説明

継ぎ目充填用組成物及び方法

パイプラインの継ぎ目を保護するための組成物及び方法を開示する。モールドは、パイプラインの露出部を被覆する。ポリオール、イソシアネート及びエステルを含む反応性組成物、望ましくは、2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレートがモールドに加えられ、反応が行われてポリマーが生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプラインの継ぎ目を保護するための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、被覆(例えば、コンクリート、ポリエチレンなど)されたパイプラインのパイプとパイプの溶接継ぎ目において、パイプの被覆物と被覆物の両端部に形成された空間を充填するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直径が約12インチよりも大きな海底パイプラインは、一般的には、パイプラインの重さで水中に沈められるように、厚いコンクリート層が被覆されている。そのようなコンクリート又は重量物の被覆物は個々のパイプに施され、被覆物は、パイプの各端部の数インチを除いて、パイプの全長に亘って施される。コンクリートの被覆物を施す前に、パイプの長さ部分は、パイプの腐食を防ぐために、一般的には、エポキシなどの材料でコーティングされる。このコーティング材も、各端部から数インチのところで終わっている。パイプは溶接によって接続され、連続する長いパイプとなるが、各継ぎ目では、コーティング材及びコンクリート被覆物に隙間が残る。
【0003】
パイプを腐食から保護するために、例えば熱融着エポキシ及び/又は熱収縮スリーブを用いて、パイプのこの隙間にコーティングを施すとともに、パイプラインに滑らかで連続的な被覆物が形成されるように、コンクリート被覆物の端部と端部の間の隙間を充填することが一般的に行われている。パイプラインは、次に、パイプライン敷設船(lay barge)又は船舶ローラ(vessel rollers)の上を滑らかに移動し、スティンガー(stinger)を用いて海底へ沈められる。
【0004】
パイプラインの被覆部の隙間には、様々な技術を用いて、様々な材料が充填されてきた。使用されてきた方法の1つとして、隙間の上に金属スリーブ又はモールドを配置し、溶かしたマスチック(molten mastic)をスリーブに充填し、冷却凝固させることである。しかしながら、多くの場合、パイプラインの敷設を遅滞なく行なうために、隙間に充填した後、直ちにパイプラインの処理を行わねばならない。マスチックを充填した場合、その硬化によって十分な強度が得られるようになるまで所定の時間を必要とするため、パイプにさらなる処理を施すことができるように、マスチックを保護するための追加の補強をせねばならない。それゆえ、マスチックが用いられた従来の充填作業では、スリーブが所定位置に残されるから、スリーブはパイプに残されたまま、海底に沈められる。このスリーブは漁網に絡まることがあり、海洋作業に損害を与える可能性があるため、好ましくない。さらに、このように隙間をマスチックで充填することは、非常に大きな労働力を要するため、コストが高くなる。
【0005】
コンクリートで被覆されたパイプラインの継ぎ目における被覆部の隙間を充填する他の方法として、パイプが水に入れられる前に取り外されるモールドの内側に、速硬性材料(fast cure material)を使用する方法がある。この材料として、例えば米国特許第4608208号に開示されたポリウレタン等の様々なポリマーコンクリートが使用されている。取外し可能なモールド表面は、速硬性材料がモールド表面に付着するのを防止するために、離型剤がコーティングされる。そのような離型剤を施すことは、費用及び処理時間が増加するし、施し方が不適切であると役に立たない。さらにまた、離型剤の一部は、速硬性の材料の表面に残り、パイプに付着した状態で水の中に入るから、潜在的に環境汚染の虞れがある。
【0006】
マスチック充填剤に代えて他の種類の材料を用いる技術もある。米国特許第5328648号及び米国特許第5489405号では、パイプの露出部をモールドで被覆し、次に、充填材で充填する方法が開示されている。充填材は、直径約1/16インチ〜1インチで、例えば砂利、鉄鉱、木材チップなどのようにパックされ難い粒状又は粒子状物質を含んでいる。次に、粒状充填材の隙間を充填するために、エラストマー系ポリマーがモールドへ注入される。望ましいポリマーとして、迅速硬化性固体ポリウレタンがあり、これは、例えば、米国特許第3983064号、第4154716号及び米国特許第4246363号に記載されるように、ポリヒドロキシ含有化合物と有機ポリイソシアネートの反応によって調製される。ポリマー成分が完全に反応した後、モールドは、充填部の表面から取り除かれる。この方法に用いられるエラストマー系ポリマーは、主として芳香族炭化水素からなる液体改質剤(modifier)を含んでいる。しかし、芳香族炭化水素をこの用途に用いると、大気及び海水の環境及び安全問題を含む幾つかの不都合を生ずる。
【0007】
また、米国特許第4909669号には、パイプの露出部を熱可塑性シートで巻き付ける方法が開示されている。前記シートは、露出部に隣接する重量付与用被覆物の両端部に重ねられ、次に、ネジ、リベット、ストラップ等によって適当な位置に固定される。剛性及び衝撃抵抗性を高めるために、この継ぎ目保護システムは、プラスチック棒又は管の如き補強部材を、シートの内部に配備する必要があった。補強棒又は補強管のどちらも、前もって切断しておいてパイプライン敷設船に保管せねばならないか、又は、パイプライン敷設船において、敷設工程の一部として、取付けできる所定の形態に切断せねばならない。これは、追加の取扱いを必要とし、敷設工程をより困難にする。
【0008】
継ぎ目保護構造を補強する他の方法として、パイプとプラスチックシートの環状空間の下部を、予備成形された発泡体のハーフシェルのような材料で充填する方法がある。発泡体のハーフシェルを支持体として、環状空間の下部に使用した場合、継ぎ目及び防食用コーティングの上部は、プラスチックシートに囲まれて保護されるだけで、発泡体被覆物はない。それゆえ、もし、敷設されたパイプラインに、トロール漁船の網に取り付けられたドラッグライン又はトロールボードが接触すると不都合が生ずる。つまり、パイプの継ぎ目の上部の防食用コーティングは、曳航される物体によって損傷を受ける可能性がある。さらに、パイプラインが、深さ約200フィートよりも浅い水域に敷設される場合、この継ぎ目保護構造に関してさらなる問題が生じる。浅い水域にパイプラインを敷設する場合、パイプラインが埋められるべき海底に向けて高圧水ジェットを用いて、埋められることが多いからである。水ジェットが洗い流した溝の中に、パイプラインが落とされ、埋められる。この継ぎ目部保護構造では、パイプの継ぎ目を覆うプラスチックシートが補強されていないから、水ジェットがパイプラインの継ぎ目と接触すると、損傷を受ける虞れがある。
【0009】
米国特許第5900195号及び第6402201号には、露出したパイプラインの継ぎ目を保護する他の方法が記載されており、柔軟なシート状の被覆材が円筒状に形成され、継ぎ目の露出部の上に取り付けられる。柔軟なシート状被覆材の長手方向の端部は、重量付与用被覆物の隣接する縁部に固く重ねられる。円筒部を形成する被覆材のシートの側縁部は、露出した接続部の周りに環状ポケットが形成されるように、しっかりと重ねられる。外側の側縁は、次に、被覆材シートの表面にシールされ、露出したパイプと環状ポケット又は空間を完全に包み込む。ポリウレタン化学物質は、次に、空の環状空間に注入され、そこで前記化学物質は反応して高密度発泡体を生成し、該発泡体が環状空間に充満する。被覆材は、除去されずに、継ぎ目充填の一部として残る。
【0010】
本発明は、コンクリートで被覆されたパイプから形成された海底パイプラインのように、パイプラインの厚い被覆物の隙間を充填するための改良された組成物、及び前記改良された組成物を使用する方法を含んでいる。本発明の望ましい組成物として、ポリオール、イソシアネート及び希釈剤が挙げられる。希釈剤は、エステル希釈剤が望ましい。より好適には、組成物は、ポリメリックMDI及び2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレート(イーストマン・ケミカル・カンパニー製の商品名TXIB)を含むA側成分(A-side component)と、ポリオール、触媒、水、TXIB及び界面活性剤を含むB側成分(B-side component)を含んでいる。この望ましい組成物は、高度の開放気泡(open cells)を有する発泡体を形成する。また、他の好ましい組成物を用いて、組成物から水(又は他の発泡剤)を除去することにより、非発泡性(non-foamed)エラストマー又は固体ポリマーを作ることができる。
【0011】
本発明の望ましい方法は、パイプラインの露出部又は隙間(gap)の周りをモールドで囲み、改良された組成物を注入し、該組成物を反応させてポリマーを形成することを含んでいる。反応性組成物(reaction compound)によって形成されたポリマーは、開放気泡を有する発泡体であることが望ましいが、エラストマーでもよいし、使用される特定成分に応じて固体ポリマーでもよい。本発明の方法は、モールドを形成するための様々な技術及び材料を含むことができる。モールドは、再使用することもできるし、又はパイプラインの継ぎ目の隙間を保護する部分として残すこともできる。
【0012】
本発明は、コンクリートで被覆されたパイプから形成された海底パイプラインのように、パイプラインの厚い被覆物の隙間を充填するための改良された組成物及び充填方法を含んでいる。
【0013】
一般的に、組成物は、ポリオール成分(B側)、イソシアネート成分(A側)、エステル成分を含んでいる。エステルは、A側、B側の何れか一方、又は両側に存在することができる。エステルと、ポリオール及びイソシアネートの組合せによって、従来の継ぎ目充填システムに使用されるポリウレタン系と比べて、改良された特性を有する反応生成物が生じる。
【0014】
エステルは、ジエステルが望ましく、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(イーストマン・ケミカル・カンパニー製の商品名TXIB)が最も望ましいが、これに限定されるものではない。TXIBは、海洋汚染物としての報告はなく、また、従来の芳香族炭化水素と同じ悪影響を有しない。エステルは、組成物全体の約10重量%〜約40重量%の範囲であることが望ましい。エステルは、組成物全体の約25重量%〜約40重量%の範囲であることがより望ましい。なお、この明細書に記載する組成物のパーセンテージは、特に指定しない限り、全て重量%である。
【0015】
組成物のイソシアネート成分は、イソシアネート、ポリイソシアネート又はイソシアネート・プレポリマーを含むことができる。望ましくは、イソシアネート成分は、ポリイソシアネートである。ここで用いられるポリイソシアネートという用語は、平均官能基数が約2.0以上のすべてのイソシアネートを意味する。ポリイソシアネートは、アニリン/ホルムアルデヒドの凝縮によるホスゲン化(「ポリメリックMDI」)によって得られるジフェニルメタンジイソシアネートに基づくものが望ましく、これらポリイソシアネートの誘導体は、カルボジイミド基、ビウレット基、ウレタン基、イソシアヌレート基、アロファネート基、これら基を有する化合物の混合物を含み、室温で液体である。望ましいポリイソシアネートの例示として、限定するものではないが、ポリメリックMDIがあり、これには、バイエル(Bayer)が商標名MONDUR MRで販売するもの、BASFが商標名LUPRANATE M20Sで販売するもの、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが商標名PAPI 27で販売するもの、ハンツマン・ケミカルが商標名RUBINATE Mで販売するものがある。
【0016】
また、エラストマー系の継ぎ目充填システムを作ることが所望される場合、組成物中にイソシアネートホモポリマーが使用される。エラストマー系充填システムは、例えば、可撓性を幾分有する小径パイプラインにおいて所望される。エラストマー系充填材の調製に望ましいポリイソシアネートホモポリマーとして、限定するものでないが、143当量(equivalent weight)の改質された4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートがあり、これには、例えば、BASFが販売するMM 103、バイエルが販売するMONDUR CD、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが販売するISONATE 143L、ハンツマン・ケミカルが販売するR1680がある。
【0017】
また、エラストマー系の継ぎ目充填システムを作ることが所望される場合、組成物中にイソシアネートプレポリマーが使用される。望ましいプレポリマーとして、限定するものでないが、バイエルが販売するMONDUR PF、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが販売するISONATE 181、ハンツマン・ケミカルが販売するR 1209が挙げられる。
【0018】
組成物のポリオール成分として、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はそれらの組合せを含む様々なポリオールを挙げることができる。望ましい実施例において、ポリオールは、ポリエーテルポリオール又は、ポリエーテルポリオールとの組合せである。より望ましくは、ポリオール成分は、高速反応性(fast-reacting)でアミンを主体とするアミン系ポリオールを含んでいる。望ましいポリエーテルポリオールとして、限定するものでないが、アーチ・パフォーマンス・ウレタン・アンド・オーガニクスが販売する40−770(平均ヒドロキシル数770のテトロール)、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが販売するVORANOL800(登録商標)、BASFが販売するQUADROLがある。
【0019】
本発明の組成物の様々な実施例では、ポリオール成分、イソシアネート成分、及び不溶性エステルに加えて、他の成分を所望されることがある。追加成分の例として、例えば、触媒、界面活性剤、水及び他の発泡剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明では、好適には、触媒が使用される。組成物に使用するための好ましい触媒として、例えば、オクチル酸錫(II)、ジラウリン酸ジブチル錫、UL−22(ウイティコ・ケミカル・オーガニクス・デビジョンが商標名WITCO FOMREZ UL−22で販売しているもの)又はナフテン酸鉛(PbN)のような有機錫化合物; 例えば、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)(エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズがPolyCat8で販売しているもの)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(TEDA)(エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズが商標名DABCOで販売しているもの)、及び70%ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを含むDPG(エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズがBL−11として販売しているもの)のような第三級アミン; 例えば、33%TEDAを含むグリコール又はジメチルエタノールアミン(DMEA)のようなアミンポリオール触媒; 例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)のようなアミン触媒を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ポリウレタン生成反応に用いられる公知の他のアミン及び有機金属触媒を用いることもできる。
【0021】
開放気泡を有する発泡体が所望される場合、組成物の中に、界面活性剤を使用することが好ましい。ポリウレタン発泡体生成反応に有用なものとして知られているポリエーテルポリシロキサンのような界面活性剤を組成物の中に用いることもできる。非シリコーン界面活性剤を用いることもできる。非シリコーン界面活性剤として、LK443(エア・プロダクツが販売している)を挙げることができるが、これに限定されるものではない。適当な界面活性剤は、ゴールドシュミット・ケミカル、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ・インク、ウイティコ等から得ることができる。組成物の中に使用される好ましい界面活性剤として、OSIが販売するY−10762、ゴールドシュミット・ケミカルが販売するB8423、B8934及びB8935を挙げることができる。発泡体中の開放気泡を増やすために、少量の芳香族炭化水素を使用することもできる。
【0022】
組成物は水を含むことが望ましい。加えられる水の量は、ポリイソシアネートの重量をベースとして、約5重量%以下、望ましくは約4重量%以下、最も望ましくは約2重量%以下である。或いはまた、水と共に、又は水に代えて、他の発泡剤を使用することもできる。有機発泡剤として、オゾン層非破壊性ハイドロフルオロカーボン、オゾン層非破壊性ハイドロクロロフルオロカーボン、及び脂肪族炭化水素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。水発泡(water-blown)ポリウレタン及び水発泡でない(non-water blown)ポリウレタンの製造用として既知の発泡剤を用いることもできる。発泡剤は、単独でも、混合物としても用いることができる。
【0023】
米国特許第6521673号は、本発明の組成物の使用に適した多くの成分を開示している。この特許に記載されている他の組成物を、独立気泡又はエラストマー系接続部充填ポリマーを生成するために使用することができる。米国特許第6521673号は、引用を以て、その全体が本願に組み入れられるものとする。
【0024】
望ましい組成物の一例は、A側が約15重量%〜約25重量%のTXIBを含み、A側の残部は、ポリメリックMDIである。この望ましい組成物のB側は、約35重量%〜約45重量%のアミン系ポリエーテルポリオール、約50重量%〜約65重量%のTXIB、約0.25重量%〜約2.00重量%の界面活性剤、約0.75重量%〜約1.5重量%の水、及び、約0.2重量%未満のアミン触媒と錫触媒の組合せを含んでいる。この望ましい実施例において、A側は、組成物全体の約50重量%〜約60%であり、B側は、組成物全体の約40重量%〜約50%である。好適には、この望ましい組成物の成分が反応すると、フリーライズ密度(free rise density)が、約4〜約8ポンド/立方フィート、最も望ましくは約6ポンド/立方フィートで、モールドの充填密度が、約7〜約12ポンド/立方フィート、最も望ましくは約9〜約10ポンド/立方フィートの発泡体が生成する。好適には、この望ましい組成物の成分が反応すると、開放気泡の量が約50%よりも多く、より望ましくは80%よりも多く、最も望ましくは90%よりも多い発泡体が生成される。
【0025】
限定されるものでない以下の実施例は、重量物で被覆されたパイプの被覆部の隙間を充填するための望ましい組成物を示している。
【0026】
<実施例1>
パイプの継ぎ目を充填するための組成物として、以下の成分を含む組成物を試験した。
【表1】

【0027】
B側成分を、ポリメリックMDI80重量%及びTXIB20重量%含むA側成分と反応させた。組成物は、A側が54.8重量%、B側が45.2重量%である。得られた反応生成物は、開放気泡を有するポリウレタン発泡体であって、フリーライズ密度が、約6ポンド/立方フィート、モールドの充填密度が、約9〜約10ポンド/立方フィート、開放気泡が約84.5%、独立気泡が7.2%、セル壁が8.2%であった。
【0028】
<実施例2>
パイプの継ぎ目を充填するための第2組成物として、以下の成分を含む組成物を試験した。
【表2】

【0029】
B側成分を、ポリメリックMDI85重量%及びTXIB15重量%含むA側成分と反応させた。組成物は、A側が54.8重量%、B側が45.2重量%であり、イソシアネート指数は約1.10であった。得られた反応生成物は、開放気泡を有するポリウレタン発泡体であって、フリーライズ密度は約6.5ポンド/立方フィート、モールドの充填密度は約10.5ポンド/立方フィート、独立気泡の量は約9.0%であった。平行圧縮強度は、10%偏り(deflection)で約250〜300ポンド/平方インチであった。
【0030】
本発明の望ましい方法は、広義において、パイプラインの露出部又は隙間の周りをモールドで囲むこと、反応性組成物を導入すること、組成物を反応させてポリマーを生成することを含んでいる。反応性組成物によって生成されたポリマーは、上記の如く、使用される具体的成分に応じて、開放気泡を有する発泡体又はエラストマーある。
【0031】
本発明の方法は、パイプラインの継ぎ目の周りの隙間を取り囲むモールドを取り付けることから始まる。隙間の周りにモールドを取り付ける方法又は形成する方法は、様々な方法が当該分野で知られており、それら方法を、本方法に用いることができる。例えば、モールドに関する様々な技術は、米国特許第5328648号、米国特許第5489405号、米国特許第5804093号、米国特許第5900195号及び第6402201号に記載されている。これらの特許の各々は、引用を以て、その全体が本願に組み入れられるものとする。
【0032】
モールドを取り付けた後、組成物のA側成分とB側成分がモールドの中に加えられる。A側成分とB側成分は、予め混合され、反応用ヘッド(reaction head)から注入されることができるし、或いは当該分野の技術者に公知の他の技術を用いて、混合し、装入されることができる。組成物がモールドの中に一旦加えられると、成分は反応して、ポリマーが生成する。反応プロセスは迅速に行われることが望ましく、ポリマー生成は数分以内にほぼ完了することが望ましい。
【0033】
前記工程の他の実施例として、モールドには、反応性組成物を加える前に、砂利(gravel)等の充填材を充填することもできる。組成物は、反応を起こして、充填材の周りにポリマーを生成し、ポリマーは適所に保持される。さらに追加の工程として、反応性組成物を加える前に、透水性膜(permeable membrane)を、モールドの外側部分に沿って設けることもできる。透水性膜は、反応が完了した時、ポリマーの外側表面に付着し、ポリマーの損傷を防ぐための保護膜として作用する。透水性膜の例として、透水性ポリエチレンシートや、粗いゲージメッシュ材料を挙げることができる。
【0034】
本発明に関する前記説明は、予測可能な範囲内で例示的及び説明的なものであって、発明の精神及び範囲は請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆されたパイプの継ぎ目における被覆部と被覆部の隙間を充填する方法であって、
開口を有するモールドで前記隙間を取り囲むステップ、
継ぎ目充填用組成物をモールドの中に装入するステップ、
継ぎ目充填用組成物を反応させて、ポリマーを生成するステップを含んでおり、
前記継ぎ目充填用組成物は、
約75重量%〜約85重量%のポリメリックMDI、及び約15重量%〜約25重量%の2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレートを含むA側成分と、
約35重量%〜約45重量%のアミン系ポリエーテルポリオール及び約50重量%〜約65重量%の2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレートを含むB側成分と、を含んでいる方法。
【請求項2】
触媒はアミン触媒を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物は水をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物はハイドロフルオロカーボン発泡剤をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
組成物はシリコーン系界面活性剤をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリマー生成後にモールドを取り除くステップをさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリマーは、開放気泡の割合が約80%以上のポリウレタン発泡体を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーは、開放気泡の割合が約90%以上のポリウレタン発泡体を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリマーは、密度が約2〜12ポンド/立方フィートのポリウレタン発泡体を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
隙間を取り囲むステップの後、反応性組成物を装入するステップの前に、充填用材料をモールドに加えるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
反応性組成物を装入するステップの前に、透水性膜をモールドに加えるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
反応性組成物を装入するステップの前に、透水性膜をモールドに加えるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
被覆されたパイプの継ぎ目における被覆部と被覆部の隙間を充填する方法であって、
開口を有するモールドで前記隙間を取り囲むステップ、
ポリオール、イソシアネート及びエステル希釈剤を含む組成物をモールドの中に装入するステップ、
組成物を反応させて、ポリマーを生成するステップ、含んでいる方法。
【請求項14】
ポリオールはアミン系ポリエーテルポリオールを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
イソシアネートはポリメリックMDIを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項16】
エステルはジエステルを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項17】
不溶性エステルは、2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレートを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項18】
組成物は水をさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項19】
組成物はハイドロフルオロカーボン発泡剤をさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項20】
組成物は炭化水素発泡剤をさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項21】
組成物はシリコーン系界面活性剤をさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項22】
ポリマーの生成後、モールドを取り除くステップをさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項23】
ポリマーは、開放気泡量が約80%以上であるポリウレタン発泡体を含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項24】
ポリマーは、開放気泡量が約90%以上であるポリウレタン発泡体を含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項25】
ポリマーは、密度が約2〜12ポンド/立方フィートのポリウレタン発泡体を含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項26】
ポリマーはエラストマー系ポリマーを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項27】
イソシアネートはイソシアネートプレポリマーを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項28】
取り囲むステップの後、反応性組成物を装入するステップの前に、充填材をモールドに加えるステップをさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項29】
反応性組成物を装入するステップの前に、透水性膜をモールドの中に加えるステップをさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項30】
被覆されたパイプの被覆部と被覆部の隙間を充填する反応性組成物であって、
ポリメリックMDI及び2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレートを含むA側成分と、
アミン系ポリエーテルポリオール及び2,2,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオールジイソブチレートを含むB側成分と、を含んでいる反応性組成物。

【公表番号】特表2007−524717(P2007−524717A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506963(P2006−506963)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/007087
【国際公開番号】WO2004/081438
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505335566)ポリタン システムズ,インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】POLYTHANE SYSTEMS,INC.
【Fターム(参考)】