説明

継手装置

【課題】 シール部材のシール性能の低下によるガス漏れを確実に防止することのできる継手装置を提供すること。
【解決手段】 接続部4は、先端部に設けられた第1環状部14と、基部側に設けられた第2環状部18と、ロック溝部16とを有し、継手部材8Cは、筒状本体30と、筒状本体30の内周側に設けられた作動部材32と、筒状本体30の外周側に設けられた摺動部材34Cと、複数のロック用ボール36とを備えている。作動部材32の一端部には第1シール部材66が装着され、筒状本体30のの装着凹部には第2シール部材58が装着され、第2シール部材58は、装着凹部に取り付けられた環状取付部と、環状取付部の内周面から径方向内方に突出する突出部とを有している。また、筒状本体30と摺動部材34Cとの間には第3及び第4シール部材86,88が介在されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルチューブを例えばガス機器やガス栓等に接続するための継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炊飯器、ガスストーブ、ガスファンヒータ等のガス機器や、屋内の壁面等に埋設されるガスコンセント等のガス栓には、プラグが設けられている。一方、例えばガス機器とガス栓との接続にはガスホース等のフレキシブルチューブが用いられ、このフレキシブルチューブの一端部には、プラグに着脱自在に装着される継手部材(いわゆる、ソケット)が設けられている。したがって、例えばガス機器を使用する際には、フレキシブルチューブの一端部の継手部材をガス機器等のプラグに着脱自在に装着することにより、ガス機器とガス栓とがフレキシブルチューブを介して接続され、ガス栓からの燃焼用ガスがフレキシブルチューブを通してガス機器に供給される。この種の継手部材及びプラグは、ワンタッチで両者を着脱できることから、一般に迅速継手と称されている。
【0003】
継手部材とプラグとで構成される従来の継手装置の代表的なものは、例えば図9に示すように構成されている(例えば、特許文献1参照)。以下、この従来の継手装置について簡単に説明すると、プラグ102は筒状の接続部104を有しており、この接続部104には、第1環状部106、ロック溝部108及び第2環状部110が設けられている。また、継手部材112は、流路114が形成された筒状本体116と、筒状本体116の内周側に設けられた作動部材118と、筒状本体116の外周側に設けられた摺動部材120と、筒状本体116の一端部に配設された複数のロック用ボール122とを備えている。作動部材118及び摺動部材120は軸線方向に移動自在に装着されており、また、作動部材118は第1スプリング部材124により図9において右方に弾性的に付勢され、摺動部材120は第2スプリング部材126により図9において右方に弾性的に付勢されている。また、複数のロック用ボール122は、筒状本体116の径方向に移動自在に装着されている。さらに、作動部材118の一端部には、Oリング等のシール部材128が装着されている。
【0004】
継手部材112が接続部104に装着されると、プラグ102の先端部の第1環状部106が作動部材118の一端部に作用し、この作動部材118が第1スプリング部材124に抗して矢印Xで示す方向に移動し、また複数のロック用ボール122がプラグ102のロック溝部108に嵌り込み、摺動部材120が第2スプリング部材126の作用によって矢印Yで示す方向に移動する。このように摺動部材120が移動すると、摺動部材120の内周面がプラグ102のロック溝部120に嵌り込んだ複数のロック用ボール122を被い、継手部材112とプラグ102の接続部104とがロック状態に確実に接続される。また、上記のように作動部材118が移動すると、作動部材118に設けたバルブ部130が流路114を開放し、燃焼用ガスが筒状本体106内の流路114を通じてプラグ102内へと送り込まれる。そして、シール部材128がプラグ102の第1環状部116と気密的に密着してシールすることにより、接続部104の外周部と筒状本体116の内周部との間の隙間を通じて、燃焼用ガスが外部に漏れるのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−108888号公報
【特許文献2】実開昭60−108889号公報
【特許文献3】実開昭60−108890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の継手装置では次のような問題が生じる。例えばガス機器を使用せず、継手部材112をプラグ102から外した状態では、プラグ102が外部に露出しており、それ故に、空気中に舞った塵埃等の異物がプラグ102の表面に付着し易くなる。プラグ102の第1環状部106に異物が付着した状態で継手部材112をプラグ102に装着すると、この異物によりシール部材128のシール性能が低下し、このシール部材128と第1環状部106との間に僅かな隙間が生じるおそれがあり、両者間にこのような隙間が生じると、筒状本体116内を流れる燃焼用ガスがこの隙間から継手装置112の外部へ漏れてしまうという問題が生じる。即ち、図9に点線の矢印Aに示すように、筒状部材116内から作動部材118内を通ってプラグ102に送給される燃焼用ガスの一部が、シール部材128とプラグ102の第1環状部106との間を通り、筒状部材116の内周面とプラグ102の接続部104の外周面との間の隙間を通って継手装置102の外部へと漏出する。
また、例えばガス機器として炊飯器を使用する場合、炊飯中に炊飯器の蓋に設けた蒸気穴から蒸気とともに、粘着性の澱粉質、いわゆるおねばが吹きこぼれとして排出されることがあり、この吹きこぼれがプラグ102と継手部材112との間の隙間、すなわち上記の経路より浸入してしまうことがある。さらに、炊飯器は炊事場で使用されることが多く、食器等の洗浄時に飛散した液体洗剤等が、同じく上記の第1の経路で示す隙間より浸入してしまうことがある。このような吹きこぼれや液体洗剤等の液状の異物がシール部材128に付着するとシール部材128が劣化するすることがあり、シール部材128のシール性能が低下してガス漏れが生じる恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、シール部材のシール性能の低下によるガス漏れを確実に防止することのできる継手装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の継手装置は、接続部を有するプラグと、前記接続部に着脱自在に装着される継手部材とから構成される継手装置であって、
前記接続部は、先端部に設けられた第1環状部と、基部側に設けられた第2環状部と、前記第1環状部及び第2環状部の間に設けられたロック溝部を有しており、
前記継手部材は、軸線方向に延びる流路が形成された筒状本体と、前記筒状本体の内周側に設けられた作動部材と、前記筒状本体の外周側に設けられた摺動部材と、前記筒状本体の一端部に円周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボールとを備え、前記作動部材及び前記摺動部材は前記軸線方向に移動自在に装着され、前記複数のロック用ボールは径方向に移動自在に装着されており、
また、前記作動部材の一端部には第1シール部材が装着され、前記筒状本体の前記一端部の装着凹部には第2シール部材が装着され、前記第2シール部材は、前記装着凹部に取り付けられた環状取付部と、前記環状取付部の内周面から径方向内方に突出する突出部とを有しており、
さらに、前記筒状本体における前記複数のロック用ボールよりも内側部位と前記摺動部材との間には第3シール部材が介在され、前記筒状本体における前記複数のロック用ボールよりも外側部位と前記摺動部材との間には第4シール部材が介在されており、
前記継手部材を前記プラグの接続部に着脱自在に装着すると、前記複数のロック用ボールが前記プラグの前記ロック溝部にロック嵌合するとともに、前記第1環状部と前記作動部材の前記一端部との間が前記第1シール部材によりシールされ、また前記第2環状部と前記筒状本体の前記一端部との間が前記第2シール部材によりシールされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の継手装置によれば、作動部材の一端部には第1シール部材が装着され、また筒状本体の一端部には第2シール部材が装着されているので、継手部材をプラグの接続部に装着した際に、第1環状部と作動部材との間が第1シール部材によりシールされるとともに、第2環状部と筒状本体の一端部との間が第2シール部材によりシールされる。従って、継手部材とプラグとの間が二重にシールされ、異物の付着等により第1シール部材のシール性能が低下した場合でも、確実にガス漏れを防ぐことができる。また、液状の異物がプラグと継手部材との間の隙間より侵入するのを第2シール部材により防ぐことができ、第1シール部材がこの液状のの異物の付着により劣化するのを未然に防ぐことができる。
【0010】
また、筒状本体における複数のロック用ボールよりも内側部位と摺動部材との間に第3シール部材が介在されているので、異物の付着等により第1シール部材のシール性能が低下して、第1環状部と作動部材の一端部との間からガスが漏れた場合でも、第3シール部材によりシールさせて燃焼用ガスが摺動部材の一端側から外部へ漏出するのを確実に防ぐことができる。
【0011】
更に、筒状本体における複数のロック用ボールよりも外側部位と摺動部材との間に第4シール部材が介在されているので、異物の付着等により第1シール部材のシール性能が低下して、第1環状部と作動部材の一端部との間からガスが漏れた場合でも、第4シール部材によりシールさせて燃焼用ガスが摺動部材の他端側から外部へ漏出するのを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う継手装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明による継手部材をプラグに装着する前の継手装置を示す外観図、図2は、図1の継手部材を断面で示す継手装置の要部断面図、図3は、継手部材をプラグに装着した状態を示す継手装置の要部断面図である。
【0013】
図1及び図2において、図示の継手装置2は、接続部4を有するプラグ6と、接続部4に着脱自在に装着される継手部材8とから構成される。まず、プラグ6及び継手部材8について説明する。
【0014】
プラグ6は、例えばガスストーブ、ガスファンヒータ等のガス機器7に設けられ、ガスチューブ10及び継手部材8を介してガス栓(図示せず)からの燃焼用ガスがこのプラグ6内に供給される。プラグ6は、プラグ本体部12と、継手部材8(後述する)の一端部(図2において右端部)が着脱自在に装着される筒状の接続部4とを備えている。接続部4とプラグ本体部12とは一体に構成されており、接続部4の内部とプラグ本体部12の内部とは連通されている。プラグ本体部12はガス機器に直接設けられており、プラグ6を通して送給される燃焼用ガスがガス機器7の燃焼部(例えば、燃焼バーナ)に供給される。接続部4には、第1環状部14、ロック溝部16及び第2環状部18が設けられている。第1環状部14は接続部4の一端部(先端部)に、第2環状部18は接続部4の他端部(基部)に、またロック溝部16は、第1環状部14と第2環状部18との間に設けられている。
【0015】
ガスチューブ10は、可撓性を有する例えばゴムホース等で構成され、都市ガスや、LPガス等の燃焼用ガス等がこのガスチューブ10を通して継手部材8に送給される。継手部材8の他端部(図2において左端部)には筒状のコネクタ20が設けられており、ガスチューブ10はコネクタ20に接続される。
【0016】
継手部材8は、軸線方向(図2において左右方向)に延びる流路28が形成された筒状本体30と、筒状本体30の内周側に設けられた作動部材32と、筒状本体30の外周側に設けられた摺動部材34と、筒状本体30の一端部に円周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボール36と、筒状本体30の外周側を覆うカバー部材38とを備えている。
【0017】
筒状本体30は、円筒状に構成されており、その内部には流路28が形成されている。流路28は、筒状本体30の軸線方向に延びており、ガスチューブ10からのガスが流通する。流路28の軸線方向略中央部には、ガスの流通を遮断するためのバルブ手段40(後述する)が構成されている。筒状本体30の他端部には、コネクタ20の一端部が接続され、筒状本体30から突出するコネクタ20の他端部にガスチューブ10が接続されている。このコネクタ20の外周面にはOリング等で構成される環状シール部材44が装着され、コネクタ20と筒状本体30との間が気密的にシールされる。
【0018】
さらに、筒状本体30の一端側には、筒状本体30の円周方向に所定の間隔をおいて貫通された複数のボール溝部46が設けられ、複数のボール溝部46にはそれぞれ対応するロック用ボール36が収容され、各ロック用ボール36はボール溝部46内で筒状本体30の径方向に移動自在となっている。ロック用ボール36は例えば鋼球で構成され、その外径はボール溝部46の内径と略同一に、あるいはボール溝部46の内径よりも僅かに小さく構成されている。この筒状本体30の外周面側におけるボール溝部46の周縁部の一部には、一端に向けて半径方向外方に傾斜した環状の傾斜面54が形成されている。また、筒状本体30の内周面の一端部(具体的には、ボール溝部46の配設部位よりも外側部位)には、環状のシール部材58(第2シール部材を構成する)が装着され、このシール部材58は、例えばゴム材等のOリング等から構成される。
【0019】
作動部材32は中空円筒状の作動棒48を備え、この作動棒40の一端部には外径が幾分大きい作用部50が設けられ、その他端部にはバルブ手段40のバルブ体64が設けられ、作動棒40とバルブ体64とはカシメ等により一体に固定されている。この作動部材32は、軸線方向に移動自在に、筒状本体30の内周側に装着されている。作動棒48は筒状に構成され、その環状の作用部50の端面部には、ゴム材等のOリング等で構成された環状のシール部材66(第1シール部材を構成する)が装着されている。また、作動棒48の他端側には、径方向外方に突出した環状の係止爪68が設けられ、この係止爪68に関連して、筒状本体30の内周面には径方向内方に突出する係止片56が設けられている。
【0020】
バルブ体64には一端面(図2において右端面)に開放する凹部63が設けられ、この凹部63が他端に向けて軸線方向に延びている。このバルブ体64の中間部には、周方向に間隔をおいて複数のスリット開口70が設けられ、またその他端部の外周面には、環状の突部65が径方向外方に突出して設けられ、この環状突部65がバルブ手段40の弁部として機能する。この環状突部65に関連して、筒状本体30の内周面には小径スリーブ部67が設けられ、この小径スリーブ部67がバルブ手段40の弁座部として機能する。
【0021】
この突部65とコネクタ20との間には、例えばコイルスプリングから構成される第1スプリング部材26が介在され、バルブ体64、すなわち作動部材32は第1スプリング部材26により図2中の矢印Pで示す方向に弾性的に付勢する。このように構成されているので、プラグ6に継手部材8を装着していない状態では、図2に示すように、第1スプリング部材26が作動部材32を矢印Pで示す方向に弾性的に付勢し、作動棒48の係止爪68が筒状本体30の係止片56に当接して係止した状態に保持される。この状態においては、環状突部65の外周部は筒状本体30の小径スリーブ部67の内周面に気密的に接触し、バルブ体64が流路28を遮断し、バルブ手段40は閉状態に保持され、流路28を通しての燃焼用ガスの送給が停止される。一方、作動棒32及びバルブ体64が後述するようにして矢印Pで示す方向と反対方向に移動されると、図3に示すように、バルブ体64の環状突部65が筒状本体30の小径スリーブ部67から離れてバルブ手段40が開状態になり、ガスチューブ10からの燃焼用ガスは、流路28、バルブ体64のスリット開口70、凹部63及び作動棒18の内側を通って下流側に送給される。
【0022】
カバー部材38は、筒状に構成されており、筒状本体30の外周面の他端側を覆っている。カバー部材38の内周面の一部は、筒状本体30の外周面の他端側に固定的に装着されており、継手部材8をプラグ6に装着又は脱着する際には、このカバー部材38を手で掴めるようになっている。また、カバー部材38の一端側(摺動部材34に対向する側)には環状凹部72が設けられ、この環状凹部72はカバー部材38の一端まで延び、カバー部材38の一端側の内周面と筒状本体30の外周面との間に環状の収納部が形成されている。
【0023】
摺動部材34は、円筒状に構成され、軸線方向に移動自在となるように筒状本体30の外周面の一端側(プラグ6が装着される側)に装着されている。摺動部材34の一端側の内周面には一端に向けて径方向外方に傾斜する傾斜面52が形成され、その他端側(カバー部材38が設けられている側)の外周面には環状凹部78が設けられている。この環状凹部78は摺動部材34の他端まで延び、カバー部材38の一端側がこの環状凹部78を被嵌するように設けられ、カバー部材38と摺動部材34との間に、環状凹部72に収容されるように第2スプリング部材76が介在されている。第2スプリング部材76は例えばコイルスプリングから構成され、摺動部材34を図2中の矢印Pで示す方向に弾性的に付勢する。
【0024】
このように構成されているので、継手部材8をプラグ6に装着していない状態においては、図2に示すように、作動棒48及びバルブ弁64は図2に示す位置に保持され、作動棒48の作用部50は筒状本体30のボール溝部46の内側に位置し、各ボール溝部46に収容されたロック用ボール36をボール溝部46内に保持し、ロック用ボール36は非ロック状態に保持される。この非ロック状態においては、ロック用ボール36の上部はボール溝部46から径方向外方に幾分突出した状態に保持される。第2スプリング部材76は上述したように摺動部材34を矢印Pで示す方向に弾性的に付勢しており、従って、摺動部材34は、その傾斜面52がロック用ボール36の上部に当接する状態、すなわち図2に示す状態に保持される。
【0025】
次に、継手部材8をプラグ6に装着する方法について、図2及び図3を参照して説明する。継手部材8を装着するには、プラグ6の接続部4を被嵌するように継手部材8を矢印Yで示す方向に押し込めばよい。このように押し込むと、プラグ6の第1環状部14が継手部材8の作動部材32の作用部50に装着されたシール部材66に当接し、作動部材32が第1スプリング部材26の付勢力に抗して図3中の矢印Xで示す方向に移動する。このように作動部材32が相対的に移動すると、作動部材32の作用部50が筒状部材30のボール溝部46から後退するとともに、プラグ6の接続部4のロック溝部16がボール溝部46に位置し、ボール溝部46に収容されていた複数のロック用ボール36はボール溝部46内で径方向内方に移動し、それらの一部がロック溝部16に嵌り込んでロック嵌合される。このようにロック嵌合されると、ロック用ボール36が摺動部材34の傾斜面52から解離し、この摺動部材34は、第2スプリング部材76の付勢力により筒状本体30の外周面上を摺動しながら図3中の矢印Yで示す方向に移動し、この傾斜面52が筒状本体30のボール溝部46に設けた傾斜面54に当接するまで移動する。このように移動すると、摺動部材34は複数のロック用ボール36の径方向外側に位置し、この摺動部材34によりロック用ボール36の径方向外方への移動が阻止され、ロック用ボール36によるロック状態が保持される。
【0026】
また、作動部材32が図3中の矢印Xで示す方向に筒状本体30に対して相対的に移動すると、この作動部材32と一体的にバルブ体64が移動し、バルブ体64の環状突部65が筒状本体30の小径スリーブ部67から解離し、バルブ手段40が開状態となって筒状本体30の流路28が開放され、ガスチューブ10からの燃焼用ガスが、図3中に破線矢印で示すように流れてプラグ6に送給される。
【0027】
このようにプラグ6に継手部材8を接続した状態においては、図3に示すように、作動部材32の作用部50に装着されたシール部材66が接続部4の第1環状部14の外周面に作用して気密的にシールし、また筒状本体30の一端部内周面に装着されたシール部材58が、接続部4の第2環状部18の外周面に作用して気密的に密着してシールし、プラグ6と継手部材8との間がシール部材66、58により二重にシールされる。従って、仮に内側のシール部材66のシール性能が低下して燃焼用ガスが外側に漏出しても、外側のシール部材58でもってその漏出を確実に防止することができる。
【0028】
また、継手部材8をプラグ6から脱着する方法について簡単に説明する。まず、手動により摺動部材34を図3中の矢印Xで示す方向に移動させると、ロック溝部16にロック嵌合されていたロック用ボール36が、ボール溝46内で径方向外方に移動して非ロック状態となる。この状態で、継手部材8を図3中の矢印Xで示す方向に引き抜くと、作動部材32が第1スプリング部材26の付勢力を受けて図3中の矢印Yで示す方向に移動し、バルブ体64の環状突部65が筒状本体30の小径スリーブ67の内周面に気密的に接触してバルブ体64が流路28を遮断し、バルブ手段40は閉状態に保持される。
【0029】
この実施形態においては、シール部材66(第1シール部材)を作動部材32の作用部50に設けているが、これとは反対に、プラグ6の接続部4の第1環状部14に設けるようにしてもよい。また、シール部材58(第2シール部材)についても筒状本体30に設けているが、これとは反対に、接続部4の第2環状部18に設けるようにしてもよい。
【0030】
また、筒状部材の一端部に装着されるシール部材(第2シール部材)として、例えば、図4及び図5に示す形態のもの、或いは図6に示す形態のものを用いるようにしてもよい。なお、以下の実施形態において、図1〜図3の実施形態と実質上同一のものは同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
図4及び図5において、このシール部材58Aは、環状取付部82と環状取付部82の内周面から突出する突出部84を備え、その断面形状がT字状に形成され、環状取付部82は筒状本体30の装着凹部に取り付けられ、環状突出部84はプラグ6の接続部4の第1環状部14の外周面に作用するように、筒状本体30の内周面から径方向内方に流路28側に大きく突出している。
【0032】
このようなシール部材58Aを備えた継手部材8Aにおいては、継手部材8Aをプラグ6の接続部4に装着する際に、流路28内に突出したシール部材58Aの突出部84が、がプラグ6の第1環状部14の外周面に作用し、装着方向の相対的移動によって、この突出部84が第1環状部14の一端(先端)から他端(基端)までを払拭し(図5参照)、第1環状部14の外周面に付着した塵埃等の異物を除去することができる。このように異物を除去することにより、第1環状部14とシール部材66との間に存在する異物によるシール性能の低下を防止し、作動部材32と接続部4の第1環状部14との間をこのシール部材66によって確実にシールすることができる。また、このようにシール部材58Aに異物除去機能を持たせることによって、継手部材8Aをプラグ6の接続部4に装着する前に、第1環状部14に付着した異物を布等で手作業により払拭する手間も省ける。
【0033】
図6において、このシール部材58Bにおいては、シール部材58Bは断面が略V字状に形成され、その一端部が筒状本体30の取付凹部に取り付けられ、その他端側が径方向内方に流路28内に突出し、このシール部材58Bの他端部が接続部4の第1環状部14を払拭するように、この他端側が軸線方向内側に向けて内方に傾斜するように設けるのが好ましい。
【0034】
このようなシール部材58Bを備えた継手部材8Bにおいても、プラグ6に継手部材8Bを装着する際に、上述した実施形態と同様に、シール部材58Bの内周端部が接続部4の第1環状部14の外周面に作用し、この第1環状部14の外周面に付着した異物を除去することができる。
【0035】
このシール部材(第2シール部材)の形状は、T字状及びV字状に限定されず、断面がI字状等のその他の形状のシール部材を用いるようにしてもよい。
【0036】
次に、図7を参照して、継手装置の他の実施形態について説明する。図7は、他の実施形態の継手装置を断面で示す要部断面図である。
【0037】
図7において、この他の実施形態における継手装置2Cでは、作動部材32の作用部50とプラグ6の第1環状部14との間に介在されるシール部材66(第1シール部材)及び筒状本体30の一端部とプラグ6の第2環状部18との間に介在されるシール部材58(第2シール部材)に加えて、筒状本体30と摺動部材34Cとの間に介在されるシール部材86,88が設けられている。この形態では、筒状本体30のロック用ボール36の配設部位より内側部位と対向する摺動部材34Cの内周面に装着凹部が設けられ、この装着凹部にシール部材86(第3シール部材を構成する)が装着されている。また、筒状本体30のロック用ボール36の配設部位より外側部位と対向する摺動部材34Cの内周面にも装着凹部が設けられ、この装着凹部にシール部材88(第4シール部材を構成する)が装着されている。シール部材86,88は、他のシール部材58等と同様にOリング等から構成される。
【0038】
この継手装置2Cにおいては、ロック用ボール36の配設部位の軸線方向内側では、シール部材86(第3シール部材)によって筒状本体30の外周面と摺動部材34Cの内周面との間がシールされ、またロック用ボール36の配設部位の軸線方向外側では、シール部材88(第4シール部材)によって筒状本体30の外周面と摺動部材34Cの内周面との間がシールされる。
【0039】
このようにシール部材58,66,86,88によりシールされるので、作動部材32と接続部4の第1環状部14との間のシール部材66のシール性能が低下しても、このシール部材66を通過して筒状本体30とプラグ6の第2環状部18との間を流れる燃焼用ガスの漏出(一般に、この漏出が最も多くなる)は、シール部材58(第2シール部材)により阻止され、またボール溝部46を通って筒状本体30と摺動部材34Cとの間を軸線方向内側に流れる燃焼用ガスの漏出は、シール部材86(第3シール部材)により阻止され、またボール溝部46を通って筒状本体30と摺動部材34Cとの間を軸線方向外側に流れる燃焼用ガスの漏出は、シール部材88(第4シール部材)により阻止され、かくして、筒状本体30の流路28を流れる燃焼用ガスが継手装置2Cの外部へ漏出するのを一層確実に防ぐことができる。
【0040】
なお、他の実施形態においては、シール部材86,88を摺動部材34Cの内周面に装着しているが、これとは反対に、これらシール部材86,88のいずれか一方、又は双方を筒状本体30の外周面に装着するようにしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、ガスストーブ、ガスファンヒータ等のガス機器に設けたプラグ6に継手部材8(8C)を接続する場合に適用して説明したが、本発明ではこれに限られることなく、家屋の壁等に埋設されたガス栓のプラグに継手部材を装着する場合にも適用することができる。
【0042】
次に、図8を参照して、本発明に従う継手装置のさらに他の実施形態について説明する。図8は、継手装置のさらに他の実施形態を示す要部断面図であり、この実施形態では、継手装置側のバルブ手段が省略され、バルブ手段がプラグ6D側に内蔵される。
【0043】
図8において、この実施形態では、筒状本体30Dの内周部に支持部材91が装着され、この支持部材91ににバルブ押し棒92が一体的に設けられている。このバルブ押し棒92は、筒状本体30Dの開口部に向かって軸線方向に延びる作用棒部93を有し、この作用棒部93が複数の支持脚部94を介して支持部材91に支持され、複数の支持脚部94間に、燃焼用ガスが流れる開口(図示せず)が規定されている。継手部材8Dをプラグ6Dに装着すると、このバルブ押し棒92の作用棒部93がプラグ6Dの開口部より挿入され、内部に内蔵されているバルブ手段のバルブ体(図示せず)に作用して開放し、これによって、バルブ手段が開状態となる。この形態の継手装置2Dのその他の基本的構成は、図1〜図3に示す実施形態と実質上同一であるが、その各種構成要素の形状等は、図1〜図3の実施形態のものと幾分相違している。なお、筒状本体30Dに装着されたコネクタ20Dは、その軸を中心に気密性を保ちながら回動自在に回動するように構成され、ガス機器等のプラグ6Dとの位置関係に応じて、コネクタ20Dの角度位置を適宜調節することができる。
【0044】
この実施形態においても、筒状本体30Dの径方向内側に軸線方向に移動自在に配設された作動部材32Dの作用部50Dにシール部材66(第1シール部材)が装着されており、継手部材8Dをプラグ6Dに装着した際に、シール部材66がプラグ6Dの第1環状部14に気密的に密着して作動部材32Dとプラグ6Dの第1環状部14との間をシールする。また、筒状本体30の一端部(軸線方向においてボール溝部46よりも外側の部位)の内周面にはシール部材58(第2シール部材)が装着されており、継手部材8Dをプラグ6Dに装着した際に、このシール部材58がプラグ6Dの第2環状部18の外周面に気密的に密着してプラグ6Dの第2環状部18と筒状本体30Dの一端部との間をシールする。
【0045】
さらに、摺動部材34Dの内側端部(筒状本体30Dのボール溝部46よりも軸線方向内側部位と対向する部位)にはシール部材86(第3シール部材)が装着され、このシール部材86は筒状本体30Dと摺動部材34Dの内側端部との間をシールする。また、摺動部材34Dの外側端部(筒状本体30Dのボール溝部46よりも軸線方向外側部位と対向する部位)にはシール部材88(第4シール部材)が装着され、このシール部材88は筒状本体30Dと摺動部材34Dの外側端部との間をシールする。
【0046】
したがって、この実施形態においては、図7に示す実施形態と実質上同様にシール部材58,66,86,88が配設されるので、シール部材66のシール性能が低下して第1環状部14とシール部材66との間を通して燃焼用ガスの漏洩が僅かに生じても、これらシール部材58,86,88により燃焼用ガスの外部への漏出を確実に防止することができる。
【0047】
以上、本発明に従う種々の継手装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態による継手装置を示す外観図である。
【図2】図1の継手部材を断面で示す継手装置の要部断面図である。
【図3】図1の継手装置を、継手部材をプラグに装着した状態で示す要部断面図である。
【図4】変形形態のシール部材(第2シール部材)を備えた継手部材の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図5】図4の継手部材にプラグを装着するときの状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】他の変形形態のシール部材(第2シール部材)を備えた継手部材の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図7】他の実施形態の継手装置を示す要部断面図である。
【図8】さらに他の実施形態の継手装置を示す要部断面図である
【図9】従来の継手装置を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0049】
2,2C,2D 継手装置
4 接続部
6,6D プラグ
8,8A,8B,8C,8D 継手部材
14 第1環状部
16 ロック溝部
18 第2環状部
30,30D 筒状本体
32,32D 作動部材
34,34C,34D 摺動部材
36 ロック用ボール
40 バルブ手段
58,58A,58B シール部材(第2シール部材)
66 シール部材(第1シール部材)
86 シール部材(第3シール部材)
88 シール部材(第4シール部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部を有するプラグと、前記接続部に着脱自在に装着される継手部材とから構成される継手装置であって、
前記接続部は、先端部に設けられた第1環状部と、基部側に設けられた第2環状部と、前記第1環状部及び第2環状部の間に設けられたロック溝部を有しており、
前記継手部材は、軸線方向に延びる流路が形成された筒状本体と、前記筒状本体の内周側に設けられた作動部材と、前記筒状本体の外周側に設けられた摺動部材と、前記筒状本体の一端部に円周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボールとを備え、前記作動部材及び前記摺動部材は前記軸線方向に移動自在に装着され、前記複数のロック用ボールは径方向に移動自在に装着されており、
また、前記作動部材の一端部には第1シール部材が装着され、前記筒状本体の前記一端部の装着凹部には第2シール部材が装着され、前記第2シール部材は、前記装着凹部に取り付けられた環状取付部と、前記環状取付部の内周面から径方向内方に突出する突出部とを有しており、
さらに、前記筒状本体における前記複数のロック用ボールよりも内側部位と前記摺動部材との間には第3シール部材が介在され、前記筒状本体における前記複数のロック用ボールよりも外側部位と前記摺動部材との間には第4シール部材が介在されており、
前記継手部材を前記プラグの接続部に着脱自在に装着すると、前記複数のロック用ボールが前記プラグの前記ロック溝部にロック嵌合するとともに、前記第1環状部と前記作動部材の前記一端部との間が前記第1シール部材によりシールされ、また前記第2環状部と前記筒状本体の前記一端部との間が前記第2シール部材によりシールされることを特徴とする継手装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−32060(P2010−32060A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261078(P2009−261078)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2004−186647(P2004−186647)の分割
【原出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】