説明

給袋自動包装機

【課題】袋を充填位置からシール位置へ移送する新たな機構を採用すると共にガス充填包装を可能とし、小型化・省スペース化を図る給袋自動包装機を提供すること。
【解決手段】袋を充填位置に供給する給袋手段10と、袋(h)を吊り下げ状に支持するグリップを充填位置(a)とシール位置(b)との間で移動自在に設けた移送手段30と、その袋に所定量の被包装物を充填する充填手段65と、被包装物が充填された袋の開口部をヒートシールするシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出する排出コンベア90を備えた自動包装機において、
移送手段30は、第1グリップ(g)を水平面上で四角形軌跡運動をさせる上方の四角形軌跡運動機構31と、第2グリップ(g′)を水平面上で四角形軌跡運動をさせる下方の四角形軌跡運動機構50とを近接させて配置していて、上方と下方の四角形軌跡運動機構による一連の動作を同期するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉等の粉体、豆類等の粒体若しくは固形物を袋詰めする給袋自動包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動包装装置として、マガジン内の袋又は同じ装置内で製作した袋を充填位置に供給する給袋手段と、袋口を上にして袋を支持するグリップを充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段と、グリップに支持された袋に計量機から放出される所定量の被包装物を充填する充填手段と、被包装物が充填された袋の開口部をヒートシールやミシン縫いを施すシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出するコンベアを備えたものなどが知られている。
【0003】
また、特許文献1に記載された「粉粒体包装装置」は、充填機とミシンの下方に設けたガイドフレームに可動台を移動可能に設け、可動台に上下方向に移動自在とした昇降板に受け板と当該受け板を傾斜させる傾斜手段を設け、受け板の上方に移動自在とされた押圧体の両端に挟持体を設け、ガイドフレームに沿って可動台を充填位置からミシン縫い位置まで往復移動させる移動手段を設けた概要構造とされている。
【0004】
本件出願人に係る「粉粒体及び固形物の包装装置」が特許文献2に記載されている。その包装装置は、フィルムから所定サイズの袋を製作する製袋機構と、製作された袋を解放可能に支持する第1グリップと第2グリップと配置すると共に第1グリップを開口位置と充填位置との間、第2グリップを充填位置とシール位置の間を進退させるように設けた移送機構と、袋に被包装物を充填する充填手段と、その充填時に第1グリップ若しくは第2グリップと共に袋を掴む副グリップ手段と、被包装物が充填された袋の開口部をシールするヒートシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出する搬出手段を備えた概要構造とされている。
【0005】
特許文献3に記載された「袋詰め包装装置」には、袋の開口部を挟持しつつシールを施すシール手段に、その挟持を解放させる動作を行なう上方の駆動手段を設け、シール時に袋の底側を支持すると共にシール終了後に被包装物が袋詰めされた製品を搬出のために傾動させる受け台機構に下方の駆動手段を設け、上方の駆動手段、下方の駆動手段をタイミングを異ならせて作動させることにより、製品を底側から搬出するか、前記シールを施した側から搬出するかを任意に切換えることができるようにした概要構造とされている。
【0006】
特許文献1の包装装置では、袋の側縁を挟持するクランプと袋の底部を乗せる受け板を備えた可動台を充填位置からミシン縫い位置まで移動させ、粉粒体が充填された袋の開口部をミシン縫いしてから受け片を傾斜させることによって当該袋が自重により機外に滑り落ちるようにされている。しかし、次の袋詰め作業は、先の袋が機外へ排出されて可動台がミシン縫い位置から元の充填位置に戻る一連の動作が終了するまで待機しなければならないことから、包装能力はさほど高くないと言えよう。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3の包装装置では、ロール状に巻かれたフィルムから所定サイズの袋を製作する製袋部、製袋部から水平姿勢で供給される袋を垂直姿勢とする反転機構を備えた形式の包装装置であり、特許文献1に開示されるように、別途製作された既製の袋を使用する給袋手段を備える形式の包装装置とは異なる構造とされている。また、特許文献2では、第1グリップによって挟持される袋が副グリップを介して第2グリップに受け渡すように設けられ、特許文献3においても、受け渡し部から計量・充填部へ移動するグリップ(受け渡し爪)によって挟持される袋を、計量・充填部からシール部との間を移動する別のグリップに受け渡すように設けられている。何れの装置においても袋を一方のグリップから他方のグリップへ受け渡し・掴み直すように構成されているため、グリップ同士の挟持や解放動作のタイミングがずれると袋の受け渡し動作に安定性を欠く。さらには、受け渡し動作が正常でなく袋が傾いた状態で挟持されている場合には、開口部に施されるシール位置がずれるなどの不具合が生ずる虞がある。
【0008】
また、従来のガス充填式包装機として、被包装物を袋に充填するロータリーテーブルと、被包装物が充填された袋を受けとって当該袋に不活性ガスを注入して開口部をシールするロータリーテーブルとを連装した構造のものが特許文献4等により知られているが、装置全体が大形で複雑な構造とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−40901号公報
【特許文献2】特開平8−133212号公報
【特許文献3】特開2008−56255号公報
【特許文献4】特公昭58−52890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、袋を充填位置からシール位置へ移送する新たな機構を採用すると共にガス充填包装を可能とし、小型化・省スペース化を図る給袋自動包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、袋を充填位置に供給する給袋手段と、開口部を上にして袋を吊り下げ状に支持するグリップを充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段と、そのグリップに支持された袋に所定量の被包装物を充填する充填手段と、その被包装物が充填された袋の開口部をシールするシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出する搬出手段を備えた自動包装機において、
前記移送手段は、前記袋を解放可能に支持するように設けられた第1グリップが前記充填位置から右又は左方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から所定距離だけ後方へ移動した退避位置と、その退避位置から左又は右方向へ移動した待機位置と、その待機位置から元の充填位置に戻るように設けられた上方の四角形軌跡運動機構と、
前記袋を解放可能に支持するように設けられた第2グリップが前記退避位置から左又は右方向へ移動した前記待機位置と、その待機位置から所定距離だけ前方へ移動した前記充填位置と、その充填位置から右又は左方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から元の退避位置に戻るように設けられた下方の四角形軌跡運動機構とを近接させて配置すると共に、上方の四角形軌跡運動機構を作動させる上方の駆動手段及び下方の四角形軌跡運動機構を作動させる下方の駆動手段を設け、上方と下方の四角形軌跡運動機構による一連の動作が同期するように上方の駆動手段及び下方の駆動手段を駆動制御するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の給袋自動包装機において、前記被包装物が充填される袋の底部を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられた底上げ装置が、前記充填位置及び/又はシール位置に設置されていることを特徴とするものである。
【0013】
被包装物が充填されるときに袋の底部を底上げ装置によって押し上げて支持することにより、袋内に被包装物を円滑に充填することができる。また、充填作業時に袋の底部に底上げ装置によって振動を付与することにより、被包装物は袋内で落ち着いて嵩張らない。他方、袋の開口部をシール(ヒートシール)する場合に、袋の底部を底上げ装置によって押し上げて支持することにより、シールの熱作用による袋の伸びが抑制されて良好な品質のシールを施すことができる。
【0014】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の給袋自動包装機において、前記シール位置において、被包装物が充填された袋内に不活性ガスを注入するガス充填装置を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
袋の開口部をシールする直前において、ガス充填装置のノズルを袋内に挿入して当該ノズルから窒素等の不活性ガスを注入することにより、袋内の空気が駆逐されて不活性ガスを当該袋内に充満させる公知のガス置換作用が施される。ついで、袋の開口部にシールが施されて不活性ガスを閉じ込められるので、被包装物の酸化防止処理がなされたことになる。
【0016】
同様の目的を達成するために請求項4に記載した発明は、請求項1から3の何れかに記載の給袋自動包装機において、前記搬出手段としての排出コンベア上に向けて前記製品を押し出すプッシャーを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
袋詰めされた製品は、第2グリップから解放されるとほぼ同時にプッシャーの作動により排出コンベア上に向けて押し出される。これにより、製品は円滑に排出コンベア上に載せられて機外へ排出される。
【0018】
同様の目的を達成するために請求項5に記載した発明は、請求項1から4の何れかに記載の給袋自動包装機において、前記被包装物が、粉体、粒体若しくは固形物であることを特徴とするものである。
【0019】
この給袋自動包装機における被包装物の対象としては、小麦粉、パン粉等の粉体、豆類等の粒体若しくは固形物であり、内容量として2kg〜最大で10kg程度の袋詰めに適する。
【発明の効果】
【0020】
(請求項1の発明)
この給袋自動包装機は、上方と下方の四角形軌跡運動機構とからなる新たな四角形軌跡運動機構を採用し各々の機構に夫々設けられたグリップによって交互に支持される袋を充填位置からシール位置まで移送するように構成しており、一方のグリップから他方のグリップへ受け渡し・掴み直す動作が存在しなく、袋を1つのグリップによって安定して移送することができると共に袋の姿勢がシール処理されるまで変わらないため良好なシール品質が得られる。加えて、充填作業とシール処理を2つの工程で行なうことができるため、装置の小型化・省スペース化を図ることができる。さらには、従来のロータリー方式のガス充填包装装置が大形であるのに比べて、小型にもかかわらずガス充填包装を行うことができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る給袋自動包装機の側面図
【図2】同、平面図
【図3】給袋手段の説明図
【図4】移送手段における四角形軌跡運動機構の説明図
【図5】移送手段の正面図
【図6】移送手段の側面図
【図7】上方の四角形軌跡運動機構の説明図
【図8】下方の四角形軌跡運動機構の説明図
【図9】ガス充填装置の説明図
【図10】本発明に係る給袋自動包装機のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0023】
本発明に係る給袋自動包装機Pの概要は、袋(h)を充填位置に待機する第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)に供給する給袋手段10と、開口部(i)を上にして袋(h)を吊り下げ状に支持する第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)を充填位置(a)とシール位置(b)との間で移動自在に設けた移送手段30と、第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)に支持された袋に所定量の被包装物を充填する充填手段65と、被包装物が充填される袋(h)の底部(k)を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられた底上げ装置70と、被包装物が充填された袋内に不活性ガスを注入するガス充填装置75と、被包装物が充填された袋(h)の開口部(i)をシールするシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出する搬出手段としての排出コンベア90とから構成されている。以下に、上記各手段について詳しく述べる。
【0024】
なお、この給袋自動包装機Pでは、被包装物として粉体、粒体若しくは固形物を対象とし、この実施例においては、幅400mm、長さ650mmの大きさの袋に4kgの小麦粉、パン粉等を毎分10袋の割合で袋詰めを行なう。
【0025】
(給袋手段)
図3において、給袋手段10は、包装機Pのベッド1の正面側に付設されたボックス形態の架台11上に多数の袋(h)を重ねて収納可能なマガジン12を昇降制御自在に設け、マガジン12の一端側にメクリレバー14が図示しないアクチュエータの作動により所定角度を揺動自在に設けられている。メクリレバー14の先端には、マガジン12内に積み重ねられる袋(h)の開口部(i)近くの部位を図示しない真空ポンプによる真空吸引作用によって吸着する一対の吸盤15を取り付けている。18は架台11上に立設されたスタンド17に、アクチュエータ(図示せず)により上下方向に所定角度を回動自在に設けられた回転軸である。回転軸18に固定されたホルダー19には、供給アーム22の前進後退自在に設けたシャフト21を摺動可能に設けている。供給アーム22は、メクリレバー14により持ち上げられる袋(h)を先端に備えた一対の吸盤23で吸着して受け取って当該袋が縦姿勢状態となる上限位置(up)まで回動し、ついで、空圧シリンダ20の作動によりシャフト21が前進移動することにより袋(h)を前方の充填位置(a)まで移送するように設けられている。
【0026】
なお、上記マガジン12は公知の給袋装置と同様に、メクリレバー14による吸着動作を円滑に行なうように収納される袋の消費により減ずる高さを自動的に補正制御する構成とされている。
【0027】
充填位置(a)には、図3に示すように、供給アーム22により供給される袋(h)を図示しない真空ポンプによる真空吸引作用によって前側(正面側)の吸盤26と後側(背面側)の吸盤27によって掴むと共に当該袋(h)が後記第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)により側縁(j)を挟持された後に開口部(i)を開ける袋ツカミ・開口手段25が設けられている。
【0028】
(移送手段)
移送手段30は、図5に示すように、上方の四角形軌跡運動機構31と下方の四角形軌跡運動機構50とを重ねるように近接させて配置し、図4に示すように、
上方の四角形軌跡運動機構31において、袋を解放可能に支持する第1グリップ(g)を充填位置(a)から右(又は左)方向へ移動したシール位置(b)と、シール位置(b)から所定距離だけ後方へ移動した退避位置(c)と、退避位置(c)から左(又は右)方向へ移動した待機位置(d)と、待機位置(d)から元の充填位置(a)に戻るように設け、
下方の四角形軌跡運動機構50において、袋を解放可能に支持する第2グリップ(g′)を退避位置(c)から左(又は右)方向へ移動した待機位置(d)と、待機位置(d)から所定距離だけ前方へ移動した充填位置(a)と、充填位置(a)から右(又は左)方向へ移動したシール位置(b)と、シール位置(b)から元の退避位置(c)に戻るように設け、
上方と下方の四角形軌跡運動機構による一連の動作が同期するように、上方の四角形軌跡運動機構31を作動させる上方の駆動手段と下方の四角形軌跡運動機構50を作動させる下方の駆動手段を駆動制御する構造とされている。
以下に、この移送手段30の具体的構成について詳しく述べる。
【0029】
第1グリップ(g)と第2グリップ(g′)とは同一構成としていることから、第1グリップ(g)の構成について説明し、第2グリップ(g′)については第1グリップ(g)と同じ符号を図面に付して説明を省く。
【0030】
図4、図7において、第1グリップ(g)は、左右移送ベース32の前端部に適宜間隔を置いてほぼV字形の左右一対のレバー33を水平方向で回動可能に設け、一方の内方に延びるレバー片33aの先端部同士をリンク34によって連結している。そして、外側のレバー片33b同士は引張りバネ35により連結されていて、互いに内方へ回動する向きに常に付勢されるように設けられている。また、各レバー片33bには前方に延びる支持杆36の一端を固定し、その支持杆36の他端である先端に取り付けられたグリップ片37を当該支持杆36に設けた小型空圧シリンダ38によって開閉作動させることにより袋(h)を解放可能に支持するように設けている。
【0031】
なお、第1グリップ(g)のグリップ片37同士の間隔については、本件出願人に係る自動包装機に採用されている公知のグリップの構造と同様に、袋(h)の開口部(i)を開けるときには狭くし、袋(h)の開口部(i)をシールするときには広くして開口部(i)を適度に緊張させるように固定カムとレバー機構(図示せず)によって制御されるように設けられている。
【0032】
(上方の四角形軌跡運動機構)
図5〜図7において、上方の四角形軌跡運動機構31は、上方のフレーム2の下面に、正面から見て左右に適宜間隔を置いて前後移送ガイド41,41を取付け、それら前後移送ガイド41,41に夫々摺動可能に装着されたスライダー42,42に平板状の前後移送ベース43を固定している。前後移送ベース43の下面前方には、2個一組の長尺の左右移送ガイド44を平行に取付け、それら左右移送ガイド44に夫々摺動可能に装着されたスライダー45に前記左右移送ベース32が固定されている。
【0033】
また、上記フレーム2の下面後方には長尺の左右駆動ガイド46を取付け、その左右駆動ガイド46に摺動可能に装着されたスライダー47に左右駆動ベース48が固定されている。左右駆動ベース48の前端にはカムフォロア48aを取り付け、そのカムフォロア48aが左右移送ベース32の前後方向に形成された長穴32aに遊嵌されている。
【0034】
前後移送ベース43は、上方の駆動手段としての空圧シリンダ(図示せず)の作動によって進退自在に設けられ、このベース43と一緒に第1グリップ(g)も進退動作をするように設けられている。また、左右駆動ベース48は、例えば、その一部をエンドレス状のタイミングベルト49に固定し、上方の駆動手段としてのサーボモータ装置(図示せず)によりタイミングベルト49を回転駆動することによって左右方向に移動自在に設けられ、このベース48と一緒に第1グリップ(g)も移動動作をするように設けられている。
【0035】
これにより、サーボモータ装置の駆動により左右駆動ベース48を右方向へ移動させることにより充填位置(a)を原位置とする第1グリップ(g)がシール位置(b)へ移動し、空圧シリンダの作動によってシール位置(b)から後方の退避位置(c)へ移動し、ついで、サーボモータ装置の駆動により左右駆動ベース48を左方向へ移動させることにより退避位置(c)にある第1グリップ(g)を待機位置(d)へ移動させ、空圧シリンダの作動によって待機位置(d)にある第1グリップ(g)を元の充填位置(a)に戻らせる一連の四角形軌跡運動を行なう上方の四角形軌跡運動機構31が構成される。
【0036】
(下方の四角形軌跡運動機構)
図5、図6、図8において、下方の四角形軌跡運動機構50は、上方のフレーム2から所定間隔を置いて下方に配置された中間フレーム3の上面に、正面から見て左右に適宜間隔を置いて前後移送ガイド51,51を取付け、それら前後移送ガイド51,51に夫々摺動可能に装着されたスライダー52,52に平板状の前後移送ベース53を固定している。前後移送ベース53の上面前方には、2個一組の長尺の左右移送ガイド54を平行に設け、それら左右移送ガイド54に夫々摺動可能に装着されたスライダー55に、上述した上方の四角形軌跡運動機構31における左右移送ベース32をそのまま流用する左右移送ベース32が固定されている。
【0037】
上記フレーム3の上面後方には長尺の左右駆動ガイド56を取付け、その左右駆動ガイド56に摺動可能に装着されたスライダー57に左右駆動ベース58が固定されている。左右駆動ベース58の前端にはカムフォロア58aを取り付け、そのカムフォロア58aが左右移送ベース32の前後方向に形成された長穴32aに遊嵌されている。
【0038】
前後移送ベース53は、下方の駆動手段としての空圧シリンダ(図示せず)の作動によって進退自在に設けられ、このベース53と一緒に第2グリップ(g′)も進退動作をするように設けられている。また、左右駆動ベース58は、上方の四角形軌跡運動機構31における左右駆動ベース48と同様に、その一部をタイミングベルト59に固定し、下方の駆動手段としてのサーボモータ装置(図示せず)によりタイミングベルト59を回転駆動することによって左右方向に移動自在に設けられ、このベース48と一緒に第2グリップ(g′)も移動動作をするように設けられている。
【0039】
これにより、サーボモータ装置の駆動により左右駆動ベース58を左方向へ移動させることにより後方の退避位置(c)を原位置とする第2グリップ(g′)が待機位置(d)へ移動し、空圧シリンダの作動によって待機位置(d)から前方の充填位置(a)へ移動し、ついで、サーボモータ装置の駆動により左右駆動ベース58を右方向へ移動させることにより充填位置(a)にある第2グリップ(g′)がシール位置(b)へ移動し、空圧シリンダの作動によってシール位置(b)にある第2グリップ(g′)を元の退避位置(c)に戻らせる一連の四角形軌跡運動を行なう下方の四角形軌跡運動機構50が構成される。
【0040】
しかして、給袋手段10の袋ツカミ・開口手段25により掴まれた袋を第1グリップ(g)によって支持し、その第1グリップ(g)を充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動させ(上方の四角形軌跡運動機構31)、これらの動作と同期して第2グリップ(g′)を退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動させ、袋ツカミ・開口手段25により掴まれた袋を第2グリップ(g′)により支持し、その第2グリップ(g′)を充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)へ移動させる(下方の四角形軌跡運動機構50)、一連の動作をモータ装置及び空圧シリンダを駆動制御して行なわせる移送手段30が構成される。
【0041】
上記充填位置(a)には、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)により支持される袋(h)の開口部(i)に昇降制御される漏斗66の放出口を挿入して当該袋に所定量の被包装物を充填し、充填終了後に漏斗66を袋(h)から抜去する一連の充填動作を行なう公知構造の充填手段65が設けられている。
【0042】
充填手段65には、一般的な計量装置が付帯して設置される。その計量装置では、所定量の、ここでは4kgの小麦粉或いはパン粉をホッパー(図示せず)から充填手段の漏斗66内に適時に放出するように構成されている。
【0043】
(底上げ装置)
底上げ装置70は、前記充填位置(a)及びシール位置(b)に設置されており、空圧シリンダ或いは電動モータを駆動源とする昇降機構(図示せず)により上下方向に移動制御される受け板71によって被包装物が充填される袋(h)の底部(k)を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられている。図10のタイムチャートに示すように、底上げ装置70では、漏斗65が下降して充填作業が行なわれる場合、及び袋(h)の開口部(i)にヒートシールを施す場合には、袋(h)の底部(k)を受け板71によって支持するように制御される。
【0044】
(ガス充填装置)
ガス充填装置75は、シール位置(b)に設置されている。図9に示すように、ベッド1上に設置されたスタンド76に縦向きのロッド77を図示しない駆動機構により昇降自在に設け、そのロッド77に取り付けられたホルダー78に所定長さのチューブ状ノズル80が縦向きに固定されている。ノズル80の上口80aには、図示しないガスボンベに充填された窒素(N)等の不活性ガスを供給するチューブ(図示せず)が接続される。図10のタイムチャートに示すように、ガス充填装置75では、袋(h)の開口部(i)をシールする前段階において、ノズル80の先端部80bを袋内に挿入して当該ノズル80から不活性ガスを注入する。これにより、袋内の空気が駆逐されて不活性ガスを当該袋内に充満させる公知のガス置換が施される。
【0045】
(シール手段)
シール位置(b)には、シール手段が設置されている。シール手段は、所定温度に加熱保持されたシールバー(図示せず)によって被包装物が充填された袋(h)の開口部(i)より少し下方の部位にヒートシールを施す公知の構造とされている。
【0046】
なお、袋(h)のシール予定箇所に被包装物が付着した状態でヒートシールが施されると、シール不良を生じることがある。そこで、ヒートシールを施す前に、袋(h)の開口部(i)周辺をエアーブローすることにより内面に付着した被包装物を吹き飛ばす処理を必要に応じて採用することもできる。
【0047】
上記エアーブロー処置に替えて、前記ガス充填装置75に用いるノズルの外周に吹き出し口(図示せず)設け、その吹き出し口からガス置換用ガスの一部を吹出させることにより被包装物を吹き飛ばす構成とすることも可能である。
【0048】
(搬出手段)
図1に示すように、シール位置(b)には、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)から解放される製品を排出コンベア90上に向けて押し出すプッシャー85を設けている。プッシャー85によって排出コンベア90上に押し出される製品は、円滑に排出コンベア90上に載せられて機外へ排出される。
【0049】
つぎに、上述のように構成された本発明に係る給袋自動包装機Pの作用について述べる。
(1)給袋手段10において、マガジン12内に積み重ねられた袋(h)はメクリレバー14により持ち上げられ、その持ち上げられた袋(h)は供給アーム22により受け取られて上限位置(up)まで移動し、ついで、空圧シリンダ20の作動により前方の充填位置(a)まで移送される(図3)。
(2)供給アーム22により供給される袋(h)は、袋ツカミ・開口手段25の吸盤26によって前後方向から掴まれると共に第1グリップ(g)又は第2グリップ(g′)により側縁(j)を挟持され。ついで、吸盤26が互いに離れることにより開口部(i)が開けられる。
(3)充填位置(a)において、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)により支持される袋(h)内に昇降制御される漏斗66の放出口が挿入され、当該袋に所定量の小麦粉等が充填される。ついで、充填終了後に漏斗66が袋(h)から抜去されて一連の充填動作が終了する。
(4)上記充填動作中には、底上げ装置70の作動により袋(h)の底部(k)を押し上げ若しくは底部(k)に振動が付与される。
(5)第1グリップ(g)により支持される袋(h)は移送手段30の上方の四角形軌跡運動機構31により、或いは第2グリップ(g′)により支持される袋(h)は下方の四角形軌跡運動機構50により充填位置(a)から右方向のシール位置(b)に移動する。
(6)シール位置(b)において、袋(h)内にガス充填を施す場合には、袋(h)の開口部(i)をシールする前段階において、ノズル80の先端部80bが袋内に挿入されて当該ノズル80から不活性ガスが注入される。これにより、袋内の空気を駆逐して不活性ガスを当該袋内に充満させる公知のガス置換が施される。
(7)上記ガス充填動作と並行して、袋(h)の開口部(i)周辺がエアーブロー又は同ガスによるブローが施され、袋(h)の内面に付着した小麦粉等が吹き飛ばされる。
(8)不活性ガスの充填・エアーブロー処理がされた後に、シール手段によって袋(h)の開口部(i)より少し下方の部位にヒートシールが施される。
(9)なお、上記シール動作中には、底上げ装置70の作動により袋(h)の底部(k)が押し上げられて当該袋(h)の重量の一部を支承する。
(10)ヒートシール処理後、第1グリップ(g)若しくは第2グリップ(g′)から解放される製品は、プッシャー85の作動により排出コンベア90上に向けて押し出される。
(11)また、移送手段30においては、第1グリップ(g)が充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動し(上方の四角形軌跡運動機構31)、これらの動作と同期して第2グリップ(g′)が退避位置(c)→待機位置(d)→充填位置(a)へ移動し、第2グリップ(g′)が充填位置(a)→シール位置(b)→退避位置(c)へ移動し(下方の四角形軌跡運動機構50)、かかる一連の動作がモータ装置及び空圧シリンダを駆動制御して連続的に行なわれる。
【0050】
以上の通り、本発明に係る給袋自動包装機によれば、上方と下方の四角形軌跡運動機とからなる新たな四角形軌跡運動機構を採用し各々の運動機構に設けられたグリップによって交互に支持される袋を充填位置からシール位置まで移送するように構成しており、一方のグリップから他方のグリップへ受け渡し・掴み直す動作が存在しなく、袋を1つのグリップによって安定して移送することができると共に袋の姿勢がシール処理されるまで変わらないため良好なシール品質が得られる利点を有する。
【符号の説明】
【0051】
P・・・本発明に係る給袋自動包装機
(h)・・・袋
(i)・・・開口部
(k)・・・底部
10・・・給袋手段
30・・・移送手段
31・・・上方の四角形軌跡運動機構
(g)・・・第1グリップ
(a)・・・充填位置
(b)・・・シール位置
(c)・・・退避位置
(d)・・・待機位置
50・・・下方の四角形軌跡運動機構
(g′)・・・第2グリップ
65・・・充填手段
70・・・底上げ装置
75・・・ガス充填装置
85・・・プッシャー
90・・・排出コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を充填位置に供給する給袋手段と、開口部を上にして袋を吊り下げ状に支持するグリップを充填位置とシール位置との間で移動自在に設けた移送手段と、そのグリップに支持された袋に所定量の被包装物を充填する充填手段と、その被包装物が充填された袋の開口部をシールするシール手段と、袋詰めされた製品を機外へ排出する搬出手段を備えた自動包装機において、
前記移送手段は、前記袋を解放可能に支持するように設けられた第1グリップが前記充填位置から右又は左方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から所定距離だけ後方へ移動した退避位置と、その退避位置から左又は右方向へ移動した待機位置と、その待機位置から元の充填位置に戻るように設けられた上方の四角形軌跡運動機構と、
前記袋を解放可能に支持するように設けられた第2グリップが前記退避位置から左又は右方向へ移動した前記待機位置と、その待機位置から所定距離だけ前方へ移動した前記充填位置と、その充填位置から右又は左方向へ移動した前記シール位置と、そのシール位置から元の退避位置に戻るように設けられた下方の四角形軌跡運動機構とを近接させて配置すると共に、上方の四角形軌跡運動機構を作動させる上方の駆動手段及び下方の四角形軌跡運動機構を作動させる下方の駆動手段を設け、上方と下方の四角形軌跡運動機構による一連の動作が同期するように上方の駆動手段及び下方の駆動手段を駆動制御するように構成されていることを特徴とする給袋自動包装機。
【請求項2】
前記被包装物が充填された袋の底部を押し上げ若しくは袋の底部に振動を付与するように設けられた底上げ装置が、前記充填位置及び/又はシール位置に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の給袋自動包装機。
【請求項3】
前記シール位置において、被包装物が充填された袋内に不活性ガスを注入するガス充填装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の給袋自動包装機。
【請求項4】
前記搬出手段としての排出コンベア上に向けて前記製品を押し出すプッシャーを備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の給袋自動包装機。
【請求項5】
前記被包装物が、粉体、粒体若しくは固形物であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の給袋自動包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−240710(P2012−240710A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112956(P2011−112956)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】