説明

給湯装置

【課題】空気とガスの空燃比をより理想に近いものに調整することができ、また、施工現場での、専門業者によるガス圧力に応じた装置調整を不要なものとする。
【解決手段】本発明の給湯装置1は、熱交換器4を燃焼部2で加熱して水を湯に変換し供給する装置であり、燃焼部2に空気を供給するファン3と、ファンモータ3mの駆動状態信号を検出する状態信号検出手段30と、燃焼部2に供給されるガスの流量Qを制御するガス流量制御弁6と、燃焼部2に供給されるガスの圧力Pを検出するガス圧力センサ9と、状態信号検出手段30が検出した駆動状態信号Sから求めた空気流量Aと、ガス圧力センサ9が検出したガス圧力Pから求めたガス流量Qとの比を空燃比Rとして求め、その空燃比Rが所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁6の弁開度を調整して空燃比Rを所定範囲に制御する空燃比制御手段50と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が供給された熱交換器を燃焼部で加熱して湯に変換する給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給湯装置の燃焼状態の調整方法としては、燃焼部に空気を送り込むためのファンモータの回転数、電流値などの情報に基づき燃焼部に送り込まれる空気量を判断し、燃焼状態を調整することが一般的である(下記の特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−333130号公報
【0003】
一方、燃焼部に送り込まれるガスの量は外気温の変動等により変動する恐れがあり、空気量のみを正確に制御しても、ガス量が変動している場合、正確な空燃比の調整が出来ていない状況となる。
【0004】
また給湯装置の施工には、給湯装置に与えられるガスの圧力に応じて機器の調整を行なう必要があり、施工時には必ず専門業者による調整が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、空気とガスの空燃比をより理想に近いものに調整することができ、また、施工現場での、専門業者によるガス圧力に応じた装置調整を不要なものとすることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、熱交換器を燃焼部で加熱して水を湯に変換し供給する給湯装置において、上記燃焼部に空気を供給するファンと、上記ファンを駆動するファンモータの駆動状態信号を検出する状態信号検出手段と、上記燃焼部に供給されるガスの流量を制御するガス流量制御弁と、上記燃焼部に供給されるガスの圧力を検出するガス圧力センサと、上記状態信号検出手段が検出した駆動状態信号から求めた空気流量と、上記ガス圧力センサが検出したガス圧力から求めたガス流量との比を空燃比として求め、その空燃比が所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁の弁開度を調整して空燃比を所定範囲に制御する空燃比制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明において、上記ガス圧力センサが検出したガス圧力が予め設定されている所定ガス圧力範囲外のとき、異常と判定し、装置の駆動を停止する異常時停止手段を備えるようにしたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1または2に記載の発明において、上記ガス圧力センサが検出したガス圧力が予め設定されている所定ガス圧力範囲外のとき、異常と判定し、そのガス流量異常を報知するようにしたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1から3の何れか1項に記載の発明において、上記状態信号検出手段は、駆動状態信号としてファンモータの回転数または駆動電流を検出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の給湯装置では、状態信号検出手段が検出した駆動状態信号から求めた空気流量と、ガス圧力センサが検出したガス圧力から求めたガス流量との比を空燃比として求め、その空燃比が所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁の弁開度を調整して空燃比を所定範囲に制御するようにしたので、空気とガスの空燃比をより理想に近いものに調整して燃焼状態を常時良好に制御することができ、また、施工現場での、専門業者によるガス圧力に応じた装置調整を不要なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の給湯装置の概略構成図である。図1において、本発明の給湯装置1は、熱交換器4を燃焼部2で加熱して水を湯に変換し供給する装置であり、燃焼部2に空気を供給するファン3と、ファン3を駆動するファンモータ3mの駆動状態信号を検出する状態信号検出手段30と、燃焼部2に供給されるガスの流量Qを制御するガス流量制御弁6と、燃焼部2に供給されるガスの圧力Pを検出するガス圧力センサ9と、状態信号検出手段30が検出した駆動状態信号Sから求めた空気流量Aと、ガス圧力センサ9が検出したガス圧力Pから求めたガス流量Qとの比を空燃比R(=A/Q)として求め、その空燃比Rが所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁6の弁開度を調整して空燃比Rを所定範囲に制御する空燃比制御手段50と、を備えている。
【0013】
また、異常時停止手段51を備え、ガス圧力センサ9が検出したガス圧力Pが予め設定されている所定ガス圧力範囲外のとき、異常と判定し、当該装置1の駆動を停止する。
【0014】
空燃比制御手段50および異常時停止手段51は、制御部5に設けられている。制御部5は、CPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータ(マイコン)を中心にして構成され、給湯装置1の全体動作を制御する。
【0015】
この制御部5は、配線コードまたは無線でリモートコントローラ(リモコン)10に接続され、リモコン10の操作ボタンを操作することで、遠隔地から給湯装置1を駆動できるようになっている。
【0016】
燃焼部2の燃焼で発生した熱は、熱交換器4内の水を加熱して湯に変換し、その燃焼で発生した排気ガスは排気口7から排出される。
【0017】
上記の状態信号検出手段30は、ファンモータ3mの回転数を検出するセンサを含んで構成されている。したがって、上記駆動状態信号Sは、ここではファンモータ3mの回転数を示す信号となる。なお、この駆動状態信号Sは、モータ回転数以外の信号を採用するようにしてもよく、例えばファンモータ3mの駆動電流を駆動状態信号Sとしてもよい。この駆動状態信号Sは、制御部5の空燃比制御手段50に送られる。
【0018】
ガス流量制御弁6とガス圧力センサ9は、ガス供給口8と燃焼部2の間のガス配管80に設けられている。ガス流量制御弁6は、電磁式比例弁であり、制御部5からの信号に応じてその弁開度が開閉し供給ガス流量を制御する。ガス圧力センサ9は、ガス配管80内部のガス圧力Pに応じた電圧Vpを検出し、検出した電圧Vpが制御部5に送られる。
【0019】
空燃比制御手段50は、CPUがプログラムに従って実行するソフトウェアの機能を含めて構成され、本発明に係る制御動作を行う。すなわち、予めROMに記憶されている、駆動状態信号Sと空気流量Aとの関係を示すグラフを用いて、駆動状態信号Sから空気流量Aを求める。また予めROMに記憶されている、ガス圧力センサ9の出力電圧Vpとガス流量Qとの関係を示すグラフを用いて、今回の出力電圧Vpに対応するガス流量Qを求める。そして、上記のように、この空気流量Aとガス流量Qとの比を空燃比R(=A/Q)として求め、その空燃比Rが所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁6の弁開度を調整して空燃比Rが所定範囲内に入るように制御する。この空燃比制御により、燃焼部2における燃焼は常時最適な燃焼状態に保持されるようになる。
【0020】
異常時停止手段51は、上記の空燃比制御手段50と同様に、CPUがプログラムに従って実行するソフトウェアの機能を含めて構成され、上記のように、ガス圧力センサ9が検出したガス圧力P(電圧Vp)が予め設定されている所定ガス圧力範囲を逸脱し、ガス配管80内のガス圧力Pが異常に大きいか、または異常に小さい場合は、ガス流量の異常と判断し、燃焼を停止させる制御、例えばガス流量制御弁6を閉とし、ファンモータ3mの回転を停止する制御を行う。
【0021】
このときの所定ガス圧力範囲のデータは、予めリモコン10から制御部5に送られ、制御部5に組み込まれている不揮発性記憶装置に記憶させておく。
【0022】
また、制御部5は、ガス圧力(ガス流量)の異常と判断した場合、上記の燃焼停止と並行して、または燃焼停止を行うことなく、そのガス圧力異常(ガス流量異常)をリモコン10に出力し、リモコン10でLED表示して使用者に報知するようにしてもよい。
【0023】
以上述べたように、この発明の給湯装置1では、状態信号検出手段30が検出した駆動状態信号Sから求めた空気流量Aと、ガス圧力センサ9が検出したガス圧力P(電圧Vp)から求めたガス流量Qとの比を空燃比R(=A/Q)として求め、その空燃比Rが所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁6の弁開度を調整して空燃比Rを所定範囲に制御するようにしたので、空気とガスの空燃比をより理想に近いものに調整して燃焼状態を常時良好に制御することができ、また、施工現場での、専門業者によるガス圧力に応じた従来の装置調整を不要なものとすることができる。
【0024】
また、ガス圧力センサ9が検出したガス圧力Pが予め設定されている所定ガス圧力範囲外のとき、異常と判定し、当該装置1の駆動を停止したり、その旨を報知したりするようにしたので、異常燃焼を確実に防止することができ、使用者も安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の給湯装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1 給湯装置
2 燃焼部
3 ファン
3m ファンモータ
30 状態信号検出手段
4 熱交換器
5 制御部
6 ガス流量制御弁
7 排気口
8 ガス供給口
9 ガス圧力センサ
10 リモコン
5 制御部
50 空燃比制御手段
51 異常時停止手段
80 ガス配管
A 空気流量
P ガス圧力
Q ガス流量
R 空燃比
S 駆動状態信号
Vp ガス圧力センサの出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を燃焼部で加熱して水を湯に変換し供給する給湯装置において、
上記燃焼部に空気を供給するファンと、
上記ファンを駆動するファンモータの駆動状態信号を検出する状態信号検出手段と、
上記燃焼部に供給されるガスの流量を制御するガス流量制御弁と、
上記燃焼部に供給されるガスの圧力を検出するガス圧力センサと、
上記状態信号検出手段が検出した駆動状態信号から求めた空気流量と、上記ガス圧力センサが検出したガス圧力から求めたガス流量との比を空燃比として求め、その空燃比が所定範囲内にないとき、ガス流量制御弁の弁開度を調整して空燃比を所定範囲に制御する空燃比制御手段と、
を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
上記ガス圧力センサが検出したガス圧力が予め設定されている所定ガス圧力範囲外のとき、異常と判定し、装置の駆動を停止する異常時停止手段を備える、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
上記ガス圧力センサが検出したガス圧力が予め設定されている所定ガス圧力範囲外のとき、異常と判定し、そのガス流量異常を報知する、請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項4】
上記状態信号検出手段は、駆動状態信号としてファンモータの回転数または駆動電流を検出する、請求項1から3の何れか1項に記載の給湯装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−250471(P2009−250471A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96055(P2008−96055)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)
【Fターム(参考)】