説明

給紙装置及び画像形成装置

【課題】 電源OFF状態からON状態への遷移、又はスリープ状態からの復帰時に、給紙カセットが給紙装置に装着済みで、且つ紙面位置検知手段が検知状態となる状態がある。このような状態では、給紙カセット内に記録材が規定の枚数以下で積載されおり、給紙のために給紙カセットを上昇した状態であるか、又は過積載状態であるかを判別することができないことがある。
【解決手段】 電源ON時、又はスリープ復帰時の場合、過積載かどうかを判断するために、給紙部42を下降させる。そして、記録材10の紙面を押圧した際のセンサ101の出力を検知する。そして、センサ101がONのままである場合は過積載状態である、センサ101がOFFになった場合は給紙可能な状態であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材を積載する給紙カセットを上昇させて給紙を行う給紙装置を備えた、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタなどの画像形成装置は、給紙カセット内に積載された記録材を画像形成部へ順次搬送し、画像形成を行っている。このような画像形成装置において、給紙カセットに記録材を規定枚数より多く積載した過積載の状態で給紙を行うと、紙面の高さが理想の給紙位置よりも高い状態で給紙することになる。そのため、記録材にシワや破れが発生することや、ジャムの発生率を増大させることが懸念される。そこで、このような状態を解消するために、特許文献1は給紙カセットに積載された記録材の有無を検知する検知手段と、記録材の高さを検知する検知手段を備えている。そして、記録材の給紙のために給紙カセットを上昇する前に、どちらの検知手段も検知状態となった場合に過積載状態であると判断し、給紙を禁止することで、記録材の損傷を抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−254896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置が電源OFFからONへの遷移、又はスリープ状態からの復帰時に、給紙カセットが給紙装置に装着済みで、且つ紙面位置検知手段が検知状態となる状態がある。このような状態では、給紙カセット内に記録材が規定の枚数以下で積載されおり、給紙のために給紙カセットを上昇した状態であるか、又は過積載状態であるかを判別することができないという可能性がある。
【0005】
本出願にかかる発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、紙面検知手段を用いて記録材が過積載状態であるかどうかを精度良く判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、記録材を積載する積載手段と、前記積載手段に積載された記録材を給紙する給紙手段と、前記積載手段に積載された記録材を検知する検知手段と、前記給紙手段を移動させる駆動手段と、前記検知手段により記録材があると検知された後、前記駆動手段により前記給紙手段を移動させて、前記積載手段に積載されている記録材を押圧し、再び前記検知手段により記録材を検知した検知結果に応じて、記録材の積載状態を判別する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、紙面検知手段を用いて記録材が過積載状態であるかどうかを精度良く判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】画像形成装置のシステム構成の一例を説明するブロック図
【図3】給紙装置に備えられた給紙機構の概略構成図
【図4】過積載検知の方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、給紙装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置1には、給紙装置2が接続されている。給紙装置2は向かって手前側に開閉が可能な構成となっている積載手段としての給紙カセット21を備えており、記録材10が複数枚積載される。給紙カセット21内に積載された記録材10は底板22の上に配置される。積載された記録材10を給紙する際には、底板22をセンサ101によって紙面を検知するまで上昇させる。センサ101により、紙面が検知されると給紙ローラ31によって記録材10を一枚ずつ給紙する。給紙された記録材10は、搬送ローラ32、33によって搬送される。センサ102は、記録材10の搬送状態を検知するためのセンサである。
【0011】
搬送ローラによって記録材10は、画像形成部へと搬送される。画像形成部は、感光ドラム、現像ローラ、帯電ローラ、スキャナ部等からなる。まず、感光ドラムは帯電ローラにより一様に帯電される。続いて、スキャナ部により露光され、潜像が形成される。形成された潜像を現像ローラにより現像を行い、感光ドラム上にトナー像が形成される。形成されたトナー像は、転写ローラにより記録材10上に転写される。トナー像が転写された記録材10は、定着部に搬送される。定着部は、加熱ローラと加圧ローラにより記録材10に転写されたトナー像を定着させる。トナー像が定着された記録材10は、機外に排出される。
【0012】
図2は、画像形成装置のシステム構成の一例を説明するためのブロック図である。CPU200は画像形成装置1又は給紙装置2に搭載され、画像形成装置1及び給紙装置2の動作制御を行う。CPU200は、制御機能としての過積載判断部211、給紙部下降量調整部212、表示手段としての表示制御部213を備えている。CPU200は、センサ部100、駆動部201、表示部202と接続されている。センサ部100は、給紙装置2に配置されているセンサ101及びセンサ102を含む。センサ101は、上述した通り給紙カセット21に積載された記録材10の紙面を検知するセンサであり、紙面の状態をCPU200に送信する。センサ101は、紙面を検知しているとON、紙面を検知していないとOFFとなる。センサ102は、搬送ローラ33によって記録材が搬送された後に記録材の有無を検知し、CPU200に送信する。記録材を検知しているとON、記録材を検知していないとOFFとなる。
【0013】
駆動部201は、給紙ローラ31、搬送ローラ32、搬送ローラ33、及び後述する図3のギア30を含み、CPU200から入力される駆動データに基づいて、各駆動部分を複数の駆動源によって制御する。過積載判断部211は、電源ON時やスリープ復帰時に給紙部42を通常の給紙時よりも所定量だけ多く下降した後、センサ101の状態を確認し、過積載状態かどうかを判断する。給紙部下降量調整部212は、給紙部42を下降する際にその下降量を調整する。表示制御部213は、過積載判断部211の判断結果を基に、過積載である場合に表示部202に給紙カセット21が過積載状態であることを表示させる。
【0014】
図3は、給紙装置に備えられた給紙機構の概略構成図である。なお、記録材10、給紙ローラ31、底板22、センサ101は図1と同様のものである。ギア30はラックピニオン41を上下に駆動するためのもので、図示しないステッピングモータの駆動により回転する。ステッピングモータの回転方向を、正転と反転を切り替えることで、ラックピニオン41の上方向の駆動と下方向の駆動を切り替える。給紙部42、及び給紙部42に接続された給紙ローラ31は、ラックピニオン41の上下の駆動に応じて上下に移動する。
【0015】
図3(a)は、給紙を行う前の状態である。給紙を行う前は、給紙ローラ31は記録材10の紙面位置よりも高い位置H1にある。図3(b)は、給紙を行う状態である。給紙を行う際は、ギア30を回転させ、給紙ローラ31が記録材10の紙面に接するまでラックピニオン41と給紙部42を下降させる。その後、図示しないギア30のステッピングモータとは別駆動源のモータによって、給紙ローラ31を回転させて、記録材10を1枚ずつ給紙する。給紙終了後は、ステッピングモータの回転方向を逆方向に切り替え、ギア30を逆方向に回転させてラックピニオン41と給紙部42を上昇し、給紙ローラ31をH1の位置に戻す。
【0016】
図3(c)は、過積載検知を行う状態である。後述する過積載検知を行う際は、図3(b)のように給紙ローラ31が記録材10の紙面に接した状態から、ラックピニオン41と給紙部42をさらに所定量だけ下降させる。下降させた後、センサ101の状態を確認し、過積載かどうかを判断する。つまり、給紙部42により記録材10を押圧した際のセンサ101の検知結果により、過積載であるか否かの判断を行う。具体的には、センサ101がONのままであれば過積載である、OFFになれば過積載でないと判断する。この時、トルクリミッター40によって所定量以上下降させないように下降量を制限する。過積載検知については、次の図4を用いて詳しく説明する。
【0017】
図4は、過積載検知の方法を示すフローチャートである。なお、ここでは一例として、給紙カセット21が閉まっていることを検知した後、給紙動作を行う前に過積載検知を行うこととする。S101において、CPU200はセンサ101がONであるかを確認する。センサ101がOFFとなり、記録材10の紙面を検知していない場合、S110において、CPU200は底板22のリフトアップを開始し、記録材10の紙面位置を給紙が可能な位置H3にする。S107において、CPU200は給紙カセット21が給紙可能であることを報知する。
【0018】
センサ101がONとなり、記録材10の紙面を検知している場合、S102において、CPU200は画像形成装置1が電源ON時であるか、又はスリープ復帰時であるかを判断する。画像形成装置1が電源ON時やスリープ復帰時で無い場合、リフトアップを実施していないにも関わらずセンサ101がONであるため、S108において、CPU200は過積載状態であると判断する。そして、S106において、CPU200は給紙部42を上昇させる。その後、S109において、CPU200は給紙カセット21が給紙禁止であることを報知する。
【0019】
画像形成装置1が電源ON時、又はスリープ復帰時の場合、過積載かどうかを判断するために、S103において、CPU200は給紙部42を下降させる。図3(b)に示すように、通常の給紙時は給紙部42を給紙ローラ31が記録材10の紙面に接する位置まで下降させる。これに対し、過積載を検知する際には、図3(c)に示すように、通常の給紙時よりも更にラックピニオン41を下降し、給紙部42を下降させる。この時、図3(b)のH2を記録材10が給紙可能な紙面上限位置、H3を底板22が上昇した際にセンサ101が記録材10の紙面を検知する位置とする。過積載検知時に下降する量は、通常の給紙時に対してH2とH3の差分だけ多く記録材10の紙面位置を押し下げる。図3(c)は、位置H2から位置H3の差分として、記録材10の紙面位置H3を位置H4まで押し下げたものである。記録材10の紙面位置を押し下げる力の制限は、トルクリミッター40によって行い、位置H3から位置H4よりも押し下げないようにする。
【0020】
給紙部42を下降した後、S104において、CPU200はセンサ101がOFFになったかどうかを確認する。センサ101がONとなり、記録材10の紙面を検知している場合、紙面位置を押し下げてもセンサ101がOFFとならないため、S108において、CPU200は過積載状態であると判断する。そして、S106において、CPU200は給紙部42を上昇させる。その後、S109において、CPU200は給紙カセット21が給紙禁止であることを報知する。
【0021】
センサ101がOFFとなり、記録材10の紙面を検知していない場合、S105において、CPU200は給紙可能な紙面位置であると判断する。そして、S106において、CPU200は給紙部42を上昇させる。その後、S107において、CPU200は給紙カセット21が給紙可能であることを報知する。なお、S103で過積載検知時に給紙部42を下降する際、センサ101がOFFとなり紙面を検知しなくなると、即座に給紙部42の下降を停止するような制御にしても良い。
【0022】
このように、画像形成装置1が電源ON時やスリープ復帰時にセンサ101がONとなったときに記録材10の紙面を検知している場合がある。そのときに、給紙動作を開始する前に、給紙部42を所定量下降してセンサ101の状態を確認する。そして、センサ101がONのままである場合は過積載状態である、センサ101がOFFになった場合は給紙可能な状態であると判断することで、過積載状態にも関わらず給紙動作を開始してしまうことを防止できる。よって、紙面位置を検知する紙面検知手段が一つの給紙装置においても、紙面検知手段を用いて記録材が過積載状態であるかどうかを精度良く判別することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 画像形成装置
2 給紙装置
10 記録材
21 給紙カセット
22 底板
41 ラックピニオン
42 給紙部
101 センサ
200 CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を積載する積載手段と、
前記積載手段に積載された記録材を給紙する給紙手段と、
前記積載手段に積載された記録材を検知する検知手段と、
前記給紙手段を移動させる駆動手段と、
前記検知手段により記録材があると検知された後、前記駆動手段により前記給紙手段を移動させて、前記積載手段に積載されている記録材を押圧し、再び前記検知手段により記録材を検知した検知結果に応じて、記録材の積載状態を判別する制御手段と、を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記制御手段は、再び前記検知手段により記録材を検知した結果、記録材があると検知されると記録材が過積載であると判断し、記録材がないと検知されると過積載でないと判断することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記制御手段は、記録材が過積載でないと判断すると、前記給紙手段により記録材の給紙を行うことを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記制御手段は、記録材が過積載であると判断すると、前記給紙手段による記録材の給紙を禁止することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記給紙手段に積載されている記録材の状態を表示する表示手段を備え、
前記制御手段は、前記給紙手段に積載された記録材の積載状態を判別した結果を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記制御手段は、電源ON時やスリープ復帰時に前記検知手段による検知を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
画像を形成する画像形成手段と、
記録材を積載する積載手段と、
前記積載手段に積載された記録材を給紙する給紙手段と、
前記積載手段に積載された記録材を検知する検知手段と、
前記給紙手段を移動させる駆動手段と、
前記検知手段により記録材があると検知された後、前記駆動手段により前記給紙手段を移動させて、前記積載手段に積載されている記録材を押圧し、再び前記検知手段により記録材を検知した検知結果に応じて、記録材の積載状態を判別し、給紙可能であれば、前記画像形成手段に記録材を給紙する制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229077(P2012−229077A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97437(P2011−97437)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】