用給水流路50aは、貯留タンク10の底部側に設けられた給水用底部開口15に接続されている。これにより、コージェネレーションシステム1は、外部から供給される低温の湯水を貯留タンク10の底部側から導入可能な構成とされている。
【0048】
先混合用バイパス流路50bは、給湯流路30を流れる湯水に外部から供給される湯水を合流させるための流路である。先混合用バイパス流路50bの中途には、給湯流路30に合流する湯水の温度を検知するための入水温度センサ56と、給湯流路30側から給水源側に向けて湯水が逆流するのを防止するための逆止弁57とが設けられている。
【0049】
先混合用バイパス流路50bは、逆止弁57よりも下流側の分岐部54において本流部53と支流部55とに分岐された構成とされている。本流部53は、分岐部54よりも下流側の位置に流量調整弁32を有し、流量調整弁32の開度調整を行うことにより給湯流路30に合流する湯水の量を調整することができる。
【0050】
支流部55は、分岐部54よりも下流側の位置に電磁弁58を有する。電磁弁58は、非通電時に開いた状態となる弁であり、停電状態になって流量調整弁32を開くことができなくなった際に貯留タンク10内の湯水がそのまま排出され、いわゆる高温出湯が起こるのを防止するために設けられたものである。
【0051】
先混合用バイパス流路50bは、後混合用バイパス流路35によって給湯流路30の中途であって、燃焼装置(補助熱源)31よりも下流の部位とバイパスされている。即ち後混合用バイパス流路35は、補助加熱排出流路75に接続されている。後混合用バイパス流路35は、一端が先混合用バイパス流路50bの中途であって、逆止弁57よりも上流側の位置に接続されている。
【0052】
後混合用バイパス流路35の中途には、流量調整弁36aと、逆止弁36bとが設けられている。逆止弁36bは、給湯流路30側から先混合用バイパス流路50b側への湯水の流れを阻止するものである。
【0053】
コージェネレーションシステム1は、制御手段80によって動作が制御されている。制御手段80は、従来公知のコージェネレーションシステムが備えているものと同様のものであり、例えばCPUや所定の制御プログラムが内蔵されたメモリなどを備えた構成とすることができる。制御手段80は、各部に設けられたセンサ類の検知信号や、メモリに記憶されているデータ等に基づいてコージェネレーションシステム1の各部に設けられた弁や発熱部5、燃焼装置(補助熱源)31等の動作を制御し、コージェネレーションシステム1の総合エネルギー効率の最適化を図る構成とされている。
【0054】
続いて、本実施形態のコージェネレーションシステム1の一般的な動作について、図面を参照しながら簡単に説明する。コージェネレーションシステム1は、貯留モード、給湯モード、暖房モード、並びに、迂回モードを含む動作モード群から動作モードを選択して動作することができる。
【0055】
(貯留モード)
図3は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが貯留モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
貯留モードは、循環ポンプ25を作動させることにより、図3にハッチングや矢印で示すようにエネルギー回収系統Cのタンク循環流路20a内に水流を発生させ、発電装置2の動作に伴って発生する排熱(熱エネルギー)を回収して湯水を加熱し、この湯水を貯留タンク10に貯留する動作モードである。貯留モードは、加熱戻り側流路22を貯留タンク10側に向けて流れる湯水の温度、即ち温度センサ27によって検知される湯水の温度が所定温度(以下、必要に応じて温度αと称す)以上であることを条件として実施される動作モードである。
【0056】
(給湯モード)
図4は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが給湯モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
給湯モードは、上記した貯留モードによって貯留タンク10内に貯留された高温の湯水を利用して給湯を行う動作モードである。コージェネレーションシステム1が給湯モードで動作する場合、図4にハッチングや矢印で示すような湯水の流れが発生する。
【0057】
さらに具体的に説明すると、コージェネレーションシステム1が給湯モードで動作する場合、先混合用バイパス流路50bの本流部53に設けられた流量調整弁32を開度調整する。またこの時、制御手段80は、電磁弁58に通電し、電磁弁58を閉じた状態にする。これにより、外部の給水源から供給される低温の湯水が先混合用バイパス流路50bの本流部53を介して所定量だけ給湯流路30に合流可能な状態に調整される。
【0058】
この状態で給湯・給水系統Hを介して外部から低温の湯水を導入すると、図4にハッチングや矢印で示すように、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部が貯留用給水流路50aを介して給水用底部開口15から貯留タンク10内に流入する。これにより、貯留タンク10の頂部側に貯留されている高温の湯水が、湯水排出側頂部接続部14を介して排出され、給湯流路30に流れ込む。即ち、給湯・給水系統Hを介して貯留タンク10の底部に湯水を導入すると、貯留タンク10の頂部側に溜まっている高温の湯水が頂部側に押し上げられ、給湯配管30に押し出される。
【0059】
一方、外部の給水源から供給された低温の湯水の残部は、先混合用バイパス流路50bに流れ込み、本流部53を介して給湯流路30に導入される。この湯水は、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14から排出され、給湯流路30を流れている湯水に合流し、混合される。
【0060】
制御手段80は、入口側温度センサ33により給湯流路30内を流れる湯水の温度を確認する。ここで、入口側温度センサ33によって検知される湯水の温度が、カラン34等から排出すべき湯水の温度(給湯設定温度)と同等である場合、制御手段80は、燃焼装置(補助熱源)31を起動させない。これにより、湯水は燃焼装置(補助熱源)31を素通りし、そのままカラン34から排出される。
【0061】
入口側温度センサ33の検知温度が給湯設定温度よりも高い場合は、制御手段80から流量調整弁36aに開弁指令が出される。即ち入口側温度センサ33の検知温度が流量調整弁36aにフィードバックされ、流量調整弁36aの開度が調整される。これにより、外部の給水源から供給される低温の湯水が後混合用バイパス流路35から給湯流路30に合流し、給湯流路30を流れる湯水と混合される。これにより、カラン34における出湯温度が給湯設定温度に調整される。
一方、入口側温度センサ33によって検知される湯水の温度がカラン34から排出すべき温度よりも低い場合、燃焼装置(補助熱源)31が起動し、湯水が加熱される。このとき、入口側温度センサ33によって検知される湯水の温度と、補助加熱往き水量センサー63によって検知される燃焼装置(補助熱源)31に供給される総水量から加熱に必要な熱量が演算され、この熱量に合致する様にバーナー41に供給する燃料の量が制御される。
【0062】
なお本実施形態のコージェネレーションシステム1では、貯留タンク10の底に2個の開口を設け、一方を循環流路用底部開口12として機能させ、他方を給水用底部開口15として機能させ、循環流路用底部開口12から発電装置2側に供給される湯水を取り出している。即ち発電装置2側に冷却水を供給する流路は、給水源とは直接繋がってはおらず、貯留タンク10を介して接続されている。
そのため外部の給水源から給湯時に導入される水は、直接的には発電装置2に流れ込まず、外部からの給水は、一旦給水用底部開口15から貯留タンク10内に入り、タンク循環流路20aには、貯留タンク10内の水が吸い出されあるいは押し出されて流れ込む。そのため外部からの冷たい給水が、直接燃料電池側に流れ込んで流量が大きく変化することが緩和され、燃料電池と熱交換される水の温度変化が小さい。
【0063】
(暖房モード)
図5は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが暖房モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
暖房モードは、暖房側循環回路70内の湯水や熱媒体を熱交換器71において熱交換加熱し、これを暖房端末65に供給する動作モードである。暖房モードが選択されると、図5にハッチングや矢印で示すように湯水や熱媒体の循環流が発生する。
【0064】
(迂回モード)
図6は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが迂回モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
迂回モードは、三方弁28の開度調整を行うことによりエネルギー回収系統Cに貯留タンク10を迂回する迂回循環流路20bを構成した状態で循環ポンプ25を作動させ、迂回循環流路20bに貯留タンク10を迂回する湯水の循環流を発生させる動作モードである。迂回モードが選択されると、エネルギー回収系統Cにおいて、図6に矢印で示すような湯水の循環流が形成される。
迂回モードは、前記した様に、運転初期の様な発電装置2が冷えている状況等の場合に行われる動作である。
【0065】
次にコージャネレーションシステムを試運転する場合や、設置現場でシステム内に注水する場合の動作について説明する。以下に説明する動作は、本発明のコージェネレーションシステムに特有の動作であるため、詳細に説明することとする。
【0066】
本実施形態のコージェネレーションシステムは、試運転用の運転モードとして、タンク注水モードと、配管内注水モードを備えている。設置現場でシステム内に注水する場合には、先にタンク注水モードを実行し、その後に配管内注水モードを実施するので、タンク注水モードを先に説明する。
(タンク注水モード)
図7,8,9は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。図10は、タンク注水モードを実行する際のフローチャートである。
【0067】
タンク注水モードは、貯留タンク10に注水し、貯留タンク10内を完全に水で満たす動作である。
タンク注水モードでは、作業者が行う動作としてカラン34を開いた状態で外部の給水源から、給湯流路30に水を導入する。また図示しない操作ボードを操作し、タンク注水モードを選択する。
タンク注水モードの選択により、図10のフローチャートに則ってタンク注水モードが実行される。
【0068】
即ちタンク注水モードが選択されたことがステップ1で確認されると、ステップ2に移行して給湯時における主たる流路の弁だけが開かれ、ステップ3で支流的な流路の弁が全て閉じられる。
即ち貯留用給水流路50a、貯留タンク10の給水用底部開口15、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14、給湯流路30、燃焼装置(補助熱源)31及び一般給湯流路68を直線的に繋ぐ流路だけを開き、先混合用バイパス流路50bの本流部53及び支流部55、後混合用バイパス流路35を閉じる。
より詳細には、燃焼装置(補助熱源)31の下流側に設けられた比例弁37を全開にし、先混合用バイパス流路50bの本流部53に設けられた流量調整弁32を全閉にし、支流部55の電磁弁58を閉じ、後混合用バイパス流路35の流量調整弁36aを全閉にする。
即ち補助加熱往き流路73に繋がる流路の内、貯留タンク10から直接接続された流路以外の流路を全て閉じる。
エネルギー回収系統C側の弁については開閉いずれでも構わないが、説明を容易にするために迂回分岐流路61の開閉弁24を閉じ、暖房分岐流路60の三方弁(流路切り換え手段)28は、貯留タンク10側(ポートc)を閉じることとする。
図7は、タンク注水モードの際に閉じている弁を黒塗りで示し、開いている弁を白抜きで示している。
【0069】
その結果、給水口から直接補助加熱往き流路73に連通する流路が遮断される。そのため給水口から入った水は、全量が給水側水量センサー48を通過して貯留タンク10に流れ込み、貯留タンク10から排出される水の全量が補助加熱往き水量センサー63を通過してカラン34から排出される。
【0070】
そして続くステップ4では、給水側水量センサー48の検知水量と、補助加熱往き水量センサー63の検知水量を比較し、両者の差を演算する。
前記した様に、貯留用給水流路50a、貯留タンク10の給水用底部開口15、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14、給湯流路30、燃焼装置(補助熱源)31及び一般給湯流路68を繋ぐ直線的流路だけを開き、先混合用バイパス流路50bの本流部53及び支流部55、後混合用バイパス流路35を閉じているので、給水口から入った水は、全量が給水側水量センサー48を通過して貯留タンク10に流れ込む。また貯留タンク10から排出される水の全量が補助加熱往き水量センサー63を通過する。
従って貯留タンク10内が満水であるならば、貯留タンク10内に入る水の水量と、貯留タンク10から排出される水量は等しくなるはずである。そのため給水側水量センサー48の検知水量と、補助加熱往き水量センサー63の検知水量との差が無くなれば、貯留タンク10内が満水になった証拠である。
そこで続くステップ5では、両水量センサー63,48の検出値の差がゼロ(一定未満)になったか否かを判断する。なお実際には、水量センサー63,48の検出値にはある程度の誤差があることが避けられないから、センサーの誤差を考慮して実際上、両者が同一となったか否かを判断する。
【0071】
またステップ5で両水量センサー63,48の検出値を比較する際には、流量調整弁36aの漏れも考慮することが望ましい。即ち両水量センサー63,48の検出値を比較する際には、後混合用バイパス流路35に設けられた流量調整弁36aは閉じられているが、流量調整弁36aはその構造上、遮水能力が電磁弁に比べて劣る。そのため流量調整弁36aから微小な水漏れが生じ、後混合用バイパス流路35を経て補助加熱往き水量センサー63の下流側に水が漏れる場合がある。そのためステップ5では、流量調整弁36aの漏れも考慮し、実際上、水量センサー63,48の検出値が同一となったか否かを判断することが望ましい。
【0072】
そしてステップ5で両水量センサー63,48の検出値が同一となったと判断されれば、ステップ6で注水が完了した旨を知らせる表示を出し、一連の動作を終える。注水が完了した旨を知らせる表示は、表示画面に図や文字を表示する視覚的表示でもよいし、ブザーや音声等の聴覚的表示であってもよい。
また試運転のための注水用電磁弁等を持つ場合は、電磁弁を閉じて注水を停止する。
【0073】
図10に示すフローチャートは、注水モードの主要な動作だけを記載したが、給水タンク10への注水完了を確認するために、他の要件を付加してもよい。たとえば、両水量センサー63,48の検知水量がゼロでは無いことを条件としたり、流水検知センサ40が水流を検知していることを要件としてもよい。
また少なくとも一定時間の通水があったという条件や、水流センサーの検出値が安定しているという条件、二つの水流センサーの検出値が同一となった状態が一定時間続くといった条件を付加してもよい。
【0074】
前述した説明では、エネルギー回収系統C側の弁を閉じることとしたが、前記したようにエネルギー回収系統C側の弁は開閉いずれでも構わない。図8,9は、エネルギー回収系統C側の弁を開いた場合の水の流れを示している。即ち図8では、三方弁28の貯留タンク10側を開いた。図9では、さらに迂回分岐流路61の開閉弁24も開いた。
図8,9についても、タンク注水モードの際に閉じている弁を黒塗りで示し、開いている弁を白抜きで示している。図8,9の様に、エネルギー回収系統C側の弁を開いた場合であっても、エネルギー回収系統Cに流れ込んだ水は、その全量が貯留タンク10に戻る。そのため先の場合と同様に、給水口から入った水は、全量が給水側水量センサー48を通過して貯留タンク10に流れ込む。また貯留タンク10から排出される水の全量が補助加熱往き水量センサー63を通過する。
従って貯留タンク10内が満水であるならば、貯留タンク10内に入る水の水量と、貯留タンク10から排出される水量は等しくなるはずであり、両水量センサー63,48の検出値の差がゼロになったか否かを判断すれば、貯留タンク10が満水であるか否かが判る。
【0075】
なお本実施形態では、貯留タンク10から排出される水量を検知し得るセンサーとして、前記した補助加熱往き水量センサー63の他に、落とし込み水量センサー74があるが、落とし込み水量センサー74を補助加熱往き水量センサー63の代わりに利用することはできない。
即ち本実施形態では、給湯流路30はカラン等の一般給湯に利用される一般給湯流路68と風呂落とし込み流路66を持つ。もし落とし込み水量センサー74を補助加熱往き水量センサー63の代わりに利用するならば、注水作業中は、一般給湯流路68のカランを開いてはならない。ここで風呂落とし込み流路66は電気信号によって開閉されるものであるが、一般給湯流路68は手動によって開閉される。また機器の試運転は、複数の作業員が連絡を取り合いながら実施する場合が多いから、注水モードの実行中に他の作業員がカラン34等を開いてしまう場合も多い。そのため注水完了の確認が遅れたり、不正確なものとなってしまう懸念がある。
【0076】
これに対して本実施形態の様に補助加熱往き水量センサー63を使用する場合は、取り付け位置が風呂落とし込み流路66との分岐部よりも上流側であり、落とし込みの開始や、他栓の開閉に係わらず貯留タンク10から排出される水量を正確に検知することができる。
【0077】
上記した説明では、ステップ2で主たる流路の弁だけを開き、ステップ3で支流的な流路の弁を全て閉じ、常にこの状態で貯留タンク10に注水を行った。しかしながら、例えば各弁を順次開閉してゆき、この状態で貯留タンク10に注水を行い、貯留タンク10内が満水であるか否かを判断する際のみ、弁を上記した状況とすることも可能である。
(配管内注水モード)
図11は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。図12は、配管内注水モードを実行する際のフローチャートである。
配管内注水モードは、エネルギー回収系統Cに注水する動作モードである。
配管内注水モードでは、作業者が行う動作としてカラン34を開いた状態で外部の給水源から、エネルギー回収系統Cに水を導入する。また図示しない操作ボードを操作し、配管内注水モードを選択する。
タンク注水モードの選択により、図12のフローチャートに則って配管内注水モードが実行される。
【0078】
即ち配管内注水モードが選択されたことがステップ1で確認されると、ステップ2に移行して三方弁28を半開状態にする。即ち前記した様に三方弁(流路切り換え手段)28は、3個の開口(ポート)a,b,cを有するハウジング59内で弁体62が回動する三方切り換え弁であり、本来は、図2(a)の様に三方弁28を構成する3つのポートa,b,cのうちの2つのポートa,bを連通させてポートcを閉鎖するか、(b)の様に3つのポートa,b,cのうちの2つのポートa,cを連通させポートbを閉鎖した状態で使用する。
これに対して配管内注水モードが選択された場合には、ステッピングモータを中途の位置で停止させ、図2(c)の様に3つのポートa,b,cが連通する位置に弁体62を置く。
またステップ3では、迂回分岐流路61の開閉弁24を開く。
図11は、配管内注水モードの際に閉じている弁を黒塗りで示し、開いている弁を白抜きで示している。
【0079】
さらにステップ4では、発電装置2内の循環ポンプ25を起動する。なお後記する様に循環ポンプ25を起動しなくてもエネルギー回収系統C内に水を満たすことはできる。
その結果、給水口から入った水は、給水用底部開口15から一旦貯留タンク10内に入り、循環ポンプ25に引かれて循環流路用底部開口12からエネルギー回収系統Cの加熱往き側流路21に入る。そして続いて給湯システム装置3を出て発電装置2内に入り、その後に給湯システム装置3に戻る。
【0080】
また給湯システム装置3に戻った水は、加熱戻り側流路22に入り、暖房分岐流路60とバイパス流路たる迂回分岐流路61とに分岐して流れる。迂回分岐流路61に流れた水は、そのまま貯留タンク10に戻る。
従ってエネルギー回収系統Cの内、加熱往き側流路21、発電装置2、迂回分岐流路61を経由して貯留タンク10に戻る流路には水流が生じ、内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0081】
また暖房分岐流路60を流れる水は、三方弁28に至るが、三方弁28は、3つのポートa,b,cが連通しているので、暖房分岐流路60側を流れる水は貯留タンク10に戻る。従って暖房分岐流路60側を通過する流路にも水流が生じ、暖房分岐流路60の内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0082】
さらに三方弁28が半開状態であるから、エネルギー回収系統Cに貯留タンク10を迂回する迂回循環流路20bも連通しており、駆動ポンプ25により、タンクバイパス流路23を通過する流路にも水流が生じる。
即ち駆動ポンプ25の負圧によってタンクバイパス流路23内に加熱往き側流路21側に向かう水流が生じ、その水は、給湯システム装置3を出て発電装置2内に入り、その後に給湯システム装置3に戻り、暖房分岐流路60又は迂回分岐流路61を経由して貯留タンク10に戻る。そのためタンクバイパス流路23の内部の空気は押し出されて水と置換される。
従ってエネルギー回収系統Cの全ての流路に水流が生じ、エネルギー回収系統Cは全て水で置換される。
【0083】
上記した説明では、ステップ4で発電装置2内の循環ポンプ25を起動したが、循環ポンプ25を起動しなくてもエネルギー回収系統C内に水を満たすことはできる。
循環ポンプ25を起動しない場合は、先に貯留タンク10が満水状態となり、貯留タンク10内が正圧となって貯留タンク10から水が押し出される。
図13は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図であり、循環ポンプを起動せずに行った場合を示す。
即ち給水口から入った水は、給水用底部開口15から一旦貯留タンク10内に入り、一旦貯留タンク10内を水で満たす。そしてさらに供給される水は、貯留タンク10の循環流路用底部開口12からエネルギー回収系統Cの加熱往き側流路21に入る。そして続いて給湯システム装置3を出て発電装置2内に入り、その後に給湯システム装置3に戻る。
また給湯システム装置3に戻った水は、加熱戻り側流路22に入り、暖房分岐流路60とバイパス流路たる迂回分岐流路61とに分岐して流れる。迂回分岐流路61に流れた水は、そのまま貯留タンク10に戻る。
従ってエネルギー回収系統Cの内、加熱往き側流路21、発電装置2、迂回分岐流路61を経由して貯留タンク10に戻る流路には水流が生じ、内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0084】
また三方弁28は、3つのポートa,b,cが連通しているので、暖房分岐流路60側を流れる水は貯留タンク10に戻る。従って暖房分岐流路60側を通過する流路にも水流が生じ、暖房分岐流路60の内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0085】
また三方弁28の弁体62が中途の位置にあって各ポートa,b,cが半開状態であるから、タンクバイパス流路23から加熱戻り下流側流路22aを経て貯留タンク10に至る流路も開かれている。そのため、貯留タンク10下部の循環流路用底部開口12から押し出された水は、タンクバイパス流路23に入り、加熱戻り下流側流路22aを経て貯留タンク10に抜ける。
そのためタンクバイパス流路23の内部の空気は押し出されて水と置換される。
従って循環ポンプ25を起動しない場合であっても、エネルギー回収系統Cの全ての流路に水流が生じ、エネルギー回収系統Cは全て水で置換される。
また配管内注水モードの実行中に異音を感じることはなかった。
【0086】
また本実施形態では、発電装置2が接続されておらず、手動弁16,17が閉じられている場合であっても、タンクバイパス流路23内を水で満たすことは可能である。
【0087】
本実施形態では、配管内注水モードで動作させる際は、常時、三方弁28を中途位置としたが、一定時間のみ三方弁28を中途位置とすることも考えられる。
【0088】
上記した実施形態では、三方弁28をタンクバイパス流路23と加熱戻り側流路22との接続部分に設けたが、三方弁28の位置は、タンクバイパス流路23と加熱往き側流路21との接続部分に設けてもよい。
【0089】
上記した実施形態では、タンク注水モードと配管内注水モードとを個別に実行したが、同時平行的に実行してもよい。
【0090】
また上記した実施形態では、熱・電気発生装置として燃料電池を採用したが、ガスエンジン等の他の機器であってもよい。ただし本発明は、系を流れる水量が少ない機器に適するものであるから、燃料電池を使用するコージェネレーションに適用するのが最も適切である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態であるコージェネレーションシステムおよび給湯システムを示す作動原理図である。
【図2】三方弁の構造を示す断面図であり、図(a)(b)(c)は、それぞれ弁体の姿勢が異なる場合を示している。
【図3】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが貯留モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図4】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが給湯モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図5】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが暖房モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図6】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが迂回モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図7】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図8】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図9】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図10】タンク注水モードを実行する際のフローチャートである。
【図11】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図12】配管内注水モードを実行する際のフローチャートである。
【図13】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図であり、循環ポンプを起動せずに行った場合を示す。
【図14】従来技術のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【図15】従来技術のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【図16】三方弁の構造を示す説明図である。
【図17】本発明のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【図18】本発明のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【符号の説明】
【0092】
1 コージェネレーションシステム
2 発電装置(熱・電気発生装置)
3 給湯システム装置
6 熱交換器
10 貯留タンク
11 湯水導入側頂部接続部
12 循環流路用底部開口
15 給水用底部開口
20a タンク循環流路
20b 迂回循環流路
21 加熱往き側流路
22 加熱戻り側流路
23 タンクバイパス流路
28 三方弁(流路切り換え手段)
48 給水側水量センサー
59 ハウジング
63 補助加熱往き水量センサー
73 補助加熱往き流路
C エネルギー回収系統
H 給湯・給水系統
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池等の電気と熱とを共に発生させることができる熱・電気発生装置に接続されてコージェネレーションシステムを構成する給湯システムに関するものである。また本発明は、コージェネレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されている様に、燃料電池等の発電装置において発生した排熱が持つ熱エネルギーを湯水を介して回収し、貯留タンクに貯留可能な熱回収装置を備えたコージェネレーションシステムがある。かかる構成のコージェネレーションシステムは、発電装置と貯留タンクとの間で湯水が循環可能なタンク循環流路を有し、当該タンク循環流路を介して循環する湯水によって発電装置を冷却し、これに伴って加熱された湯水を貯留タンクに貯留する構成となっている。
【0003】
また特許文献1に記載のコージェネレーションシステムでは、循環流路の一部にタンクを迂回するタンクバイパス流路が設けられている。このタンクバイパス流路は、コージェネレーションシステムが運転を開始した直後の様に、機器全体の温度が低い場合に湯水を通過させる流路である。
【0004】
即ちコージェネレーションシステムは、燃料電池が発電作用をするのに伴って発生する熱を回収して有効利用するものであり、燃料電池側から見れば熱回収によって燃料電池の温度を適切な運転温度に維持するものである。そのため運転初期の様に燃料電池の温度が低い場合は、燃料電池をさらに冷却することは好ましくない。また運転初期は、燃料電池側から戻ってきた湯水の温度も低いので、この様な低温の湯水を貯留タンクに貯留するのも適切ではない。そこでコージェネレーションシステムが運転を開始した直後は、湯を貯留タンクに溜めることをせず、貯留タンクを迂回して燃料電池側に戻す。
【特許文献1】特開2007−64526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで現実的問題として、コージェネレーションシステムは、工場内や設置現場で試運転を行う必要がある。ここで特許文献1に開示されたコージェネレーションシステムは、燃料電池等の排熱を湯水を介して回収し、貯留タンクに湯を貯留するものであるから、貯留タンクや配管内の空気を水で完全に置換し、配管やタンク内を水で満たした状態でなければ正常な運転を行うことはできない。そのためコージェネレーションシステムでは、工場から出荷し、使用場所に設置した後、貯留タンクや配管を水で満たした状態で試運転を行い、その後に使用者に引き渡さなければならない。
【0006】
ところが特許文献1に開示されたコージェネレーションシステムは、配管内の空気が抜けにくく、配管内の空気を水で置換し、配管内を水で満たすのに要する時間が長いという問題があった。具体的には、前記したタンクバイパス流路内の空気が抜けにくく、タンクバイパス流路内の空気を水で置換するのに多くの時間を要していた。
【0007】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、比較的短い時間で配管内を水で満たすことができるコージェネレーションシステム及びコージェネレーションシステムに採用される給湯システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして本発明者らは、タンクバイパス流路内の空気が抜けない原因を検討した。
図14,15は、従来技術のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
図14,15に示すコージェネレーションシステム100は、熱・電気発生装置たる燃料電池装置101と、給湯システムたる貯湯装置によって構成されている。燃料電池装置101は、燃料電池102と循環ポンプ103によって構成されている。なお燃料電池102は、熱交換器を有しており、内部に通水可能であり、内部に通水することにより燃料電池102の排熱を奪うことができる。
【0009】
貯湯装置は、貯留タンク105を中心とするものであり、タンク循環流路110を備えている。タンク循環流路110は、燃料電池装置101と貯留タンク105を含んで環状に循環する流路である。
タンク循環流路110は、具体的には、貯留タンク105の下部と燃料電池装置101の入水側を結ぶ加熱往き側流路112と、燃料電池装置101の湯水吐出口と貯留タンク105の上部を結ぶ加熱戻り側流路113とによって構成されている。
また前記した加熱戻り側流路113と加熱往き側流路112とを結合し、貯留タンク105を迂回するタンクバイパス流路106がある。
【0010】
タンクバイパス流路106と加熱戻り側流路113との接続部分には、三方弁115が設けられている。
三方弁115は、図16の様に3つのポートa,b,cを持つが、一般にa−b間を開いた状態で使用されるか、a−c間を開いた状態で使用されるかのいずれかであり、中途半端な開口位置で使用されることは無い。
即ち図16は、三方弁の構造を示す説明図である。
【0011】
従来技術においては、系内に注水する場合においても同様であり、三方弁115は、a−b間を開いた状態で使用されるか、a−c間を開いた状態で使用されるかのいずれかであり、中途半端な開口位置で使用されることは無い。
ここで図14,15において、三方弁115の図で黒く塗ったポートは閉じているポートを示している。また白抜きのポートは開いたポートを示している。また太線及び矢印は水の流れを示している。
【0012】
図14の様に、三方弁115が、燃料電池装置101と貯留タンク105の間を開いてタンクバイパス流路106側が閉じられた状態であると考えると、注水は給水流路120から導入され、燃料電池装置101を経由して貯留タンク105に流れ込む。また注水を停止して循環ポンプ103を駆動すると、燃料電池装置101と貯留タンク105を含むタンク循環流路110に通水され、当該経路内の空気は水と置換される。
ただしこの場合、三方弁115のタンクバイパス流路106側のポートcが閉じているので、タンクバイパス流路106内に通水は生じず、タンクバイパス流路106内の空気は排出されずに残る。
【0013】
一方、図15の様に、三方弁115が、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106の間を開いて貯留タンク105側が閉じられた状態であることを想定すると、給水流路120から導入された水の排出路が三方弁115のbポートによって塞がれているので、タンク循環流路110に通水は生じない。また三方弁115のbポートが塞がれているので、タンクバイパス流路106に入った水の排出路が無く、タンクバイパス流路106にも通水は生じない。従ってタンクバイパス流路106内の空気は排出されずに残る。
【0014】
またこの状態で注水を停止して循環ポンプ103を駆動すると、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路に通水が生じるが、この水は単に循環するだけであって外部に排出されない。そのためタンクバイパス流路106内の空気は、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路を巡ることとなるが、空気はこの系の外部に出ることはない。そのためタンクバイパス流路106内の空気は、他の部位に分散するが、依然としてタンクバイパス流路106内に空気が残留する。
【0015】
従って、結局タンクバイパス流路106内の空気は、三方弁115の連通方向がいずれであっても抜けない。そのため従来技術においては、配管内の空気が抜けにくく、配管内の空気を水で置換し、配管内を水で満たすのに要する時間が長くかかっていた。また注水作業においては、多くの水を捨てることとなり、水資源を無駄にするという問題があった。
【0016】
また本発明者らの経験によると、貯留タンクや配管内に水を注入する際に、異音を感じる場合があった。この異音は、タンクバイパス流路106内の空気が、三方弁115の空隙等の狭い隙間から抜ける際の音であると予想される。
【0017】
そこで本発明では、注水作業の際に、三方弁を中途の開度状態とし、ポートa,b.cがわずかずつ連通する状態として注水作業を行うこととした。
即ち請求項1に記載の発明は、熱・電気発生装置に接続される給湯システムであって、貯留タンクと、これらに連通する配管系を有し、熱・電気発生装置によって加熱された湯を貯留タンクに貯留し、必要に応じて貯留タンクの湯を前記配管系外に排出して消費する給湯システムにおいて、前記熱・電気発生装置と貯留タンクとの間を循環するタンク循環流路と、タンク循環流路に接続され貯留タンクを迂回するタンクバイパス流路と、前記タンクバイパス流路を経て循環する流路とタンクを経て循環する流路とを切り換える流路切り換え手段とを有し、さらに動作モードとして配管系に対して注水する配管内注水モードを備え、配管内注水モードの動作中においては、一時的にあるいは常時、流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする給湯システムである。
【0018】
図17、18は、本発明のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
本発明の給湯システムでは、三方弁等の流路切り換え手段が、熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態にして注水作業を行うので、タンクバイパス流路に排水経路ができ、タンクバイパス流路に通水が生じると共に、この通水が外部に排出される。
即ち図17の様に、給水流路120から導入された水の一部は、燃料電池装置101を経由して貯留タンク105に流れ込む。また給水流路120から導入された水の残部は、タンクバイパス流路106を経由して貯留タンク105に流れ込む。そのためタンクバイパス流路106内の空気は、貯留タンク105に抜け、タンクバイパス流路106内の空気は、水と置換される。
【0019】
また注水を停止して循環ポンプ103を駆動すると、図18の様に燃料電池装置101と貯留タンク105を含むタンク循環流路110に通水されると共に、水の一部はタンクバイパス流路106にも入り、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路を巡る。ただし、前記した様に水の一部は、貯留タンク105にも流れ込むので、タンクバイパス流路106内の空気は、燃料電池装置101とタンクバイパス流路106とによって構成される環状流路を巡る内に、貯留タンク105側に抜ける。
【0020】
請求項2に記載の発明は、流路切り換え手段は、3個の開口を有するハウジング内で弁体が回動する三方切り換え弁であり、弁の一つの開口は熱・電気発生装置に連通し、他の一つの開口はタンクバイパス流路と連通し、残る一つの開口は貯留タンクと連通し、配管内注水モードの動作中においては、三方切り換え弁は前記弁体が中途位置に停止して流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする請求項1に記載の給湯システムである。
【0021】
また請求項3に記載の発明は、貯留タンクは、内部に温度成層を形成させて湯を貯留するものであり、貯留タンクの下部側にタンク循環流路に接続される循環流路用開口と、タンク内に水を導入するための給水用開口とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システムである。
【0022】
本発明の給湯システムは、熱・電気発生装置として燃料電池を採用する場合に好適なものである。即ち燃料電池を良好に動作させるためには、動作時の温度を一定に保つ必要があり、燃料電池と熱交換される水の温度が急激に変化することは望ましくない。
これに対して本発明の給湯システムでは、貯留タンクの下部側には2個以上の開口があり、その内の一つは、貯留タンク内に給水するための開口である。また他の一つは、タンク循環流路に接続される循環流路用開口である。
本発明の給湯システムでは、外部からの給水は、一旦給水用開口から貯留タンク内に入り、タンク循環流路には、貯留タンク内の水が吸い出され、あるいは押し出されて流れ込む。そのため外部からの冷たい給水が、直接燃料電池側に流れ込んで流量が大きく変化する現象が緩和され、燃料電池と熱交換される水の温度変化が小さい。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯システムに、燃料電池を主要部とする熱・電気発生装置が接続されてなるコージェネレーションシステムである。
【0024】
本発明のコージェネレーションシステムは、電気と湯を作ることができ、エネルギー効率が高い。
【発明の効果】
【0025】
本発明の給湯システム及びコージェネレーションシステムは、試運転や現場設置時の注水を円滑に行うことができ、試運転等を短時間で完了することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
続いて、本発明の一実施形態である給湯システム、並びに、コージェネレーションシステムについて図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるコージェネレーションシステムおよび給湯システムを示す作動原理図である。
図1において、1は本実施形態のコージェネレーションシステムである。コージェネレーションシステム1は、大別して発電装置(熱・電気発生装置)2と給湯システム装置3とを組み合わせて構成されている。発電装置(熱・電気発生装置)2と給湯システム装置3は、個別に製作され、設置現場で配管接続されてコージェネレーションシステム1が完成する。
【0027】
発電装置2は、燃料電池によって構成されており、発電に伴って熱を発生する発熱部5と、発熱部5を冷却し、発電の際に発生した排熱を回収するための熱交換器6とを備えている。即ち、発電装置2は、外部に設けられた電力負荷Eに対して電力を供給するための発電デバイスとしての機能と、湯水を加熱するための熱エネルギー発生デバイスとしての機能とを兼ね備えている。
また発電装置2内には、熱交換器6への通水を可能とするための循環ポンプ25が内蔵されている。
【0028】
一方、給湯システム装置3は、湯水を貯留するための貯留タンク10を中心として構成されている。貯留タンク10の頂部には、湯水導入側頂部接続部11と湯水排出側頂部接続部14が設けられている。また貯留タンク10の下部には、循環流路用底部開口12と、給水用底部開口15とが設けられている。
そしてこれら湯水導入側頂部接続部11、湯水排出側頂部接続部14、循環流路用底部開口12及び給水用底部開口15に対してエネルギー回収系統Cおよび給湯・給水系統Hを構成する配管を接続した構成とされている。
【0029】
貯留タンク10は、高さ方向、即ち内部に貯留される湯水の水位上昇方向に複数(本実施形態では4つ)の温度センサ13a〜13dを取り付けた構成とされている。温度センサ13a〜13dは、それぞれ貯留タンク10内の湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、貯留タンク10内に所定温度あるいは温度範囲の湯水の残留量を検知するための残量検知手段としての役割も果たす。
【0030】
さらに具体的には、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、貯留タンク10の底部から取り出された湯水がエネルギー回収系統Cに排出され、発電装置2の熱交換部6を通過することによって熱交換加熱され、貯留タンク10の頂部側にゆっくりと戻される構成とされている。
【0031】
ここで、一般的にタンク内に液体を貯留する場合、その液体の温度差が所定の閾値以上であると、液体が温度毎に層状に分かれる。即ち内部に温度成層を形成する。例えば湯水ではその閾値は、摂氏10度(℃)程度である。
そのため、エネルギー回収系統Cを通過する湯水が、貯留タンク10内の湯水の温度に対して前記閾温度以上高温に加熱され、貯留タンク10内の湯水を掻き乱さない程度にゆっくりと戻されると、貯留タンク10内に貯留されている湯水が温度毎に層状に分かれる。従って、貯留タンク10に設置された温度センサ13a〜13dの検知温度を調べることにより、貯留タンク10内に所望の温度範囲に加熱された湯水がどれだけ貯留されているかを検知することができる。
【0032】
エネルギー回収系統Cは、複数の配管を組み合わせて形成され、発電装置(記熱・電気発生装置)2と貯留タンク10との間を循環するタンク循環流路20aと、貯留タンク10を迂回してタンクバイパス流路23を通過する迂回循環流路20bとを構成可能なものである。さらに詳細に説明すると、エネルギー回収系統Cは、貯留タンク10の循環流路用底部開口12と発熱部5内の熱交換器6とを繋ぐ加熱往き側流路21と、湯水導入側頂部接続部11と熱交換器6とを繋ぐ加熱戻り側流路22とを有する。なお加熱往き側流路21と、加熱戻り側流路22とは図1の様に発電装置2と配管接続されて一連の環状流路を構成するものであるが、メンテナンス等の場合に発電装置2と給湯システム装置3の切り離しを行える様に、加熱往き側流路21と、加熱戻り側流路22の端部には手動弁16,17が設けられている。
また、エネルギー回収系統Cは、加熱往き側流路21および加熱戻り側流路22の中間部分において両流路をバイパスするタンクバイパス流路23を有する。タンクバイパス流路23と加熱戻り側流路22とは、三方弁(流路切り換え手段)28を介して接続されている。またタンクバイパス流路23と加熱往き側流路21とは、ティ18を介して接続されている。
【0033】
図面の下部側に示された加熱往き側流路21は、貯留タンク10下部の循環流路用底部開口12を基端とする流路であり、貯留タンク10の底部側から排出される湯水を発熱部5の熱交換器6に供給する流路である。加熱往き側流路21の中途には、上記したタンクバイパス流路23を分岐するティ18が設けられている。
【0034】
加熱往き側流路21の中途であって、ティ18に対して湯水の流れ方向下流側、即ち発電装置2側の位置には、温度センサ26が設けられている。温度センサ26は、エネルギー回収系統C内を流れる湯水の温度を検知するために設けられている。
【0035】
一方、図面の上部側に示された加熱戻り側流路22は、熱交換器6を通過した湯水を貯留タンク10の頂部側(湯水導入側頂部接続部11)に戻す流路である。加熱戻り側流路22は、中途で2系統に分岐され、その下流側で再度合流する構成とされている。具体的には、加熱戻り側流路22は、中途で主流たる暖房分岐流路60とバイパス流路たる迂回分岐流路61とに分岐されており、湯水の流れ方向下流側であって三方弁(流路切り換え手段)28と貯留タンク10との間において再度合流する構成とされている。
また暖房分岐流路60は、三方弁(流路切り換え手段)28を介してタンクバイパス流路23に接続されている。暖房分岐流路60には、温度センサ27が設けられている。
【0036】
暖房分岐流路60は、暖房側循環回路70によって構成される暖房系統Dと熱交換器71を介して接続されている。
また、迂回分岐流路61は、発熱部5側から湯水を熱交換器71を通過させずに貯留タンク10側に戻す流路である。迂回分岐流路61には開閉弁24が設けられている。
そのため、開閉弁24を閉じた状態にすることにより、発電装置2において加熱された湯水を熱交換器71側に送り込むことができる。
また開閉弁24を開くと、発電装置2において加熱された湯水の多くが熱交換器71を経ることなく貯留タンク10に供給される。
【0037】
図2は、三方弁の構造を示す断面図であり、図(a)(b)(c)は、それぞれ弁体の姿勢が異なる場合を示している。
前記した三方弁(流路切り換え手段)28は、図2の様に3個の開口(ポート)a,b,cを有するハウジング59内で弁体62が回動する三方切り換え弁である。三方弁28を構成する3つのポートa,b,cのうちの2つのポートa,cは加熱戻り側流路22に接続されており、残りのポートbにはタンクバイパス流路23が接続されている。即ち、三方弁28は、加熱戻り側流路22のうち三方弁28よりも貯留タンク10側の流路(以下、必要に応じて加熱戻り下流側流路22aと称す)と、三方弁28よりも発電装置2側の流路(以下、必要に応じて加熱戻り上流側流路22bと称す)と、タンクバイパス流路23とに接続されている。
三方弁(流路切り換え手段)28は、図示しないステッピングモータを搭載しており、ステッピングモータによって弁体62を回動させ、任意の位置で弁体62を停止させることができる。
【0038】
エネルギー回収系統Cは、加熱戻り側流路22の中途に設けられた三方弁28を調整することにより、タンク循環流路20aや迂回循環流路20bを構成することができる。さらに詳細に説明すると、三方弁28を構成する3つのポートのうち加熱戻り側流路22に接続された2つのポートを開状態とすると、図3にハッチングで示すように貯留タンク10と発電装置2との間で湯水が循環可能なタンク循環流路20aを構成することができる。また、三方弁28を構成する3つのポートのうち加熱戻り側流路22の燃料電池側ポートと、タンクバイパス流路23に接続されたポートとを開くと、図6にハッチングで示すように貯留タンク10を迂回して湯水が循環可能な迂回循環流路20bを形成できる。
【0039】
暖房系統Dは、コージェネレーションシステム1の外部に設置された暖房端末65との間で不凍液等の液体を循環させるための暖房側循環回路70を有する。
【0040】
給湯・給水系統Hは、貯留タンク10の湯水導入側頂部接続部14に接続された給湯流路30と、外部から給湯流路30側やエネルギー回収系統C側に湯水を供給するための給水流路50を備えている。
【0041】
給湯流路30は、貯留タンク10から燃焼装置31を経てカラン34又は風呂落とし込み流路66に至る一連の流路を形成するものであり、中途に燃焼装置(補助熱源)31が設けられた構成とされている。
なお本実施形態では、貯留タンク10から燃焼装置31に至る流路を補助加熱往き流路73と称し、燃焼装置31の下流側を補助加熱排出流路75と称して両者を区別する。
給湯流路30は、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14を基端とし、貯留タンク10から燃焼装置(補助熱源)31に至る流路の中途に貯留タンク10側に向けて湯水が逆流するのを阻止すべく、逆止弁52が設けられた構成とされている。即ち補助加熱往き流路73に逆止弁52が設けられている。なお本実施形態では、貯留タンク10から燃焼装置(補助熱源)31に至る流路の中途に逆止弁52を設けた。即ち本実施形態では、貯留タンク10の下流側に逆止弁52を設けたが、これに代わって貯留タンク10の上流側に逆止弁52を設けてもよい。即ち後記する貯留用給水流路50aに逆止弁52の位置を変更してもよい。
また、逆止弁52よりも湯水の流れ方向下流側(燃焼装置31側)には、入口側温度センサ33と補助加熱往き水量センサー63が設けられている。
即ち補助加熱往き流路73に補助加熱往き水量センサー63が設けられている。
給湯流路30の中途には、後述する先混合用バイパス流路50bの本流部53および支流部55が接続されている。
即ち補助加熱往き流路73に先混合用バイパス流路50bの本流部53および支流部55が接続されている。
【0042】
入口側温度センサ33は、給湯流路30と先混合用バイパス流路50bとの接続部分よりも下流側であって、燃焼装置(補助熱源)31よりも上流側の位置に設置されている。そのため、入口側温度センサ33は、貯留タンク10から排出された湯水と、先混合用バイパス流路50bの本流部53や支流部55を介して供給される湯水とが混合された後の湯水の温度を検知できる。
【0043】
また補助加熱往き水量センサー63についても補助加熱往き流路73の同様の位置に設けられているので、先混合用バイパス流路50bの本流部53や支流部55を介して供給される湯水とが混合された後の湯水の総量を検知できる。即ち燃焼装置(補助熱源)31に供給される総水量が検知される。
【0044】
給湯流路30のうち、燃焼装置(補助熱源)31よりも下流側に接続された部分(補助加熱排出流路75)には、比例弁37と、出口側温度センサ38と流水検知センサ40とが設けられている。なお本実施形態では、流水検知センサ40を設けたが、これを省略することも可能である。
さらに流水検知センサ40の下流側には、三方弁67を介して二流路に分かれている。その内の一つは、カラン等の一般給湯に利用される一般給湯流路68であり、他方は、風呂落とし込み流路66である。風呂落とし込み流路66には、浴槽72への落とし込み量を検知するための落とし込み水量センサー74が設けられている。
【0045】
燃焼装置(補助熱源)31は、従来公知の給湯器と同様にガスや灯油等の燃料を燃焼するためのバーナー41と熱交換器43とを内蔵しており、燃料の燃焼により発生した熱エネルギーを利用して湯水を加熱するものである。燃焼装置(補助熱源)31のバーナ41は、図示しない比例弁を介して燃料が供給され、燃焼装置(補助熱源)31に供給される水量や水温に応じて燃焼量が増減される。
燃焼装置(補助熱源)31は、発熱部5よりも湯水の加熱能力が高い。燃焼装置(補助熱源)31は、貯留タンク10から排出される湯水の温度が低い等のような特別な場合に限って燃焼動作を行い、給湯流路30内を流れる湯水を加熱するものであり、補助的な熱源として機能する。燃焼装置(補助熱源)31は、流水検知センサ40により通水が検知されることを作動条件の一つとしている。
【0046】
給水流路50は、外部の給水源から湯水を供給するための流路である。給水流路50は、中途に減圧弁49と給水側水量センサー48を有し、これよりも湯水の流れ方向下流側において貯留用給水流路50aと先混合用バイパス流路50bとに分岐されている。
【0047】
貯留用給水流路50aは、貯留タンク10の底部側に設けられた給水用底部開口15に接続されている。これにより、コージェネレーションシステム1は、外部から供給される低温の湯水を貯留タンク10の底部側から導入可能な構成とされている。
【0048】
先混合用バイパス流路50bは、給湯流路30を流れる湯水に外部から供給される湯水を合流させるための流路である。先混合用バイパス流路50bの中途には、給湯流路30に合流する湯水の温度を検知するための入水温度センサ56と、給湯流路30側から給水源側に向けて湯水が逆流するのを防止するための逆止弁57とが設けられている。
【0049】
先混合用バイパス流路50bは、逆止弁57よりも下流側の分岐部54において本流部53と支流部55とに分岐された構成とされている。本流部53は、分岐部54よりも下流側の位置に流量調整弁32を有し、流量調整弁32の開度調整を行うことにより給湯流路30に合流する湯水の量を調整することができる。
【0050】
支流部55は、分岐部54よりも下流側の位置に電磁弁58を有する。電磁弁58は、非通電時に開いた状態となる弁であり、停電状態になって流量調整弁32を開くことができなくなった際に貯留タンク10内の湯水がそのまま排出され、いわゆる高温出湯が起こるのを防止するために設けられたものである。
【0051】
先混合用バイパス流路50bは、後混合用バイパス流路35によって給湯流路30の中途であって、燃焼装置(補助熱源)31よりも下流の部位とバイパスされている。即ち後混合用バイパス流路35は、補助加熱排出流路75に接続されている。後混合用バイパス流路35は、一端が先混合用バイパス流路50bの中途であって、逆止弁57よりも上流側の位置に接続されている。
【0052】
後混合用バイパス流路35の中途には、流量調整弁36aと、逆止弁36bとが設けられている。逆止弁36bは、給湯流路30側から先混合用バイパス流路50b側への湯水の流れを阻止するものである。
【0053】
コージェネレーションシステム1は、制御手段80によって動作が制御されている。制御手段80は、従来公知のコージェネレーションシステムが備えているものと同様のものであり、例えばCPUや所定の制御プログラムが内蔵されたメモリなどを備えた構成とすることができる。制御手段80は、各部に設けられたセンサ類の検知信号や、メモリに記憶されているデータ等に基づいてコージェネレーションシステム1の各部に設けられた弁や発熱部5、燃焼装置(補助熱源)31等の動作を制御し、コージェネレーションシステム1の総合エネルギー効率の最適化を図る構成とされている。
【0054】
続いて、本実施形態のコージェネレーションシステム1の一般的な動作について、図面を参照しながら簡単に説明する。コージェネレーションシステム1は、貯留モード、給湯モード、暖房モード、並びに、迂回モードを含む動作モード群から動作モードを選択して動作することができる。
【0055】
(貯留モード)
図3は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが貯留モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
貯留モードは、循環ポンプ25を作動させることにより、図3にハッチングや矢印で示すようにエネルギー回収系統Cのタンク循環流路20a内に水流を発生させ、発電装置2の動作に伴って発生する排熱(熱エネルギー)を回収して湯水を加熱し、この湯水を貯留タンク10に貯留する動作モードである。貯留モードは、加熱戻り側流路22を貯留タンク10側に向けて流れる湯水の温度、即ち温度センサ27によって検知される湯水の温度が所定温度(以下、必要に応じて温度αと称す)以上であることを条件として実施される動作モードである。
【0056】
(給湯モード)
図4は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが給湯モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
給湯モードは、上記した貯留モードによって貯留タンク10内に貯留された高温の湯水を利用して給湯を行う動作モードである。コージェネレーションシステム1が給湯モードで動作する場合、図4にハッチングや矢印で示すような湯水の流れが発生する。
【0057】
さらに具体的に説明すると、コージェネレーションシステム1が給湯モードで動作する場合、先混合用バイパス流路50bの本流部53に設けられた流量調整弁32を開度調整する。またこの時、制御手段80は、電磁弁58に通電し、電磁弁58を閉じた状態にする。これにより、外部の給水源から供給される低温の湯水が先混合用バイパス流路50bの本流部53を介して所定量だけ給湯流路30に合流可能な状態に調整される。
【0058】
この状態で給湯・給水系統Hを介して外部から低温の湯水を導入すると、図4にハッチングや矢印で示すように、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部が貯留用給水流路50aを介して給水用底部開口15から貯留タンク10内に流入する。これにより、貯留タンク10の頂部側に貯留されている高温の湯水が、湯水排出側頂部接続部14を介して排出され、給湯流路30に流れ込む。即ち、給湯・給水系統Hを介して貯留タンク10の底部に湯水を導入すると、貯留タンク10の頂部側に溜まっている高温の湯水が頂部側に押し上げられ、給湯配管30に押し出される。
【0059】
一方、外部の給水源から供給された低温の湯水の残部は、先混合用バイパス流路50bに流れ込み、本流部53を介して給湯流路30に導入される。この湯水は、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14から排出され、給湯流路30を流れている湯水に合流し、混合される。
【0060】
制御手段80は、入口側温度センサ33により給湯流路30内を流れる湯水の温度を確認する。ここで、入口側温度センサ33によって検知される湯水の温度が、カラン34等から排出すべき湯水の温度(給湯設定温度)と同等である場合、制御手段80は、燃焼装置(補助熱源)31を起動させない。これにより、湯水は燃焼装置(補助熱源)31を素通りし、そのままカラン34から排出される。
【0061】
入口側温度センサ33の検知温度が給湯設定温度よりも高い場合は、制御手段80から流量調整弁36aに開弁指令が出される。即ち入口側温度センサ33の検知温度が流量調整弁36aにフィードバックされ、流量調整弁36aの開度が調整される。これにより、外部の給水源から供給される低温の湯水が後混合用バイパス流路35から給湯流路30に合流し、給湯流路30を流れる湯水と混合される。これにより、カラン34における出湯温度が給湯設定温度に調整される。
一方、入口側温度センサ33によって検知される湯水の温度がカラン34から排出すべき温度よりも低い場合、燃焼装置(補助熱源)31が起動し、湯水が加熱される。このとき、入口側温度センサ33によって検知される湯水の温度と、補助加熱往き水量センサー63によって検知される燃焼装置(補助熱源)31に供給される総水量から加熱に必要な熱量が演算され、この熱量に合致する様にバーナー41に供給する燃料の量が制御される。
【0062】
なお本実施形態のコージェネレーションシステム1では、貯留タンク10の底に2個の開口を設け、一方を循環流路用底部開口12として機能させ、他方を給水用底部開口15として機能させ、循環流路用底部開口12から発電装置2側に供給される湯水を取り出している。即ち発電装置2側に冷却水を供給する流路は、給水源とは直接繋がってはおらず、貯留タンク10を介して接続されている。
そのため外部の給水源から給湯時に導入される水は、直接的には発電装置2に流れ込まず、外部からの給水は、一旦給水用底部開口15から貯留タンク10内に入り、タンク循環流路20aには、貯留タンク10内の水が吸い出されあるいは押し出されて流れ込む。そのため外部からの冷たい給水が、直接燃料電池側に流れ込んで流量が大きく変化することが緩和され、燃料電池と熱交換される水の温度変化が小さい。
【0063】
(暖房モード)
図5は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが暖房モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
暖房モードは、暖房側循環回路70内の湯水や熱媒体を熱交換器71において熱交換加熱し、これを暖房端末65に供給する動作モードである。暖房モードが選択されると、図5にハッチングや矢印で示すように湯水や熱媒体の循環流が発生する。
【0064】
(迂回モード)
図6は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが迂回モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
迂回モードは、三方弁28の開度調整を行うことによりエネルギー回収系統Cに貯留タンク10を迂回する迂回循環流路20bを構成した状態で循環ポンプ25を作動させ、迂回循環流路20bに貯留タンク10を迂回する湯水の循環流を発生させる動作モードである。迂回モードが選択されると、エネルギー回収系統Cにおいて、図6に矢印で示すような湯水の循環流が形成される。
迂回モードは、前記した様に、運転初期の様な発電装置2が冷えている状況等の場合に行われる動作である。
【0065】
次にコージャネレーションシステムを試運転する場合や、設置現場でシステム内に注水する場合の動作について説明する。以下に説明する動作は、本発明のコージェネレーションシステムに特有の動作であるため、詳細に説明することとする。
【0066】
本実施形態のコージェネレーションシステムは、試運転用の運転モードとして、タンク注水モードと、配管内注水モードを備えている。設置現場でシステム内に注水する場合には、先にタンク注水モードを実行し、その後に配管内注水モードを実施するので、タンク注水モードを先に説明する。
(タンク注水モード)
図7,8,9は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。図10は、タンク注水モードを実行する際のフローチャートである。
【0067】
タンク注水モードは、貯留タンク10に注水し、貯留タンク10内を完全に水で満たす動作である。
タンク注水モードでは、作業者が行う動作としてカラン34を開いた状態で外部の給水源から、給湯流路30に水を導入する。また図示しない操作ボードを操作し、タンク注水モードを選択する。
タンク注水モードの選択により、図10のフローチャートに則ってタンク注水モードが実行される。
【0068】
即ちタンク注水モードが選択されたことがステップ1で確認されると、ステップ2に移行して給湯時における主たる流路の弁だけが開かれ、ステップ3で支流的な流路の弁が全て閉じられる。
即ち貯留用給水流路50a、貯留タンク10の給水用底部開口15、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14、給湯流路30、燃焼装置(補助熱源)31及び一般給湯流路68を直線的に繋ぐ流路だけを開き、先混合用バイパス流路50bの本流部53及び支流部55、後混合用バイパス流路35を閉じる。
より詳細には、燃焼装置(補助熱源)31の下流側に設けられた比例弁37を全開にし、先混合用バイパス流路50bの本流部53に設けられた流量調整弁32を全閉にし、支流部55の電磁弁58を閉じ、後混合用バイパス流路35の流量調整弁36aを全閉にする。
即ち補助加熱往き流路73に繋がる流路の内、貯留タンク10から直接接続された流路以外の流路を全て閉じる。
エネルギー回収系統C側の弁については開閉いずれでも構わないが、説明を容易にするために迂回分岐流路61の開閉弁24を閉じ、暖房分岐流路60の三方弁(流路切り換え手段)28は、貯留タンク10側(ポートc)を閉じることとする。
図7は、タンク注水モードの際に閉じている弁を黒塗りで示し、開いている弁を白抜きで示している。
【0069】
その結果、給水口から直接補助加熱往き流路73に連通する流路が遮断される。そのため給水口から入った水は、全量が給水側水量センサー48を通過して貯留タンク10に流れ込み、貯留タンク10から排出される水の全量が補助加熱往き水量センサー63を通過してカラン34から排出される。
【0070】
そして続くステップ4では、給水側水量センサー48の検知水量と、補助加熱往き水量センサー63の検知水量を比較し、両者の差を演算する。
前記した様に、貯留用給水流路50a、貯留タンク10の給水用底部開口15、貯留タンク10の湯水排出側頂部接続部14、給湯流路30、燃焼装置(補助熱源)31及び一般給湯流路68を繋ぐ直線的流路だけを開き、先混合用バイパス流路50bの本流部53及び支流部55、後混合用バイパス流路35を閉じているので、給水口から入った水は、全量が給水側水量センサー48を通過して貯留タンク10に流れ込む。また貯留タンク10から排出される水の全量が補助加熱往き水量センサー63を通過する。
従って貯留タンク10内が満水であるならば、貯留タンク10内に入る水の水量と、貯留タンク10から排出される水量は等しくなるはずである。そのため給水側水量センサー48の検知水量と、補助加熱往き水量センサー63の検知水量との差が無くなれば、貯留タンク10内が満水になった証拠である。
そこで続くステップ5では、両水量センサー63,48の検出値の差がゼロ(一定未満)になったか否かを判断する。なお実際には、水量センサー63,48の検出値にはある程度の誤差があることが避けられないから、センサーの誤差を考慮して実際上、両者が同一となったか否かを判断する。
【0071】
またステップ5で両水量センサー63,48の検出値を比較する際には、流量調整弁36aの漏れも考慮することが望ましい。即ち両水量センサー63,48の検出値を比較する際には、後混合用バイパス流路35に設けられた流量調整弁36aは閉じられているが、流量調整弁36aはその構造上、遮水能力が電磁弁に比べて劣る。そのため流量調整弁36aから微小な水漏れが生じ、後混合用バイパス流路35を経て補助加熱往き水量センサー63の下流側に水が漏れる場合がある。そのためステップ5では、流量調整弁36aの漏れも考慮し、実際上、水量センサー63,48の検出値が同一となったか否かを判断することが望ましい。
【0072】
そしてステップ5で両水量センサー63,48の検出値が同一となったと判断されれば、ステップ6で注水が完了した旨を知らせる表示を出し、一連の動作を終える。注水が完了した旨を知らせる表示は、表示画面に図や文字を表示する視覚的表示でもよいし、ブザーや音声等の聴覚的表示であってもよい。
また試運転のための注水用電磁弁等を持つ場合は、電磁弁を閉じて注水を停止する。
【0073】
図10に示すフローチャートは、注水モードの主要な動作だけを記載したが、給水タンク10への注水完了を確認するために、他の要件を付加してもよい。たとえば、両水量センサー63,48の検知水量がゼロでは無いことを条件としたり、流水検知センサ40が水流を検知していることを要件としてもよい。
また少なくとも一定時間の通水があったという条件や、水流センサーの検出値が安定しているという条件、二つの水流センサーの検出値が同一となった状態が一定時間続くといった条件を付加してもよい。
【0074】
前述した説明では、エネルギー回収系統C側の弁を閉じることとしたが、前記したようにエネルギー回収系統C側の弁は開閉いずれでも構わない。図8,9は、エネルギー回収系統C側の弁を開いた場合の水の流れを示している。即ち図8では、三方弁28の貯留タンク10側を開いた。図9では、さらに迂回分岐流路61の開閉弁24も開いた。
図8,9についても、タンク注水モードの際に閉じている弁を黒塗りで示し、開いている弁を白抜きで示している。図8,9の様に、エネルギー回収系統C側の弁を開いた場合であっても、エネルギー回収系統Cに流れ込んだ水は、その全量が貯留タンク10に戻る。そのため先の場合と同様に、給水口から入った水は、全量が給水側水量センサー48を通過して貯留タンク10に流れ込む。また貯留タンク10から排出される水の全量が補助加熱往き水量センサー63を通過する。
従って貯留タンク10内が満水であるならば、貯留タンク10内に入る水の水量と、貯留タンク10から排出される水量は等しくなるはずであり、両水量センサー63,48の検出値の差がゼロになったか否かを判断すれば、貯留タンク10が満水であるか否かが判る。
【0075】
なお本実施形態では、貯留タンク10から排出される水量を検知し得るセンサーとして、前記した補助加熱往き水量センサー63の他に、落とし込み水量センサー74があるが、落とし込み水量センサー74を補助加熱往き水量センサー63の代わりに利用することはできない。
即ち本実施形態では、給湯流路30はカラン等の一般給湯に利用される一般給湯流路68と風呂落とし込み流路66を持つ。もし落とし込み水量センサー74を補助加熱往き水量センサー63の代わりに利用するならば、注水作業中は、一般給湯流路68のカランを開いてはならない。ここで風呂落とし込み流路66は電気信号によって開閉されるものであるが、一般給湯流路68は手動によって開閉される。また機器の試運転は、複数の作業員が連絡を取り合いながら実施する場合が多いから、注水モードの実行中に他の作業員がカラン34等を開いてしまう場合も多い。そのため注水完了の確認が遅れたり、不正確なものとなってしまう懸念がある。
【0076】
これに対して本実施形態の様に補助加熱往き水量センサー63を使用する場合は、取り付け位置が風呂落とし込み流路66との分岐部よりも上流側であり、落とし込みの開始や、他栓の開閉に係わらず貯留タンク10から排出される水量を正確に検知することができる。
【0077】
上記した説明では、ステップ2で主たる流路の弁だけを開き、ステップ3で支流的な流路の弁を全て閉じ、常にこの状態で貯留タンク10に注水を行った。しかしながら、例えば各弁を順次開閉してゆき、この状態で貯留タンク10に注水を行い、貯留タンク10内が満水であるか否かを判断する際のみ、弁を上記した状況とすることも可能である。
(配管内注水モード)
図11は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。図12は、配管内注水モードを実行する際のフローチャートである。
配管内注水モードは、エネルギー回収系統Cに注水する動作モードである。
配管内注水モードでは、作業者が行う動作としてカラン34を開いた状態で外部の給水源から、エネルギー回収系統Cに水を導入する。また図示しない操作ボードを操作し、配管内注水モードを選択する。
タンク注水モードの選択により、図12のフローチャートに則って配管内注水モードが実行される。
【0078】
即ち配管内注水モードが選択されたことがステップ1で確認されると、ステップ2に移行して三方弁28を半開状態にする。即ち前記した様に三方弁(流路切り換え手段)28は、3個の開口(ポート)a,b,cを有するハウジング59内で弁体62が回動する三方切り換え弁であり、本来は、図2(a)の様に三方弁28を構成する3つのポートa,b,cのうちの2つのポートa,bを連通させてポートcを閉鎖するか、(b)の様に3つのポートa,b,cのうちの2つのポートa,cを連通させポートbを閉鎖した状態で使用する。
これに対して配管内注水モードが選択された場合には、ステッピングモータを中途の位置で停止させ、図2(c)の様に3つのポートa,b,cが連通する位置に弁体62を置く。
またステップ3では、迂回分岐流路61の開閉弁24を開く。
図11は、配管内注水モードの際に閉じている弁を黒塗りで示し、開いている弁を白抜きで示している。
【0079】
さらにステップ4では、発電装置2内の循環ポンプ25を起動する。なお後記する様に循環ポンプ25を起動しなくてもエネルギー回収系統C内に水を満たすことはできる。
その結果、給水口から入った水は、給水用底部開口15から一旦貯留タンク10内に入り、循環ポンプ25に引かれて循環流路用底部開口12からエネルギー回収系統Cの加熱往き側流路21に入る。そして続いて給湯システム装置3を出て発電装置2内に入り、その後に給湯システム装置3に戻る。
【0080】
また給湯システム装置3に戻った水は、加熱戻り側流路22に入り、暖房分岐流路60とバイパス流路たる迂回分岐流路61とに分岐して流れる。迂回分岐流路61に流れた水は、そのまま貯留タンク10に戻る。
従ってエネルギー回収系統Cの内、加熱往き側流路21、発電装置2、迂回分岐流路61を経由して貯留タンク10に戻る流路には水流が生じ、内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0081】
また暖房分岐流路60を流れる水は、三方弁28に至るが、三方弁28は、3つのポートa,b,cが連通しているので、暖房分岐流路60側を流れる水は貯留タンク10に戻る。従って暖房分岐流路60側を通過する流路にも水流が生じ、暖房分岐流路60の内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0082】
さらに三方弁28が半開状態であるから、エネルギー回収系統Cに貯留タンク10を迂回する迂回循環流路20bも連通しており、駆動ポンプ25により、タンクバイパス流路23を通過する流路にも水流が生じる。
即ち駆動ポンプ25の負圧によってタンクバイパス流路23内に加熱往き側流路21側に向かう水流が生じ、その水は、給湯システム装置3を出て発電装置2内に入り、その後に給湯システム装置3に戻り、暖房分岐流路60又は迂回分岐流路61を経由して貯留タンク10に戻る。そのためタンクバイパス流路23の内部の空気は押し出されて水と置換される。
従ってエネルギー回収系統Cの全ての流路に水流が生じ、エネルギー回収系統Cは全て水で置換される。
【0083】
上記した説明では、ステップ4で発電装置2内の循環ポンプ25を起動したが、循環ポンプ25を起動しなくてもエネルギー回収系統C内に水を満たすことはできる。
循環ポンプ25を起動しない場合は、先に貯留タンク10が満水状態となり、貯留タンク10内が正圧となって貯留タンク10から水が押し出される。
図13は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図であり、循環ポンプを起動せずに行った場合を示す。
即ち給水口から入った水は、給水用底部開口15から一旦貯留タンク10内に入り、一旦貯留タンク10内を水で満たす。そしてさらに供給される水は、貯留タンク10の循環流路用底部開口12からエネルギー回収系統Cの加熱往き側流路21に入る。そして続いて給湯システム装置3を出て発電装置2内に入り、その後に給湯システム装置3に戻る。
また給湯システム装置3に戻った水は、加熱戻り側流路22に入り、暖房分岐流路60とバイパス流路たる迂回分岐流路61とに分岐して流れる。迂回分岐流路61に流れた水は、そのまま貯留タンク10に戻る。
従ってエネルギー回収系統Cの内、加熱往き側流路21、発電装置2、迂回分岐流路61を経由して貯留タンク10に戻る流路には水流が生じ、内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0084】
また三方弁28は、3つのポートa,b,cが連通しているので、暖房分岐流路60側を流れる水は貯留タンク10に戻る。従って暖房分岐流路60側を通過する流路にも水流が生じ、暖房分岐流路60の内部の空気は押し出されて水と置換される。
【0085】
また三方弁28の弁体62が中途の位置にあって各ポートa,b,cが半開状態であるから、タンクバイパス流路23から加熱戻り下流側流路22aを経て貯留タンク10に至る流路も開かれている。そのため、貯留タンク10下部の循環流路用底部開口12から押し出された水は、タンクバイパス流路23に入り、加熱戻り下流側流路22aを経て貯留タンク10に抜ける。
そのためタンクバイパス流路23の内部の空気は押し出されて水と置換される。
従って循環ポンプ25を起動しない場合であっても、エネルギー回収系統Cの全ての流路に水流が生じ、エネルギー回収系統Cは全て水で置換される。
また配管内注水モードの実行中に異音を感じることはなかった。
【0086】
また本実施形態では、発電装置2が接続されておらず、手動弁16,17が閉じられている場合であっても、タンクバイパス流路23内を水で満たすことは可能である。
【0087】
本実施形態では、配管内注水モードで動作させる際は、常時、三方弁28を中途位置としたが、一定時間のみ三方弁28を中途位置とすることも考えられる。
【0088】
上記した実施形態では、三方弁28をタンクバイパス流路23と加熱戻り側流路22との接続部分に設けたが、三方弁28の位置は、タンクバイパス流路23と加熱往き側流路21との接続部分に設けてもよい。
【0089】
上記した実施形態では、タンク注水モードと配管内注水モードとを個別に実行したが、同時平行的に実行してもよい。
【0090】
また上記した実施形態では、熱・電気発生装置として燃料電池を採用したが、ガスエンジン等の他の機器であってもよい。ただし本発明は、系を流れる水量が少ない機器に適するものであるから、燃料電池を使用するコージェネレーションに適用するのが最も適切である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態であるコージェネレーションシステムおよび給湯システムを示す作動原理図である。
【図2】三方弁の構造を示す断面図であり、図(a)(b)(c)は、それぞれ弁体の姿勢が異なる場合を示している。
【図3】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが貯留モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図4】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが給湯モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図5】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが暖房モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図6】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが迂回モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図7】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図8】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図9】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムがタンク注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図10】タンク注水モードを実行する際のフローチャートである。
【図11】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図である。
【図12】配管内注水モードを実行する際のフローチャートである。
【図13】図1に示すコージェネレーションシステムおよび給湯システムが配管内注水モードで動作する際の動作状態を示す作動原理図であり、循環ポンプを起動せずに行った場合を示す。
【図14】従来技術のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【図15】従来技術のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【図16】三方弁の構造を示す説明図である。
【図17】本発明のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【図18】本発明のコージェネレーションシステムにおいて、系内に注水する際の様子を示す要部の作動原理図である。
【符号の説明】
【0092】
1 コージェネレーションシステム
2 発電装置(熱・電気発生装置)
3 給湯システム装置
6 熱交換器
10 貯留タンク
11 湯水導入側頂部接続部
12 循環流路用底部開口
15 給水用底部開口
20a タンク循環流路
20b 迂回循環流路
21 加熱往き側流路
22 加熱戻り側流路
23 タンクバイパス流路
28 三方弁(流路切り換え手段)
48 給水側水量センサー
59 ハウジング
63 補助加熱往き水量センサー
73 補助加熱往き流路
C エネルギー回収系統
H 給湯・給水系統
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱・電気発生装置に接続される給湯システムであって、貯留タンクと、これらに連通する配管系を有し、熱・電気発生装置によって加熱された湯を貯留タンクに貯留し、必要に応じて貯留タンクの湯を前記配管系外に排出して消費する給湯システムにおいて、前記熱・電気発生装置と貯留タンクとの間を循環するタンク循環流路と、タンク循環流路に接続され貯留タンクを迂回するタンクバイパス流路と、前記タンクバイパス流路を経て循環する流路とタンクを経て循環する流路とを切り換える流路切り換え手段とを有し、さらに動作モードとして配管系に対して注水する配管内注水モードを備え、配管内注水モードの動作中においては、一時的にあるいは常時、流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
流路切り換え手段は、3個の開口を有するハウジング内で弁体が回動する三方切り換え弁であり、弁の一つの開口は熱・電気発生装置に連通し、他の一つの開口はタンクバイパス流路と連通し、残る一つの開口は貯留タンクと連通し、配管内注水モードの動作中においては、三方切り換え弁は前記弁体が中途位置に停止して流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
貯留タンクは、内部に温度成層を形成させて湯を貯留するものであり、貯留タンクの下部側にタンク循環流路に接続される循環流路用開口と、タンク内に水を導入するための給水用開口とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯システムに、燃料電池を主要部とする熱・電気発生装置が接続されてなるコージェネレーションシステム。
【請求項1】
熱・電気発生装置に接続される給湯システムであって、貯留タンクと、これらに連通する配管系を有し、熱・電気発生装置によって加熱された湯を貯留タンクに貯留し、必要に応じて貯留タンクの湯を前記配管系外に排出して消費する給湯システムにおいて、前記熱・電気発生装置と貯留タンクとの間を循環するタンク循環流路と、タンク循環流路に接続され貯留タンクを迂回するタンクバイパス流路と、前記タンクバイパス流路を経て循環する流路とタンクを経て循環する流路とを切り換える流路切り換え手段とを有し、さらに動作モードとして配管系に対して注水する配管内注水モードを備え、配管内注水モードの動作中においては、一時的にあるいは常時、流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
流路切り換え手段は、3個の開口を有するハウジング内で弁体が回動する三方切り換え弁であり、弁の一つの開口は熱・電気発生装置に連通し、他の一つの開口はタンクバイパス流路と連通し、残る一つの開口は貯留タンクと連通し、配管内注水モードの動作中においては、三方切り換え弁は前記弁体が中途位置に停止して流路切り換え手段が熱・電気発生装置と貯留タンクとタンクバイパス流路の三者を連通する状態となることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
貯留タンクは、内部に温度成層を形成させて湯を貯留するものであり、貯留タンクの下部側にタンク循環流路に接続される循環流路用開口と、タンク内に水を導入するための給水用開口とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯システムに、燃料電池を主要部とする熱・電気発生装置が接続されてなるコージェネレーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−8015(P2010−8015A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170380(P2008−170380)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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