説明

給紙装置及び画像形成装置。

【課題】転写紙の搬送性を損なうことなくレジスト衝突音を低減することの可能な給紙装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】押圧ローラ27は、加圧アーム30の一端に保持され、加圧アーム30は、支軸16によって回動自在に支持されている。加圧アーム30のもう一方の端には、引っ張りばね31とソレノイド32が取付けられており、加圧アーム30は引っ張りばね31とソレノイド32の作用により、支軸16を支点として回動する。ソレノイド32は、作動手段34とCPU、ROM、RAM等からなる制御手段33によって作動される。そして、押圧ローラ27は、レジストローラ6、7と転写紙Pの先端P1を検出するセンサ23との間に配設され、上方のガイド板24から下方に突没自在になるように取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等に代表される画像形成装置に装備されるレジストローラを備えた給紙装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置の画像形成部においては、感光体或は中間転写ベルト等の像担持体の上に形成されたトナー像を転写装置によって転写紙上に転写した後で、定着して機外に排出するようにしている。転写紙は、給紙装置から給紙されて、転写装置手前のレジストローラ対に先端を突き当てた状態で一旦停止し、感光体上のトナー像の移動とタイミングを合わせてレジストローラを駆動して転写紙を転写位置に給紙する。しかし、給紙装置によって転写位置に向けて給紙されてきた転写紙先端が、停止状態にあるレジストローラに衝突する際の衝突音は突出的に大きく耳障りであるため、この衝突音の低減が従来から求められていた。
そこでこの問題を解決するために、特許文献1には、レジストローラのシート搬送方向上流側の上シートガイド部において、ガイド空間に突出するように、押さえ部材を回動可能に配設することが示されている。そして、この押さえ部材の先端を転写紙に当接させることによって転写紙のシートガイド部内壁への接触を防止して、騒音の発生を抑制するようにしている。
また、特許文献2には、分離給送手段とレジストローラとの間に、レジストローラに転写紙の先端が当接する際に、転写紙の給送速度を減速させる樹脂フィルム等からなる速度緩和部材を配設し、速度緩和部材にレジストローラに送給される転写紙を当接させて印刷用紙の給送速度を減速させると共に、転写紙の振動に伴う騒音の発生を防止することが提案されている。
【特許文献1】特開2005−82355公報
【特許文献2】特開平8−59007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2記載のものでは、押さえ部材及び速度緩和部材とも、転写紙のレジストローラへの給送時、常時、当接させるようにしているため、転写紙の搬送性を損なう問題を招く。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、転写紙の搬送性を損なうことなくレジスト衝突音を低減することの可能な給紙装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、転写紙に画像を転写する転写部に向けて、当該画像の形成時と同期をとって転写紙を送り出すレジストローラと、当該レジストローラの上流側に位置し、前記レジストローラに向けて転写紙積載部より送られてきた転写紙を搬送する搬送手段を備え、停止状態にある前記レジストロ−ラに転写紙先端を衝突さてレジスト合わせを行う給紙装置において、前記レジストローラの上流側に、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端を検出する検出手段を備え、前記搬送手段とレジストローラとの間に、前記搬送手段によって搬送された転写紙を押圧する押圧手段を設け、当該押圧手段の転写紙押圧動作を前記検出手段の先端検出信号に基づき制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の給紙装置において、前記押圧手段を前記レジストローラと検出手段との間に配設したことを特徴とする。
【0005】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の給紙装置において、前記押圧手段は、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端が前記レジストローラに当接する時と実質的に同時に、当該転写紙を押圧するように前記制御手段によって制御されていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の給紙装置において、前記押圧手段は、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端が前記レジストローラのニップ部に当接する時と実質的に同時に、当該転写紙を押圧するように前記制御手段によって制御されていることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の給紙装置において、前記制御手段は、前記転写紙に対する押圧開始後、予め設定された時間が経過した後に当該押圧を解除するように前記押圧手段を制御することを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の給紙装置において、前記押圧手段は、前記レジストローラに搬送される転写紙の表裏両側に配設され、当該両側に配設された押圧手段によって前記転写紙の両面を挟圧するように配設されていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の給紙装置において、前記押圧手段の転写紙と当接する部材は、ブラシ状部材、ローラ状部材、シート状部材プレート状部材のいずれかの形状を有することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載の給紙装置において、前記押圧手段の転写紙と当接する部材は、制振材で構成されていることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、画像形成部、当該画像形成部で形成された画像を転写紙に転写する転写部及び当該転写部に向けて、前記画像形成部における前記画像の形成時と同期をとって転写紙を送り出すレジストローラと、当該レジストローラの上流側に位置し、前記レジストローラに向けて転写紙積載部より送られてきた転写紙を搬送する搬送手段を備え、停止状態にある前記レジストロ−ラに転写紙先端を衝突させてレジスト合わせを行う給紙装置を備えた画像形成装置において、前記給紙装置は、請求項1乃至8のいずれか1項記載の給紙装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記レジストローラの上流側に、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端を検出する検出手段を備え、前記搬送手段とレジストローラとの間に、前記搬送手段によって搬送された転写紙を押圧する押圧手段を設け、当該押圧手段の転写紙押圧動作を前記検出手段の先端検出信号に基づき制御する制御手段を備えることによって、転写紙の搬送性を損なうことなくレジスト衝突音を低減することの可能な給紙装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明者らは、レジスト衝突音に関し、分析及び解析を行ったところ、レジスト衝突時に大きく発生する音は、転写紙先端がレジストローラ、及びレジストローラのニップに衝突した際に転写紙に振動が生じ、転写紙から発生する音であり、特にレジストローラのニップに衝突した際に突出的に大きな音が発生することを解明した。
従来、レジスト衝突時に発生する音は、レジスト衝突で生じた用紙のたわみが延びる際に、搬送ガイド板やシートに衝突、または擦れることによって発生すると考えられていた。即ち、特許文献1には、レジスト衝突時に発生する音は、レジスト衝突で生じた用紙のたわみが搬送ガイド板やシートに衝突、または擦れることによって発生するとされている。従って、特許文献1に記載されているような転写紙のたわみが搬送ガイド板やシートに衝突、または擦れることによって発生する音を抑える技術では、十分にレジスト衝突音を低減することはできない。
ところが本発明者らは、レジスト衝突音に関してさらに詳しく分析、および解析をしたところ、今まで知られていなかった新たな現象の存在を突き止めることができた。新たな知見について以下に記す。
【0009】
図9は、転写紙Pに画像を転写する転写部に向けて画像の形成時に同期を取って転写紙を送り出す給紙装置の従来のレジスト部Rの概略構成を示す図である。レジスト部Rでは、図示しない転写紙積載部Sから搬送ローラ対8、9に転写紙Pが矢印E方向に搬送されてくる。搬送ローラ9は、図示しない駆動手段によって駆動される。搬送ロ−ラ対8、9の下流にはガイド板24、25によって形成される搬送経路があり、その搬送経路の終端部にはレジスト合わせ用のレジストロ−ラ6、7が設置されている。レジストロ−ラ6、7の上流側近傍には、搬送されてきた転写紙Pの先端の通過を検出する検出手段であるフォトセンサ等のセンサ23が設けられている。
図9に示すように、搬送されてきた転写紙Pの先端P1は、まず上側のレジストローラ6に衝突する(第1の状態)。そして次に転写紙Pの先端P1は、図10示すようにレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突して停止する(第2の状態)。この場合、図9、図10において、レジストローラ6、7は停止している。
【0010】
次に、本発明者らが行ったレジスト衝突音の解析実験について説明する。本実験では、まず転写紙Pの先端P1がレジストローラ6(第1の状態)、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突する(第2の状態)前後の音を集音マイクで集音し、時間軸での音圧分析を行った。図11に測定結果を示す。横軸が時間(s)、縦軸が音圧(Pa)である。この測定では、搬送ローラ8、9の上流に設置してあるセンサ20による転写紙Pの先端P1を検出して出力されるセンサ信号をトリガとし、転写紙Pの先端P1がこのセンサ20を通過した際の検知信号で測定を開始した。図11のT1(s)のピークは、図9に示すように転写紙Pの先端P1がレジストローラ6に衝突した時(第1の状態)に発生した音である。T2(s)のピークは、図10に示すように転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突した時(第2の状態)に発生した音である。従って、図11の測定結果から、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突した時(第2の状態)に突出的に大きな音が発生することが明らかになった。
【0011】
そして次に、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6(第1の状態)、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突する(第2の状態)前後の音響放射の様子を、B&K社のSTSF(Spatial Transformation of Sound Fields)可視化装置を用いて可視化し、時間軸での音響放射の仕方を分析した。その結果、図9で示す状態の転写紙Pの先端P1がレジストローラ6に衝突した時(第1の状態:t=T1)と、図10で示す状態の転写紙Pの先端がレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突した時(第2の状態:t=T2)に、図12の矢印B1、B2で示すように転写紙Pの表裏両面から音響放射していることが確認できた。特に、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、7のニップに衝突した時(t=T2)に、突出的に大きな音が転写紙Pから放射されていることが分かった。図12に示すように、音響放射の波は、矢印B1、B2の方向へ広がって行く。また最初の波(1波目)の後に、次の波(2波目)、さらに次の波(3波目)が発生する。音響放射の大きさは1波目が最も大きく、徐々に小さくなっていく。
【0012】
また、転写紙Pに垂直な図12の矢印Aの方向から音響放射の様子を可視化したところ、図13のC1、C2に示すように、点Xの付近を中心に音響放射の波が広がって行くことが確認できた。図12で示した場合と同様に、波は1波目、2波目と広がっていく。
また、上ガイド板24と転写紙Pの接触による影響を確認するために、上側のガイド板24として図14に示すようなレジストローラ6に近接する部分を切り欠いた切欠部40aを有するくし型のガイド板40を使用して転写紙Pと上ガイド板24の接触を極力小さくして同様の実験を行った。結果は、レジストローラ6に近接する部分までガイド部分を有するガイド板24の場合と同様であった。
【0013】
以上の実験結果から、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突した時に、転写紙Pに振動が生じ、転写紙Pから音響放射が発生すると考えることができる。即ち、図12に示すように、転写紙Pの表裏両側に音響放射が発生する。
そこでこの新たな知見から、本発明においては、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6の周面、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突した時に生じる転写紙Pの振動を抑えることにより、レジスト衝突音を低減することができることを究明した。具体的には、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6の周面、及びレジストローラ6、7のニップ部Nへの衝突時と実質的に同時に転写紙Pを押圧する押圧手段で転写紙Pを押圧することによって、レジストローラ6やニップ部Nで発生する転写紙Pの振動を抑制することができた。この場合、押圧手段による転写紙Pの押圧は、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nへの衝突によって転写紙Pの振動が開始するタイミングとほぼ同時であれば十分である。本発明でいう実質的に同時とは、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nへの衝突した時と同時でなくてもわずかに遅れても転写紙Pの大きな振動が発生する直前であれば良いことを意味している。
このようにして、押圧手段によって転写紙Pを押圧することによって、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nと衝突することによる転写紙Pの振動音の発生を抑制することが可能である。しかし、押圧手段による転写紙Pの押圧は、レジストローラ6、7による転写紙Pの搬送時にも継続されると転写紙Pの搬送性に悪影響を与え、レジストローラ6、7による転写紙Pの円滑な搬送に支障をきたす。
【0014】
そこで、本発明においては、押圧手段による転写紙Pの押圧動作は、遅くともレジストローラ6、7によって転写紙Pが搬送されるまでの間のみ行われるようにしている。即ち、レジストローラ6、7の上流側に、搬送ローラ等の搬送手段によって搬送された転写紙の先端を検出する検出手段を備え、前記搬送手段とレジストローラとの間に、前記搬送手段によって搬送された転写紙を押圧する押圧手段を設け、当該押圧手段の転写紙押圧動作を前記検出手段の先端検出信号に基づき制御する制御手段を備えるようにしている。その結果、この制御手段によって前記押圧手段による押圧動作を制御して、転写紙Pの搬送性を良好に維持可能としたものである。
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。矢印D方向に回転するドラム状感光体1の周りには、帯電手段2、クリーニング装置3、レーザ光学系によるレーザビームL、トナーを供給して感光体(像担持体)1の表面上の静電潜像を顕像化する現像ローラ4aを含む現像装置4が配置されて画像形成部10が形成されている。この画像形成部10では、感光体1の表面を帯電手段2で一様に帯電され、このように帯電された感光体1の表面に、画像情報に対応したレーザビームLが照射されて感光体1の表面に静電潜像が形成される。このようにして静電潜像が形成された感光体1は、次の工程で、現像装置4からトナーが供給されて静電潜像がトナー像化されて現像される。そして、後述するように、レジストローラ6、7からタイミングを取りながら搬送された転写紙Pが転写部である転写手段5からバイアス電圧が印加されて感光体1の表面に形成されたトナー像が転写紙Pの表面に転写される。
このようにして転写紙Pの表面に転写されたトナー画像は、定着手段11で加熱、加圧されて転写紙Pの表面に定着される。その後、画像形成済みの転写紙は、排紙ローラ21によって排紙口22より排紙トレイ部105上に排出載置される。なお、現像装置4の近くにはトナー補給部14が設けてあり、現像装置4内のトナーを感光体1に供給することによって消費し、不足する状態になるとトナー補給部14から現像装置4内にトナーが補充されるようになっている。
【0016】
また、本実施形態に係る画像形成装置においては、画像形成部10の下側には、転写紙Pを転写手段5に供給する給紙装置が配設されている。給紙装置は、転写紙Pを収納する転写紙積載部S、転写紙積載部Sから転写紙Pをレジストローラ6、7に搬送するレジストローラ部Rを備えている。そして、転写紙積載部Sである給紙カセット17が装置本体に対して着脱自在に取り付けられている。また、給紙カセット17内にセットされ転写紙Pは、不図示のスプリングの力によってアーム12を介して給紙ローラ19に押し付けられるようになっている。
不図示の制御部から指令が発せられて給紙ローラ19が回転することによって給紙カセット17内の最上の転写紙は、分離パッド13で重送を防止されながら1枚づつ搬送ローラ8、9を経て、矢印E方向に下流側のレジストローラ6、7まで搬送される。この場合、レジストローラ6、7は、感光体1上の画像が形成される時と同期するようにタイミングが取られて、転写紙Pを転写手段5に向かって送り出すようになっている。転写手段5によって感光体1から画像を得た転写紙Pは、前述のように、加熱定着手段11に搬送され、未定着トナーの加熱処理を受けてトナー像を定着させられる。なお、本実施形態においては、モノクロの画像形成装置を用いて説明したが、カラー画像形成装置に適用することも勿論可能である。
【0017】
次に、本発明の特徴である転写紙Pを転写手段5に供給する給紙装置の実施例について、図面に基づいて説明する。なお、本実施例においては、給紙装置の概略構成は、図1に基づいて説明したので、特徴部分であるレジストローラ部Rについて説明し、転写紙積載部S及び転写紙積載部Sから搬送ローラ8、9に至る給紙ローラ19や分離パッド13等の搬送経路は省略している。
なお、図1では像担持体として感光体を示したが、感光体上のトナー像を中間転写される中間転写体(像担持体)から転写紙にトナー像を転写するタイプにも本発明は適用可能である。
【0018】
[実施例1]
図2及び図3は、本発明による実施例1に係るレジストローラ部Rの概略構成を示す図である。図2は、後述するように、押圧手段の1例である押圧ローラ27が転写紙Pを押圧しない状態を示す図、図3は転写紙Pを押圧している状態を示す図である。
押圧ローラ27は、加圧アーム30の一端に保持され、加圧アーム30は、支軸16によって上下方向へ回動自在に支持されている。加圧アーム30のもう一方の端には、引っ張りばね31とソレノイド32が取付けられており、加圧アーム30は引っ張りばね31とソレノイド32の作用により、支軸16を支点として回動する。ソレノイド32は、ソレノイド32に通電又は通電解除を行う作動手段34とCPU、ROM、RAM等からなる制御手段33によって作動される。そして、押圧ローラ27は、レジストローラ6、7と転写紙Pの先端P1を検出するセンサ23との間に配設され、上方のガイド板24から下方に突没自在になるように取り付けられている。
【0019】
図2の状態では、ソレノイド32に通電しているため引っ張りばね31に抗してプランジャが引っ込んでおり、加圧アーム30はF方向へ回動した状態にあるため、押圧ローラ27は上方へ退避している。
転写紙Pの先端がセンサ23を通過すると、センサ23からの先端検知信号が、ソレノイド32の動作を制御する制御手段33に出力される。予め制御手段33には、転写紙Pの先端がセンサ23を通過後に、レジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突するまでの時間が転写紙Pの線速毎に記憶されている。従って、センサ23が転写紙Pの先端P1を検出したとき、その記憶されているデータに基づき、制御手段は、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突するのとほぼ同時に、図3に示すように、ソレノイド32に通電又は通電解除を行う作動手段34によってソレノイド32への通電を解除して、引っ張りばね31の引張力によって加圧アーム30をG方向に引張する。加圧アーム30のG方向への引張に伴い押圧ローラ27が上ガイド板24から下降して転写紙Pを搬送方向Eに対して垂下する方向である下ガイド板25に向けて押圧して転写紙Pを押圧ローラ27と下ガイド板25で挟持して転写紙Pの振動を抑制する。その結果、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突する際に発生する転写紙Pの振動が抑制され衝突音の発生が抑制されることになる。このような押圧ローラ27による転写紙Pの振動の抑制は、押圧ローラ27をレジストローラ6、7に近接して配設した場合に効果的である。また、後述するように、レジストローラ6、7に搬送される転写紙Pの搬送性を考慮した場合には、押圧ローラ27は、レジストローラ6、7とセンサ23との間に配設されることが望ましい。
【0020】
一方、図2に示すように、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突するまでの間は、制御手段33は、転写紙Pの先端P1が押圧ローラ27の下を通過する際に、引っ張りばね31が加圧アーム30を矢印F方向に引張するようにソレノイド32を制御しており、転写紙Pに対する押圧は解除されている。その結果、転写紙Pのレジストローラ6、7までの搬送が円滑に行われることになる。これにより、押圧ローラ27が、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突する直前まで押圧を行わないので、転写紙Pの搬送性を損なうことがない。
また、転写紙Pに対する押圧開始後、レジストローラ6、7が回転して転写紙Pの搬送を開始するまでの時間内の予め設定された時間で押圧を解除すると、転写紙Pの搬送性をより損なうことなく、さらにレジスト合わせも良好に行うことができる。本実施例では、転写紙Pの線速を500mm/秒とし、転写紙Pに対する押圧開始後、0.002秒後に押圧を解除した。なお、本実施例では、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6(第1の状態)、及びレジストローラ6、7のニップ部Nに衝突する時(第2の状態)の両方において転写紙Pを押圧ローラ27で押圧するようにしたが、前記第1の状態及び第2の状態のどちらか一方の時のみに押圧を行うことにしても良い。
【0021】
[実施例2]
実施例1においては、押圧ローラ27は、上ガイド板24の近傍に取り付け、押圧ローラ27と下ガイド板25によって転写紙Pを押圧するようにした。しかし、図4で示すように、本実施例においては、下ガイド板25の近傍に、押圧ローラ27と対向する位置に回転する固定ローラ28を配設している。これらの押圧ローラ27と固定ローラ28によって転写紙Pを挟圧するようにしたので、転写紙Pに対する押圧が確実になされると共に、転写紙Pのレジストローラ6、7への搬送も円滑になされる。
この場合、押圧ローラ27及び固定ローラ28は、転写紙Pの横幅方向のほぼ全域、或いは、図5に示すように、回転軸27a上に所定の間隔をおいて部分的に設けても良い。このように、押圧ローラ27及び固定ローラ28は、搬送されてきた転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突した時に転写紙Pを押圧している。これにより、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突した時に転写紙Pに生じる振動を抑え、レジスト衝突音を低減することができる。なお、本実施例では、押圧ローラ27及び固定ローラ28は転写紙Pに連れ回りするとしたが、押圧ローラ27、或いは固定ローラ28に駆動を与えても良い。
【0022】
[実施例3]
次に、本発明による実施例3で示す実施形態を図6、図7で説明する。実施例2と異なる点は、押圧ローラ27及び固定ローラ28をゴムプレート35及び固定ゴムプレート36にした点である。図6に示すように、転写紙Pの先端P1がゴムプレート35の下を通過する時には、ソレノイド32が加圧アーム37を矢印F方向に引っ張り、転写紙Pに対するゴムプレート35及び固定ゴムプレート36による押圧は解除されている。そして実施例1と同様に、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突するのとほぼ同時に、制御手段33が作動してソレノイド32に通電又は通電解除を行う作動手段34によってソレノイド32の作動を解除する。その結果、引っ張りばね31がG方向に加圧アーム37を引張してゴムプレート35を上ガイド板24から突出させて転写紙Pを固定ゴムプレート36と共に挟圧する。挟圧している状態を図7に示す。そしてまた、実施例1、2と同様に、転写紙Pに対する挟圧開始後、図7に示すように、予め設定された時間で挟圧を解除する。これにより、押圧部材であるゴムプレート35、36が転写紙Pに接触する面積が増えるので、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突した際に生じる転写紙Pの振動をより確実に抑えることができる。また転写紙Pの搬送性を損なうこともない。従って、レジスト衝突音を、転写紙Pの搬送性を損なうことなく、より確実に低減することができる。
この場合、ゴムプレート35、36は、一方、例えば、ゴムプレート35のみ使用するようにしてもよい。さらに、ゴムプレート35、36として、剛性体の間に粘弾性物質を介在させた制振材を使用し剛性体の一方に加えられた振動を粘弾性物質で吸収、制振させるようにした場合には、転写紙Pの振動をより確実に抑制可能となるので、好適である。
【0023】
[実施例4]
図8は、本発明による実施例4に係る給紙装置のレジストローラ部のブラシ状体の押圧状態の概略構成を示す断面図である。
本実施例においては、転写紙Pの押圧部材として、前述の実施例で示すローラ状部材やプレート状部材に代えてブラシ状部材26を使用したものである。このブラシ状部材26は、上ガイド板24を貫通して上下方向に移動自在に取り付けられ、制御手段33でソレノイド32に通電又は通電解除を行う作動手段34によって制御されたソレノイド32によって上下方向に移動してブラシ状部材26の先端が転写紙Pを下ガイド板25に押圧したり、この押圧を解除するように制御されている。従って、制御手段33の制御によって、転写紙Pの先端P1を押圧したり、開放したりして転写紙Pの振動を抑制したり、転写紙Pの円滑な搬送を可能とすることができるようになっている。
この場合、ブラシ状部材26は、転写紙Pの横幅方向のほぼ全域に設けられる。そしてブラシ状部材26は、搬送されてきた転写紙Pの先端がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突した時に転写紙Pに接触しており、転写紙Pを下ガイド板25に押圧する。それによりブラシ状部材26は、転写紙Pの先端P1がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突した時に転写紙Pに生じる振動を抑え、レジスト衝突音を低減することができる。なお、上記ブラシ状部材に代えて可撓性を有するシート状部材を使用し、シート状部材の先端で転写紙Pを押圧したり開放したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明による実施例1に係る給紙装置のレジストローラ部の押圧ローラの解除状態の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明による実施例1に係る給紙装置のレジストローラ部の押圧ローラの押圧状態の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明による実施例2に係る給紙装置のレジストローラ部の押圧ローラの解除状態の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明による実施例2に係る給紙装置のレジストローラ部の押圧ローラの概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明による実施例3に係る給紙装置のレジストローラ部のゴムプレートの解除状態の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明による実施例3に係る給紙装置のレジストローラ部のゴムプレートの押圧状態の概略構成を示す断面図である。
【図8】本発明による実施例4に係る給紙装置のレジストローラ部のブラシ状体の押圧状態の概略構成を示す断面図である。
【図9】従来の給紙装置における転写紙の先端がレジストローラに当接した状態を示す断面図である。
【図10】従来の給紙装置における転写紙の先端がレジストローラのニップ部に当接した状態を示す断面図である。
【図11】従来の給紙装置における転写紙の先端がレジストローラに当接するまでの音の音圧を測定した結果を示すグラフ図である。
【図12】従来の給紙装置における転写紙の先端がレジストローラに当接した際の転写紙の振動状態を示す断面図である。
【図13】図12におけるA方向から観察した際の転写紙の振動状態を示す平面図である。
【図14】比較のために用いたくし型上ガイド板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 感光体、2 帯電手段、3 クリーニング手段、4 現像装置、5 転写手段、レジストローラ、搬送ローラ、10 画像形成部、11 定着装置、16 支軸、17 給紙カセット、20、23 センサ、24 上ガイド板、25 下ガイド板、26 ブラシ状部材、27 押圧ローラ、27 固定ローラ、30 加圧アーム、31 引っ張りばね、32 ソレノイド、33 制御手段、34 作動手段、35、36 ゴムプレート、N ニップ部、P 転写紙、R レジスト部、S 転写紙積載部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上の画像を転写紙に転写する転写部に向けて転写紙を送り出すレジストローラ対と、当該レジストローラ対の上流側に位置し前記レジストローラ対に向けて転写紙を搬送する搬送手段と、を備え、停止状態にある前記レジストロ−ラ対に転写紙先端を衝突させてレジスト合わせを行う給紙装置において、
前記レジストローラ対の上流側に、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端を検出する検出手段を備え、前記搬送手段とレジストローラとの間に、前記搬送手段によって搬送された転写紙を搬送方向に対して垂下する方向に押圧する押圧手段を設け、当該押圧手段の転写紙押圧動作を前記検出手段の先端検出信号に基づき制御する制御手段を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1記載の給紙装置において、
前記押圧手段を前記レジストローラ対と検出手段との間に配設したことを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の給紙装置において、
前記押圧手段は、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端が前記レジストローラ対に当接する時と実質的に同時に、当該転写紙を押圧するように前記制御手段によって制御されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の給紙装置において、
前記押圧手段は、前記搬送手段によって搬送された転写紙の先端が前記レジストローラのニップ部に当接する時と実質的に同時に、当該転写紙を押圧するように前記制御手段によって制御されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の給紙装置において、
前記制御手段は、前記転写紙に対する押圧開始後、予め設定された時間が経過した後に当該押圧を解除するように前記押圧手段を制御することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の給紙装置において、
前記押圧手段は、前記レジストローラに搬送される転写紙の表裏両側に配設され、当該両側に配設された押圧手段によって前記転写紙の両面を挟圧するように配設されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の給紙装置において、
前記押圧手段の転写紙と当接する部材は、ブラシ状部材、ローラ状部材、シート状部材プレート状部材のいずれかの形状を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の給紙装置において、
前記押圧手段の転写紙と当接する部材は、制振材で構成されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
画像形成部、当該画像形成部で形成された画像を転写紙に転写する転写部及び当該転写部に向けて前記画像形成部における前記画像の形成時と同期をとって転写紙を送り出すレジストローラと、当該レジストローラの上流側に位置し、前記レジストローラに向けて転写紙積載部より送られてきた転写紙を搬送する搬送手段を備え、停止状態にある前記レジストロ−ラに転写紙先端を衝突させてレジスト合わせを行う給紙装置を備えた画像形成装置において、
前記給紙装置は、請求項1乃至8のいずれか1項記載の給紙装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−137677(P2009−137677A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313591(P2007−313591)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】