説明

継手

【課題】 合成樹脂製でありながら、安定して固定することができる継手を提供する。
【解決手段】 継手2は、合成樹脂製であって、内部が流通路3aとなるよう筒状に形成される継手本体3を備える。ここで、継手本体3は、屈曲部3bを有する。そして、継手2は、継手本体3の一方に、流体管1が連結される連結口3cを備えるとともに、継手本体3の他方に、水栓とか流体管とか他の継手とかの被接続部材が接続される接続口3dを備える。そこで、継手2は、前記屈曲部3bを囲むようにして枠形状となるフランジ4が、継手本体3から延出して形成される。そして、フランジ4には、そのフランジ4を柱等の被固定部に固定するために固着具が挿通される固定孔4aが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フランジを備えた継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製とか合成樹脂製の継手であって、固定のためのフランジを備えた継手があった(例えば、特許文献1参照)。図9に示すように、この継手22は、継手本体23の一端部に、流体管21が連結される流体管連結口24を備え、他端部に、水栓等が接続される水栓等接続口25を備えていた。そして、継手本体23からはフランジ26が延出され、このフランジ26には、桟に固定するための固定孔27があけられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−66391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の継手22にあっては、金属製とすると、重く、また、合成樹脂製とすると、継手本体23に外力が作用したときフランジ26が撓み桟への固定が不安定となる虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、合成樹脂製でありながら、安定して固定することができる継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る継手は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る継手は、内部が流通路となるよう筒状に形成されて屈曲部を有する継手本体の一方に、流体管が連結される連結口を備えるとともに、前記継手本体の他方に、水栓とか流体管とか他の継手とかの被接続部材が接続される接続口を備えた、合成樹脂製の継手である。この継手は、前記屈曲部を囲むようにして枠形状となるフランジが、前記継手本体から延出して形成される。そして、前記フランジには、そのフランジを柱等の被固定部に固定するために固着具が挿通される固定孔が設けられる。
【0007】
この合成樹脂製の継手によると、フランジには、固定孔が設けられており、この固定孔に挿通される固着具を介して、フランジ、ひいては継手は、被固定部に固定される。ここで、フランジは、継手本体の屈曲部を囲む枠形状となって継手本体から延出して形成されている。こうして、フランジが、枠形状であり、かつ、継手本体の屈曲部を囲むことから、継手本体に対するフランジの剛性が高まる。したがって、このフランジを前記固着具を介して被固定部に固定することで、継手を安定して固定することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る継手は、請求項1に記載の継手からなり、前記フランジは、その枠形状が四角であって、その四角を構成する各板部の少なくとも二つに、前記固定孔が設けられる。これにより、被固定部の配設位置に応じて、固定孔が設けられた板部を選択して用いることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る継手は、請求項2に記載の継手からなり、前記フランジにおける四角の枠形状の、二つまたは三つの角部の内側に、そのフランジを柱等の被固定部に固定するために固着具が挿通される他の固定孔を備えた、筒状の固定部が設けられる。これにより、継手の固定に当たり、被固定部の配設位置に応じて、固定孔が設けられた板部の他に、フランジ内の固定部を選択して用いることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る継手は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の継手からなり、前記接続口は、少なくとも先端部分が前記フランジから突出して形成される。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る継手は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の継手からなり、前記継手本体は、前記流通路を形成する合成樹脂製の本体筒部と、前記流通路を形成することなく前記本体筒部の外周面を覆う合成樹脂製の本体外装部とから構成される。そして、前記フランジは、前記本体外装部から延出して形成される。こうして、継手本体を、本体筒部と本体外装部との複層構造とすることで、内部の水圧に押されて本体筒部が広がるのを本体外装部によって規制することができる。そして、本体筒部は、流体と接触してその流体圧を直接受け、本体外装部は、流体圧により本体筒部が広がるのを規制するとともに、フランジが突出形成されており、それら本体筒部と本体外装部とのそれぞれの機能に応じて、使用される合成樹脂材料を選択することができる。このように、この継手は、本体筒部と本体外装部との複層構造とすることで、合成樹脂製であっても、その強度を確保することができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る継手は、請求項5に記載の継手からなり、前記接続口において、前記本体筒部には、前記被接続部材が螺入する金属製のナットがインサートされる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る継手は、請求項6に記載の継手からなり、前記接続口において、前記本体外装部は、前記本体筒部を挟んで少なくとも前記ナットの後端部分を覆い、その本体外装部における、前記本体筒部を挟んで前記ナットを覆う部分から、前記フランジが延出する。これにより、水栓等の被接続部材を通じてナットにかかる外力を、接続口から直接フランジで受け止めることができる。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る継手は、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の継手からなり、前記連結口において、前記本体外装部は、前記本体筒部の先端よりも突出する突出部を有する。そして、前記突出部には、前記連結口に挿入された流体管を抜け止め状態に係止するための抜止め係止部が設けられる。
【0015】
また、請求項9に記載の発明に係る継手は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の継手からなり、前記フランジの枠内には、断熱材を収容可能な空間が形成される。これにより、フランジの枠内の空間に断熱材を収容することで、継手本体を保温することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る継手によれば、フランジが、枠形状であって、継手本体の屈曲部を囲むことから、継手本体に対するフランジの剛性が高まり、このため、合成樹脂製でありながら、この継手を被固定部に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施の形態の、継手の斜視図である。
【図2】同じく、本体筒部の斜視図である。
【図3】同じく、継手の正面図である。
【図4】同じく、継手の側面図である。
【図5】同じく、図3におけるA−A線による断面図である。
【図6】同じく、図5におけるB−B線による断面図である。
【図7】同じく、継手に流体管を連結した状態を示す断面図である。
【図8】同じく、図7におけるC−C線による断面図である。
【図9】従来の継手を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る継手を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図8は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、湯水(水あるいは湯)を供給する給水湯管等の、流体管である。2は、前記流体管1が連結される、合成樹脂製の継手である。
【0020】
この継手2は、内部が湯水等の流体の流通路3aとなるよう筒状に形成されて屈曲部3bを有する継手本体3と、その継手本体3から延出して形成されたフランジ4とからなる。そこで、継手2は、継手本体3の一方に、前記流体管1が連結される連結口3cを備えるとともに、継手本体3の他方に、水栓とか流体管とか他の継手とかの被接続部材(図示せず)が接続される接続口3dを備える。一方、フランジ4は、継手本体3の屈曲部3bを囲むようにして枠形状となるよう、継手本体3から延出している。そして、フランジ4の枠内には、断熱材を収容可能な空間Sが形成される。また、フランジ4には、そのフランジ4を柱とか桟とか壁等の被固定部に固定するために、ビスとか釘等の固着具が挿通される固定孔4aが設けられる。
【0021】
詳細には、フランジ4は、その枠形状が四角(図示実施の形態においては、方形)であって、その四角を構成する各板部4b、4bの少なくとも二つ(図示実施の形態においては、三つ)に、前記固定孔4aが設けられている。そして、フランジ4における四角の枠形状の、二つまたは三つ(図示実施の形態においては、二つ)の角部の内側に、そのフランジ4を柱等の被固定部に固定するために、ビスとか釘等の固着具が挿通される他の固定孔4cを備えた、筒状の固定部4dが設けられている。さらに、フランジ4における板部4b(詳細には、後述する第4の板部404)の中間位置の内側には、フランジ4を柱等の被固定部に固定するために、ビスとか釘等の固着具が挿通される他の固定孔4eを備えた、筒状の固定部4fが設けられている。
【0022】
具体的には、流体管1は、可撓性を有する合成樹脂製の管であって、例えば、架橋ポリエチレンとかポリブデン等の合成樹脂管からなる。この流体管1は、図7および図8に示すように、その端部部分1aにおいて、リング体5が先端から所定距離をあけて外周に設けられている。このリング体5は、筒状に形成されて、流体管1の端部部分1a(詳細には、端部部分1aにおける、外周にオーリング等のパッキンからなる止水部材6が密着するための端部部分前部1bよりも後方の、端部部分後部1c)の外周に嵌められて固定される。なお、図中符号7は、インコアであって、このインコア7は、リング体5が取り付けられる前に、流体管1に挿入される。
【0023】
継手2は、その継手本体3がL字状となるよう直角に屈曲するエルボーからなる。この継手本体3は、前記流通路3aを形成する合成樹脂製の本体筒部8と、前記流通路3aを形成することなく本体筒部8の外周面を覆う合成樹脂製の本体外装部9とから構成されている。そして、前記フランジ4は、この本体外装部9から延出して形成されている。詳細には、継手2は、本体筒部8と、本体外装部9および前記フランジ4からなる外装体10との、二重成形品となっている。すなわち、継手2は、本体筒部8と、その本体筒部8をインサートして成形される外装体10とで構成される。ここで、本体筒部8は、例えば、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂材料からなる。そして、外装体10は、例えば、ガラス繊維等の繊維入りナイロン樹脂材料からなる。つまり、本体筒部8と外装体10(本体外装部9およびフランジ4)とは、相対的に、本体筒部8が軟質の合成樹脂材料からなり、外装体10が硬質の合成樹脂材料からなる。この軟質であるか硬質であるかは、材料の弾性係数(特に、曲げ弾性係数)、すなわち剛性によって判断され、弾性係数が相対的に、小である場合は軟質であり、大である場合は硬質である。
【0024】
また、前記連結口3cにおいて、本体筒部8の先端部分が、流体管1を受け入れる、流体管受け口8aとなる。そして、この流体管受け口8aは、その先端部の内側が、径大に形成された径大部8bとなっている。そこで、図7および図8に示すように、この径大部8bに止水部材6が嵌められ、さらに、その止水部材6を抜け出ないように押さえるリング状の押え部材11が、径大部8bおよび後述する突出部9aの内側に跨るように嵌められる。そして、この止水部材6が、流体管1における端部部分前部1bの外周面と密接することで、継手2の本体筒部8は、流体管1との間が水密に保たれる。ところで、押え部材11は、連結口3cに設けられた被係合部3eに係合する係合部11aを有して、この係合により押え部材11が連結口3cに固定される。図示実施の形態においては、係合部11aは、突起からなり、被係合部3eは、連結口3cにおける本体外装部9(詳細には、後述する突出部9a)に設けられた通孔からなる(図7参照)。
【0025】
そして、連結口3cにおいて、本体外装部9は、本体筒部8の先端よりも突出する突出部9aを有している。この突出部9aは、その内周面が、流体管受け口8aにおける径大部8bの内周面と面一であって、流体管1に設けられたリング体5を受け入れる、リング体受け口となる。そして、この突出部9a(詳細には、突出部9aの先端部)に、連結口3cに挿入された流体管1を抜け止め状態に係止するための抜止め係止部9bが設けられる。この抜止め係止部9bは、その外周に開口(詳細には、抜止め係止部9bの外周の四方箇所に突設された各抜止め具挿入部9cに開口)して、連結口3c内を横切るようにあけられた孔9dと、外周から鉤状に突出形成された掛止部9eとを有している。このように、抜止め係止部9bが形成され、この抜止め係止部9bに、抜止め具12が取り付けられる。
【0026】
抜止め具12は、例えば、金属製の線材からなり、略コの字形状に形成されている(図1参照)。そこで、図7および図8に示すように、抜止め具12は、略コの字形状の対向する対向片12a、12aが、流体管1を挟むように抜止め係止部9bの孔9d、9dに挿入されて、リング体5の後端と係合する。このとき、抜止め具12における、対向片12a、12aを繋ぐ中間片12bが、掛止部9eに掛かり、こうして、抜止め具12は、抜止め係止部9bに取り付けられ、この抜止め具12により、リング体5、ひいては流体管1は、連結口3cから抜け止めされる。
【0027】
また、連結口3cにおける本体外装部9からは前記フランジ4が延出している。図示実施の形態においては、フランジ4(詳細には、板部4bとしての第1の板部401)が、連結口3c(詳細には、本体外装部9における、前記流体管受け口8aを覆う部分)から周囲に広がるように(詳細には、連結口3cの軸心に直交する方向に広がるように)延出している。
【0028】
一方、前記接続口3dにおいては、フランジ4(詳細には、板部4bとしての第2の板部402)が、接続口3dから周囲に広がるようよに延出している。そして、この接続口3dにおいて、本体筒部8に、前記被接続部材が螺入する金属製のナット13がインサートされている。図示実施の形態においては、本体筒部8の成形の際に、このナット13がインサートされる。そして、この接続口3dにおいて、本体外装部9は、本体筒部8を挟んで少なくともナット13の後端部分(つまり、接続口3dの基端側にある、ナット13の端部分)を覆い、その本体外装部9における、本体筒部8を挟んでナット13を覆う部分から、前記フランジ4が延出している。図示実施の形態においては、接続口3dにおいて、本体外装部9は、本体筒部8を挟んでナット13の後端部分を覆い、その本体外装部9の先端から、前記フランジ4を構成する板部4b(詳細には、第2の板部402)が周囲に広がるように(詳細には、接続口3dの軸心に直交する方向に広がるように)延出している。また、これにより、接続口3dは、少なくとも先端部分がフランジ4から突出して形成されている。そして、この接続口3dにおいて、本体筒部8は、フランジ4よりも先端側が、本体外装部9で覆われることなく、露出している。
【0029】
フランジ4は、四角(詳細には、方形)の枠形状を形成するように前記板部4bとしての、第1〜第4の板部401、402、403、404からなる。ここで、前述したように、第1の板部401は、連結口3cに設けられ、第2の板部402は、接続口3dに設けられて、これら第1の板部401と第2の板部402とが直角となって繋がる。そして、継手本体3の屈曲部3bの曲がる外側には、第1の板部401に平行位置する第3の板部403と、第2の板部402に平行位置する第4の板部404とが設けられる。こうして、フランジ4は、連結口3cの軸心および接続口3dの軸心に直交する方向に開放する枠形状となる。そして、このフランジ4の内側には、フランジ4と継手本体3とを繋ぐように延びる補助板4gが設けられている。
【0030】
前記固定孔4aは、第2〜第4の板部402、403、404にあけられる。そして、対向する各板部404、401、402には、適宜、向かいの固定孔4aと対向する位置に、固定の際の工具を逃がす逃がし部4hが、切り欠かれるようにして設けられている。そこで、第2の板部402においては、その平らな表面が、例えば、被固定部としての壁の平らな面(詳細には、裏面)に当接する当接面となる。すなわち、壁には、接続口3dが挿入される壁孔があけられており、その接続口3dが、壁裏側から壁表に臨むように壁孔に挿入されて、第2の板部402(詳細には、当接面)が壁(詳細には、裏面)に当接する。そして、ビスとか釘等の固着具が、第2の板部402に設けられた固定孔4aに挿通されて、壁にねじ込まれたり打ち込まれたりする。また、第3の板部403や第4の板部404においては、その平らな表面が、被固定部としての柱とか桟とか壁の平らな面に当接する当接面となる。そこで、第3の板部403や第4の板部404(詳細には、当接面)が、柱とか桟とか壁に当接し、固着具が、第3の板部403や第4の板部404に設けられた固定孔4aに挿通されて、柱とか桟とか壁にねじ込まれたり打ち込まれたりする。
【0031】
次に、以上の構成からなる継手2の作用効果について説明する。この合成樹脂製の継手2によると、フランジ4には、固定孔4aが設けられており、この固定孔4aに挿通される固着具を介して、フランジ4、ひいては継手2は、被固定部に固定される。ここで、フランジ4は、継手本体3の屈曲部3bを囲む枠形状となって継手本体3から延出して形成されている。こうして、フランジ4が、枠形状であり、かつ、継手本体3の屈曲部3bを囲むことから、継手本体3に対するフランジ4の剛性が高まる。したがって、このフランジ4を前記固着具を介して被固定部に固定することで、合成樹脂製でありながら、この継手2を被固定部に安定して固定することができる。そして、これによって、継手本体3が、屈曲部3bでの流体の流れの変化による外力とか、流体の速度の変動による外力を受けたり、接続口3dに水栓を接続した場合にみられるような水栓の操作による外力を受けたりした場合であっても、継手本体3のぐらつきを抑えることができる。
【0032】
また、固定孔4aは、フランジ4の四角を構成する各板部4bの少なくとも二つ(図示実施の形態においては、第2〜第4の板部402、403、404)に設けられているため、被固定部の配設位置に応じて、固定孔4aが設けられた板部4bを選択して用いることができる。さらに、継手2には、フランジ4の枠形状の角部の内側に固定部4dが設けられたり、第4の板部404の中間位置の内側に固定部4fが設けられたりしている。これにより、継手2の固定に当たり、被固定部の配設位置に応じて、固定孔4aが設けられた板部4bの他に、フランジ4内の、固定部4dや固定部4fを選択して用いることができる。
【0033】
また、フランジ4(詳細には、第2の板部402)は、接続口3dにおいて、本体外装部9における、本体筒部8を挟んでナット13を覆う部分から延出している。これにより、水栓等の被接続部材を通じてナット13にかかる外力を、接続口3dから直接フランジ4で受け止めることができる。
【0034】
また、フランジ4の枠内には、断熱材を収容可能な空間Sが形成されており、このフランジ4の枠内の空間Sに断熱材を収容することで、継手本体3を保温することができる。もっとも、空間Sに断熱材を収容することなく、フランジ4の枠に蓋をすることで枠内の空間Sと外部とを遮断し、これによって継手本体3を保温しても構わない。
【0035】
また、継手本体3を、本体筒部8と本体外装部9との複層構造とすることで、内部の水圧に押されて本体筒部8が広がるのを本体外装部9によって規制することができる。そして、本体筒部8は、流体と接触してその流体圧を直接受け、本体外装部9は、流体圧により本体筒部8が広がるのを規制するとともに、フランジ4が突出形成されており(図示実施の形態においては、加えて、抜止め係止部9bが設けられており)、それら本体筒部8と本体外装部9とのそれぞれの機能に応じて、使用される合成樹脂材料を個別に選択することができる。このように、この継手2は、本体筒部8と本体外装部9との複層構造とすることで、合成樹脂製であっても、その強度を確保することができる。
【0036】
特に、本体筒部8は、軟質であって耐衝撃性が高いため、水圧変動による衝撃に耐えることができる。そして、本体外装部9は、硬質であって剛性が高いため、水圧による本体筒部8の広がりをしっかりと受け止めることができる。また、この本体外装部9に、抜止め係止部9bが設けられることで、連結口3cでの流体管1の抜けを的確に防ぐことができる。さらに、本体外装部9からフランジ4が突出形成されることから、フランジ4を含めた継手2全体の剛性を高めることができる。
【0037】
そして、継手2は、継手本体3が、湯水等の流体と接触する本体筒部8と、湯水等の流体と接触しないように設けられた本体外装部9とからなる複層構造であるため、本体筒部8には、耐塩素性、耐熱性を備えた材料を選択し、本体外装部9には、本体筒部8よりもそれらの性能が低い材料を選択することができる。そのため、本体外装部9には、本体筒部8に求められる性能を備えた材料とは全く異なる材料を用いることができ、複数性能を備えた本体筒部8に対して安価な材料を用いて、継手2の材料費を低減することができる。もっとも、本体外装部9の材料、つまりは外装体10の材料に、本体筒部8よりも性能の高い材料を用いてもよいのは勿論である。
【0038】
さらに、継手2は、インサート成形による本体筒部8と外装体10とからなり、その本体筒部8と、外装体10における本体外装部9とが、層を成すことから、強度を高めるために、巣やひけを抑えて肉厚を増やすことができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、継手2が対象とする流体は、湯水でなくとも、その他の液体であってもよく、また、液体以外に、燃料用のガス等、その他の気体であってもよい。
【0040】
また、継手2は、その継手本体3が直角に屈曲するエルボーからなるが、必ずしも直角である必要はなく、30°とか120°とか、その他の角度に屈曲するエルボーであってもよい。さらには、継手2は、その継手本体3が屈曲部3bを有するものであれば、エルボー以外に、例えば、継手本体3の形状がT字状に形成されたチーズからなっていてもよい。
【0041】
また、フランジ4は、連結口3cの軸心および接続口3dの軸心に直交する方向に開放する枠形状となっているが、例えば、接続口3dの軸心の方向に開放する枠形状となっていたり、連結口3cの軸心の方向に開放する枠形状となっていてもよく、また、その他の方向に開放する枠形状となっていても構わない。
【0042】
また、このフランジ4は、その枠形状が、四角でなくとも、三角とか五角等であってもよく、また、一部に曲面を含んだり、全体が曲面からなっていてもよい。
【0043】
また、接続口3dにおいて、本体筒部8には、金属製のナット13がインサートされているが、このナット13を無くして、本体筒部8の合成樹脂そのものに雌ねじを形成するようにしてもよい。また、接続口3dは、接続のために、ナット13等による雌ねじを有していなくとも、雄ねじを有してもよく、また、その他の接続構造を有してもよい。
【0044】
また、継手2は、本体筒部8と外装体10との二重成形品となっていなくとも、一度に成形されるものでもよい。
【0045】
また、接続口3dにおいて、本体筒部8は、フランジ4よりも先端側が露出しているが、その先端側を含めて本体外装部9により覆われてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 流体管
2 継手
3 継手本体
3a 流通路
3b 屈曲部
3c 連結口
3d 接続口
4 フランジ
4a 固定孔
4b 板部
4c 他の固定孔
4d 固定部
8 本体筒部
9 本体外装部
9a 突出部
9b 抜止め係止部
13 ナット
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が流通路となるよう筒状に形成されて屈曲部を有する継手本体の一方に、流体管が連結される連結口を備えるとともに、前記継手本体の他方に、水栓とか流体管とか他の継手とかの被接続部材が接続される接続口を備えた、合成樹脂製の継手であって、
前記屈曲部を囲むようにして枠形状となるフランジが、前記継手本体から延出して形成され、
前記フランジには、そのフランジを柱等の被固定部に固定するために固着具が挿通される固定孔が設けられている、継手。
【請求項2】
前記フランジは、その枠形状が四角であって、その四角を構成する各板部の少なくとも二つに、前記固定孔が設けられている、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記フランジにおける四角の枠形状の、二つまたは三つの角部の内側に、そのフランジを柱等の被固定部に固定するために固着具が挿通される他の固定孔を備えた、筒状の固定部が設けられている、請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記接続口は、少なくとも先端部分が前記フランジから突出して形成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の継手。
【請求項5】
前記継手本体は、前記流通路を形成する合成樹脂製の本体筒部と、前記流通路を形成することなく前記本体筒部の外周面を覆う合成樹脂製の本体外装部とから構成され、
前記フランジは、前記本体外装部から延出して形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の継手。
【請求項6】
前記接続口において、前記本体筒部には、前記被接続部材が螺入する金属製のナットがインサートされている、請求項5に記載の継手。
【請求項7】
前記接続口において、前記本体外装部は、前記本体筒部を挟んで少なくとも前記ナットの後端部分を覆い、その本体外装部における、前記本体筒部を挟んで前記ナットを覆う部分から、前記フランジが延出している、請求項6に記載の継手。
【請求項8】
前記連結口において、前記本体外装部は、前記本体筒部の先端よりも突出する突出部を有し、
前記突出部には、前記連結口に挿入された流体管を抜け止め状態に係止するための抜止め係止部が設けられている、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の継手。
【請求項9】
前記フランジの枠内には、断熱材を収容可能な空間が形成されている、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−265955(P2010−265955A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116466(P2009−116466)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】