説明

給湯装置

【課題】中和器に対する凝縮水流入のスムーズ化などを可能としつつ、凝縮水の排水経路などに詰まりを生じたときに凝縮水が中和器の外部に簡単に溢れ出ないようにし、凝縮水による給湯装置各部の汚染を適切に防止する。
【解決手段】給湯装置Bは、中和器Aの通気手段と、凝縮水排出用のポンプP1を備え、中和器Aの容器2内には、中和された凝縮水を貯留可能であって、排出口24が開口した補助室23が設けられ、この補助室23に貯留された凝縮水をポンプP1によって外部に排出可能とされ、前記通気手段は、内部に空気流路31が一連に形成された通気管体部3を有し、この通気管体部3の基端部は、補助室23の上壁部またはその近傍の壁部に繋がり、かつ通気管体部3の少なくとも一部が上方に起立していることにより、空気流路31は、補助室23に連通し、かつ前記基端部よりも上方に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器により発生させた燃焼ガスから熱を回収することにより湯を生成するように構成された給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置としては、いわゆる潜熱回収型の熱交換器を備えたものがある。このタイプの給湯装置においては、燃焼器によって発生された燃焼ガスの顕熱が熱交換器によって回収されることに加え、燃焼ガスの潜熱(より正確には、燃焼ガス中の水蒸気の潜熱)も回収される。したがって、潜熱回収を行なわないものと比較すると、熱交換効率を高くすることができる。前記した潜熱回収がなされると、燃焼ガス中の水蒸気が凝縮し、多量の凝縮水が発生するが、一般的に、この凝縮水は、燃焼ガス中の硫黄酸化物や窒素酸化物などを吸収したPH3程度の強酸性となる。凝縮水を強酸性のまま一般配管中に排水させたのでは、その配管に腐食が生じる他、水質汚染などの環境悪化を招く。
【0003】
そこで、従来においては、炭酸カルシウムなどの中和剤を容器内に収容させた中和器を用いることにより、潜熱回収に伴って発生した凝縮水を中和する手段が用いられている(たとえば、特許文献1を参照)。このような手段によれば、凝縮水が強酸性のまま廃棄されないようにすることができる。
【0004】
しかしながら、従来においては、次に述べるような問題点が生じていた。
【0005】
すなわち、中和器を用いて中和された凝縮水は、中和器から給湯装置外部の適当な排水経路に導く必要がある。このための手段として、たとえば集合住宅においては、中和器の凝縮水排出口にポンプを接続し、中和処理を終えた凝縮水をポンプにより浴室の排水トラップに導くといった手段が採用される。ところが、このような手段を採用した場合、中和器よりも下流の凝縮水の排水経路途中に凝縮水が滞留するいわゆる先詰まりの状態になる場合がある。とくに、家屋の1階に給湯装置が設置され、かつ家屋の2階に浴室が設けられているなどして、浴室の排水トラップが中和器よりも高い位置にある場合には、そのような排水経路の先詰まり状態が発生し易い。従来において、このような排水経路の先詰まり状態が発生すると、中和器の容器内に存在する空気が外部に抜けないこととなって、凝縮水が中和器の凝縮水導入口から容器内にスムーズに流入し難くなる。
【0006】
また、前記した具体例とは反対に、中和器が浴室の排水トラップよりも高い位置にある場合には、ポンプを利用して中和器の凝縮水を浴室の排水トラップに送り込むときに、サイフォン現象を生じる虞れがある。このサイフォン現象が生じると、ポンプの駆動停止後であっても、中和器内の凝縮水が排水経路に流出する。一方、中和器は、給湯装置の熱交換器から凝縮水を受けるように熱交換器と配管接続されており、この配管を介して燃焼ガスが中和器内に進入する場合がある。したがって、前記サイフォン現象が発生すると、前記燃焼ガスが凝縮水と一緒に中和器下流の排水経路に流出し、浴室の排水口から浴室内に進入する虞れも生じる。
【0007】
本出願人は、中和器の一例として、特許文献2に記載のものを先に提案している。同文献に記載された中和器は、中和剤を収容した容器に通気孔が設けられた構成を有している。このような構成によれば、中和器下流の排水経路に詰まりを生じても、中和器の容器内の空気を前記通気孔から外部に逃がすことができるために、容器内に凝縮水をスムーズに流入させることが可能となる。また、中和器の容器内の気密状態が解消されるために、前記したようなサイフォン現象の発生が防止され、燃焼ガスが浴室に進入するといった不具
合も適切に回避される。
【0008】
ところが、前記特許文献2に記載された中和器の通気孔は、容器の上面壁に形成された単なる貫通孔として形成されているに過ぎない。このため、たとえば中和器下流の排水経路、あるいは中和器内に詰まりを生じて、容器内に凝縮水が順次溜まっていく事態が発生した場合、その水位が容器の上面壁の高さに達した以降は、前記通気孔から容器外部に凝縮水が簡単に溢れ出すこととなる。これでは、中和器の下方に配されている各種の装置類や機器類が、中和処理を終えていない凝縮水によって汚染される。したがって、このようなことも適切に防止し、または抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−336826号公報
【特許文献2】特開2003−320381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記した事情のもとで考え出されたものであって、中和器に対する凝縮水流入のスムーズ化、ならびに中和器から外部に凝縮水を排出する際のサイフォン現象の発生防止などを可能としつつ、凝縮水の排水経路などに詰まりを生じたようなときには凝縮水が中和器の外部に簡単に溢れ出ないようにし、凝縮水による汚染を適切に抑制することができる給湯装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明の第1の側面により提供される給湯装置は、燃焼器と、この燃焼器により発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、前記熱回収に伴って発生する凝縮水を中和するための中和器と、を備えており、前記中和器は、中和剤を内部に収容した容器を備え、かつこの容器には、前記凝縮水の導入口と、前記中和剤によって中和された凝縮水を外部に排出するための排出口と、前記容器内を容器外部に連通させる通気手段とが設けられている、給湯装置であって、前記中和器の排出口に接続された凝縮水排出用のポンプをさらに備えており、前記中和器の容器内には、中和された凝縮水を貯留可能であり、かつ前記排出口が開口している補助室が設けられていることにより、この補助室に貯留された凝縮水を前記ポンプによって外部に排出可能とされており、前記通気手段は、内部に空気流路が一連に形成され、かつ先端部に開口部を有する通気管体部を含んで構成されており、前記通気管体部の基端部は、前記補助室の上壁部またはその近傍の壁部に繋がり、かつ前記通気管体部の少なくとも一部分が上方に向けて起立していることにより、前記空気流路は、前記補助室に連通し、かつ前記基端部よりも上方に延びていることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、中和器の容器内の補助室は、通気管体部の空気流路を介して容器外部と連通しているために、容器内に凝縮水が流入する際には、容器内の空気が前記空気流路を介して外部に排出されることとなり、中和器の容器内への凝縮水の流入がスムーズに行なわれる。また、前記補助室内の凝縮水を外部に排水させる際に、ポンプの駆動に伴うサイフォン現象が発生することも防止される。その一方、前記通気管体部の少なくとも一部分は上方に向けて起立しており、この通気管体部の空気流路は、その基端部よりも上方に延びているために、たとえば中和器の容器内に詰まりを生じるなどして、容器内における凝縮水の水位が、仮に前記通気管体部の基端部の高さまで異常上昇したとしても、この凝縮水が直ちに前記通気管体部の先端開口部から容器外部に溢れ出ることはない。
凝縮水の水位が前記空気流路の最も高い部分よりも上昇しない限り、凝縮水は前記先端開口部から容器外部に溢れ出ない。したがって、本発明によれば、中和器の容器内などに詰まりを生じた場合に、凝縮水が中和器外部に容易に溢れ出して給湯装置の各部が汚染されるといったことも適切に抑制される。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助室には、液面検出器が設けられ、前記ポンプは、前記液面検出器によって検出される凝縮水の水位が所定の高水位になったときには駆動を開始し、かつその後に所定の低水位になったときには駆動を停止するように構成されており、前記通気管体部内の空気流路の基端部分は、前記所定の高水位よりも高い位置にある。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記中和器は、前記容器内の水位が所定高さ以上に異常上昇したときにこれを検出するための異常水位検出手段を備えており、前記空気流路は、前記所定高さよりも高い位置まで延びている。
【0016】
このような構成によれば、中和器の容器内などに詰まりが生じて容器内の水位が異常上昇する事態が発生した場合、その水位が前記所定高さに達する以前の時期に、容器内の凝縮水が通気管体部の先端開口部から容器外部に溢れ出ることはない。したがって、異常水位検出手段によって異常水位が検出される前に、中和器下方の領域が中和器から溢れ出した凝縮水によって汚染されるという事態は生じない。異常水位検出があった際に直ちに適切な処置を採ることにより、凝縮水によって給湯装置の各部が汚染されることを適切に回避することが可能となる。また、本構成の場合とは異なり、仮に、凝縮水の水位が前記所定高さに達する以前に容器外部に溢れ出したのでは、たとえば容器内に凝縮水が流れ込んでいる場合であっても、この容器内における凝縮水の水位が適切に上昇せず、異常の旨が適切に検出されなくなる虞れがある。これに対し、前記構成によれば、そのような虞れも適切に解消される。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記通気管体部の先端寄り部分は屈曲しており、この通気管体部の先端部の開口部は、水平方向よりも下向きとなっている。
【0018】
このような構成によれば、通気管体部の先端部の開口部内に塵などが進入し難くなる。前記開口部に塵などが進入すると、容器内に詰まりを生じ易くなるが、前記構成によれば、そのようなことが簡易な構成によって適切に防止される。
【0019】
本発明の第2の側面により提供される給湯装置は、燃焼器と、この燃焼器により発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、前記熱回収に伴って発生する凝縮水を中和するための中和器と、これら燃焼器、熱交換器および中和器を囲み込む外装ケースと、を備えており、前記中和器は、中和剤を内部に収容した容器を備え、かつこの容器には、前記凝縮水の導入口と、前記中和剤によって中和された凝縮水を外部に排出するための排出口と、前記容器内を容器外部に連通させる通気孔が設けられている、給湯装置であって、前記中和器の排出口に接続された凝縮水排出用のポンプをさらに備えており、前記中和器の容器内には、中和された凝縮水を貯留可能であり、かつ前記排出口が形成されている補助室が設けられていることにより、この補助室に貯留された凝縮水を前記ポンプによって外部に排出可能とされており、一端が前記中和器の通気孔に接続され、かつ他の一端が前記外装ケースの外部において大気開放状態とされた配管部を備えており、前記通気孔は、前記補助室に開口しており、前記配管部の内部は、前記補助室に連通していることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、中和器の容器内の補助室は、前記配管部を介して大気開放状態にあるために、容器内に凝縮水が流入する際のスムーズ化や、補助室内の凝縮水を外部
に排水する際に、ポンプの駆動に伴うサイフォン現象が発生することの防止などが図られる。その一方、前記配管部は、外装ケースの外部においてその一端が大気開放した状態にあるために、仮に、中和器の容器内に詰まりが生じて凝縮水の水位が上昇し、凝縮水がこの配管部内に流入しても、凝縮水は外装ケースの外部に排出されることとなる。したがって、外装ケース内に配されている給湯装置の各部が凝縮水によって汚染されるといった不具合はない。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記中和器は、前記容器内の水位が所定高さ以上に異常上昇したときにこれを検出するための異常水位検出手段を備えており、前記配管部の少なくとも一部分は、前記所定高さよりも高い位置に配されている。
【0022】
このような構成によれば、容器内に詰まりなどが生じて容器内の水位が異常上昇する事態が発生した場合、仮に凝縮水が前記配管部内に流入したとしても、この凝縮水の水位が前記所定高さ以上にならない限りは、前記配管部を通過して外部に排出されることはない。したがって、異常水位検出手段によって水位の異常上昇が検知される以前の段階において、容器内の凝縮水が前記配管部を介して外部に排出されることはなく、容器内の水位の異常上昇を適切に検出することが可能となる。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る給湯装置に具備されている中和器の一例を示す要部断面図である。
【図2】(a)は、図1の左側面図であり、(b)は、その一部断面側面図である。
【図3】(a)は、図1のIIIa−IIIa断面図であり、(b)は、図1のIIIb−IIIb断面図である。
【図4】本発明に係る給湯装置の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】図4に示す給湯装置の概略正面断面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】本発明に係る給湯装置の他の例を示す概略正面断面図である。
【図8】本発明に係る給湯装置の他の例を示す概略正面断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1〜図3は、本発明に係る給湯装置に具備されている中和器の一実施形態を示している。図1によく表われているように、本実施形態の中和器Aは、中和剤1を収容した容器2と、通気管体部3とを備えている。中和剤1は、たとえば粒状の炭酸カルシウムである。
【0027】
容器2は、ポリプロピレンあるいはその他の合成樹脂製のブロー成形品である。この容器2は、凝縮水用の導入口21ならびに異常水位検出部5を有するヘッダ部H、中和剤収容室22、および排出口24が形成された補助室23を備えている。中和剤収容室22は、上段部22aと、この上段部22aに繋がってその下方に位置する下段部22bとを有している。
【0028】
ヘッダ部Hは、上段部22aの幅方向(図1の左右方向)の一端領域の上部に設けられており、その上壁部40には筒状部21aが起立形成されている。筒状部21aの開口が、凝縮水用の導入口21である。筒状部21aは、凝縮水を供給してくる配管76を嵌合
させて接続するのに利用される。凝縮水が導入口21aから容器2内に流入すると、この凝縮水は中和剤1どうしの隙間を通過しつつ、後述する一定の経路で流れる。凝縮水は、その過程において中和され、その後排出口24から容器2の外部に排出される。排出口24には、後述するように、ポンプP1および逆止弁79を有する配管75が接続される。
【0029】
異常水位検出部5は、容器2内の凝縮水の液面が異常上昇したときにこれを検出するための部分であり、一対の電極50を有している。これらの電極50は、たとえば耐酸性を有するステンレス製のネジ体をヘッダ部Hの上壁部40にねじ込んだ構成とされており、これらの電極50の下端先端部は上壁部40よりも下方に突出している。図面には示されていないが、これら一対の電極50の上部には、電圧が印加された一対の配線コードが接続されている。一対の電極50は、容器2内などに詰まりのない正常時には凝縮水に浸漬しておらず、これらの間は電気的に非導通状態にある。これに対し、容器2内に詰まりが生じ、凝縮水の液面レベルが異常上昇すると、それら一対の電極50の先端部がともに凝縮水に浸漬して電気的に導通する。このことにより、所定の信号出力がなされ、異常の旨を判別することが可能となる。
【0030】
ヘッダ部Hのうち、上壁部40の下方の電極50が突出している部分、およびその周辺部分は、中和剤1の進入が規制された空間部41として形成されている。図2(b)によく表われているように、容器2の上部の両側壁部25aの互いに対向する一部分25a'どうしは接近しており、細い幅L1に絞られたスリット部42が形成されている。このスリット部42は、その幅L1がたとえば後述するスリット28Aの開口幅s1と略同一であり、空間部41と中和剤収容室22との間において凝縮水は通過させるものの、中和剤収容室22から空間部41への中和剤1の通過は阻止する。空間部41に中和剤1が存在したのでは、電極50と中和剤1とが接触してそれらの間が導通し、凝縮水の水位が本来の異常水位ではないにも拘わらず、異常水位であると誤検出される虞れを生じるが、本実施形態によれば、そのような虞れが回避される。また、電極50に対する中和剤1の衝突を回避して、電極50の保護を図る効果も期待できる。なお、図2によく表われているように、本実施形態においては、下段部22bおよび補助室23は、上段部22bに対して適当な寸法L2だけ容器2の厚み方向にオフセットされている。このような構成によれば、給湯装置内の屈曲した空間スペースを利用して、この中和器Aを適切に設置することが可能となる。オフセット寸法L2は、実際の空間スペースの屈曲形状に対応するように適宜選択することが可能である。もちろん、このオフセット寸法L2をゼロにしてもかまわない。
【0031】
図1に示すように、中和剤収容室22の上段部22aの上部には、中和剤1用の投入口43が設けられている。この投入口43は、常時は蓋43aによって閉塞されている。上段部22aは、底壁部45a、上壁部45b、およびこれらに繋がった複数の側壁部を有しており、中和剤1を内部に収容保持可能である。ただし、この上段部22aにおける凝縮水流れ方向の終端領域220については、底壁部45aが設けられておらず、その底部は開口し、下段部22bと繋がっている。
【0032】
上段部22a内には、仕切部44aおよび起立壁44bが設けられている。導入口21から上段部22a内に導入された凝縮水は、矢印N1〜N4に示すように、まずヘッダ部Hの下方に進行してから仕切部44aの下方の隙間を通過した後に、起立壁44bの上部を越えてから上段部22aの終端領域220に進み、その後下段部22bを下向きに進むようになっている。なお、起立壁44bの上流側(図1の左側)には、この起立壁44bの上端と同一高さの水位で凝縮水が貯留されることとなる。
【0033】
下段部22bは、上段部22aの終端領域220の底部から斜め下方に延びており、この部分にも中和剤1が収容されている。この下段部22bは、上段部22aの下方全域に
は設けられておらず、たとえば終端領域220の下方およびその近傍部分に限定的に設けられている。このことにより、上段部22aの下方に、補助室23がスペース効率良く形成されている。
【0034】
補助室23は、下段部22bを通過してきた凝縮水を適当量だけ一時的に貯留させるための部分である。この補助室23は、下段部22bの終端壁26に繋がって形成されており、底部27aから上壁部230にわたって起立した起立壁部46によって、終端壁26寄りの第1空間部23aと、これとは反対寄りの第2空間部23bとに仕切られている。終端壁26および起立壁部46には、凝縮水を通過させるためのスリット28A,28Bが設けられている。下段部22bの下部に進行した凝縮水は、これらのスリット28A,28Bを通過することによって、第1空間部23aから第2空間部23bに順次流入するようになっている。
【0035】
スリット28A,28Bは、中和剤1の通過を抑制するように構成されている。この構成をより詳細に説明すると、図3(a),(b)に示すように、スリット28Aが形成されている終端壁26は、容器2の下段部分の厚み方向に対向する一対の側壁部25bのそれぞれの一部25b'が、容器2の厚み方向内方寄りに接近していることにより形成されている。同図(a)に示すように、スリット28Aは、前記した部分25b'どうしが接触せず、隙間を隔てていることにより形成されている。終端壁26のうち、スリット28Aの形成箇所以外においては、同図(b)に示すように、前記の部分25b'どうしが互いに接触して接合されている。スリット28Aの開口幅s1は、たとえば4mmであり、このスリット28Aの上下方向の全長域において一定幅である。なお、中和剤1としては、開口幅s1よりも大きなサイズ(たとえば、4mm角の透孔を有するメッシュ部材(篩)を用いて選別作業を行なった場合に、その透孔を通過しないサイズ)のものが用いられている。
【0036】
スリット28Bおよび起立壁部46の形成方法も、前述したスリット28Aおよび終端壁26と同様であり、起立壁部46は、容器2の一対の側壁部25bのそれぞれの一部25b”が容器2の厚み方向内方寄りに接近していることにより形成されている。それらが互いに接近してはいるものの、互いに隙間を介して接合されていない部分が、スリット28Bである。このスリット28Bの開口幅s2は、たとえば3mmであり、スリット28Aの開口幅s1よりも小さくされている。中和剤1は、容器2内への投入時や容器2の運搬時の衝撃などに起因して割れや欠けを生じたり、あるいは酸性の凝縮水との接触によって痩せるために、一部の中和剤がスリット28Aを通過する場合もあるが、スリット28Aの開口幅s2はさらに小さくされていることにより、そのような中和剤がこのスリット28Aを通過してさらに下流に流れていくことが適切に抑制される。
【0037】
図1によく表われているように、スリット28Bの下端は、スリット28Aの上端よりも、適当な寸法L3だけ高くなるように設けられている。このため、凝縮水は、矢印N5,N6に示すように進行し、スリット28Bの下端よりも水位が高くなった場合にのみ凝縮水が第2空間部23bに流入するようになっている。このような凝縮水の流れも、中和剤1がスリット28Bを通過することを困難とするのに役立つ。また、起立壁部46は、凝縮水を塞き止める役割を果たすために、通常時においては、下段部22bおよび第1空間部23aには、スリット28Bの下端と同一高さ(仮想線Laで示す高さ)の液面レベルに貯留される。このように凝縮水が貯留されると、導入口21から容器2内に燃焼ガスが仮に流入しても、この燃焼ガスが補助室23内に流入することを前記凝縮水の貯留部が阻止することとなる。なお、起立壁部46の下部や、下段部22bの底部には、補助排出口49a,49bが設けられている。これらは、たとえば凝縮水の凍結防止を目的として、第1空間部23aや中和剤収容室22内に溜まっている凝縮水を抜くためのものである。したがって、通常時においては、これら補助排出口49a,49bから凝縮水が排出さ
れないように、それらに接続された配管(図示略)の先端部は閉じられている。
【0038】
通気管体部3は、補助室23内を容器2の外部に連通させるための部分であり、補助室23の上壁部またはその近傍の壁部に一体的に突設された筒状部30に、容器2とは別体のパイプ31を嵌合連結することにより構成されている。パイプ31は、たとえば銅などの金属製である。この通気管体部3の内部には、空気流路32が一連に形成されており、その基端部は、補助室23内に連通している。通気管体部3は、上方に向けて起立しており、空気流路32の最も高い部分の高さh1(より正確には、凝縮水が先端開口部31aから溢れ出ないように、凝縮水をこの空気流路32内に塞き止めておくことが可能な高さ)は、異常水位検出部5の水位検出高さh2よりも高くされている。さらに、前記の高さh1は、後述する給湯装置Bの2次熱交換器8の所定部分よりも高く設定されている。パイプ31の先端寄り部分は、略コ字状に屈曲しており、先端開口部31aは下向きとなっている。このような構成は、先端開口部31a内に塵などが進入することを防止するのに役立つ。
【0039】
凝縮水の排出口24は、第2空間部23bの底部から起立した壁部231に形成されている。排出口24をこのような構成に設ければ、排出口24が底部上面よりも高い位置において横向きに開口することとなり、この部分に夾雑物が詰まり難くなる。
【0040】
補助室23には、ポンプP1を駆動制御するための液面検出器6が取り付けられている。この液面検出器6は、長さが略同一の2本の電極61a,61bと、これらよりも短めの電極61cと、これらの上端を支持するベース部材62とを備えており、計3本の電極61a〜61cは、第2空間部23bの上部の開口孔から下向きに差し込まれている。この液面検出器6においては、たとえば電極61bがグランド接続されており、凝縮水の液面が図1に示す所定の高水位LHまで上昇することにより、2本の電極61b,61cがともに凝縮水に浸漬すると、これらの間が導通してその旨を検出可能である。この検出により、ポンプP1が駆動を開始し、凝縮水が配管75に流出する。なお、その際には、電極61aも凝縮水に浸漬しており、電極61a,61b間も導通している。その後、凝縮水の液面が所定の低水位LLよりも下がり、電極61a,61b間が非導通状態になると、その旨が検出され、ポンプP1の駆動は停止される。
【0041】
図4は、前記した中和器Aを備えた給湯装置の一例を模式的に示している。
【0042】
同図に示す給湯装置Bは、給湯装置本体部Cと、外装ケース99とを備えている。外装ケース99は、給湯装置本体部C、中和器A、および後述する各種の配管などを囲み込んでおり、これらを保護している。給湯装置本体部Cは、2つの給湯部90A,90Bを合理的に組み合わせた構成を有している。より具体的には、給湯部90Aは、たとえば台所、洗面所、その他の一般給湯用の湯を生成するための部分であり、給湯部90Bは、たとえば床暖房用の湯を生成するための部分である。これら給湯部90A,90Bは、缶体91内の2つの空間部91a,91b内に、送風ファン92a,92bから供給される燃焼用空気を利用して都市ガスあるいは灯油などの燃料を燃焼させる2つの燃焼器93a,93bと、これらによって発生された燃焼ガスから顕熱を回収する2つの1次熱交換器94a,94bとが設けられた構成を有している。
【0043】
缶体91の上部には、1次熱交換器94a,94bを通過してきた燃焼ガスから潜熱を回収する2次熱交換器8が設けられている。この2次熱交換器8は、本発明でいう熱交換器の一例に相当するものであり、複数の水管80がケーシング81内に配された構成を有している。図6によく表われているように、ケーシング81内には、仕切板82が設けられており、この仕切板82によって複数の水管80は、上下2つのグループG1,G2に仕切られている。ケーシング81の後壁81aおよび前壁81bには、上下2つの給気口
82a,82b、および1つの排気口83が設けられている。1次熱交換器94aを通過してきた燃焼ガスは、矢印N10に示すように、上側の給気口82aからケーシング81内の上部領域に流入するようになっている。次いで、この燃焼ガスは、グループG1の水管80によって潜熱回収がなされた後に、排気口83から流出する。一方、1次熱交換器94bを通過してきた燃焼ガスは、矢印N11に示すように、下側の給気口82bからケーシング81内の下部領域に流入する。次いで、この燃焼ガスは、グループG2の水管80によって潜熱回収がなされた後に、排気口83から流出する。外装ケース99の前面壁には、排気口83から流出した燃焼ガスを外装ケース99の外部に排出するための排気口990が設けられている。
【0044】
図4に示すように、2次熱交換器8には、複数の水管80への通水を効率良く、かつ適切に行なわせるための複数のヘッダ部84a〜84fが設けられている。給湯部90Aでは、水道水などの水が適当な水圧で入水口70aに入水すると、この水は、配管72aを通過してから、2次熱交換器8のヘッダ部84a〜84cおよびグループG1の水管80内を流通し、その後配管72bを介して1次熱交換器94aに流れる。このような通水過程において加熱された湯水は、その後配管72cを介して出湯口71aに到達し、台所などの所定の給湯先に供給される。一方、給湯部90Bでは、床暖房装置の本体領域から湯水が入水口70bに供給されると、この湯水は、配管72dを通過してから、2次熱交換器8のヘッダ部84d〜84fおよびグループG2の水管80内を流通して加熱される。次いで、この湯水は、配管72eを経由して貯留タンク73に流入した後に、ポンプP2によって汲み上げられ、1次熱交換器94bに送られて加熱され、その後配管72fを介して出湯口71bに到達して床暖房装置の本体領域に戻される。貯留タンク73およびポンプP2は、床暖房用の湯水を循環させるための一手段である。この貯留タンク73には入水用の配管70cが接続され、また液面センサ(図示略)が設けられていることにより、この貯留タンク73内には常に一定量以上の湯水が存在するように制御され、ポンプP2の空運転が防止されるようになっている。また、貯留タンク73には、この貯留タンク73内に負圧などが生じることを防止するための配管74が接続されている。この配管74の一端74aは、外装ケース99の外部に直接または間接的に繋がり、かつ大気開放状態となっている。
【0045】
2次熱交換器8のケーシング81には、潜熱回収に伴って発生する凝縮水を排出するための排出口86が設けられており、この排出口86と中和器Aの導入口21とが配管76によって接続されている。ケーシング81の底部81cは、複数の水管80から滴下する凝縮水を受けて排出口86にガイドする役割を果たし、排出口86は、そのような凝縮水を効率良く排出し得るように底部81cまたはその近傍に設けられている。好ましくは、底部81cは、排出口86に向けて凝縮水を流れ易くするように、その全体または一部が傾斜している。中和器Aに接続された凝縮水排出用の配管75は、外装ケース99の排出口99aに接続されている。排出口99aには、凝縮水をたとえば浴室の排水用トラップに導くための配管75Aが接続されている。逆止弁79は、配管75Aを高い位置に配置させた場合に、凝縮水がこの配管75A側から中和器Aに向けて逆流することを防止する。
【0046】
図4においては、中和器Aが給湯装置本体部Cの一側方に配された構成に示されているが、この給湯装置Bは、実際には、図5に示すように、中和器Aが給湯装置本体部Cの正面または背面に配されている。このような配置にすれば、給湯装置B全体の横幅を小さくし、全体の小型化を図るのに好適となる。また、通気管体部3の空気流路32の前述した高さh1は、排気口83および下側の給気口82bの周縁部の最低高さh3よりも高くされている。なお、本実施形態においては、図6に示すように、排気口83および給気口82bのそれぞれの周縁部のうち、最も高さが低い部分n1,n2のそれぞれの高さh3は、同一に揃えられている。後述するように、凝縮水の排水経路に詰まりを生じるなどして
、ケーシング81の底部81c上に凝縮水あるいは雨水などの水が溜まっていく事態が万一発生した場合、その水位が前記した部分n1,n2の高さを超えると、前記水は排気口83や吸気口83からケーシング81の外部に溢れ出すこととなる。給気口83から缶体91内に水が流入したのでは、燃焼器が汚染するといった不具合を生じるため、これを防止することが好ましく、そのためには給気口82bの部分n2を、排気口83の部分n1よりも高くすればよい。本発明では、そのような構成にしてもよく、またこれとは反対の高さ関係の構成としてもかまわない。
【0047】
次に、前記した中和器Aおよび給湯装置Bの作用について説明する。
【0048】
まず、2次熱交換器8の潜熱回収に伴って発生した酸性の凝縮水は、ケーシング81の底部81cによって受けられてから、配管76を介して中和器Aに送られ、その導入口21から容器2内に流入する。この凝縮水は、容器2内の中和剤1が充填されている部分を、図1の矢印N1〜N4に示す経路で流れ、その過程において中和される。中和された凝縮水は、矢印N5,N6に示すように、2つの細幅なスリット28A,28Bを通過して補助室23の第2空間部23bに流入していくが、このような凝縮水の流入に伴い、第2空間部23bに存在している空気は、通気管体部3を介して容器2の外部に排出される。したがって、第2空間部23b内への凝縮水の流入、ひいては容器2内への凝縮水の流入がスムーズとなる。
【0049】
次いで、第2空間部23b内における凝縮水の貯留量が多くなり、その水位が所定の高水位LHまで上昇すると、これが液面検出器6により検出される。すると、ポンプP1が駆動を開始し、補助室23内の凝縮水が配管75,75Aに送り出される。その後、前記凝縮水の液面レベルが低水位LL以下に低下すると、これが液面検出器6により検出されてポンプP1の駆動が停止する。このような凝縮水の排出時には、通気管体部3から第2空間部23b内に外部の空気が進入するために、ポンプP1の駆動に伴いサイフォン現象が発生するといったことも適切に回避される。サイフォン現象が生じた場合には、下段部22bおよび第1空間部23b内に貯留している凝縮水の水封構造が破壊され、2次熱交換器8のケーシング81から容器2内に流入している燃焼ガスが配管75,75Aに流出する虞れがあるものの、本実施形態においては、このような虞れも適切に防止される。ポンプP1は、凝縮水の水位が所定の高水位LHに上昇する都度、間欠運転されるが、このようにポンプP1を間欠運転させると、ポンプP1を長時間にわたって連続運転させる場合と比較すると、その寿命を長くすることが可能である。
【0050】
中和器Aを使用している場合、種々の事情に起因して、たとえば凝縮水の排出口24や配管75に詰まりを生じる可能性がある。このような詰まりを生じると、容器2内に凝縮水が溜まっていき、その水位が異常上昇する。水位が所定の高さh2になると、図1に示した異常水位検出部5によってその旨が検出され、給湯装置Aに別途設けられている報知手段(図示略)により報知される。このことにより、ユーザは凝縮水の排水経路に詰まりが生じていることを察知し、適切な対応措置を採ることができる。一方、前記したような凝縮水の水位上昇は、通気管体部3の空気流路31内においても生じるが、既述したとおり、この空気流路31の上部の高さh1は、前記した高さh2よりも高い。したがって、異常水位検出部5によって水位の異常上昇が検出される以前の時期に、通気管体部3の先端開口部31aから凝縮水が外部に溢れ出すことはなく、中和器Aの下方領域が凝縮水によって汚染されないようにすることができる。また、仮に、通気管体部3から凝縮水が早期に溢れ出したのでは、容器2内の水位が上昇しなくなり、あるいは上昇速度が鈍くなるため、異常水位検出部5によって容器2内に詰まりがある旨を迅速かつ的確に検出することが困難となるが、本実施形態によれば、そのようなことも適切に回避される。
【0051】
前記したような水位の異常上昇が検出されたにも拘わらず、たとえばユーザがこれに対
して適切な対応措置を採らずにその状態を放置したような場合には、凝縮水の水位が配管76内を上昇し、2次熱交換器8のケーシング81内に凝縮水が溜まりだすことが想定される。また、給湯装置Bを屋外に設置した場合には、外装ケース99およびケーシング81の排気口990,83から雨水がケーシング81内に進入し、ケーシング81内の水位上昇がさらに促進されることも想定し得る。このような異常事態が万一発生した場合であっても、ケーシング81内の水位が排気口83または給気口82bの縁部の高さが最も低い部分n1,n2よりも高くならない限りは、それら凝縮水などがケーシング81の外部に流出することは阻止される。その一方、空気流路31の高さh1は、前記の部分n1,n2よりも高いために、ケーシング81内の水位が前記した部分n1,n2よりも下位にある限りは、通気管体部3の先端開口部31aから凝縮水などが中和器Aの外部に溢れ出すことはなく、給湯装置Bの各部が汚染されないようにすることができる。
【0052】
本実施形態の中和器Aは、図1に示したように、容器2の上段部22aを凝縮水が進行する際には、上下方向に蛇行する。したがって、凝縮水の流路長を長くして、凝縮水と中和剤1との接触頻度を高めるのに好適となる。また、上段部22aを通過した凝縮水は、その後下段部22bに流れ込み、この部分でも中和処理が促進される。このように、容器2内を上下2段に分けてその上段から下段に凝縮水が流れ込むようにすれば、容器2の水平方向の幅(図1の左右方向の幅)、およびそれと直交する方向の厚みを小さくした場合であっても、容器2内の容積を大きくして中和剤1の充填量を多くし、また容器2内における凝縮水の流路長を長くとることができる。したがって、容器2の全体の幅および厚みを小さくしながらも、処理すべき凝縮水の量が多く、多量の凝縮水に対して優れた中和処理性能が要求される用途に最適となる。容器2はブロー成形品であり、中和剤収容室22の上段部22aならびに下段部22b、および補助室23なども容器2のブロー成形時に適切に形成可能である。このため、容器2を容易かつ廉価に製造することもできる。
【0053】
図7および図8は、本発明に係る給湯装置の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0054】
図7に示す給湯装置においては、中和器Aの容器2の補助室23に通気孔34が形成されており、この通気孔34が配管77を介して配管74の一部に接続されている。配管74は、前記実施形態のものと同様に、その一端部74aが外装ケース99の外部に繋がり、かつ大気開放状態にある。
【0055】
本実施形態においては、容器2の補助室23内は、配管77,74を介して容器2の外部と連通している。したがって、容器2内に凝縮水が流入する際、および補助室23に溜まった凝縮水がポンプP1の駆動により配管75に流出する際には、補助室23から容器外部への空気の流出、あるいは容器外部から補助室23内への空気の流入が生じる。その結果、容器2内に凝縮水をスムーズに流入させたり、ポンプP1の駆動に伴う不当なサイフォン現象の発生を阻止し得る効果が得られる。一方、たとえば凝縮水の排出口24や配管75に詰まりを生じて、容器2内の凝縮水の水位が通気孔34の高さよりも上昇したときには、この通気孔34から配管77内に進入した凝縮水を、配管77,74を利用して外装ケース99の外部に排出することができる。したがって、外装ケース99内に設けられている給湯装置Bの各部が凝縮水によって汚染されることも適切に防止される。
【0056】
図8に示す給湯装置においては、配管77の一部が上方に立ち上がっている。このことにより、この配管77の最上部77aの高さh4は、異常水位検出部5の水位検出高さh2よりも高くされている。
【0057】
本実施形態においては、容器2内の凝縮水の水位が異常上昇する場合に、この水位が高
さh4以下である限りは、凝縮水が配管77から配管74に流れていくことはない。したがって、凝縮水の水位が異常水位検出部5によって検出される以前に、容器2内の凝縮水が配管77,74を介して外部に排出されることはなく、凝縮水の排出口24や配管75などに詰まりが生じている場合には、確実に容器2内の水位が上昇することとなって、その旨を正確に検出することが可能となる。
【0058】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯装置、および中和器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0059】
本発明でいう通気管体部は、必ずしも容器とは別体のパイプを用いて構成する必要はなく、たとえば通気管体部の全体を容器と一体に樹脂成形してもかまわない。通気管体部の高さを高くするほど、凝縮水が通気管体部の先端開口部から溢れ難くすることが可能であり、好ましいが、その具体的な高さは種々の寸法に設定することが可能である。通気管体部を比較的短寸の筒状に形成した場合にも、本発明の技術的範囲に包摂される。
【0060】
通気管体部は、その全体が上方に向けて起立していなくてもよく、少なくとも一部分が起立していればよい。起立方向は、鉛直方向に対して傾斜した方向であってもよい。また、通気管体部内への塵などの進入防止を図る観点からすれば、通気管体部の先端開口部が下向きとされていることが好ましいものの、やはりこれに限らず、たとえば上向きに開口していてもかまわない。上述した実施形態においては、中和器の容器が中和剤を上下2段に収容させる構造とされているが、やはり本発明はこれに限定されず、いわゆる1段構造としてもよい。中和剤としては、炭酸カルシウム以外の物質を用いることが可能である。
【0061】
本発明において、中和器の容器に設けられた通気孔に配管接続を行ない、かつこの配管の一端を外装ケースの外部において大気開放状態とする手段を採用する場合、図7および図8に示した実施形態とは異なり、容器の通気孔に一端が接続された配管の他端を外装ケースの外部まで直接引き出すようにしてもかまわない。このような構成であっても、図7および図8に示した実施形態と同様な効果が得られる。一端が外装ケースの外部において大気開放状態とされた適当な配管が、外装ケース内に設けられている場合に、この配管を利用して中和器の容器の通気性を確保する構成と、この配管を利用することなく、これとは別の配管を利用して容器の通気性を確保する構成とのいずれを採用するかは任意に選択できる事項である。
【0062】
本発明に係る給湯装置は、上述の実施形態とは異なり、2つの給湯部が組み合わされた構成とされていなくもよい。本発明に係る給湯装置は、瞬間式の一般給湯用の給湯装置、風呂給湯装置、床暖房用の給湯装置、あるいは融雪用の給湯装置など、種々の給湯装置として構成することが可能である。もちろん、燃焼ガスを燃焼器の上方に進行させるいわゆる正燃方式のものに代えて、たとえば燃焼ガスを下向きに進行させながら熱交換を行なういわゆる逆燃方式のものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0063】
A 中和器
B 給湯装置
P1 ポンプ(凝縮水排出用の)
1 中和剤
2 容器
3 通気管体部
5 異常水位検出部
8 2次熱交換器(熱交換器)
21 導入口
23 補助室
24 排出口
31 空気流路
74,77 配管
80 水管
81 ケーシング
82a,82b 給気口
83 排気口
93a,93b 燃焼器
99 外装ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器と、この燃焼器により発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、前記熱回収に伴って発生する凝縮水を中和するための中和器と、を備えており、
前記中和器は、中和剤を内部に収容した容器を備え、かつこの容器には、前記凝縮水の導入口と、前記中和剤によって中和された凝縮水を外部に排出するための排出口と、前記容器内を容器外部に連通させる通気手段とが設けられている、給湯装置であって、
前記中和器の排出口に接続された凝縮水排出用のポンプをさらに備えており、
前記中和器の容器内には、中和された凝縮水を貯留可能であり、かつ前記排出口が開口している補助室が設けられていることにより、この補助室に貯留された凝縮水を前記ポンプによって外部に排出可能とされており、
前記通気手段は、内部に空気流路が一連に形成され、かつ先端部に開口部を有する通気管体部を含んで構成されており、
前記通気管体部の基端部は、前記補助室の上壁部またはその近傍の壁部に繋がり、かつ前記通気管体部の少なくとも一部分が上方に向けて起立していることにより、前記空気流路は、前記補助室に連通し、かつ前記基端部よりも上方に延びていることを特徴とする、給湯装置。
【請求項2】
前記補助室には、液面検出器が設けられ、前記ポンプは、前記液面検出器によって検出される凝縮水の水位が所定の高水位になったときには駆動を開始し、かつその後に所定の低水位になったときには駆動を停止するように構成されており、
前記通気管体部内の空気流路の基端部分は、前記所定の高水位よりも高い位置にある、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記中和器は、前記容器内の水位が所定高さ以上に異常上昇したときにこれを検出するための異常水位検出手段を備えており、
前記空気流路は、前記所定高さよりも高い位置まで延びている、請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記通気管体部の先端寄り部分は屈曲しており、この通気管体部の先端部の開口部は、水平方向よりも下向きとなっている、請求項1ないし3のいずれかに記載の給湯装置。
【請求項5】
燃焼器と、この燃焼器により発生された燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、前記熱回収に伴って発生する凝縮水を中和するための中和器と、これら燃焼器、熱交換器および中和器を囲み込む外装ケースと、を備えており、
前記中和器は、中和剤を内部に収容した容器を備え、かつこの容器には、前記凝縮水の導入口と、前記中和剤によって中和された凝縮水を外部に排出するための排出口と、前記容器内を容器外部に連通させる通気孔が設けられている、給湯装置であって、
前記中和器の排出口に接続された凝縮水排出用のポンプをさらに備えており、
前記中和器の容器内には、中和された凝縮水を貯留可能であり、かつ前記排出口が形成されている補助室が設けられていることにより、この補助室に貯留された凝縮水を前記ポンプによって外部に排出可能とされており、
一端が前記中和器の通気孔に接続され、かつ他の一端が前記外装ケースの外部において大気開放状態とされた配管部を備えており、
前記通気孔は、前記補助室に開口しており、前記配管部の内部は、前記補助室に連通していることを特徴とする、給湯装置。
【請求項6】
前記中和器は、前記容器内の水位が所定高さ以上に異常上昇したときにこれを検出するための異常水位検出手段を備えており、
前記配管部の少なくとも一部分は、前記所定高さよりも高い位置に配されている、請求
項5に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−52956(P2011−52956A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231815(P2010−231815)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【分割の表示】特願2005−183496(P2005−183496)の分割
【原出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】