説明

給茶機

【課題】災害などによる停電および断水時にも、湯タンク内の湯水を注出でき、比較的大量の湯水の確保に役立つことができる給茶機を提供する。
【解決手段】商用交流電源を所定の電源に変換して供給する第1の電源回路51とともに、二次電池52およびこの二次電池52を第1の電源回路51からの電源で充電する充電回路53を有する第2の電源回路54を設ける。湯タンク内の湯水を注出させるために、商用交流電源で動作する第1の注出電磁弁とともに、第2の電源回路54からの電源で動作する第2の注出電磁弁41を設ける。第1の電源回路51からの電源および第2の電源回路54からの電源のいずれでも制御部55が動作する。第1の電源回路51からの電源供給時には、第1の注出電磁弁を開いて湯タンク内の湯水を注出させる。第1の電源回路51からの電源供給停止時には、第2の注出電磁弁41を開いて湯タンク内の湯水を注出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯タンクを備えた給茶機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事務所などに設置される給茶機は、湯タンクに給水された水をヒータで所定温度に沸き上げて貯湯し、お茶または湯の注出操作により、湯タンクに接続された注出経路の電磁弁を開き、湯タンク内の湯を注出させている。
【0003】
このような給茶機は、商用交流電源にて動作するため、停電時や、夜間の節電のためのブレーカのオフによる電源オフ期間中などには、貯湯タンク内の湯水を注出させることができなかった。
【0004】
また、家庭用の電気ポットでは、二次電池を備えたものがあり、電源コードと接続して商用交流電源にてヒータによる湯の沸き上げおよび電動ポンプによる湯の注出を可能とするとともに二次電池を充電し、電源コードから外して持ち運んだ場所において二次電池の電源で湯を保温したり電動ポンプを動作させて湯を注出させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−99199号公報(第4−7頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給茶機の湯タンクは比較的容量が大きく、この湯タンク内には常に一定の湯量を保つように湯水を注出しても自動的に給水されるため、比較的大量の湯水が常に貯留されている。
【0006】
しかし、給茶機は、商用交流電源にて動作するため、停電時や、夜間の節電のためのブレーカのオフによる電源オフ期間中には、湯タンク内の湯水を注出させることができなかった。そのため、例えば災害などによる停電および断水時において、給茶機の湯タンク内に比較的大量の湯水が貯湯されているにもかかわらず注出することができず、水の確保に役立たなかった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、例えば災害などによる停電および断水時にも、湯タンク内の湯水を注出でき、比較的大量の湯水の確保に役立つことができる給茶機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の給茶機は、湯水を貯留する湯タンクと、この湯タンクからの湯水の注出を指示する操作部と、商用交流電源を所定の電源に変換して供給する第1の電源回路と、前記商用交流電源で動作可能とし、前記湯タンク内の湯水を注出させる第1の注出駆動部と、二次電池、およびこの二次電池を前記第1の電源回路からの電源で充電する充電回路を有する第2の電源回路と、この第2の電源回路からの電源で動作可能とし、前記湯タンク内の湯水を注出させる第2の注出駆動部と、前記第1の電源回路からの電源および前記第2の電源回路からの電源のいずれでも動作し、前記第1の電源回路からの電源供給時には前記操作部の操作により前記第1の注出駆動部を制御し、前記第1の電源回路からの電源供給停止時には前記操作部の操作により前記第2の注出駆動部を制御する制御部とを具備しているものである。
【0009】
請求項2記載の給茶機は、請求項1記載の給茶機において、湯タンクの上部側に、第1の注出駆動部が設けられた第1の注出経路が接続され、湯タンクの下部側に、第2の注出駆動部が設けられた第2の注出経路が接続されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の給茶機によれば、商用交流電源を利用する第1の電源回路からの電源および二次電池を利用する第2の電源回路からの電源のいずれでも制御部が動作し、第1の電源回路から電源が供給されている通常時には、操作部の操作により第1の注出駆動部を制御して湯タンク内の湯水を注出でき、また、第1の電源回路からの電源供給停止時には操作部の操作により第2の注出駆動部を制御して湯タンク内の湯水を注出でき、例えば災害などによる停電および断水時にも、湯タンク内の湯水を注出でき、比較的大量の湯水の確保に役立つことができる。
【0011】
請求項2記載の給茶機によれば、請求項1記載の給茶機の効果に加えて、通常時には湯タンクの上部側に接続された第1の注出経路から湯タンクの上部側の湯を注出でき、例えば災害などによる停電および断水時には湯タンクの下部側に接続された第2の注出経路から湯タンク内の湯水を確実に注出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図3に示すように、給茶機11は、給茶機本体12およびこの給茶機本体12の前面に開閉可能に設けられた扉体13を有し、置き台14上に載置されている。この給茶機11では、粉末状の原料と湯または冷水とを混合したお茶を注出するとともに、湯または冷水をダイレクトに注出可能とする。
【0014】
扉体13には注出口15が形成され、この注出口15の後方で給茶機本体12内に幅方向の3箇所をお茶の注出位置とする注出部16が形成されている。
【0015】
扉体13の前面には、注出口15の上方であって各注出位置の上方位置にお茶を注出させる種類別のセレクションボタン17が温飲料用と冷飲料用とに2つずつ配置されている。さらに、注出口15の上方であって最も右側の注出位置の上方位置に湯および冷水をダイレクトに注出させる操作部としてのセレクションボタン18が配置されている。これら各セレクションボタン17,18には、注出可能状態にあることを点灯表示したり注出中であることを点滅表示する例えばLEDなどで構成されたボタンランプ19が設けられている。
【0016】
扉体13の背面には、給茶機11を制御するコントローラ20が設置され、このコントローラ20には設定用の表示部21および設定部22が設けられている。また、扉体13の背面には、運転、断水、排水などの給茶機11の状態を表示する例えばLEDを用いた状態表示ユニット23が配置されている。
【0017】
給茶機本体12内には、注出部16の各注出位置の上方に飲料の原料と湯または冷水とを攪拌混合するミキシングボールが配置されている。各ミキシングボール内には飲料を攪拌する攪拌羽根が回転自在に配置され、各ミキシングボールの上方に攪拌羽根を回転駆動するミキシングモータが配設されている。さらに、給茶機本体12内には、各ミキシングボールに原料を供給する原料モータを備えた原料供給部、各ミキシングボールや右側の注出位置に湯を供給する湯供給部、各ミキシングボールや右側の注出位置に冷水を供給する冷水供給部などが配設されている。冷水供給部は、コンプレッサを用いた冷却回路により冷却槽内の冷却水を冷却し、この冷却水中に配置した配管内に水を通して冷水とし、冷水用電磁弁を開くことによって冷水を供給する。
【0018】
図2に示すように、湯供給部31は、湯を貯湯する湯タンク32を備え、この湯タンク32の下部には湯タンク32内に水を給水する給水路33が接続され、この給水路33には給水電磁弁34が配設されている。湯タンク32の上部には水位を検知する水位検知手段35が配設されている。そして、水位検知手段35の検知に基づいて湯タンク32の水位が一定になるように、コントローラ20によって給水電磁弁34が開閉制御される。
【0019】
湯タンク32内には給水された水を所定温度の湯に沸き上げるヒータ36が配設されている。湯タンク32には湯温を検知する温度センサ37が配設されている。そして、温度センサ37の検知に基づいて湯タンク32内の少なくとも上部側の湯温が予め設定された沸き上がり温度となるように、コントローラ20によってヒータ36の通電が制御される。
【0020】
湯タンク32の側面の上部側にはこの湯タンク32の上部側の湯を各ミキシングボールや右側の注出位置に供給する複数の第1の注出経路38が接続され、これら第1の注出経路38に第1の注出駆動部としてのAC電源で動作する第1の注出電磁弁39がそれぞれ設けられている。さらに、湯タンク32の側面の下部側にはこの湯タンク32内の湯水を右側の注出位置に供給する第2の注出経路40が接続され、この第2の注出経路40に第2の注出駆動部としてのDC電源で動作する第2の注出電磁弁41が設けられている。
【0021】
図1は、給茶機11のブロック図を示す。
【0022】
コントローラ20は、商用交流電源(AC100V電源)が供給されて所定の電圧の電源に変換する第1の電源回路51、鉛電池、リチウムイオン電池、SCiB(商品名)などの二次電池52およびこの二次電池52を第1の電源回路51からの電源で充電する充電回路53を有する第2の電源回路54を備えるとともに、これら第1の電源回路51および第2の電源回路54のいずれでも動作可能とするマイクロコンピュータである制御部55を備えている。
【0023】
制御部55により、トランジスタやリレーなどを含むドライブ回路56を通じて出力負荷57および第2の注出電磁弁41を制御し、入力インターフェース回路58を通じて入力手段59から信号を入力する。
【0024】
出力負荷57には、原料モータ、ミキシングモータ、給水電磁弁34、第1の注出電磁弁39、コンプレッサ、冷水用電磁弁、ボタンランプ19、表示部21、状態表示ユニット23などが含まれる。また、入力手段59には、セレクションボタン17,18、温度センサ37、注出する湯や冷水の流量を検知する流量センサ、設定部22などが含まれる。
【0025】
そして、制御部55は、第1の電源回路51からの電源および第2の電源回路54からの電源のいずれでも動作し、第1の電源回路51からの電源供給時にはセレクションボタン17,18の操作により第1の注出電磁弁39を制御し、第1の電源回路51からの電源供給停止時にはセレクションボタン18の操作により第2の注出電磁弁41を制御する機能を有している。
【0026】
次に、給茶機11の動作を説明する。
【0027】
商用交流電源が供給されている場合には、第1の電源回路51からの電源でコントローラ20が動作し、湯タンク32内の湯の沸き上げや冷却槽の冷却水の冷却など、所定の注出準備が完了した後に、お茶などの飲料の注出が可能となる。
【0028】
温かいお茶のセレクションボタン17が操作された場合、対応する第1の注出電磁弁39が開き、湯タンク32内の上部側の湯を第1の注出経路38を通じてミキシングボールに供給し、このミキシングボールで湯と原料とを攪拌混合し、調合したお茶を注出部16に注出する。さらに、湯注出用のセレクションボタン18が操作された場合、対応する第1の注出電磁弁39が開き、湯タンク32内の上部側の湯を第1の注出経路38を通じて注出部16の右側の注出位置にダイレクトに注出する。
【0029】
商用交流電源が供給されている場合には、充電回路53により第1の電源回路51からの電源で二次電池52を充電している。
【0030】
湯タンク32内の水位が低下したら、一定の湯量を保つように給水電磁弁34を開いて自動的に給水し、また、湯タンク32内の温度が低下したら、一定の湯温を保つようにヒータ36で沸き上げる。
【0031】
また、例えば、停電や、夜間の節電のためのブレーカのオフによる電源オフ期間中など、商用交流電源が供給されていない場合でも、第2の電源回路54からの電源でコントローラ20が動作し、湯タンク32内の湯水を注出できる。なお、この湯タンク32内の湯水とは、商用交流電源の供給停止直後であれは比較的高温の湯であり、また時間が経過していれば放熱によって温度低下した常温の水の場合も含む。
【0032】
この場合、湯注出用のセレクションボタン18のみ操作を受付可能とする。その湯注出用のセレクションボタン18のボタンランプ19を点灯させてもよく、給茶機11から湯水を注出可能であること、およびどこを操作すればよいのかを明確に表示できる。
【0033】
そして、湯注出用のセレクションボタン18が操作された場合、第2の注出電磁弁41が開き、湯タンク32の下部側から湯水を第2の注出経路40を通じて注出部16の右側の注出位置にダイレクトに注出できる。
【0034】
また、例えば、災害などにより停電に加えて断水となった場合においても、第2の電源回路54からの電源でコントローラ20が動作し、湯タンク32内に貯留されている湯水を注出し、飲料水として利用できる。そのため、比較的容量の大きい給茶機11の湯タンク32に貯留された比較的大量(機種によっては20リットル以上)の湯水を確保することができる。
【0035】
また、仮に、湯タンク32の上部側に接続される第1の注出経路38および第1の注出電磁弁39を通常時と停電および断水時とで共用する場合、停電および断水時には第1の注出経路38が接続された箇所より貯湯タンク32の上部側の一部の湯水しか注出できないが、この湯タンク32の上部側に接続された第1の注出経路38とは別に、湯タンク32の下部側に接続される第2の注出経路40および第2の注出電磁弁41を設けているため、湯タンク32内の湯水の大部分を注出することができ、比較的大量の湯水を確保するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態を示す給茶機のブロック図である。
【図2】同上給茶機の湯タンクの説明図である。
【図3】同上給茶機の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
11 給茶機
18 操作部としてのセレクションボタン
32 湯タンク
38 第1の注出経路
39 第1の注出駆動部としての第1の注出電磁弁
40 第2の注出経路
41 第2の注出駆動部としての第2の注出電磁弁
51 第1の電源回路
52 二次電池
53 充電回路
54 第2の電源回路
55 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯留する湯タンクと、
この湯タンクからの湯水の注出を指示する操作部と、
商用交流電源を所定の電源に変換して供給する第1の電源回路と、
前記商用交流電源で動作可能とし、前記湯タンク内の湯水を注出させる第1の注出駆動部と、
二次電池、およびこの二次電池を前記第1の電源回路からの電源で充電する充電回路を有する第2の電源回路と、
この第2の電源回路からの電源で動作可能とし、前記湯タンク内の湯水を注出させる第2の注出駆動部と、
前記第1の電源回路からの電源および前記第2の電源回路からの電源のいずれでも動作し、前記第1の電源回路からの電源供給時には前記操作部の操作により前記第1の注出駆動部を制御し、前記第1の電源回路からの電源供給停止時には前記操作部の操作により前記第2の注出駆動部を制御する制御部と
を具備していることを特徴とする給茶機。
【請求項2】
湯タンクの上部側に、第1の注出駆動部が設けられた第1の注出経路が接続され、
湯タンクの下部側に、第2の注出駆動部が設けられた第2の注出経路が接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の給茶機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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